JP4017572B2 - 偽造防止用紙、及び偽造防止印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ文字印刷層を有するスレッドが、用紙の流れ方向に挿入されたいわゆる「スレッド入り紙」タイプの偽造防止用紙に関するものである。
紙層内に糸状物を挿入した「スレッド入り紙」と呼ばれる偽造防止用紙はよく知られている。スレッド入り紙は製造に極めて高度な技術を必要とするので偽造防止に大きな効果があり、周知のように各国の紙幣等に多く使用されている。
スレッド入り紙には大きく分けて2種類ある。一つはスレッドが用紙内部に挿入され、用紙表面に露出しない種類のものであり、もう一つはスレッドの一部が用紙表面に露出した「窓開きスレッド入り紙」と呼ばれるものである。
前者の用紙を製造する方法としては、長網抄紙機のスライス部分における紙料の流れの中にノズルを入れ、ノズルに水を流しながらスレッドを繰り出し、抄紙網に形成される紙匹中にスレッドを抄き込む方法(特開昭51−130309号公報)、長網抄紙機のフローボックスから流出する紙料へスレッドの挿入装置を設置し、空気流でスレッドと紙料を非接触状態としながらスレッドを抄き込む方法(特開平2−169790号公報)、2層以上を有した円網抄紙機を使用し、2層以上の抄き合わせで、内壁に凹凸を設けた送管を使用してスレッドを紙層間に送り出し、紙層間にスレッドを抄き込む方法(特公平5−40080号公報)等が提案されている。
後者の「窓開きスレッド入り紙」を製造する方法としては、ワイヤー上の紙料懸濁液に、凹凸部を有するガイドの凸部先端にスレッドを通した溝を有するベルト機構を埋没して製造する方法(特公平5−85680号公報)や、凹凸状に加工した網を円網抄紙機の上網に使用し、スレッドを網表面の凹凸部に接触させながら挿入して窓開き部分にスレッドを抄き込む方法(米国特許第4462866号公報)や、長網抄紙機のワイヤー上の回転ドラム内に圧縮空気ノズルを内蔵させ、予め紙匹に挿入したスレッド上のスラリーを圧縮空気で間欠的に吹き飛ばしてスレッドを露出させる方法(特開平6−272200号公報)等が提案されている。
「窓開きスレッド入り紙」は、用紙の流れ方向に間欠的に厚みを薄くした窓開き部を形成し、この窓開き部にスレッドが露出していることが特徴である。従って、表面に接着剤を塗工していないスレッドを使用して製造した用紙では、スレッドの露出部を爪等でこするとスレッドが簡単に剥がれてしまったり、印刷時にスレッドが浮き上がったりするので致命的な欠点となる。このため表面に感熱接着剤を設けたスレッドを使用して窓開きスレッド入り紙を抄紙し、抄紙機の乾燥ゾーンでこの用紙を乾燥する際にスレッドに塗工されている感熱接着剤を溶融若しくは軟化することによって、用紙を構成するセルロース繊維とスレッドとを確実に接着させ、剥離強度を高める対策がとられている。
スレッド入り紙に使用するスレッドにも多種多様な構成が提案されている。例えば、ホログラムスレッド、磁気スレッド、紫外線の照射で蛍光発色するスレッド、サーモクロミック剤を塗工したスレッド、金属蒸着スレッド、マイクロ文字入りスレッド等々が実用化されている。
マイクロ文字入りスレッドは、プラスチックフィルムに直接箔押しする方法や、真空蒸着装置においてマスク若しくはテンプレートを使用する選択的金属化をする方法、金属化と腐食による非金属化する方法で製造することが知られている(特許文献1参照)。
特公平6−062030号公報(5欄46行〜6欄3行、7欄26行〜8欄12行)
また、本出願人は、先に、用紙の流れ方向にスレッドを挿入した偽造防止用紙において、前記スレッドは、ベースとなるフィルムと、前記フィルムの表面に形成された金属蒸着層からなる正文字のみのマイクロ文字および/または正画像のみのマイクロ画像と、前記金属蒸着層の上に形成された透明インクによる印刷層と、前記フィルムの裏面に形成された感熱接着剤層とからなり、前記印刷層を形成するインクには紫外線の照射で発色する染顔料が添加されており、用紙の表側から見た場合に、正文字のマイクロ文字および/または正画像のマイクロ画像が見えるように前記スレッドが用紙に挿入されていることを要旨とする偽造防止用紙を提案した。この特許において金属蒸着層からなるマイクロ文字は、いわゆる「パスター加工」で得られることを述べた(特許文献2参照)。
特許第3279212号公報
前述の特公平6−062030号公報(特許文献1)には、「各種の金属インクを用いるポリエステル表面上への直接印刷は、微細な線を明瞭に印刷することが不可能である」と記されている(同公報の第8欄10〜12行目)。また本出願人が提案した特許第3279212号公報(特許文献2)においても、前述のようにマイクロ文字(特許文献1の「微細な線」に相当する)はパスター加工による金属蒸着層から形成されることが述べられている。
要するに、前記特許が提案された時代においては、金属インクでマイクロ文字を形成することは品質上に大きな問題点を有し、また通常の金属インクでは金属蒸着並の金属光沢を得ることが不可能であったことを示している。
