JP5012033B2 - スレッドとその製造方法および偽造防止用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止が要望される分野に好適なスレッド(ストリップ、フィラメント、糸状物、安全帯片、等とも称される)とその製造方法および偽造防止用紙に関する。
より詳しくは、短冊形を成し且つ光透過性を持つ基材の片側の面に、少なくとも、文字または模様の片方または両方によるパターン状に形成された1以上の金属薄膜層、及び、該金属薄膜層のそれぞれの上にそれぞれの金属薄膜層と同様のパターン状に形成され且つ通常光のもとでは無色であり、電磁波の照射で蛍光を発する樹脂層(以下、「通常光のもとでは無色であり、電磁波の照射で蛍光を発する樹脂層」を単に「蛍光を発する樹脂層」という)を備え、該金属薄膜層が有る領域と、該金属薄膜層が無い領域との光透過性の違いによって、光に翳したときに前者と後者との間でコントラストが生じること、且つ、該基材の、該金属薄膜層および蛍光を発する樹脂層が備わった側から観察すると、該パターン状の蛍光を発する樹脂層を視認できること、を特徴とするスレッドとその製造方法、そのスレッドを抄き込んだスレッド入り紙でなる偽造防止用紙に関する。
また、スレッドについては、偽造防止対策の分野以外で美的デザインにも有効で、例えば服飾等の分野で装飾性に優れた製品を提供する場合にも好適である。本発明に関るスレッドは特に、金属薄膜の層が、所望する文字または模様に応じてパターニングされており、上記分野で好適な効果につながる重要な要素の一つになっている。偽造防止性能を考慮して、一般に、この文字は非常に小さなもの(いわゆるマイクロ文字)が採用され易い。
本発明では、特に断りの無い限り、単に文字のみならずここで云う模様のことも含めてマイクロ文字と総称する。尚、金属薄膜層の代表的なパターニング手法は、いわゆるディメタライジング加工である。
紙層内に糸状物を抄き込んだ「スレッド入り紙」と呼ばれる偽造防止用紙はよく知られている。そのスレッド入り紙は製造に極めて高度な技術を必要とするので偽造防止に大きな効果があり、周知のように各国の紙幣等に多く使用されている。
上記スレッド入り紙には大きく分けて2種類あり、その一つはスレッドが用紙内部に抄き込まれ、用紙表面に露出しない種類のものであり、もう一つはスレッドの一部が用紙表面に間欠的に露出した「窓空きスレッド入り紙」と呼ばれるものである。
前者の表面に露出しない用紙を製造する方法としては、長網抄紙機のスライス部分における紙料の流れの中にノズルを入れ、ノズルに水を流しながらスレッドを繰り出し、抄紙網に形成される紙匹中にスレッドを抄き込む方法(例えば、特許文献1参照)や、長網抄紙機のフローボックスから流出する紙料へスレッドの挿入装置を設置し、空気流でスレッドと紙料を非接触状態としながらスレッドを抄き込む方法(例えば、特許文献2参照)、あるいは2層以上を有した円網抄紙機を使用し、2層以上の抄き合わせで、内壁に凹凸を設けた送管を使用してスレッドを紙層間に送り出し、紙層間にスレッドを抄き込む方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
また、後者の「窓空きスレッド入り紙」を製造する方法としては、ワイヤー上の紙料懸濁液に、凹凸部を有するガイドの凸部先端にスレッドを通した溝を有するベルト機構を埋没して製造する方法(例えば、特許文献4参照)や、凹凸状に加工した網を円網抄紙機の上網に使用し、スレッドを網表面の凹凸部に接触させながら挿入して窓空き部分にスレッ
ドを抄き込む方法(例えば、特許文献5参照)や、長網抄紙機のワイヤー上の回転ドラム内に圧縮空気ノズルを内蔵させ、予め紙匹に挿入したスレッド上のスラリーを圧縮空気で間欠的に吹き飛ばしてスレッドを露出させる方法(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。
上記「窓空きスレッド入り紙」は、用紙の流れ方向に間欠的に厚みを薄くした窓空き部を形成し、この窓空き部にスレッドが露出していることが特徴である。従って、表面に接着剤を塗工していないスレッドを使用して製造した用紙では、スレッドの露出部を爪等でこするとスレッドが簡単に剥がれてしまったり、印刷時にスレッドが浮き上がったりするので致命的な欠点となる。このため表面に感熱接着剤を設けたスレッドを使用して窓空きスレッド入り紙を抄紙し、抄紙機の乾燥ゾーンでこの用紙を乾燥する際にスレッドに塗工されている感熱接着剤を溶融若しくは軟化することによって、用紙を構成するセルロース繊維とスレッドとを確実に接着させ、剥離強度を高める対策がとられている。
上記スレッド入り紙に使用するスレッドにも多種多様な構成が提案されている。例えば、ホログラムスレッド、磁気スレッド、紫外線の照射で蛍光発色するスレッド、サーモクロミック剤を塗工したスレッド、金属蒸着スレッド、マイクロ文字入りスレッド等々が実用化されている。
そのうちのマイクロ文字入りスレッドは、プラスチックフィルムに直接箔押しする方法や、真空蒸着装置においてマスク若しくはテンプレートを使用する選択的金属化をする方法、金属化と腐食により非金属化する方法(パスター加工、或いはディメタライジング加工と呼ばれるが、この方法ついては後述する)で製造することが知られている(例えば、特許文献7参照)。
上記「ディメタライジング加工」によりマイクロ文字を形成したスレッドは外国紙幣に多く使用されている。例えば現在の米国のドル紙幣やヨーロッパのユーロ紙幣等ではスレッドが紙層間に埋没する構成の用紙が、ユーロ紙幣に移行する前のドイツの100マルク紙幣等ではスレッドが窓部に間欠的に露出する構成の用紙が採用されている。これらスレッドに形成されたマイクロ文字は、文字本来の見方で言えば正しい向きの「正文字」と表裏と上下が反転した「逆文字」が交互に位置するようになっている(本発明では、特に断りが無ければ、左右が逆向きである)。
このことは、用紙を抄造するときにスレッドが反転しても良いような設計になっていることを意味している。別の言い方をすると、スレッドには表裏の区別をしていないことを意味している。
また、マイクロ文字は文字を形成する部分が金属蒸着層の場合(前記米国ドル紙幣等)と、マイクロ文字を形成する部分が抜き文字になっている場合(前記ドイツ100マルク紙幣等)がある。別の言い方をすると、マイクロ文字には「ポジ型」或いは「ネガ型」があることとなる。
また、スレッドの表裏を区別して用紙に抄き込んだ偽造防止用紙の提案があり、この提案は、用紙の流れ方向にスレッドを抄き込んだ偽造防止用紙において、前記スレッドは、ベースとなるフィルムと、前記フィルムの表面に形成された金属蒸着層からなる正文字のみのマイクロ文字と、前記金属蒸着層の上に形成された透明インクによる印刷層と、前記フィルムの裏面に形成された感熱接着剤層とからなり、前記印刷層を形成するインクには紫外線の照射で発色する染顔料が添加されており、用紙の表側から見た場合に、正文字のマイクロ文字が見えるように前記スレッドが用紙に抄き込んでいることを要旨とする偽造防止用紙であり、このスレッドをかような構成にすることで、スレッドに紫外線を照射し
たときにスレッドの印刷層が発色して見えるか否かを判定することにより、スレッドの表裏面の識別が簡単にできるという効果が得られる。この特許において金属蒸着層からなるマイクロ文字は、いわゆる「ディメタライジング加工」で得られることが述べられている(例えば、特許文献8参照)。
