JP5015028B2 - トルクダンパを備える動力装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパを備える動力装置に関する。そして、該動力装置は、例えば内燃機関と、該内燃機関が発生する動力が入力される変速機とを備える車両用動力装置である。
駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパを備える動力装置において、トルクダンパは、駆動回転軸のトルクが入力される入力部材と、入力部材から伝達されたトルクを被動回転軸に伝達する出力部材とを有すると共に、入力部材と出力部材とが互い相対回転することにより過大トルクを吸収するものは知られている。(例えば、特許文献1参照)
た、内燃機関および変速機を備える車両用動力装置において、該変速機が斜板式の静油圧式無段変速機により構成されるものも知られている。(例えば、特許文献2,3参照)
特開昭58−191680号公報 特開2005−248838号公報 特開2005−263143号公報
トルクダンパが、1対の軸受により回転可能に支持される駆動回転軸(被動回転軸)に設けられる動力装置において、トルクダンパと、被動回転軸を回転駆動する出力回転体(または駆動回転軸により回転駆動される入力回転体)とが、駆動回転軸(または被動回転軸)の軸方向で、前記1対の軸受の一方の軸受を挟んで配置される場合、トルクダンパの全体が1対の軸受間に配置されるので、前記1対の軸受間の駆動回転軸(または被動回転軸)の軸長が長くなる。このため、該回転軸が長軸化したり、トルクダンパが設けられことによる回転軸の曲げ変形の発生を抑制すべく回転軸の剛性を高める必要があって、回転軸の重量増を招来することがある。
また、前記一方の軸受の位置決めのために、駆動回転軸(または被動回転軸)に位置決め部を一体成形したり、専用の位置決め部材を使用するのでは、コストが増加する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項記載の発明は、トルクダンパを備える動力装置において、トルクダンパが設けられた回転軸の軸方向での小型化、および回転軸の軽量化を図ることを目的とする。そして、請求項記載の発明は、さらに、トルクダンパと、出力回転体とを利用して軸受を位置決めすることにより、コストの削減を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパを備える動力装置であって、前記トルクダンパは、前記駆動回転軸のトルクが入力される入力部材と、前記入力部材からのトルクを前記被動回転軸に伝達する出力部材とを有すると共に、前記入力部材と前記出力部材とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する動力装置において、前記被動回転軸は、その両端の軸部分でそれぞれ1対の軸受により回転可能に支持され、前記軸受の一方の軸受内に支持される、前記被動回転軸の一端の軸部分は、該一方の軸受から突出する軸端部を有し、前記入力部材は、被動回転軸の前記一端の軸部分の外周に回転可能に支持されて前記一方の軸受内に支持される円筒状支持部と、前記支持部の、前記軸端部と反対の部分に設けられた入力ダンパ部とを備え、前記軸端部上の、前記円筒状支持部先端の取付部に、前記駆動回転軸のトルクを前記入力部材に入力する入力回転体が一体回転可能に取り付けられ、前記出力部材は、前記被動回転軸に一体回転可能に支持され、前記トルクダンパにおいて、前記過大トルクを吸収するトルク吸収部が、前記入力部材の前記入力ダンパ部および前記出力部材の出力ダンパ部により構成されると共に、前記被動回転軸の軸方向で前記1対の軸受の間に配置され、前記軸方向で、前記入力ダンパ部と前記入力回転体との間に、前記一方の軸受が配置されることを特徴とする動力装置である。
請求項記載の発明は、請求項記載の動力装置において、前記入力部材は入力カム部材であり、前記出力部材は、前記被動回転軸に前記軸方向に移動可能に支持される出力カム部材であり、前記入力ダンパ部は、入力カム面を形成する前記入力カム部であり、前記出力ダンパ部は、前記入力カム面と当接する出力カム面を形成する出力カム部であり、前記一方の軸受は、前記入力カム部と前記入力回転体とにより前記軸方向で位置決めされることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、1対の軸受に回転可能に支持される被動回転軸に設けられるトルクダンパにおいて、過大トルクを吸収するトルク吸収部と入力回転体とが、軸方向で一方の軸受の両側に振り分けられて配置され、かつ、入力部材の主要部、一方の軸受、入力回転体の三者が、軸方向位置で部分的に重なることから、1対の軸受間での被動回転軸の軸長が短くなるので、該被動回転軸の曲げ変形を抑制することができると共に、軸方向で1対の軸受の外側にトルクダンパが配置される場合に比べて被動回転軸全体の軸長も短くできる。この結果、トルクダンパが設けられた被動回転軸を軸方向で小型化できると共に該被動回転軸を軽量化でき、ひいては動力装置を被動回転軸の軸方向で小型化することができる。
