JP2009197878A - トルクダンパを備える動力装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走行クラッチ70の出力軸72と中間軸90との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパ100 は、出力軸72のトルクが入力される入力カム部材101 と出力カム部材102 とを有する。中間軸90に回転可能に支持される入力カム部材101 には、出力軸72のトルクを入力カム部材101 に入力する被動ギヤ93が設けられる。トルクダンパ100 において、過大トルクを吸収するトルク吸収部100aが、入力カム部材101 の入力カム部101aおよび出力カム部材102 の出力カム部102aにより構成されると共に、1対の軸受94,95の間に配置される。入力カム部101aと被動ギヤ93との間に軸受94が配置される。
【選択図】図4
Description
知られている。
また、内燃機関および変速機を備える車両用動力装置において、該変速機が斜板式の静油圧式無段変速機により構成されるものも知られている。(例えば、特許文献2,3参照)
また、前記一方の軸受の位置決めのために、駆動回転軸(または被動回転軸)に位置決め部を一体成形したり、専用の位置決め部材を使用するのでは、コストが増加する。
請求項2記載の発明は、駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパを備える動力装置であって、前記トルクダンパは、前記駆動回転軸のトルクが入力される入力部材と、前記入力部材からのトルクを前記被動回転軸に伝達する出力部材とを有すると共に、前記入力部材と前記出力部材とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する動力装置において、前記駆動回転軸は、1対の軸受により回転可能に支持され、前記入力部材は、前記駆動回転軸と一体に回転可能であり、前記駆動回転軸に回転可能に支持される前記出力部材には、前記出力部材のトルクを前記被動回転軸に出力する出力回転体が設けられ、前記トルクダンパにおいて、前記過大トルクを吸収するトルク吸収部が、前記入力部材の入力ダンパ部および前記出力部材の出力ダンパ部により構成されると共に、前記駆動回転軸の軸方向で前記1対の軸受の間に配置され、前記軸方向で前記出力ダンパ部と前記出力回転体との間に、前記1対の軸受の一方の軸受が配置される動力装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の動力装置(P)において、前記入力部材(101 )は入力カム部材(101 )であり、前記出力部材(102 )は、前記被動回転軸(90)に前記軸方向に移動可能に支持される出力カム部材(102 )であり、前記入力ダンパ部(101a)は、入力カム面(101b)を形成する前記入力カム部(101a)であり、前記出力ダンパ部(102a)は、前記入力カム面(101b)と当接する出力カム面(102b)を形成する出力カム部(102a)であり、前記一方の軸受(94)は、前記入力カム部(101 )と前記入力回転体(93)とにより前記軸方向で位置決めされるものである。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の動力装置において、前記入力部材は前記駆動回転軸に前記軸方向に移動可能に支持される入力カム部材であり、前記出力部材は出力カム部材であり、前記入力ダンパ部は、入力カム面を形成する入力カム部であり、前記出力ダンパ部は、前記入力カム面と当接する出力カム面を形成する出力カム部であり、前記一方の軸受は、前記出力カム部と前記出力回転体とにより前記軸方向で位置決めされるものである。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の動力装置(P)において、前記一方の軸受(94)は、前記入力部材(101 )を介して前記被動回転軸(90)を回転可能に支持するものである。
請求項6記載の発明は、請求項2記載の動力装置において、前記一方の軸受は、前記出力部材を介して前記駆動回転軸を回転可能に支持するものである。
請求項2記載の発明によれば、1対の軸受に回転可能に支持される駆動回転軸に設けられるトルクダンパにおいて、過大トルクを吸収するトルク吸収部と出力回転体とが、軸方向で一方の軸受の両側に振り分けられて配置されることから、1対の軸受間での駆動回転軸の軸長が短くなるので、該駆動回転軸の曲げ変形を抑制することができると共に、軸方向で1対の軸受の外側にトルクダンパが配置される場合に比べて駆動回転軸全体の軸長も短くできる。この結果、トルクダンパが設けられた駆動回転軸を軸方向で小型化できると共に該駆動回転軸を軽量化でき、ひいては動力装置を駆動回転軸の軸方向で小型化することができる。
