JP5008048B2 - 導電性ナノワイヤーを用いたトランジスタ - Google Patents

導電性ナノワイヤーを用いたトランジスタ Download PDF

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Description

本発明は,導電性ナノワイヤーを用いたトランジスタなどに関する。より詳しく説明すると,本発明は,有機伝導体系の有機化合物を用いた導電性ナノワイヤーを用いて,ソース電極及びドレイン電極を連結した新規なトランジスタに関する。
本発明者らは,導電性ナノワイヤーの新規な製造方法を開発した。そして,その製造方法により製造した有機化合物を用いた新規導電性ナノワイヤーは,下記特許文献1(WO03/076332号公報)に開示されている。この文献に開示される導電性ナノワイヤーは新規物質であるが,その物性は未知な部分があり,電子回路として用いられる以外の用途は必ずしも明確ではなかった。
WO03/076332号公報
半導体による電界効果トランジスタはよく知られるが,通常金属はトランジスタとして用いられない。一方,上記文献に開示される導電性ナノワイヤーの物性を測定したところ,そのバンド構造が金属類似であった。それゆえ,導電性ナノワイヤーは,トランジスタには向かないとも考えられた。しかしながら,この導電性ナノワイヤーを利用して,トランジスタを作製すると,トランジスタ特性を有することがわかった。このような有機伝導体系の有機化合物からなる導電性ナノワイヤーを用いたトランジスタはこれまで知られていない。よって,本発明は,これまでないトランジスタ,すなわち導電性ナノワイヤーを用いたトランジスタ,を提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,ソース電極,ドレイン電極及びゲート電極を具備し,前記ソース電極及びドレイン電極間が,導電性ナノワイヤーで連結されるトランジスタに関する。このようにソース電極及びドレイン電極間を導電性ナノワイヤーで連結したトランジスタは,意外にもトランジスタ特性を有するので,新規なトランジスタを提供できる。
本発明によれば,有機伝導体系の有機化合物からなる導電性ナノワイヤーを用いた新規なトランジスタを提供できる。このトランジスタは,通常状態でON状態となるので,エネルギー消費の面でデメリットがある。しかし,高伝導性で微小かつ新規なトランジスタとして,様々な用途が期待される。
図面を用いて本発明のトランジスタを具体的に説明する。図1は,本発明のトランジスタの概略構成図である。図1(A)は,本発明の第1の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図1(B)は,図1(A)のI-I断面図である。図1(B)に示されるように,この態様のトランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3間が導電性ナノワイヤー4で連結されるトランジスタである。そして,トランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3と,ゲート電極6との間に,絶縁層5を具備する構造を有している。なお,この態様のトランジスタは,ゲート電極6;絶縁層5;及びソース電極2,ドレイン電極3及び導電性ナノワイヤー4の順に搭載されている。
この態様のトランジスタは,図1(B)に示されるように,ゲート電極6の幅と絶縁層5の幅がほぼ同じ幅とされている。このようなトランジスタであれば,ゲート電極と絶縁層が一体となったものを基板として用い,電解によりソース電極及びドレイン電極間を導電性ナノワイヤーで連結することにより,製造できるので好ましい。
図2は,別の実施形態に係る本発明のトランジスタの概略構成図である。図2(A)は,本発明の第2の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図2(B)は,図2(A)のI-I断面図である。図2(B)に示されるように,この態様のトランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3間が導電性ナノワイヤー4で連結されるトランジスタである。そして,トランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3が,絶縁層5を介して,ゲート電極6を具備する構造を有している。この態様のトランジスタは,ゲート電極6が絶縁層5に埋もれており,ゲート電極の少なくとも二面以上が絶縁層で覆われている。また,ゲート電極6の幅は,ソース電極2及びドレイン電極3の最外部間よりも狭く構成されている。すなわち,ゲート電極6が,ソース電極2及びドレイン電極3の下部に存在しているが,ゲート電極6は,ソース電極2及びドレイン電極3をはみ出さないようにされている。なお,図2(B)では,トランジスタが基板7上に形成されているが,基板は任意の要素であり,なくても構わない。