請求項記載の事項によれば、被動回転軸または駆動回転軸を回転可能に支持する1対の軸受の一方の軸受は、入力カム部および入力回転体、または、出力カム部および出力回転体を利用して位置決めされるので、該一方の軸受を位置決めするための専用の部分または部材が不要になるので、コストが削減される。
以下、本発明の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1を参照すると、この実施形態において、本発明が適用された動力装置Pは、車両としての自動二輪車Vに備えられる。
なお、実施形態において、左右方向および前後方向は、動力装置Pが搭載される自動二輪車Vの左右方向および前後方向にそれぞれ一致し、また上下方向は鉛直方向である。
軸方向とは、後述する各回転軸に関して、その回転中心線の方向である。そして、内燃機関Eに備えられるクランク軸33(図3参照)の軸方向は、この実施形態では左右方向に一致する。そして、右方および左方の一方をクランク軸33の軸方向の一方向とするとき、右方および左方の他方はクランク軸33の軸方向の他方向である。
自動二輪車Vは、ヘッドパイプ1、メインフレーム2およびダウンチューブ3を有する車体フレームFと、車体フレームFに支持される動力装置Pと、ヘッドパイプ1に操向可能に支持されるフロントフォーク4に軸支される前輪6と、メインフレーム2に揺動可能に支持されたスイングアーム5に軸支される後輪7と、車体フレームFに支持される燃料タンク8および乗員用のシート9とを備える。そして、動力装置Pは、自動二輪車Vにおいて乗員用のシート9よりも下方に配置される。
併せて図2,図3を参照すると、動力装置Pは、水冷式の多気筒4ストローク内燃機関である内燃機関Eと、クランク軸33からの動力が入力される変速機60(図3参照)を備える変速装置Mとを備えると共に、内燃機関Eおよび変速装置Mが一体化された装置であり、駆動対象としての後輪7を駆動する動力を出力する。
クランク軸33が車幅方向に指向する横置き配置で車体フレームFに支持される内燃機関Eは、前バンクB1および後バンクB2を有するV型内燃機関である。変速機60は、油圧ポンプ61および油圧モータ62を備える静油圧式の無段変速機である。
そして、内燃機関Eが発生する動力は、変速装置Mに入力された後、変速装置Mの動力取出軸91から、該動力取出軸91にユニバーサルジョイント141 により連結されると共にスイングアーム5内に収容されたドライブ軸142 を備える終伝達機構140 を介して駆動輪としての後輪7に伝達される。
内燃機関Eは、V字形の1対のバンクB1,B2を構成するように配列された複数の、この実施形態では2つのシリンダ10aを有するシリンダブロック10と、各バンクB1,B2のシリンダ10aの上端部に結合される1対のシリンダヘッド11と、各シリンダヘッド11の上端部に結合される1対のシリンダヘッドカバー12と、シリンダブロック10の下端部に結合されるクランクケース13とから構成される機関本体を備える。
なお、各バンクB1,B2でのシリンダ10a、シリンダヘッド11およびシリンダヘッドカバー12が関わる構造は、両バンクB1,B2において基本的に同一であるため、以下では、主に後バンクB2の構造を参照して説明する。
図2,図3を参照すると、シリンダヘッド11には、シリンダ軸線方向でピストン20に対向する燃焼室21と、シリンダヘッド11に接続されるスロットルボディ22aを有する吸気装置22からの吸入空気と燃料噴射弁(図示されず)からの燃料との混合気を燃焼室21に導く吸気ポート24と、シリンダヘッド11に接続される排気管23aを有する排気装置23に燃焼室21からの排気ガスを導く排気ポート25と、燃焼室21に臨む点火栓26と、吸気ポート24および排気ポート25をそれぞれ開閉する吸気弁27および排気弁28とが設けられる。
吸気弁27および排気弁28を開閉する動弁装置30は、動弁カム30bを有するカム軸30aと、吸気弁27および排気弁28に当接すると共に動弁カム30bにより駆動されて揺動するロッカアーム30c,30dとを備える。動弁カム30bは、ロッカ軸30e,30fに揺動可能にそれぞれ支持されるロッカアーム30c,30dを介して吸気弁27および排気弁28を開閉する。
クランク軸33のトルクによりカム軸30aを回転駆動する動弁用伝動機構31は、クランク軸33の両軸端部33a,33bに設けられた駆動スプロケット31aと、カム軸30aに設けられたカムスプロケット31bと、両スプロケット31a,31bに掛け渡されたチェーン31cとを備える。
クランクケース13は、車幅方向(左右方向でもある。)に複数に分割されるケース部分である1対のケース半体13a,13bが結合されて構成される左右割りのクランクケースである。各ピストン20にコンロッド32を介して連結されるクランク軸33は、クランクケース13により形成されるクランク室34内に収容されると共に、両ケース半体13a,13bにそれぞれ1対の主軸受35を介して回転可能に支持される。クランクケース13の一部は、変速装置MのミッションケースMcを構成する。
また、内燃機関Eは、左右のケース半体13a,13bに、多数のボルトによりそれぞれ結合される1対のカバー14,15を備える。
