JP5013463B2 - 窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法に関する。
近年、半導体レーザや発光ダイオード(LED)等の短波長の発光素子用材料として窒化物系(GaN系)半導体材料の研究、開発が行なわれてきた。窒化物系LEDに関しては、すでに、量産化が行なわれ、窒化物系半導体レーザにおいても、光ディスク用低出力レーザの量産化が実現し、書き込み用途のハイパワー品の開発が急がれている。
窒化物半導体を用いた青紫色半導体レーザは、波長405nm前後と非常に短波長であるため、蛍光体等の励起光源とすることにより、白色光を得ることが可能である。また、窒化物半導体を用いたレーザの発振波長を、より長波長である435nm前後のブルー(B)、あるいは546nm前後のグリーン(G)とし、これらと赤色レーザ(R)を組み合わせることにより、RGBの光の三原色が半導体レーザのみで再現することが可能となり、超高効率照明、レーザディスプレイ、プロジェクタといった様々な応用が可能となる。しかしながら、半導体レーザをこのような用途に応用するためには、ワット級の出力と、実用に耐え得る信頼性が求められる。
ところで、光ディスク用の窒化物半導体レーザは、一般的にリッジ構造と呼ばれる構造で作製されている。リッジ構造を有する半導体レーザにおいては、リッジ幅やリッジ高さ等の調整により、横モードの制御を容易に行なうことが可能であるため、単一横モードでの発振が容易に実現可能である。また、リッジ構造の半導体レーザは、高周波特性がよいという点でも有利である。しかし、超高効率照明等の高出力用途に半導体レーザを用いる場合には、必ずしもリッジ構造が優れているとはいえず、より良好な電流阻止特性を有する電流狭窄構造を半導体レーザ素子に適用することが必要であり、このような電流狭窄構造として、これまでに、埋め込み構造や内部ストライプ構造が提案されている。
ここで、p型内部ストライプ構造、n型内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の一例を、それぞれ図3、図4に示す。図示されるように、p型内部ストライプ構造は、p−AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなる第1の層301上に、電流を阻止するための電流狭窄層として機能する第2の層302を形成し、エッチングにより第2の層302の一部に開口部を形成した後、当該開口部内および第2の層302上に、p−AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなる第3の層303を形成することにより得ることができる。同様に、n型内部ストライプ構造は、n−AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなる第1の層401上に、電流を阻止するための第2の層402を形成し、エッチングにより第2の層402の一部に開口部を形成した後、当該開口部内および第2の層402上に、n−AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなる第3の層403を形成することにより得ることができる。電流狭窄層としての第2の層302、402には、上記第1の層および第3の層とは反対の電気伝導型を有する窒化物半導体、不純物を意図的にドープしない真性窒化物半導体、または高抵抗窒化物半導体などが用いられる。しかしながら、このような内部ストライプ構造には、次のような解決すべき問題点を有している。
まず、第2の層に開口部を形成する際、第1の層の最上面でエッチングを制御よく停止させることが困難であり、開口部底面である第1の層表面にダメージ層が形成されることがある。
また、第2の層上部に形成される第3の層の結晶品質が悪く、これにより素子の信頼性が低下するという問題点も有している。すなわち、窒化物半導体においては通常、エッチングにはドライエッチングが用いられており、上記第2の層に開口部を形成する場合においてもドライエッチングを用いることができるが、エッチング底面、すなわち露出する第1の層表面にはドライエッチングによるダメージ層が形成されたり、表面荒れが発生したりする。そのため、第2の層の開口部内に第3の層を形成する場合、開口部底面(エッチング底面)に結晶性の良好な第3の層を形成することが困難である場合があり、また、第3の層の形成が行なえたとしてもエッチングダメージ層の影響により電気的特性が不良となることがある。
このため、開口部の形成にウェットエッチングを用いることも考えられるが、ウェットエッチングの場合、従来知られているウェットエッチャントでは強力に窒化物半導体を溶解させるため、第2の層と第1の層との界面でエッチングを制御よく停止させることが困難であるばかりでなく、窒化物半導体基板を腐食させるなど、エッチングレートの制御が非常に困難である。
これまでに、エッチングの制御に関する上記課題を解決するために、上記第2の層として、有機金属気相成長法(MOVPE法)による低温堆積法を用いてAlN等のアモルファス層を形成し、必要な加工を施した後、熱処理により結晶層に変換する方法が提案されている(特許文献1および2参照)。
特開2003−78215号公報 特開2006−121107号公報
