[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるカーボンナノチューブシート及びその製造方法について図1乃至図5を用いて説明する。
図1は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す概略断面図及び平面図、図2は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法を示す工程断面図、図3乃至図5はカーボンナノチューブ束の形成領域を示す平面図である。
はじめに、本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造について図1を用いて説明する。図1(a)は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す概略断面図であり、図1(b)は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す平面図である。
本実施形態によるカーボンナノチューブシート10は、図1(a)に示すように、複数のカーボンナノチューブ12が、樹脂材料や金属材料等の充填層14内に埋め込まれた構造を有している。
それぞれのカーボンナノチューブ12は、少なくとも一方の端部がカーボンナノチューブシート10の一方の面(図面において下側の面)に露出している。また、当該一方の端部から他方の端部に向かうにつれ、配向方向が、シートの面に垂直な方向(図面において縦方向)からシートの面に水平な方向(図面において横方向)に変化している。すなわち、カーボンナノチューブ12は、当該一方の端部近傍で倒れるように折れ曲がっている。全体的に見ると、複数のカーボンナノチューブ12は、シートの表面に垂直な方向に交わる同一の方向(例えば、シートの面に対して平行な同一の方向)に配向している。
カーボンナノチューブシート10を平面的に見ると、カーボンナノチューブ12の当該一方の端部は、図1(b)に示すように、ストライプ状に配置された領域16内に位置している。すなわち、充填層14内に埋め込まれたカーボンナノチューブ12は、離間して設けられた複数の領域16からそれぞれ伸びるカーボンチューブ12の束(カーボンナノチューブ束18)が、シートの面に水平な一方向に倒れるように折れ曲がるように形成されている。
このように、本実施形態によるカーボンナノチューブシート10は、充填層14中にカーボンナノチューブ12が埋め込まれてなり、少なくともシートの一方の面にカーボンナノチューブ12の一端部が露出している。また、全体的に見ると、カーボンナノチューブ12は、シートの面に水平な一方向に配向している。このようなカーボンナノチューブシート10を形成することにより、シートの面に水平な方向への熱伝導度及び電気伝導度の高いシートを形成することができる。また、シートの一方の面にはカーボンナノチューブ12が露出しているため、シートと被着体との間の熱伝導度及び電気伝導度を向上することができる。
カーボンナノチューブ12は、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれでもよい。カーボンナノチューブ束18に含まれるカーボンナノチューブ12の密度は、放熱性及び電気伝導性の観点から、1×1010本/cm2以上であることが望ましい。カーボンナノチューブ12の長さは、カーボンナノチューブシート10の用途によって決まり、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm〜500μm程度の値に設定することができる。
充填層14の構成材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの有機系充填材、SOG(Spin On Glass)などの塗布型絶縁膜形成用組成物などの無機系充填材、インジウム、はんだ、金属ペースト(例えば、銀ペースト)などの金属材料、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性ポリマ等を適用することができる。
また、充填層14には、必要に応じて、添加物を分散混合してもよい。添加物としては、例えば熱伝導性の高い物質や導電性の高い物質が考えられる。充填層14部分に熱伝導性の高い添加物を分散混合することにより、充填層14部分の熱伝導率を向上することができ、カーボンナノチューブシート全体としての熱伝導率を向上することができる。また、カーボンナノチューブシートを導電性シートとして用いる場合にあっては、充填層14部分に電導性の高い添加物を分散混合することにより、充填層14部分の導電率を向上することができ、カーボンナノチューブシート全体としての導電率を向上することができる。充填層14として例えば有機系充填材などの熱伝導性の低い絶縁材料を用いる場合には、特に有効である。熱伝導性の高い材料としては、カーボンナノチューブ、金属材料、窒化アルミニウム、シリカ、アルミナ、グラファイト、フラーレン等を適用することができる。電導性の高い材料としては、カーボンナノチューブ、金属材料等を適用することができる。
次に、本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法について図2乃至図5を用いて説明する。
まず、カーボンナノチューブシート10を形成するための土台として用いる基板30を用意する。基板30としては、特に限定されるものではないが、シリコン基板などの半導体基板、アルミナ(サファイア)基板、MgO基板、ガラス基板などを用いることができる。また、これら基板上に薄膜が形成されたものでもよい。例えば、シリコン基板上に膜厚300nm程度のシリコン酸化膜が形成されたものを用いることができる。
基板30は、カーボンナノチューブシート10の形成後に剥離されるものである。この目的のもと、基板30としては、少なくともカーボンナノチューブシート10に接する面が、カーボンナノチューブシート10から容易に剥離できる材料によって形成されていること、又はカーボンナノチューブシート10に対して選択的にエッチングできる材料によって形成されていることが望ましい。
