JP5049164B2 - トルクダンパを備える車両 - Google Patents
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Description
また、内燃機関と変速機とを備える車両において、該変速機が斜板式の静油圧式無段変速機により構成されるものも知られている。(例えば、特許文献3,4参照)
前記出力側トルク伝達経路は、前記静油圧式変速機(60)の変速機出力軸(64)からのトルクが入力される第1回転軸(72)および前記第1回転軸(72)からのトルクが入力される第2回転軸(90)を備える伝達機構(T)と、前記伝達機構(T)からのトルクが入力されて前記駆動輪(7)を駆動する終伝達機構(140)とから構成され、前記第1回転軸(72)および前記第2回転軸(90)は、前記変速機出力軸(64)と平行に配列され、前記出力側トルク伝達経路において、前記変速機出力軸(64)と前記第2回転軸(90)との間に配置される回転軸は、1つの前記第1回転軸(72)のみであり、前記出力側トルクダンパ(100)は、前記第2回転軸(90)に設けられ、前記出力側トルクダンパ(100)は、前記静油圧式無段変速機(60)の軸方向幅と同じ幅内に配され、前記第2回転軸(90)は、右方の軸部分(90b)において、前記内燃機関の右ケース半体(13a)に右方の軸受(94)を介して回転可能に支持されるとともに、左方の軸部分(90a)において、前記内燃機関の左ケース半体(13a)に左方の軸受(95)を介して回転可能に支持され、前記出力側トルクダンパ(100)は、前記第2回転軸(90)の右方の軸部分(90b)と前記右方の軸受(94)との間に回転可能に支持されるとともに、前記第1回転軸(72)のトルクが入力される入力カム部材(101)と、当該入力カム部材(101)に軸方向内側で係合して入力カム部材(101)からのトルクを前記第2回転軸(90)に伝達するように前記第2回転軸(90)上に軸方向にのみ摺動可能に支持された出力カム部材(102)と、当該出力カム部材(102)を前記入力カム部材(101)に当接させるように軸方向に付勢するダンパバネ(103)とを有するカム式のトルクダンパであり、前記ダンパバネ(103)は、その両端部が、前記左方の軸受(95)の固定部材であるバネ受け(95a)と前記出力カム部材(102)とに直接受けられるように配置され、前記出力側トルクダンパ(100)の容量は、前記入力側トルクダンパ(54)の容量よりも大きいことを特徴とする車両である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両において、前記第2回転軸(90)の右方の軸部分(90b)と前記右方の軸受(94)との間に回転可能に支持される前記入力カム部材(101)は、前記第1回転軸(72)の駆動ギヤ(92)により駆動される被動ギヤ(93)にスプライン係合するとともに前記右方の軸受(94)に支持される円筒状支持部(101c)と、該円筒状支持部(101c)と一体をなして前記右方の軸受(94)の軸方向内側で径方向に延出する入力カム部(101a)とを有し、前記右方の軸受(94)は、入力カム部(101a)と被動ギヤ(93)とにより軸方向に位置決めされることを特徴とする。
また、出力側トルク伝達経路において、変速機と出力側トルクダンパとの間で、出力側トルクダンパにより減少した過大トルクが作用する回転軸は1つの第1回転軸だけであるので、出力側トルクダンパと変速機との間に配置される回転軸の回転慣性を小さくすることができる。この結果、入力側トルク伝達経路での過大トルクによるトルクショックが低減され、しかも入力側トルクダンパの容量を小さくできるので、入力側トルクダンパを小型化できる。
さらに、出力側トルク伝達経路における過大トルクが出力側トルクダンパにより大きく吸収されるので、変速機の回転慣性に起因するトルクショックを大幅に低減することができる。この結果、トルクショックが一層低減され、しかも入力側トルクダンパの容量が小さいので、入力側トルクダンパを小型化できる。
そして、出力側トルクダンパの容量を大きくすることができる。
図1を参照すると、この実施形態において、本発明が適用された車両は、動力装置Pを備える自動二輪車Vである。