上記特許文献8に提案されたスレッドは、用紙に抄き込まれた際に、用紙のオモテ面から観察した時にスレッドのオモテ面側のマイクロ文字の像が観察されるだけで、用紙の裏面から観察した時にはスレッドに形成されたマイクロ文字は、普通、左右か又は上下が逆になった「逆向き」として観察されることとなる。かような構成のスレッドは、商品券や株券のような場合には一般に、商品価値を特別に低下させる要因になるとは必ずしも限らない。しかしながら、社会や市場(客)のニーズによっては、用紙または印刷物の表裏を同じように使用することが求められる場合、例えばパスポートの本文用紙等のような場合であれば、スレッドのマイクロ文字の像が、用紙のオモテ面と裏面のそれぞれから観察した時にいずれも同じ向き(オモテ面からでも裏面からでも同じ正向き、又は、オモテ面からでも裏面からでも同じ逆向き)に視認できた方が好ましい、とされる場合も大いにありえる。
また、社会や市場(客)のニーズによっては、オモテ面から視認できたスレッドのマイクロ文字の像が、裏面からは視認できない(又は視認し難い)ようにしたい、と云う場合も大いにありえる。これは当然何か見えるはずであろうと云う予想を覆すことから、偽造防止対策の工夫点として、また、遊び心としての楽しみを与えられる工夫点として、有効な場合も期待できる。
本発明者らは、前記課題、即ち、用紙または印刷物の片面と反対面のそれぞれからスレッドのマイクロ文字を観察しようとしたときに、互いに逆向きではなくいずれの面からでも同じ向きにマイクロ文字の像を視認できること、また、用紙または印刷物の片面からスレッドのマイクロ文字の像を視認できたときに、反対面から観察すると該当すべきそのマイクロ文字の像が視認できない(又は視認し難い)こと、これらを満足するスレッドと、その製造方法、そのスレッドを用いた偽造防止用紙、及び偽造防止印刷物、並びに、それら偽造防止用紙または偽造防止印刷物を用いた真贋判定方法を提供するものとして、先に特願2005−202621号として出願した。
この出願の特許請求の範囲第1項に記載の発明は、短冊形を成し且つ光透過性を持つ基材の片側の面に、少なくとも、文字または模様の片方または両方によるパターン状に形成された1以上の金属薄膜層、及び、該金属薄膜層のそれぞれの上にそれぞれの金属薄膜層と同様のパターン状に形成され且つ着色された着色樹脂層を備え、該金属薄膜層が有る領域と、該金属薄膜層が無い領域との光透過性の違いによって、光に翳したときに前者と後者との間でコントラストが生じること、且つ、該基材の、該金属薄膜層および着色樹脂層が備わった側から観察すると、該パターン状の着色樹脂層を視認できること、を特徴とするスレッドであった。
以下に、上記先行技術文献を示す。
特開昭51−130309号公報 特開平2−169790号公報 特公平5−40080号公報 特公平5−85680号公報 米国特許第4462866号公報 特開平6−272200号公報 特公平6−062030号公報(5欄46行〜6欄3行、7欄26行〜8欄12行) 特許第3279212号公報
本発明が解決しようとする課題は、より高度な偽造防止効果を有したスレッドを得ること、及びこのスレッドを使用した偽造防止用紙を得ること、及びこの偽造防止用紙を使用した偽造防止印刷物を得ることである。
本発明者らは、さらに検討を進めた結果、前記特願2005−202621号の発明において、前記正文字や正模様のパターンが基材(2)の表面(オモテ面)または裏面から観察した時に無色として観察されても、紫外線の照射により無彩色若しくは有彩色に蛍光発色して観察される構成にすれば、より高度な偽造防止効果が得られることを見出し本発明を完成させた。
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明は、短冊形を成し且つ光透過性を持つ基材の片側の面に、少なくとも、文字または模様の片方または両方によるパターン状に形成された1以上の金属薄膜層、及び、該金属薄膜層のそれぞれの上にそれぞれの金属薄膜層と同様のパターン状に形成され且つ通常光のもとでは無色であり、電磁波の照射で蛍光を発する樹脂層を備え、該金属薄膜層が有る領域と、該金属薄膜層が無い領域との光透過性の違いによって、光に翳したときに前者と後者との間でコントラストが生じること、且つ、該基材の、該金属薄膜層および蛍光を発する樹脂層が備わった側から観察すると、該パターン状の蛍光を発する樹脂層を視認できること、更に、前記基材の反対側の面に、少なくとも、文字または模様の片方または両方によるパターン状に形成された1以上の金属薄膜層、及び、該金属薄膜層のそれぞれの上にそれぞれの金属薄膜層と同様のパターン状に形成され且つ蛍光を発する樹脂層を備え、該金属薄膜層が有る領域と、該金属薄膜層が無い領域との光透過性の違いによって、光に翳したときに前者と後者との間でコントラストが生じること、且つ、該基材の反対側の面から観察すると、該蛍光を発する樹脂層を該反対側の面のパターン状に視認できること、更に、前記基材の少なくとも一方の面に、接着剤層を形成すること、を特徴とするスレッドとしたものである。
また、請求項2の発明は、前記基材の片側の面に形成されたパターンと、前記基材の反対側の面に形成されたパターンとが、互いに重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスレッドとしたものである。
この請求項2の発明の場合、前記基材の面の片側と反対側との間で、前記パターンが同様である構成が好ましい場合がある。
さらに請求項2の発明の場合、前記基材の面の片側と反対側との間で、前記パターンが異なる構成が好ましい場合がある。
また、請求項3の発明では、前記基材の面の少なくとも片側で、前記蛍光を発する樹脂層の蛍光発色の色が同一色である構成のスレッドを提供するものである。
なお、請求項1や2の発明においては、前記基材の面の少なくとも片側で、前記蛍光を発する樹脂層の蛍光発色の色がパターンによって異なる構成が好ましい場合がある。
さらに、請求項2の発明においては、前記基材の面の片側と反対側の両方とも、前記蛍光を発する樹脂層の蛍光発色の色が同一色である構成が好ましい場合がある。
また、請求項4の発明は、前記基材の面の片側と反対側で互いに、前記蛍光を発する樹
脂層の蛍光発色の色がパターンによって異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスレッドである。
この場合、前記の同様のパターン状に形成された前記金属薄膜層とそれに対応する蛍光を発する樹脂層が1組以上あり、前記基材上にパターンが1列以上並ぶように設けてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの構成が好ましい場合がある。
さらに、前記文字または模様によるパターンが、前記基材の、それに対応する前記金属薄膜層とそれに対応する蛍光を発する樹脂層が設けてある側から観察した場合の正向きで設けてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの構成が好ましい場合がある。
加えて、前記文字または模様によるパターンが、前記基材の、それに対応する前記金属薄膜層とそれに対応する蛍光を発する樹脂層が設けてある側から観察した場合の左右又は上下が逆向きで設けてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの構成が好ましい場合がある。
