JP2022152384A - 透かしを有する紙 - Google Patents

透かしを有する紙 Download PDF

Info

Publication number
JP2022152384A
JP2022152384A JP2021055141A JP2021055141A JP2022152384A JP 2022152384 A JP2022152384 A JP 2022152384A JP 2021055141 A JP2021055141 A JP 2021055141A JP 2021055141 A JP2021055141 A JP 2021055141A JP 2022152384 A JP2022152384 A JP 2022152384A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
image portion
image
paper layer
light transmittance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021055141A
Other languages
English (en)
Inventor
嘉彦 福室
Yoshihiko Fukumuro
真太郎 二村
Shintaro Futamura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokushu Tokai Paper Co Ltd
Original Assignee
Tokushu Tokai Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokushu Tokai Paper Co Ltd filed Critical Tokushu Tokai Paper Co Ltd
Priority to JP2021055141A priority Critical patent/JP2022152384A/ja
Publication of JP2022152384A publication Critical patent/JP2022152384A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】従来よりも明瞭な黒透かし画像を有する紙を提供すること。【解決手段】透かしを有する紙であって、前記透かしが画像部及び非画像部からなり、前記画像部の厚みが前記非画像部の厚みよりも大きく、 前記画像部の光透過率が前記非画像部の光透過率よりも小さく、前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在しないか、又は、前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在し、且つ、前記中間領域の最大幅が100μm以下である、紙。【選択図】図1

Description

本発明は、商品券、入場券、パスポート、有価証券等の偽造防止に有用な、透かしを有する紙に関する。
商品券等の印刷物の偽造防止技術として、透かしが知られている。透かしは、それが施されている紙を透かして見たときに現れる模様であり、模様部分が透けて見える「白透かし」と、模様部分が周辺部に比して黒ずんで見える「黒透かし」とが知られている。
これらの透かし模様は通常、湿式抄紙における湿紙の形成段階(ワイヤーパート)において、パルプ繊維などの構成繊維の坪量を部分的に変化させることによって形成される。例えば、ワイヤーパートにおいて、模様状にワイヤー目を埋めた抄紙網を用いた場合には、湿紙におけるワイヤー目を埋めた模様部分に対応する部分に、周辺部に比して紙料が乗らず厚みの薄い型付けがなされ、その型付けされた部分が、該湿紙を乾燥して得られる紙における白透かしとなり、また、凹型の模様を施した抄紙網を用いた場合には、湿紙における該凹型の模様部分に対応する部分に、周辺部に比して厚みの厚い型付けがなされ、その型付けされた部分が、該湿紙を乾燥して得られる紙における黒透かしとなる。
また、透かし模様の一種として、疑似透かし(ケミカル透かし)などと呼ばれるものが知られている。疑似透かしは、紙等のシートに浸透して光透過率を高める物質、例えば、透明合成樹脂を溶剤に溶解したインキを用いてシートに印刷を施すことによって形成されるものであり、そのインキが付与されてなる印刷部が透かし模様となり、白透かしと同様の視覚効果を有する。
国際公開第2019/054207号には、画像部分を構成する層と非画像部分を構成する層を別とする黒透かしの手法が開示されている。
国際公開第2019/054207号
国際公開第2019/054207号記載の従来の黒透かしの手法では、黒透かしの画像部分と非画像部分とが別々の層から構成されているので、画像部分及び非画像部分が同一の層に存在する場合に比べて、黒透かしの画像部分と非画像部分との境界が明瞭となる。
しかし、国際公開第2019/054207号記載の従来の黒透かしの手法では、黒透かしによって表現される画像の明瞭性に更に改善の余地が存在する。
本発明は、上記の従来の黒透かしを改良することをその課題とする。具体的には、本発明は、従来よりも明瞭な黒透かし画像を有する紙を提供することをその課題とする。
鋭意検討の結果、本発明者らは、従来の黒透かしを改良することによって、より明瞭な黒透かし画像を有する紙を提供可能であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、透かしを有する紙であって、
前記透かしが画像部及び非画像部からなり、
前記画像部の厚みが前記非画像部の厚みよりも大きく、
前記画像部の光透過率が前記非画像部の光透過率よりも小さく、
前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在しないか、
又は
前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在し、且つ、前記中間領域の最大幅が100μm以下である、紙である。
前記中間領域の厚みが前記画像部の厚みと前記非画像部の厚みとの間であることが好ましい。
前記中間領域の断面が斜面を有し、
前記斜面の傾斜角が45°~90°であることが好ましい。
本発明の紙では、画像部が、最小幅が550μm以下の細線を含むことが好ましい。
前記細線の最小幅が300μm以上であることが好ましい。
本発明の紙では、前記画像部及び/又は前記非画像部が異なる光透過率を有する複数の部分を有してもよく、その場合は、
前記画像部の最高光透過率が前記非画像部の最低光透過率よりも小さいか、
前記中間領域が存在する場合は、前記中間領域の光透過率が、画像部の最高光透過率及び非画像部の最低光透過率の中間であることが好ましい。
前記光透過率は可視光の透過率であることが好ましい。