請求項3または4記載の事項によれば、被動回転軸または駆動回転軸を回転可能に支持する1対の軸受の一方の軸受は、入力カム部および入力回転体、または、出力カム部および出力回転体を利用して位置決めされるので、該一方の軸受を位置決めするための専用の部分または部材が不要になるので、コストが削減される。
請求項5または6記載の事項によれば、被動回転軸または駆動回転軸を回転可能に支持する1対の軸受の一方の軸受は、トルクダンパの入力部材または出力部材を介して、被動回転軸または駆動回転軸を回転可能に支持するので、一方の軸受の径を大きくすることができる。この結果、該一方の軸受の容量、すなわち軸受の負荷能力を大きくすることができて、その軸受の耐久性を向上させることができる。
図1を参照すると、この実施形態において、本発明が適用された動力装置Pは、車両としての自動二輪車Vに備えられる。
なお、実施形態において、左右方向および前後方向は、動力装置Pが搭載される自動二輪車Vの左右方向および前後方向にそれぞれ一致し、また上下方向は鉛直方向である。
軸方向とは、後述する各回転軸に関して、その回転中心線の方向である。そして、内燃機関Eに備えられるクランク軸33(図3参照)の軸方向は、この実施形態では左右方向に一致する。そして、右方および左方の一方をクランク軸33の軸方向の一方向とするとき、右方および左方の他方はクランク軸33の軸方向の他方向である。
クランク軸33が車幅方向に指向する横置き配置で車体フレームFに支持される内燃機関Eは、前バンクB1および後バンクB2を有するV型内燃機関である。変速機60は、油圧ポンプ61および油圧モータ62を備える静油圧式の無段変速機である。
そして、内燃機関Eが発生する動力は、変速装置Mに入力された後、変速装置Mの動力取出軸91から、該動力取出軸91にユニバーサルジョイント141 により連結されると共にスイングアーム5内に収容されたドライブ軸142 を備える終伝達機構140 を介して駆動輪としての後輪7に伝達される。
なお、各バンクB1,B2でのシリンダ10a、シリンダヘッド11およびシリンダヘッドカバー12が関わる構造は、両バンクB1,B2において基本的に同一であるため、以下では、主に後バンクB2の構造を参照して説明する。
クランク軸33のトルクによりカム軸30aを回転駆動する動弁用伝動機構31は、クランク軸33の両軸端部33a,33bに設けられた駆動スプロケット31aと、カム軸30aに設けられたカムスプロケット31bと、両スプロケット31a,31bに掛け渡されたチェーン31cとを備える。
そして、クランク軸33において、クランク室34内から左方に突出する一方の軸端部33aは、左ケース半体13aおよび左カバー14により形成される左室である伝動室36内に延びており、クランク室34内から右方に突出する他方の軸端部33bは、右ケース半体13bおよび右カバー15により形成される右室である補機室37内に延びている。軸端部33aには、変速装置Mの入力側伝達機構50とオイルポンプ40を駆動する伝動機構41のチェーン41cが巻き掛けられる駆動スプロケット41aとが設けられ、軸端部33bには交流発電機42が設けられる。変速装置M、オイルポンプ40および交流発電機42は、いずれもクランク軸33のトルクにより駆動される被動装置である。
ここで、クランクケース13、左カバー14、両右カバー15,16およびギヤカバー17は、動力装置Pの動力ケースを構成する。
前記ギヤ機構51,52は、軸端部33aにスプライン嵌合されたカラー53と該カラー53にスプライン嵌合された入力カム部材55とから構成される伝達機構を介してクランク軸33に結合される駆動ギヤ51と、変速機60の入力回転体としてのポンプハウジング61aに一体に回転するように設けられた被動ギヤ52とから構成される。駆動ギヤ51は、カラー53に回転可能に支持され、該カラー53を介して軸端部33aに設けられる。
モータボディ62cにスプライン嵌合する変速機出力軸64は、ポンプハウジング61a、モータハウジング62aおよび右カバー16にそれぞれ軸受69a,69b,69cを介して回転可能に支持され、クランク軸の回転中心線L1と平行な回転中心線L2を有する。また、後述する出力軸72、中間軸90の各回転中心線L3,L4は、両回転中心線L1,L2に平行である。
出力部材65cは、変速機出力軸64をスリーブとしてスプール弁を構成するスプール65dを有する。
出力回転体としての出力ギヤ64oは、変速機出力軸64において軸受69bから右方に突出して第2伝動室37内に延びている軸端部64aにスプライン嵌合すると共に、走行クラッチ70の入力ギヤ71と噛合する。