例えば、充填層14の材料としてアクリル樹脂を用いる場合、基板30の表面に、アクリル樹脂に対する接着力の弱い材料、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを形成しておく。これにより、カーボンナノチューブシート10を容易に剥離することができる。或いは、基板30の表面を、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜など、カーボンナノチューブシート10に対して選択的にエッチングが可能な材料で形成しておく。これにより、この膜をエッチング除去することにより、カーボンナノチューブシート10を基板30から遊離させることができる。
次いで、基板30の所定の領域上に、例えばリフトオフ法により、触媒金属膜32を選択的に形成する(図2(a))。例えば、触媒金属膜32の形成予定領域を露出するフォトレジスト膜を形成後、全面に触媒金属膜32を堆積し、触媒金属膜32の形成予定領域以外の触媒金属膜32を、フォトレジスト膜とともに除去する。
触媒金属膜32を形成する領域は、カーボンナノチューブ束18の形成予定領域(図1(b)の領域16に相当)であり、例えば図3に示すようなストライプパターンを有する。触媒金属膜32を形成する領域16のパターンとしては、図3に示すようなストライプパターンのほか、図4に示すような矩形パターンをマトリクス状に配置したパターンや、図5に示すような円形パターンをマトリクス状に配置したパターンなど、種々のパターンを適用することができる。
触媒金属としては、Feのほか、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白金)又はこれらのうち少なくとも一の材料を含む合金を用いてもよい。また、触媒として、金属膜以外に、微分型静電分級器(DMA:differential mobility analyzer)等を用い、予めサイズを制御して作製した金属微粒子を用いてもよい。この場合も、金属種については薄膜の場合と同様でよい。
また、これら触媒金属の下地膜として、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、TaN(窒化タンタル)、TiSix(チタンシリサイド)、Al(アルミニウム)、Al2O3(酸化アルミニウム)、TiOx(酸化チタン)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Cu(銅)、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、TiN(窒化チタン)などの膜又はこれらのうち少なくとも一の材料を含む合金の膜を形成してもよい。例えば、Fe(2.5nm)/Al(10nm)の積層構造、Co(2.6nm)/TiN(5nm)の積層構造等を適用することができる。金属微粒子を用いる場合は、例えば、Co(平均直径:3.8nm)/TiN(5nm)などの積層構造を適用することができる。
なお、触媒金属膜32を形成する方法は、リフトオフ法に限定されるものではない。例えば、カーボンナノチューブ束18の形成予定領域に開口部を有するメタルマスクを用い、このメタルマスクにより基板30の表面を覆った状態で触媒金属をスパッタすることにより、カーボンナノチューブ束18の形成予定領域に選択的に触媒金属膜32を形成してもよい。
次いで、基板30上に、例えばホットフィラメントCVD法により、触媒金属膜32を触媒として、カーボンナノチューブ12を成長する。カーボンナノチューブ12の成長条件は、例えば、原料ガスとしてアセチレン・アルゴンの混合ガス(分圧比1:9)を用い、成膜室内の総ガス圧を1kPa、ホットフィラメント温度を1000℃、成長時間を20分とする。これにより、層数が3〜6層(平均4層程度)、直径が4〜8nm(平均6nm)、長さが80μm(成長レート:4μm/min)の多層カーボンナノチューブを成長することができる。なお、カーボンナノチューブ12は、熱CVD法やリモートプラズマCVD法などの他の成膜方法により形成してもよい。また、成長するカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでもよい。また、炭素原料としては、アセチレンのほか、メタン、エチレン等の炭化水素類や、エタノール、メタノール等のアルコール類などを用いてもよい。
こうして、基板30の触媒金属膜32が形成された領域16上に、基板30の法線方向に配向(垂直配向)した複数のカーボンナノチューブ12を有するカーボンナノチューブ束18を選択的に形成する(図2(b))。なお、上記の成長条件で形成したカーボンナノチューブ束18では、カーボンナノチューブ束18内のカーボンナノチューブ12の密度は、1×1011本/cm2程度であった。
次いで、このように成長したカーボンナノチューブ12を、基板30上に寝かせるように水平方向に倒す(図2(c))。垂直方向に配向成長したカーボンナノチューブ12を水平方向に倒す方法としては、カーボンナノチューブ12を液体や気体などの流体に曝す方法を適用することができる。例えば、カーボンナノチューブ12を成長した基板30上に流体(例えばエタノールなどの液体)を一方向に流すことで、カーボンナノチューブ12を液体の流れる方向と同一の方向に倒すことができる。或いは、スピンコータの遠心力による流体の流れを利用してカーボンナノチューブ12を倒すこともできる。或いは、後述する第3実施形態の方法を用いても、カーボンナノチューブ12を同一の方向に倒すことができる。
なお、流体を用いてカーボンナノチューブを水平方向に倒す方法は、例えば同一出願人による特願2007−193823号明細書等に詳述されている。