そして、クランク軸33において、クランク室34内から左方に突出する一方の軸端部33aは、左ケース半体13aおよび左カバー14により形成される左室である伝動室36内に延びており、クランク室34内から右方に突出する他方の軸端部33bは、右ケース半体13bおよび右カバー15により形成される右室である補機室37内に延びている。軸端部33aには、変速装置Mの入力側伝達機構50とオイルポンプ40を駆動する伝動機構41のチェーン41cが巻き掛けられる駆動スプロケット41aとが設けられ、軸端部33bには交流発電機42が設けられる。変速装置M、オイルポンプ40および交流発電機42は、いずれもクランク軸33のトルクにより駆動される被動装置である。
変速装置Mは、クランク軸33のトルクにより回転駆動される変速機60と、クランク軸33のトルクを変速機60に入力する入力側伝達機構50と、変速機60から出力されたトルクが入力される出力側伝達機構Tと、変速機60および両伝達機構50,Tが収容されるミッション室38を形成するミッションケースMcとを備える。
そして、内燃機関Eが発生するトルク(または動力)は、機関出力軸であるクランク軸33から、入力側伝達機構50、変速機60、出力側伝達機構Tおよび終伝達機構140 (図1参照)により形成されるトルク伝達経路(以下、「トルク伝達経路」という。)を経て後輪7(図1参照)に伝達される。このトルク伝達経路は、変速機60を境に、クランク軸33と変速機60との間の入力側トルク伝達経路と、変速機60自体と、変速機60と後輪7との間の出力側トルク伝達経路とから構成される。それゆえ、入力側トルク伝達経路は入力側伝達機構50により形成され、出力側トルク伝達経路は、出力側伝達機構Tと、該出力側伝達機構Tからのトルクが入力される終伝達機構140 とにより形成される。
ミッションケースMcは、1対のケース半体13a,13bと、左ミッションカバーを兼ねる左カバー14と、右ケース半体13bに結合される右ミッションカバーである右カバー16と、左ケース半体13aの後部に軸受ハウジング96と共に結合されるカバーであるギヤカバー17とを備える。そして、ミッション室38を構成する第1,第2伝動室36,37のうち、変速機60と、入力側伝達機構50と、走行クラッチ70などの一部を除く出力側伝達機構Tの大部分とが配置される第1伝動室36は、両ケース半体13a,13bおよび左カバー14により形成され、走行クラッチ70が配置されるクラッチ室としての第2伝動室37は、右ケース半体13bおよび右カバー16により形成される。
ここで、クランクケース13、左カバー14、両右カバー15,16およびギヤカバー17は、動力装置Pの動力ケースを構成する。
入力側伝達機構50は、クランク軸33のトルクを変速機60に伝達するギヤ機構51,52と、入力側トルク伝達経路に発生する過大トルクを吸収する入力側トルクダンパ54とを備える。
前記ギヤ機構51,52は、軸端部33aにスプライン嵌合されたカラー53と該カラー53にスプライン嵌合された入力カム部材55とから構成される伝達機構を介してクランク軸33に結合される駆動ギヤ51と、変速機60の入力回転体としてのポンプハウジング61aに一体に回転するように設けられた被動ギヤ52とから構成される。駆動ギヤ51は、カラー53に回転可能に支持され、該カラー53を介して軸端部33aに設けられる。
カム式のトルクダンパ54は、軸端部33aに対して軸方向に移動可能な入力部材としての入力カム部材55と、入力カム部材55と係合してクランク軸33のトルクが入力カム部材55を介して入力される出力部材としての出力カム部材である駆動ギヤ51と、入力カム部材55を駆動ギヤ51に当接させるように軸方向に付勢する付勢部材としてのダンパバネ56とから構成される。複数の皿バネからなるダンパバネ56は、カラー53に保持されるバネ受け57と入力カム部材55との間に配置される。入力カム部材55は入力カム部55aを有し、駆動ギヤ51は出力カム部51aを有する。入力カム部55aおよび出力カム部51aは、互いに、ダンパバネ56の付勢力により軸方向および周方向で当接すると共に、周方向に相対的に摺動可能である。
そして、トルクダンパ54は、入力カム部材55および駆動ギヤ51間で、予め設定された第1設定トルク以下のトルクが作用するとき、入力カム部材55および駆動ギヤ51を一体に回転させ、自動二輪車V(図1参照)または内燃機関Eの減速時など、例えば自動二輪車Vのエンジンブレーキ時に、該第1設定トルクを超える過大トルクが作用するとき、入力カム部材55と駆動ギヤ51との間に周方向での滑りが生じて、出力カム部51aにより駆動される入力カム部材55がダンパバネ56の付勢力に抗して軸方向に移動しながら、入力カム部材55と駆動ギヤ51とが互いに相対回転することにより該過大トルクを吸収する。
変速機60は、特許文献2,3に開示された変速機と同様のものであり、斜板式の油圧ポンプ61と、斜板式の油圧モータ62と、油圧ポンプ61と油圧モータ62との間での作動油の流れを制御する弁機構63と、出力回転体としての変速機出力軸64と、変速機出力軸64の停止および回転を切り換える発進クラッチとしての入力側クラッチ65とを備える。
