JP5010870B2 - 骨固定要素、および骨固定要素の製造方法 - Google Patents

Description

この発明は、かえし（barb）要素がそのシャフトに接続された骨固定要素と、当該骨固定要素を製造するための方法とに関する。

ＥＰ ０ ７１４ ６４３ Ａ１が開示する骨固定装置には、たとえば、当該装置の取付けまたは把持特徴を向上させる微構造の接触面を有するねじ、ピン、ステープル、ケーブルまたはアンカーなどがある。微構造の接触面は、方向が非対称であるかまたは角度を付けて懸架するといった特徴を含み、たとえば、角度の付いたヤスリ状の歯を有し、これが、一方向への運動に抵抗するよう噛むかまたは曲がり、さらに、他方向への比較的容易な接触運動を可能にするよう曲がるかまたは摺動する。

ＤＥ １９８ ０１ ２１９ Ａ１が開示する骨釘には、硬質のかえし状の突起が当該釘の周囲に列をなして配置されている。このかえし状の突起は鋸歯状であり、これにより、釘の挿入を容易にするだけでなく釘が緩むのを防ぐ。しかしながら、骨を破壊することなく釘を取外すことは不可能である。

ＣＨ ６８２ ４５０ Ａ５は、成形外科の骨インプラントを固定するための固定釘を開示する。当該釘は頭部とシャフト部とを含み、当該シャフトの外壁には、保持要素が螺旋状の線に沿って配置されている。当該保持要素は楔形であり、切刃を備えており、これにより、釘を骨材料からねじって取り外すことが可能となる。しかしながら、予め穴をあけておかなければならないその芯穴の直径は、釘を骨に容易に挿入したり、当該釘を取外したりすることができるよう精密でなければならない。加えて、楔形の保持要素はそれ自体が容易な挿入を可能にするものではない。

ＵＳ ５，５６２，７０４は、外科手術用のポリマーのインプラントを記載する。当該インプラントは、取付け方向とは逆方向の位置にインプラントを拘束するための拘束部材を含む。当該拘束部材は、人体に対して実質的に平行な方向に形成される。
ＥＰ ０ ７１４ ６４３ Ａ１ ＤＥ １９８ ０１ ２１９ Ａ１ ＣＨ ６８２ ４５０ Ａ５ ＵＳ ５，５６２，７０４

この発明の目的は、従来の骨ねじおよび釘よりも小さい力でより迅速かつ容易に骨に挿入することのできる骨固定要素を提供することである。また、多くの臨床要件に応用できかつ有用であり、製造が容易である骨固定要素を提供することが望ましい。好ましくは、当該骨固定要素は、挿入中に骨に損傷を与える力を及ぼすことなく、安全確実に取付けることができる。この発明のさらなる目的は、このような骨固定要素を製造するための方法を提供することである。

この発明の上述の目的は、請求項１に従った骨固定要素、または、請求項１５に従った方法によって解決される。さらなる展開例が従属請求項に記載される。

この発明に従った骨固定要素は、骨に設けられた芯穴に骨固定要素を押込むことによっ
て、骨への迅速かつ確実な固定を容易にする。かえし要素は、骨固定要素が引出されるかまたは緩むのを防ぐ。かえし要素の曲げ線が基部よりも自由端により近接している場合、挿入力が低減し、引出し力が増大する。

好ましくは、当該かえし要素は、骨固定要素のシャフト軸を中心とした少なくとも１つの螺旋状の線上に配置される。かえし要素はねじ山のような機能をもたらし、これにより、骨固定要素を芯穴に挿入した後、内向きにねじ込む動きによって当該骨固定要素を骨により深く位置決めするかまたは当該骨固定要素を逆にねじることによって、芯穴における当該骨固定要素の位置を補正することが可能となる。この発明の骨固定要素は、必要に応じて、挿入方向とは逆の方向または反時計回りの方向に回すことによってねじのように取外すことができる。