本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法では、カーボンナノチューブ束18の形成領域(領域16)間に間隙を設けている。これにより、カーボンナノチューブ12を倒れやすくすることができる。カーボンナノチューブ束18のパターンとして、図3に示すようなストライプパターンを用いる場合、カーボンナノチューブ12を倒す方向は、ストライプパターンの繰り返し周期の方向が望ましい。これにより、カーボンナノチューブ12を一方向に倒れやすくできる。
領域16の大きさ及び間隔は、図3のパターンの場合、カーボンナノチューブ12を倒す方向と平行な方向の領域16の幅を例えば1〜50μm程度に、カーボンナノチューブ12を倒す方向と垂直な方向の領域16の幅を例えば1μm〜20mm程度に、カーボンナノチューブ12を倒す方向と平行な方向の領域16の間隔を例えば1〜100μm程度に、それぞれ設定することができる。また、図4及び図5のパターンの場合、カーボンナノチューブ12を倒す方向と平行な方向の領域16の幅を例えば1〜50μm程度に、カーボンナノチューブ12を倒す方向と垂直な方向の領域16の幅を例えば1〜50μm程度に、カーボンナノチューブ12を倒す方向と平行な方向の領域16の間隔を例えば1μm〜100μm程度に、カーボンナノチューブ12を倒す方向と垂直な方向の領域16の間隔を例えば1μm〜20mm程度に、それぞれ設定することができる。
但し、領域16の大きさ及び間隔は、カーボンナノチューブ12の倒れやすさを考慮して、カーボンナノチューブ束18に含まれるカーボンナノチューブ12の密度や、カーボンナノチューブシート10に必要とされる熱伝導度及び電気伝導度等に応じて適宜設定することが望ましい。
次いで、例えばスピンコート法により、充填層14となる充填材を塗布する。充填層14の構成材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの有機系充填材、SOG(Spin On Glass)などの塗布型絶縁膜形成用組成物などの無機系充填材、インジウム、はんだ、金属ペースト(例えば、銀ペースト)などの金属材料、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性ポリマ等を適用することができる。
なお、カーボンナノチューブ12を倒すことにより、倒れたカーボンナノチューブ12は凝集する。このため、カーボンナノチューブ12の密度等によっては、凝集したカーボンナノチューブ12の間隙に充填材が充填されず、シートの上面だけを覆うようなかたちとなる。この場合には、カーボンナノチューブシート10の一方の面の全面に、カーボンナノチューブ12が露出する。
次いで、充填材を硬化し、充填層14を形成する(図2(d))。例えば、充填材としてアクリル樹脂等の光硬化性の材料を用いる場合には、光照射によって充填材を硬化させることができる。また、充填材としてエポキシ樹脂やシリコーン系樹脂などの熱硬化性の材料を用いる場合には、熱処理によって充填材を硬化させることができる。エポキシ樹脂の場合、例えば150℃、1時間の熱処理により、熱硬化することができる。また、シリコーン系樹脂の場合、例えば200℃、1時間の熱処理により、熱硬化することができる。
なお、充填層14を金属材料により形成する場合には、めっき法により充填層14を形成することもできる。
次いで、カーボンナノチューブ12が埋め込まれた充填層14を基板30から剥離し、カーボンナノチューブシート10を得る。
この際、基板30の表面がカーボンナノチューブシート10を容易に剥離できる材料により形成されている場合、例えば、基板30の表面にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜が形成されており、充填層14がアクリル樹脂により形成されている場合などには、カーボンナノチューブシート10から基板30を容易に剥離することができる。
或いは、基板30の表面に、カーボンナノチューブシート10を容易に剥離することはできないが、カーボンナノチューブシート10に対して選択的にエッチングできる層が形成されている場合、例えば基板30の表面にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜が形成されており、充填層14がエポキシ樹脂により形成されている場合などには、このシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を、弗酸水溶液や熱リン酸などを用いたウェットエッチングにより除去することにより、カーボンナノチューブシート10を基板30から遊離させることができる。
基板30の表面が、カーボンナノチューブシート10を容易に剥離することができず、選択的に除去することもできない材料により形成されている場合、例えば基板30がサファイア基板であり、充填層14がシリコーン系樹脂により形成されている場合には、基板30とカーボンナノチューブシート10との間に鋭利な刃物を入れることにより、カーボンナノチューブシート10を基板30から剥離することができる。
剥離前、カーボンナノチューブ束12は基板30に直に接しているため、剥離したカーボンナノチューブシート10の基板30側の面には、カーボンナノチューブ束12が露出する。
このように、本実施形態によれば、シートの面に水平な方向への熱伝導度及び電気伝導度の高いシートを形成することができる。また、シートの一方の面にはカーボンナノチューブが露出しているため、シートの被着体に対する熱伝導度及び電気伝導度を向上することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態によるカーボンナノチューブシート及びその製造方法について図6及び図7を用いて説明する。なお、図1乃至図5に示す第1実施形態によるカーボンナノチューブシート及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図6は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す概略断面図及び平面図、図7は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法を示す工程断面図である。