油圧ポンプ61は、左カバー14に軸受66を介して回転可能に支持されるポンプハウジング61aと、ポンプハウジング61aに収容されたポンプ斜板61bと、ポンプ斜板61bに軸方向で対向して配置されるポンプボディ61cと、ポンプボディ61cに往復動可能に嵌合すると共にポンプ斜板61bにより駆動されて作動油の吸入および吐出を行う複数のポンププランジャ61dとを備える。
油圧モータ62は、右ケース半体13bに固定されるモータハウジング62aと、モータハウジング62aに形成された球面状の支持面に揺動可能に支持される支持部材62eと、支持部材62eに回転可能に支持されるモータ斜板62bと、モータ斜板62bに軸方向で対向して配置されるモータボディ62cと、モータボディ62cに往復動可能に嵌合すると共に油圧ポンプ61から吐出された作動油により駆動される複数のモータプランジャ62dと、支持部材62eを駆動するアクチュエータとしての電動モータ67とを備える。支持部材62eが電動モータ67により駆動されて揺動することにより、モータ斜板62bの傾斜角度が変更されて、クランク軸33の回転速度に対する変速機出力軸64の回転速度が変更されて、クランク軸33の回転速度が変速される。
軸方向で油圧ポンプ61と油圧モータ62との間に設けられる弁機構63は、オイルポンプ40から吐出されて右カバー16に形成された油路から変速機出力軸64に形成された油路68を経て供給されるオイルである作動油の流れおよび油圧ポンプ61と油圧モータ62との間の作動油の流れを制御する複数のスプール63aと、それらスプール63aの位置をポンプハウジング61aの回転位置に応じて制御する制御リング63bとを備える。
モータボディ62cにスプライン嵌合する変速機出力軸64は、ポンプハウジング61a、モータハウジング62aおよび右カバー16にそれぞれ軸受69a,69b,69cを介して回転可能に支持され、クランク軸の回転中心線L1と平行な回転中心線L2を有する。また、後述する出力軸72、中間軸90の各回転中心線L3,L4は、両回転中心線L1,L2に平行である。
変速機60において軸方向で左カバー14寄りの端部に配置されるクラッチ65は、被動ギヤ52から変速機出力軸64へのトルクの伝達および遮断を行う。クラッチ65は、ポンプハウジング61aと一体に回転する入力部材65aと、入力部材65aに支持されると共に入力部材65aの回転速度に応じて発生する遠心力により入力部材65aに案内されて径方向に移動可能な遠心ウエイト65bと、遠心ウエイト65bの位置に応じて軸方向に移動可能であると共に入力部材65aと一体に回転する出力部材65cと、入力部材65aと出力部材65cとの間に配置されて出力部材65cを介して遠心ウエイト65bを入力部材65aに押し付けるクラッチバネ65eとを備える。
出力部材65cは、変速機出力軸64をスリーブとしてスプール弁を構成するスプール65dを有する。
内燃機関Eの機関回転速度がアイドリング速度以下のとき、クラッチ65は図3に示されるトルク遮断位置にある。このとき、スプール65dにより、油圧ポンプ61から吐出された作動油は油圧モータ62を回転させることなく油圧ポンプ61に戻る。また、機関回転速度がアイドリング速度を超えるとき、スプール65dは遠心力により径方向外方に移動する遠心ウエイト65bにより駆動されて右方に移動し、クラッチ65はトルク伝達位置を占める。このトルク伝達位置で、油圧ポンプ61から吐出された作動油が油圧モータ62に流入して油圧モータ62が回転駆動され、クランク軸33のトルクが変速機出力軸64に伝達される。そして、アイドリング速度を超える機関回転速度領域で、モータ斜板62bの傾斜角度に応じて変速された回転速度で変速機出力軸64が回転する。
出力側伝達機構Tは、変速機出力軸64に設けられて該変速機出力軸64と一体に回転する出力ギヤ64oにより構成される入力機構Tiと、変速機60から後輪7へのトルクの伝達および遮断を行うことによりドライブ位置およびニュートラル位置の切換を行う出力側クラッチとしての走行クラッチ70と、走行クラッチ70を介して伝達された変速機60からのトルクを終伝達機構140 (図1参照)に伝達する伝達機構である出力機構Toとを備える。
出力回転体としての出力ギヤ64oは、変速機出力軸64において軸受69bから右方に突出して第2伝動室37内に延びている軸端部64aにスプライン嵌合すると共に、走行クラッチ70の入力ギヤ71と噛合する。
図3を参照すると、油圧式の多板摩擦式クラッチである走行クラッチ70は、右ケース半体13bおよび右カバー16に軸受を介して回転可能に支持される出力部材としての出力軸72と、出力軸72に回転可能に支持されると共に入力軸としての変速機出力軸64からのトルクが出力ギヤ64oを介して入力される入力部材としての入力ギヤ71と、交互に積層される複数のクラッチ板74と、出力軸72にスプライン嵌合して一体に回転する中間部材としてのハウジング75と、接続状態にあるクラッチ74を介して伝達された入力ギヤ71からのトルクを出力軸72に伝達可能なハウジング75に往復動可能に嵌合すると共にクラッチ板74が互いに接触するように押圧可能な押圧部材である押圧ピストン76と、クラッチ板74が離隔するように押圧ピストン76を付勢するクラッチバネ77とを備える。