また、請求項5の発明は、ウェブ状で且つ光透過性を持つ基材の面に、金属の薄膜を成膜することにより前記金属薄膜層を設け、該金属薄膜層の上に前記蛍光を発する樹脂層を印刷法によって所望のパターン状に形成し、該パターン状の蛍光を発する樹脂層を耐エッチング用のマスクとして該金属薄膜層をエッチングすることにより、該金属薄膜層と蛍光を発する樹脂層とが同様のパターン状を成して重なるように形成し、その後、該基材をスレッドの幅になるように切断すること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの製造方法である。
また、請求項6の発明は、短冊形で光透過性を持つ基材の面に、金属の薄膜を成膜することにより前記金属薄膜層を設け、該金属薄膜層の上に前記蛍光を発する樹脂層を印刷法によって所望のパターン状に形成し、その後、該パターン状の蛍光を発する樹脂層を耐エッチング用のマスクとして該金属薄膜層をエッチングすることにより、該金属薄膜層と蛍光を発する樹脂層とが同様のパターン状を成して重なるように形成すること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの製造方法である。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドが、用紙となる紙の中に抄き込まれていることを特徴とする偽造防止用紙である。
また、請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドが、紙に抄き込まれ、紙の表面には露出しておらず、且つ、前記スレッドの前記蛍光を発する樹脂層がある側の該紙の面を反射光で観察したとき、該蛍光を発する樹脂層を前記パターン状に視認できること、を特徴とする構成が好ましい場合がある。
また、請求項7の偽造防止用紙に、偽造防止印刷物としての印刷を施した印刷部が設ける構成が好ましい場合がある。
これら請求項7に記載の偽造防止用紙の発明は、その真贋を判定する方法として、(イ)反射光で前記蛍光を発する樹脂層を前記パターン状に視認できたとき、その反対側の面から反射光で観察すると、該視認できた蛍光を発する樹脂層の左右または上下が逆向きのパターンは視認し難いこと、(ロ)これを光に翳して透過光で観察したときは、前記視認できた蛍光を発する樹脂層のパターンが影となって視認できること、これら(イ)及び(ロ)を確認できるか否かに基づいて判定すること、を特徴とする偽造防止用紙の真贋判定方法に利用可能である。
さらに、この偽造防止印刷物の真贋を判定する方法は、(ハ)反射光で前記蛍光を発する樹脂層を前記パターン状に視認できたとき、その反対側の面から反射光で観察すると、該視認できた蛍光を発する樹脂層の左右または上下が逆向きのパターンは視認し難いこと、(ニ)これを光に翳して透過光で観察したときは、前記視認できた蛍光を発する樹脂層のパターンが影となって視認できること、これら(ハ)及び(ニ)を確認できるか否かに基づいて判定すること、を特徴とする偽造防止印刷物の真贋判定方法に利用可能である。
本発明において、「通常光のもとでは無色であり、電磁波の照射で蛍光を発する樹脂層」(「蛍光を発する樹脂層」)とは、自然光、蛍光灯の光、白熱電球の光、等の通常光の可視光領域以外の波長を有する電磁波、即ち、紫外光や赤外光等の照射により、照射した電磁波の波長とは異なる波長の電磁波を放射する樹脂層を意味する。
なお、本発明において、「蛍光」とは、X線、紫外線、可視光線、赤外線等の電磁波が被照射物に照射されて、そのエネルギーを被照射物が吸収することで電子が励起され、それが基底状態に戻る時に余分なエネルギーを異なった波長の電磁波として放出する現象を言う。蛍光を発した際、その波長が可視光領域の波長であれば、特定の波長に相当する色相が視認されるが、そうでない場合、例えば紫外線や赤外線が発せられると、それを可視画像として視認させる機器で観察することが必要となる。以下、本発明では、蛍光が可視光領域の光として発せられる場合を代表的な例として説明する。
また、本発明において、「視認」とは、機器を使用することなく目視で見ることだけでなく、目視で見ることができなくても、何らかの機器を使用することで検知できることを意味するものとする。例えば後に述べるように、赤外光を可視化できる装置を使用して見えるようにすることも意味するものとする。
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
本発明により、通常の照明下で用紙の表面(オモテ面)と裏面のそれぞれから反射光を観察した時にいずれもマイクロ文字は視認することができず、透過光で観察したときにマイクロ文字を観察でき、且つ紫外線を照射すると反射光で無彩色若しくは有彩色に蛍光発色するマイクロ文字を「正文字」に観察することができるという複雑な偽造防止効果を有するスレッドを製造できる。このスレッドを、例えばパスポートや通帳の本文用紙等に採用すれば、商品価値をあげることになると同時に、高い偽造防止効果も得ることができる。
また(偽造防止)用紙または(偽造防止)印刷物は、反射光で、片面(例えばオモテ面)と反対面(オモテ面に対する裏面)のそれぞれから紫外線の照射下で観察したときに、スレッドのマイクロ文字の蛍光発色された像がいずれの面からでも同じ向きに視認することができる。代表例である冊子型のパスポート、通帳、手帳の類の本文用紙、等に採用すれば、その商品価値を高めたり、また、高い偽造防止効果も期待することができる。
なお、この場合、用紙または印刷物を光に翳して透過光で観察した場合には、当該マイクロ文字の像は、反射光で片面(例えばオモテ面)から視認できた像(前者)と、反射光で反対面(オモテ面に対する裏面)から視認できた像(後者)とが、合成された像を視認することができる。前者と後者のそれぞれは、スレッドの片面のマイクロ文字と反対面のマイクロ文字に対応する。
ここで、両者のマイクロ文字の配置が、例えば、互いに重なることなく、大きさ、形状、傾き、紫外線照射時の蛍光発色、等が同様であれば、視認した人にとっては、実際に同じ像を見ているような錯覚も起す場合もあるので面白みを得られたり、また偽造を困難にする効果も期待できる。他方、両者のマイクロ文字の配置を、例えば、互いに一部/又は全部を重ねたり、及び/又は、大きさ、形状、傾き、紫外線照射時の蛍光発色、等を両者で互いに同様にしたり、あるいは両者で互いに大小相違を与えることにより、前記の場合とはまた違った面白みを与えたり、また、やはり偽造を困難にする効果も期待できる。
また、本発明で得られるスレッドは、偽造防止用紙の用途以外にも用いることができる。例えば、和服用の生地の製造に使用される金銀糸と同様な製造方法、即ち撚り糸の外周方向にスパイラル状にこのスレッドを巻き付けて縫い糸を製造すると、偽造防止を目的とした縫い糸とすることができる。また、この縫い糸を、ブランド物と呼ばれる高級なバッグ等の人目に付かない部分に縫いつけておくと、偽物と本物の区別を容易に行うことができる。尚、そのバッグ等に縫い付ける個所を、例えば、そのバッグ等の人目に付かない部分に縫い付けておくと、真偽判定用としては、なかなか気付かれ難いというメリットも得られる。