まず、本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造について図6を用いて説明する。図6(a)は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す概略断面図であり、図6(b)は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す平面図である。
本実施形態によるカーボンナノチューブシート10は、図6(a)に示すように、複数のカーボンナノチューブ12が、絶縁材料の充填層14内に埋め込まれた構造を有している。充填層14の一方の面には、絶縁膜34が形成されている。絶縁膜34には開口部36,38が設けられている。
カーボンナノチューブ12は、複数の組に分けられており、それぞれの組がカーボンナノチューブ束18を形成している。カーボンナノチューブ束18の一方の端部は、開口部36内に露出している。各カーボンナノチューブ12は、当該一方の端部から他方の端部に向かうにつれ、配向方向が、シートの面に垂直な方向(図面において縦方向)からシートの面に水平な方向(図面において横方向)に変化している。すなわち、カーボンナノチューブ12は、当該一方の端部近傍で倒れるように折れ曲がっている。全体的に見ると、複数のカーボンナノチューブ12は、シートの面に水平な一方向に配向している。カーボンナノチューブ束18の他方の端部は、開口部36又は開口部38内に露出している。
カーボンナノチューブシート10を平面的に見ると、図6(b)に示すように、カーボンナノチューブ束18は、開口部36と開口部38との間又は開口部36と開口部36との間を接続するように配置されている。すなわち、各カーボンナノチューブ束18は、開口部36,38間を電気的に接続する配線として機能する。したがって、このようなカーボンナノチューブシート10を形成することにより、このシートを配線シートとして用いることができる。
充填層14の構成材料としては、絶縁材料、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの有機系充填材、SOGなどの塗布型絶縁膜形成用組成物などの無機系充填材等を適用することができる。
次に、本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法について図7を用いて説明する。なお、各構成部分の構成材料や詳細な製造方法は、第1実施形態の場合と同様である。
まず、カーボンナノチューブシート10を形成するための土台として用いる基板30を用意する。
次いで、基板30の所定の領域上に、例えばリフトオフ法により、触媒金属膜32を選択的に形成する。触媒金属膜32を形成する領域は、カーボンナノチューブ束18の形成予定領域(図6の開口部36の形成領域に相当)である。触媒金属膜32の形成領域は、製造しようとするシートの配線パターンに応じて適宜設定する。
次いで、触媒金属膜32が形成された基板30上に、酸化チタン膜の絶縁膜34を形成する。絶縁膜34は、例えば、酸化チタン塗布液を基板30上に塗布した後、200℃のプリベークを行うことにより形成することができる。
次いで、フォトリソグラフィ及び弗酸を用いたウェットエッチングにより、絶縁膜34をパターニングし、絶縁膜34に、触媒金属膜32を露出する開口部36と、触媒金属膜32が形成された領域以外の領域の基板30を露出する開口部38を形成する(図7(a))。
次いで、基板30上に、例えばホットフィラメントCVD法により、触媒金属膜32を触媒として、カーボンナノチューブ12を成長する。こうして、基板30の触媒金属膜32が形成された領域上に、基板30の法線方向に配向(垂直配向)した複数のカーボンナノチューブ12を有するカーボンナノチューブ束18を選択的に形成する(図7(b))。
次いで、このように成長したカーボンナノチューブ束18を、例えば液体や気体などの流体に曝すことにより、基板30上に寝かせるように水平方向に倒す(図7(c))。このとき、倒したカーボンナノチューブ束18の上端部が、開口部38上に位置するように、開口部36,38のパターンやカーボンナノチューブ束18の高さ等を適宜設定しておく。
次いで、例えばスピンコート法により、充填層14となる充填材を塗布する。
次いで、充填材を硬化し、充填層14を形成する(図7(d))。
次いで、カーボンナノチューブ12が埋め込まれた充填層14を基板30から剥離し、本実施形態によるカーボンナノチューブシート10を得る(図7(e))。
このように、本実施形態によれば、充填層中にカーボンナノチューブが埋め込まれてなり、少なくともシートの一方の面にカーボンナノチューブの両端部が露出しているとともに、全体的に見るとカーボンナノチューブがシートの面に水平な一方向に配向しているカーボンナノチューブシートを形成するので、シートの面に水平な方向への電気伝導度の高い配線シートシートを形成することができる。また、シートの一方の面にはカーボンナノチューブが露出しているため、シートの被着体に対する電気伝導度を向上することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるカーボンナノチューブシート及びその製造方法について図8乃至12を用いて説明する。なお、図1乃至図7に示す第1及び第2実施形態によるカーボンナノチューブシート及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図8は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造を示す概略断面図、図9は本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法を示す工程断面図、図10はカーボンナノチューブ束の平面レイアウトの例を示す平面図、図11はカーボンナノチューブ束を傾ける方法を示す概略図、図12はカーボンナノチューブ束を傾ける前と傾けた後における形状を示す電子顕微鏡写真である。
