JP5012001B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の負極材料とそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池と比べ、軽量で高エネルギーかつ高出力である特徴を有する。そのため、携帯電話や小型パーソナルコンピュータ、さらにはビデオカメラ等の各種携帯機器用電源として広く用いられている。さらに近年、電気自動車やハイブリッド型電気自動車等の各種動力機器用の電源として期待されている。
上述した用途の多くにおいては、電源の使用時に比べ、待機や保管等の使用していない期間が長期である。このため、リチウムイオン二次電池には保存時の特性劣化が小さいことが常に求められている。しかしながら、保存時の特性劣化を防止し、安定的に長期間保存を可能とするような技術的特徴を有するリチウムイオン二次電池は検討されていない。
例えば、特許文献1には、保存時の特性劣化の防止や、保存寿命について検討されていない。
特開2005−32593号公報
本発明は、上述した実情に鑑み、保存時の特性劣化の小さい長寿命のリチウムイオン二次電池に使用される負極材料、当該負極材料を使用したリチウムイオン二次電池を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、負極材料を構成する炭素材料における特徴的な表面性状を特定することができ本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るリチウムイオン二次電池用の負極材料は、以下の(1)及び/又は(2)の特性を有する炭素材料を含むものである。
(1)赤外スペクトルによる1180cm-1付近のピーク強度の1/2に対し、1250cm-1付近のピーク強度が大である
(2)赤外スペクトルによる1180cm-1付近のピーク強度の1/2に対し、1300cm-1付近のピーク強度が大である
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池用の負極材料は、以下の(3)〜(7)の特性のうち少なくとも1の特性を更に有することが望ましい。
(3)赤外スペクトルによる1300cm-1付近のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク強度が大である
(4)赤外スペクトルによる1220cm-1付近のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク強度が大である
(5)赤外スペクトルによる1220cm-1付近のピーク強度に対し、1180cm-1付近のピーク強度が大である
(6)赤外スペクトルによる550〜650cm-1付近に認められるピークの半値幅が50cm-1以下である
(7)赤外スペクトルによる550〜650cm-1付近に認められるピーク強度が680cm-1付近のピーク強度の2倍以下である
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池用の負極材料において、炭素材料は所謂ソフトカーボンであることが望ましい。すなわち、本発明に係るリチウムイオン二次電池用の負極材料において、炭素材料は、以下の(8)〜(10)の特性のうち少なくとも1の特性を更に有することが望ましい。
(8)真密度が1.6g/cm3〜2.20g/cm3である
(9)X線回折法による(002)面の面間隔(d値)が0.340〜0.370nmである
(10)X線回折法による(002)面のC軸方向の結晶子厚み(Lc)が1.0nm〜100nmである
また、本発明は、上述した本発明に係る負極材料を含む負極と、正極と、非水電解質とを有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記負極における負極材料の密度が1.0g/cm3〜2.0g/cm3であり、かつ負極のX線回折において炭素材料をX線回折法による回折線で表した場合、実質的に(00l(エル))面が主として検出されることが望ましい。さらに、ここで負極のX線回折において、負極材料である炭素材料をX線回折法による回折線で表した場合、(002)面のピーク強度と(110)面のピーク強度とのピーク強度比((110)/(002))が、0.01以下であることが更に望ましい。
さらにまた、本発明によれば、上述した本発明に係るリチウムイオン二次電池を電気的に複数接続した構成を有する電池モジュールを提供することができる。さらに本発明によれば、上述した本発明に係るリチウムイオン二次電池を動力源の少なくとも一部として用いることを特徴とする移動用機器を提供することができる。さらにまた、本発明によれば、上述した本発明に係るリチウムイオン二次電池を動力源の少なくとも一部として用い、内燃機関及び/又は燃料電池を有し、前記内燃機関及び/又は燃料電池を動力源の他の一部として用いるとともに前記リチウムイオン二次電池充電のためのエネルギー源として用いることを特徴とするハイブリッド型電気自動車を提供することができる。
本発明により、保存時の特性劣化が大幅に改善され、長寿命のリチウムイオン二次電池と、それを実現する負極材料を提供することができる。望ましくは、高エネルギー密度で入出力持性に優れ、高入出力負荷耐性に優れたリチウムイオン二次電池と、それを実現する負極材料が提供される。
以下、本発明に係る負極材料、リチウムイオン二次電池等を、図面を参照して詳細に説明する。
本発明を利用したリチウムイオン二次電池は円筒型、角型、ラミネート型などその形状に特に制限はなく、また内部の構成にも特に制限はないが、例えば以下に示すような形状、構成をとることができる。