そこで、やむを得ず金属蒸着とエッチング技術を併用した前記の方法(パスター加工)が採用されていた訳である。ところがこの方法は、蒸着機、印刷機、エッチング(パスター加工)装置などの巨大な設備投資が必要で、行程も複雑であった。そのため、得られるスレッドは歩留まりが悪く、小ロット生産では必然的にスレッドが高価格となる問題点を有していた。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。即ち、金属蒸着とエッチング(パスター加工)のような複雑な工程を必要としないで、金属光沢に優れたマイクロ文字入りのスレッドを効率的に製造する技術を得ること、小ロットでも効率的な生産が可能となる技術を得ること、そのスレッドを紙に抄き込んだ偽造防止用紙を得る Bこと、及びこの偽造防止用紙に所定の」印刷を施した偽造防止印刷物を得ることを課題とする。
上記課題を解決するための、本発明の要旨の第一は、用紙の流れ方向に連続的にスレッドが抄き込まれた偽造防止用紙において、該スレッドが、ベースフィルム(1)の少なくとも片方の表面に蒸着金属膜を粉砕した金属粉末とバインダーを主成分とした高光沢金属インク層よりなるマイクロ文字(2)が形成され、さらにその上に接着剤層(3)を必要に応じて形成されたスレッドであることを特徴とする偽造防止用紙を得ることにある。
上記問題を解決するための、本発明の要旨の第二は、上記偽造防止用紙に所定の印刷層(9)を設けたことを特徴とする偽造防止印刷物を得ることにある。
本発明の偽造防止用紙によれば、下記に述べるような顕著な効果が得られる。
1)窓開きスレッド入り紙の場合は、窓開き部に露出したスレッドをルーペなどで拡大してみると、パスター加工法を使用して製造したマイクロ文字入りスレッドの場合と比較して、わずかに劣る程度の金属光沢を有したマイクロ文字を視認できる。このスレッドとスレッド入り紙を製造するには、極めて高度の技術を必要とするから偽造防止効果に優れる。
2)本発明に使用するマイクロ文字入りスレッドは、蒸着機やパスター加工機のような高価で複雑な製造装置を使用しないで製造できるので、小ロット生産にも適した偽造防止用紙を製造できる。
3)ベースフィルムに紫外線を吸収する性質のフィルムを使用し、紫外蛍光発色剤を添加した感熱接着剤をスレッドの裏面のみに設けたスレッドを使用し、感熱接着剤非塗工面(スレッド表面)が用紙の窓開き部に露出するように抄紙時のスレッド挿入を制御することにより、乾燥ゾーンのシリンダードライヤー、キャンバス、タッチロール等と接触してもこれらの装置が感熱接着剤で汚染されることがない。さらには、両面に感熱接着剤を塗工した従来のスレッドと比較してコストダウンが可能となるだけでなく、その製造に際しても特別な装置を必要とせず、通常の塗工機が使用できる利点がある。
4)窓開きスレッド入り紙タイプの場合は、金属光沢に優れたマイクロ文字が用紙表側から見えるため、意匠性が高まると同時に、これを複写機で複写すると、金属光沢は複写できないため偽造防止効果が高まる。
本発明を解りやすく詳細に説明するために、偽造防止印刷物の端的な構成を例にとって説明する。図1は、2層抄き合わせ紙からなる偽造防止用紙を用いた商品券の例を示す図であり、図2はその部分拡大断面図である。図示した偽造防止用紙は、最外層の紙層7と最外層に接する紙層8の2層から構成されており、最外層の紙層7には用紙の縦方向(抄紙時の紙層の流れ方向)に間欠的に窓開き部4が設けられている。
最外層の紙層7とこれに接する紙層8との間にスレッド6が挿入されていて、このスレッドが窓開き部4の部分で露出している。紙層7の側が用紙の表側となる。なお必要に応じて、窓開き部の中に文字若しくは画像からなるすき入れを施してもよく、スレッドの抄き込みと文字若しくは画像のす
き入れの両方を施すことによって偽造防止効果をより一層高めることができる。
かような、偽造防止用紙を製造するのには、先ず、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の木材パルプや麻、綿、藁等を原料とした非木材パルプ等を適宜混合して叩解し、必要に応じて合成繊維、半合成繊維、無機繊維等を混合してこれに填料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料、紫外蛍光発色剤等を適宜添加し、通常フリーネス450〜250mlC.S.F.に調整した紙料を調整する。
2層以上の抄き合わせにより偽造防止用紙を製造するに際しては、従来から一般に抄き合わせ紙の製造に使用されている多槽式円網抄紙機が使用できる。図5は2層の紙層(図2)からなる抄き合わせ紙を製造するための2槽式円網抄紙機の例を示しており、窓開き部のない最外層に接する紙層8を形成するための第1の槽(最終槽より前の槽)11と、窓開き部4を有する最外層の紙層7を形成するための第2の槽(最終槽)12とを備えている。
槽12の円網シリンダー12aの上網12bには、図6に示したように、金属、樹脂、紙等で作った窓開き部に相当する型13を、金属細線で取り付けたり、ハンダ付けしたり、接着剤で貼り付ける。窓開き部に相当する型13の形状は図示の例では長方形であるが、それ以外にも例えば正方形、円、楕円、等の任意の形状とすることができる。
最外層の紙層を形成する槽12の円網シリンダーの上網12bに図6に示したような型13を取り付けるに際しては、矢印Wで示した紙の流れ方向(用紙の縦方向)における窓開き部に相当する長さXと、窓開き部と窓開き部の間に位置する非窓開き部5に相当する長さYとの比率を3:1〜1:2となるような間隔で型13を間欠的に取り付けることが望ましい。窓開き部の比率をこの範囲とすることにより、用紙を連続的にロール状に巻き取る際の皺発生防止効果が確実になされるだけでなく、用紙表面のデザイン上も好ましいものとなるからである。