特許文献1および2に記載の方法によれば、第2の層のウェットエッチングが容易であるため、第2の層への開口部の形成が容易となる。しかしながら、第2の層は、電流狭窄層として機能させる必要があり、しかも開口部形成後においては再成長層である第3の層の下地となるため、第2の層は高い結晶性を有している必要があるが、開口部を形成した後のウェハに対する熱処理によりアモルファス層を完全に結晶層に変換することは困難であり、その上に再成長した第3の層の結晶性を飛躍的に向上させることはできない。特に開口部近傍においては、第3の層直上に形成された欠陥層が開口部にまで伝播するが、このような欠陥層が素子の特性および素子の信頼性に影響を与えることが判明した。また、特許文献1および2に記載の方法においては、熱処理後のアモルファス層にクラックが発生する場合があり、このようなクラックにより素子の特性が著しく劣化することが確認された。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、再成長層(第3の層)の結晶性が良好であるとともに、良好な電流阻止特性を有する電流狭窄構造を有し、これにより素子特性および信頼性が改善された半導体レーザ素子およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題の解決のため鋭意検討した結果、まず、電流狭窄層として機能する第2の層は、次の条件を具備すればよいとの着想を得た。すなわち、その条件とは、1)第1の層および第3の層に対して電流狭窄層として機能すること、2)容易に開口部を形成することが可能となるようなエッチング方法が存在し、より望ましくは、第1の層に対して、第2の層がはるかに高いエッチングレートを示すようなウェットエッチャントが存在すること、3)エッチング後の第1の層上面(エッチング底面)にダメージが生じないこと、および、4)開口部形成後の第1の層上部、および、開口部以外の第2の層上に、結晶品質が良好な第3の層を形成することが可能であるとともに、開口埋め込み部分における電気特性が良好であること、である。
本発明者は、上記着想に基づき検討を行なったところ、電流狭窄層(第2の層)として、特定方向に配向した多結晶AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、第1の層と、該第1の層上に形成された開口部を有する第2の層と、該開口部内および該第2の層上に形成された第3の層とから構成される積層構造を基板上に備え、上記第2の層は、上記基板主面の法線ベクトルに配向した多結晶AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなることを特徴とする。
上記基板は、窒化物半導体基板であることが好ましく、C軸配向の窒化物半導体基板であることがより好ましい。
また、上記第2の層は、C軸配向の多結晶AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなることが好ましい。上記第2の層は、スパッタリング法により形成されることが好ましい。
ここで、上記第1の層はp型Alx1Ga1-x1-y1Iny1N(0≦x1、y1、x1+y1≦1)クラッド層、上記第2の層はAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0≦x2、y2、x2+y2≦1)電流狭窄層、上記第3の層はp型Alx3Ga1-x3-y3Iny3N(0≦x3、y3、x3+y3≦1)クラッド再成長層とすることができ、この場合、前記開口部の幅は、0.8μm以上、25μm以下であることが好ましい。
また、上記第1の層はn型Alx1Ga1-x1-y1Iny1N(0≦x1、y1、x1+y1≦1)クラッド層、上記第2の層はAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0≦x2、y2、x2+y2≦1)電流狭窄層、上記第3の層はn型Alx3Ga1-x3-y3Iny3N(0≦x3、y3、x3+y3≦1)クラッド再成長層であってもよく、この場合、前記開口部の幅は、0.8μm以上、50μm以下であることが好ましい。
さらに本発明は、上記いずれかの窒化物半導体レーザ素子の製造方法であって、上記第1の層を有機金属気相成長法によって形成する工程と、上記第2の層をスパッタリング法によって形成する工程と、ウェットエッチングによって上記第2の層の一部に開口部を形成する工程と、該開口部内および該第2の層上に上記第3の層を有機金属気相成長法によって形成する工程とを含む、窒化物半導体レーザ素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、再成長層(第3の層)の結晶性が良好であるとともに、優れた電流阻止特性を有する電流狭窄構造を有し、これにより素子特性および信頼性が改善された窒化物半導体レーザ素子が提供される。また、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、リッジ構造を有する半導体レーザ素子と比較して、高い熱飽和レベルが期待されるため、たとえば超高効率照明、レーザディスプレイ、プロジェクタ等の高出力用途に適用可能であると考えられる。
以下、実施の形態を示して、本発明をより詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の一例を示す概略断面図である。図1に示される窒化物半導体レーザ素子は、n型GaNからなる基板101の第1主面((0001)面)上に、n型GaNからなる下部コンタクト層102、n型Al0.1Ga0.9Nからなる下部クラッド層103、n型GaNからなる下部ガイド層104、Inx1Ga1-x1Nの量子井戸層とInx2Ga1-x2N障壁層(ただし、x1>x2)との交互積層構造からなる多重量子井戸層構造を有する活性層105、p型Al0.3Ga0.7Nからなる蒸発防止層106、p型GaNからなる上部ガイド層107、p型Al0.1Ga0.9Nからなる上部クラッド層108(第1の層)、開口部を有する電流狭窄層109(第2の層)、当該開口部内および電流狭窄層109上に形成されるp型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層110(第3の層)、ならびにp型GaNからなる上部コンタクト層111をこの順で積層した構造を有する。そして、この積層構造の上部および下部に、それぞれp型電極112およびn型電極113が設けられている。