図3は,別の実施形態に係る本発明のトランジスタの概略構成図である。図3(A)は,本発明の第3の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図3(B)は,図3(A)のI-I断面図である。図3(B)に示されるように,この態様のトランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3間が導電性ナノワイヤー4で連結されるトランジスタである。そして,トランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3が,絶縁層5を介して,ゲート電極6を具備する構造を有している。この態様のトランジスタは,ソース電極2,ドレイン電極及びゲート電極6が絶縁層5に埋もれており,ゲート電極の少なくとも二面以上が絶縁層で覆われている。また,ゲート電極の幅は,ソース電極及びドレイン電極をあわせた部分の幅よりも狭く構成されている。なお,図3(B)では,トランジスタが基板7上に形成されているが,基板は任意の要素であり,なくても構わない。
図4は,上記とは別の実施形態に係る本発明のトランジスタの概略構成図である。図4(A)は,本発明の第4の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図4(B)は,図4(A)のA−B断面図である。図4(B)に示されるように,この態様のトランジスタ1は,ソース電極2及びドレイン電極3間が導電性ナノワイヤー4で連結されるトランジスタである。そして,トランジスタ1は,ソース電極及びドレイン電極が,絶縁層5を介して,ゲート電極6を具備する構造を有している。この態様のトランジスタは,ゲート電極6および絶縁層5は導電性ナノワイヤー4の上を覆っている。また,ゲート電極の幅は,ソース電極及びドレイン電極をあわせた部分の幅と同じか,それよりも狭く構成されている。なお,図4(B)では,トランジスタが基板上に形成されているが,基板は任意の要素であり,なくても構わない。
トランジスタを構成するソース電極,ゲート電極,ドレイン電極の材質は同じでも異なっても構わない。これらの電極の材質として,金,白金,銅,グラファイトなど導電性の材質のものがあげられ,これらのうちでは,金,または白金がより好ましいが,特に限定されるものではない。
ソース電極2,及びドレイン電極3は,図1〜図4に示されるように,対向する2本の電極として構成されるものが好ましい。対向する2本の電極の一部が絶縁層で覆われたものや,互いの電極にもっとも近い面以外の面を絶縁層で覆うものであってもよい。そして,図1(A)及び図2(A)に示されるように,ソース電極とドレイン電極は,その途中又は先端部に,もう一方の電極方向へ向けた突起部(凸部)を有するものが好ましい。
図5は,ソース電極2及びドレイン電極3の突起部の例を示す図である。図5(A)は,先端部が互いに平行なものを示し,図5(B)は,突起部の先端部が先に行くほど細くなる形状を有するものを示し,図5(C)は,突起部の先端部が先に行くほど細くなる階段形状を有するものを示し,図5(D)は,先端部に複数のくし状突起を有する形状のものを示す。そして,図中4aは,ソース電極2及びドレイン電極3を連結する導電性ナノワイヤーを示し,4bは成長が足りずソース電極2及びドレイン電極3間を連結できなかったものを示す。これらの突起部の中では,図5(B)〜図5(D)の突起部が好ましく,図5(D)の突起部が特に好ましい。図5(A)の突起部では,平行する電極面全体から結晶が成長するので,結晶の成長が足りずソース電極2及びドレイン電極3間を連結できないか,トランジスタの特性を制御しにくいものが多くなる。一方,図5(B)や図5(C)の突起部では,幅が狭くなっている部分から結晶が成長するので,効果的にソース電極2及びドレイン電極3間を連結できる。一方,図5(D)の突起部では,複数本,好ましくは2本〜10本,より好ましくは3本〜7本のくし状突起部を有するので,いずれかのくし部から成長する結晶が十分に成長しなくても,ソース電極2及びドレイン電極3間を連結できることとなる。この複数の突起部は,たとえば図5(D)に示されるように同じ長さの突起を並列に設けたものでもよいし,長さの異なる突起を並列に設けたものでもよい。複数の突起間の間隔は,図5(D)に示されるように等間隔のものがあげられるが,中央に近づくほど間隔が狭くなるようにしてもよい。なお,ナノワイヤーは,複数の突起部の先端から成長し,電極間を連結するものが好ましい。さらに図5(B)や図5(C)のような先端部に複数の突起を設けたものであってもよい。電極の幅としては,0.5nm〜1cmが好ましく,0.5nm〜200nmあるいは1mm〜3mmであればより好ましい。電極の長さとしては,1nm〜25mmが好ましい。
ソース電極及びドレイン電極の間隔(最も近接した部分の距離)としては,1nm〜100μmがあげられ,1nm〜1μmであればより好ましく,1nm〜200nmであればさらに好ましいが,希望するナノワイヤーの長さに適するものであれば特に限定されるものではない。この間隔は,ナノワイヤーの物性などに応じて適宜調整すればよい。