この発明に従った骨固定要素は容易に製造できる。
かえし要素が形状記憶合金でできている場合、形状記憶効果は、骨への骨固定要素の挿入中にかえし要素が突き出ず、骨固定要素の挿入時に体温の作用のために当該かえし要素が立ち上がるように利用され得る。かえし要素はまた、超弾性特性またはばねのような挙動を有する材料からできていてもよい。たとえば、超弾性またはステンレス鋼を有するチタン合金が用いられてもよい。

この発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を参照することによって明らかになり、最もよく理解されるだろう。

この発明の第１の実施例に従った骨固定要素が図１〜図５を参照して説明される。骨固定要素１は、一方の端部に先端部３を備え、他方の端部に頭部４を備えたシャフト２を含む。頭部４は球状部分の形状を有し、その自由端に捩じ込み工具と係合させるための窪み５を有している。頭部４の近傍に第１の円筒形部分６がある。第１の円筒形部分６は、頭部４の直径よりもわずかに小さな外径を有する。第２の円筒形部分７が、第１の円筒形部分に隣接して、頭部４とは反対側に設けられる。第２の円筒形部分７の直径は、段が形成されるように第１の円筒形部分６の直径よりも小さい。第２の円筒形部分７の近傍に円筒形のシャフト部８が設けられる。円筒形のシャフト部８の直径は、第２の円筒形部分７の直径よりも小さい。

第１の円筒形部分６の端縁には、シャフト部８に面して、複数のＵ字型の窪み９が円周方向に等間隔をあけて設けられており、これらは円筒形のシャフト部８の側に向かって開いている。

シャフト２はさらに管状体１０を含み、当該管状体１０は、円筒形のシャフト部８および第２の円筒形部分７上に配置され得るように第２の円筒形部分７の外径よりもわずかに大きな内径を有する。管状体１０の外径は、管状体１０がシャフト部８上に配置される場合に管状体１０の外面が第１の円筒形部分６の外面と同一平面になるように、第１の円筒形部分６の外径に対応する。管状体１０は、頭部４に面したその端部上に突起１１を有し、当該突起１１の形状および配置は、管状体１０を円筒形のシャフト部８上に完全に配置する際に係合させるために第１の円筒形部分６の端縁に設けられたＵ字型の窪み９に対応している。図３から分かるように、組立てられた状態では、管状体１０の端部は第１の円筒形部分６の自由端に当接する。

図２から分かるように、管状体１０は、組立てられた状態では、第２の円筒形部分７およびシャフト部８の半径の差に等しい距離ｄだけシャフト部８から間隔があけられている。

管状体１０は複数のかえし要素１２を含む。かえし要素１２は、管状体１０の壁に設けられた実質的に四角形の切込１０ａによって形成される。四角形の切込１０ａの基部１３は、管状体から切り抜かれたものではなく、管状体１０の壁へのかえし要素１２のアタッチメントとしての役割を果たす。かえし要素１２は、好ましくは、管状体１０が円筒形のシャフト部８上に配置される場合、かえし要素１２の基部１３が先端部３に面し、自由端１４が頭部４に面するように配置される。特に図３から分かるように、かえし要素１２は、シャフト軸Ｍを中心として螺旋状の線Ｓに配置される。かえし要素の自由端１４は、円形の円周線Ｕに対して角度αだけ傾斜しており、当該角度αは、螺旋状の線Ｓの螺旋角度に対応する。こうして、かえし要素１２の自由端１４は、ねじ山の頂と同様の切刃を形成する。

特に図２から分かるように、かえし要素１２は、それらの基部１３に隣接して、シャフトの主軸Ｍと平行な基部部分１５を有する。かえし要素１２の自由端部分１６は角度βで曲げられてシャフト２から離れされており、このため、角度βだけ基部部分１５に傾斜している。角度βは、かえし要素１２の所望の剛性が得られるように、使用される材料とかえし要素１２の実寸法とに応じて製造プロセス中に選択される。基部部分１５および自由端部分１６は実質的に平坦である。これらの構成や、管状体１０の壁への取付のために、かえし要素１２は、管状体１０に比べて弾力的に変形可能である。中空の空間２２がシャフトにおいて基部部分１５とシャフト部８との間に規定され、これにより、基部部分１５が弾力的に変形し、シャフト軸Ｍの方に回動することが可能となる。かえし要素１２が崩れるかまたは切込に押込まれる場合、当該かえし要素１２には予め張力がかけられる。