ここで、電流狭窄層109(第2の層)は、基板101の主面の法線ベクトル方向に配向した、すなわちC軸配向した多結晶Al0.1Ga0.9Nからなる。このような構成によれば、結晶性が良好であり、クラックを含有しない再成長クラッド層110(第3の層)を形成することができるため、優れた電流阻止特性をもつ電流狭窄構造を有し、かつ信頼性の高い窒化物半導体レーザ素子が提供される。このような本発明の窒化物半導体レーザ素子は、ワット級の高出力用途にも適用可能である。なお、第3の層の「結晶性が良好」であるとは、当該第3の層の膜中に結晶欠陥等がなく、また、単結晶状であることを意味し、たとえばX線回折測定、TEM測定等を用いて評価することができる。
電流狭窄層109(第2の層)の面方位および結晶状態の制御により、上記のような効果が得られるのは、次のような理由によるものと考えられる。すなわち、電流狭窄層109(第2の層)が、たとえばC軸配向している場合、再成長クラッド層110(第3の層)も容易にC軸配向させることが可能である。また、再成長クラッド層110の結晶成長条件の最適化により、再成長クラッド層110をC軸配向した単結晶とすることも可能である。一方、電流狭窄層109がアモルファス状の場合には、再成長クラッド層110もまたアモルファス状となり易く、成長条件を最適化することのみによって、再成長クラッド層110を高品質な単結晶とすることは非常に困難である。上記した特開2006−121107号公報には、開口部を形成後に、熱処理を行なうことによって、アモルファス状の電流狭窄層を単結晶に変換することが記載されているが、本発明者には、アモルファス状結晶を熱処理のみでC軸配向させ、さらには単結晶へと変換することは困難であった。本発明者は、かかる問題に対し、電流狭窄層として、たとえばC軸配向した多結晶層を形成することにより、容易にウェットエッチングが可能であり、かつ、電流狭窄層上および開口部上の再成長層が良好な単結晶となるような、電流狭窄層の形成条件をを見出した。
また、電流狭窄層109(第2の層)をC軸配向の多結晶Al0.1Ga0.9Nとすることにより、ウェットエッチングを用いて開口部の形成を行なうことができ、しかも上部クラッド層108(第1の層)と電流狭窄層109(第2の層)との界面で制御よくエッチングを停止させることが可能となる。これにより、結晶性が良好な再成長クラッド層110(第3の層)を開口部内に形成することができ、得られる窒化物半導体レーザ素子の特性および信頼性の向上に寄与する。
ここで、用語の定義をしておく。本明細書中において、「C軸配向の多結晶」とは、X線回折測定において、C軸方向の回折面からの回折ピークが明瞭であり(対称面の回折ピークが明瞭に分離観察できる)、かつC軸方向以外の回折面からの回折ピークが、各対称面において明瞭でない(対称面がC軸に関して回転状で観察され、分離が困難である)結晶状態をいう。ここでいう対称面とは、たとえばA面、R面等のことをいう。より具体的には、本発明において、C軸方向以外の回折面からの回折ピークが、各対称面において明瞭でないとは、たとえば、X線測定等を行なった場合に、{11−22}で表される、対称な6つの面、(11−22)、(−1−122)、(−2112)、(2−1−12)、(1−212)、(−12−12)がそれぞれ、6つの独立した面として分離できない場合をいう。
一方、C軸方向以外の回折面に加えて、C軸方向の回折面からの回折ピークも明瞭でない場合、すなわち、たとえば上記6つの対称面およびC軸方向の回折面からの回折ピークのいずれもが観測できない場合には、「アモルファス状」と定義される。また、C軸方向の回折面からの回折ピークが明瞭であり(対称面の回折ピークが明瞭に分離観察できる)、かつC軸方向以外の回折面からの回折ピークが、各対称面において明瞭である場合、すなわち、たとえば上記6つの対称面が6つの独立した面として測定可能であり、かつC軸方向の回折面からの回折ピークが明瞭である場合には、「単結晶状」と定義される。本発明において、電流狭窄層(第2の層)の結晶状態の確認は、一般的なX線回折測定装置を用いて、2θ/ω測定または正極点測定等を行なうことによりなされる。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子を構成する各層の層厚は、特に制限されるものではないが、たとえば次のような値を採用することができる。下部コンタクト層102は0.1〜10μm程度とすることができる。下部クラッド層103は0.5〜3.0μm程度とすることができる。下部ガイド層104および上部ガイド層107は、0〜0.2μm程度とすることができる。すなわち、設計上必要に応じて省略することも可能である。上部クラッド層108(第1の層)は、0〜1μm程度、好ましくは0.01〜1μm程度とすることができる。また、電流狭窄層109(第2の層)は、0.01〜1μm程度とすることができ、より好ましくは、0.01〜0.50μm程度である。再成長クラッド層110(第3の層)は、たとえば0.05〜1μm程度とすることができるが、当該第3の層におけるAl組成比が0.50より大きい場合には、第3の層中のクラックの発生を回避するために、第3の層の厚さを0.5μm以下とすることが好ましい。また、開口部の幅は、たとえば0.8〜25μmとすることができるが、レーザの用途によって、適切な値とすることを要する。たとえば、光ディスク用レーザ等の場合、キンクの発生を抑制するために、開口部の幅は、狭い方が望ましく、0.8〜2μm程度とすることが適切である。また、照明等のハイパワー用途の場合、高出力化のために、開口部の幅を広くすることが望ましく、開口部の幅は、2〜25μm程度とすることが適切である。