本発明の紙は、単一紙層から構成されていてもよく、
前記画像部及び前記非画像部が共に前記単一紙層に存在することができる。
一方、本発明の紙は、第1紙層及び第2紙層を備えていてもよく、
前記第1紙層が前記画像部を形成し、
前記第2紙層が前記非画像部を形成することができる。
前記第1紙層の組成が前記第2紙層の組成とは異なることが好ましい。
前記第1紙層が着色剤を含むことが好ましい。
前記第2紙層が前記着色剤を含まないことが好ましい。
本発明の紙は、前記画像部の少なくとも一部を被覆する被覆紙層を更に備えてもよい。
前記被覆紙層は少なくとも1つの欠損部を含んでもよい。
本発明の紙は、前記画像部及び前記被覆紙層の間に少なくとも1つのスレッドを含んでもよい。
本発明の紙は、明瞭な黒透かし画像を備えることができる。
画像部が、最小幅が550μm以下の細線を含む場合は、明瞭で且つ高精細な黒透かし画像を備えることができる。
本発明の紙は、単一の層から構成されていてもよく、複数の層から構成されていてもよい。
本発明の紙が複数の層から構成されている場合は、画像部と非画像部との境界をより明瞭とすることができる。
本発明の紙が被覆紙層を更に備える場合は、画像を保護することができ、また、画像の外観を調整することができる。
単一紙層からなる本発明の紙の一態様を示す図である。 単一紙層からなる本発明の紙の他の一態様を示す図である。 図2の画像部の周囲の拡大断面図である。 第1紙層及び第2紙層を備える本発明の紙の一態様を示す図である。 第1紙層及び第2紙層を備える本発明の紙の他の一態様を示す図である。 被覆紙層を備える本発明の紙の一態様を示す断面図である。 従来の黒透かしの手法に使用される従来の型の作製プロセスを示す概念図である。 本発明の黒透かしの手法に使用される型の作製プロセスを示す概念図である。 本発明の紙の製造に使用される型の一例を示す正面図である。 単一紙層からなる本発明の紙の製造方法の一態様を示す概念図である。 第1紙層及び第2紙層を備える本発明の紙の製造方法の一態様を示す概念図である。 被覆紙層を有する本発明の紙の製造方法の一態様を示す概念図である。
本発明は従来の黒透かしを改良したものであり、本発明の透かしを有する紙は、従来の黒透かしのように、画像部が非画像部に比して高い不透明度を有する画像を形成するところ、本発明では、
前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部及び前記非画像部との間に存在しないか、
又は
前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在し、且つ、前記中間領域の最大幅が100μm以下である。
したがって、本発明の紙における黒透かし画像は明瞭である。
以下、本発明を説明する。
[本発明の紙]
本発明の紙は透かしを有しており、
前記透かしが画像部及び非画像部からなり、
前記画像部の厚みが前記非画像部の厚みよりも大きく、
前記画像部の光透過率が前記非画像部の光透過率よりも小さく、しかも、
前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部及び前記非画像部との間に存在しないか、
又は
前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在し、且つ、前記中間領域の最大幅が100μm以下である。
本発明の紙が有する透かしは画像部及び非画像部からなり、画像部の厚みが非画像部の厚みよりも大きい。そして、画像部の光透過率が非画像部の光透過率よりも小さい。したがって、紙を光に透かして見た場合に、画像部の明度が非画像部の明度よりも小さくなり、画像部が非画像部よりも暗く見える。
本発明の紙の透かしでは、画像部と非画像部の間に中間明度領域が存在しないか、又は、画像部と非画像部の間に中間明度領域が存在してもその幅が狭いので、画像部と非画像部との明度コントラストが高く、画像が明瞭である。
本発明における光透過率の「光」は、赤外線、紫外線、可視光等を含む任意の種類の光であるが、可視光であることが好ましい。すなわち、本発明における光透過率は可視光の透過率であることが好ましい。本発明における可視光とは、360~830nmの波長を有する電磁波であり、好ましくは400~760nmの波長を有する。
画像部と非画像部の面積比は任意に規定することができる。例えば、画像部の面積を画像部と非画像部の面積の合計の50%未満とすることができ、40%未満が好ましく、30%未満がより好ましく、20%未満が更により好ましい。画像部の面積が50%を下回る場合、画像部はポジ画像となる。この場合、画像部のみを着色することにより、黒透かし像と着色像の完全な一致が可能である。一方、画像部の面積が画像部と非画像部の面積の合計の50%を上回る場合、画像部はネガ画像となる。この場合、画像部のみを着色すると、着色部分をバックグラウンドとして非画像部があたかも白透かし像のように見え、しかもその輪郭が鮮明となる効果がある。
本発明において画像部はポジ画像パターンであることが好ましい。したがって、本発明では画像部が表現対象の文字、図等の画像を構成することが好ましい。
本発明の紙では、画像部に形成される画像をQRコード(登録商標)等の二次元コード、及び/又は、バーコード等の一次元コードといったデータ情報にすることもできる。この場合、画像部に形成された透かしの透過光でデータ情報の読み取りが可能となる。印刷で付与されるデータ情報はあくまでも表面上のものであり、反射光で読み取られるが、本発明では、例えば、反射光では読み取らず、一方、透過光で読み取る点で、印刷によるデータ情報と本発明の透かしによるデータ情報の差別化が可能となる。さらに、本発明では通常の透かしよりもシャープなエッジ表現が可能であるために、読み取り性能が優れる。さらに画像部に色もしくは填料を付与することによって、よりコントラストを強調し、読み取りをより容易とすることも可能である。
本発明の紙は、単一紙層から構成されていてもよく、或いは、少なくとも、第1の紙層及び第2の紙層を備えていてもよい。
(単一紙層からなる場合)
図1は単一紙層からなる本発明の紙の一態様を示し、図1(A)及び図1(B)は、それぞれ、正面図及び断面図を表す。
図1の態様では、透かしが画像部1a及び非画像部1bからなり、画像部1a及び非画像部1bが共に単一紙層100に存在する。すなわち、単一紙層100が画像部1a及び非画像部1bを有する。
図1の態様では、画像部1aの厚みが非画像部1bの厚みよりも大きい。したがって、画像部1aの光透過率は非画像部1bの光透過率よりも小さくなり、画像部1aが黒透かし画像を形成する。
図1の態様では、画像部1aの光透過率と非画像部1bの光透過率との間の光透過率を有する中間領域が画像部1a及び非画像部1bとの間に存在しない。すなわち、画像部1a及び非画像部1bの間には、画像部1aの明度と非画像部1bの明度との間の明度を有する中間領域が存在せず、画像部1aの明度と非画像部1bの明度とのコントラストが大きい。したがって、画像部1aが形成する黒透かし画像は明瞭である。