油圧により作動する油圧作動装置としての走行クラッチ70には、ハウジング75と押圧ピストン76とにより、押圧ピストン76を駆動する作動油が導かれる油圧室78が形成される。該作動油は、伝動機構41により駆動されるオイルポンプ40(図2参照)から吐出されたオイルの一部である。
油圧室78の油圧は、油圧室78に対するオイルの給排を制御する油圧制御装置により制御される。該油圧制御装置は、右カバー16に設けられて変速位置操作部材の操作に応じて制御装置により制御される油圧制御弁79と、油圧制御弁79により制御されたオイルが流れる油路系統とから構成される。
油圧室78へのオイルの供給および油圧室78からのオイルの排出のための通路である前記油路系統は、右カバー16の一部を弁ボディとする油圧制御弁79に接続される接続部材80に形成された油路81と、油路81に連なると共に右カバー16に形成された油路82と、油路82と油圧室78とを連通させる油路83とから構成される。
また、右カバー16には、走行クラッチ70での油圧状態を検出することにより、走行クラッチ70の作動状態を監視するために、前記油路系統の油圧を検出する油圧センサ88が取り付けられる。油圧センサ88は油路82の油圧を検出する。
このような走行クラッチ70において、油圧室78に高油圧のオイルが供給されて油圧室78が高油圧になると、クラッチバネ77の弾発力に抗して押圧ピストン76が第1,第2クラッチ板73,74を押し付けて、両クラッチ板73,74の間の摩擦により入力ギヤ71とハウジング75とが一体に回転する接続状態になり、変速機出力軸64のトルクが両ギヤ64o,71を通じて出力軸72に伝達される。一方、油圧室78の作動油が排出されて油圧室78が低油圧になると、クラッチバネ77の弾発力により両クラッチ板73,74が離隔して入力ギヤ71とハウジング75との間でトルクの伝達が遮断される切断状態になり、変速機出力軸64のトルクの出力軸72への伝達が遮断される。このようにして、油路81,82,83を通じて油圧室78に対するオイルの給排が制御されて、走行クラッチ70の切断および接続が制御される。
図3,図4を参照すると、前記出力機構Toは、駆動回転軸としての出力軸72により回転駆動される被動回転軸としての第1動力取出軸である中間軸90と、中間軸90により回転駆動されると共にドライブ軸142 (図1参照)を回転駆動する被動回転軸としての第2動力取出軸91と、出力側トルク伝達経路において出力軸72と中間軸90との間に配置されて出力軸72のトルクを中間軸90に入力する第1伝達機構と、出力側トルク伝達経路において中間軸90と動力取出軸91との間に配置されて中間軸90のトルクを動力取出軸91に入力する第2伝達機構と、出力側トルク伝達経路において変速機60と動力取出軸91との間に配置されて出力側トルク伝達経路に発生する過大トルクを吸収する出力側トルクダンパ100 とを備える。
前記第1伝達機構は、出力軸72と一体に回転する駆動回転体としての駆動ギヤ92と、該駆動ギヤ92と噛合すると共に出力軸72のトルクを中間軸90に入力する入力回転体としての被動ギヤ93とから構成される。被動ギヤ93は、トルクダンパ100 の入力カム部材101 にスプライン嵌合して一体に回転するように設けられていて、トルクダンパ100 を介して中間軸90に結合される。
中間軸90は、右方の軸部分90bにおいて、右ケース半体13bに入力カム部材101 および軸受94を介して回転可能に支持され、左方の軸部分90aにおいて、左ケース半体13aに軸受95および該左ケース半体13aに結合される軸受ハウジング96を介して支持される。
軸部分90bにおいて、軸受94から右方に突出する軸端部90b1には、入力カム部材101 を介して被動ギヤ93が配置される。軸部分90aにおいて、軸受95から左方に突出する軸端部90a1には、駆動ギヤ97が一体成形されて配置される。
カム式のトルクダンパ100 は、軸部分90bに回転可能に支持されると共に出力軸72のトルクが入力される入力部材としての入力カム部材101 と、入力カム部材101 と係合して入力カム部材101 からのトルクを中間軸90に伝達する出力部材としての出力カム部材102 と、出力カム部材102 を入力カム部材101 に当接させるように軸方向に付勢する付勢部材としてのダンパバネ103 とを有する。コイルバネからなるダンパバネ103 は、軸受95の固定部材でもあるバネ受け95aと出力カム部材102 との間に配置される。
入力カム部材101 は中間軸90に回転可能に支持されるので、被動ギヤ93も中間軸90に回転可能に支持される。
このため、出力側トルク伝達経路において、変速機出力軸64とトルクダンパ100 との間には、変速機出力軸64からのトルクが入力される第1回転軸としての出力軸72と、該出力軸72からのトルクが入力される第2回転軸としての中間軸90とが配置される。そして、出力側トルク伝達経路において、変速機出力軸64と、トルクダンパ100 が設けられる中間軸90との間に配置される回転軸は、1つの前記出力軸72のみである。