なお、後述するように、C軸配向の多結晶Al0.1Ga0.9Nからなる電流狭窄層109(第2の層)を形成するにあたっては、スパッタリング法を好適に用いることができる。スパッタリング法は、基板の法線方向に対して、成膜層の特定の結晶軸が優先的に配向しやすい特徴を持つ。また、窒化物半導体においては、C軸配向性が強いため、C軸配向の窒化物半導体基板上に、スパッタによって、AlGaN等の窒化物半導体層を形成した場合、成膜層をC軸配向させることが可能である。ただし、スパッタリングの条件やAl組成比によって形成した第2の層の結晶状態が変化する。すなわち、Al組成比に応じて、スパッタリングを行なう際のRFパワー、真空度を変化させると、形成される層がアモルファス状、C軸配向多結晶状、単結晶状と変化することが確認された。したがって、C軸配向の多結晶状とするには適切な条件を選択する必要がある。
電流狭窄層としての第2の層がアモルファス状である場合、得られる半導体レーザ素子は、漏れ電流が非常に大きく、閾値が大幅に増加する傾向にある。これは、第2の層がアモルファス状である場合、再成長層(第3の層)の結晶性が良好でないこと、および、第2の層が十分な電流阻止特性を有しないことに起因すると考えられる。
第2の層が単結晶状である場合には、開口部形成時のエッチングレートが非常に遅い。このため、200℃程度の高温のエッチング液を用いてエッチングを行なうと、開口部形成終了後も、同様のレートで第1の層のエッチングが行なわれてしまうため、第1の層と第2の層との界面で、エッチングを制御よく停止させることが困難となる。
(変形例)
上記第1の実施形態の変形例について説明する。まず、基板に関していえば、(0001)面を主面とする、すなわち、C軸配向のGaN基板に限定されるものではなく、これ以外の面方位を主面するGaN基板やその他の窒化物半導体基板を用いてもよい。また、窒化物半導体層を積層できるものである限り、窒化物半導体基板以外の基板を用いてもよい。そのようなものとしては、たとえばサファイア基板、SiC基板等を挙げることができる。
ここで、C軸以外に配向した窒化物半導体基板または窒化物半導体基板以外の基板を用いる場合においては、電流狭窄層(第2の層)として、基板の面方位に配向した、すなわち、基板主面の法線ベクトルに配向した多結晶層を用いることにより、上記と同様の効果が得られる。あるいは、基板の法線ベクトル方向に第2の層のC軸が配向するような構成としてもよい。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。すなわち、第2の層は、基板の材質に関わらず、基板の法線ベクトル方向に配向しているか、あるいはC軸配向していればよく、言い換えれば、第2の層は、基板の法線ベクトル方向の1次元に関してのみ、配向が制御された多結晶層であればよい。なお、「基板主面の法線ベクトルに配向した」とは、基板主面の法線ベクトルと、第2の層の法線ベクトルとが平行であることを意味する。
また、電流狭窄層(第2の層)は、多結晶Al0.1Ga0.9Nに限定されるものではなく、多結晶Alx2Ga1-x2N(0≦x2≦1)から構成することができる。また、Inが含まれた、多結晶Alx2Ga1-x2-y2Iny2N(0≦x2、y2、x2+y2≦1)より構成してもよい。第2の層におけるAl組成比は0から1までの任意の値とすることができる。
上部クラッド層(第1の層)および再成長クラッド層(第3の層)についても同様であり、それぞれp型Alx1Ga1-x1-y1Iny1N(0≦x1、y1、x1+y1≦1)、p型Alx3Ga1-x3-y3Iny3N(0≦x3、y3、x3+y3≦1)より構成することができる。なお、上記x1、x2、x3はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。y1、y2、y3についても同様である。
また、下部クラッド層103は、n型Al0.1Ga0.9Nのみならず、n型GaNとn型AlGaNとの超格子構造や、何層かの組成の異なったAlGaNを組み合わせるなど、所望の光学特性に合うものを使用すればよい。下部ガイド層104あるいは上部ガイド層107については、n型あるいはp型GaNの他に、n型あるいはp型のInGaNやAlGaNを使用してもよく、設計上必要なければなくても良い。活性層105は、本実施の形態においては、波長約405nmの光を放射するように組成と構造を設定したが、所望の波長が得られる組成と構造に最適化すれば良い。蒸発防止層106は、活性層成長後、上部クラッド層成長までの間に活性層が劣化するのを防止する役割を果たせるものであれば、p型Al0.3Ga0.7N以外のものでも構わない。上部クラッド層108も下部クラッド層と同様、p型Al0.1Ga0.9Nのみならず、p型GaNとp型AlGaNとの超格子構造や、何層かの組成の異なったAlGaNを組み合わせるなど、所望の光学特性に合うものを使用すればよい。また、上部コンタクト層111は、p型GaNのみならず、p型InGaNやGaInNAsやGaInNP等を用いてもよい。
さらに、パッド電極の大きさは、チップ化工程のために、適宜調整することができる。パッド電極をチップ化分割面に近い領域には形成しないようにすることにより、リークや電極剥がれの危険性を防止できる。パッド電極の大きさは、フォトリソグラフィー技術を用いてリフトオフにより調整するか、エッチングにより調整することが可能である。
(内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の製造方法)