図1の態様では、画像部1aの平面形状は正方形であるが、本発明の紙では、画像部1aの平面形状は特には限定されるものではなく、所定の幅を有する直線若しくは曲線、所定の面積を有する三角形、四角形等の多角形、円、楕円、扇形等の各種図形、並びに、これらの組合せから形成される任意の形状とすることができる。
図1の態様では、画像部1aが最小幅550μm以下の細線を含むことが好ましく、細線の幅は520μm以下がより好ましく、490μm以下が更により好ましい。最小幅が550μm以下の細線を画像部1aが含むことにより、高精細の画像を形成することができる。
細線の最小幅の下限は特には限定されるものではないが、視認性の点で300μm以上が好ましく、310μm以上がより好ましく、320μm以上が更により好ましい。
図1の態様では、画像部1a及び/又は非画像部1bは異なる光透過率を有する複数の部分を有してもよい。すなわち、画像部1a及び/又は非画像部1bは多階調の明度を有してもよい。但し、その場合は、画像部1aの最高光透過率が非画像部1bの最低光透過率よりも小さいことが好ましい。
画像の明瞭性の点では、画像部1aは二値画像を形成することがより好ましい。すなわち、画像部1aが単一の明度を有し、また、非画像部1bも単一の明度を有し、且つ、画像部1aの明度が非画像部1bの明度よりも小さいことがより好ましい。
図2は単一紙層からなる本発明の紙の他の一態様を示し、図2(A)及び図2(B)は、それぞれ、正面図及び断面図を表す。
図2の態様は、透かしが画像部1a及び非画像部1bからなり、画像部1a及び非画像部1bが共に単一紙層100に存在し、画像部1aの厚みが非画像部1bの厚みよりも大きい点で図1の態様と共通する一方で、画像部1aの光透過率と非画像部1bの光透過率との間の光透過率を有する中間領域1cが画像部1a及び非画像部1bとの間に存在する点で図1の態様とは異なる。すなわち、単一紙層100は画像部1a、非画像部1bに加えて中間領域1cを有する。
図2の態様では、画像部1aと非画像部1bの間に、画像部1aの明度と非画像部1bの明度の間の明度を有する中間領域1cが存在するので、画像部1aの明度と非画像部1bの明度との見かけのコントラストが低下するが、本発明では中間領域1cの最大幅が100μm以下であるので、画像部1aと非画像部1bとの間隔が狭く、画像部1aと非画像部1bの見かけのコントラストの低下が抑制され、画像の明瞭性が維持される。中間領域1cの最大幅は90μm以下がより好ましく、80μm以下が更により好ましい。
本発明における中間領域の「幅」とは、中間領域の一端から対向する他端までの距離を意味しており、例えば、中間領域が長方形の場合は2つの長辺間の距離、すなわち、短辺長を意味する。
図2に示す例では、長方形の画像部1aの周囲に外周が長方形の中間領域1cが存在しており、画像部1aの上下方向と左右方向とで中間領域1cの幅が異なる。この場合、中間領域1cの最大幅は図2中の点線間の距離(矢印で表す)である。
図3は、図2の態様の画像部(1a)の周囲の断面拡大図である。図3に示す例では、画像部(1a)及び中間領域(1c)が一緒になって台形状の断面を有し、画像部(1a)が台形の頂面を形成し、中間領域(1c)が台形の斜面を形成する。
図3に示す例では、中間領域(1c)の厚みは画像部(1a)から非画像部(1b)に向けて減少するので、中間領域(1c)の厚みは画像部(1a)の厚みよりも小さい。したがって、中間領域(1c)の厚みは画像部(1a)の厚みと非画像部(1b)の厚みとの間である。
画像部(1a)から非画像部(1b)へ向けての中間領域(1c)の厚みの減少率は一定でもよく、一定でなくともよい。いずれにしても中間領域(1c)の光透過率は中間領域(1c)の厚みの減少に比例して増加する。
図3に示す例では、中間領域(1c)の断面が斜面を有しており、単一紙層の表面からの当該斜面の傾斜角θは45°~90°である。傾斜角θの下限は50°が好ましく、55°がより好ましい。特に、中間領域(1c)の斜面は高傾斜であることが好ましい。ここで、「高傾斜」とは傾斜角θが60°から90°の範囲内にあることを意味している。傾斜角θの下限は65°が好ましく、70°がより好ましい。傾斜角θが大きい程、中間領域(1c)の視認幅が減少し、画像部(1a)と非画像部(1b)との明度のコントラストを維持することができる。
図2の態様では、画像部1aの平面形状は長方形であるが、本発明の紙では、画像部1aの平面形状は特には限定されるものではなく、所定の幅を有する直線若しくは曲線、所定の面積を有する三角形、四角形等の多角形、円、楕円、扇形等の各種図形、並びに、これらの組合せから形成される任意の形状とすることができる。
図2の態様では、画像部1aが最小幅550μm以下の細線を含むことが好ましく、細線の幅は520μm以下がより好ましく、490μm以下が更により好ましい。最小幅が550μm以下の細線を画像部1aが含むことにより、高精細の画像を形成することができる。
細線の最小幅の下限は特には限定されるものではないが、視認性の点で300μm以上が好ましく、310μm以上がより好ましく、320μm以上が更により好ましい。
図2の態様でも、画像部1a及び/又は非画像部1bは異なる光透過率を有する複数の部分を有してもよい。すなわち、画像部1a及び/又は非画像部1bは多階調の明度を有してもよい。但し、その場合は、画像部1aの最高光透過率が非画像部1bの最低光透過率よりも小さく、且つ、中間領域1cの光透過率が画像部1aの最高光透過率及び非画像部1bの最低光透過率の中間であることが好ましい。
画像の明瞭性の点では、画像部1aは二値画像であることがより好ましい。すなわち、画像部1aは単一の明度を有し、また、非画像部1bも単一の明度を有し、且つ、画像部1aの明度が非画像部1bの明度よりも小さいことがより好ましい。
図1に示す画像部1a及び非画像部1bを有する単一紙層100、並びに、図2及び図3に示す画像部1a、非画像部1b及び中間領域1cを有する単一紙層100は紙料を含む。
通常、紙料は主に繊維、特にセルロース繊維からなり、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;レーヨン等の再生セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
紙料はセルロース繊維以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる合成繊維;澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤;着色剤、サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(第1紙層及び第2紙層を備える場合)