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のスレッド(1)を製造するために基材(2)の表面に形成した金属蒸着層(3)の表面に蛍光を発する樹脂層(7)が形成された状態を表す正面図であり、図2は、その一部拡大断面図である。基材(2)の裏面には、図1では図示できないが蛍光を発する樹脂層(8)が形成されている。蛍光を発する樹脂層(7,8)は、マイクロ文字のパターン(この場合は、★ABCDの繰り返し)として印刷されている。
ここで、金属蒸着層(3、4)は、本発明の金属薄膜層の好例で、アルミニウム等の金属を真空蒸着法によって成膜してあり、本発明では、適当な遮光性や光反射性を得やすいとか、その加工性、あるいはコスト面、等から好ましい。尚、本発明の金属薄膜層の成膜には、必要となれば適宜その他の成膜技術を使用してもよい。また、蛍光を発する樹脂層(7、8)は、通常光のもとで無色であり、紫外線の照射で無彩色若しくは有彩色に蛍光発色する蛍光剤と樹脂を主成分とするインクを適当な印刷技術を用いて所望のパターン状に形成したものである。印刷技術を適宜選択することにより、所望するパターンを精度良く容易に形成できるメリットがある。
蛍光を発する樹脂層(7)、(8)は、電磁波の入射により互いに同じ波長の蛍光を発しても(可視光の場合は同じ色相)色相でも、或いは互いに異なった波長の蛍光を発して(可視光の場合は異なった色相)もよい。
可視光の入射で赤外光を発する樹脂印刷層は、可視光の入射で赤外光を発する蛍光剤、例えば、特開2002−179947号に記載されているような蛍光剤と樹脂(バインダー)、及びその他の補助剤を必要に応じて添加したインキを調製し、これを基材に印刷することで形成される。紫外蛍光剤は、バインダーに対して、通常0.1〜30質量%添加する。
紫外線の入射で白色の蛍光を発したり、若しくは、赤、緑、青等の有彩色の蛍光を発する樹脂印刷層は、後に詳述するように有機若しくは無機の紫外蛍光剤、或いはこれらの混合物と樹脂(バインダー)、及びその他の補助剤を必要に応じて添加したインキを調製し、これを基材に印刷することで形成される。紫外蛍光剤は、バインダーに対して、通常0.1〜30質量%添加する。紫外線の入射で白色の蛍光を発するようにするには、カラーテレビのブラウン管の発色原理と同じで加法混色の原理を利用する。具体的には、赤、緑、青に蛍光発色する顔料を適宜混合することで実現できる。
上記した有機の紫外蛍光剤としては、水可溶性あるいは有機溶剤可溶性の紫外蛍光染料をいずれも使用することができる。具体的には、フルオレッセイン、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、スピロピラン系、ピレンスルホン酸系、ベンゾイミダゾール系、ジアミノスチルベン系等の周知の蛍光染料を使用する。これらの蛍光染料は水溶性若しくは有機溶剤可溶性であるが、前者の場合はインキを調製する場合に使用する樹脂(バインダー)として、乾燥皮膜を形成したときに耐水性に優れる水系エマルジョン型若しくは水系ディスパージョン型のバインダーを使用し、後者の場合は、乾燥皮膜を形成したときに耐水性に優れる有機溶剤に溶解した樹脂をバインダーとして使用する。バインダーが耐水性に優れている必要があるのは、後に述べるようにスレッドを用紙に抄き込む時に、バインダーが水に溶出してしまうからである。
上記蛍光染料は、染料メーカー各社で販売されているが一例を挙げると、(商品名「Mikawhite ATN conc.」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射で赤味掛かった白色に発色)、(商品名「Leucopher EF 2N」、クラリアント(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射でわずかに青味の白色に発色)、(商品名「TBO」、住友精化(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射で青白色に発色)、等々である。
紫外線照射により蛍光発色する水不溶性の顔料、すなわち蛍光顔料としては、有機または無機の蛍光顔料を使用する。有機の蛍光顔料としては具体的には、ポリ塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の樹脂にフルオレッセイン、エオシン、ローダミン6G、ローダミンB、ベーシックイエローHG等の染料を均一に溶解して粉砕したもの等を挙げることができる。また本発明では、有機金属錯体系の紫外蛍光剤も使用できる。
また、無機の蛍光顔料としては具体的には、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛;マンガン等で活性化したケイ酸亜鉛;銀、銅等で活性化した硫化亜鉛;カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシウム;サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロンチウム;鉛等で活性化したタングステン酸カルシウム;ユーロピウム等で活性化したSr5(PO43Cl;マンガン等で活性化したZn222;ユーロピウム等で活性化したY22S;ユーロピウム等で活性化したY23等を挙げることができる。また、必要に応じて、これらにアントラキノン系やアセトフェノン系等の増感剤を併用することもできる。
赤外線レーザー光の入射で蛍光を発する樹脂印刷層は、赤外蛍光発色顔料とバインダーとその他の補助剤を必要に応じて添加したインキを調製し、これを基材に印刷することで形成される。赤外蛍光発色顔料は、バインダーに対して、通常0.1〜30質量%添加する。赤外蛍光発色顔料としては、有機または無機の赤外蛍光発色顔料のいずれも使用できる。例えば、無機の赤外蛍光発色顔料は、酸化物やハロゲン化物のマトリックスに発光源として希土類イオンからなる付活剤を含有するものが知られており、赤外線を照射することで励起準位に遷移した希土類イオンの電子が基底準位等に遷移する際に可視光領域の蛍光を放射する。希土類イオンとしては、イットリビウムイオン(Yb3+)、プラセオジムイオン(Pr3+)、ネオジムイオン(Nd3+)、ジスプロシウムイオン(Dy3+)、ホルミウムイオン(Ho3+)、エルビウムイオン(Er3+)、ツリウムイオン(Tm3+)等が知られている。
赤外蛍光発色顔料は、含有する付活剤の種類により励起波長に応じた色調の蛍光を生じるものであり、通常、主成分であるマトリックスと、マトリックス中に分散させた付活剤に分けて、これらの間を「:」でつないで表記される。例えばYF3:Yb+Erは赤外線レーザーの照射で緑や赤に発色し、YF3:Yb+Tmは赤外線の照射で青に発色する。
蛍光を発する樹脂層(7,8)はオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等で設けることができる。通常この印刷厚味は、0.5μm〜3μmである。マイクロ文字の大きさは、通常2〜10ポイント相当のものを使用することが好ましい。
また、この基材をアルカリ性水溶液や酸性水溶液に浸漬し(即ちディメタライジング加工を施し)、図3に示すように、蛍光を発する樹脂層(7,8)以外の部分の金属蒸着層が溶解され、これを、マイクロスリッターを使用してスリットし、ボビンに巻き取ることで本発明のスレッドとすることができる。
