JP5013851B2 - 位相格子、レンズ付位相格子および光モジュール - Google Patents

位相格子、レンズ付位相格子および光モジュール Download PDF

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Description

本発明は、光通信用機器、光センシングシステム用機器に使用する位相格子、レンズ付位相格子および光モジュールに関する。
光通信用機器における光回路の小型・集積化に向けて、各種の光通信用部品が使用されており(たとえば特許文献1参照)、このような集積化された光通信用部品のうち、3芯のフィルタ光モジュールとして図8に示したものがある。
この図8(a)に示したフィルタ光モジュール200は、放物線状の屈折率分布を有するロッド状の屈折率分布型レンズ(Graded Index型レンズ、以降略してGIレンズ)20a〜20cの片端に光ファイバ30a〜30cを装着したものを3つ(ポートA、ポートB、ポートC)備え、周期的な屈折率変動を有する回折格子によりフィルタ機能を備えた位相格子10からなる光学素子にGIレンズ20a〜20cがそれぞれ接着またはCOレーザ等により溶着固定されて構成されている。ここでGIレンズ20a〜20cは軸対称の屈折率分布をもつロッド状のレンズで、ほぼ2乗の屈折率分布をもつものである。
このようなフィルタ光モジュール200は、例えば、波長λ2とλ0からなる入射光P(光の波長成分:λ2+λ0)をポートAに入射すると、その入射光Pは、GIレンズ20aに入射して平行光に変換される。そして、この平行光はその光軸に対しほぼ45度傾斜したある周期Λの屈折率変動n(x)を有する回折格子を備えた位相格子10に入射される。
位相格子10は、図8(b)のグラフで示した回折効率の特性を持ち、波長λ2の光を反射させ、波長λ0の光を透過させる機能を有する。具体的には、波長λ2の光は、位相格子10内で平行光の光軸に対して90度方向に回折され、回折光P2(λ2)としてポートCのGIレンズ20cに入射されるとともに集光されて光ファイバ30cに入射される。一方で、波長λ0の光は位相格子10を透過し、透過光P0としてポートBのGIレンズ20bに入射されるとともに集光されて光ファイバ30bに入射される。
このような特性を有する位相格子10は、間隔Λである周期的な屈折率変動n(x)を有する回折格子を備えており、その間隔Λによって反射する光の波長が選択される。この間隔Λと回折する光の波長との関係は次式で示される。
Figure 0005013851
また、屈折率変動n(x)は次式で示される。
Figure 0005013851
特開2004−220008号公報
このような位相格子10の特性は、ブラッグ回折条件下で使用されるため、位相格子10に入射される光の入射角度に依存性がある。具体的には、光の入射角と位相格子10の特性に依存する間隔Λには上記した数1のような関係が成り立っている。そのため、入射角Θが僅かでも設定されたブラッグ回折条件からはずれると、回折効率ηが減少していた。したがって、このブラッグ回折条件を満たさない光については、回折格子で回折することなく透過していた。
ここで、特許文献1に示されたフィルタ光モジュール200では、位相格子10が単一であるため、たとえばフィルタ光モジュール200の使用環境下において、温度変化や衝撃等により物理的変化が生じると、光の入射角度が若干変動するため、回折させたい波長の光がブラッグ回折条件を満たさない場合があった。そのため、図8においては、ポートCに入射させたい波長の光λ2がポートBに入射される可能性があり、位相格子10の回折特性が低下する場合があった。
そこで、本発明ではこのような課題を鑑み、その目的は、位相格子に入射される光の入射角度の変動に対しても安定した回折効率を有する位相格子を提供することにある。
本発明の位相格子は、光通信用機器または光センシングシステム用機器に使用される、複数の回折格子が配列された位相格子素子を入射光の入射方向に複数並べて備えてなる位相格子であって、前記複数の位相格子素子における前記回折格子は、それぞれ光軸の垂直方向に対して40〜50度の範囲に傾斜しているとともに、前記回折格子の傾斜角度が互いに異なっており、前記複数の位相格子素子によって複数の波長の光が回折され、前記複数の回折される光の波長の範囲において、回折効率特性がその回折効率が95%以上でほぼ平坦となるように、複数の回折される光の波長に対する回折効率の分布における複数の中心波長がそれぞれ近接していることを特徴とする。
本発明の位相格子において好ましくは、前記複数の回折格子の配列間隔が一定であるとともに前記複数の位相格子素子同士は、互いに前記回折格子の間隔が異なっていることを特徴とする。
本発明の位相格子において好ましくは、前記位相格子素子の光が入射される光入射面が、前記光軸の垂直方向に対して傾斜していることを特徴とする。
本発明の位相格子において好ましくは、前記複数の位相格子素子は互いに融着接続されていることを特徴とする。
本発明の位相格子において好ましくは、前記位相格子素子がファイバ状であることを特徴とする。
本発明のレンズ付位相格子は、上記本発明の位相格子を1個または複数個備え、前記位相格子の光入射面または光出射面にレンズ部材が接合されていることを特徴とする。
本発明のレンズ付位相格子において好ましくは、前記レンズ部材と前記光入射面との接合、または前記レンズ部材と前記光出射面との接合は融着接続であることを特徴とする。
本発明のレンズ付位相格子において好ましくは、前記レンズ部材が屈折率分布型光ファイバであることを特徴とする。
本発明の光モジュールは、上記本発明のレンズ付位相格子と、前記レンズ部材に接続された光ファイバとを具備することを特徴とする。
本発明の光モジュールにおいて好ましくは、前記光ファイバは前記レンズ部材の同一面上に複数個、接続されていることを特徴とする。
本発明の光モジュールにおいて好ましくは、前記光ファイバと前記レンズ部材との接続は融着接続であることを特徴とする。