図4及び図5は、それぞれ、第1紙層及び第2紙層を備える本発明の紙の異なる態様を示し、図4及び図5の(A)並びに図4及び図5の(B)は、それぞれ、正面図及び断面図を表す。
図4及び図5の態様は、画像部1aが第1紙層1からなり、非画像部1bが第2紙層2からなる点が図1及び図2の態様とは異なるが、それら以外の点は図1及び図2に示す態様と同一である。
図4及び図5の態様は第1紙層1及び第2紙層2を備える多層紙である。第1紙層1は第2紙層2の一方の表面に接触して配置されている。
図4及び図5に示す態様では、画像部1aは第1紙層1及び第2紙層2の合計の厚みを有し、非画像部1bは第2紙層2の厚みのみを有するので、画像部1aの厚みが非画像部1bの厚みよりも大きい。したがって、画像部1aの光透過率は非画像部1bの光透過率よりも小さくなり、画像部1aが黒透かし画像を形成する。
第1紙層1及び第2紙層2は紙料を含む。通常、紙料は主に繊維、特にセルロース繊維からなり、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;レーヨン等の再生セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1紙層1及び第2紙層2の少なくとも1つはセルロース繊維以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる合成繊維;澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤;サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1紙層1と第2紙層2は図4(B)及び図5(B)に示すように別個の層として独立していることが好ましいが、接触部分の少なくとも一部或いは全部が相互に混和して一体化してもよい。但し、第1紙層1と第2紙層2の接触部分が一体化しても、第1紙層1と第2紙層2は完全には同一とはならない。したがって、第1紙層1が構成する画像部1aと第2紙層2が構成する非画像部1bとは光透過性以外の点でも外観が異なる。
このように、本発明の多層紙の形態では、第1紙層1が構成する画像部1aと第2紙層2が構成する非画像部1bとは正面からみて異なる外観を有する。したがって、本発明の多層紙は、透かし部分とその他の部分との境界がより明瞭である。
第1紙層1の組成は第2紙層2の組成と異なることが好ましい。本発明の一態様では、第1紙層1は、第2紙層2とは異なる種類の物質を含むことが好ましい。当該物質は特には限定されるものではないが、紙料、填料、着色剤などが挙げられる。
本発明の一態様では、第1紙層1に含まれる紙料は、第2紙層2に含まれる紙料に比べて、繊維長の短い繊維、特にセルロース繊維、をより多く含むことが好ましい。これにより、第1紙層1による透かしのシャープさを向上できる。なお、第1紙層1が繊維長の短い繊維をより多く含む限り、第1紙層1と第2紙層2に含まれる繊維の材質又は径は異なってもよく、また、同じ材質又は径の繊維であってもよい。なお、繊維の叩解条件を進めることで繊維長を短く設計することができる。
本発明の一態様では、第1紙層1は、第2紙層2に比べ、より不透明度が高いことが好ましい。これにより、透かしのコントラストをより高めることが可能である。第1紙層1の不透明度を高くする方法は特に限定されないが、例えば、第1紙層1にのみに填料を配合したり、第2紙層2よりも填料を多く配合することが挙げられる。また、第1紙層1と第2紙層2とで異なる種類の填料を添加したり、配合割合を調整してもよい。
第1紙層1は着色剤を含むことが好ましい。着色剤は特に限定されるものではないが、染料及び/又は顔料であることが好ましい。また、染料は蛍光染料であってもよく、顔料は蛍光顔料であってもよい。
第1紙層1が染料、顔料等の着色剤を含むことにより、画像部1aと非画像部1bとの境界をより明瞭とすることができる。特に、着色剤を蛍光染料、蛍光顔料等の蛍光性着色剤を使用することにより、紫外線等を照射することにより画像部1aが形成する画像を認識することができる。
染料は特に限定されるものではないが、親水性のものが好ましく、水に溶解可能な水性染料がより好ましい。水性染料としては、任意のものを使用することができ、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料等が挙げられる。水性染料の具体例としては、C.I.(カラーインデックス)ダイレクトブラック9、17、19、22、32、38、51、56、62、69、71、77、80、91、94、97、105、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199、C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101、C.I.ダイレクトレッド23、83、227、C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、144、161、163、C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、199、201、202、236、237、244、251、280、C.I.アシッドブラック7、24、29、31、48、52、94、C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、C.I.アシッドレッド87、186、254、289、C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、110、174、218、C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、106、112、120、205、230、234、271、280等が挙げられる。
顔料も特に限定されるものではなく、任意のものを使用することができる。顔料としては無機系顔料、有機系顔料及びこれらの混合物を使用することができる。顔料は親水性のものが好ましく、水分散性のものがより好ましい。
無機系顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウクロメート、ホワイトカーボン、クレィ、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、フェロシアン化物(紺青)、燐酸塩(マンガンバイオレット)、カーボンブラック等が挙げられる。