以下本発明においては、理解を容易にするために、金属蒸着層はアルミニウム蒸着層とし、蛍光を発する樹脂層(7)は、通常光の下で無色透明で、紫外線の照射で「赤色」に蛍光発色し、裏面の通常光のもとで無色であり、紫外線の照射で無彩色若しくは有彩色に蛍光発色する樹脂印刷層(8)は、通常光の下で無色透明で紫外線の照射で「青色」に蛍光発色すると仮定して説明する。
図3において、蛍光を発する樹脂層(7)は通常光の下では無色透明であるので、この層に入射した光はこの層に接するアルミニウム蒸着層(3)の表面で反射され、目に見える色相はアルミニウム蒸着層の銀色である。紫外線を照射すると、蛍光を発する樹脂層(7)に含まれる蛍光剤を励起させ、赤色の可視光を放射するので、この時の色相は、「赤」にアルミニウム蒸着層の「銀色」が加わった「赤銀色」のマイクロ文字として観察される。同様の理由で、裏面では「青銀色」のマイクロ文字として観察される。この際、基材(2)が透明の場合は、図4に示すように、裏面に形成したマイクロ文字(4)は左右が逆文字として観察されるが、その色相はアルミニウム蒸着層の銀色となっている。
また、図5に示すように、蛍光を発する樹脂層(7、8)を基材の表面の全面に形成するのではなく、部分的に紫外線の照射で蛍光発色しない樹脂印刷層(9)を設けるような構成も適宜選択できる。この構成のスレッドを用紙に抄き込んで、通常光の下で観察するとスレッドは視認できないが、透過光ではマイクロ文字が視認できる。また紫外線の照射下で観察すると、蛍光を発する樹脂層(7、8)が蛍光発色してマイクロ文字が視認できる。
また、図6〜図9は、本発明のスレッドの種々の形態の例を示した正面図である。
まず、図6に図示したスレッド(1)においては、ディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(7)がスレッドの流れ方向に対して角度をつけて配列されている。図示はできないが、裏面のディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(8)も同様にスレッドの流れ方向に対して角度をつけて配列されていて、その金属蒸着層(4)を透明な基材を透して視認することができる。
また、図7に図示したスレッド(1)においては、ディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(7)が、スレッドの巾方向に上下が切断されない形態で少なくとも1列入るように配列されている。図示はできないが、裏面のディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(8)も同様にスレッドの巾方向に上下が切断されない形態で少な
くとも1列入るように配列されていて、その金属蒸着層(4)を透明な基材を透して視認することができる。
図8に図示したスレッド(1)においては、ディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(7)の一列が「ネガ型」で配列されている。図示はできないが、裏面のディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(8)の一列も同様に「ネガ型」で配列されていて、その金属蒸着層(4)を透明な基材を透して視認することができる。
また、図9に図示したスレッド(1)においては、ディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(7)が一列に中央に位置するように配列されている。図示はできないが、裏面のディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(8)も同様に、一列に中央に位置するように配列されていて、その金属蒸着層(4)を透明な基材を透して視認することができる。
さらにまた、図10に図示したスレッド(1)においては、ディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(7)が2列平行にスレッドの巾方向に上下が切断されない形態で配列されている。図示はできないが、裏面のディメタライジング加工で設けた蛍光を発する樹脂層(8)も同様に、2列平行にスレッドの巾方向に上下が切断されない形態で配列されていて、その金属蒸着層(4)を透明な基材を透して視認することができる。
本発明においては、上に例示した形態のスレッドだけでなく、この他の形態のスレッドも本発明の範疇に入ることは言うまでもない。また、表裏同一のデザインにすること、表裏異なったデザインにすること、電磁波の照射で表裏同一の波長の蛍光を発するようにすること、表裏異なった波長の蛍光を発するようにすること、表(オモテ)面に形成するマイクロ文字がそれぞれ異なった蛍光を発するようにすること、裏面に形成するマイクロ文字が電磁波の照射下で、それぞれ異なった蛍光を発するようにすること、を適宜組み合わせて採用できる。
マイクロ文字も図8に示すように「ポジ型」若しくは「ネガ型」のいずれであっても構わない。
図11に図示したスレッドは、紫外線の照射下でマイクロ文字「SECURITY」が蛍光発色せず、マイクロ文字「3」が赤色に蛍光発色されて見える例である。図12は図11のスレッドの裏面を示したもので、紫外線の照射下でマイクロ文字「SECURITY」が蛍光発色せず、マイクロ文字「4」が青色に発色されて見える例である。
なお、図11及び図12は、本来透明な基材を通して反対の面に形成されたマイクロ文字が裏文字として視認されるが、理解しやすくするためにこれらを省略してある。
図13は、本発明の偽造防止用紙(10)の一例を示す平面図であり、図14は図13のA−A線における断面説明図である。理解しやすくするために、スレッドの表面の金属蒸着層、樹脂印刷層は省略してある。図示した偽造防止用紙(10)は、紙層(15a)と紙層(15b)の2層から構成されてなり、これらの紙層(15a、15b)間にスレッド(1)が挿入されている。
また、図15は、紙層(15a、15b)間に抄き込まれた本発明のスレッド(1)の見え方を説明するための偽造防止用紙(13)の一部拡大断面図であり、図16は、その平面図である。この状態でスレッド部(1)を紫外線の照射下で用紙の表面(オモテ面)からみると、表側の蛍光を発する樹脂層(7)が、「赤色」のマイクロ文字のパターンとして観察できるように製造されている。スレッド単独では前に述べたように「赤銀色」に
観察されるが、紙層間に抄き込まれたスレッドは用紙表面からは銀色が失われて観察されるので「赤色」として観察されることとなる。同様に、用紙の裏面からは「青色」のマイクロ文字のパターンが観察できるように製造されている。
前に述べたように、裏面に形成したマイクロ文字は、フィルムを透過して観察すると左右が「逆文字」として観察されるが、その色相はアルミニウム蒸着層の銀色となっている。この光が用紙表面に出で来ても、用紙の色と区別できなくなるように製造されているのでマイクロ文字のパターンとして観察されないこととなる。
以下、本発明のスレッド(1)をより詳しく説明する。