例えば図1に示すように、負極材料を有する負極12と、正極材料を有する正極11と、負極12及び正極11の間に配されたセパレータ13とを有する。リチウムイオン二次電池は、負極12、セパレータ13及び正極11をこの順で積層した積層体を巻回してなる電極群を挿入した電池缶14を有している。また、リチウムイオン二次電池は、電池缶14内部に注入された非水電解液を有している。さらに、リチウムイオン二次電池は、負極12と電池缶14の底面を電気的に接続する負極ニッケル端子15を有している。さらにまた、リチウムイオン二次電池は、電池缶14の上部開口部を閉塞する密閉ふた部16を有している。さらにまた、リチウムイオン二次電池は、密閉ふた部16と正極11とを電気的に接続する正極アルミニウム端子17を有している。さらにまた、リチウムイオン二次電池は、密閉ふた部16と電池缶14との間に配されたパッキン18を有している。さらにまた、リチウムイオン二次電池は、密閉ふた部16と電極群との間に配された絶縁板19を有している。
ここで、負極ニッケル端子15は電池缶14の底面に対して溶接され、正極アルミニウ
ム端子17は密閉ふた部16の内側面に溶接されている。また、密閉ふた部16は、パッキン18を介して電池缶14の上部開口部にかしめられている。
特に、本発明を適用したリチウムイオン二次電池においては、負極12を構成する負極材料に特徴的な表面性状を有する炭素材料を使用している。この炭素材料は以下の(1)及び/又は(2)の特性を有している。
(1)赤外スペクトルによる1180cm-1付近のピーク強度の1/2に対し、1250cm-1付近のピーク強度が大である
(2)赤外スペクトルによる1180cm-1付近のピーク強度の1/2に対し、1300cm-1付近のピーク強度が大である
また、上記特性(1)において、1250cm-1付近のピーク強度は、1180cm-1付近のピーク強度に対して2倍以上であることが望ましい。さらに、上記特性(2)において、1300cm-1付近のピーク強度は、1180cm-1付近のピーク強度に対して2倍以上であることが望ましい。
上記の特徴を有する炭素材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池は、上記の特徴を有しない炭素材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池と比べ、保存寿命が優れる。また、炭素材料は以下の(3)〜(7)の特性のうち少なくとも1の特性を更に有することが望ましい。
(3)赤外スペクトルによる1300cm-1付近のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク強度が大である
(4)赤外スペクトルによる1220cm-1付近のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク強度が大である
(5)赤外スペクトルによる1220cm-1付近のピーク強度に対し、1180cm-1付近のピーク強度が大である
(6)赤外スペクトルによる550〜650cm-1付近に認められるピークの半値幅が50cm-1以下である
(7)赤外スペクトルによる550〜650cm-1付近に認められるピーク強度が680cm-1付近のピーク強度の2倍以下である
本発明において、赤外スペクトルを得る手法としては特に限定されるものではないが、拡散反射式のフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)を用いることが望ましい。測定に際しては、負極材料をそのまま測定試料として用いることが望ましく、また測定条件としては、分解能が1〜4cm-1であることが望ましく、さらに測定積算回数は、実用的な測定時間の範囲で多いほうが望ましく、少なくとも64回以上、望ましくは256回以上である。
得られた赤外スペクトルを基に、以下のようにしてピーク強度及びピーク半値幅を求めることができる。したがってピーク強度を求めるには、対象のピークの両端からベースラインを引き、このベースラインからピーク頂点までの強度をピーク強度とする。この定義は、通常得られる赤外スペクトルのべースライン強度は、波数により、また測定時の環境やサンプルの違い等により変化するからである。なお、得られた赤外スペクトルにおいて、複数のピークが重複した場合は、それら重複ピークの両端からベースラインを引く。またピーク半値幅は、ピーク頂点からピーク強度の1/2の強度の点からベースラインに平行に線を引き、ピーク両端との交点の波数を読み取ることで求める。
また、一般に、炭素材料の赤外スペクトルから得られる情報は少なく、炭素同士の結合に関する情報はほとんど得られず、例えば炭素と水素の結合に由来するCH伸縮、表面官能基として存在する酸素と炭素の結合に由来するOH伸縮やOH変角に由来するピークが僅かに認められる程度であることが知られている。上記特徴(1)〜(7)に示すピークは、CH
やOHに由来する波数とは異なるため、一般的知見で示唆されるOH伸縮やOH変角といった表面性状を示すものではないと考えられる。
さらに、化学便覧(日本化学会編、丸善)等で示されているごく一般的な波数と結合元素に関する知見から、1300〜1050cm-1においては、硫黄(S)やホウ素(B)と炭素(C)との結合に由来するピークが現れる場合がある。また同様に800〜550cm-1においては、炭酸塩に由来するピークが現れる場合がある。従って、上記特徴(1)〜(7)に示すピークは、負極材料を構成する炭素材料の表面における炭素や酸素、水素以外の元素の存在や、それらの元素の結合状態の相違が反映されているものと言える。