本発明は、単一の位相格子の場合に特定されるブラッグ回折条件の光の入射角条件を緩和できる。すなわち、位相格子に入射される光の入射角が、一つの位相格子素子のブラッグ回折条件からずれたとしても、別の位相格子素子でブラッグ回折を行なって所定の光を回折することができる。よって、回折する光の入射角に幅を持たせることができ、高い回折効率を得ることができる。
次に本発明による位相格子、レンズ付位相格子および光モジュールの実施形態について図面に基づいて、詳細に説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態に係る位相格子1を図1乃至図3に基づいて説明する。図1(a)に示す位相格子1は、内部に複数の回折格子9a、9b、9cを有する位相格子素子1a、1b、1cが積層されてなる。
位相格子素子1a〜1cは、入射される光を所定条件(ブラッグ回折条件)で回折するための回折格子9a〜9cをそれぞれ複数個有している。この回折格子9a〜9cにおいて、たとえば位相格子素子1aが有する回折格子9aは、光軸Lに対して同角度A1で傾斜して配され、その回折格子9a同士の格子間隔がΛ1で配列されている。同様に、回折格子9bにおいては光軸Lに対する傾斜角度A2、格子間隔Λ2、回折格子9cにおいては光軸Lに対する傾斜角度A3、格子間隔Λ3で配列されている。
そして、このような位相格子素子1a〜1cは、回折格子9a〜9cの光軸Lに対する傾斜角度が異なっているため、位相格子1に対して光が一定の方向から入射されると、各位相格子素子に対する入射角も異なり、位相格子素子1aは入射角Θ1、位相格子素子1bは入射角Θ2、位相格子素子1cは入射角Θ3となる。この光の入射角とは、図2(a)に示すように、光軸Lに対して角度Aiで傾斜する回折格子の垂直方向と光の伝播方向(透過方向)との間の角度である。
位相格子素子1a〜1cの材質としては、たとえばガラス材料やプラスチック材料等の媒体に屈折率を増大させるための光熱反応性材料を添加したPTR(Photo-Thermo-Refractive)ガラスが用いられる。
PTRガラスとしては、例えば媒体が石英ガラスの場合、光熱反応性材料としてはGeO、TiO、Al等が使用される。また、媒体が蛍光性のシリカガラスの場合、Ge、Ag等が使用される。この蛍光性のシリカガラスにGe、Agを添加したPTRガラスは、回折格子9a〜9cと基板8との屈折率差を大きくとることができるため、回折効率を向上させる点で優れている。
この位相格子素子1a〜1cが有する回折格子9a〜9cの屈折率n(x)値は、0.001〜0.1の範囲で設定され、一方で、基板8の屈折率n1は、1.40〜1.80の範囲で設定すればよい。そして、このような位相格子素子1a〜1cの接合は、たとえば透光性のUV接着剤により一つの位相格子に接合できる。ここで、この位相格子素子同士の接着界面では、UV接着剤と位相格子素子の屈折率が異なるため、不要反射が生じる場合がある。このような光の不要反射を防止するには、たとえば真空中で位相格子素子の接合面にアルゴンビーム等でスパッタリングを行い、活性層を露出させ、そのスパッタリングされた面同士を常温界面接合による接合すれば位相格子素子の間に屈折率の異なる物質が介在しない。また、位相格子素子の光の光路に屈折率が異なる物質を介在させないためには、たとえば位相格子素子の外周側で金属薄膜や低融点ガラスにて接合する方法であってもよい。
好ましくは、位相格子素子1a〜1cが互いに融着接続されているのがよい。これにより、接続工程が非常に容易になるとともに、反射減衰を極めて小さくすることができる。
上記した格子間隔、入射角、および回折する波長に関し、ブラッグ回折条件を満たす関係式は以下のとおりである。
Figure 0005013851
なお、本発明の第1の実施形態では、A1≠A2≠A3、Λ1≠Λ2≠Λ3、およびΘ1≠Θ2≠Θ3の関係を満たしているが、位相格子素子が3つ以上備えてなる位相格子であれば、その少なくとも2つの傾斜角度Aiが異なっていればよい。
次に、本発明の第1の実施形態に係る位相格子1の作用について説明する。
位相格子1は、複数の波長領域を有する入射光P(λ1+λ2+λ3+λ0)が入射されると、各位相格子素子1a〜1cが光の波長に応じて回折もしくは透過させることによって、各波長の光を分波するものである。
具体的に、位相格子素子1aは、入射光Pがブラッグ回折条件の入射角Θ1で入射され、その後、中心波長λ1の光は反射角Θ1で回折され、光軸Lに対して略平行な底面から回折光Pとして出射される。ここで、その他の波長の光(λ2+λ3+λ0)は、位相格子素子1aを透過する。次に、光(λ2+λ3+λ0)は位相格子素子1bに入射される。位相格子素子1bには、光(λ2+λ3+λ0)がブラッグ回折条件の入射角Θ2で入射され、その後、中心波長λ2の光が反射角Θ2で回折され、光軸Lに対し略平行な底面から回折光P2として出射される。ここで、その他の波長の光(λ3+λ0)は、位相格子素子1bを透過する。次に、光(λ3+λ0)は位相格子素子1cに入射される。位相格子素子1cには、光(+λ3+λ0)がブラッグ回折条件の入射角Θ3で入射され、その後、中心波長λ3の光は反射角Θ3で回折され、光軸Lに対して略平行な底面から回折光P3として出射される。
このように、位相格子1では、光の入射角に応じて回折する光を選択することができるため、取り出したい波長の光(回折させたい波長の光)に対して位相格子素子が有する回折格子の傾斜角度を設定し、該傾斜角度と若干異なるような傾斜角度を有した回折格子を備えた他の位相格子素子を積層させることによって、光の入射角が若干ずれても効率良く光を回折させることができる。
また、図3は、各位相格子素子1a、1b、1cの回折効率特性をそれぞれ示したグラフである。位相格子1aは、位相格子1に対する入射角Θ1、中心波長λ1の光に対してブラッグ回折条件で回折をするが、その他の波長の光は透過する。また、位相格子1bは、入射角Θ2、中心波長λ2の光はブラッグ回折条件で回折するが、その他の波長の光は透過する。また、位相格子素子1cは、入射角Θ3,中心波長λ3の光はブラッグ回折条件での回折をし、その他の波長光は透過する。そして、図3(a)〜(c)のグラフでは、各位相格子素子1a、1b、1cは、所定のブラッグ回折条件を満たす入射角、中心波長の光では、ほぼ100%の回折効率を有しているが、入射角が僅かでもずれると回折効率が低下することが示されている。
