JP5010413B2 - 膜の付着力検査方法、膜の付着力検査装置、および製品の製造方法 - Google Patents
膜の付着力検査方法、膜の付着力検査装置、および製品の製造方法 Download PDFInfo
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図1は、本発明の第1の実施の形態に係る膜の付着力検査装置を例示するための模式平面図である。
図1に示すように、膜の付着力検査装置1(以下、付着力検査装置1という)は、搬送手段8に被検査物9を搬入、載置するための搬入手段2と、被検査物9を衝撃変形させるための衝撃変形手段3と、衝撃変形が生じた部分の膜表面9b1に透明な粘着テープ10を貼り、これを剥がす貼付・剥離手段4と、剥がした透明な粘着テープ10を台紙12に貼り付ける貼付手段5と、透明な粘着テープ10に付着した膜9b2の面積を測定する面積測定手段6と、透明な粘着テープ10が貼り付けられた台紙12を付着力検査装置1外に搬出するための搬出手段7と、各手段間における被検査物9などの搬送や保持をする搬送手段8を備えている。尚、図中の矢印は、被検査物9などの搬送方向を表している。
図2に示すように、衝撃変形手段3は、基台30を備えている。基台30は、天板30aと、側板30b、30cと、底板30dとで箱状に形成されている。また、基台30の内部であって、底板30dの上面には受台31が設けられている。基台30の側面であって、側板30b、30cが設けられていない側の面は開放されており、この面を通じて、受台31への被検査物9の受け渡しが行われる。また、天板30aの略中央部分にはガイド孔30eが設けられ、ガイド孔30eを挿通するようにして撃芯32が設けられている。
撃芯32は、軸部32aと、軸部32aの一方の端面に設けられた頭部32bとを備えている。また、軸部32aの他方の端面には所定の曲率を有する凸状の曲面(例えば、半球面)が設けられている。また、撃芯32の軸部32aを、ガイド孔30eに挿通させることで、撃芯32の倒れが抑制されつつ上下動が可能とされている。
また、被検査物9は、試験片であってもよいし、例えば、各種製品の部品など(例えば、各種部品、筐体、カバーなど)であってもよい。また、膜9bは、母材9aの表面に形成された膜体であればよく、そのようなものとしては、例えば、塗装膜、蒸着膜、電気メッキや化学メッキによる膜、溶射膜、電着膜などを例示することができる。また、膜9bは、母材9aの少なくとも1面に形成されていればよく、例えば、衝撃力を加える面にも膜9bが形成されていてもよい。
図3(a)は貼付・剥離手段、図3(b)は貼付手段、図3(c)は面積測定手段を例示するための模式図である。
図3(a)に示すように、貼付・剥離手段4は、衝撃変形した被検査物9の膜表面9b1に透明な粘着テープ10をローラなどで押圧して貼り付ける貼付手段11と、貼り付けた透明な粘着テープ10の一端を握持して、これを被検査物9の膜表面9b1に対して略垂直方向に引き剥がす剥離手段22と、を備えている。その他、透明な粘着テープ10を所定の長さに切断し、これを貼付部分に供給する図示しない粘着テープ供給手段や、透明な粘着テープ10の引き剥がしが終了した被検査物9を付着力検査装置1の外部に排出する図示しない排出手段などを備えている。
まず、搬入手段2により被検査物9が回転テーブル8a上に載置、保持される。そして、回転テーブル8aが所定のピッチ回転することにより被検査物9が衝撃変形手段3の前まで搬送され、その場で停止する。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図5(a)は貼付・剥離手段4、図5(c)は塗布手段17、図5(d)は面積測定手段を例示するための模式図である。図5(b)は剥離の様子を例示するための模式図である。
尚、前述した付着力検査装置1と同様の部分についてはその説明を省略する。
まず、搬入手段2により被検査物9が付着力検査装置1a内に搬入され、衝撃変形手段3により衝撃変形を生じさせる。すなわち、母材9aの膜9bが形成された面と対向する面に衝撃力を加え、膜9bが形成された面に衝撃変形を生じさせる。
次に、貼付・剥離手段4により、膜9bの一部が剥離されて膜剥離部9b3が形成される。すなわち、衝撃変形が生じた部分の膜表面9b1に粘着テープ10aを貼り付け、粘着テープ10aを引き剥がすことで膜表面9b1の少なくとも一部を剥離させる。
次に、被検査物9が、搬出手段7により付着力検査装置1aから搬出される。以後、必要があれは前述の手順を繰り返すことで膜の付着力検査を行うことができる。
尚、図中に示す矢印は錘34の落下方向を表している。また、図2で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。また、要部以外の部分は図2に例示をしたものと同様のため省略している。
図6に示すように、衝撃変形手段3aには上面に凹状の曲面が設けられた受台31が備えられている。そして、凹状の曲面の直上であって、膜9bの表面上には、歪み量測定手段としての歪みゲージ18が設けられている。歪みゲージ18は制御部19と接続され、歪み量をデジタル表示したり、アナログ出力したりすることができるようになっている。
まず、被検査物9に衝撃力が加えられる前の歪みゲージ18の値(初期値)を図示しない記憶手段などに記憶する。そして、図6(a)に示すように、撃芯32の頭部32bに向けて錘34を落下させることで被検査物9に衝撃変形を生じさせる。
次に、図6(b)に示すように、衝撃変形が生じた後の歪みゲージ18の値(最大変形値)を求め、この値(最大変形値)から前述の初期値を差し引くことで被検査物9の歪み量を求める。このようにして求めた歪み量が所定の値となるように、錘34の落下距離を調整する。