次に、図1に示される内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の製造方法の好適な一例について説明する。まず、n型GaNからなる基板101の第1主面((0001)面)上に、n型GaNからなる下部コンタクト層102、n型Al0.1Ga0.9Nからなる下部クラッド層103、n型GaNからなる下部ガイド層104、Inx1Ga1-x1Nの量子井戸層とInx2Ga1-x2N障壁層(ただし、x1>x2)との交互積層構造からなる多重量子井戸層構造を有する活性層105、p型Al0.3Ga0.7Nからなる蒸発防止層106、p型GaNからなる上部ガイド層107、p型Al0.1Ga0.9Nからなる上部クラッド層108(第1の層)を、有機金属気相成長法(MOCVD法)等により順に積層する。MOCVD法の条件は、一般に採用され得る条件をここでも採用することができる。
ついで、ウェハを一旦、MOCVD装置から取り出し、電流狭窄層109(第2の層)の形成を行なう。本実施形態においては、電流狭窄層109をC軸配向した多結晶Al0.1Ga0.9Nとするために、スパッタリング法を用いることが好ましい。上述のように、スパッタリング法は、基板の法線方向に対して、成膜層の特定の結晶軸が優先的に配向しやすい特徴を持つ。また、窒化物半導体においては、C軸配向性が強いため、C軸配向の窒化物半導体基板上に、スパッタによって、AlGaN等の窒化物半導体層を形成した場合、成膜層をC軸配向させることが可能となる。なお、電流狭窄層109(第2の層)は、多結晶Alx2Ga1-x2N(0≦x2≦1)、あるいはInが含まれた、多結晶Alx2Ga1-x2-y2Iny2N(0≦x2、y2、x2+y2≦1)より構成してもよいが、いずれの場合においても、Al組成比に関わらず、C軸配向した基板上にC軸配向した多結晶の電流狭窄層をスパッタリング法により形成できることがわかっている。
ここで、電流狭窄層109のAl組成比に応じて、スパッタリングを行なう際のRFパワー、真空度を変化させると、形成される層がアモルファス状、C軸配向多結晶状、単結晶状と変化することが確認されており、C軸配向の多結晶状とするには適切な条件を選択する必要がある。たとえばAl組成比が高い場合には、スパッタリングパワーを低くすることが好ましく、Al組成比が低い場合には、スパッタリングパワー高くすることが好ましい。また、アモルファス状とする場合には、スパッタリングパワーを低く、圧力を高くすることが有効である。
次に、電流狭窄層109にストライプ状の開口部の形成を行なう。具体的には、電流狭窄層109上にCVD装置を用いて、SiO2膜を形成し、引き続いて、SiO2膜上にレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィーによって、レジストをストライプ状に除去する。続いて、レジストをマスクとして、SiO2をバッファードフッ酸等によって選択的に除去する。選択的に除去するSiO2の幅は、たとえば1〜50μmとすることができる。次に、SiO2をマスクとして、電流狭窄層109のウェットエッチングを行なう。ここで、ウェットエッチャントとしては、たとえばリン酸と硫酸との高温混合液等を用いることができる。リン酸に対する硫酸の比率(容量比)は任意とすることができるが、0.2〜5程度とすることが好ましい。また、ウェットエッチャントの温度は、120〜200℃程度とすることが好ましく、130〜150℃とすることがより好ましい。ウェットエッチャントの温度が200℃を超える場合には、開口部底面である上部クラッド層108(第1の層)についても高速でエッチングされてしまい、当該第1の層と電流狭窄層(第2の層)との界面でエッチングを制御よく停止することが困難となる。したがって、エッチングの制御性を確保すべく、上記のような温度範囲とすることが好ましい。ウェットエッチングのマスクとして使用したSiO2は、バッファードフッ酸等によって除去する。
なお、電流狭窄層109の形成後、あるいは開口部形成後において、ウェハに対して熱処理を行なってもよい。熱処理によって、電流狭窄層109のC軸配向性が良化する効果が得られる。熱処理の温度は、350〜950℃の範囲内であることが好ましい。この範囲を超えると、熱処理後に、電流狭窄層にクラックが生じる場合もある。
ついで、ウェハの有機物および不純物を十分除去するために、洗浄を行ない、十分乾燥させた後、ウェハを再度、MOCVD装置に導入して、p型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層110(第3の層)を形成する。続いて、p型GaNからなる上部コンタクト層111を形成した後、ウェハをMOCVD装置から取り出し、Ni/AuやPd/Mo/Au等をこの順に上部コンタクト層111の上から真空蒸着等により成膜し、p型電極112を形成する。
p型電極112の形成後、ウェハの裏面を研磨や研削することにより、厚みを、たとえば100〜200μm程度に減少させ、研磨や研削を行なった面にHf/AlやTi/Alをこの順に真空蒸着などで成膜し、n型電極113を形成する。なお、チップをマウントする際に、マウント面をn側とする場合(フェイスアップ、ジャンクションアップ)においては、マウントを容易にするために、n型電極113の上に密着層およびAu等のパッド層を設けてもよい。一方、チップをマウントする際に、p型層側をマウント面とする場合(フェイスダウン、ジャンクションダウン)においては、ウェハの研作、研磨、および、n型電極113形成後において、メッキ等の方法を用いて、p型電極112上に1〜100μm程度のAu層を形成してもよい。