しかしながら、本発明の位相格子1では、異なる特性を有する位相格子素子1a、1b、1cを積層しているため、この場合、各位相格子素子1a、1b、1cのブラッグ回折条件での回折効率特性が積算される。そのため、たとえば本発明の第1の実施形態のように、各位相格子素子1a、1b、1cの回折格子の9a、9b、9cが光軸Lに対して互いに異なる角度(A1、A2、A3)で傾斜することによって、入射角が異なる(Θ1、Θ2、Θ3)位相格子素子を3つ備える場合の回折効率は以下の式により導かれる。
まず、各位相格子素子1a、1b、1cの回折効率ηn(λ、Θ)は、η1(λ、Θ)=P1/P η2(λ、Θ)=P2/P η3(λ、Θ)=P3/P のように表される。
上記した式を一般化すると、位相格子素子1a、1b、1cは直列接続であるから、各位相格子素子の回折効率は、ηn(λ、Θ)=Pn/P−ΣPn−1 n=1〜 (但し、P0=0)で示される。
そして、複数の位相格子素子を備える位相格子において、その位相格子の回折効率η(λ、Θ)は、η(λ、Θ)=ΣPn/Pで表され、これを変換すると、Pn(λ、Θ)=ηn(λ、Θ){P−ΣPn} n=1〜 (但し、P0=0)で表される。したがって、位相格子素子を3つ(1a、1b、1c)備える場合は、光の総和がΣPn=P1+P2+P3であるため、その回折効率は、η(λ、Θ)=(η1+η2+η3)―η1(η2+η3)―η2η3(1−η1)となる。
図5は位相格子1の回折効率を模式的に表したグラフである。この図5に示されているように、位相格子1の回折効率特性は、回折効率95%の部分で、波長帯域がおよび入射角度の幅が約5倍に、半値全幅の部分で(W/ω)2.3倍に広がっていることがわかる。また、位相格子1では、波長λ1〜λ3の範囲で、回折効率特性がほぼ平坦になっており、波長変動、入射角度依存性に対して安定した特性を有している。
また、位相格子1を構成する各位相格子素子1a、1b、1cの回折格子9a、9b、9cの光軸Lに対する傾斜角度Aiは、40〜50度の範囲に設定することが好ましい。これにより、透過光と回折光とを離れた位置(位相格子の入射光に垂直な主面とそれに直交する側面)から出射させることができるため、透過光と回折光との分離度が向上する。すなわち、各位相格子1a、1b、1cから出射される回折光P1、P2、P3が互いに干渉することなく位相格子1から出射させることができる。
また、各位相格子素子1a、1b、1c内の回折格子9間の配列間隔が一定であるとともに、各位相格子素子1a、1b、1cは、互いにその格子間隔Λを異ならせるようにすれば、各格子間隔Λに応じて回折する光の波長を選択できるため、回折させる光の波長の幅を広げることができる。よって、入射される光の波長依存性を緩和することができるため、回折効率がより向上する。
次に本発明の第2の実施形態について、図1(b)、図2(b)を用いて説明する。本発明の第2の実施形態では、位相格子素子1aの光入射面が、位相格子1への入射光Pの光軸Lの垂直方向に対し傾斜しているものである。たとえば図2(b)は、位相格子素子1の光入射面を角度αi傾斜させた場合で、それにより光の入射面における屈折率差で生じる端面反射によって発生する反射光が入射光Pに対して2αi方向に反射されるため、入射光P側に戻る反射戻り光による影響を防止できる。この角度αiは、3〜8度の範囲で設定されることが好ましい。なお、図2(b)では、略平行四辺形状の位相格子素子が示されているが、本発明ではこれに限ることなく、たとえば矩形状の位相格子素子を用いて端面反射を防止するには、位相格子全体を角度αi傾斜させてもよい。その場合、その傾斜角度αでの入射角条件で、積層される各位相格子素子がブラッグ回折条件になるよう設定する。
また、位相格子素子の回折格子の入射光Pの光軸Lに対する角度Aiと角度αiとの関係は、次式で示される。
Figure 0005013851
次に本発明のレンズ付位相格子およびそれを用いた光モジュールについて図4(a)、(b)を用いて説明する。本発明のレンズ付位相格子は、図4(a)に示すように、位相格子1、レンズとしてのGIレンズ2a、2b、2cから構成されている。
GIレンズ2a、2b、2cは、放物線状の屈折率分布を有する屈折率分布型レンズであり、接合される位相格子1または光ファイバ3a、3b、3cに光を集光する機能を有する。
また、本発明の光モジュール100は、上記レンズ付位相格子に、さらに光ファイバ3a、3b、3cを接続することにより構成されている。
光ファイバ3a、3b、3cは、光を伝播するものであり、たとえばシングルモードファイバを用いることができる。
そして、このレンズ付位相格子および光モジュール100では、GIレンズ2を用いたファイバコリメータ(ポートA、ポートB、ポートC)3個がそれぞれ位相格子1にたとえばエポキシ樹脂等の光学接着剤またはその他の固定剤で接続されている。これにより、ポートAから入射光P(λ1+λ2+λ3+λ0)が入射されると、ポートCから広帯域な回折光P1(λ1)+P2(λ2)+P3(λ3)が出射され、ポートBからは透過光P0(λ0)の光が出射される。なお、この形態では、ポートBからは1種の波長しか出射されていないが、位相格子1を構成する位相格子素子の特性を制御することによって、透過光の波長を広帯域としてもよい。
好ましくは、GIレンズ2と位相格子1の光入射面との接合、またはGIレンズ2と位相格子1の光出射面との接合は融着接続であるのがよい。これにより、接続工程が非常に容易になるとともに、反射減衰を極めて小さくすることができる。
また、レンズ付位相格子および光モジュール100においては、図4(b)に示すように、位相格子1は、その光入射面を角度αで傾斜させて実装することが好ましい。この場合、レンズと位相格子1端面における反射光が光源に戻らないため、低反射減衰量の光モジュール7として実現できる。