はじめに、本実施形態によるカーボンナノチューブシートの構造について図8を用いて説明する。
本実施形態によるカーボンナノチューブシート10は、図8(a)に示すように、複数のカーボンナノチューブ束18が、樹脂材料や金属材料等の充填層14内に埋め込まれた構造を有している。
複数のカーボンナノチューブ束18は、カーボンナノチューブシート10の一方の面側(図面において下側)から他方の面側(図面において上側)に向けて、シートの面に垂直な方向と交わる同一の方向に傾くように配向している。各カーボンナノチューブ束18の両端部は、カーボンナノチューブシート10の表面に露出している。傾斜した方向に隣接するカーボンナノチューブ束18同士は、少なくとも一方の端部(図面において上側)近傍において互いに接触している。
各カーボンナノチューブ束18は、カーボンナノチューブ束18の配向方向に沿って配向した複数のカーボンナノチューブ(図示せず)を有している。各カーボンナノチューブ束18に含まれるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれでもよい。カーボンナノチューブ束18に含まれるカーボンナノチューブ12の密度は、放熱性及び電気伝導性の観点から、1×1010本/cm2以上であることが望ましい。カーボンナノチューブ12の長さは、カーボンナノチューブシート10の用途によって決まり、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm〜500μm程度の値に設定することができる。
充填層14の構成材料には、第1及び第2実施形態によるカーボンナノチューブシートの場合と同様の材料を適用することができる。
このように、本実施形態によるカーボンナノチューブシート10では、カーボンナノチューブ束18がシートの一方の面側から他方の面側に向かうように配向している。したがって、配向方向に沿った熱伝導度及び電気伝導度が高いというカーボンナノチューブの特性を十二分に発揮し、シートの膜厚方向の熱伝導性・電気伝導性に優れたカーボンナノチューブシートを実現することができる。
また、カーボンナノチューブ束18の両端部は、カーボンナノチューブシート10の表面に露出している。これにより、カーボンナノチューブシート10を放熱体又は発熱体と接触したとき、カーボンナノチューブ束18と放熱体又は発熱体とを充填層14を介さずに接触できるため、熱伝導効率を大幅に高めることができる。なお、カーボンナノチューブ束18の両端部を充填層が100nm以下で覆っている場合は同様である。
また、カーボンナノチューブは導電性をも有しているため、カーボンナノチューブ束18の両端部が充填層14により覆われていないことにより、カーボンナノチューブ束18を、シートを貫く配線体として用いることもできる。すなわち、本実施形態によるカーボンナノチューブシート10は、熱伝導シートとしてのみならず、縦型配線シートとしても利用可能である。
また、本実施形態によるカーボンナノチューブシート10では更に、カーボンナノチューブ束18がシートの面に垂直な方向と交わる方向に傾斜して配向しており、傾斜した方向に隣接するカーボンナノチューブ束18同士は、少なくとも一方の端部近傍において互いに接触している。これにより、シートの面に垂直な方向の熱伝導性及び電気伝導性を更に高めるとともに、シートの面に平行な方向の熱伝導性及び電気伝導性をも向上することができる。
複数のカーボンナノチューブ束18を成長する場合、必ずしも総てのカーボンナノチューブ束18の長さが等しいとは限らない。カーボンナノチューブ束18の長さにばらつきが生じると、長いカーボンナノチューブ束18だけが被着体に接触することとなり、他のカーボンナノチューブ束18を熱伝導体・電気伝導体として利用できない虞がある。
隣接するカーボンナノチューブ束18同士を互いに接触させることにより、被着体に直接接触しないカーボンナノチューブ束18を、他のカーボンナノチューブ束18を介して間接的に熱伝導体・電気伝導体として機能させることができる。また、後述の製造方法を用いることにより、傾斜したカーボンナノチューブ束18の高さの均一性を高めることができ、被着体に対する接触面積を増加することができる。また、カーボンナノチューブ束18を傾斜させることには、カーボンナノチューブ束18の密度を向上する効果もある。このような種々の効果により、シートの面に垂直な方向の熱伝導性及び電気伝導性を更に高めることができる。
また、隣接するカーボンナノチューブ束18同士が接触することで、シートの面に平行な方向にもカーボンナノチューブ束18を介した熱伝導及び電気伝導のパスが形成され、シートの面に平行な方向の熱伝導性及び電気伝導性をも向上することができる。
本実施形態によるカーボンナノチューブシート10には、例えば図8(b)に示すように、カーボンナノチューブ束18の一方の端部(図面において上側)上に形成された被膜20や、カーボンナノチューブ束の他方の端部(図面において下側)上に形成された被膜22を設けるようにしてもよい。被膜20,22は、いずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
被膜20,22には、カーボンナノチューブ束18と被着体との接触面積を増加する効果や、隣接するカーボンナノチューブ束18同士の接続をより確実にする効果がある。したがって、被膜20,22を設けることにより、カーボンナノチューブシート10と被着体との間の接触熱抵抗・接触抵抗を低減することができる。
被膜20,22の構成材料は、充填層14の構成材料よりも熱伝導率の高い材料であれば、特に限定されるものではない。充填層14の構成材料よりも熱伝導率の高い種々の絶縁性材料や導電性材料を適用することができる。カーボンナノチューブシート10を電気伝導用途に用いる場合には、導電性を有する材料、例えば、金属や合金等を適用することができる。被膜20,22の構成材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)等を用いることができる。また、被膜14は、単層構造である必要はなく、例えばチタン(Ti)と金(Au)との積層構造など、2層或いは3層以上の積層構造であってもよい。