次に、ストライプにほぼ垂直に劈開し、ウェハを幅500〜800μm程度の複数のレーザバーとし、レーザのミラー面を形成する。ウェハの厚みが薄くなっているため、劈開は容易に行なうことができる。劈開には、スクライブ/ブレーク法やレーザスクライブによる活断等を用いることができる。また、レーザのミラー面はエッチング等によっても形成することができる。続いて、レーザバーのリア側に2層以上の積層体からなる高反射膜(図示せず)を、フロント側には1層以上の積層体からなる低反射膜(図示せず)を形成して、レーザ光を共振器のフロント側から取り出せるようにする。最後に、得られたレーザバーを、幅200〜300μm程度のチップに分割すると、図1の窒化物系半導体レーザ素子が得られる。分割されたレーザチップはステム上にマウントされ、ワイヤにより外部からp型電極112およびn型電極113に接続され、キャップが施されて半導体レーザ装置として提供される。
<第2の実施形態>
図2は、本発明に係る内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の一例を示す概略断面図である。図2に示される窒化物半導体レーザ素子は、n型GaNからなる基板201の第1主面((0001)面)上に、n型GaNからなる下部コンタクト層202、n型Al0.1Ga0.9Nからなる下部クラッド層203(第1の層)、開口部を有する電流狭窄層204(第2の層)、当該開口部内および電流狭窄層204上に形成されたn型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層205(第3の層)、n型GaNからなる下部ガイド層206、Inx1Ga1-x1Nの量子井戸層とInx2Ga1-x2N障壁層(ただし、x1>x2)との交互積層構造からなる多重量子井戸層構造を有する活性層207、p型Al0.3Ga0.7Nからなる蒸発防止層208、p型GaNからなる上部ガイド層209、p型Al0.1Ga0.9Nからなる上部クラッド層210、ならびにp型GaNからなる上部コンタクト層211をこの順で積層した構造を有する。そして、この積層構造の上部および下部に、それぞれp型電極212およびn型電極213が設けられている。
ここで、上記第1の実施形態と同様に、電流狭窄層204(第2の層)は、基板201の主面の法線ベクトル方向に配向した、すなわちC軸配向した多結晶Al0.1Ga0.9Nからなる。このような構成によれば、結晶性が良好であり、クラックを含有しない再成長クラッド層205(第3の層)を形成することができるため、優れた電流阻止特性をもつ電流狭窄構造を有し、かつ信頼性の高い窒化物半導体レーザ素子が提供される。このような本発明の窒化物半導体レーザ素子は、リッジ構造の半導体レーザ素子と比較して、高い放熱特性を有することが期待できるため、開口部の幅を適切に調節することで、ワット級の高出力用途にも適用可能である。
また、電流狭窄層204(第2の層)をC軸配向の多結晶Al0.1Ga0.9Nとすることにより、ウェットエッチングを用いて開口部の形成を行なうことができ、しかも下部クラッド層203(第1の層)と電流狭窄層204(第2の層)との界面で制御よくエッチングを停止させることが可能となる。これにより、結晶性が良好な再成長クラッド層205(第3の層)を開口部内に形成することができ、得られる窒化物半導体レーザ素子の特性および信頼性の向上に寄与する。
本実施形態の窒化物半導体レーザ素子を構成する各層の層厚は、特に制限されるものではないが、たとえば次のような値を採用することができる。下部コンタクト層202は0.1〜10μm程度とすることができる。下部クラッド層203(第1の層)は0.5〜3.0μm程度とすることができる。電流狭窄層204(第2の層)は、0.01〜1μm程度とすることができ、より好ましくは、0.01〜0.05μm程度である。再成長クラッド層205(第3の層)は、たとえば0.01〜1μm程度とすることができるが、当該第3の層におけるAl組成比が0.50より大きい場合には、第3の層中のクラックの発生を回避するために、第3の層の厚さを0.5μm以下とすることが好ましい。また、下部ガイド層206および上部ガイド層209は、0〜0.2μm程度とすることができる。すなわち、設計上必要に応じて省略することも可能である。また、開口部の幅は、たとえば0.8〜50μmとすることができるが、レーザの用途によって、適切な値とすることを要する。たとえば、光ディスク用レーザ等の場合、キンクの発生を抑制するために、開口部の幅は、狭い方が望ましく、0.8〜2μm程度とすることが適切である。また、照明等のハイパワー用途の場合、高出力化のために、開口部の幅を広くすることが望ましく、開口部の幅は、2〜25μm程度とすることが適切である。
上記第2の実施形態は、上記第1の実施形態と同様の変形を施すことが可能である。また、図2に示される窒化物半導体レーザ素子は、図1の窒化物半導体レーザ素子と同様にして作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示される内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子を以下の手順で作製した。まず、n型GaNからなる基板101の第1主面((0001)面)上に、n型GaNからなる下部コンタクト層102(層厚4μm)、n型Al0.1Ga0.9Nからなる下部クラッド層103(層厚0.1μm)、n型GaNからなる下部ガイド層104(層厚0.1μm)、Inx1Ga1-x1Nの量子井戸層(層厚4nm)とInx2Ga1-x2N障壁層(層厚8nm)(ただし、x1>x2)との交互積層構造(各3層)からなる多重量子井戸層構造を有する活性層105、p型Al0.3Ga0.7Nからなる蒸発防止層106(層厚0.02μm)、p型GaNからなる上部ガイド層107(層厚0.1μm)、p型Al0.1Ga0.9Nからなる上部クラッド層108(第1の層)(層厚0.25μm)を、有機金属気相成長法(MOCVD法)により順に積層した。
ついで、ウェハをMOCVD装置から取り出し、スパッタリング法により、C軸配向した多結晶Al0.1Ga0.9Nからなる電流狭窄層109(第2の層)を形成した(層厚0.1μm)。スパッタリングRFパワーは100Wとした。