次に、位相格子素子の製造方法について、図6および図7を用いて説明する。図6に示される位相格子素子の製造方法は、光学干渉法による露光プロセスにより位相格子素子1a、1b、1cを製作するものである。
この光学干渉法は、位相の揃ったコヒーレントなUV光(波長:320〜500nm)の平行光を角度Θ0で任意にクロス合波することにより必要な格子間隔Λを得るように対象物を露光するものである。以下に、所望の格子間隔Λを有する位相格子素子を作製する際に用いる条件は以下のとおりである。
Figure 0005013851
位相格子素子の作製手順としては、まず、位相格子用基板8の屈折率n1とほぼ同じ屈折率n0を有するマッチングオイルなどの媒体内に位相格子用基板8の角度をX軸に対しγ=40〜50度に傾斜して設置する。次に、上記の式で表されているように、所望の格子間隔Λを有するようにUV光の入射角度および波長を設定し、位相格子用基板8にUV光を照射することにより露光記録された部分が回折格子9となり、所定の回折格子を形成することによって位相格子素子が得られる。
たとえば位相格子1の場合、位相格子素子1aは、基板8の角度をγ1に設定し、中心波長
λ1、入射角Θ1となる格子間隔Λ1の位相格子素子1a製作条件のUV光入射角Θ01を設
定してUV光を照射して露光する。また、位相格子素子1bの場合は、基板8の角度をγ2に設定し、位相格子1が、中心波長λ2、入射角Θ2の格子間隔Λ2の位相格子素子1b製作条件のUV光入射角Θ02を設定してUV光を照射して露光する。また、位相格子素子1cの場合は、基板角度をγ3に設定し、位相格子素子1cが中心波長λ3、入射角Θ3となる格子間隔Λ3の位相格子素子1c製作条件のUV光入射角Θ03を設定してUV光を照射して露光する。このように作製された位相格子素子1a、1b、1cを、回折効率ηが最も高い所定の厚さで切断し、位相格子素子の1a、1b、1c端面を接着剤にて接合することにより、一つの位相格子1が作製される。
なお、基板8に所定の角度γ=−40〜50度に設定し、かつUV光の入射角条件を設定することにより露光記録させると、各位相格子1内の回折格子9をクロス状にして構成することができる。これにより、一つの波長だけでなくそれと異なる波長を回折させる位相格子素子を作製することができる。このようなクロス状の回折格子9を備える位相格子素子であれば、異なる方向に2波長の光を回折させることができる。
次に、本発明の位相格子の他の製造方法について説明する。図7に示される露光記録プロセスは、基板8の隣接する平面に平行なUV光線を各基板8に個別に照射し、UV光の光源(不図示)を順次移動することにより、異なる傾斜角度を有する回折格子9を露光により得るものである。
まず、基板8の屈折率n1とほぼ等しい屈折率n0の媒体(たとえばマッチングオイル)内に基板8を複数隣接させて設置し、一方側の上面から円形のUV光を照射し、もう一方側から幅D1(必要な回折効率を得る厚さ)に絞った断面が小判状のUV光を図に示した関係にある入射角Θ01で照射し、ある一定時間露光記録させることにより、位相格子素子1aを作製する(ステップ1)。次に、光源を幅D2の領域に移動させ、角度Θ02で露光記録させることにより位相格子1bを作製する(ステップ2)。次に、光源を幅D3の領域に移動させ、角度Θ02で露光記録させることにより位相格子1cを作製する(ステップ3)。このような露光プロセスで作製すれば、連続した露光記録プロセスにより、複数の異なる位相格子素子を備える位相格子1を容易に作製することができる。
本発明の位相格子1はファイバ状であってもよい。すなわち、位相格子素子1a、1b、1cのそれぞれがファイバ状であり、これらを例えば融着接続することにより構成される。また、レンズ部材が屈折率分布型光ファイバ(以下、GIファイバともいう)でもよく、ファイバ状の位相格子1、GIファイバ2a、2b、2c、光ファイバ3a、3b、3cをそれぞれ融着接続することによって、きわめて低損失で、かつ接続工程が容易な光モジュールとすることができる。
このようなファイバ状の位相格子の例を以下に示す。図9は、本発明に係わるファイバ状の位相格子1’を示したものである。図9に示したファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’を融着接続(X)し、1個の位相格子1として構成したものである。それぞれの位相格子素子1a’、1b’、1c’は入射角Θi、伝搬光波長λiにより設定される格子間隔Λi(i=1〜3)を有するもので、Λ1≠Λ2、Λ1≠Λ3、Λ2≠Λ3、Θ1≠Θ2、Θ1≠Θ3、Θ2≠Θ3で規定されたものである。
位相格子素子1a’は、格子間隔Λ1を有し回折格子9a’に対しブラッグ回折条件の入射角Θ1で入射、中心波長λ1の光が反射角Θ1で回折偏向され、入射光Pの光軸Lに対し垂直な片面から角度2Θ1で回折反射する。その他波長の光はそのまま透過する。位相格子素子1b’は、格子間隔Λ2を有し、回折格子9b’に対しブラッグ回折条件の入射角Θ2で入射、中心波長λ2の光が反射角Θ2で回折偏向され、光軸Lに対し素直な片面から回折反射する。その他波長の光はそのまま透過する。位相格子素子1c’は、格子間隔Λ3を有し回折格子9c’に対しブラッグ回折条件の入射角Θ3で入射、中心波長λ3の光が反射角Θ3で回折偏向され、光軸Lに対し垂直な片面から回折反射する。その他波長の光はそのまま透過する。そうしたファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’を融着接続し、位相格子素子1a’の片側端面にP(λ1+λ2+λ3)の光を入射すると、各位相格子素子から偏向された回折光のP1(λ1,Θ1)、P2(λ2、Θ2)、P3(λ3、Θ3)が出射される。
また、各ファイバ状の位相格子素子の回折効率ηの理論式は、一般的にη={1+(1−ζ/Φ)/sinh(√Φ―ζ)}―1(ζ、Φ:位相格子の材質、厚さ、屈折率、使用波長、ブラッグ角により定まる定数)で示される。