ソース電極及びドレイン電極の間には,ナノワイヤーが存在し,ソース電極及びドレイン電極を連結する。ソース電極及びドレイン電極の間に,ひとつのナノワイヤーのみが存在するものでもよいし,複数のナノワイヤーが存在してもよい。また,いくつかのナノワイヤーが単独でソース電極及びドレイン電極の間を連結してもよいし,複数のナノワイヤーが連結した状態でソース電極及びドレイン電極を連結してもよい。
絶縁層としては,酸化ケイ素膜,金属酸化物の膜など公知の絶縁層があげられる。絶縁層の厚さとして,1nm〜5mmがあげられる。
これらのトランジスタは,ゲート電極に電圧を印加しない状態では,通常ONの状態となり,ソース電極2及びドレイン電極3間に電圧を印加すると電流が流れるが,閾値以上の電圧をゲート電極に印加するとOFFの状態となり,ソース電極2及びドレイン電極3間に電圧を印加しても電流が流れなくなる。
〔トランジスタの製造方法〕
本発明のトランジスタは,基本的にはWO03/076332号公報に開示された方法に従って製造すればよい。本発明においては,たとえば,基板上にソース電極やドレイン電極を形成する。電極を基板上に形成する方法としては,マスク蒸着法,フォトリソグラフィー法,および電子線リソグラフィー法およびこれらの方法を組合せた方法があげられるが,これらに限定されるものではない。
マスク蒸着法では,電極となるべき形状をくりぬいたマスクを基板にかぶせ,その上から金属膜を蒸着する。その後にマスクを基板から除去する。このようにして電極部分だけに金属膜が蒸着され,微小電極を作成することができる。
フォトリソグラフィー法による電極作成では,基板上に金属膜を形成する金属膜形成工程と,金属膜形成工程で蒸着された金属膜の上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と,レジスト層形成工程により形成されたレジスト層を所望のパターンに感光させる感光工程と,感光させたレジスト層を現像する現像工程と,現像により残ったレジスト層をマスクとして,金属膜をエッチングするエッチング工程とを含む。レジスト層を形成するレジストとしては,いわゆるフォトレジストであれば特に限定されるものではない。
電子線リソグラフィー法による電極作成では,基板上に金属膜を形成する金属膜形成工程と,金属膜形成工程で蒸着された金属膜の上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と,レジスト層形成工程により形成されたレジスト層を所望のパターンに電子線を照射する電子線照射工程と,電子線を照射したレジスト層を現像する現像工程と,現像により残ったレジスト層をマスクとして,金属膜をエッチングするエッチング工程とを含む。レジスト層を形成するレジストとしては,いわゆる電子線レジストであれば特に限定されるものではない。
〔導電性ナノワイヤーの製造方法〕
導電性ナノワイヤー(以下,単にナノワイヤーともいう)を製造する方法として,たとえばWO03/076332号公報に開示された電解装置を用いて行うことがあげられる。導電性ナノワイヤーを製造する際には,ナノワイヤーとなる物質(導電性ナノワイヤーを構成する分子など)を溶解させた溶液(電解液)を用いることが好ましい。導電性ナノワイヤーとなる物質を溶解させた電解液に上記電極を用いて電圧を印加する電解法により導電性ナノワイヤーを製造することが好ましい。本発明においては,電極間が微小であり微小な導電性ナノワイヤー(針状結晶や棒状結晶など)を製造することができる。従来の超高真空中での分子蒸着法や分子ビーム法などでは, 導電性ナノワイヤーを製造する際に分子間に例えば水素結合などの相互作用を起こす官能基などを導入しなければならなかった。また,得られたナノワイヤーも閉殻構造をもつ分子の集合体であり,HOMOに2電子が詰まっている結果電荷移動が起こりにくく伝導性・導電性のないナノワイヤー(絶縁体)しか得られなかった。しかしながら,本発明の電解結晶成長法(電解法)では,閉殻分子のHOMOの一部,あるいは全部から電子が抜き取られ,ナノワイヤーの一部,あるいは全部がSOMOとなった状態を作り出すことができる。本発明では,電界中で針状結晶などを成長させることにより,電荷移動相互作用を利用して導電性ナノワイヤーを成長させることができるのである。その結果,本発明では,導電性・伝導性のあるナノワイヤーを得ることができるのである。