有機系顔料としては、例えば、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、キノリンエローレーキ、マラカイトグリーンレーキ、アリザリンレーキ、カーミン6B、レーキレッドC、ジスアゾエロー、レーキレッド4R、クロモフタルエロー3G、クロモフタルスカーレットRN、ニッケルアゾエロー、パーマネントオレンジHL、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、フラバンスロンエロー、チオインジゴボルドー、ペリンレッド、ジオキサドンバイオレット、キナクリドンレッド、ナフトールエローS、ピグロントグリーンB、ルモゲンエロー、シグナルレッド、アルカリブルー、アニリンブラック等が挙げられる。
蛍光染料・蛍光顔料は、紫外線、赤外線等の電磁波の照射により蛍光を発する性質があり、紙料を着色可能なものであれば特に限定されるものではない。
紫外線により蛍光を発する蛍光染料としては、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系等の紫外蛍光染料が一例として挙げられる。これらの紫外蛍光染料は、通常の光源のもとでは無色であるが、紫外線の照射により青白色に発光する。この種の紫外蛍光染料は、染料メーカー各社によって販売されているが、(商品名「Mikawhite ATN conc.」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射で赤味掛かった白色に発色)、(商品名「Leucopher EF 2N」、クラリアント(株)製造:通常の光源のもとで無色、紫外線の照射でわずかに青味の白色に発色)等が挙げられる。
本発明では、通常の光源のもとでは有彩色で、紫外線の照射により各種色相に発光するアミノケトン系等の染料も使用できる。この種の紫外蛍光染料も染料メーカー各社によって販売されているが、(商品名「Yellowfluor G」、住友化学工業(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Flavine FN」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Flavine FG」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Yellow SF-G」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで黄色、紫外線の照射で黄色に発色)、(商品名「Kayaset Orange SF-R」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとでオレンジ色、紫外線の照射でオレンジ色に発色)、(商品名「Kayaset Red SF-B」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで赤色、紫外線の照射で赤色に発色)、(商品名「Kayaset Red SF-4G」、日本化薬(株)製造:通常の光源のもとで赤色、紫外線の照射で赤色に発色)、等々が挙げられる。
紫外線により蛍光を発する蛍光顔料としては、例えば、無機の紫外蛍光顔料を使用することができる。具体的には、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛;マンガン等で活性化したケイ酸亜鉛;銀、銅等で活性化した硫化亜鉛;カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシウム;サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロンチウム;鉛等で活性化したタングステン酸カルシウム;ユーロピウム等で活性化したSr(POCl;マンガン等で活性化したZnGeO;ユーロピウム等で活性化したYS;ユーロピウム等で活性化したY等を挙げることができる。また、必要に応じて、これらにアントラキノン系やアセトフェノン系等の増感剤を併用することもできる。また、蛍光顔料を造粒形成した蛍光粒子を使用することで、強い蛍光発色が可能となるので、そのような蛍光粒子の使用が好ましい。
本発明で使用される着色剤は常温常圧で液体のような無定形でもよいが、粒子の形態のような定形であってもよい。更に、着色剤(着色材)は繊維の形態であってもよい。
前記粒子は、特に限定されるものではなく、例えば着色剤を含むシートの粉砕処理や打ち抜き断裁加工、または着色剤を混合した樹脂の造粒加工によって作成することが可能である。
前記繊維は、特に限定されるものではなく、例えば繊維単体への着色剤の染色加工、または着色剤を混合した樹脂の射出成型による繊維化によって作成することが可能である。
一方、第2紙層2は着色剤を含まないことが好ましい。第2紙層2が着色剤を含まないことにより、画像部1aのみを着色して、画像部1aと非画像部1bとの境界を更により明瞭とすることができる。また、黒透かし部分と蛍光像等の着色像を良好に一致させることができる。通常、黒透かし部分に着色像を印刷等しても黒透かし部分が構成する画像と着色像を正確に一致させることは困難であるが、本発明では、黒透かし部分が構成する画像と着色像を正確に一致させることが容易である。
本発明の多層紙は、従来の黒透かしのように、画像部1aが非画像部1bに比して高い不透明度を有する透かしを形成するが、本発明の多層紙では少なくとも第1紙層1及び第2紙層2を備えており、第1紙層1が画像部1aを、第2紙層2が非画像部1bを形成する。このように、本発明の多層紙では画像部1aを構成する層と非画像部1bを構成する層を分けることにより、画像部1aと非画像部1bの境界をより明瞭とすることができる。
(被覆紙層)
本発明の紙は、画像部の少なくとも一部、例えば全部、を被覆する被覆紙層を更に備えることが好ましい。
被覆紙層も紙料を含む。通常、紙料は主にセルロース繊維からなり、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;レーヨン等の再生セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
被覆紙層はセルロース繊維以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる合成繊維;澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤;サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
図6は被覆紙層を備える本発明の紙の一態様を示す断面図である。図6(A)及び(B)は、図1及び図2に示す紙が被覆紙層3を備える態様を示し、図6(C)及び(D)は、図4及び図5に示す多層紙が被覆紙層3を備える態様を示す。
図6に示す態様では、被覆紙層3は画像部1a乃至第1紙層1の全部を被覆しており、これにより、第1紙層1が構成する画像部1aを保護することができ、また、画像部1aが形成する画像を被覆紙層3を通して表現することによって画像の外観を調整することができる。