図5の円網抄紙機の槽11の円網シリンダー11aには何等細工を施さない上網を装着する。何等細工を施さない上網を装着した円網シリンダー11aで抄紙した紙層は毛布14に転移され、槽12の型13を取り付けた円網シリンダー12aの上に運ばれ、この円網シリンダー12aで抄紙された最外層の紙層がその上に重ねられ、2つの紙層が抄き合わされた用紙が抄造される。スレッドの挿入は、紙層と紙層とが重ねられる直前の矢印Vの箇所で行われる。スレッドの抄き込み方法としては、前述の特公平5−40080号公報で本願と同じ出願人が提案しているような、内壁に凹凸を設けた送管を使用してスレッドを送り込む方法等が採用できる。なお、円網シリンダー12aに取り付けた型13は図5では所々に図示して簡略化してあるが、実際には円網シリンダー12aの全周に間欠的に取り付けられている。
上述した2層抄き合わせ方法により図1および図2に示した構成の偽造防止用紙が製造できる。すなわち、型13を取り付けた円網シリンダー12aで抄紙された最外層の紙層7には型13に相当する部分に紙料の乗らない窓開き部4が形成される。スレッド6を窓開き部4の中に入るように紙層の間に挿入することにより、図1のように窓開き部ではスレッドが露出し、非窓開き部では紙層の間にスレッドが埋没した状態となる。
本発明の偽造防止用紙は、上記した以外の種々の方法により製造することもできる。例えば「窓開き糸入り紙」の製造方法として従来技術で紹介した特公平5−85680号公報で提案されているように、凹凸部を有するガイドの凸部先端に溝を設け、この溝にスレッドを通した状態で、ガイドを長網抄紙機のワイヤー上の紙料懸濁液中に埋設させ、紙料懸濁液の水分がワイヤーから下方に脱水されて紙層がほとんど形成されたところでガイドを上方に移動させることによって、ガイドの凸部先端に接していた部分でスレッドが露出している窓開き部を形成する方法、特開平6−272200号公報で提案されているように長網抄紙機のワイヤー上に、圧縮空気ノズルを内蔵した回転ドラムを設置し、内部にスレッドが挿入されているワイヤー上の湿紙に、回転ドラム内の圧縮空気ノズルから圧縮空気を間欠的に吹き付けてスレッド上のスラリーを吹き飛ばすことによって、スレッドが露出した窓開き部を間欠的に形成する方法、米国特許第4462866号公報で提案されているように、表面の一部が凹凸状に加工された網を円網抄紙機の上網に使用し、紙料懸濁液の入った槽内で網を回転させる際に、スレッドを網表面の凹凸部に接触させながら抄き込むことによって、網表面の凸部に接していたスレッドを窓開き部に露出させる方法、等を採用することができる。
以上は窓開きスレッド入り紙の製造例であるが、本発明には用紙表面に窓部を形成せずに、スレッドを紙層内部に潜り込ませたタイプの偽造防止用紙も含まれる。その製造例は図5における最外層の紙層7を形成するための第2の槽12において、槽12の円網シリンダー12aに型13を取り付けないプレーンな網を使用して2層抄き合わせ紙を製造する際に紙層間にスレッドを挿入する方法を一例として挙げることができる。
また他の例としては、米国特許第1486079号公報に提案されているように、傾斜式抄紙機の2層抄き合わせ時に紙層間にスレッドを挿入する方法を挙げることができる。本発明ではこれらの例だけでなく、スレッドを紙層内部に潜り込ませたタイプの偽造防止用紙を製造する方法をいずれも採用できる。
本発明の偽造防止用紙を製造するに際しては、抄紙途上で紙面に澱粉、ポリビニルアルコール、各種表面サイズ等をサイズプレス装置等で塗工することも可能である。さらに必要に応じ、マシンカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を施し、表面平滑性を向上させることも適宜行うことができる。
次に本発明で使用するスレッドについて説明する。
本発明に使用するベースフィルム1としては、セロファンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム等の各種フィルムを使用できる。このベースフィルムは、抄紙機の乾燥ゾーンで変形し難いことが好ましく、通常はポリエステルフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムのような耐熱性のあるフィルムが好ましく使用できる。ベースフィルムは無色透明のフィルム或いは着色フィルムのいずれも使用できるが、後に述べるように高光沢金属インクの光沢を最大限利用するには無色透明のフィルムを用いることが好ましい。
フィルムの厚みは薄すぎると、後に述べる高光沢金属インクの印刷が難しくなり、逆に厚すぎるとマイクロスリッター加工がし難くなると共にスレッドを抄き込んだ後の用紙がスレッド抄き込み位置で盛り上がり、連続してロール状に巻き取ることが困難となるので、通常8〜25μm厚みのものを使用する。
ベースフィルム1には本発明の目的を阻害しない範囲で種々の処理を施しておいてもよい。例えばヌレ指数の改善のためコロナ放電処理をすること、インクの密着性を向上させるプライマー塗工処理すること、透明樹脂を塗工してホログラムエンボス処理をすること、透明な着色層を設けること等である。