導電性ナノワイヤーは,たとえばソース電極とドレイン電極とを連結するように製造される。より具体的には,図5(D)に示されるような,両電極の対向する突起部を連結するように,導電性ナノワイヤーが形成される。導電性ナノワイヤーとして,有機化合物の結晶を含むものがあげられ,より具体的には,有機化合物錯体の単結晶,又は有機化合物の単結晶からなるものがあげられる。これらの結晶は,導電性を有するものがあげられる。前記有機化合物の結晶として,dmit錯体類;若しくは,TTT(テトラチオテトラセン)類,TTF(テトラチアフルバレン)誘導体,ポルフィリン誘導体,ポルフィリン誘導体,フタロシアニン誘導体,フタロシアニン誘導体,又はこれらの錯体の結晶があげられ,より具体的には,有機化合物の結晶が,ペリレン・[M(mnt)2](Mは金属を示し,mntはマロノニトリルジチオラートを示す。),TTF・Xn(TTFはテトラチアフルバレンを示し,XはCl又は Brを示す。),(NO2)0.1・TCNQ(TCNQはテトラシアノキノジメタンを示す。),Cu・TCNQ,(フルオランテン)2・PF6,(TMTSF)2・X(TMTSFはテトラメチルテトラセレナフルバレンを示し,Xはアニオンを示す。),(BEDT-TTF)2・I3,(BEDT-TTF)3・(Cl・H20)2,(BEDT-TTF)2・Cu(NCS)2,TMA・[Ni(dmit)2]2(TMAはテトラメチルアンモニウムを示し,dmitはジチオールチオンジチオラート,Catx[M(Pc)L2y(Catはカチオン,Mは金属を示し,Lは軸配位子を示し,Pcはフタロシアニンを示し,x, yは0以上の数を示す。)の部分酸化塩結晶であるものがあげられ,Catx[M(Pc)L2y の部分酸化塩結晶として,TPP・[Co(Pc)(CN)2]2結晶であるものがあげられる。
ナノワイヤーとなる物質としては,有機化合物,好ましくは有機伝導体となる有機化合物があげられるが,電解法によって導電体を形成する化合物が好ましい。有機伝導体としては,π電子を持つ有機化合物があげられる。なお,本明細書において,有機化合物には,有機イオンと無機イオンの塩,あるいは異種の電荷を持つ複数種の有機イオンからなる塩なども含む。ナノワイヤーの材料となる有機化合物として,TTT類,TTF誘導体,dmit錯体類,ポルフィリン誘導体又はポルフィリン誘導体との錯体類,フタロシアニン誘導体又はフタロシアニン誘導体との錯体類などがあげられる。
TTF誘導体として,下記一般式(I)で示される誘導体のほか,下記一般式(II)で示されるBEDT-TTF誘導体,及び下記一般式(III)で示されるBMDT-TTF誘導体があげられる。
(I)
式(I)中,R1〜R4は,それぞれ同一又は異なってもよく,水素原子,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルケニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルキニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルコキシ基置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルチオ基又は置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルスルホニル基を示し,
置換基群Aは,ハロゲン;ヒドロキシ基;カルボキシル基;シアノ基;ハロゲン,及びヒドロキシ基からなる群を示すか;又は
R1及びR2;又はR3及びR4のいずれか又は両方が,連結して置換基郡Aから選択される置換基を1又は2以上有してもよい飽和又は不飽和の5員環〜8員環を示す。
なお,式(I)における置換基がかさ高いと,式(I)で示される化合物の平面性が損なわれ,複数の分子が重なり合うことが困難となる。そのような観点から,式(I)に示される化合物として,無置換又は,R1〜R4が同一又は異なってもよく,水素原子,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基, C1−C4アルキル基,C2−C4アルケニル基,C2−C4アルキニル基,C1−C4アルコキシ基,C1−C4アルキルチオ基又はC1−C4アルキルスルホニル基を示すか,R1及びR2;又はR3及びR4のいずれか又は両方が,連結して飽和又は不飽和の5員環〜8員環を示すものが好ましい。
(II)
式(II)は,BEDT-TTF誘導体を示し,式(II)中,R1〜R8は,それぞれ同一又は異なってもよく,水素原子,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルケニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルキニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルコキシ基置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルチオ基又は置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルスルホニル基を示し,
置換基群Aは,ハロゲン;ヒドロキシ基;カルボキシル基;シアノ基;ハロゲン,及びヒドロキシ基からなる群を示すか;又は