また、図6に示す態様では、被覆紙層3は非画像部1b乃至第2紙層2の全部を被覆している。これにより、第1紙層1を第2紙層2及び被覆紙層3で挟んだ形態の多層紙とすることができる。なお、図6では被覆紙層3は便宜上水平方向に伸びているが、実際は、被覆紙層3は非画像部1bにおいて第2紙層2と接触する。したがって、画像部1aの画像の側面についても良好に保護することができる。
被覆紙層3は少なくとも1つの欠損部を含んでもよい。すなわち、被覆紙層3には少なくとも1つの窓又は孔が形成されていてもよい。この場合、被覆紙層3の欠損部を介して画像部1aを外部より視認することができる。したがって、画像部1aが形成する画像を外部より直接確認することができる。
本発明の紙が被覆紙層3を備える場合は、被覆紙層3と画像部1aの間にPETフィルム等を細くスリットしたスレッドを少なくとも1つ挿入することもできる。スレッドとしては、例えば、デメタライズされたホログラム、マイクロ文字を印刷したフィルム、多層干渉フィルム等が挙げられる。被覆紙層3が欠損部を備え、また、スレッドの少なくとも一部が透明であれば、スレッドの透明部分から画像部1aの透かしが確認でき、より高い偽造防止効果を発現することができる。
[本発明の紙の製造方法]
本発明者らは、国際公開第2019/054207号記載の従来の黒透かしの手法によって得られる画像の解像度について検討した結果、従来の黒透かしの手法において使用される型を工夫することにより、より高解像度の画像を黒透かしによって得られることを見出した。
図7は、従来の黒透かしの手法に使用される従来の型の作製プロセスを示す概念図である。
従来の型は、図7(A)に示すように未硬化の感光性樹脂層4を形成し、次に、図7(B)に示すように所定の画像を有するスクリーン5を介して紫外線等の光を照射し、感光性樹脂層4を硬化させ、非硬化の感光性樹脂を除去して、図7(C)に示すように開口部6を有する固化樹脂層7を形成することにより作製される。
しかし、照射光がスクリーン5を通過する際に、図7(B)に示すように、照射光の一部が回折して、感光性樹脂層4の本来感光されるべきでない部分が感光し、その結果、開口部6の端面が比較的なだらかに傾斜してしまうことが判明した。端面が比較的なだらかな開口部6を使用すると、図7(D)に示すように、得られる黒透かし部分の端面も、非画像部表面からの傾斜角が比較的小さくなって、比較的なだらかになってしまい、結果的に、境界部がぼやけた黒透かし画像となる。
そこで、本発明では、黒透かしの手法に使用される型の開口部の端面(側面)を垂直とするか、又は、開口部に充填される紙料からなる黒透かし部分の端面の非画像部表面からの傾斜角が大きくなるように開口部の端面の傾斜を制御する。得られる黒透かし部分の端面の非画像部表面からの傾斜角は45°~90°が好ましく、50°~90°がより好ましく。55°~90°が更により好ましい。特に、開口部の端面は高傾斜であることが好ましい。ここで、「高傾斜」とは傾斜角θが60°から90°の範囲内にあることを意味している。傾斜角θの下限は65°が好ましく、70°がより好ましい。
図8は、本発明の黒透かしの手法に使用される型の作製プロセスを示す概念図である。
本発明では、図8(A)に示す固体層8から、図8(B)に示すように、画像相当部分9を垂直に切り出すか、又は、画像相当部分9の端面が固体層8の表面(図8(B)中の固体層8の上面)からみて高傾斜となるように切り出して、図8(C)に示すように、開口部10を有する型11を作製する。画像相当部分9の端面は垂直又は高傾斜であるので、開口部10の端面も垂直又は高傾斜である。端面が垂直(又高傾斜)の開口部10を有する型11を使用すると、図8(D)に示すように、得られる黒透かし部分の端面も非画像部表面に対して垂直(又は高傾斜)となり、結果的に、境界部が明瞭な黒透かし画像となる。
固体層8の材料は、固体である限り特には限定されるものではなく、各種の無機物質及び有機物質を使用することができる。無機物質としては金属等が挙げられる。有機物質としては樹脂が挙げられる。樹脂としては、固体の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも使用することができ、室温で固体であることが好ましい。
固体層8から画像相当部分9を切り出す方法としては、カッター等を使用する方法が挙げられる。カッターとしては、例えば、各種の金属からなる刃が挙げられる。その他に、高圧水流等の任意の切断手法を使用してもよい。
画像相当部分9を垂直乃至高傾斜に切り出すためにはカッター等を機械により駆動制御することが好ましいが、手作業で切り出しを実施してもよい。
本発明の紙は、このようにして作製された型を使用して抄紙を行うことにより製造することができる。例えば、上記の型11を抄紙機の適宜箇所に取り付けて使用することができる。抄紙機の適宜箇所に固体層8を取り付けてその場で型11を作製してもよい。
図9は本発明の紙の製造に使用される型の一例を示す正面図であり、型11が開口部11a及び非開口部11bを有する。型11の開口部11aには紙料が充填されて黒透かしの画像部を構成する一方、型11の非開口部11bには紙料が充填されず黒透かしの非画像部を構成する。図9に示す例では開口部11aはアルファベットの「A」を画像として表現しているが、開口部11aが表現する画像の種類は任意である。
単一紙層からなる本発明の紙は、
端面が垂直又は高傾斜の開口部、及び、非開口部を有する型を湿紙に押し付ける工程
を含むことを特徴とする抄紙方法により製造することができる。
第1紙層及び第2紙層を備える本発明の紙は、
前記第2紙層を形成する第2紙層形成工程、及び
前記第2紙層上に第1紙層を形成する第1紙層形成工程
を備える抄紙方法であって、
前記第1紙層形成工程が
端面が垂直又は高傾斜の開口部、及び、非開口部を有する型を網上に設置し、
前記網を用いて抄紙することを特徴とする抄紙方法により製造することができる。
(単一紙層からなる場合)
図10は単一紙層からなる本発明の紙の製造方法の一態様を示す概念図である。図10は長網抄紙機のワイヤーパートを示しており、図10に示す例では、長網12上の湿紙13にダンディロール14が押し付けられる。
ダンディロール14はロール状の網を表面に備えており、端面が垂直又は高傾斜の開口部、及び、非開口部を有する型が網の表面に取り付けられている。ダンディロール14のロール状の網の表面には、例えば、図9に示す型11を取り付けることができる。
ダンディロール14を湿紙13に押し付けることにより、湿紙13の紙料の一部が型の開口部に充填され、紙の表面に凸部を形成する。その後、紙を乾燥することにより、当該凸部は黒透かし画像の画像部を構成する。一方、型の非開口部は黒透かし画像の非画像部を構成する。上記型として、例えば、図9に示す型11を使用するとアルファベットの「A」の黒透かし画像が紙上に形成される。