また後に述べるように、偽造防止効果の向上とスレッドの表裏を判定することを目的として、接着剤に紫外線照射により発色する蛍光発色剤を併用する場合は、ベースフィルムが紫外線を吸収する性質を有していると、スレッドの表裏をブラックライトのような紫外線発生器を使用して容易に判定できるという性質を与えることができる。
かような性質を有したベースフィルムはフィルムを製造するときに紫外線吸収剤を混合するか、あるいは紫外線吸収剤を混合した塗料をフィルム表面に塗工すること、紫外線吸収剤を染着加工すること、あるいはこれらを併用する方法等で得ることができる。紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ハイドロキノン系、トリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、アミン系、酸化亜鉛や酸化チタン等の超微粒子金属酸化物系等の周知の紫外線吸収剤をいずれも使用することができる。紫外線吸収剤の添加量はフィルム質量に対して通常0.001〜5質量%である。
本発明で使用する高光沢金属インクとは、後に詳しく述べるが蒸着金属膜を粉砕した金属粉とバインダーとを主成分として混合し製造したインクのことを意味する。
蒸着金属膜を粉砕した金属粉の製造方法の一例は、ロール状または連続状のキャリアシート上に剥離層を形成し、この剥離層表面にアルミニウム等の金属層を真空蒸着法やスパッタリング法等の蒸着法を使用して形成する。次いで、上記剥離層を溶解し、金属蒸着層とキャリアシートを互いに分離させる。次いで、分離された金属蒸着層をインクに適する寸法に細分化する。このような方法で製造される金属粉は、その厚さは0.01〜0.1μm程度であり、また平均直径が1〜50μm程度の大きさで、非常に扁平な形状を呈していることが特徴である(以下、本発明ではこの方法で製造した金属粉を「蒸着法による金属粉」と呼ぶ)。
従来金属光沢を発現させる金属インクとしては、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸系潤滑剤と共にボールミル等でアルミニウムを粉砕処理しこれをインク化する方法があった。このタイプの金属粉は、通常暑さ0.1〜1μm、平均直径が1〜50μmの大きさで、リーフ状を呈していることが特徴である(以下、本発明ではこの方法で製造した金属粉を「粉砕法による金属粉」と呼ぶ)。
本発明においては、前者の蒸着法による金属粉を使用することが特に好ましい。その理由は、この金属粉が粉砕法による金属粉と比較して前述のようにその厚みが約10分の1程度と薄いために、同一の重さのインクで比較した場合、同一の平均直径のときに金属粉の個数が約10倍となるため、金属光沢を高めることに大きく寄与し、後に述べるようにパスター加工法で製造したマイクロ文字入りスレッドに近似した優れた金属光沢を得ることができるようになるからである。
高光沢金属インクは、オフセット印刷に適したオフセット印刷用インク、グラビア印刷に適したグラビア印刷用インク、スクリーン印刷に適したスクリーン印刷用インク、フレキソ印刷に適したフレキソ印刷用インク、等の種々のインクの形態に周知の方法により調製されて使用される。オフセット印刷用インクやフレキソ印刷用インクは、前記金属粉とバインダー(ビヒクル)からなる主剤と、粘度調製剤、乾燥調整剤等からなる助剤とから基本的に調製される。ビヒクルとしては、アマニ油、スタンド油等のアマニ油型や、乾性油変性アルキッド樹脂等のアルキッド型、ロジン変性フェノール樹脂を、アマニ油、キリ油の混合液、または低粘度のアマニ油ワニス等に溶解し、沸点範囲の狭い石油留分を加えて粘度を調整した樹脂ワニスを主とした速乾性樹脂型、等を挙げることができる。
本発明においては、膜厚を厚く印刷できることから、グラビア印刷やスクリーン印刷が好ましく使用できる。このインクは、バインダーとしては、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール系樹脂等から選ばれる1種または2種以上を使用する。これらの樹脂の1種類若しくは2種類以上を、トルエン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、水等の溶剤の1種類若しくは2種類以上に、着色剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、等の助剤を適宜併用し、前記金属粉を混合して調製される。或いは上記樹脂のモノマーやオリゴマーに金属粉や助剤を混合して紫外線硬化型のインクを調製する。
グラビア印刷とは、円筒状の彫刻版にインクをつけた後、ドクターと呼ばれる薄い鋼鉄等の刃でこすって余分なインクを掻き落とし、凹部に残ったインクを印刷素材に転移させて印刷する方法である。また、スクリーン印刷とは、版支持板として合成繊維等でできた紗や金属でできたスクリーンを用い、その上に作られた版画像を通して印刷インクを被印刷体に転移させ印刷を行う技術の総称であり、平台式や円筒型のシリンダー方式が知られている。