図５は、単一のかえし要素１２の概略的な上面図を示す。かえし要素の自由端１４は、ねじ山の頂の部分のような切刃を形成するよう、円周線Ｕに対して角度αに傾斜している。かえし要素１２の自由端部分１６は、シャフト２から離れるように曲げ線Ｂで曲げられており、当該曲げ線Ｂは、基部１３よりも自由端１４により近接して配置される。すなわち、自由端１４までの曲げ線Ｂの平均距離ｄ_Fは、基部１３までの曲げ線Ｂの平均距離ｄ_Bよりも短い。好ましくは、平均距離ｄ_Fは平均距離ｄ_Bの約半分である。

管状体１０の軸方向の長さは、組立てられた状態で、円筒形のシャフト部８の自由端が管状体１０の自由端と同一平面になるように設定される。円筒形のシャフト部８はその自由端に円筒形のボア（図示せず）を有しており、そこに、対応する形状の円筒形の突起１７を受ける雌ねじと、先端部３に設けられた雄ねじとを備える。先端部３の基部１８の外径Ｄ_tは、図３に図示される組立てられた状態では、先端部３の基部１８が管状体１０の外壁と同一平面になるように、管状体１０の外径に対応している。

骨固定要素２は、身体適合性のあるいかなる材料から作られてもよい。好ましくは、身体適合性のある金属、たとえばチタン、ステンレス鋼およびそれらの合金、または、身体適合性のあるプラスチック材料が用いられてもよい。かえし要素１２を有する管状体１０は、シャフト部８、頭部４および先端部３と同じ材料から、または、かえし要素１２が必要な弾性特性を有することを確実にするために異なる材料が所望される場合には異なる材料から作られてもよい。

好ましくは、かえし要素１２を備えた管状体１０は、形状記憶および／もしくは超弾性の特徴を有する形状記憶合金から作製されるか、または、ステンレス鋼もしくはチタン合金のようにばねのような特徴を有する材料から作製される。管状体１０に用いるのに、たとえばニチノールなどのニッケルチタン合金が好適である。

動作の際に、骨固定要素１は、まず、突起１１が窪み９と係合するように管状体１０を
シャフト部８上に配置することによって予め組立てられる。こうして、円筒形のシャフト部８上での管状体１０の回転が阻止される。その後、先端部３が、頭部４とは反対側のシャフト部の自由端においてボアに捩じ込まれる。

使用の際に、図６および図７に概略的に示されるように、まず、芯穴１９が骨２０に設けられる。芯穴の直径は、本質的に管状体１０の外径に対応するか、または、所望の結果もしくは状況に応じてそれよりもわずかに大きいかもしくは小さくてもよい。芯穴１９の直径ｄ_Cは、所望の抵抗がかえし要素１２によってもたらされるように、管状体の直径およびかえし要素１２の柔軟性に応じて選択される。選択された直径ｄ_Cは骨の質にも依存しており、たとえば、健康な硬い骨に対してはより大きな直径が選択され、骨粗鬆症の弱い骨に対してはより小さな直径が選択され得る。

次いで、図６に図示のとおり、骨固定要素１が芯穴１９に挿入される。骨固定要素が骨２０の芯穴１９に挿入されているとき、かえし要素１２は潰れた状態になり、その弾力性のために切込に押し付けられるかまたは当該切込に押込まれる。摺動運動により、捩じ込みプロセスを用いる従来の骨ねじとは異なり、骨固定要素を迅速かつ滑らかに挿入することが可能となる。予め張力がかけられたかえし要素１２は、挿入されると、図７から明らかなように、拡張し、立ち上がり、その切刃１４を外方向に芯穴１９の壁に押し付ける。かえし要素１２は、骨固定要素１が芯穴１９から引出されるかまたは芯穴１９から抜け落ちるのを防ぐ。