R1, R2及びR3,R4;又はR5, R6及びR7, R8のいずれか又は両方が,連結して置換基郡Aから選択される置換基を1又は2以上有してもよい飽和又は不飽和の5員環〜8員環を示す。
なお,式(II)における置換基がかさ高いと,式(II)で示される化合物の平面性が損なわれ,複数の分子が重なり合うことが困難となる。そのような観点から,式(II)に示される化合物として,無置換又は,R1〜R8が同一又は異なってもよく,水素原子,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基, C1−C4アルキル基,C2−C4アルケニル基,C2−C4アルキニル基,C1−C4アルコキシ基,C1−C4アルキルチオ基又はC1−C4アルキルスルホニル基を示すか,R1, R2及びR3,R4;又はR5, R6及びR7, R8のいずれか又は両方が,連結して飽和又は不飽和の5員環〜8員環を示すものが好ましい。
(III)
式(III)は,BMDT-TTF誘導体を示し,式(III)中,R5〜R6は,それぞれ同一又は異なってもよく,水素原子,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルケニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルキニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルコキシ基置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルチオ基又は置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルスルホニル基を示し,
置換基群Aは,ハロゲン;ヒドロキシ基;カルボキシル基;シアノ基;ハロゲン,及びヒドロキシ基からなる群を示す。
なお,TTF誘導体として,上記一般式(I)〜(III)において,1又は複数のSがO又はSe又はTeに置換されたものがあげられる。このような置換体の例として,式(I)の2位及び5位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(I)の2位,5位,2’位及び5’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの;式(II)の2位及び9位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(II)の2位,9位,2’位及び9’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(II)の2位,4位,7位,9位,2’位及び9’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(II)の2位,4位,7位,9位,2’位,4’位,7’位,及び9’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(II)の4位及び7位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの;又は式(III)の2位及び8位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(III)の2位,8位,2’位及び8’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(III)の2位,4位,6位,8位,2’位及び8’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(III)の2位,4位,6位,8位,2’位,4’位,6’位,及び8’位のSがO又はSe又はTeに置換されたもの,式(III)の4位及び6位のSがO又はSe又はTeに置換されたものがあげられる。
具体的なTTF誘導体として,ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン (BEDT-TTF) ,ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン-d8:(BEDT-TTF-d8),ビス(メチレンジチオ)テトラチアフルバレン:(BMDT-TTF),ビス(トリメチレンジチオ)テトラチアフルバレン:(BPDT-TTF),4,4’-ジメチレンテトラチアフルバレン: (SDM-TTF) ,テトラキス(メチルチオ)テトラチアフルバレン: (TMT-TTF) ,テトラキス(n-ぺネチルチオ)テトラチアフルバレン: (TPT-TTF) ,テトラチアフルバレン (TTF),テトラチアフルバレン-d4[Tetrathiafulvalene-d4]: (TTF-d4)があげられる。なお,TTF誘導体のS置換体として,上記した具体的なTTF誘導体のTTF骨格の1〜4個のSが,Se又はO又はTeに置換されたものがあげられ,好ましくは2個又は4個のSがSe又はTeに置換されたものである。