本発明の偽造防止用紙を製造するために使用するスレッドには、スプール等に巻き取られた連続したスレッドを用いる必要があるので、ベースフィルムも連続してロール状に巻かれていること、マイクロ文字印刷を施した後のベースフィルムもロール状に巻かれていることが必要である。従って、グラビア印刷方式やロータリースクリーン印刷方式を採用する場合は問題ないが、平台式のスクリーン印刷方式を採用する場合は枚葉式の印刷方式ではなく、いわゆるロールツウロール(Roll to Roll)式の印刷方式を採用する必要がある。この方式は、ロール状に巻かれたベースフィルムを平台に供給してからベースフィルムを停止させ、次いで印刷を施し、次いで印刷された長さだけフィルムを巻き取ることを繰り返して印刷する方法である。これによりベースフィルムに連続した印刷を施すことができる。
本発明を達成するため、グラビア印刷においては、マイクロ文字のポイント数は通常3〜10ポイントのものを、また、スクリーン印刷においてはスクリーンのメッシュは通常100〜450メッシュのスクリーンを、マイクロ文字のポイント数は通常3〜10ポイントのものを使用する。
印刷厚み(乾燥厚み)は、余り薄いと金属光沢感が不足し、逆に厚すぎてもインクが流れたり、乾燥不良を起こしたりし、また金属光沢感は一定以上には大きくならないので通常1〜10μm、好ましくは3〜7μmで印刷される。
図3は本発明に使用するスレッドの一部拡大断面図であり、図4はその斜視図である。この例では、ベースフィルム1の表面に高光沢金属インクよりなるマイクロ文字2が形成され、ベースフィルム1の裏面に接着剤層3が形成されている。図4に示したが、このスレッドの例ではマイクロ文字2は、「security」なる文字の繰り返しで形成されている。
このスレッドを作成するには、先ずベースフィルム1の表面にオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等により、高光沢金属インクでマイクロ文字印刷を施す。次いで、裏面に必要に応じて接着剤層3を設ける。前述した窓開きスレッド入り紙を製造する場合に使用するスレッドには接着剤層3を設けたタイプを使用することが必要である。この接着剤層3を設けないと、窓部に露出するスレッドを爪等で擦ると容易に浮き上がってしまうという問題を起こすからである。
なお以上の説明は、主として窓開きスレッド入り偽造防止用紙を例に挙げて説明したが、本発明は用紙に窓開き部がなく、スレッドが用紙内部に挿入されていて用紙表面に露出しないタイプのスレッド入り偽造防止用紙にも適用することができる。かようなスレッドが露出しないタイプの偽造防止用紙は、商品券の用途等に使用する場合は接着剤層を特に設ける必要がない場合がある。
また、乗車券や入場券等でその一部にミシン目を入れ、ミシン目に沿って券の一部をちぎり取るような用途に使用される場合は、スレッドに接着剤を塗工していないと券の一部をちぎり取る際にスレッドがミシン目で切断されずに用紙内部から引きずり出されることがあるので、このような場合は、スレッドが露出しないスレッド入り偽造防止用紙においても、接着剤層を設ける必要がある。
ベースフィルム1の裏面に設ける接着剤層は、抄紙機の乾燥ゾーンの温度で溶融若しくは軟化する感熱接着剤である。この接着剤層は、アイオノマー樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリ酢酸ビニル樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系、ポリアクリル酸エステル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系等の公知の感熱接着剤を水系若しくは溶剤系の塗料とし、エアナイフコーターやグラビアコーター等の慣用的な塗工機を用いてベースフィルムの裏面に塗工することにより形成できる。その塗工量は、通常で0.1〜10g/m(乾燥質量換算)とする。接着剤には必要に応じて、ブロッキング防止剤、潤滑剤、着色剤、紫外線蛍光発色剤等を添加してもよい。
ベースフィルム1の表面には必要に応じて接着剤層を設けてもよい。特に窓開きスレッド入り紙の製造において、巾が広いスレッドを使用する場合は、表面にも接着剤層を設けておくことが好ましい。その理由は、図1に図示したように非窓開き部5に潜っているスレッド表面とその上に被さる紙層7の間は接着しないことになり、オフセット印刷時に「紙むけ」と呼ばれるトラブルを起こす場合があるからである。
本発明において使用するスレッドは、図7に示したように、ベースフィルム1の表面にマイクロ文字2を印刷し、その面と同一面に接着剤層3を形成させた構成としてもよい。また、図示はしないが、ベースフィルム1の表裏にマイクロ文字2を設けた構成にしてもよい。
次いで、マイクロスリッター等の周知の装置を使用して所定の幅にスリットしてボビンに巻き取ることで本発明に使用するスレッドはできあがる。スリット幅は通常0.5〜5mm幅である。このスレッドをルーペ等を使用して観察すると、図4に図示したような金属光沢感に優れたマイクロ文字が視認できる。
本発明は、以上述べた方法で製造したスレッドを用いて前述した方法で窓開きスレッド入りタイプの偽造防止用紙を製造する。本発明においては、図7に図示した構成のスレッドを用いることが好ましい。図3に図示したスレッドを用いた場合よりマイクロ文字の金属光沢感が優れるからである。その理由は、図7に図示したスレッドの場合は、ベースフィルムを通して、平滑なベースフィルムに接したインク層を見ることとなり、高い金属光沢感を持ったマイクロ文字が見えるからである。