骨固定要素１を芯穴１９にさらにおよび／もしくは最終的に位置決めするために、または、頭部４を位置決めするために、骨固定要素１は、頭部４における窪み５に係合する捩じ込み工具でもって回転させることにより、ねじのように芯穴１９にさらに捩じ込まれるかまたはそこから取外される。このプロセス中に、螺旋状の線Ｓに位置決めされているかえし要素の切刃１４が、ねじ山の頂のような役割を果たす。骨固定要素は、反時計回りの方向に回すことによって骨ねじのように取外すことができる。

図８ａ〜図８ｃは、芯穴への骨固定要素の挿入時におけるさまざまな状態にある、第１の実施例に従った骨固定要素の単一のかえし要素を示す。図８ａにおいては、かえし要素１２の基部部分１５だけが芯穴１９に挿入されており、かえし要素の自由端部分１６は依然として芯穴１９の外側にある。かえし要素１２の基部部分１５が管状体１０の切込１０ａから突き出ていないので、この挿入段階ではかえし要素１２には力が作用しない。芯穴１９の端縁２１がかえし要素１２の自由端部分１６と接触すると、すなわち、かえし要素１２の曲げ線Ｂが芯穴１９に入ると、かえし要素は弾力的に変形し、シャフト部８に向かって回動する。基部部分１５は長さｌｂを有するレバーアームとしての役割を果たす。レバーアームｌｂのために、かえし要素を切込１０ａに押込むのに必要な力Ｆ_Iは、曲げ線Ｂが基部１３に配置されている場合に比べて小さくなる。したがって、基部部分１５がシャフト２の主軸Ｍに対して平行に方向付けられている場合、骨固定要素１を芯穴１９に挿入するのに必要な力Ｆ_Iが小さくなる。さらに挿入された後、かえし要素の基部部分１５は、図８ｂに図示のとおり、シャフト部８に当接する。次いで、レバーアームｌｅが、かえし要素１２をさらに変形させるのに必要な力Ｆ_Dを決定し、これにより、骨固定要素１を芯穴１９に挿入するのに必要な力Ｆ_Iをも決定する。

シャフト軸Ｍに対して平行な基部部分１５とシャフト２から外方向に曲げられた自由端部分１６とをかえし要素１２に設けることにより、挿入後に骨固定要素を芯穴から引出すのに必要な力を低減させることなく、挿入に必要な力Ｆ_Iを低減させることができる。

骨固定要素２を製造するためのプロセスは、管状体１０の直径に対応する直径を有する円筒を設けるステップを含み、当該円筒は、管状体１０にとって望ましい材料、好ましく
は、形状記憶合金、または別の金属材料、または柔軟な特性を有する合金で作られる。次のステップにおいて、管状体１０が準備されるように、当該円筒に同軸のボアが設けられる。その後、かえし要素１２には、切断、たとえばレーザ切断によって管状体１０の壁に四角形の切込が設けられるが、かえし要素の基部になり得る一方側は切り抜かれない。次いで、かえし要素１２は外側に突き出るように曲げられる。この場合、曲げ線Ｂは、その基部１３よりもかえし要素１２の自由端１４により近接している。

図９および図１０に示される第２の実施例においては、第１の実施例の部分に対応する部分は同じ参照番号で特徴付けられる。図９は、第２の実施例に従った骨固定要素１０１の側面図であり、図１０は、図７に従った骨固定要素１０１の断面図である。第２の実施例の骨固定要素は、かえし要素１１２がねじのような機能を備えないという点で、第１の実施例に従った骨固定要素１０１とは異なる。したがって、かえし要素１１２は、少なくとも１つの螺旋状の線Ｓに沿ってではなく、管状体１１０の少なくとも１つの円周線Ｕ上に配置される。かえし要素１１２の自由端部分１１６の自由端１１４は、骨固定要素１０１の主軸Ｍに対して垂直である。