次に、本実施形態によるカーボンナノチューブシートの製造方法について図9乃至12を用いて説明する。なお、各構成部分の構成材料や詳細な製造方法は、第1実施形態の場合と同様である。
まず、カーボンナノチューブシート10を形成するための土台として用いる基板30を用意する。
次いで、基板30上に、例えばリフトオフ法により、触媒金属膜32を選択的に形成する。触媒金属膜32を形成する領域は、カーボンナノチューブ束18の形成予定領域である。
触媒金属32の平面的なレイアウトは、特に限定されるものではないが、例えば図10に示すようなレイアウトを適用することができる。図10(a)に示すレイアウトは、正方格子の頂点にそれぞれカーボンナノチューブ束18の形成領域を配置したものである。図10(b)に示すレイアウトは、カーボンナノチューブ束18の形成領域を細密充填配列したものである。
次いで、基板30上に、例えばホットフィラメントCVD法により、触媒金属膜32を触媒として、カーボンナノチューブを成長する。こうして、基板30の触媒金属膜32が形成された領域上に、基板30の法線方向に配向(垂直配向)した複数のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ束18を選択的に形成する(図9(b))。
次いで、このように成長したカーボンナノチューブ束18を、シートの面に垂直な方向と交わる方向に傾ける(図9(c))。
本実施形態では、カーボンナノチューブ束18を傾ける際に、基板30の表面に対して均一な圧力を印加できるとともに、圧力を印加した状態で基板30を水平方向に移動させることができる装置を用いる。このような装置としては、特に限定されるものではないが、例えばフリップチップボンダ装置を利用することができる。ここでは、フリップチップボンダ装置を用いた場合を例にして、カーボンナノチューブ束18を傾ける方法について説明するものとする。
まず、カーボンナノチューブ束18を成長した基板30を、フリップチップボンダ装置のステージ24上に載置する(図11参照)。
次いで、フリップチップボンダ装置の加圧ヘッド26により、カーボンナノチューブ束18上から基板30の表面に対して垂直な方向(図において下方向)に、〜数N/cm2程度の第1の圧力を印加する(図11参照)。加圧ヘッド26は、例えば図11に示すように、基板30に対して平行な表面を有している。
次いで、カーボンナノチューブ束18に第1の圧力を印加した状態で、基板30の表面に平行な第1の方向(図において右方向)に数十ミクロン程度、例えば30μm、加圧ヘッド26を移動する(図11参照)。
次いで、加圧ヘッド26により印加する圧力を、第1の圧力から、第1の圧力よりも高い10〜50N/cm2程度の第2の圧力に増加する。この際、第1の圧力から第2の圧力へ断続的に変化してもよいし、第1の圧力から第2の圧力に連続的に徐々に変化してもよいし、第1の圧力から第2の圧力に段階的に徐々に変化してもよい。
次いで、カーボンナノチューブ束18に第2の圧力を印加した状態で、基板30の表面に平行な第1の方向に更に数ミリ程度、例えば2mm、加圧ヘッド26を移動する。
このようにして、カーボンナノチューブ束18への圧力の印加と加圧ヘッド26の移動とを行うにより、カーボンナノチューブ束18を第1の方向に傾け、隣接するカーボンナノチューブ束18同士を接続することができる。
上述の方法では、カーボンナノチューブ束18に印加する圧力と加圧ヘッドの移動とを2段階で行っている。これは、カーボンナノチューブ束18が破壊されるのを防止しつつ、カーボンナノチューブ束18を所望の形状まで傾けるためである。
カーボンナノチューブ束18が垂直配向した初期の状態で垂直方向に圧力を印加する場合、印加する圧力が強すぎるとカーボンナノチューブ束18が潰れたり折れたりして破壊されることがある。そこで、まず第1段階として、カーボンナノチューブ束18が破壊されない圧力でカーボンナノチューブ束18の上端に加圧ヘッド26を押し付け、カーボンナノチューブ束18に加圧ヘッド26を密着させる。そして、この状態で加圧ヘッド26を水平方向に移動させることにより、カーボンナノチューブ束18を僅かに傾ける。なお、カーボンナノチューブ束18上には加圧ヘッド26が接しているため、カーボンナノチューブ束18を傾けることには、カーボンナノチューブ束18の高さばらつきを均一化する効果もある。
カーボンナノチューブ束18が傾くと、カーボンナノチューブ束18に加わる圧力が分散されるため、カーボンナノチューブ束18が破壊されることなくより高い圧力を印加することができるようになる。そこで第2段階として、第1の圧力よりも高い第2の圧力でカーボンナノチューブ束18の上端に加圧ヘッド26を押し付け、この状態で加圧ヘッド26を水平方向に移動させることにより、カーボンナノチューブ束18を所望の形状まで傾ける。
カーボンナノチューブ束18に印加する圧力、加圧ヘッド26の移動方向や移動量は、フリップチップボンダ装置でモニタしながら制御することができる。
長さ100μm、面密度1×1011/cm2のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ束を2×3cm2の大きさの基板30上に63%の面積割合で形成した試料について本願発明者等が検討したところでは、第1の圧力として、数N/cm2程度、例えば3N/cm2の圧力が好適であった。また、第2の圧力として、数十N/cm2程度、例えば40N/cm2の圧力が好適であった。
なお、カーボンナノチューブ束18に印加する第1及び第2の圧力は、カーボンナノチューブ束18が破壊されないように、カーボンナノチューブ束18の長さ、カーボンナノチューブ束18内のカーボンナノチューブの面密度やカーボンナノチューブ束18の面密度等に応じて適宜設定することが望ましい。また、加圧ヘッド26の水平移動距離も、カーボンナノチューブ束18の長さ、カーボンナノチューブ束18に必要な傾斜度合い等に応じて適宜設定することが望ましい。