なお、黒透かしを有する単一紙層の上に、更に、被覆紙層を長網抄紙機又は円網抄紙機を用いて積層することにより、単一紙層からなる本発明の紙に被覆紙層を更に備える本発明の紙を製造することができる。
(第1紙層及び第2紙層を備える場合)
図11は第1紙層及び第2紙層を備える本発明の紙の製造方法の一態様を示す概念図である。図11は2槽式の円網抄紙機のワイヤーパートを示しており、上網を有する第2円網シリンダー15a及び第2ローラー15bを備える第2槽15において第2紙層2が抄紙法により形成され、毛布16上に転写される。そして、上網を有する第1円網シリンダー17a及び第1ローラー17bを備える第1槽17において第1紙層1が形成され、第2紙層2の上に積層される。
図11の態様では、第2槽15による抄紙工程が第2紙層形成工程に対応し、第1槽17による抄紙工程が第1紙層形成工程に対応する。
図11の態様では、第1円網シリンダー17a及び第1ローラー17bを備える第1槽17の第1円網シリンダー17aの上網の表面に、図9に示すような、表現対象の画像に対応する開口部11aを有する型11が設置されており、開口部11a以外の箇所の上網は型11の非開口部11bによって塞がれている。
図11の態様では、第1槽17において、第1円網シリンダー17aの上網の表面の型11の部分では開口部11aのみにおいて紙料の通過が可能となるために、開口部11aのみにおいて紙層が形成される。したがって、図11の態様では、開口部11aの形状に応じた画像パターンを有する第1紙層1が抄紙法により形成され、第1紙層1は毛布16上の第2紙層2の上に転写される。
これにより、図11の下方に示す断面構造を有する本発明の多層紙を製造することができる。
一方、被覆紙層を備える本発明の多層紙は、例えば、図12に示すような3槽式の円網抄紙機を使用して実施することができる。なお、長網又は円網との組合せを有する抄紙機を使用して実施しても構わない。
図12は、被覆紙層を有する本発明の紙の製造方法の一態様を示す概念図である。図12に示す態様では、図11に示す態様の2槽式の円網抄紙機の下流側に、通常の上網を有する第3円網シリンダー18a及び第3ローラー18bを備える第3槽18が設けられており、第3槽18において被覆紙層3を抄紙法により形成して、毛布16上の第1紙層1の上に転写する。
これにより、図12の下方に示す断面形状を有する本発明の多層紙を製造することができる。
本発明の紙は透かし部分を有するので、偽造防止用紙として好適に使用可能である。すなわち、本発明の紙は、商品券、入場券、パスポート、有価証券等の偽造防止が求められる印刷物に使用される、印刷用紙として特に有用である。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
(紙料の調製)
NBKP20重量部,LBKP80重量部を300mlC.S.F.に叩解し、これに紙力増強剤(商品名「ポリストロン1267」、荒川化学工業(株)製)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインN-775」、荒川化学工業(株)製)1.0重量部、硫酸バンドを適量加え紙料を調製した。
[実施例1]
(型の製造)
シート状の固体樹脂層の上面からカッターを用いて画像相当部分を手作業で垂直に切り出して垂直端面を有する開口部を備える型を製造した。
(抄紙網の作製)
円網抄紙機用のシリンダー網の表面に上記型を取り付けて抄紙網Aを作製した。
(抄紙)
図12に示すような3槽式円網抄紙機の第2槽15及び第3槽18の第2円網シリンダー15a、第3円網シリンダー18aには何ら細工を施さない網を装着し、その一方で、第1槽17の第1円網シリンダー17aに上記抄紙網Aを装着した。
第2槽15で毛布16上に形成した第2紙層2(最下層)上に第1槽17で形成した第1紙層1(中間層)が重なり、更に、第1紙層1上に第3槽18で形成した被覆紙層(最上層)が重なるようにして、上記紙料を用いて抄紙速度50m/分で3層抄合わせを行い100g/mの用紙を製造した。次いで定法に従い湿紙を脱水後、シリンダードライヤで乾燥し、図6(C)に示すような3層抄き合わせ紙からなる偽造防止用紙を製造した。
得られた偽造防止用紙には、厚くなった部分を有する紙層が形成されており、透過光で観察すると、紙層の厚くなった部分により形成された画像パターンが不透明度の差により黒く見える黒透かしが発現した。得られた黒透かしは、一般的な黒透かしに比べ、透かしの端部に中間領域が存在せず、画像がよりシャープであった。
[実施例2]
第3槽18での抄合わせを行わない以外は実施例1と同様の方法(図11参照)で、図4(B)に示すような断面を有する、2層抄き合わせ紙からなる偽造防止用紙を製造した。
得られた偽造防止用紙には、厚くなった部分を有する紙層が形成されており、透過光で観察すると、紙層の厚くなった部分により形成された画像パターンが不透明度の差により黒く見える黒透かしが発現した。得られた黒透かしは、画像の周囲に中間明度領域が存在せず、画像がよりシャープであった。
画像には、最小幅が300μm以上及び550μm以下の細線が含まれており、画像の解像度は高いものであった。
[比較例1]
(抄紙網の作製)
抄紙用のシリンダー網に対し、全面に感光性樹脂を塗布し、画像部となる箇所を覆い隠したまま露光することで感光性樹脂を固化し、さらに洗浄により固化していない樹脂を除去することにより、画像部となる箇所の感光性樹脂のみが除去され開口部となり、それ以外の箇所は全て固化した感光性樹脂により網目が埋まった状態の抄紙網Bを作成した。
(抄紙)
図12に示すような3槽式円網抄紙機の第2槽15及び第3槽18の第2円網シリンダー15a、第3円網シリンダー18aには何ら細工を施さない網を装着し、その一方で、第1槽17の第1円網シリンダー17aに上記抄紙網Bを装着した。
第2槽15で毛布16上に形成した第2紙層2(最下層)上に第1槽17で形成した第1紙層1(中間層)が重なり、更に、第1紙層1上に第3槽18で形成した被覆紙層(最上層)が重なるようにして、上記紙料を用いて抄紙速度50m/分で3層抄合わせを行い100g/mの用紙を製造した。次いで定法に従い湿紙を脱水後、シリンダードライヤで乾燥し、図6(C)に示すような3層抄き合わせ紙からなる偽造防止用紙を製造した。
得られた偽造防止用紙には、厚くなった部分を有する紙層が形成されており、透過光で観察すると、紙層の厚くなった部分により形成された画像パターンが不透明度の差により黒く見える黒透かしが発現した。しかし、得られた黒透かしは、画像の周囲に幅230μmの中間明度領域が存在しており、画像がぼやけて見えた。
[比較例2]
第3槽18での抄合わせを行わない以外は比較例1と同様の方法(図11参照)で、図5(B)に示すような断面を有する、2層抄き合わせ紙からなる偽造防止用紙を製造した。