油圧室78へのオイルの供給および油圧室78からのオイルの排出のための通路である前記油路系統は、右カバー16の一部を弁ボディとする油圧制御弁79に接続される接続部材80に形成された油路81と、油路81に連なると共に右カバー16に形成された油路82と、油路82と油圧室78とを連通させる油路83とから構成される。
また、右カバー16には、走行クラッチ70での油圧状態を検出することにより、走行クラッチ70の作動状態を監視するために、前記油路系統の油圧を検出する油圧センサ88が取り付けられる。油圧センサ88は油路82の油圧を検出する。
軸部分90bにおいて、軸受94から右方に突出する軸端部90b1には、入力カム部材101 を介して被動ギヤ93が配置される。軸部分90aにおいて、軸受95から左方に突出する軸端部90a1には、駆動ギヤ97が一体成形されて配置される。
入力カム部材101 は中間軸90に回転可能に支持されるので、被動ギヤ93も中間軸90に回転可能に支持される。
軸方向で入力カム部101aと被動ギヤ93との間に、中間軸90を回転可能に支持する1対の軸受94,95の一方の軸受である軸受94が配置される。そして、入力カム部101aは、軸方向で入力カム面101bとは反対側の当接面101fで軸受94のインナレース94aの一側に軸方向で当接し、インナレース94aの他側には、被動ギヤ93が軸方向で当接する。このため、入力カム部材101 を回転可能に支持すると共に該入力カム部材101 を介して中間軸90を回転可能に支持する軸受94は、入力カム部101aと被動ギヤ93とにより軸方向で位置決めされる。
一方、中間軸90と一体に回転する出力カム部材102 は、出力カム面102bを形成する出力カム部102aを有し、中間軸90にスプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられる。
ここで、入力カム部101a、出力カム部材102 およびダンパバネ103 は、軸方向で1対の軸受94,95の間に配置される。
ここで、前記第2設定トルクは、入力側トルクダンパ54における前記第1設定トルクよりも大きい値に設定される。それゆえ、トルクダンパ100 の容量は、トルクダンパ54の容量よりも大きい。
動力取出軸91は、左ケース半体13aに結合されるギヤカバー17内に配置され、1対の軸受99a,99bを介して回転可能に支持される。また、ギヤカバー17には、被動ギヤ98の回転位置を検出する回転位置センサ19が設けられ、該センサ19の検出信号に基づいて車速が検出される。
外装カバーC1には、放射音を低減するために、発泡材料(例えばウレタンフォーム)からなる吸音材115 が、空間Sに面する内面に沿って配置される。
そして、空間Sには、放射音の特定周波数で共鳴するレゾネータ120 が、吸音材115 と前記側部カバーとの間に配置される。レゾネータ120 は首部126 により形成される開口部127 により空間Sと連通する。
動力装置Pの出力側伝達機構Tにおいて、走行クラッチ70の出力軸72と中間軸90との間の出力側トルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパ100 は、出力軸72のトルクが入力される入力カム部材101 と、入力カム部材101 からのトルクを中間軸90に伝達する出力カム部材102 とを有すると共に、入力カム部材101 と出力カム部材102 とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する。そして、出力軸72は、1対の軸受94,95に回転可能に支持され、中間軸90に回転可能に支持される入力カム部材101 には、出力軸72のトルクを入力カム部材101 に入力する被動ギヤ93が設けられ、出力カム部材102 は中間軸90と一体に回転し、トルクダンパ100 において、過大トルクを吸収するトルク吸収部100aが、入力カム部材101 の入力カム部101aおよび出力カム部材102 の出力カム部102aにより構成されると共に、中間軸90の軸方向で1対の軸受94,95の間に配置され、軸方向で入力カム部101aと被動ギヤ93との間に軸受94が配置される。
この構造により、1対の軸受94,95に回転可能に支持される中間軸90に設けられるトルクダンパ100 において、過大トルクを吸収するトルク吸収部100aと被動ギヤ93とが、軸方向で軸受94の両側に振り分けられて配置されることから、1対の軸受94,95間での中間軸90の軸長が短くなるので、該中間軸90の曲げ変形を抑制することができると共に、軸方向で1対の軸受94,95の外側にトルクダンパが配置される場合に比べて中間軸90全体の軸長も短くできる。この結果、トルクダンパ100 が設けられた中間軸90を軸方向で小型化できると共に該中間軸90を軽量化でき、ひいては動力装置Pを中間軸90の軸方向で小型化することができる。