本発明者等が種々検討した結果、高光沢金属インク中の金属粉がベースフィルム表面に平らに並ぶ効果は、グラビア印刷方法よりスクリーン印刷方法の方が大きいことが判った。この理由はよくは判らないが、本発明者等は、スクリーン印刷法は版に盛られたインクをスクイジーと呼ばれる板状物でしごき、版の目を通過させてインクを被印刷物表面に接するようにさせる際に、金属粉が被印刷物表面に平らに並ぶ効果を加速させ、このことが金属光沢感の向上に寄与するからであろうと推定した。
本発明では、ベースフィルムの裏面に接着剤層3を設ける構造のスレッドを使用する場合には、ベースフィルムとして前述した紫外線を吸収する性能を有するフィルムを使用し、紫外蛍光発色剤を添加した接着剤を使用することが好ましい。紫外線を吸収する性質を有するフィルムを使用しないと、マイクロ文字印刷以外のフィルム露出面から紫外線が透過し接着剤に含まれた紫外蛍光発色剤を励起させ、表裏共に紫外蛍光発色して見えるため表裏の判定が困難となる。前記した構成にすると、用紙を製造する際にスレッドの表裏を紫外線の照射で容易に検知でき、スレッドの表裏を誤って用紙に挿入してしまうトラブルを防止できるようになり、損紙の発生を最小限に抑えることが可能となる。スレッドの紫外蛍光発色の判定は、目視や、CCDを使用した撮像等により自動的に行うことができ、自動的に発色の検出を行う場合には、スレッドの反転と同時に警報を発するようにすることも可能である。
判定結果により、スレッドの表裏が用紙に正しく挿入されていない場合には、スレッド挿入状態を直ちに反転させる必要がある。スレッド挿入状態を反転させる方法としては、スレッド挿入箇所においてスレッドを切断した後、スレッドを反転させて再び挿入する手動的方法や、スレッド挿入装置にスレッド反転機能をもたせて機械的に行う方法が考えられる。機械的にスレッドを反転させる場合には、スレッドの発色の判定結果と連動させれば、自動的にスレッドを反転させることもできる。
本発明で使用する紫外蛍光発色剤は、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系等の紫外蛍光染料が一例として挙げられる。これらの紫外蛍光染料は、通常の光源のもとでは無色であるが、紫外線の照射により青白色に発光する。この種の紫外蛍光染料としては、染料メーカー各社で販売されているが一例を挙げると、(商品名「Mikawhite ATN conc.」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射で赤味掛かった白色に発色)、(商品名「Leucopher EF 2N」、クラリアント(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射でわずかに青味の白色に発色)、(商品名「TBO」、住友精化(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射で青白色に発色)、等々である。
また、本発明では、通常の光源のもとで有彩色で、紫外線の照射で各種色相に発光するアミノケトン系等の染料も使用できる。この種の紫外蛍光染料も染料メーカー各社で販売されているが一例を挙げると、(商品名「Yellowfluor G」、住友化学工業(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Flavine FN」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Flavine FG」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Yellow SF−G」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Orange SF−R」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとでオレンジ色、紫外線の照射でオレンジ色に発色)、(商品名「Kayaset Red SF−B」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで赤色、紫外線の照射で赤色に発色)、(商品名「Kayaset Red SF−4G」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで赤色、紫外線の照射で赤色に発色)、等々である。
本発明では紫外蛍光発色剤として、無機の紫外蛍光顔料も使用できる。具体的には、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛;マンガン等で活性化したケイ酸亜鉛;銀、銅等で活性化した硫化亜鉛;カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシウム;サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロンチウム;鉛等で活性化したタングステン酸カルシウム;ユーロピウム等で活性化したSr(POCl;マンガン等で活性化したZnGeO;ユーロピウム等で活性化したYS;ユーロピウム等で活性化したY等を挙げることができる。また、必要に応じて、これらにアントラキノン系やアセトフェノン系等の増感剤を併用することもできる。