図１１に示される第３の実施例においては、第２の実施例の部分に対応する部分は同じ参照番号で特徴付けられる。図１１は、第３の実施例に従った骨固定要素２０１の斜視図である。骨固定要素２０１は、シャフト２０２がその主軸Ｍ′に対して垂直な長方形の断面を有するという点で、第２の実施例に従った骨固定要素とは異なる。シャフト２０２の一方の端部には、平坦な４面の角錐形に形成された先端部２０３が設けられる。その４つの側面上に、シャフトが、第２の実施例のかえし要素のように形成されたかえし要素１１２を有する。当該かえし要素は、主軸Ｍ′に対して平行な線上に配置される。かえし要素は、個々のかえし要素１１２の基部１３が先端部２０３に面するように方向付けられる。

図１２ａ〜図１２ｃに示される第４の実施例においては、第１の実施例の部分に対応する部分は同じ参照番号で特徴付けられる。図１２ａは、大腿骨３２５を安定させるのに用いられる骨固定要素３０１を示す。骨固定要素３０１は、かえし要素１２を有する図１の骨固定要素の固定シャフトのように形成された第１の部分３０２と、その端部において骨ねじ３３０を受けるよう適合された頭部３０４を有し、円筒形である第２の部分３０６とを含む。骨ねじ３３０を受けるために、頭部３０４は、ピンの主軸Ｍに対して垂直なボアを有する。当該ピンは、大腿骨の骨髄の空洞の中を通り、その遠端３３１からその基端３３２まで貫通する。ねじ３３０は、骨の遠端をピンに固定するのに役立つ。かえし要素１２はピンを骨に固定する。図１２ｂは、ピンの拡大部分と大腿骨の基端部分とを示す。図１２ｃは、第４の実施例に従った骨固定要素の、上腕骨３４０への適用例を示す。大腿骨における適用例と同様に、当該ピンは、上腕骨の骨髄の空洞内において骨の遠端３４１から基端３４２まで延在する。第１の部分３０２が空洞であれば、ここに骨セメントまたは薬剤を充填することができる。

当該実施例の変形例が実現可能である。頭部４は球形部分の形状である必要はなく、別の形状を有していてもよく、特に、いかなる形状の公知のねじ頭部を有していてもよい。窪み９および対応する突起１１はＵ字型である必要はなく、異なる形状であってもよい。回転を阻止するのに少なくとも１つの窪みおよび対応する突起が必要である。しかしながら、異なる手段によって回転を防ぐこともできる。たとえば、管状体および円筒形のシャフト部８に設けられた横方向のボアに挿入可能なピンが用いられてもよい。

かえし要素は四角形でなくてもよく、自由端と、かえし要素をシャフトに接続する基部とを有するのであれば別の形状であってもよい。

角ばった湾曲部が説明されたが、当該湾曲部は丸みがあってもよい。
かえし要素は、管状体の全長にわたって設けられる必要はなく、管状体の一部にだけ設けられてもよい。かえし要素間の距離も変更可能である。いくつかの応用例については、単一のかえし要素または一列のかえし要素だけで十分である。

かえし要素は、均一に分散される必要はなく、いかなる場所に配置されてもよい。
この発明のさらに別の変更例においては、かえし要素を含む管状体が形状記憶合金でできている場合、当該管状体は、かえし要素が体温または高温で突き出、より低い温度、たとえば室温ではつぶれた位置にあるように骨固定要素の組立前に処理される。動作の際に、骨固定要素は、かえし要素がつぶれた状態で芯穴１９に押込まれる。骨固定要素が暖まり体温に適合するかまたは外部の装置によって暖められた後、かえし要素は最終的な位置まで拡張する。これによりもたらされる利点は、骨固定要素を芯穴１９に押込むのに必要とされる力の量が減ることと、かえし要素がくずれた状態にあり芯穴１９の壁に押し付けられない限り、骨固定要素を、その挿入中に摺動運動によって所望の深さにまで調節できることとである。管状体が、形状記憶特徴に加えて超弾性を有する場合、かえし要素のより高い弾力性により処理が簡略化され、さらに確実に骨固定要素を骨に固定できるようになる。