出力側トルクダンパ100 に相当するトルクダンパ、すなわち駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパが、駆動回転軸に設けられてもよい。この場合、前記実施形態における出力軸72、中間軸90、被動ギヤ93、入力カム部材101 および出力カム部材102 が、この別のトルクダンパにおいては、被動回転軸、駆動回転軸、出力回転体としての駆動ギヤ、出力カム部材102 および入力カム部材101 にそれぞれ対応する。そして、この別のトルクダンパにおいても前記実施形態と同様の作用および効果が奏される。
トルクダンパは、周方向で入力部材と出力部材との間にダンパバネが配置されるバネ式のトルクダンパでもよい。
駆動対象を駆動する動力装置Pは、前記実施形態のように内燃機関Eと変速装置とが一体化された装置である必要はなく、内燃機関のみまたは変速装置のみで構成されてもよく、さらに内燃機関以外の機関で構成されてもよい。
内燃機関は、V型2気筒以外の多気筒内燃機関、または単気筒内燃機関であってもよい。また、変速機は、斜板式以外の静油圧式無段変速機、油圧式以外の無段変速機、または無段変速機以外の変速機であってもよい。
V…自動二輪車、P…動力装置、E…内燃機関、M…変速装置。
Claims (6)
- 駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパを備える動力装置であって、前記トルクダンパは、前記駆動回転軸のトルクが入力される入力部材と、前記入力部材からのトルクを前記被動回転軸に伝達する出力部材とを有すると共に、前記入力部材と前記出力部材とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する動力装置において、
前記被動回転軸は、1対の軸受に回転可能に支持され、
前記被動回転軸に回転可能に支持される前記入力部材には、前記駆動回転軸のトルクを前記入力部材に入力する入力回転体が設けられ、
前記出力部材は、前記被動回転軸と一体に回転し、
前記トルクダンパにおいて、前記過大トルクを吸収するトルク吸収部が、前記入力部材の入力ダンパ部および前記出力部材の出力ダンパ部により構成されると共に、前記被動回転軸の軸方向で前記1対の軸受の間に配置され、
前記軸方向で前記入力ダンパ部と前記入力回転体との間に、前記1対の軸受の一方の軸受が配置されることを特徴とする動力装置。 - 駆動回転軸と被動回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するトルクダンパを備える動力装置であって、前記トルクダンパは、前記駆動回転軸のトルクが入力される入力部材と、前記入力部材からのトルクを前記被動回転軸に伝達する出力部材とを有すると共に、前記入力部材と前記出力部材とが互い相対回転することにより前記過大トルクを吸収する動力装置において、
前記駆動回転軸は、1対の軸受により回転可能に支持され、
前記入力部材は、前記駆動回転軸と一体に回転可能であり、
前記駆動回転軸に回転可能に支持される前記出力部材には、前記出力部材のトルクを前記被動回転軸に出力する出力回転体が設けられ、
前記トルクダンパにおいて、前記過大トルクを吸収するトルク吸収部が、前記入力部材の入力ダンパ部および前記出力部材の出力ダンパ部により構成されると共に、前記駆動回転軸の軸方向で前記1対の軸受の間に配置され、
前記軸方向で前記出力ダンパ部と前記出力回転体との間に、前記1対の軸受の一方の軸受が配置されることを特徴とする動力装置。 - 前記入力部材は入力カム部材であり、前記出力部材は、前記被動回転軸に前記軸方向に移動可能に支持される出力カム部材であり、前記入力ダンパ部は、入力カム面を形成する前記入力カム部であり、前記出力ダンパ部は、前記入力カム面と当接する出力カム面を形成する出力カム部であり、前記一方の軸受は、前記入力カム部と前記入力回転体とにより前記軸方向で位置決めされることを特徴とする請求項1記載の動力装置。
- 前記入力部材は前記駆動回転軸に前記軸方向に移動可能に支持される入力カム部材であり、前記出力部材は出力カム部材であり、前記入力ダンパ部は、入力カム面を形成する入力カム部であり、前記出力ダンパ部は、前記入力カム面と当接する出力カム面を形成する出力カム部であり、前記一方の軸受は、前記出力カム部と前記出力回転体とにより前記軸方向で位置決めされることを特徴とする請求項2記載の動力装置。
- 前記一方の軸受は、前記入力部材を介して前記被動回転軸を回転可能に支持することを特徴とする請求項1記載の動力装置。
- 前記一方の軸受は、前記出力部材を介して前記駆動回転軸を回転可能に支持することを特徴とする請求項2記載の動力装置。
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