基材(2)はセロファン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、液晶ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン等の半合成、若しくは合成樹脂フィルムを、単層あるいは複合体として使用できる。さらに抄紙機の乾燥ゾーンで融解もしくは軟化しない材質で、通常は90〜110℃で粘着性を帯びない性質の材質を選択するのが好ましい。基材の厚みは、薄すぎても各種の加工が困難となり、厚すぎてもスレッドを紙層間に抄き込んだ場合に部分的に紙の厚味が増大し種々の問題点を引き起こすので、基材の厚みは5μm〜25μmとすることが好ましい。
基材(2)は、スレッドが紙層間に抄き込まれた偽造防止用紙とか偽造防止印刷物の状態では、外観からその存在を視認できないことが好ましく、この条件を満たす基材として無彩色の基材を挙げることが出来る。ごく淡く着色した有彩色の基材であっても本発明の目的を達成できれば使用することができる。本発明においては、代表例として、物理的な強度が大きく、化学的にも安定な透明なポリエステルフィルムが好適に使用できる。
また、サンドブラスト加工を施した半透明の基材も用紙の色が白色か白色に近い場合、紙層間に抄き込まれたスレッドの存在を反射光下で視認できないため好ましく使用される。スレッドの基材部分の透明性を低下させて適当な半透明性を得る為には、前記サンドブラスト加工を施す以外にも、例えば、基材面に薄い層を設ける手法も好適に使用できる。この層の材料は適宜選択してよく、例えば、適当なバインダ材料にSiO2を含有させる等が挙げられる。透過光で観察し、表面から裏文字が見えるようにするためには、基材が透明であることが必要である。本発明において、透明とは、透明度が必ずしも100%必要というわけではなく、課題を達成できれば多少その数値が低くても構わないことを意味する。これは、前記用紙とか印刷物のスレッドが在る辺りに印刷されたインクの紫外蛍光発色等とも関係するので、この透明度は適宜調整してよい。
基材(2)にマイクロ文字を形成する方法として、ディメタライジング加工が挙げられる。このディメタライジング加工はよく知られた方法であり(例えば、特表2005−513585号公報)、例えば、金属アルミニウムを真空蒸着した基材(2)に耐アルカリ性や耐酸性を有した樹脂前に述べたような紫外蛍光発色剤を添加したインキを使用してマイクロ文字を印刷し、蛍光を発する樹脂層(7、8)を形成した後、アルカリ性水溶液や酸性水溶液で印刷部以外のアルミニウム等の蒸着層を洗い流す。このような処理によって印刷部にアルミニウム等の蒸着層が残り、印刷部以外は基材(2)が露出する。この蒸着層に用いられる金属は、前述したアルミニウムが代表的であるが、この他に、スズ、亜鉛、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、等の金属の単体や混合物を使用できる。特に、マイクロ文字列の少なくとも一方を、例えばニッケル−コバルトのような磁性体の蒸着膜にすることで、磁気情報を偽造防止手段とすることができる。金属蒸着層の厚みは通常25〜100ナノメートルが適切である。
基材(2)に以上の処理を施した後、(必要に応じて透明性を適宜低下させる層を塗工したうえ)必要に応じて片方の面或いは両面に接着剤を塗工する。その接着剤としては、抄紙機のドライヤーで軟化若しくは溶融して、用紙と強固に接着する性能を有した周知の接着剤を使用する。接着剤層としては、ポリ酢酸ビニル樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアクリル酸エステル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系等の公知の接着剤を水系若しくは溶剤系の塗料とし、ロールコーターやグラビアコーター等の周知の塗工機を用いて基材の表面に塗工することにより形成できる。その塗工量は、通常で0.1〜10g/m2(乾燥質量換算)とする。
紙層間にスレッドが埋没しているタイプのスレッド抄き込み紙においては接着剤の塗工量は少なくて良いが、窓空きスレッド入り紙の場合は塗工量を増加させる。接着剤には必要に応じて、ブロッキング防止剤、潤滑剤等を添加してもよい。
次いで、マイクロスリッター装置を使用して常法に従い所定の巾でスリットして本発明のスレッドができあがる。スレッドの巾は、通常0.5mm巾〜10mm巾とする。スレッドに形成されているマイクロ文字は、1列以上の正文字や正模様のパターンが視認できるように形成されている必要がある。
ディメタライジング加工を施した原反は、基材(2)の表裏両面に蛍光を発する樹脂層(7,8)を設ける方法として、予め両面に金属を真空蒸着した基材に、先ず表面(オモテ面)に蛍光を発する樹脂層(7)を設け、その後に裏面に蛍光を発する樹脂層(8)を設け、次いでディメタライジング加工する方法、或いはこの逆の方法、即ち、予め両面に金属を蒸着した基材に、先ず蛍光を発する樹脂層(8)を設け、その後に蛍光を発する樹脂層(7)を設け、次いでディメタライジング加工する方法を採用することができる。
或いは、予め片面に金属を蒸着した基材の表面に、先ず蛍光を発する樹脂層(7)を設け、その後にディメタライジング加工を施し、次いでこの面と反対の面に蛍光を発する樹脂層(8)を設け、次いでディメタライジング加工する方法でも得ることができる。
次に、本発明の偽造防止用紙(10)の製造方法の一例を説明する。
[紙料の調製]
まず、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の製紙用パルプを主体とし、ビーターやディスクリファイナー等を使用して叩解処理し、これに白土,カオリン,炭酸カルシウム,二酸化チタン,水酸化アルミニウム等の各種填料、紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、定着剤等を適宜併用し紙料を調整する。
[偽造防止用紙の製造]
本発明の偽造防止用紙は、従来公知の方法を使用して製造できる。前にも述べたように、スレッド入り紙には大きく分けて2種類ある。一つはスレッドが用紙内部に抄き込まれ、用紙表面に露出しない種類のものであり、もう一つはスレッドの一部が用紙表面に間欠的に露出した「窓空きスレッド入り紙」と呼ばれるものである。本発明の偽造防止用紙は、これらのいずれであっても構わないが、本発明のスレッドの特徴を最大限に発揮するのは、「窓空きスレッド入り紙」である。
前者の用紙を製造する方法としては、前に述べたように、長網抄紙機のスライス部分における紙料の流れの中にノズルを入れ、ノズルに水を流しながらスレッドを繰り出し、抄紙網に形成される紙匹中にスレッドを抄き込む方法(特許文献1)、長網抄紙機のフロー
ボックスから流出する紙料へスレッドの挿入装置を設置し、空気流でスレッドと紙料を非接触状態としながらスレッドを抄き込む方法(特許文献2)、2層以上を有した円網抄紙機を使用し、2層以上の抄き合わせで、内壁に凹凸を設けた送管を使用してスレッドを紙層間に送り出し、紙層間にスレッドを抄き込む方法(特許文献3)等が採用できる。本発明においては、これらの方法以外の方法を採用しても良いことは言うまでもない。