ファイバ状の位相格子1に使用する各位相格子素子1a’、1b’、1c’は、それぞれのブラッグ条件における波長、入射角においてほぼ100%近い回折効率が実現できるものであることが条件である。従って位相格子があまり厚くない状態で回折効率100%を実現するには、形成する回折格子9’の屈折率差を大きくとる必要性がある。
使用する光ファイバ材料としては、例えば、Ag及びCeを添加したフッ化物系のシリカガラス材料から成る、外径DのPTRガラスを使用することができるが、それ以外の材料でもよい。
図9に示したファイバ状の位相格子1’は、入射光Pの光軸Lの垂直方向に対して異なる角度Θi(i=1〜3)で傾斜している複数の回折格子9a’〜9c’が配列された位相格子素子1a’、1b’、1c’を備えてなるファイバ状の位相格子1’であり、位相格子素子1a’〜1c’は、それぞれのファイバ状に製作されたものである。各間隔Λi(i=1〜3)は、数1に規定されたものであり、異なっている。ファイバ状の位相格子1を構成する各位相格子素子1a’、1b’、1c’内の回折格子9a’、9b’、9c’の光軸Lの垂直方向に対する傾斜角度Θiは、大方、Θi < tan―1(D/2ΣLi) (i=1〜n、D:位相格子素子の直径、Li:位相格子素子1a’〜1c’の長さ)で規定される。反射回折光P1〜P2は、各ファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’の端面から出射しなければならない為である。
又、各位相格子素子1a’〜1c’内の回折格子9a’〜9c’間の配列間隔が一定であると共に、それを構成する異なる複数の位相格子素子1a’〜1c’同士は、互いに格子間隔Λiが異なっている。
以上のようなファイバ状の位相格子1’を実際に使用する本発明の光モジュールの実装形態として以下に示す二つの光学系がある。
図10は、ファイバ状の位相格子1’を用いた光モジュールの実施例であり、ファイバ状の位相格子1’は、一つの位相格子素子内において異なる格子間隔Λを有する回折格子9’が互いに交差するように形成したものを使用し、その片側端面(同一面)に複数のGIファイバ2’を接続構成した場合の実施例である。その場合、GIファイバ2’を所定の角度Θxで融着接続しておく。
異なる格子間隔Λを有する回折格子9’を交差状に構成したファイバ状の位相格子1aとそれと僅かに格子間隔が異なる位相格子1bを融着することにより、波長変動及び、回折光の角度依存性を緩和したものである。この場合、各位相格子素子1a’、1b’を構成する回折格子9a’、9b’の光軸Lとなす角度は、ほぼ90°±Θx/2である。光軸L上の光ファイバ3’から入射した波長λ1、λ2の光は、ファイバ状の位相格子素子1a’に入射し、光軸Lに対し90°±Θx/2で、ほぼ交差した状態の回折格子9a’により光軸Lに対し±Θxで回折反射し、各出射用ファイバ3’から出射される。
僅かに格子角度Θおよび間隔Λが異なる2種類のファイバ状の位相格子素子1a’、1b’を有することにより、入射光Pの波長変動が生じても、あるいは接続したGIファイバ2’付ファイバ3’の取り付け角度Θxに誤差が生じても、急激な回折光強度の減衰変動が生じず、安定した分波出力を得ることができる。
図11は、本発明によるファイバ状の位相格子1を用いた光モジュールの他の実施例で、この場合構成するファイバ状の位相格子1’の左端に1本の所定長さのGIファイバ2’を融着接続し、そのGIファイバ2’の左端に3本の入出射用の光ファイバ3a’〜3c’を光軸Lに平行に融着接続したものである。波長λi(i=1〜2)の光が中心の光ファイバ3a’から入射、GIファイバ2’で平行光に変換され、ファイバ状の位相格子素子1a’に入射、その構成している回折格子により全反射条件で、角度βで回折反射し、それぞれの波長の光λ1,λ2が両側の光ファイバ3b’、3c’から出射される。この場合、構成する回折格子9a’の傾斜角度Θ1は、下記式で示すことができる。
Figure 0005013851
図12は、本発明によるファイバ状の位相格子1’を構成する位相格子素子1a’の製作方法の実施例を示したもので、外径DのPTRガラス材料等からなるコアのない光ファイバ8’を準備し、波長(320〜500nm)の平行なUV光を両側から角度Θ0で一定時間照射、露光、その後、熱処理などの安定化処理をすることで屈折率変動を有するファイバ状の位相格子素子1a’として形成することができる。尚、形成される回折格子9a’の間隔Λは、数式1で示した関係式により設定、得ることができる。
図13は、本発明で用いられるファイバ状の位相格子1’の回折効率ηの中心波長λ1,λ2に対する特性を示したものである。ブラッグ反射による位相格子は、回折効率ηが高いものの波長依存性、入射角度依存性があり、必要な回折効率ηを得る為には、その条件を厳密に設置しなければならない。図12に示した位相格子の場合、中心波長λ1±2nm,λ2±2nmに対して98%程度の回折効率ηを有している。
図14は、フェイズドマスク法による露光プロセスにより本発明のファイバ状の位相格子素子1’(1a’、1b’、1c’)を製作する場合の実施例である。
この方法によれば、位相の揃ったコヒーレントなUV光(波長:320〜500nm)の平行光を間隔Λmを有する位相シフトマスク14を通すことにより必要な格子間隔Λiを得ることができる。
Figure 0005013851
この場合、位相格子用ファイバ8’の角度をX軸に対しβに傾斜して設置、露光記録することにより得られる。ここで、必要な格子間隔Λiは、マスク間隔Λmの位相シフトマスク14を必要数準備しておく。また、回折格子9’への入射角度Θiは、位相格子用ファイバ8’を設置する治具角度βを調整することにより得られる。