そして、トルクダンパ100 の入力カム部材101 は、入力カム面101bを形成する入力カム部101aと、軸方向で軸受94および被動ギヤ93に渡って延びていると共に摺動可能に支持される円筒状の支持部101cとを有する。支持部101cは、軸方向で入力カム部101aに隣接して位置すると共に軸受94を保持する保持部101dと、軸方向で保持部101dに隣接して位置すると共に被動ギヤ93がスプライン嵌合により取り付けられる取付部101eとを有する。
軸方向で入力カム部101aと被動ギヤ93との間に、中間軸90を回転可能に支持する1対の軸受94,95の一方の軸受である軸受94が配置される。そして、入力カム部101aは、軸方向で入力カム面101bとは反対側の当接面101fで軸受94のインナレース94aの一側に軸方向で当接し、インナレース94aの他側には、被動ギヤ93が軸方向で当接する。このため、入力カム部材101 を回転可能に支持すると共に該入力カム部材101 を介して中間軸90を回転可能に支持する軸受94は、入力カム部101aと被動ギヤ93とにより軸方向で位置決めされる。
一方、中間軸90と一体に回転する出力カム部材102 は、出力カム面102bを形成する出力カム部102aを有し、中間軸90にスプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられる。
ここで、入力カム部101a、出力カム部材102 およびダンパバネ103 は、軸方向で1対の軸受94,95の間に配置される。
そして、トルクダンパ100 において、入力カム部材101 と出力カム部材102 との間に、予め設定された第2設定トルクを超える過大トルクが作用するときに、該過大トルクを吸収するトルク吸収部100aが、1対の軸受の間で、入力カム部材101 の入力ダンパ部である入力カム部101aと、出力カム部材102 の出力ダンパ部である出力カム部102bと、ダンパバネ103 とにより構成される。
ここで、前記第2設定トルクは、入力側トルクダンパ54における前記第1設定トルクよりも大きい値に設定される。それゆえ、トルクダンパ100 の容量は、トルクダンパ54の容量よりも大きい。
具体的には、入力カム部101aおよび出力カム部102aは、互いに、カム面101b,102bにおいてダンパバネ103 の付勢力により軸方向および周方向で当接すると共に、周方向に相対的に摺動可能である。そして、トルクダンパ100 は、両カム部材101 ,102 間に前記第2設定トルク以下のトルクが作用するとき、入力カム部材101 および出力カム部材102 を一体に回転させ、自動二輪車V(図1参照)または内燃機関Eの減速時など、例えば自動二輪車V(図1参照)のエンジンブレーキ時に、該第2設定トルクを超える過大トルクが作用するとき、入力カム部材101 と出力カム部材102 との間に回転方向での滑りが生じて、出力カム部材102 が入力カム部材101 により駆動されてダンパバネ103 の付勢力に抗して軸方向に移動しながら、入力カム部材101 と出力カム部材102 とが互いに相対回転することにより該過大トルクを吸収する。
前記第2伝達機構は、ベベルギヤからなる駆動ギヤ97と、該駆動ギヤ97と噛合すると共に動力取出軸91に一体成形されて設けられたベベルギヤからなる被動ギヤ98とから構成される。
動力取出軸91は、左ケース半体13aに結合されるギヤカバー17内に配置され、1対の軸受99a,99bを介して回転可能に支持される。また、ギヤカバー17には、被動ギヤ98の回転位置を検出する回転位置センサ19が設けられ、該センサ19の検出信号に基づいて車速が検出される。
図2,図3を参照すると、車幅方向(クランク軸33の軸方向でもある。)での動力装置Pの一側壁を構成する左ケース半体13aと左カバー14とギヤカバー17(以下、「左ケース半体13a、左カバー14およびギヤカバー17」の全体を、必要に応じて「側部カバー」という。)の大部分が、動力装置Pの外側で所定方向としての左方から外装カバーC1により覆われ、車幅方向での動力装置Pの別の一側壁を構成する右ケース半体13bと右カバー16の大部分が、動力装置Pの外側である右方から外装カバーC2により覆われる。合成樹脂により形成される両外装カバーC1,C2は、動力装置Pの外観性を向上させると共に、動力装置Pが発生する放射音を低減するカバー部材としての遮音カバーである。
外装カバーC1は、複数としての3つの取付部111 においてボルト110 により左ケース半体13a、左カバー14およびギヤカバー17に設けられた取付座112 (図3には、左ケース半体13aに設けられた取付座112 が示されている。)に固定される。外装カバーC1は、左カバー14の下縁部を除いて左カバー14のほぼ全体と、ギヤカバー17の全体を左方から覆う。
左右方向での間隔が形成されるように配置される側部カバーと外装カバーC1との間には、空間Sが形成される。
外装カバーC1には、放射音を低減するために、発泡材料(例えばウレタンフォーム)からなる吸音材115 が、空間Sに面する内面に沿って配置される。