管状体が、さまざまな特徴または構成のかえし要素を有する２つ以上の個々の部分を含み得ることが可能である。

いくつかの実施例においては、管状体は単一の管でできている。しかしながら、さまざまな特徴のかえし要素を有する部分を備えた管状体は、２つの別箇の管からできていてもよい。このような場合、２つの管の間での回転を防ぐ必要がある。これは、たとえば、第２の管の突起が係合する第１の管の端部に窪みを設けることによって実現することができる。

当該実施例は、管状体および円筒形のシャフト部によって形成されるシャフトを用いて説明されてきたが、当該シャフトが管状体だけを含むことも可能である。このため、シャフトは中空となる。この場合、先端部および頭部は管状体に直接接続されなければならない。これは、たとえば、ねじまたは圧入接合によってなされ得る。

かえし要素をプレートに形成し、かえし要素を備えたこれらのプレートを、たとえばシャフトの基部に形成された溝に収容することによってシャフト部に取付けることもできる。

第１および第２の実施例においては、その主軸に対して垂直な円形の断面を有するシャフトが説明され、第３の実施例では、その主軸に対して垂直な長方形の断面を有するシャフトが説明された。しかしながら、ねじのような特徴をもつ固定要素が必要でない場合、シャフトはまた、図１３ａに示される正方形の断面４００、または、図１３ｂに示される楕円形の断面のような他のいかなる断面を有していてもよい。対応する断面を有する芯穴が必要とされる。このような非円形の断面は、トルクに対してより高い抵抗を持つという利点を提供する。

上述のすべての実施例においては、管状体の直径は、当該管状体の軸方向の長さにわたって異なっていてもよく、たとえば、管状体が円錐形の外面を有するように先端部に向かって小さくなっていてもよい。

この発明に従った骨固定要素は、骨固定装置を設けるためのプレートとともに、または、脊椎固定システムを設けるためにロッドに接続された受け部とともに用いることができる。また、従来の骨ねじではなく、または、骨固定形式で用いられる従来のピンではなく
、骨固定要素を用いることができるすべてのさらなる応用例も想定可能である。

第１の実施例に従った骨固定要素の分解斜視図である。 図１の骨固定要素を長手方向に示す断面図の拡大部分を示す図である。 図１に従った骨固定要素を組立てられた状態で示す斜視図である。 図３の骨固定要素を線Ｉ−Ｉに沿って示す断面図である。 第１の実施例に従った骨固定要素のかえし要素を示す概略上面図である。 図１〜図４に従った骨固定要素を挿入する第１のステップを示す概略図である。 図６に従った骨固定要素が挿入された状態を示す概略図である。 （ａ）から（ｃ）は芯穴への骨固定要素の挿入中における図５のかえし要素を示す概略側面図である。 第２の実施例に従った骨固定要素を示す側面図である。 図９の骨固定要素を長手方向に示す断面図である。 第３の実施例に従った骨固定要素を示す斜視図である。 （ａ）から（ｃ）は第４の実施例に従った骨固定要素を示す図である。 （ａ）および（ｂ）は骨固定要素の断面図についてのさらなる可能性をその主軸に対して垂直に示す図である。

符号の説明

１ 骨固定要素、２ シャフト、３ 先端部、４ 頭部、５ 窪み、６ 第１の円筒形部分、７ 第２の円筒形部分、８ シャフト部、９ Ｕ字型の窪み、１０ 管状体、１１
突起、１２ かえし要素、１３ 基部、１４ 自由端。

Claims (16)