上記説明では、カーボンナノチューブ束18を傾ける際に加圧ヘッド26を移動するとしたが、加圧ヘッド26は、基板30に対する相対的な位置を移動すればよい。すなわち、ステージ24を固定して加圧ヘッド26を移動してもよいし、加圧ヘッド26を固定してステージ24を移動してもよいし、ステージ24と加圧ヘッド26とを互いに反対方向に移動してもよい。
加圧ヘッド26の移動方向は、カーボンナノチューブ束18を傾ける方向に応じて適宜設定することができる。加圧ヘッドの移動方向をカーボンナノチューブ束18のレイアウトに応じて選択すれば、カーボンナノチューブ束18の接続方向を任意に設定することもできる。
例えば図10(a)に示すような平面レイアウトでカーボンナノチューブ束18が配置されている場合、例えばx軸方向に平行に加圧ヘッド26を移動する。こうすることで、x軸方向に隣接するカーボンナノチューブ束18同士が接続され、y軸方向に隣接するカーボンナノチューブ束18が接続されていない構造を形成することができる。
或いは、例えば図10(b)に示すような平面レイアウトでカーボンナノチューブ束18が配置されている場合には、どの方向に加圧ヘッド26を移動することによっても、総てのカーボンナノチューブ束18が接続された構造を形成することができる。
加圧ヘッド26の移動方向は、必ずしも一方向でなくてもよい。例えば、図10(a)に示すような平面レイアウトでカーボンナノチューブ束18が配置されている場合、第1段階として、x軸方向に加圧ヘッド26を移動して、x軸方向に隣接するカーボンナノチューブ束18同士を接続する。次いで、第2段階として、y軸方向に加圧ヘッド26を移動して、y軸方向に隣接するカーボンナノチューブ束18同士を接続する。これにより、総てのカーボンナノチューブ束が接続された構造を形成することができる。
図12は、カーボンナノチューブ束18を傾ける前及び傾けた後の構造を示す電子顕微鏡写真である。図12(a)は傾ける前であり、図12(b)は傾けた後である。
図12(a),(b)に示される円筒形の構造体が、カーボンナノチューブ束18である。カーボンナノチューブ束18を傾ける前は、図12(a)に示すように、隣接するカーボンナノチューブ束18は互いに接触していない。これに対し、カーボンナノチューブ束18を傾けることにより、図12(b)に示すように、隣接するカーボンナノチューブ束18が互いに接触していることが判る。
次いで、このようにしてカーボンナノチューブ束18を傾けた後、例えばスピンコート法により充填層14となる充填材を塗布し、この充填材を硬化することにより、カーボンナノチューブ束18の間隙に充填された充填層14を形成する(図9(d))。
なお、充填層14の硬化後、カーボンナノチューブ束18の上端部が充分に露出していない又は充填層14によって覆われている場合には、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)、酸素プラズマアッシング、アルゴンイオンミリング等によって、カーボンナノチューブ束18の上の充填層14を除去するようにしてもよい。
カーボンナノチューブ束18の上端上に被膜20を形成する場合には、例えば図9(c)に示す工程の後或いは図9(d)に示す工程の後に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚50nmのAu(金)膜を堆積し、被膜20を形成する。
次いで、カーボンナノチューブ束18が埋め込まれた充填層14を、基板30から剥離する。
次いで、剥離したカーボンナノチューブシート10の基板側の面にカーボンナノチューブ束18が露出していない場合には、例えばアッシング等により、カーボンナノチューブ束18の端部を覆う充填層14を除去する。
カーボンナノチューブ束18の下端上に被膜22を形成する場合には、例えばスパッタ法により、例えば膜厚50nmのAu膜を堆積し、被膜22を形成する。
なお、本実施形態の図面では、カーボンナノチューブ束18の下端に、成長の際に用いた触媒金属膜32が形成されている状態を示している。触媒金属膜32は、カーボンナノチューブの成長の際に凝集化してカーボンナノチューブ内に取り込まれるため、実際には図示するような状態で残存してはおらず、シートの下面にはカーボンナノチューブ束18が露出する。また、触媒金属膜32は、基板30を剥離する際に同時に除去されることもある。
こうして、本実施形態のカーボンナノチューブシート10を完成する。
このように、本実施形態によれば、カーボンナノチューブ束がシートの一方の面から他方の面に向けて配向しているとともに、隣接するカーボンナノチューブ束同士が接続されているので、シートの面に垂直な方向及びシートの面に水平な方向への熱伝導度及び電気伝導度の高いシートを形成することができる。また、シートの表面にカーボンナノチューブ束が露出しているため、シートの被着体に対する熱伝導度及び電気伝導度を向上することができる。
また、カーボンナノチューブ束を傾けて隣接するカーボンナノチューブ束同士を接続する際、カーボンナノチューブ束に印加する圧力と加圧ヘッドの移動とを、2段階のステップで行うので、カーボンナノチューブ束が破壊されるのを防止しつつ、カーボンナノチューブ束18を所望の形状まで傾けることができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による電子機器について図13を用いて説明する。
図13は本実施形態による電子機器の構造を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1又は第3実施形態によるカーボンナノチューブシートを放熱シートとして適用した電子機器について説明する。
多層配線基板などの回路基板40上には、例えばCPUなどの半導体素子46が実装されている。半導体素子46は、はんだバンプ42を介して回路基板40に電気的に接続されており、多層配線基板40と半導体素子46との間にはアンダーフィル44が充填されている。