なお以上の説明は、主として窓開きスレッド入り偽造防止用紙を例に挙げて説明したが、本発明は用紙に窓開き部がなく、スレッドが用紙内部に挿入されていて用紙表面に露出しないタイプのスレッド入り偽造防止用紙にも適用することができる。この場合でもスレッド挿入後の湿紙に紫外線を照射あるいは透過させてスレッドの印刷層への発色を観察することにより、スレッドの表裏を判定することができ、用紙内部へのスレッドの挿入状態を正しく制御することが可能となる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、実施例中の質量、質量部、厚みはいずれも乾燥換算の値を意味する。
スレッドの製造例1
ベースフィルムとして、厚み16μmの紫外線吸収ポリエステルフィルム(東レ(株)製造)を使用し、その裏面に、蒸着法により製造したアルミニウム金属粉を使用したスクリーン印刷用高光沢金属インク(商品名「MIR−9100ミラーシルバー」、粘度約600cps、帝国インキ製造(株)製造)を使用して、ロータリースクリーン印刷機で3.5μmの厚みで印刷し、マイクロ文字印刷層を形成した。
マイクロ文字は「security」の文字の繰り返しで、フィルムの表面から見ると正文字に見えるようにデザインした。文字1字の大きさは1mm、文字と文字の間隔は1mm、文字列と文字列の間隔は1mmとした。さらにマイクロ文字印刷層の表面に、オキサゾール系の紫外蛍光発色剤(接着剤に対して0.5質量%使用)を添加したエチレン−酢酸ビニル系の感熱接着剤を7μmの厚みで塗工して感熱接着剤層を形成した。次いでマイクロスリッターを使用して文字列と文字列の丁度中央でスリットすることにより、文字列が中央に位置する巾2mmのスレッドを製造した。スレッドはボビンに巻き取った。
スレッドの比較例1
粉砕法によるリーフィングタイプのアルミニウム金属粉を利用したリーフィングタイプのロータリースクリーン印刷用金属インキを用いた他はスレッドの製造例1と同様にしてスレッドを製造しボビンに巻き取った。
製造例1、製造例2、比較例1のスレッドのマイクロ文字印刷部分を表面側(接着剤層と反対面)から目視で観察した結果を表1に示す。
表1
Figure 0004017572

金属光沢感:前述したパスター加工法によるマイクロ文字入りスレッド(使用金属はアルミニウム)の金属光沢感とを目視により比較した。
5点:パスター加工によるマイクロ文字の金属光沢感を示す。
4点:パスター加工によるマイクロ文字の金属光沢感よりわずかに劣る程度の金属光沢感を示す。
3点:金属光沢感を示しているが、パスター加工によるマイクロ文字の金属光沢感と比較するとその差が認められるが実用上の下限である。
2点:金属光沢感は殆ど示さず、実用上問題がある。
1点:金属光沢感は全く示さず、実用上問題がある。
この様にして製造した製造例1と製造例2のスレッドは、ルーペで観察するとアルミニウム金属光沢感に優れたマイクロ文字を視認できた。同じ組成のインクを使用し、同じ厚みに印刷したにも拘らず、ロータリースクリーン印刷法で印刷した製造例1のスレッドの方が、グラビア印刷法で印刷した製造例2のスレッドよりも金属光沢感が優れており、パスター加工により製造したマイクロ文字入りスレッドと比較して、わずかに劣る程度の金属光沢感が得られていた。
また、いずれのスレッドも紫外線を照射(ブラックライトを使用)し、接着剤に含まれた紫外蛍光発色剤の発光の有無で表裏を容易に判定できた。
実施例1 (偽造防止用紙の製造例1)
紙料の調製
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量部をフリーネス350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10質量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.3質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE−50」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、硫酸バンドを適量加え、紙料を調製した。
抄紙網の製造
図5に示したような円網抄紙機の最外層の紙層を形成する槽12の円網シリンダー12aの上網12b(幅1300mm)に短辺10mm、長辺25mm、厚み0.3mmの樹脂板からなる多数の型13を接着剤を使用して紙層の流れ方向に10mm間隔で連続的に貼り付けた。この列を上網12bの幅方向に等間隔に6列取り付けた。
用紙の抄造