次に、電流狭窄層109上にCVD装置を用いて、0.2μm厚のSiO2膜を形成し、引き続いて、SiO2膜上にレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィーによって、レジストをストライプ状に、2μmの幅で除去した。続いて、レジストをマスクとして、SiO2をバッファードフッ酸によって選択的に除去した後に、SiO2をマスクとして、電流狭窄層109のウェットエッチングを行なった。ウェットエッチャントとしては、100℃のリン酸:硫酸=1:1(容量比)混合液を用いた。ついで、ウェットエッチングのマスクとして使用したSiO2をバッファードフッ酸によって除去した。以上の工程により、電流狭窄層109に1.5μm幅の開口部を形成した。
ついで、ウェハの有機物および不純物を十分除去するために、洗浄を行ない、十分乾燥させた後、ウェハを再度、MOCVD装置に導入して、p型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層110(第3の層)(層厚0.25μm)およびp型GaNからなる上部コンタクト層111(層厚0.1μm)をこの順で形成した後、ウェハをMOCVD装置から取り出し、Ni/Auをこの順で真空蒸着により成膜し、p型電極112を形成した。
p型電極112の形成後、ウェハの裏面を研磨して厚みを130μm程度に減少させ、研磨面にHf/Alをこの順で真空蒸着で成膜し、n型電極113を形成した。その後、メッキ法を用いて、p型電極112上に1μmのAu層を形成した。
次に、ストライプに対してほぼ垂直に劈開し、ウェハを幅400〜1200μm程度の複数のレーザバーとし、レーザのミラー面を形成した。続いて、レーザバーのリア側に2層以上の積層体からなる高反射膜(図示せず)を、フロント側には1層以上の積層体からなる低反射膜(図示せず)を形成した後、幅150〜400μmのチップに分割することにより、図1の窒化物系半導体レーザ素子を得た。分割されたレーザチップはステム上に、p型層側をマウント面としてマウントし(ジャンクションダウン)、ワイヤにより外部からp型電極112およびn型電極113に接続し、キャップを施して、半導体レーザ装置を完成させた。
再成長クラッド層110(第3の層)には、クラックの発生はなく、X線測定の結果、良好な単結晶であることが確認できた。また、電流狭窄層109(第2の層)がC軸配向した多結晶状であることが、X線回折測定により確認された。
本実施例の半導体レーザ装置は、閾値28mA、50mA時の動作電圧4.2V、スロープ効率1.6W/Aと、非常に良好な特性を示した。また、出力350mWにおいても、熱飽和することなくレーザ発振していた。したがって本発明によれば、ストライプの幅広化によりワットクラスのレーザが実現可能であると考えられる。
<比較例1>
スパッタリングパワーを低くすることにより、電流狭窄層109(第2の層)を、アモルファス状のAl0.1Ga0.9N(層厚0.1μm)としたこと以外は実施例1と同様にして半導体レーザ素子を形成し、半導体レーザ装置を作製した。なお、開口部形成時のウェットエッチングの制御は容易に行なうことができた。p型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層110(第3の層)の結晶状態は比較的良好であり、クラックの発生もなかったが、漏れ電流が非常に大きく、閾値電流密度および閾値電圧の大幅な上昇が確認された。これは、第2の層としてのアモルファス状AlGaNが十分な電流阻止特性を有していないことが原因と考えられる。
<実施例2>
図2に示される内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子を以下の手順で作製した。まず、n型GaNからなる基板201の第1主面((0001)面)上に、n型GaNからなる下部コンタクト層202(層厚4μm)、n型Al0.1Ga0.9Nからなる下部クラッド層203(第1の層)(層厚0.1μm)をMOCVD法により順に積層し、ウェハをMOCVD装置から一旦取り出した。次に、実施例1と同様の方法により、C軸配向した多結晶Al0.1Ga0.9Nからなる電流狭窄層204(第2の層)を形成した(層厚0.1μm)。
次に、電流狭窄層204上にCVD装置を用いて、0.2μm厚のSiO2膜を形成し、引き続いて、SiO2膜上にレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィーによって、レジストをストライプ状に、2μmの幅で除去した。続いて、レジストをマスクとして、SiO2をバッファードフッ酸によって選択的に除去した後に、SiO2をマスクとして、電流狭窄層204のウェットエッチングを行なった。ウェットエッチャントとしては、100℃のリン酸:硫酸=1:1(容量比)混合液を用いた。ついで、ウェットエッチングのマスクとして使用したSiO2をバッファードフッ酸によって除去した。以上の工程により、電流狭窄層204に1.4μm幅の開口部を形成した。次に、ウェハに対し500℃にて熱処理を行なった。これにより、電流狭窄層のC軸配向性に向上が見られた。このとき、多結晶状態は維持されたままであった。
ついで、ウェハの有機物および不純物を十分除去するために、洗浄を行ない、十分乾燥させた後、ウェハを再度、MOCVD装置に導入して、n型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層205(第3の層)(層厚0.25μm)、n型GaNからなる下部ガイド層206(層厚0.1μm)、Inx1Ga1-x1Nの量子井戸層(層厚4nm)とInx2Ga1-x2N障壁層(層厚8nm)(ただし、x1>x2)との交互積層構造(各3層)からなる多重量子井戸層構造を有する活性層207、p型Al0.3Ga0.7Nからなる蒸発防止層208(層厚0.02μm)、p型GaNからなる上部ガイド層209(層厚0.1μm)、p型Al0.1Ga0.9Nからなる上部クラッド層210(層厚0.45μm)およびp型GaNからなる上部コンタクト層211(層厚0.1μm)をこの順で形成した後、ウェハをMOCVD装置から取り出し、実施例1と同様にしてp型電極212を形成した。これ以降は、実施例1と同様の手順により、ジャンクションダウンの半導体レーザ装置を完成させた。