得られた偽造防止用紙には、厚くなった部分を有する紙層が形成されており、透過光で観察すると、紙層の厚くなった部分により形成された画像パターンが不透明度の差により黒く見える黒透かしが発現した。しかし、得られた黒透かしは、画像の周囲に幅330μmの中間明度領域が存在しており、画像がぼやけて見えた。
100 単一紙層
1 第1紙層、2 第2紙層、3 被覆紙層
4 感光性樹脂層、5 スクリーン、6 開口部、7 固化樹脂層
8 固体層、9 画像相当部分、10 開口部
11 型
12 長網、13 湿紙、14 ダンディロール
15 第2槽、16 毛布、17 第1槽、18 第3槽

Claims (15)

  1. 透かしを有する紙であって、
    前記透かしが画像部及び非画像部を有し、
    前記画像部の厚みが前記非画像部の厚みよりも大きく、
    前記画像部の光透過率が前記非画像部の光透過率よりも小さく、
    前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部及び前記非画像部との間に存在しないか、
    又は、
    前記画像部の光透過率と前記非画像部の光透過率との間の光透過率を有する中間領域が前記画像部と前記非画像部との間に存在し、且つ、前記中間領域の最大幅が100μm以下である、紙。
  2. 前記中間領域の厚みが前記画像部の厚みと前記非画像部の厚みとの間である、請求項1記載の紙。
  3. 前記中間領域の断面が斜面を有し、
    前記斜面の傾斜角が45°~90°である、請求項1又は2記載の紙。
  4. 前記画像部が、最小幅が550μm以下の細線を含む、請求項1~3のいずれかに記載の紙。
  5. 前記細線の最小幅が300μm以上である、請求項4記載の紙。
  6. 前記画像部及び/又は前記非画像部が異なる光透過率を有する複数の部分を有し、
    前記画像部の最高光透過率が前記非画像部の最低光透過率よりも小さく、
    前記中間領域が存在する場合は、前記中間領域の光透過率が、画像部の最高光透過率及び非画像部の最低光透過率の中間である、請求項1~5のいずれかに記載の紙。
  7. 前記光透過率が可視光の透過率である、請求項1~6のいずれかに記載の紙。
  8. 単一紙層からなり
    前記画像部及び前記非画像部が共に前記単一紙層に存在する、請求項1~7のいずれかに記載の紙。
  9. 第1紙層及び第2紙層を備えており、
    前記第1紙層が前記画像部を形成し、
    前記第2紙層が前記非画像部を形成する、請求項1~7のいずれかに記載の紙。
  10. 前記第1紙層の組成が前記第2紙層の組成とは異なる、請求項9記載の紙。
  11. 前記第1紙層が着色剤を含む、請求項9又は10記載の紙。
  12. 前記第2紙層が前記着色剤を含まない、請求項11記載の紙。
  13. 前記画像部の少なくとも一部を被覆する被覆紙層を更に備える、請求項8~12のいずれかに記載の紙。
  14. 前記被覆紙層が少なくとも1つの欠損部を含む、請求項13記載の紙。
  15. 前記画像部及び前記被覆紙層の間に少なくとも1つのスレッドを含む、請求項13又は14記載の紙。
JP2021055141A 2021-03-29 2021-03-29 透かしを有する紙 Pending JP2022152384A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021055141A JP2022152384A (ja) 2021-03-29 2021-03-29 透かしを有する紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021055141A JP2022152384A (ja) 2021-03-29 2021-03-29 透かしを有する紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022152384A true JP2022152384A (ja) 2022-10-12

Family

ID=83556681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021055141A Pending JP2022152384A (ja) 2021-03-29 2021-03-29 透かしを有する紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022152384A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4973495B2 (ja) 偽造防止用紙、及び偽造防止印刷物、並びにこれらの真贋判定方法
US6616803B1 (en) Making paper
CZ125798A3 (cs) Vrstvený ceninový papír a způsob jeho výroby
KR20130095301A (ko) 위조 방지 부재, 위조 방지 용지 및 이들의 제조 방법
JP3279212B2 (ja) 偽造防止用紙
JP2009108449A (ja) 偽造防止用紙
JP4017572B2 (ja) 偽造防止用紙、及び偽造防止印刷物
JP2000096490A (ja) 偽造防止用紙及びこれを用いた有価証券
JP3262008B2 (ja) 偽造防止用紙
JP2022152384A (ja) 透かしを有する紙
JP2008106385A (ja) スレッド、それを用いた偽造防止用紙および偽造防止印刷物
JP5200486B2 (ja) 偽造防止用紙および偽造防止印刷物
JP5636724B2 (ja) スレッド及びそれを用いた偽造防止用紙
JP3022084B2 (ja) 偽造防止用紙及び偽造防止印刷物
JP4779217B2 (ja) 偽造防止用紙及び偽造防止印刷物
JP2002266288A (ja) 偽造防止用紙及び偽造防止印刷物
WO2019054221A1 (ja) 多層紙及びその製造方法
JP2004142175A (ja) 真贋判定機能を有するスレッド、及びそれを使用した偽造防止用紙
JP2007216602A (ja) スレッド状印刷物および偽造防止用紙
WO2019054207A1 (ja) 多層紙及びその製造方法
JP5636737B2 (ja) 偽造防止用紙
JP4595444B2 (ja) 偽造防止用紙およびこれを用いた偽造防止媒体
JP5012033B2 (ja) スレッドとその製造方法および偽造防止用紙
JP6966743B2 (ja) 窓を有する偽造防止媒体
JPH04263697A (ja) 偽造防止用紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240327