「窓空きスレッド入り紙」を製造する方法としては、前に述べたように、ワイヤー上の紙料懸濁液に、凹凸部を有するガイドの凸部先端にスレッドを通した溝を有するベルト機構を埋没して製造する方法(特許文献4)や、凹凸状に加工した網を円網抄紙機の上網に使用し、スレッドを網表面の凹凸部に接触させながら挿入して窓空き部分にスレッドを抄き込む方法(特許文献5)や、長網抄紙機のワイヤー上の回転ドラム内に圧縮空気ノズルを内蔵させ、予め紙匹に挿入したスレッド上のスラリーを圧縮空気で間欠的に吹き飛ばしてスレッドを露出させる方法(特許文献6)等が採用できる。本発明においては、これらの方法以外の方法を採用しても良いことは言うまでもない。
また、抄紙途上で紙面にポリアクリルアマイド樹脂、澱粉、ポリビニルアルコール等を塗工することも可能である。さらに必要に応じてマシンカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を施し、表面平滑性を向上させることも適宜行われる。
窓空きスレッド入り紙の場合、例えば図3に示すような両面に蛍光を発する樹脂層(7)があるスレッドを抄き込んだ場合は、窓の部分も同様に裏面から光を透過すると、裏文字の金属蒸着面(4)が目視できる。
例えば、スレッドの片面には、紫外線の照射で赤色に蛍光発色して見えるマイクロ文字が形成され、反対面には紫外線の照射で青色に見えるマイクロ文字が形成されたスレッドが紙層間に抄き込まれた偽造防止用紙に於いては、下記に述べるような効果が得られるように、用紙の厚味や用紙製造の処方を工夫する必要がある。用紙表面(オモテ面)から入射した紫外線は、赤色に紫外蛍光発色する印刷層樹脂(7)を蛍光発光させ、この色が用紙表面で視認できるようにする。同様の理由で、用紙の裏面では紫外蛍光発色した青色のマイクロ文字が視認できるようにする。用紙の表面(オモテ面)から入射した光は、スレッドの内部にも入射し、青色に紫外蛍光発色するマイクロ文字が形成されている面、即ち金属蒸着面にも到達する。到達した光は蒸着面で反射し、その一部は用紙の表面から出てくるがこの光は蒸着面の色相、即ち銀色を有しているので、用紙表面の反射光の色相と殆ど区別することができない。この目的を達成させる手段として最も有効な方法は、用紙の坪量の調整と、紙料に併用する各種の填料の種類や添加量の調整が最も有効であり、用紙の坪量は、通常50〜150g/m2とする。
このようにして得られた本発明の偽造防止用紙は、製造に極めて高度の技術を必要とするので偽造は極めて困難となる。従って偽造を試みる者は事前の策として印刷技術で偽造を行うことが多いであろう。具体的には、前述したような蛍光を発する物質とバインダーよりなるインキを調製し、それを用紙の表面に印刷して偽造を試みる。この場合の真偽判定は、以下のごとく行う。例えば、図15、図16に示すように、紫外線の照射下で表面から見て、反射光で、蛍光を発する樹脂層(7)を「★ABCD」のように視認できたとき、裏面から反射光で観察すると、表面から視認された、蛍光を発する樹脂層(7)「★ABCD」の左右逆文字(図示せず)が視認し難いこと、あるいは透過光で観察したときは、蛍光を発する樹脂層(7)「★ABCD」が影となって視認できる場合は偽物となることになる。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。なお、質量部、厚み、坪量はいずれも乾燥した場合を意味する。
[スレッドの製造]
基材として、厚み12μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製造)の巻き取りを使用し、その両面に、金属アルミニウムを50nm(ナノメートル)ずつ真空蒸着機を使用して常法に従い蒸着した。この片面には、グラビア印刷機を使用して、紫外線の照射で青色に蛍光発色する耐アルカリ性樹脂インキ(ディメタライジング加工用アクリル系樹脂100質量部に蛍光染料:ベンゾイミダゾール系蛍光染料を5質量部、有機溶剤を適当量配合)を使用して蛍光を発する樹脂層(7)(マイクロ文字印刷層)を形成した。基材の反対面には、紫外線の照射で赤色に蛍光発色する耐アルカリ性インキ(ディメタライジング加工用アクリル系樹脂100質量部に、通常光で白色で紫外線の照射で赤色に蛍光発色する無機蛍光顔料:Eu活性化Y22S粒子を100質量部、有機溶剤を適当量配合)を使用してグラビア印刷機により着色した樹脂印刷層(マイクロ文字印刷層)を形成した。
上記マイクロ文字は、「★ABCD」の文字からなり、その大きさは2.5ポイント(ポイント数はアメリカ式ポイント数を意味し、1ポイントは約0.35mmである)、文字と文字の間隔は0.4mm、文字列と文字列の間隔は0.8mmとした。文字列は、図6に示すように、基材の流れ方向に対して、18度傾斜して印刷した。
次いで、常法に従い、水酸化アルミニウムの10%水溶液を使用して、ディメタライジング加工を施し、水洗、乾燥してロールに巻き取った。
さらにこの片面に、エチレン−酢酸ビニル系の感熱接着剤を1.5μmの厚みでグラビアコーターを使用して塗工し接着剤層を形成した。次いでマイクロスリッターを使用して巾2mmのスレッドを製造した。このスレッドをボビンに巻き取った。
[偽造防止用紙の製造]
<紙料の調製>
NBKP25質量部,LBKP75質量部をフリーネス350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10質量部、二酸化チタン5質量部、紙力増強剤:ポリストロン(荒川化学工業社製)0.4質量部、サイズ剤:サイズパインE(荒川化学工業社製)1.0質量部、硫酸バンドを適量加え、紙料を調製した。
<偽造防止用紙の製造>
2槽式円網抄紙機の第1槽目と第2槽目で、それぞれ坪量45g/m2の紙匹を抄造し、両者を抄き合わせる際に、紙層間に実施例1で製造したスレッドを抄き込んだ。その後、常法に従い乾燥し偽造防止用紙を製造した。得られた偽造防止用紙は、反射光ではスレッドに形成されたマイクロ文字は視認できなかったが、透過光ではマイクロ文字が観察できた。さらに紫外線(ブラックライト)を照射すると、片方の面には青色に蛍光発色するマイクロ文字が、反対の面では赤色のマイクロ文字視認できた。
〔偽造防止印刷物の製造〕
実施例1の偽造防止用紙を使用して、図17に示す商品券の図柄等印刷部(P)を印刷し、偽造防止印刷物を製造した。
[スレッドの製造]
基材として、厚み12μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製造)の巻き取り
を使用し、その両面に、金属アルミニウムを50nm(ナノメートル)ずつ真空蒸着機を使用して常法に従い蒸着した。この片面には、ロータリースクリーン印刷機を使用して、赤外線の照射で赤外域波長の蛍光を発する耐アルカリ性樹脂インキ(ディメタライジング加工用アクリル系樹脂100質量部に赤外蛍光顔料を10質量部配合)を使用して通常光のもとで無色であり、赤外線の照射で赤外域波長の蛍光を発する樹脂印刷層(マイクロ文字印刷層)を形成した。基材の反対面にも、上記インキを使用して樹脂印刷層を形成した。
上記マイクロ文字は、「★ABCD」の文字からなり、その大きさは2.5ポイント(ポイント数はアメリカ式ポイント数を意味し、1ポイントは約0.35mmである)、文字と文字の間隔は0.4mm、文字列と文字列の間隔は0.8mmとした。文字列は、図6に示すように、基材の流れ方向に対して、18度傾斜して印刷されている。
次いで、常法に従い、水酸化アルミニウム水溶液を使用して、ディメタライジング加工を施し、水洗、乾燥してロールに巻き取った。