図5に示したような2槽式円網抄紙機の窓開き部のない最外層に接する紙層8を形成するための第1の槽11の円網シリンダー11aには何等細工を施さない上網を装着し、窓開き部4を有する際外層の紙層7を形成するための第2の槽(最終槽)12の円網シリンダーには上記型13を取り付けた上網12bを装着した。1槽目で形成した紙層8の上に2槽目で形成した紙層7が重なるようにして、前記紙料を用い抄紙速度50m/分で2層抄き合わせ紙を製造した。この際、紙層8(乾燥質量に換算して50g/m)と紙層7(同50g/m)の間に、製造例1で製造したスレッドを特公平5−40080号公報で提案した方法を用いて型13の中央に相当する位置に挿入した。クーチロール15の位置にブラックライト(図示せず)を設置して湿紙に紫外線を照射した。用紙の窓開き部に露出するスレッドが紫外線の照射で発色して見える場合は、スレッド裏面の感熱接着剤塗工層が露出していることを意味するので、スレッド挿入位置Vで挿入されているスレッドを切断し、スレッドの表裏面を反転させた後、再び挿入する動作を行った。この動作を紫外線の照射でスレッドが発色しなくなるまで行うことにより、正常なスレッド挿入状態とすることができる。次いで常法に従い湿紙を脱水後、シリンダードライヤーで乾燥し、2層抄き合わせ紙からなる本発明の偽造防止用紙を製造した。得られた用紙は、用紙の流れ方向における窓開き部4の長さXが10mm、非窓開き部の長さYが10mmであり、窓開き部4内部ではスレッド6が露出し、非窓開き部5ではスレッド6が紙層の間に埋設された状態となっていた。窓部に露出したスレッドをルーペで観察するとアルミニウム金属光沢感に優れたマイクロ文字が観察できた。
実施例2 (偽造防止用紙の製造例2)
紙料の調製は実施例1と同様に行った。
抄紙網の製造
図5に示した円網抄紙機の最外層の紙層7を形成するための第2の槽(最終槽)12の円網シリンダーの上網12bには実施例1の場合と異なり型13を取り付けないプレーンな網を使用した。
用紙の抄造
スレッドの製造例2に述べたスレッドを使用し、上記抄紙網を使用した他は実施例1と同様にして偽造防止用紙を製造した。この偽造防止用紙を反射光で観察してもスレッドが挿入されていることは判らなかったが、光にかざすとスレッドに印刷されたマイクロ文字が光を遮断するので黒っぽいマイクロ文字を観察することができた。
偽造防止印刷物の製造例
以上述べた本発明の偽造防止用紙の表面に、図1で例示したような印刷を常法に従って施して偽造防止印刷物を得た。
以上のような特性を活かして本発明で得られた偽造防止用紙は、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、入場券、乗車券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書等に好適に使用できる。
本発明の偽造防止用紙を用いた商品券の一例を上面から見た図である。 図1の窓開き部の部分の拡大断面図である。 本発明で使用するスレッドの一例を示す一部拡大断面図である。 図3に示したスレッドの斜視図である。 本発明の偽造防止用紙の製造に好ましく使用できる2槽式円網抄紙機の例を示す説明図である。 図5の円網抄紙機で使用する円網シリンダーの上網に、窓開き部を形成するための型を取り付けた状態を示す部分説明図である。 本発明で使用するスレッドの他の一例を示す一部拡大断面図である。
符号の説明
1 ベースフィルム
2 マイクロ文字
3 接着剤層
4 窓開き部
5 非窓開き部
6 スレッド
7 最外層の紙層
8 最外層に接する紙層
9 所定の印刷層
11 最外層に接する紙層8を形成するための第1の槽
11a 槽11の円網シリンダー
12 最外層の紙層7を形成するための第2の槽
12a 槽12の円網シリンダー
12b 槽12の円網シリンダー12aの上網
13 型
14 キャンバス
15 クーチロール

















Claims (7)

  1. 用紙の流れ方向に連続的にスレッドが抄き込まれた偽造防止用紙において、該スレッドが、ベースフィルム(1)の少なくとも片方の表面に蒸着金属膜を粉砕した金属粉末とバインダーを主成分とした高光沢金属インク層よりなるマイクロ文字(2)が形成され、さらにその上に接着剤層(3)を必要に応じて形成されたスレッドであることを特徴とする偽造防止用紙。
  2. ベースフィルム(1)が、厚みが5〜30μmの透明な合成樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止用紙。
  3. 用紙の流れ方向に間欠的に厚みを薄くした窓開き部が用紙の表側に形成されており、この窓開き部にスレッドが露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止用紙。
  4. 用紙の流れ方向における前記窓開き部の長さ(X)と窓開き部と窓開き部の間に位置する非窓開き部の長さ(Y)との比率を3:1〜1:2としたことを特徴とする請求項3に記載の偽造防止用紙。
  5. ベースフィルム(1)が紫外線を吸収する性能を有すること、及び窓部に露出する面と反対の面に形成された接着剤層(3)が紫外線の照射で蛍光発色することを特徴とする請求項3または4に記載の偽造防止用紙。
  6. マイクロ文字(2)がスクリーン印刷法により形成されたことを特徴とする請求項1記載の偽造防止用紙。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の偽造防止用紙に所定の印刷層(9)を設けたことを特徴とする偽造防止印刷物。





















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