半導体素子46上には、半導体素子46を覆うように、半導体素子46からの熱を拡散するためのヒートスプレッダ50が形成されている。半導体素子46とヒートスプレッダ50との間には、第1又は第3実施形態によるカーボンナノチューブシート48が形成されている。
ヒートスプレッダ50上には、ヒートスプレッダ50に伝わった熱を放熱するためのヒートシンク54が形成されている。ヒートスプレッダ50とヒートシンク54との間には、第1又は第3実施形態によるカーボンナノチューブシート52が形成されている。
このように、本実施形態による電子機器では、半導体素子46とヒートスプレッダ50との間及びヒートスプレッダ50とヒートシンク54との間に、第1又は第3実施形態によるカーボンナノチューブシート48,52がそれぞれ設けられている。
上述のように、第1実施形態によるカーボンナノチューブシートは、カーボンナノチューブ12がシートの膜面に対して水平方向に配向しており、面内方向の熱伝導度が極めて高いものである。また、第3実施形態によるカーボンナノチューブシートは、カーボンナノチューブ束18がシートの一方の面から他方の面に向けて配向しているとともに、隣接するカーボンナノチューブ束18同士が接続されており、面直方向及び面内方向の熱伝導度が極めて高いものである。
したがって、第1又は第3実施形態によるカーボンナノチューブシートを、半導体素子46とヒートスプレッダ50との間及びヒートスプレッダ50とヒートシンク54との間に形成する熱伝導シートとして用いることにより、半導体素子46から発せられた熱を効率よく広げてヒートスプレッダ50及びヒートシンク54に伝えることができ、放熱効率を高めることができる。これにより、電子機器の信頼性を向上することができる。
このように、本実施形態によれば、半導体素子とヒートスプレッダとの間及びヒートスプレッダとヒートシンクとの間に、第1又は第3実施形態によるカーボンナノチューブシートを配置するので、これらの間の熱伝導度を大幅に向上することができる。これにより、半導体素子から発せられる熱の放熱効率を高めることができ、電子機器の信頼性を向上することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による電子機器について図14を用いて説明する。
図14は、本実施形態による電子機器の構造を示す概略断面図である。
本実施形態では、第3実施形態によるカーボンナノチューブシートを、導電性シートを兼ねる熱伝導性シートとして適用した電子機器について説明する。
図14に示すように、無線通信基地局などに用いられる高出力増幅器(HPA:High Power Amplifier)60は、パッケージ62に組み込まれ、パッケージ62の裏面においてヒートシンク64に接合される。高出力増幅器60から発せられた熱は、パッケージ62の裏面を通してヒートシンク64に放熱される。同時に、パッケージ62は、電気的なグラウンド(接地面)としても用いられるものであり、ヒートシンク124に対しても電気的に接続される。このため、パッケージ62とヒートシンク64との接合には、電気及び熱に対する良導体を用いることが望ましい。
したがって、図14に示すように、パッケージ62とヒートシンク64との接合部に、第3実施形態によるカーボンナノチューブシート66を用いることにより、パッケージ62とヒートシンク64とを電気的に接続することができる。また、高出力増幅器60から発せられた熱を効率よくヒートシンク64に伝えることができ、放熱効率を高めることができる。これにより、電子機器の信頼性を向上することができる。
このように、本実施形態によれば、高出力増幅器のパッケージとヒートシンクとの間に、カーボンナノチューブ束18がシートの一方の面から他方の面に向けて配向しているとともに、隣接するカーボンナノチューブ束18同士が接続されている第3実施形態のカーボンナノチューブシートを配置するので、これらの間の熱伝導度を大幅に向上することができる。これにより、半導体素子から発せられる熱の放熱効率を高めることができ、電子機器の信頼性を向上することができる。また、高出力増幅器とグラウンドとしてのヒートシンクとを電気的に接続することもできる。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
また、上記実施形態では、カーボンナノチューブを用いたシート状構造体の例を説明したが、本発明は、炭素元素の線状構造体を用いたシート状構造体に広く適用することができる。炭素元素の線状構造体としては、カーボンナノチューブのほか、カーボンナノワイヤ、カーボンロッド、カーボンファイバが挙げられる。これら線状構造体は、サイズが異なるほかは、カーボンナノチューブと同様である。これら線状構造体を用いたシート状構造体においても、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態に開示の構成材料や製造条件は、当該開示内容に限定されるものではなく、目的等に応じて適宜変更が可能である。
また、上記第1及び第2実施形態では、総てのカーボンナノチューブを基板の表面に垂直な方向に交わる同方向に配向させたカーボンナノチューブシートを示したが、総てのカーボンナノチューブが必ずしも同じ方向に配向していなくてもよい。例えば、ある点から放射線状にカーボンナノチューブを配向させるようにしてもよい。このようなシートは、例えばスピンコータ等を用いて放射線方向に流体を流すことにより形成することができる。
また、カーボンナノチューブシートの使用目的も、上記実施形態に開示のものに限定されるものではない。例えば、熱伝導シートとしては、例えば、CPUの放熱シート、無線通信基地局用高出力増幅器、無線通信端末用高出力増幅器、電気自動車用高出力スイッチ、サーバー、パーソナルコンピュータなどへの適用が考えられる。また、カーボンナノチューブの高い許容電流密度特性を利用して、縦型配線シートやこれを用いた種々のアプリケーションにも適用可能である。