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池が保存寿命に優れる理由も必ずしも明らかではない。しかしながら、一般にリチウムイオン二次電池を特に高温環境下で保存した場合、負極材料表面で電解液のリチウム塩や有機溶媒が還元分解する副反応により、その特性が低下することが知られている。したがって、本発明に係るリチウムイオン二次電池が保存寿命に優れる理由として、上述した特徴を有する炭素材料の表面状態が、特性劣化の原因となる表面上の化学反応を抑制している事を挙げることができる。
以下、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材料の一形態と、実現するための具体的な手段の例を説明する。
本発明に係る炭素材料は、一般的な炭素材料の製法を基に、その原料、熱処理、粉砕、必要に応じ表面処理等の諸条件を適宜調整することで得られる。また、天然に産出される炭素材料を基に、その熱処理、粉砕、表面処理等の諸条件を適宜調整することでも得られる。さらには、メタン等の気体原料を基に化学気相反応法の手法を単独もしくは併用してもよい。必要に応じ、上述の熱処理、粉砕、表面処理等を複数回適宜組み合わせてもよい。
原料に特に制限はないが、例えばコークスやピッチ等を800℃〜3400℃で熱処理したものを用いることができる。熱処理は温度や雰囲気環境といった異なる条件で複数回行ってもよい。これを所望の大きさまで粉砕しても良い。粉砕法は特に限定されず、ボールミル等の媒体分散型ミル、ハンマーミル等の衝撃粉砕、カッターミル、スクリーン式ミル、ピンミル、ジェットミル、摩砕等の手法を用いることができる。また表面処理の手法としては、炭素原料を表面に設け必要に応じ適宜熱処理すること、各種気体、液体による処理、物理的処理、例えば応力や摩擦力を利用した処理、あるいは撹枠等の操作等を用いることができる。
また、本発明に係る炭素材料は、所謂ソフトカーボンから構成されていることが好ましい。ソフトカーボンからなる炭素材料は、以下の特徴(8)〜(10)のいずれかを有する炭素材料として定義することができる。
(8)真密度が1.6〜2.20g/cm3が好ましく、1.80〜2.20g/cm3であることがより好ましく、1.90〜2.20g/cm3であることがさらに好ましい。
(9)X線回折法による(002)面の面間隔(d値)が0.340〜0.370nmであることが好ましく、0.340〜0.360nmであることがより好ましく、0.340〜0.350nmであることがさらに好ましい。
(10)X線回折法による(002)面のC軸方向の結晶子厚み(Lc)が1.0〜100nmであることが好ましく、2.0〜100nmであることがより好ましく、3.0〜100nmであることがさらに好ましい。
ここで、炭素材料の六角網面の層間隔であるd値が大きくなるに従い、その真密度は低下する。また、炭素材料の結晶子の大きさを示すLc値が小さい程、結晶子の隙間に存在する空隙の体積も増えることから、その真密度が低下する。炭素材料の真密度が低いと、電池内の体積あたりの負極材料の量が低下し、その結果電池のエネルギー密度が低下する可能性がある。従って、真密度が1.6g/cm3以上、望ましくは1.9g/cm3以上、d値が0.365nm以
下、望ましくは0.350nm以下、Lc値が3.0nm以上とすることで、より高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が得られる。
一方、d値が0.340nm未満では、リチウムイオンが脱離・挿入する際の層間隔の変化が大きく、高い電流での充放電の繰り返しにより、その結晶子が崩壊するため、高入出力負荷耐性が低下する可能性がある。また、Lc値が100nmを越えると、リチウムイオンが脱離・挿入する六角網面の端面の比率が低減し、入出力密度が低下する可能性があると同時に、結晶子の膨張収縮が大きく、高入出力負荷耐性が低下する可能性がある。従って、d値が0.340nm以上、Lc値が100nm以下とすることで、入出力特性により優れ、より高入出力負荷耐性に優れたリチウムイオン二次電池が得られる。
負極材料である炭素材料のd値とLc値を測定するには、反射回折式の粉末X線回折法を用いることが好ましい。
Cuをターゲットとし、管電圧50kV、管電流150mAでCuKα線を、望ましくは若干量のSi粉末等を内部標準として混合した炭素材料粉末に照射し、回折線をゴニオメータで測定し、粉末X線回折スペクトルを得る。2θが20〜30°の範囲にある(002)面の回折ピークを基に、Braggの式により(002)面の面間隔(d値)を求め、Scherrerの式によりC軸方向の結晶子厚み(Lc)を求める。
炭素材料の真密度は、ブタノールを用いたピクノメーター法により求めることができる。具体的には、体積既知の試料容器に、重量既知の炭素材料がある場合とない場合との二つの容器から、その体積の差を測定し、そして、求められた体積の差を用いて、重量を割ることにより、求めることができる。