ファイバ状の位相格子素子1a’の場合は、マッチングオイル内で位相格子用ファイバ8’を露光記録すると、ファイバ8‘の角度β1をΘ1に設定し、中心波長λ1、入射角Θ1となる格子間隔Λ1のファイバ状の位相格子素子1a’製作条件の位相シフトマスクを準備する。ファイバ状の位相格子素子1b’の場合は、位相格子用ファイバ8’の角度β2をΘ2に設定し、中心波長λ2、入射角Θ2の格子間隔Λ2のファイバ状の位相格子素子1b’製作用の位相シフトマスク14を準備する。ファイバ状の位相格子素子1c’の場合は、位相格子用ファイバ8’の角度β3をΘ3に設定し、位相格子素子1c’が中心波長λ3、入射角Θ3となる格子間隔Λ3のファイバ状の位相格子素子1c’製作用の位相シフトマスク14を準備する。各製作条件の位相シフトマスク14により個別に製作すればよい。
そうしたプロセスにより製作したファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’を、回折効率ηが最も高い所定の長さで切断して、各ファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’の端面を融着接続器にて接続し、一つのファイバ状の位相格子1’を製作する。例えば、図15に示すように、GIファイバ2’に位相格子素子1a’を融着接続(X)し、所望の長さで位相格子素子1a’を切断(Y)する。次に、位相格子素子1b’を位相格子素子1a’に融着接続して切断する。同様に位相格子素子1c’を位相格子素子1b’に融着接続して切断する。
また、更に所定の治具角度−β度に傾斜、UV光入射角条件を設定することにより露光記録させ、各ファイバ状の位相格子1’内の回折格子9’をクロス状にして構成することができる。それにより、一つの波長だけでなくそれと異なる波長のファイバ状の位相格子1’を形成、異なる方向に2波長の光を偏向、合分波することができる。
図16は、図9で示した各ファイバ状位相格子素子1a’、1b’、1c’の回折効率ηの波長特性を示したグラフである。位相格子素子1a’は、回折格子9a’への入射角Θ1,中心波長λ1の光に対してブラッグ条件での回折、反射をするが、その他の波長の光は透過する特性である。位相格子素子1b’は、入射角Θ2,中心波長λ2の光はブラッグ条件で回折、反射するが、その他の波長の光は透過するものである。位相格子素子1c’は、入射角Θ3,中心波長λ3の光はブラッグ条件での回折、反射をし、その他の波長光は透過する特性のものである。図16(a)のグラフが示しているように、各位相格子素子1a’、1b’、1c’は、所定のブラッグ条件での入射角、中心波長の光では、100%近い回折効率を有しており、そこからずれると急激に回折効率が落ちていることがわかる。そこで、図16(b)は、ファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’の中心波長を近接させることにより、各ファイバ状の位相格子素子1a’〜1c’の有する回折特性を組み合わせ、広帯域化することができる。
例えば、図9のファイバ状の位相格子素子1a’、1b’、1c’の各回折格子の回折効率ηn(λ、Θ)は、η1(λ、Θ)=P1/P、η2(λ、Θ)=P2/P、η3(λ、Θ)=P3/Pで示される。
一般化すると、各位相格子素子の回折効率は、直列接続であるからηn(λ、Θ)=Pn/P−ΣPn−1 n=1〜 (但し、P0=0)で示される。
ファイバ状の位相格子1’からの回折光は、その総和ΣPn=P1+P2+P3である。従ってその場合のファイバ状の位相格子1’の回折η(λ、Θ)は、η(λ、Θ)=ΣPn/P、Pn(λ、Θ)=ηn(λ、Θ){P−ΣPn} n=1〜 (但し、P0=0)である。即ち図9に示したように3層のファイバ状の位相格子1’の回折効率ηは、η(λ、Θ)=(η1+η2+η3)―η1(η2+η3)―η2η3(1−η1)となる。
その特性を示したものが、図16(b)に示したグラフで、一つのファイバ状の位相格子素子を用いた場合に比較して、波長λ1〜λ3の範囲で、回折効率特性が波長範囲Wで広帯域化、ほぼ平坦になっており、波長変動に対して安定した特性を示している。又、各回折格子角度Θiも同様に僅かに変えることで、その角度依存性に対して安定した特性のファイバ状位相格子1としても構成することができる。
次に本発明による位相格子1の具体的な実施例を示す。位相格子素子の製作は、図6に示した光学干渉法を用いて行った。まず、PTRガラス製の厚さD=1mm、屈折率n=1.487の3cm角の基板8を複数枚用意し、その内の1枚を傾斜固定可能な治具上に並置固定し、基板8とほぼ同様な屈折率n0=1.49を有する深さ30mm程度のマッチングオイルの中に浸け、水平面に対し角度γ=45°傾斜して設置固定した。露光要光源は、波長325nmのコヒーレント長30cm、出力50mWのHe−Cdレーザを用いた。露光光学系は、レーザ出射光をピンホール付き集光レンズにより、コリメータレンズの出力強度1/e2で径20mmの平行光に拡大し、光源からの各光路長をほぼ同じにした分離平行光学系を設置した。
本実施例で位相格子1に入射される光は、波長1555±2.5nmの光である。そのため、今回、位相格子素子1a、1b、1cは、その回折格子9a、9b、9cが光の光軸に対して角度44.5°、45°、45.5°で設定するとともに回折する波長が1552.5nm、1555nm、1557.5nmになるように回折格子9a、9b、9cの格子間隔Λ1、Λ2、Λ3を設定する。この際、回折格子の格子間隔Λは、λm=λ0/nから、Λ1=(1552.5/1.487)/(2×sin44.5°)=745(nm)、Λ2=(1555/1.487)/(2×sin45°)=740(nm)、Λ3=(1557.5/1.487)/(2×sin45.5°)=734(nm)となる。即ち、位相格子素子1aは格子間隔Λ1=0.745(μm)、入射角が44.5°、位相格子素子1bはΛ2=0.74(μm)、入射角が45度、位相格子1cはΛ3=0.734(μm)、入射角45.5°で構成される。