なお、実施形態において、左右方向および前後方向は、動力装置Pが搭載される自動二輪車Vの左右方向および前後方向にそれぞれ一致し、また上下方向は鉛直方向である。
軸方向とは、後述する各回転軸に関して、その回転中心線の方向である。そして、内燃機関Eに備えられるクランク軸33(図3参照)の軸方向は、この実施形態では左右方向に一致する。そして、右方および左方の一方をクランク軸33の軸方向の一方向とするとき、右方および左方の他方はクランク軸33の軸方向の他方向である。
クランク軸33が車幅方向に指向する横置き配置で車体フレームFに支持される内燃機関Eは、前バンクB1および後バンクB2を有するV型内燃機関である。変速機60は、油圧ポンプ61および油圧モータ62を備える静油圧式の無段変速機である。
そして、内燃機関Eが発生する動力は、変速装置Mに入力された後、変速装置Mの動力取出軸91から、該動力取出軸91にユニバーサルジョイント141 により連結されると共にスイングアーム5内に収容されたドライブ軸142 を備える終伝達機構140 を介して駆動輪としての後輪7に伝達される。
なお、各バンクB1,B2でのシリンダ10a、シリンダヘッド11およびシリンダヘッドカバー12が関わる構造は、両バンクB1,B2において基本的に同一であるため、以下では、主に後バンクB2の構造を参照して説明する。
クランク軸33のトルクによりカム軸30aを回転駆動する動弁用伝動機構31は、クランク軸33の両軸端部33a,33bに設けられた駆動スプロケット31aと、カム軸30aに設けられたカムスプロケット31bと、両スプロケット31a,31bに掛け渡されたチェーン31cとを備える。
そして、クランク軸33において、クランク室34内から左方に突出する一方の軸端部33aは、左ケース半体13aおよび左カバー14により形成される左室である伝動室36内に延びており、クランク室34内から右方に突出する他方の軸端部33bは、右ケース半体13bおよび右カバー15により形成される右室である補機室37内に延びている。軸端部33aには、変速装置Mの入力側伝達機構50とオイルポンプ40を駆動する伝動機構41のチェーン41cが巻き掛けられる駆動スプロケット41aとが設けられ、軸端部33bには交流発電機42が設けられる。変速装置M、オイルポンプ40および交流発電機42は、いずれもクランク軸33のトルクにより駆動される被動装置である。
ここで、クランクケース13、左カバー14、両右カバー15,16およびギヤカバー17は、動力装置Pの動力ケースを構成する。
前記ギヤ機構51,52は、軸端部33aにスプライン嵌合されたカラー53と該カラー53にスプライン嵌合された入力カム部材55とから構成される伝達機構を介してクランク軸33に結合される駆動ギヤ51と、変速機60の入力回転体としてのポンプハウジング61aに一体に回転するように設けられた被動ギヤ52とから構成される。駆動ギヤ51は、カラー53に回転可能に支持され、該カラー53を介して軸端部33aに設けられる。
モータボディ62cにスプライン嵌合する変速機出力軸64は、ポンプハウジング61a、モータハウジング62aおよび右カバー16にそれぞれ軸受69a,69b,69cを介して回転可能に支持され、クランク軸の回転中心線L1と平行な回転中心線L2を有する。また、後述する出力軸72、中間軸90の各回転中心線L3,L4は、両回転中心線L1,L2に平行である。
出力部材65cは、変速機出力軸64をスリーブとしてスプール弁を構成するスプール65dを有する。
出力回転体としての出力ギヤ64oは、変速機出力軸64において軸受69bから右方に突出して第2伝動室37内に延びている軸端部64aにスプライン嵌合すると共に、走行クラッチ70の入力ギヤ71と噛合する。
油圧室78へのオイルの供給および油圧室78からのオイルの排出のための通路である前記油路系統は、右カバー16の一部を弁ボディとする油圧制御弁79に接続される接続部材80に形成された油路81と、油路81に連なると共に右カバー16に形成された油路82と、油路82と油圧室78とを連通させる油路83とから構成される。
また、右カバー16には、走行クラッチ70での油圧状態を検出することにより、走行クラッチ70の作動状態を監視するために、前記油路系統の油圧を検出する油圧センサ88が取り付けられる。油圧センサ88は油路82の油圧を検出する。