さらに、本発明に係る負極材料において、炭素材料のより望ましい物性としては、光回折法を用いた平均粒径が、2〜30μmであることが好ましい。さらにまた、本発明に係る負極材料において、炭素材料のより望ましい物性としては、ヘリウム吸着法を用いた比表面積が、2〜10m2/gであることが好ましい。平均粒径に特に制限はないが1〜50μmであることが好ましく、1〜40μmであることがより好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましい。1μm未満の場合、比表面積が大きくなり初回充放電効率が低下すると共に、粒子同士の接触が悪くなり入出力特性が低下する傾向がある。一方、平均粒径が50μmを超える場合、電極面に凹凸が発生しやすくなり電池の短絡の原因となると共に、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が長くなる為入出力特性が低下する傾向がある。さらにまた、77Kでの窒素吸着測定より得た吸着等温線から、BET法を用いて求めた比表面積が0.5〜25m2/gであることが好ましく、0.5〜20m2/gであることがより好ましく、0.5〜15m2/gであることがさらに好ましい。比表面積が0.5m2/g未満の場合、リチウムイオンが挿入脱離する表面の割合が低減し、入出力密度が低下する可能性があり好ましくない。一方、比表面積が25m2/gを超えると初回不可逆容量が増加、電極密度が低下する傾向がある。
次に、本発明に係る負極材料を用いた負極の作製方法について説明する。上述した炭素材料に、導電剤を加えても良い。導電剤の種類に特に制限はないが、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維などを用いることができる。さらに、適当な溶媒に溶解もしくは分散させた結着剤(乾燥後の合剤重量、0.5〜15重量%)を加えて、よく混練して、負極合剤スラリーを作製する。
結着剤としては特に制限はないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂を用いることができ、これを溶解する溶媒として、例えばN-メチル-ピロリドン(NMP)を用いることができる。また、結着剤として、スチレンブタジエン系のゴム系樹脂や、セルロース系化合物を用いることもできる。本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材料では、特にPVDFを用いることが好ましく、より高い入出力密度を持った電池を作製出来る。
この負極合剤スラリーを銅等の金属箔の一方主面上に塗布後、乾燥させる。さらに、同様の工程で、金属箔の他方主面に負極合剤スラリーを塗布後、乾燥させる。その後、必要に応じ圧縮成型し、所望の大きさに切断して、負極を作製することができる。
本発明に係る負極材料のより望ましい形態として、圧縮成型後の負極合剤の密度が1.1〜1.7g/cm3であり、かつ負極のX線回折において、炭素材料をX線回折法による回折線で表した場合、実質的に(00l(エル))面が主として検出されるものである。また、負極材料に含まれる炭素材料を、X線回折法による回折線で表した場合、(002)面のピーク強度と(110)面のピーク強度とのピーク強度比((110)/(002))が、0.03以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.01以下であることがさらに好ましい。
これは、本発明に係る負極材料を構成する炭素材料が、上述のより好ましい形態として記載したd値及びLc値の範囲をとる場合、炭素材料の結晶子が六角網面の積層数で数十層程度と小さく、このためX線回折法では六角網面の積層方向の回折面(例えば(hkl(エル))(hk0))による回折線が実質的に得られないことによる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材料を用いた負極板での合剤密度に特に制限はないが、1.0〜2.0g/cm3であることが好ましく、1.0〜1.8g/cm3であることが好ましく、1.0〜1.7g/cm3であることが好ましい。密度が1.0g/cm3未満の場合、単位体積あたりの容量が減少するため好ましくない。また、2.0g/cm3を超えた密度を得ようとした場合、製造上の困難を伴うと共に、炭素材料の粉末粒子の崩壊等により容量低下、入出力特性の低下を引き起こす恐れがあり、好ましくない。
このような負極材料における回折線の測定は、炭素材料の粉末と同様にX線を負極に照射し、2θを20〜60°の範囲で測定し、20〜30°の範囲にある(002)面の回折線と40〜45°の範囲にある(004)面の回折線とを検出する。そして、これら以外のピークがあるか否かを確認する。通常、これら以外の回折線は、実質的に観測されない。なお、2θを20〜60°の範囲での測定は、経験則に基づくものである。
以上のようにして作製された負極を用いて、以下のようにして図1に示すリチウムイオン二次電池を作製することができる。
正極の作成方法に特に制限はないが、例えば以下のような手順で作製してもよい。正極材料に、必要に応じて黒鉛、炭素、カーボンブラック、炭素繊維等の導電剤を適量(乾燥後の合剤重量、1〜15重量%)加え、さらに、負極同様適当な溶媒に溶解もしくは分散させた結着剤(乾燥後の合剤重量、2〜10重量%)を加えてよく混練して、正極合剤スラリーを作製する。この正極合剤スラリーをアルミニウム等の金属箔の一方主面に塗布後、乾燥し、さらに同様の工程で、金属箔の他方主面に正極合剤スラリーを塗布後、乾燥し、必要に応じ圧縮成型し、所望の大きさに切断する。
正極材料としては特に制限はないが、例えば、一般式LiMO2(Mを構成する主元素がCo,Mn,Niの1種以上)である層状系酸化物、LiMn2O4に代表されるスピネル系正極材料、あるいは一般式LiMPO4(MはMn、Fe等)で表されるリン酸化合物等を用いることができる。