次に露光するレーザ光波(UV光)の波長は、325nmを用いるため、基板8のPTRガラス内での波長λm’ は、λm’=325/1.487=219.8(nm)で示され、基板8内におけるUV光入射角度Θ01は、スネルの法則から、Θ01=sin―1{220/(2×745)}=8.49°で示される。また、マッチングオイル内における屈折角度Θ0をΘ0=8.49°で基板8に入射させる場合には、空気中での傾斜角度Θ1’は、Θ1’=sin―1{1.487×sin(8.49°)}=12.5°になる。そのため、基板8を傾斜固定治具に角度44.5°で固定するとともに、空気中におけるUV光の入射角を約12.5°でマッチングオイルに入射させる。
このような露光光学系を用いてマッチングオイル内で基板8を10〜20分間露光する。その後、傾斜固定治具から露光された基板8を取り出し、電気炉で450〜500℃で3時間程度加熱することで、周期的な正弦波状の屈折率変動を有する回折格子9aを備えた位相格子素子1aを作製した。同様な手順によって、位相格子素子1b、1cを作製した。
得られた位相格子素子1a、1b、1cを透光性のUV硬化型接着剤により接着した後にダイシングマシンにより1.5mm角程度の矩形状の素子に加工し、光の入出射面を研磨加工するとともに入出射面に誘電体多層膜からなるARコートを施すことにより、位相格子1を作製した。
また、本発明の比較例として、本発明の位相格子素子1bを単体で用いた位相格子を作製した。
このようにして得られた位相格子を用いて、図4(a)に示す光モジュールを作製した。光モジュールは、位相格子の端面に石英ガラスからなるシングルモードファイバが融着接続されたGIレンズを3方向の側面に対してUV硬化型のエポキシ系樹脂で接着固定した。
上記で得られた光モジュールのポートAから波長1555±2.5nmの光を入射して、回折効率を測定し、所定の回折効率における光の入射角度依存性と波長帯域の幅を比較した。結果は表1に示すとおりである。
Figure 0005013851
表1に示すように、本発明の位相格子1では、回折する光の入射角に幅をもたせることができるため、比較的高い回折効率を有する入射角度の幅が大きくなった。さらに、光の波長の帯域を広くすることができるため、比較的高い回折効率を有する光の波長領域が広がった。
次に本発明によるファイバ状の位相格子1’の具体的な実施例を示す。
先ず、ファイバ状の位相格子1’の製作は、図14に示したフェイズマスク法を用いて行った。PTRガラスの位相格子用ファイバ8’として外径D=500μm、長さ1m、屈折率n=1.48の位相格子用ファイバ8’を複数本用意、その内の1本を傾斜固定可能なファイバ固定治具上に並置固定し、X軸に対し治具角度β=5°傾斜して設置、マッチングオイル内に固定した。露光用UV光源は、波長325nmのコヒーレント長30cm、出力50mWのHe−Cdレーザを用いた。露光光学系は、レーザ出射光をピンホール付き集光レンズを用い、コリメータレンズで出力強度1/e2で径20mmの平行光に拡大し、光源からの各光路長をほぼ同じにした分離平行光学系を設置した。
実際に使用する光は、波長1550±20nmの光である。その光を光軸に対し角度5.6°で反射するファイバ状の位相格子素子1a’を製作した。必要な回折格子の間隔Λ1は、数1から各ファイバ状の位相格子素子の格子間隔Λiは、Λ1=(1540/1.487)/(2×cos2.8°)=522(nm)、Λ2=(1555/1.487)/(2×cos2.8°)=524(nm)となる。
即ち、製作条件としては、ファイバ状の位相格子素子1a’は回折格子間隔Λm1=0.522(μm)の位相シフトマスクを準備、位相格子用ファイバ8’を角度β1=2.8°で設置、ファイバ状の位相格子素子1b’は回折格子間隔Λm2=0.524(μm)の位相シフトマスクを準備、位相格子用ファイバ8’を同様に角度β1=2.8°で設置、以上の条件で製作すればよいことになる。
上記の露光光学系を用いて位相格子用ファイバ8’を10〜20分間露光する。その後、傾斜固定治具から露光された位相格子用ファイバ8’を取り出し電気炉で450〜500℃で3時間程度加熱することで、周期的な正弦波状の屈折率変動を有するファイバ状の位相格子素子1a’となる。同様な手順で位相格子素子1b’の計2種類のファイバ状の位相格子素子1’を製作した。
ファイバ状の位相格子素子1a’の長さL1は、ブラッグ回折効率に影響するが、長さL1=1mm程度あれば、ほぼ100%近い回折効率を得ることができる。他の位相格子素子1b’も同様である。製作した長さ約1mmのファイバ状の位相格子素子1a’、1b’を順番に融着接続してカットする。
このようにして製作したファイバ状の位相格子1’の1次回折光のスペクトラム特性は、λ1=1540nm、Θ=5.6°、λ2=1555nm、Θ=5.6°図16(a)のλ1、λ2に示したイメージのものである。
上記のようにして製作したファイバ状の位相格子1’を光モジュール化するには、GIファイバ2’に融着接続すればよい。
図11に示した構成の場合、ファイバコリメータとしてGIファイバ2’として外径0.5mm、ピッチ長P=0.25、長さZ=1.57mm、収束定数√A=1(1/mm)、光軸上屈折率n0=1.49を用いたGIファイバ2’を1個準備し、ファイバ状の位相格子1’の片側に光軸を合わせて融着接続、入出射用の接続用光ファイバ3b’、3c’は光軸Lからr1=0.13(mm)の所で、GIファイバ2’にそれぞれ融着接続する。それを、ファイバサポート部を含めた固定実装用ケース長さ10mm、外径2mmのケース内に実装固定、反射型の光モジュールとして構成することができた。この場合、波長1.535〜1.56μm、回折光側の出射ポートで、挿入損失 0.5dB以下、アイソレーション 40dB以上、PDL 0.1dB以下、反射減衰量−50dB以下の光モジュールとして実現、小型低損失な反射型光モジュールができることを示した。以下表2に図8に示した従来例との比較を示す。
Figure 0005013851
本発明による実施例としては、上記実施例に留まることなく、例えば、図10に示したようなファイバ状の位相格子1’は、構成する僅かに異なる格子間隔、角度を有する回折格子素子1a’、1b’をクロス状に多重にして構成、別の波長帯域のものを反対面に回折偏向することにより、より広帯域化することも可能であり、さまざまな形態の多ポートの反射型光フィルタモジュールとして構成することができる。