dmit錯体類は,以下の一般式(IV)で示される錯体類である。
(IV)
上記一般式(IV)において,Mは,金属を示す。dmit錯体類には,上記一般式(IV)において,1つ又は2つ以上のSがO又はSe又はTeに置換されたものも含まれる。このようなdmit錯体類のS置換体として,Se又はTe置換体があげられるが,無置換のものが好ましい。dmit錯体類の代表的なものは,1,2-ジチオレン金属錯体である。また,Mは,通常金属イオンとして錯体を形成するものであり,Ni,Pd,Pt,Cu又はAuなどがあげられるが,好ましくはNi,Pd又はPtである。
TTT類として,下記一般式で示される誘導体があげられる。
(V)
TTT類には,上記一般式(V)において,R1〜Rは,式(I)において説明したものでもよく,好ましくはR1及びR2;又はR3及び R4がそれぞれ水素原子であるものか,又は,あるいはR1- R2位又はR3- R4位を通してベンゼン環が連なる共役構造を形成したものも含まれる。また,上記一般式(V)において,1つ又は2つ以上のSがO又はSe又はTeに置換されたものも含まれる。ジチオ架橋部位が任意の隣り合うベンゼン環に結合したものも含まれる。
ポルフィリン誘導体として,無置換又はポルフィリン環の外部にある水素原子が1つ又は2つ以上;以下のいずれかの置換基により置換されたものがあげられる。ポルフィリン誘導体における置換基として,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルケニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルキニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルコキシ基置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルチオ基又は置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルスルホニル基を示し,置換基群Aは,ハロゲン;ヒドロキシ基;カルボキシル基;シアノ基;ハロゲン,及びヒドロキシ基からなる群を示すものがあげられる。
ポルフィリン誘導体との錯体類として,上記ポルフィリン誘導体と,Zn, Ni, Fe, Cu, Mg, Co,又はGeとの錯体があげられる。
フタロシアニン誘導体として,無置換又はフタロシアニン環の外部にある水素原子が1つ又は2つ以上;以下のいずれかの置換基により置換されたものがあげられる。ポルフィリン誘導体における置換基として,ハロゲン,ヒドロキシ基,カルボキシル基,シアノ基,カルバモイル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルケニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC2−C4アルキニル基,置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルコキシ基置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルチオ基又は置換基群Aから選択される置換基を有しても良いC1−C4アルキルスルホニル基を示し,置換基群Aは,ハロゲン;ヒドロキシ基;カルボキシル基;シアノ基;ハロゲン,及びヒドロキシ基からなる群を示すものがあげられる。
フタロシアニン誘導体との錯体類として,上記フタロシアニン誘導体とCoなどの金属との錯体があげられ,Catx[M(Pc)L2y(Catはカチオンを示し,Mは金属を示し,Lは軸配位子を示し,Pcはフタロシアニンを示し,x, yは0以上の数を示す)の部分酸化塩結晶であるものが好ましい。xとyとの組合わせはカチオンとアニオンの荷数などにより変化する任意の数であり,いずれか又は両方が整数でなくてもよく,具体的なxとyとの組み合わせとしてx,y共に1のものがあげられる。カチオンCatとして,公知のカチオンがあげられるが,テトラフェニルホスホニウム,テトラメチルアンモニウム,ペリキサンテノキサンテンラジカル,TTFラジカルなどがあげられ,好ましくはテトラフェニルホスホニウムである。Catx[M(Pc)L2yのMに相当する金属として,Co, Ni, Cu, Fe, Sn, Mn, Ru, Cr, Pb, Pt, Al, V 又はAuなどがあげられるが,これらの中ではCo, Ni, Cu, Fe, Sn, Mn, Ru, Cr, Pb, Pt, Al, Vが好ましく,Coがより好ましい。また,Catx[M(Pc)L2yを構成する配位子Lとして,CN, Cl, O, OH, NH3,HNO3,CO, H2O,Br,I,PMe3,CF3,C2O4があげられるが,CN, Cl, O, OH, NH3が好ましく,CNがより好ましい。Catx[M(Pc)L2yの部分酸化塩結晶として,具体的には,TPP・[Co(Pc)(CN) 2]2(テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニン)があげられる。