図7に示すように、衝撃変形手段3bには、撃芯32が設けられている。そして、撃芯32の軸部32aには、変位を測定するためのマーク21が貼り付けられている。また、マーク21を撮像可能な位置には、歪み量測定手段としての高速度カメラ20が設けられている。
まず、被検査物9に衝撃力が加えられる前のマーク21の位置(初期位置)を高速度カメラ20により撮影する。そして、図7(a)に示すように、撃芯32の頭部32bに向けて錘34を落下させることで被検査物9に衝撃変形を生じさせる。
次に、図7(b)に示すように、衝撃変形が生じるまでの間のマーク21の位置変化を高速度カメラ20で撮影する。そして、最大変形位置から前述の初期位置を差し引くことで被検査物9の歪み量を求める。このようにして求めた歪み量が所定の値となるように、錘34の落下距離を調整する。
図8に示すように、衝撃変形手段3cには、図6で説明をした歪みゲージ18、制御部19と、図7で説明をした高速度カメラ20、マーク21が設けられている。
本実施の形態においては、歪みゲージ18と高速度カメラ20とを切り替えることにより歪み量を測定することもできるし、両者による測定をすることもできる。そのため、測定の汎用性を高めることができるとともに、両者を併せて用いることで測定精度を高めることもできる。
一般的に、金属材料、電気製品、電子部品、機械装置などにおいては、材料自体、部品、筐体などの製品の表面が塗装膜、メッキ、溶射膜、蒸着膜、電着膜などで覆われている場合が多い。このような製品の製造工程において、一部の部品を抜き出して本実施の形態に係る付着力検査方法(付着力検査装置)を用いた付着力の検査を行い、所定の閾値に基づいて合否の判定を行うようにすることができる。また、不合格となった場合には膜の形成条件(例えば、温度条件、電流値、母材表面の粗さなどの諸条件)を変更するなどして膜の付着力の適正化を図るようにすることもできる。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、付着力検査装置1、1aなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
Claims (11)
- 受台の凹部が設けられた上面に、膜が形成された母材の前記膜が形成された側を当接させること、
前記膜が形成された母材の前記膜が形成された面と対向する面の前記凹部に対応する位置に衝撃力を加え、前記膜が形成された面に衝撃変形を生じさせること、
前記衝撃変形が生じた領域を含む前記膜の表面に粘着テープを貼り付け、前記粘着テープを引き剥がすことで前記膜の少なくとも一部を剥離させること、
及び前記膜の剥離面積を測定すること、を有することを特徴とする膜の付着力検査方法。 - 前記粘着テープは透明体からなり、前記引き剥がした前記粘着テープを台紙に貼り付け、前記膜の剥離面積の測定は、前記粘着テープに付着した前記膜の面積を測定することにより実行すること、を特徴とする請求項1記載の膜の付着力検査方法。
- 前記膜の剥離面積の測定は、前記剥離させた跡に形成された膜剥離部を測定することにより実行すること、を特徴とする請求項1記載の膜の付着力検査方法。
- 前記膜剥離部に顔料粉末を塗布すること、を特徴とする請求項3記載の膜の付着力検査方法。
- 異なる母材について前記衝撃力による前記母材の歪み量が一定となるように前記衝撃力を調整すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の膜の付着力検査方法。
- 凹部が設けられ、膜が形成された母材の前記膜が形成された側を当接させる上面を有した受台と、
前記膜が形成された母材の前記膜が形成された面と対向する面の前記凹部に対応する位置に衝撃力を加え、前記膜が形成された面に衝撃変形を生じさせる衝撃変形手段と、
前記衝撃変形が生じた領域を含む前記膜の表面に透明な粘着テープを貼り付ける第1の貼付手段と、
貼り付けた前記透明な粘着テープを剥がす剥離手段と、
剥がした前記透明な粘着テープを台紙に貼り付ける第2の貼付手段と、
前記透明な粘着テープに付着した前記膜の面積を測定する面積測定手段と、
を備えたことを特徴とする膜の付着力検査装置。 - 凹部が設けられ、膜が形成された母材の前記膜が形成された側を当接させる上面を有した受台と、
前記膜が形成された母材の前記膜が形成された面と対向する面の前記凹部に対応する位置に衝撃力を加え、前記膜が形成された面に衝撃変形を生じさせる衝撃変形手段と、
前記衝撃変形が生じた領域を含む前記膜の表面に粘着テープを貼り付ける第3の貼付手段と、
貼り付けた前記粘着テープを剥がす剥離手段と、
前記粘着テープを剥がした跡に形成された膜剥離部の面積を測定する面積測定手段と、 を備えたことを特徴とする膜の付着力検査装置。 - 前記膜剥離部に顔料粉末を塗布する塗布手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項7記載の膜の付着力検査装置。
- 前記衝撃力による前記母材の歪み量を測定する歪み量測定手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の膜の付着力検査方法。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の膜の付着力検査方法により膜の付着力を測定し、所定の閾値に基づいて合否の判定を行うこと、を特徴とする製品の製造方法。
- 前記判定において不合格となった場合には、前記膜の形成条件を変更すること、を特徴とする請求項10記載の製品の製造方法。
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