なお、本発明において、「複数の位相格子素子は回折格子の傾斜角度が互いに異なっている」というのは、複数の位相格子素子のうち少なくとも2つの位相格子素子同士において回折格子の傾斜角度が互いに異なる関係にあるものを含めばよく、同じ傾斜角度の位相格子素子が存在してもよい。
同様に、「複数の位相格子素子同士は、互いに回折格子の間隔が異なっている」というのは、複数の位相格子素子のうち少なくとも2つの位相格子素子同士において回折格子の間隔が互いに異なる関係にあるものを含めばよく、同じ間隔の回折格子を有する位相格子が存在してもよい。
本発明の位相格子を示し、(a)は入射光軸に対し垂直な面を有する位相格子の側面図であり、(b)は入射光軸に対し傾斜角αを有する位相格子の側面図である。 本発明の位相格子に用いる位相格子素子を示し、(a)は入射光軸に対し垂直な面を有する位相格子素子の側面図であり、(b)は入射光軸に対し傾斜角αを有する位相格子素子の側面図である。 本発明の位相格子に用いる各位相格子素子の回折効率特性を示し、(a)は、波長λ1、入射角Θ1のブラッグ回折条件を有する位相格子素子、(b)は波長λ2、入射角Θ2のブラッグ回折条件を有する位相格子素子、(c)は波長λ3、入射角Θ3のブラッグ条件を有する位相格子素子をそれぞれ示すグラフである。 本発明の光モジュールを示し、(a)は矩形の位相格子を用いた光モジュールの側面図であり、(b)は、矩形の位相格子を傾斜させた状態で実装した光モジュールの側面図である。 本発明の位相格子の回折効率を示したグラフである。 本発明の位相格子素子の製造方法を説明する模式図である。 本発明の位相格子素子の他の製造方法を説明する模式図である。 従来の位相格子を用いて構成したフィルタ光モジュールを示し、(a)は、フィルタ光モジュールの側面図であり、(b)は位相格子の回折効率の特性を示したグラフである。 本発明のファイバ状の位相格子を示し、(a)はその断面図、(b)は要部拡大断面図である。 本発明のファイバ状の位相格子を用いた光モジュールの断面図である。 本発明のファイバ状の位相格子を用いた光モジュールの他の実施形態を示す断面図であり、(a)はその断面図、(b)は要部拡大断面図である。 本発明のファイバ状の位相格子の製作方法を説明する模式図である。 本発明のファイバ状の位相格子の波長−回折効率特性を示したグラフである。 本発明のファイバ状の位相格子素子の他の製造方法を説明する模式図である。 本発明のファイバ状の位相格子を製作するプロセスを示した図である。 (a),(b)は本発明のファイバ状の位相格子の回折効率−波長の関係を示したグラフである。
符号の説明
1:位相格子
1a、1b、1c:位相格子素子
2a、2b、2c、20a、20b、20c、:GIレンズ
3a、3b、3c、30a、30b、30c、:光ファイバ
8:基板
9、9a、9b、9c:回折格子
P:入射光
P1、P2、P3:回折光
P0:透過光
100、200:光モジュール
1’:ファイバ状の位相格子
1a’、1b’、1c’:ファイバ状の位相格子素子
2’、2a’、2b’、2c’:GIファイバレンズ
3’、3a’、3b’、3c’:光ファイバ
8’.位相格子用ファイバ
9’、9a’、9b’、9c’:入射光

Claims (11)

  1. 光通信用機器または光センシングシステム用機器に使用される、複数の回折格子が配列された位相格子素子を入射光の入射方向に複数並べて備えてなる位相格子であって、前記複数の位相格子素子における前記回折格子は、それぞれ光軸の垂直方向に対して40〜50度の範囲に傾斜しているとともに、前記回折格子の傾斜角度が互いに異なっており、前記複数の位相格子素子によって複数の波長の光が回折され、前記複数の回折される光の波長の範囲において、回折効率特性がその回折効率が95%以上でほぼ平坦となるように、複数の回折される光の波長に対する回折効率の分布における複数の中心波長がそれぞれ近接していることを特徴とする位相格子。
  2. 前記複数の回折格子の配列間隔が一定であるとともに前記複数の位相格子素子同士は、互いに前記回折格子の間隔が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の位相格子。
  3. 前記位相格子素子の光が入射される光入射面が、前記光軸の垂直方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位相格子。
  4. 前記複数の位相格子素子は互いに融着接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相格子。
  5. 前記位相格子素子はファイバ状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位相格子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の位相格子を1個または複数個備え、前記位相格子の光入射面または光出射面にレンズ部材が接合されていることを特徴とするレンズ付位相格子。
  7. 前記レンズ部材と前記光入射面との接合、または前記レンズ部材と前記光出射面との接合は融着接続であることを特徴とする請求項6に記載のレンズ付位相格子。
  8. 前記レンズ部材が屈折率分布型光ファイバであることを特徴とする請求項6または7に記載のレンズ付位相格子。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載のレンズ付位相格子と、前記レンズ部材に接続された光ファイバとを具備することを特徴とする光モジュール。
  10. 前記光ファイバは前記レンズ部材の同一面上に複数個、接続されていることを特徴とする請求項9に記載の光モジュール。
  11. 前記光ファイバと前記レンズ部材との接続は融着接続であることを特徴とする請求項9または10に記載の光モジュール。
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