図1に示した円筒型のリチウムイオン二次電池を作製する場合には、以下のように、実施することが好ましい。すなわち、上述したように作製した正極と負極とを電気的に絶縁する機構として、厚さ10〜50μmの多孔質絶縁物フィルムからなるセパレータを、正極と負極との間に挟む。これを円筒状に捲回して電極群を作製し、ステンレスやアルミニウムで成型された容器に挿入する。セパレータとしては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂製多孔質絶縁物フィルム、その積層体、アルミナなどの無機化合物を分散させたもの等を用いることができる。
この容器に、非水電解質として、正極と負極とを電気化学的に結合させるリチウム塩を非水溶媒に溶解した非水電解液を、乾燥空気中または不活性ガス雰囲気中で注入し、容器を封止する。非水電解質は、リチウムイオンを有し、電池の充放電における正極と負極の間のリチウムイオンの移動の媒体となるものである。非水電解質としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した有機電解液、有機電解液を高分子化合物や樹脂等に含浸したゲル電解質、リチウムイオンを拡散する高分子化合物等の固体電解質、等を用いることができ、正極と負極とを電気的に絶縁するセパレータの機能を兼ねるものを用いることもできる。
用いるリチウム塩に特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiCF3SO3、LiPF6、LiB4、LiAsF6などを用いることができ、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。有機溶媒にも特に制限はないが、例えば、直鎖状もしくは環状カーボネート類を主成分とすることができる。これにエステル類、エーテル類等を混合することもできる。カーボネート類としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルアセテートなどがあげられる。これらを単独あるいは混合した非水溶媒を用いる。
また、電池の副反応の抑制や高温での安定性を高める等の目的で、必要に応じて、各種の添加剤を添加してもよい。用いられる添加剤は、ビニレンカーボネート等の二重結合を有する有機化合物、硫黄系化合物、リン系化合物等であり、先に記載した溶媒に溶解するもの、または溶媒をかねるものがある。
また、角形のリチウムイオン二次電池を作製する場合には、以下のように、実施することができる。なお、正極及び負極の塗布は、円筒型のリチウムイオン二次電池を作製する場合と同様である。角形のリチウムイオン二次電池を作製するためには、角形のセンターピンを中心として、捲回群を作製する。円筒型のリチウムイオン二次電池と同様に、角型容器に電極群を収納し、電解液を注入後、密封する。
また、巻回した電極群の代わりに、セパレータ、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層する積層体を用いることもできる。
さらに、こうしたリチウムイオン二次電池を使用する形態として、リチウムイオン二次電池を複数個電気的に接続した構成を有するリチウムイオン二次電池モジュールがあげられる。複数のリチウムイオン二次電池を直列、並列、あるいは直列及び並列の併用の接続方法で接続した構成とすることで、リチウムイオン二次電池モジュールが得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、保存特性に優れることから、長寿命のリチウムイオン二次電池モジュールが実現できる。
また、このようなリチウムイオン二次電池を移動用機器の動力源の少なくとも一部として用いることができる。このリチウムイオン二次電池により稼動する、例えばモータといった動力部を有し、この動力部により駆動する駆動部を有する機器である。
さらに、このようなリチウムイオン二次電池を動力源の少なくとも一部として用いて、内燃機関もしくは燃料電池を有し、内燃機関もしくは燃料電池をリチウムイオン二次電池とは異なる動力源の他の一部として用いる。
こうした内燃機関もしくは燃料電池をリチウムイオン二次電池の充電のためのエネルギー源として用いる。こうした使用形態では、ハイブリッド型電気自動車が考えられる。このようなハイブリッド型電気自動車は、その電源に保存特性に優れるリチウムイオン二次電池を用いていることから、長期の使用に際しても、加速性能や燃費等の性能低下が小さい効果が得られる。
その他に移動用機器としては、例えば動力部としてモータを有し、駆動部として車輪を有する電気自動車や、二輪車等の軽車両、内燃機関等により駆動される発電機を搭載する汽動車があげられる。
リチウムイオン二次電池の用途としては、先に記載した移動用機器に限定されるもので
はなく、各種携帯型機器や情報機器、家庭用電気機器、電動工具等の電源として、あるいはエレベータ等の産業用機器用の動力電源として、また各種業務用や家庭用の蓄電システム用の電源として用いることができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度で入出力特性及び高入出力負荷耐性に優れることから、自動車用電源としての小型化が可能となり、特にハイブリッド型電気自動車の電源として求められる発進や登坂時の高出力負荷や、減速や降坂時にエネルギーを回収するための高入力負荷が頻繁に印加されるような使用形態に最適なもとなる。
以下、実施例を用いて本発明に係る負極材料及びリチウムイオン二次電池をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本例では、先ず、負極材料である炭素材料(負極材料A、負極材料B、負極材料C)を以下のとおり作製した。
石油コークスを不活性条件で1300℃で熱処理後、ジェットミルにより平均粒径15μmとなるよう粉砕した。この炭素材料粉末に以下の処理を行った。