軸部分90bにおいて、軸受94から右方に突出する軸端部90b1には、入力カム部材101 を介して被動ギヤ93が配置される。軸部分90aにおいて、軸受95から左方に突出する軸端部90a1には、駆動ギヤ97が一体成形されて配置される。
入力カム部材101 は中間軸90に回転可能に支持されるので、被動ギヤ93も中間軸90に回転可能に支持される。
このため、出力側トルク伝達経路において、変速機出力軸64とトルクダンパ100 との間には、変速機出力軸64からのトルクが入力される第1回転軸としての出力軸72と、該出力軸72からのトルクが入力される第2回転軸としての中間軸90とが配置される。そして、出力側トルク伝達経路において、変速機出力軸64と、トルクダンパ100 が設けられる中間軸90との間に配置される回転軸は、1つの前記出力軸72のみである。
一方、中間軸90と一体に回転する出力カム部材102 は、出力カム面102bを形成する出力カム部102aを有し、中間軸90にスプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられる。
ここで、入力カム部101a、出力カム部材102 およびダンパバネ103 は、軸方向で1対の軸受94,95の間に配置される。
ここで、前記第2設定トルクは、入力側トルクダンパ54における前記第1設定トルクよりも大きい値に設定される。それゆえ、トルクダンパ100 の容量は、トルクダンパ54の容量よりも大きい。
動力取出軸91は、左ケース半体13aに結合されるギヤカバー17内に配置され、1対の軸受99a,99bを介して回転可能に支持される。また、ギヤカバー17には、被動ギヤ98の回転位置を検出する回転位置センサ19が設けられ、該センサ19の検出信号に基づいて車速が検出される。
外装カバーC1には、放射音を低減するために、発泡材料(例えばウレタンフォーム)からなる吸音材115 が、空間Sに面する内面に沿って配置される。
そして、空間Sには、放射音の特定周波数で共鳴するレゾネータ120 が、吸音材115 と前記側部カバーとの間に配置される。レゾネータ120 は首部126 により形成される開口部127 により空間Sと連通する。
クランク軸33を備える内燃機関Eと、クランク軸33のトルクにより回転駆動される静油圧式無段変速機60と、変速機60からのトルクにより回転駆動される後輪7と、クランク軸33から後輪7までのトルク伝達経路に発生する過大トルクを吸収するトルクダンパ54,100 とを備える自動二輪車Vにおいて、トルク伝達経路は、変速機60を境に、クランク軸33と変速機60との間の入力側トルク伝達経路と、変速機60と後輪7との間の出力側トルク伝達経路とから構成され、トルクダンパ54,100 は、入力側トルク伝達経路に配置される入力側トルクダンパ54と、出力側トルク伝達経路に配置される出力側トルクダンパ100 とから構成される。この構造により、クランク軸33から変速機60を経て後輪7までのトルク伝達経路において発生した過大トルクは、出力側トルクダンパ100 により吸収された後に変速機60に作用するので、変速機60に作用する過大トルクおよび入力側トルク伝達経路での過大トルクや、変速機60とクランク軸33とが共振した場合の振動が減少する。この結果、クラッチ65、回転するポンプハウジング61aを有する油圧ポンプ61および油圧モータ62を備えるために回転慣性が大きい静油圧式無段変速機60の該回転慣性に起因するトルクショックや、変速機60とクランク軸33との共振に起因する振動が低減して、自動二輪車Vの乗心地性が向上する。
この構造により、1対の軸受94,95に回転可能に支持される中間軸90に設けられるトルクダンパ100 において、過大トルクを吸収するトルク吸収部100aと被動ギヤ93とが、軸方向で軸受94の両側に振り分けられて配置されることから、1対の軸受94,95間での中間軸90の軸長が短くなるので、該中間軸90の曲げ変形を抑制することができると共に、軸方向で1対の軸受94,95の外側にトルクダンパが配置される場合に比べて中間軸90全体の軸長も短くできる。この結果、トルクダンパ100 が設けられた中間軸90を軸方向で小型化できると共に該中間軸90を軽量化でき、ひいては動力装置Pを中間軸90の軸方向で小型化することができる。