n型Al0.1Ga0.9Nからなる再成長クラッド層205(第3の層)の結晶状態を確認したところ良好であり、クラックの発生もなかった。本実施例の半導体レーザ装置は、閾値32mA、50mA時の動作電圧4.0V、スロープ効率1.55W/Aと、非常に良好な特性を示した。また、出力350mWにおいても、熱飽和することなくレーザ発振していた。したがって本発明によれば、ストライプの幅広化によりワットクラスのレーザが実現可能であると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の別の一例を示す概略断面図である。 p型内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の一例を示す概略断面図である。 n型内部ストライプ構造を有する窒化物半導体レーザ素子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
101,201 基板、102,202 下部コンタクト層、103,203 下部クラッド層、104,206 下部ガイド層、105,207 活性層、106,208 蒸発防止層、107,209 上部ガイド層、108,210 上部クラッド層、109,204 電流狭窄層、110,205 再成長クラッド層、111,211 上部コンタクト層、112,212 p型電極、113,213 n型電極。

Claims (12)

  1. 第1の層と、該第1の層上に形成された開口部を有する第2の層と、該開口部内および該第2の層上に形成された第3の層とから構成される積層構造を基板上に備え、
    前記第2の層は、前記基板主面の法線ベクトルに配向した多結晶AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなることを特徴とする、窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記基板は、窒化物半導体基板であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記基板は、C軸配向の窒化物半導体基板であることを特徴とする、請求項2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記第2の層は、C軸配向の多結晶AlxGa1-x-yInyN(0≦x、y、x+y≦1)からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記第2の層は、スパッタリング法により形成される、請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記第1の層はp型Alx1Ga1-x1-y1Iny1N(0≦x1、y1、x1+y1≦1)クラッド層、前記第2の層はAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0≦x2、y2、x2+y2≦1)電流狭窄層、前記第3の層はp型Alx3Ga1-x3-y3Iny3N(0≦x3、y3、x3+y3≦1)クラッド再成長層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記開口部の幅は、0.8μm以上、25μm以下であることを特徴とする、請求項6に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記第1の層はn型Alx1Ga1-x1-y1Iny1N(0≦x1、y1、x1+y1≦1)クラッド層、前記第2の層はAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0≦x2、y2、x2+y2≦1)電流狭窄層、前記第3の層はn型Alx3Ga1-x3-y3Iny3N(0≦x3、y3、x3+y3≦1)クラッド再成長層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記開口部の幅は、0.8μm以上、50μm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  10. 前記第3の層が単結晶からなる請求項1〜9のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法であって、
    前記第1の層を有機金属気相成長法によって形成する工程と、前記第2の層をスパッタリング法によって形成する工程と、ウェットエッチングによって前記第2の層の一部に開口部を形成する工程と、該開口部内および該第2の層上に前記第3の層を有機金属気相成長法によって形成する工程とを含む、窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  12. 前記第2の層をスパッタリング法によって形成する工程またはウェットエッチングによって前記第2の層の一部に開口部を形成する工程の後に、350〜950℃の温度範囲内で熱処理を行なう工程をさらに含む請求項11に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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