(負極材料A)100℃のクレオソート油に石油ピッチを乾燥後の重量にして炭素材料粉末の2重量%となるよう溶解し、濃度40%の溶液を作製した。これに上記の粉砕後の炭素材料粉末を投入後撹拌し、その後200℃で油分を蒸発乾燥後、解砕し、不活性条件で800℃で熱処理し負極材料Aを得た。
(負極材料B)作製した負極材料Aを、さらに真空中で1000℃の熱処理をし、負極材料Bを得た。
(負極材料C)中央に撹拌羽を配した密閉式の撹拌混合機に、粒度調整を行った炭素材料粉末と、負極材料Aの作製で用いた石油ピッチを重量にして2重量%となるように投入して、撹拌混合機の負荷が材料1kgあたり5kWとなるよう出力を調整し10分間処理を行った。その後、不活性条件800℃で熱処理を行った後、解砕し負極材料Cを得た。
〔比較例1〕
実施例1におけるジェットミル粉砕後の炭素材料粉末を比較例(負極材料H)とした。
〔特性評価実験〕
(負極材料の赤外スペクトル測定)
実施例1及び比較例1の負極材料の赤外スペクトルを、拡散反射式FT-IRにより測定した。測定サンプルとしては、負極材料をそのまま用いた。分解能4cm-1、測定積算回数は256回とした。
図2に実施例1の負極材料A、図3に実施例1の負極材料B、図4に実施例1の負極材料C、図5に比較例1の負極材料Hから得られた赤外スペクトルを示す。図2〜5において特徴的なピークを(i)〜(vi)として示した。ここで、(i)は1300cm-1付近のピークを示し、(ii)は1250cm-1付近のピークを示し、(iii)は1220cm-1付近のピークを示し、(iv)は1180cm-1付近のピークを示し、(v)は680cm-1付近のピークを示し、(vi)は550〜650cm-1付近に認められるピークを示す。これら各ピークの強度は、対象のピークの両端から、もしくは重複ピークの両端からベースラインを引き、ベースラインから対象のピークの頂点までを読み取った。さらに、(vi)550〜650cm-1付近に認められるピークに対しては、ピーク頂点からピーク強度の1/2の強度の点からベースラインに平行に線を引き、ピーク両端との交点の波数を読み取りその半値幅を求めた。
実施例1の負極材料A、負極材料B及び負極材料Cの赤外スペクトルでは、図2〜5に示
すように、いずれも1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度の1/2に対し、1250cm-1付近のピーク(ii)のピーク強度が高く、且つ、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度の1/2に対し、1300cm-1付近のピーク(i)のピーク強度が高いといった共通する特徴を示した。
これに対して、比較例1の負極材料Hにおいては、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度の1/2に対し、1250cm-1付近のピーク(ii)のピーク強度が低く、且つ、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度の1/2に対し、1300cm-1付近のピーク(i)のピーク強度が低いといった特徴を示した。
特に、実施例1の負極材料Aの赤外スペクトルでは、1250cm-1付近のピーク(ii)のピーク強度は、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度に対して2倍以上であり、1300cm-1付近のピーク(i)のピーク強度は、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度に対して2倍以上であった。
また、実施例1の負極材料A、負極材料B及び負極材料Cの赤外スペクトルでは、1300cm-1付近のピーク(i)のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク(ii)のピーク強度が高いといった特徴も共通していた。さらに、負極材料B及び負極材料Cの赤外スペクトルでは、1220cm-1付近のピーク(iii)のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク(ii)のピーク強度が高いといった特徴を示した。さらにまた、負極材料B及び負極材料Cの赤外スペクトルでは、1220cm-1付近のピーク(iii)のピーク強度に対し、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度が高いといった特徴を示した。
さらに、実施例1の負極材料A、負極材料B及び負極材料Cの赤外スペクトルでは、いずれも550〜650cm-1付近に認められるピーク(vi)の半値幅が50cm-1以下であり、680cm-1付近のピーク(v)のピーク強度の2倍に対し、550〜650cm-1付近に認められるピーク(vi)のピーク強度は小さかった。これに対して、比較例1の負極材料Hにおいては、550〜650cm-1付近に認められるピーク(vi)の半値幅が50cm-1より大きく、550〜650cm-1付近に認められるピーク(vi)のピーク強度は、680cm-1付近のピーク(v)のピーク強度の2倍より大きかった。
(負極材料の物性測定)
実施例1及び比較例1の負極材料の真密度をブタノールを用いたピクノメーター法で測定した。負極材料A、負極材料B、負極材料C及び負極材料Hの真密度は、2.10〜2.15g/cm3の範囲であった。