さらにこの片面に、エチレン−酢酸ビニル系の感熱接着剤を1.5μmの厚みでグラビアコーターを使用して塗工し接着剤層を形成した。次いでマイクロスリッターを使用して巾2mmのスレッドを製造した。このスレッドをボビンに巻き取った。
[偽造防止用紙の製造]
2槽式円網抄紙機の第1槽目と第2槽目で、それぞれ坪量45g/m2の紙匹を抄造し、両者を抄き合わせる際に、紙層間に実施例1で製造したスレッドを抄き込んだ。その後、常法に従い乾燥し偽造防止用紙を製造した。
<検証器の作製>
被検証物に対し赤外光を照射する照明部および、上記赤外蛍光顔料の発光波長のみを透過させるバンドパスフィルターを受光部に取り付けたCCDカメラよりなる検出部、からなる検証器を作成した。
<偽造防止用紙の観察>
得られた偽造防止用紙は、通常光照明下の反射光ではスレッドに形成されたマイクロ文字は視認できなかったが、透過光ではマイクロ文字が観察できた。さらに上記検証器を使用した結果、表裏それぞれの面で、マイクロ文字が赤外域で蛍光を発する様子が観察された。
以上のような特性を生かして本発明で得られるスレッドは、その製造に極めて高度の技術が必要なため、偽造防止を目的とした縫い糸の用途等に好適に用いる事ができる。また本発明で得られるスレッドを抄き込んだ偽造防止用紙は、紙幣、商品券、小切手、株券、債券、カード、各種チケット、機密文書、パスポート、身分証明書等に好適に用いる事ができる。
特に、図5に例示したスレッドの構成において、図11,12のように、数字を設けたスレッドを用紙に抄き込み、この数字がパスポート冊子のページ数を表示するような使い方をすると、用紙や冊子の製造には極めて高度な技術を必要になるので偽造防止性能が飛躍的に高まることとなる。
また、この数字を商品券の額面と一致させると、一段と偽造防止性能を向上できる。
本発明のスレッド(1)を製造するために基材(2)の表面に形成した金属蒸着層(3)の表面に蛍光を発する樹脂層(7)が形成された状態を表す正面図である。 図1の一部拡大側断面図である。 図2の基材にディメタライジング加工を施した一部拡大側断面図である。 本発明のスレッドの一事例を示す正面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す一部拡大断面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す正面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す正面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す正面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す正面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す正面図である。 本発明のスレッドの他の一事例を示す正面図である。 図11のスレッドの裏面を示す図である。 本発明の偽造防止用紙の一事例を示す正面図である。 図13のA−A線を示す断面図である。 本発明の偽造防止用紙の一事例を示す一部拡大断面図である。 図15の偽造防止用紙の一事例を示す正面図である。 本発明の偽造防止用紙を用いた偽造防止印刷物の一事例を示す正面図である。
符号の説明
1‥‥スレッド
2‥‥基材
3‥‥(表面の)金属蒸着層
4‥‥(裏面の)金属蒸着層
7‥‥(表面の)通常光のもとで無色であり、紫外線の照射で無彩色若しくは有彩色に蛍光発色する樹脂印刷層
8‥‥(裏面の)通常光のもとで無色であり、紫外線の照射で無彩色若しくは有彩色に蛍光発色する樹脂印刷層
9・・・・紫外線の照射で蛍光発色しない樹脂印刷層
10‥‥偽造防止用紙
20‥‥偽造防止印刷物
P‥‥印刷部

Claims (7)

  1. 短冊形を成し且つ光透過性を持つ基材の片側の面に、少なくとも、文字または模様の片方または両方によるパターン状に形成された1以上の金属薄膜層、及び、該金属薄膜層のそれぞれの上にそれぞれの金属薄膜層と同様のパターン状に形成され且つ通常光のもとでは無色であり、電磁波の照射で蛍光を発する樹脂層を備え、
    該金属薄膜層が有る領域と、該金属薄膜層が無い領域との光透過性の違いによって、光に翳したときに前者と後者との間でコントラストが生じること、
    且つ、該基材の、該金属薄膜層および蛍光を発する樹脂層が備わった側から観察すると、該パターン状の蛍光を発する樹脂層を視認できること、
    更に、前記基材の反対側の面に、少なくとも、文字または模様の片方または両方によるパターン状に形成された1以上の金属薄膜層、及び、該金属薄膜層のそれぞれの上にそれぞれの金属薄膜層と同様のパターン状に形成され且つ蛍光を発する樹脂層を備え、
    該金属薄膜層が有る領域と、該金属薄膜層が無い領域との光透過性の違いによって、光に翳したときに前者と後者との間でコントラストが生じること、
    且つ、該基材の反対側の面から観察すると、該蛍光を発する樹脂層を該反対側の面のパターン状に視認できること、
    更に、前記基材の少なくとも一方の面に、接着剤層を形成すること、
    特徴とするスレッド。
  2. 前記基材の片側の面に形成されたパターンと、前記基材の反対側の面に形成されたパターンとが、互いに重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスレッド。
  3. 前記基材の面の少なくとも片側で、前記蛍光を発する樹脂層の蛍光発色の色が同一色であることを特徴とする請求項1または2に記載のスレッド。
  4. 前記基材の面の片側と反対側で互いに、前記蛍光を発する樹脂層の蛍光発色の色がパターンによって異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスレッド。
  5. ウェブ状で且つ光透過性を持つ基材の面に、金属の薄膜を成膜することにより前記金属薄膜層を設け、
    該金属薄膜層の上に前記蛍光を発する樹脂層を印刷法によって所望のパターン状に形成し、
    該パターン状の蛍光を発する樹脂層を耐エッチング用のマスクとして該金属薄膜層をエッチングすることにより、該金属薄膜層と蛍光を発する樹脂層とが同様のパターン状を成して重なるように形成し、
    その後、該基材をスレッドの幅になるように切断すること、
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの製造方法。
  6. 短冊形で光透過性を持つ基材の面に、金属の薄膜を成膜することにより前記金属薄膜層を設け、
    該金属薄膜層の上に前記蛍光を発する樹脂層を印刷法によって所望のパターン状に形成し、
    その後、該パターン状の蛍光を発する樹脂層を耐エッチング用のマスクとして該金属薄膜層をエッチングすることにより、該金属薄膜層と蛍光を発する樹脂層とが同様のパターン状を成して重なるように形成すること、
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドの製造方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載のスレッドが、用紙となる紙の中に抄き込まれていることを特徴とする偽造防止用紙。
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