1. 骨（２０；３２５；３４０）に固定するためのシャフト（２；２０２；３０２）を有する骨固定要素であって、前記シャフトは円筒形のシャフト部（８）と組み立てられた状態で円筒形のシャフト部（８）上に配置される管状体（１０；１１０）とを備え、少なくとも１つのかえし要素（１２；１１２）が前記シャフト（２；２０２；３０２）に設けられ、前記かえし要素（１２；１１２）は、自由端（１４；１１４）と前記かえし要素（１２；１１２）を前記シャフト（２；２０２；３０２）に接続する基部（１３）とを有し、
   前記かえし要素（１２；１１２）は、前記基部（１３）に隣接する第１の部分（１５）と、前記自由端（１４）に隣接する第２の部分（１６；１１６）とを有し、
   前記第２の部分（１６；１１６）は、前記シャフト（２；２０２；３０２）から離れる方向に前記第１の部分（１５）に対して傾斜し、前記かえし要素（１２；１１２）は、前記シャフト（２）の一部である管状体（１０；１１０）に切れ込まれており、
   中空の空間（２２）がシャフト（２；２０２；３０２）において第１の部分（１５）に隣接して規定され、これにより第１の部分（１５）が弾性的に変形しシャフト軸（Ｍ；Ｍ′）の方に回動することが可能となり、前記中空の空間は円筒形のシャフト部と管状体との間に規定されている、骨固定要素。
2. 前記第１の部分（１５）は、前記シャフト（２；２０２；３０２）の主軸（Ｍ；Ｍ′）に対して本質的に平行である、請求項１に記載の骨固定要素。
3. 前記第２の部分（１６；１１６）は、前記シャフト（２；２０２；３０２）から離れる方向に、前記第１の部分（１５）に対して曲げられる、請求項１または２に記載の骨固定要素。
4. 前記かえし要素（１２；１１２）は、前記基部（１３）よりも前記自由端（１４；１１４）により近接している曲げ線（Ｂ）で曲げられる、請求項１から３のいずれかに記載の骨固定要素。
5. 前記第２の部分（１６）に対する前記第１の部分（１５）の湾曲部は角ばった湾曲部である、請求項１から４のいずれかに記載の骨固定要素。
6. 前記第２の部分（１６）に対する前記第１の部分（１５）の湾曲部は丸みのある湾曲部である、請求項１から４のいずれかに記載の骨固定要素。
7. 前記かえし要素（１２）は、それぞれ、前記シャフト（２）の円形の円周線（Ｕ）に対する角度（α）を含む自由な切刃（１４）を有する、請求項１から６のいずれかに記載の骨固定要素。
8. 複数のかえし要素（１２；１１２）が設けられている、請求項１から７のいずれかに記載の骨固定要素。
9. 前記かえし要素（１２）は、前記シャフト（２；３０２）を中心にして少なくとも１つの螺旋状の線（Ｓ）に沿って配置される、請求項１から８のいずれかに記載の骨固定要素。
10. 前記かえし要素（１２）は、前記シャフト（２；２０２；３０２）に対して弾力的に変形可能である、請求項１から９のいずれかに記載の骨固定要素。
11. 前記かえし要素は、形状記憶合金、好ましくはニチノールでできている、請求項１から１０のいずれかに記載の骨固定要素。
12. 前記かえし要素（１２；１１２）は、管状体（１０；１１０）の壁に切れ込まれた実質的に四角形の切込（１０ａ）によって形成される、請求項１から１１のいずれかに記載の骨固定要素。
13. 前記管状体（１０；１１０）が回転するのを防ぐための手段（９、１１）が設けられる、請求項１２に記載の骨固定要素。
14. かえし要素（１２；１１２）の基部（１３）と反対側の自由端（１３）は、切込（１０ａ）に対してシャフト（２）の周囲の螺旋状の線（Ｓ）に沿う角度（α）で傾斜している、請求項１２に記載の骨固定要素。
15. 請求項１から１４のいずれかに記載の骨固定要素を製造する方法であって、
    管状体（１０；１１０）を設けるステップと、
    前記管状体（１０；１１０）の壁にかえし要素の形を形成する切込によって、少なくとも１つのかえし要素（１２；１１２）を作り出すステップと、
    前記管状体（１０；１１０）から外方向に前記かえし要素（１２；１１２）を曲げるステップとを含み、曲げ線（Ｂ）は、前記管状体（１０；１１０）の壁に前記かえし要素を接続する前記かえし要素（１２；１１２）の自由端（１４；１１４）とその基部（１３）との間にある、方法。
16. 前記かえし要素（１２；１１２）はレーザ切断によって作り出される、請求項１５に記載の方法。

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