また実施例1及び比較例1の負極材料のd値及びLc値を、反射回折式の粉末X線回折法により測定した。管電圧50kV、管電流150mAでCuKα線を負極材料に照射し、回折線をゴニオメータで測定し、粉末X線回折スペクトルを得た。2θが20〜30°の範囲にある(002)面の回折ピークを基に、Braggの式によりd値を求め、Scherrerの式によりLc値を求めた。負極材料A、負極材料B、負極材料C及び負極材料Hのd値は0.342〜0.344nmの範囲、Lc値は10〜20nmの範囲であった。
さらにまた、実施例1及び比較例1の負極材料の平均粒径を光回折法により測定した。負極材料A、負極材料B、負極材料C及び負極材料Hの平均粒径は、15〜17μmの範囲であった。
さらにまた、実施例1及び比較例1の負極材料の比表面積を窒素吸着法を用いて測定した。負極材料Aの比表面積は5.8m2/g、負極材料Bは3.9m2/g、負極材料Cは3.4m2/g、及び負極材料Hは6.9m2/gであった。
〔実施例2〕
本例では、実施例1で得られた負極材料A、負極材料B、負極材料Cを用いて、各々リチウムイオン二次電池(それぞれ電池A、電池B及び電池Cと称する)を以下のとおり作製した。
正極を構成する正極材料として、組成式LiNi0.35Mn0.35Co0.3O2である複合酸化物粉末を用いた。この正極材料88重量%に、導電剤として7重量%の鱗片状黒鉛と2重量%のアセチレンブラックと、あらかじめ結着剤として3重量%のPVDFをNMPに溶解した溶液とを加えて混合し、正極合剤スラリーを作製した。次に、正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)に実質的に均一かつ均等に塗布後乾燥し、さらに同様の手順で箔の両面に塗布、乾燥した。これをプレス機により所定の合剤密度となるよう圧縮成形し、幅54mmに切断し、正極を作製した。正極の未塗布部に、端子として幅3mmのアルミニウム箔をスポット溶接した。
負極を構成する負極材料(負極材料A、負極材料B又は負極材料C)90重量%に、導電剤として4重量%のアセチレンブラックと、あらかじめ結着剤として6重量%のPVDFをNMPに溶解した溶液とを加えて混合し、負極合剤スラリーを作製した。負極合剤スラリーを、正極と同様の手順で、厚さ15μmの圧延銅箔(負極集電体)に実質的に均一かつ均等に塗布後乾燥し、さらに同様の手順で箔の両面に塗布、乾燥した。これをプレス機により合剤密度1.2g/cm3となるよう圧縮成形し、幅56mmに切断し、負極を作製した。負極の未塗布部に、端子として幅3mmのニッケル箔をスポット溶接した。
作製した正極と負極とを用いて、図1に示すような、径18mm、長さ650mmのリチウムイオン二次電池を作製した。本例では、セパレータとして厚さ30μmの微多孔性ポリプロピレン製セパレータを使用した。また、電解液は、EC、DMC、DECの体積比1:1:1の混合溶媒に0.8%のビニレンカーボネートを加え、1モル/リットルのLiPF6を溶解させたものを用いた。
〔比較例2〕
本例では、比較例1で得られた負極材料Hを用い、リチウムイオン二次電池(電池Hと称する。)を実施例2と同様に作製した。
〔特性評価実験〕
(負極のX線回折測定)
実施例2及び比較例2で作製した負極を、径15mmに打ち抜いて試験電極とし、試験電極を用いて2θを20〜60°の範囲とするX線回折スペクトルを、反射回折式のX線回折法により、管電圧50kV、管電流150mAでのCuKα線を用い測定した。
実施例2の電池A、電池B、電池C、及び比較例2の電池Hのいずれの負極においても、20〜30°の範囲にある(002)面の回折線が認められた一方、40〜45°の範囲にある(004)面の回折線が認められなかった。
(電池容量の測定)
実施例2及び比較例2で作製した電池A、電池B、電池C及び電池Hの電池容量を以下のように測定した。すなわち、先ず650mAで上限電圧4.1V、2.5時間の定電流定電圧充電した後、650mAで下限電圧2.7Vの定電流放電を行い、放電時の電気量を測定し、これを電池容量とした。測定環境温度は20℃とした。
(電池抵抗の測定)
実施例2及び比較例2で作製した電池A、電池B、電池C及び電池Hの電池抵抗を以下のように測定した。すなわち、先ず650mAで上限電圧4.1V、2.5時間の定電流定電圧充電した後
、30分開回路とした後、650mAで10秒間の定電流放電を行った。放電前の開回路電圧(V0)と放電10秒後の電圧(V10)とを測定し、両者の差(V0−V10)である電圧降下(ΔV)を求めた。ついで、放電した電気量に相当する充電を行い、順次、放電電流を900mA,1950mAと変化させ、同様に電圧降下(ΔV)を求めた。測定環境温度は20℃とした。
放電電流値(I)に対する電圧降下(ΔV)をプロットし、I−ΔVの傾きから電池抵抗を算出した。
(保存特性の評価)
実施例2及び比較例2で作製した電池A、電池B、電池C及び電池Hの保存特性の評価を以下のように実施した。
先ず、電池抵抗及び電池容量測定後のリチウムイオン二次電池を650mAで下限電圧2.7Vの定電流放電を行った後、650mAで上限電圧4.1V、2.5時間の定電流定電圧充電をした。次に、50℃の恒温槽内で所定期間保存した。所定期間ごとに電池を取り出し、上述の電池抵抗及び電池容量を測定した。保存試験前(0日)の電池抵抗と電池容量各々を100%とした際の、所定期間毎の電池抵抗比と電池容量比(維持率)を算出した。保存期間は、保存開始から10日、30日及び60日とした。
図6に電池A、電池B、電池C及び電池Hの保存日数に対する電池抵抗比を示す。60日目の電池抵抗比は、電池Hに比べ電池A、電池B、電池Cがいずれも低く、入出力特性に優れることがわかった。