本明細書において“Cm-Cn”とは,炭素数がm個〜n個のいずれかであることを意味する。
“アルキル基”とは,直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素から水素が1原子失われて生ずる1価の基をいう。C1−C4アルキル基として,メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基及びtert-ブチル基があげられる。
“アルケニル基”とは,二重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素から水素が1原子失われて生ずる1価の基をいう。C2−C6アルケニル基として,エテニル基,1-プロペニル基,2-プロペニル基,2-メチル-1-プロペニル基,1-ブテニル基,2-ブテニル基,3-ブテニル基,3-メチル-2-ブテニル基,1-ペンテニル基,2-ペンテニル基,3-ペンテニル基,4-ペンテニル基,及び1-ヘキセニル基があげられる。C2−C4アルケニル基として,エテニル基,1-プロペニル基,2-プロペニル基,2-メチル-1-プロペニル基,1-ブテニル基,2-ブテニル基,及び3-ブテニル基があげられる。
“アルキニル基”とは,三重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素から水素が1原子失われて生ずる1価の基をいう。C2−C6アルキニル基として,エチニル基,1-プロピニル基,2-プロピニル基,2-メチル-1-プロピニル基,1-ブチニル基,2-ブチニル基,3-ブチニル基,3-メチル-2-ブチニル基,1-ペンチニル基,2-ペンチニル基,3-ペンチニル基,4-ペンチニル基,及び1-ヘキシニル基があげられる。C2−C4アルキニル基として,エテニル基,1-プロペニル基,2-プロペニル基,2-メチル-1-プロペニル基,1-ブテニル基,2-ブテニル基,及び3-ブテニル基があげられる。
“アルコキシ基”とは,直鎖状又は分枝鎖状のアルコール類の水酸基から水素原子が失われて生ずる1価の基をいう。C1−C4アルコキシ基として,メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,イソプロポキシ基,ブトキシ基,イソブトキシ基,sec-ブトキシ基,及びtert-ブトキシ基があげられる。
“アルキルチオ基”とは,アルコキシ基の酸素が硫黄に置き換わった基である。C1−C4アルキルチオ基として,メチルチオ基,エチルチオ基,プロピルチオ基,イソプロピルチオ基,ブチルチオ基,イソブチルチオ基,sec-ブチルチオ基,及びtert-ブチルチオ基があげられる。
“アルキルスルホニル基”とは,アルキル基の1つの水素原子がスルホニル基により置換された1価の基をいう。C1−C4アルキルスルホニル基として,メチルスルホニル基,エチルスルホニル基,プロピルスルホニル基,イソプロピルスルホニル基,ブチルスルホニル基,イソブチルスルホニル基,sec-ブチルスルホニル基及びtert-ブチルスルホニル基があげられる。
“ハロゲン”として,フッ素,塩素,臭素,及びヨウ素があげられる。
“飽和又は不飽和の5員環〜8員環”として,フラン,チオフェン,ピロール,2H-ピロール,オキサゾール,イソオキサゾール,チアゾール,イソチアゾール,イミダゾール,ピラゾール,フラザン,ピラン,ピリジン,ピリダジン,ピリミジン,ピラジン,シクロペンタン,シクロヘキサン,シクロヘプタン,シクロオクタン,チオラン,チオアン,チオパン,チオカン,ジチオラン,ジチオアン,ジチオパン,又はジチオカンなどがあげられる
ナノワイヤーとなる物質を溶解する溶媒としては,有機溶剤があげられ,これらの中でも,アセトニトリル,アセトン,アルコール類,ベンゼン,ハロゲン化ベンゼン,1-クロロナフタレン,ジメチルスルホキシド,N,N-ジメチルホルムアミド,テトラヒドロフラン,ニトロベンゼン,ピリジンなどが好ましく,アセトニトリル,アセトン,エタノール,メタノールがより好ましく,アセトン,アセトニトリルが更に好ましい。有機溶剤の割合としては,例えば,ナノワイヤーとなる物質を飽和させたものがあげられるが,特に限定されるものではない。
ナノワイヤーが(ペリレン)・[M(mnt)]又は(フルオランテン)・PFの場合には溶媒はCHClが特に好ましく,ナノワイヤーがTTF・X,(NO0.1・TCNQ,Cu・TCNQの場合にはアセトニトリルが特に好ましく,ナノワイヤーがCat[M(Pc)L の場合にはアセトン,アセトニトリルが特に好ましい。このような原材料と溶媒の組み合わせを用いると効果的に導電性ナノワイヤーを製造でき,その結果効果的にトランジスターを製造できることとなる。すなわち,本発明によれば,効果的なトランジスタの製造方法をも提供できる。