そして、空間Sには、放射音の特定周波数で共鳴するレゾネータ120 が、吸音材115 と前記側部カバーとの間に配置される。レゾネータ120 は首部126 により形成される開口部127 により空間Sと連通する。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
動力装置Pの出力側伝達機構Tにおいて、走行クラッチ70の出力軸72と中間軸90との間の出力側トルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパ100 は、出力軸72のトルクが入力される入力カム部材101 と、入力カム部材101 からのトルクを中間軸90に伝達する出力カム部材102 とを有すると共に、入力カム部材101 と出力カム部材102 とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する。そして、出力軸72は、1対の軸受94,95に回転可能に支持され、中間軸90に回転可能に支持される入力カム部材101 には、出力軸72のトルクを入力カム部材101 に入力する被動ギヤ93が設けられ、出力カム部材102 は中間軸90と一体に回転し、トルクダンパ100 において、過大トルクを吸収するトルク吸収部100aが、入力カム部材101 の入力カム部101aおよび出力カム部材102 の出力カム部102aにより構成されると共に、中間軸90の軸方向で1対の軸受94,95の間に配置され、軸方向で入力カム部101aと被動ギヤ93との間に軸受94が配置される。
この構造により、1対の軸受94,95に回転可能に支持される中間軸90に設けられるトルクダンパ100 において、過大トルクを吸収するトルク吸収部100aと被動ギヤ93とが、軸方向で軸受94の両側に振り分けられて配置されることから、1対の軸受94,95間での中間軸90の軸長が短くなるので、該中間軸90の曲げ変形を抑制することができると共に、軸方向で1対の軸受94,95の外側にトルクダンパが配置される場合に比べて中間軸90全体の軸長も短くできる。この結果、トルクダンパ100 が設けられた中間軸90を軸方向で小型化できると共に該中間軸90を軽量化でき、ひいては動力装置Pを中間軸90の軸方向で小型化することができる。
出力カム部材102 は中間軸90に軸方向に移動可能に支持され、入力カム部101aは入力カム面101bを有し、出力カム部102aは入力カム面101bと当接する出力カム面102bを有し、軸受94は入力カム部101aと被動ギヤ93とにより軸方向で位置決めされることにより、中間軸90を回転可能に支持する1対の軸受94,95のうちの軸受94は、入力カム部101aおよび被動ギヤ93を利用して位置決めされるので、該軸受94を位置決めするための専用の部分または部材が不要になるので、コストが削減される。
軸受94は、トルクダンパ100 の入力カム部材101 を介して中間軸90を回転可能に支持することにより、軸受94の径を大きくすることができる。この結果、該軸受94の容量、すなわち軸受94の負荷能力を大きくすることができて、該軸受94の耐久性を向上させることができる。
クランク軸33を備える内燃機関Eと、クランク軸33のトルクにより回転駆動される静油圧式無段変速機60と、変速機60からのトルクにより回転駆動される後輪7と、クランク軸33から後輪7までのトルク伝達経路に発生する過大トルクを吸収するトルクダンパ54,100 とを備える自動二輪車Vにおいて、トルク伝達経路は、変速機60を境に、クランク軸33と変速機60との間の入力側トルク伝達経路と、変速機60と後輪7との間の出力側トルク伝達経路とから構成され、トルクダンパ54,100 は、入力側トルク伝達経路に配置される入力側トルクダンパ54と、出力側トルク伝達経路に配置される出力側トルクダンパ100 とから構成される。この構造により、クランク軸33から変速機60を経て後輪7までのトルク伝達経路において発生した過大トルクは、出力側トルクダンパ100 により吸収された後に変速機60に作用するので、変速機60に作用する過大トルクおよび入力側トルク伝達経路での過大トルクや、変速機60とクランク軸33とが共振した場合の振動が減少する。この結果、クラッチ65、回転するポンプハウジング61aを有する油圧ポンプ61および油圧モータ62を備えるために回転慣性が大きい静油圧式無段変速機60の該回転慣性に起因するトルクショックや、変速機60とクランク軸33との共振に起因する振動が低減して、自動二輪車Vの乗心地性が向上する。
出力側トルク伝達経路は、変速機60の変速機出力軸64からのトルクが入力される走行クラッチ70の出力軸72および出力軸72からのトルクが入力される中間軸90を備える出力側伝達機構Tと、出力側伝達機構Tからのトルクが入力されて後輪7を駆動する終伝達機構140 とから構成され、出力側トルク伝達経路において、変速機出力軸64と中間軸90との間に配置される回転軸は、1つの出力軸72のみであり、出力側トルクダンパ100 は、中間軸90に設けられることにより、出力側トルク伝達経路において、変速機60と出力側トルクダンパ100 との間で、出力側トルクダンパ100 により減少した過大トルクが作用する回転軸は1つの出力軸72だけであるので、出力側トルクダンパ100 と変速機60との間に配置される回転軸の回転慣性を小さくすることができる。この結果、入力側トルク伝達経路での過大トルクによるトルクショックが低減され、しかも入力側トルクダンパ54の容量を小さくできるので、入力側トルクダンパ54を小型化できる。