トルクダンパは、周方向で入力部材と出力部材との間にダンパバネが配置されるバネ式のトルクダンパでもよい。
駆動対象を駆動する動力装置Pは、前記実施形態のように内燃機関Eと変速装置とが一体化された装置である必要はなく、内燃機関のみまたは変速装置のみで構成されてもよく、さらに内燃機関以外の機関で構成されてもよい。
内燃機関は、V型2気筒以外の多気筒内燃機関、または単気筒内燃機関であってもよい。また、変速機は、斜板式以外の静油圧式無段変速機であってもよい。
V…自動二輪車、P…動力装置、E…内燃機関、M…変速装置。
Claims (2)
- クランク軸(33)を備える内燃機関(E)と、前記クランク軸(33)のトルクにより回転駆動される静油圧式無段変速機(60)と、前記変速機(60)からのトルクにより回転駆動される駆動輪(7)と、前記クランク軸(33)から前記駆動輪(7)までのトルク伝達経路に発生する過大トルクを吸収するトルクダンパ(54,100 )とを備え、
前記トルク伝達経路は、前記静油圧式無段変速機(60)を境に、前記クランク軸(33)と前記変速機(60)との間の入力側トルク伝達経路と、前記変速機(60)と前記駆動輪(7)との間の出力側トルク伝達経路とから構成され、前記トルクダンパ(54,100 )は、前記入力側トルク伝達経路に配置される入力側トルクダンパ(54)と、前記出力側トルク伝達経路に配置される出力側トルクダンパ(100)とから構成される車両(V)において、
前記出力側トルク伝達経路は、前記静油圧式変速機(60)の変速機出力軸(64)からのトルクが入力される第1回転軸(72)および前記第1回転軸(72)からのトルクが入力される第2回転軸(90)を備える伝達機構(T)と、前記伝達機構(T)からのトルクが入力されて前記駆動輪(7)を駆動する終伝達機構(140)とから構成され、前記第1回転軸(72)および前記第2回転軸(90)は、前記変速機出力軸(64)と平行に配列され、
前記出力側トルク伝達経路において、前記変速機出力軸(64)と前記第2回転軸(90)との間に配置される回転軸は、1つの前記第1回転軸(72)のみであり、前記出力側トルクダンパ(100)は、前記第2回転軸(90)に設けられ、
前記出力側トルクダンパ(100)は、前記静油圧式無段変速機(60)の軸方向幅と同じ幅内に配され、前記第2回転軸(90)は、右方の軸部分(90b)において、前記内燃機関の右ケース半体(13a)に右方の軸受(94)を介して回転可能に支持されるとともに、左方の軸部分(90a)において、前記内燃機関の左ケース半体(13a)に左方の軸受(95)を介して回転可能に支持され、
前記出力側トルクダンパ(100)は、
前記第2回転軸(90)の右方の軸部分(90b)と前記右方の軸受(94)との間に回転可能に支持されるとともに、前記第1回転軸(72)のトルクが入力される入力カム部材(101)と、
当該入力カム部材(101)に軸方向内側で係合して入力カム部材(101)からのトルクを前記第2回転軸(90)に伝達するように前記第2回転軸(90)上に軸方向にのみ摺動可能に支持された出力カム部材(102)と、
当該出力カム部材(102)を前記入力カム部材(101)に当接させるように軸方向に付勢するダンパバネ(103)と、
を有するカム式のトルクダンパであり、
前記ダンパバネ(103)は、その両端部が、前記左方の軸受(95)の固定部材であるバネ受け(95a)と前記出力カム部材(102)とに直接受けられるように配置され、
前記出力側トルクダンパ(100)の容量は、前記入力側トルクダンパ(54)の容量よりも大きい
ことを特徴とする車両。 - 前記第2回転軸(90)の右方の軸部分(90b)と前記右方の軸受(94)との間に回転可能に支持される前記入力カム部材(101)は、前記第1回転軸(72)の駆動ギヤ(92)により駆動される被動ギヤ(93)にスプライン係合するとともに前記右方の軸受(94)に支持される円筒状支持部(101c)と、該円筒状支持部(101c)と一体をなして前記右方の軸受(94)の軸方向内側で径方向に延出する入力カム部(101a)とを有し、前記右方の軸受(94)は、入力カム部(101a)と被動ギヤ(93)とにより軸方向に位置決めされることを特徴とする請求項1記載の車両。
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