図7に電池A、電池B、電池C及び電池Hの保存日数に対する電池容量維持率を示す。60日目の電池容量維持率は、電池Hに比べ電池A、電池B、電池Cがいずれも高く、エネルギー密度が高いことがわかった。
以上の保存特性の評価結果から、実施例2で作製した電池A、電池B、電池Cは、比較例2で作製した電池Hと比較して保存時の特性低下が小さく、保存性能に優れるものであることが明かとなった。したがって、実施例1で検討した〔特性評価実験〕-(負極材料の赤外スペクトル測定)の結果を考慮すると、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度の1/2に対し、1250cm-1付近のピーク(ii)のピーク強度が高く、且つ、1180cm-1付近のピーク(iv)のピーク強度の1/2に対し、1300cm-1付近のピーク(i)のピーク強度が高いといった特徴を示す炭素材料を負極に使用することによって、保存特性に優れたリチウムイオン二次電池を作製できることが明かとなった。
本実施の形態におけるリチウムイオン二次電池の部分断面図である。 実施例1で作製した負極材料Aの赤外スペクトルを示す図である。 実施例1で作製した負極材料Bの赤外スペクトルを示す図である。 実施例1で作製した負極材料Cの赤外スペクトルを示す図である。 比較例1で作製した負極材料Hの赤外スペクトルを示す図である。 実施例2で作製した電池及び比較例2で作製した電池について、保存日数と抵抗比との関係を示す図である。 実施例2で作製した電池及び比較例2で作製した電池について、保存日数と容量維持率との関係を示す図である。
符号の説明
11・・正極、12・・負極、13・・セパレータ、14・・電池缶、15・・負極端子、16・・密閉ふた部、17・・正極端子、18・・パッキン、19・・絶縁板

Claims (9)

  1. 以下の(1)〜(5)の特性を有する炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用の負極材料。
    (1)赤外スペクトルによる1180cm-1付近のピーク強度に対し、1250cm-1付近のピーク強度が2倍以上である
    (2)赤外スペクトルによる1180cm-1付近のピーク強度に対し、1300cm-1付近のピーク強度が2倍以上である
    (3)赤外スペクトルによる1300cm -1 付近のピーク強度に対し、1250cm -1 付近のピーク強度が大である
    (4)赤外スペクトルによる550〜650cm -1 付近に認められるピークの半値幅が50cm -1 以下である
    (5)赤外スペクトルによる550〜650cm -1 付近に認められるピーク強度が680cm -1 付近のピーク強度の2倍以下である
  2. 以下の(1)〜(7)の特性を有する炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用の負極材料。
    (1)赤外スペクトルによる1180cm -1 付近のピーク強度の1/2に対し、1250cm -1 付近のピーク強度が大である
    (2)赤外スペクトルによる1180cm -1 付近のピーク強度の1/2に対し、1300cm -1 付近のピーク強度が大である
    (3)赤外スペクトルによる1300cm -1 付近のピーク強度に対し、1250cm -1 付近のピーク強度が大である
    (4)赤外スペクトルによる1220cm -1 付近のピーク強度に対し、1250cm -1 付近のピーク強度が大である
    (5)赤外スペクトルによる1220cm -1 付近のピーク強度に対し、1180cm -1 付近のピーク強度が大である
    (6)赤外スペクトルによる550〜650cm -1 付近に認められるピークの半値幅が50cm -1 以下である
    (7)赤外スペクトルによる550〜650cm -1 付近に認められるピーク強度が680cm -1 付近のピーク強度の2倍以下である
  3. 上記炭素材料は、以下の(8)〜(10)の特性のうち少なくとも1の特性を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載の負極材料。
    (8)真密度が1.6g/cm3〜2.20g/cm3である
    (9)X線回折法による(002)面の面間隔(d値)が0.340〜0.370nmである
    (10)X線回折法による(002)面のC軸方向の結晶子厚み(Lc)が1.0nm〜100nmである
  4. 上記特性(8)において上記真密度が1.9g/cm3〜2.20g/cm3であることを特徴とする請求項記載の負極材料
  5. 上記特性(9)において上記面間隔(d値)が0.340〜0.370nmであることを特徴とする請求項記載の負極材料。
  6. 請求項1〜いずれか一項記載の負極材料を含む負極と、正極と、非水電解質とを有するリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項記載のリチウムイオン二次電池を電気的に複数接続した構成を有する電池モジュール。
  8. 請求項記載のリチウムイオン二次電池を動力源の少なくとも一部として用いることを特徴とする移動用機器。
  9. 請求項記載のリチウムイオン二次電池を動力源の少なくとも一部として用い、内燃機関及び/又は燃料電池を有し、前記内燃機関及び/又は燃料電池を動力源の他の一部として用いるとともに前記リチウムイオン二次電池充電のためのエネルギー源として用いることを特徴とするハイブリッド型電気自動車。
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