出力側トルクダンパ100 の容量は、入力側トルクダンパ54の容量よりも大きいことにより、出力側トルク伝達経路における過大トルクが出力側トルクダンパ100 により大きく吸収されるので、変速機60の回転慣性に起因するトルクショックを大幅に低減することができる。この結果、トルクショックが一層低減され、しかも入力側トルクダンパ54の容量が小さいので、入力側トルクダンパ54を小型化できる。
以下、前述した実施形態の一部が変更された形態について、変更された部分を中心に説明する。
ルクダンパは、周方向で入力部材と出力部材との間にダンパバネが配置されるバネ式のトルクダンパでもよい。
駆動対象を駆動する動力装置Pは、前記実施形態のように内燃機関Eと変速装置とが一体化された装置である必要はなく、内燃機関のみまたは変速装置のみで構成されてもよく、さらに内燃機関以外の機関で構成されてもよい。
内燃機関は、V型2気筒以外の多気筒内燃機関、または単気筒内燃機関であってもよい。また、変速機は、斜板式以外の静油圧式無段変速機、油圧式以外の無段変速機、または無段変速機以外の変速機であってもよい。
本発明が適用された動力装置を備える自動二輪車の要部左側面図である。 図1の動力装置の要部側面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図3の動力装置の出力側トルクダンパ付近の拡大図である。
符号の説明
13…クランクケース、14…左カバー、33…クランク軸、50…入力側伝達機構、51…駆動ギヤ、52…被動ギヤ、54…入力側トルクダンパ、55…入力カム部材、56…ダンパバネ、60…変速機、61…油圧ポンプ、62…油圧モータ、70…走行クラッチ、71…入力ギヤ、72…出力軸、90…中間軸、94,95…軸受、100 …出力側トルクダンパ、101 …入力カム部材、102 …出力カム部材、103 …ダンパバネ、140 …終伝達機構、
V…自動二輪車、P…動力装置、E…内燃機関、M…変速装置。

Claims (2)

  1. 駆動回転軸(72)と被動回転軸(90)との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパ(100)を備える動力装置(P)であって、前記トルクダンパ(100)は、前記駆動回転軸(72)のトルクが入力される入力部材(101)と、前記入力部材(101)からのトルクを前記被動回転軸(90)に伝達する出力部材(102)とを有すると共に、前記入力部材(101)と前記出力部材(102)とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する動力装置において、
    前記被動回転軸(90)は、その両端の軸部分(90a,90b)でそれぞれ1対の軸受(95,94)により回転可能に支持され、
    前記軸受(95,94)の一方の軸受(94)内に支持される、前記被動回転軸(90)の一端の軸部分(90b)は、該一方の軸受(94)から突出する軸端部(90b1)を有し、
    前記入力部材(101)は、被動回転軸(90)の前記一端の軸部分(90b)の外周に回転可能に支持されて前記一方の軸受(94)内に支持される円筒状支持部(101c)と、前記支持部(101c)の、前記軸端部(90b1)と反対の部分に設けられた入力ダンパ部(101a)とを備え、
    前記軸端部(90b1)上の、前記円筒状支持部(101c)先端の取付部(101e)に、前記駆動回転軸(72)のトルクを前記入力部材(101)に入力する入力回転体(93)が一体回転可能に取り付けられ
    前記出力部材(102)は、前記被動回転軸(90)に一体回転可能に支持され、
    前記トルクダンパ(100 )において、前記過大トルクを吸収するトルク吸収部(100a)が、前記入力部材(101)の前記入力ダンパ部(101a)および前記出力部材(102)の出力ダンパ部(102a)により構成されると共に、前記被動回転軸(90)の軸方向で前記1対の軸受(94,95)の間に配置され、
    前記軸方向で、前記入力ダンパ部(101a)と前記入力回転体(93)との間に、前記一方の軸受(94)が配置されることを特徴とする動力装置。
  2. 前記入力部材(101)は入力カム部材(101)であり、前記出力部材(102)は、前記被動回転軸(90)に前記軸方向に移動可能に支持される出力カム部材(102)であり、前記入力ダンパ部(101a)は、入力カム面(101b)を形成する前記入力カム部(101a)であり、前記出力ダンパ部(102a)は、前記入力カム面(101b)と当接する出力カム面(102b)を形成する出力カム部(102a)であり、前記一方の軸受(94)は、前記入力カム部(101 )と前記入力回転体(93)とにより前記軸方向で位置決めされることを特徴とする請求項記載の動力装置。
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