電解などによりナノワイヤーを製造する際には,通常原料を含む溶液(電解液)を用いる。この溶液における,導電性ナノワイヤーとなる物質の濃度として,任意の濃度があげられるが,0.1重量%〜90重量%があげられ,好ましくは1重量%〜50重量%であり,さらに好ましくは10重量%〜40重量%又は20重量%〜30重量%である。電解液の温度としては,-30°C〜200°Cが好ましく,-30°C〜120°Cであればより好ましく,15°C〜30°Cであれば特に好ましいが,電解液が沸騰あるいは凝固していないものが好ましい。
電極に流される電流としては,直流電流でも交流電流でもよいが,交流電流が好ましい。電極に流される電流としては,1nA〜1mAが好ましく,100nA〜10μAであればより好ましい。電極間の電位差としては,10mV〜20Vが好ましく,1V〜5Vであればより好ましく,2V〜3Vであれば特に好ましい。交流電流の場合には,周波数1mHz〜1kHzが好ましく,500mHz〜10Hzがより好ましい。また,交流電流の場合には,波形は正弦波,方形波,ノコギリ波などがあげられるが,正弦波,方形波が好ましく,方形波が特に好ましい。交流電流の場合の振幅には,10mV〜20Vが好ましく,1V〜5Vであればより好ましく,2.5V〜5Vが特に好ましい。電圧又は電流を印加する時間としては,例えば10日以下があげられ,0.001秒から10日が好ましく,1秒から2日であればより好ましいが,得ようとするナノワイヤーの大きさ,種類,印加する電流,印加する電圧などにより適当な時間とすればよい。
〔導電性ナノワイヤー〕
導電性ナノワイヤーとしては,針状結晶などの導電性ナノワイヤーがあげられる。本明細書において導電性ナノワイヤーとは,分子が規則的に整列した,幅分子1個分〜1μm,長さ分子2個分以上の針状又は線状物質であって,導電性を有する物質のことを指す。
導電性ナノワイヤーの直径(最大幅)としては,1nmから1μmがあげられ,1nm〜200nmであればより好ましい。導電性ナノワイヤーの長さとしては,10nm〜100μmがあげられる。本発明のナノワイヤーとしては,長軸lと短軸sの比(l/s)が,1以上であれば好ましく,2以上であればより好ましい。
特に,導電性ナノワイヤーを構成する分子(結晶)が1列〜100列規則正しく並んだ単位が繰り返され導電性ナノワイヤーを構成しているものが好ましく,分子が1列〜50列であればより好ましく,分子が1列〜20列であれば更に好ましく,分子が1,2,3,4,または5列であれば特に好ましい。針状結晶は,ある程度湾曲したワイヤー状のものでもよい。電気分解による酸化還元反応を利用するため,微小ナノワイヤー自体に導電性を付与することが可能となる。すなわち,従来の微小ナノワイヤーのような閉殻構造を持たないために,ナノワイヤーを構成する分子間で電子の移動が起こりやすくなるため高い導電性を有することが可能となるのである。
導電性ナノワイヤーの伝導度としては,要求される導電性ナノワイヤーなどに応じて制御することが好ましいが,一般的には,1S・cm-1以上超伝導体以下のものが好ましく,10S・cm-1以上超伝導体以下であればより好ましく,100S・cm-1以上超伝導体以下であればより好ましく,500S・cm-1以上超伝導体以下であれば特に好ましいが,伝導度は,1×10100S・cm-1以下であっても,1×1010S・cm-1以下でもよく,その用途に応じて好ましい伝導度が選択される。
導電性ナノワイヤーの形状としては,針状,線状,柱状,円柱状,ブロック状が好ましいが,分子が規則的に整列したものであれば特に限定されるものではない。
導電性ナノワイヤーは基板上に成長することが好ましく,電極上,電極周囲に成長することがより好ましく,電極間,とくにギャップ部に成長することが特に好ましい。電極間又はギャップ部に導電性ナノワイヤーを成長させるためには電気分解を行うのが好ましい。電気分解時の電流には直流電流又は交流電流が好ましく,交流電流が特に好ましい。電解セルは成長期間中,静置されていることが好ましい。
電解などで得られた結晶は,そのまま導電性ナノワイヤーとしても良い。得られた結晶をさらに束ねて導電性ナノワイヤーとしても良いし,得られた結晶をカップリング処理し,例えば導電性フィラー用に処理して導電性ナノワイヤーとしてもよい。
〔製造例1:マイクロ間隔電極の製造〕
WO03/076332号公報に開示された電解装置を用いて,電解法に用いる電極を酸化膜付きシリコン基板上に製造した。30×10mmの酸化膜付きシリコン基板を用意し,基板上に白金を蒸着した。フォトレジスト剤S1818(シプレイ・ファーイースト(株)製)を白金を蒸着した基板上にスピンコート塗布した。スピンコーターの回転数は,5000rpmで,90秒間回転塗布を行った。110℃で2分間乾燥して塗膜を形成した。フォトレジスト剤を塗布した基板に電極の形のマスクを通して,水銀灯光源のマスクアライナーを用いて露光した。Microposit Developer MF319(シプレイ・ファーイースト(株)製)を用いて60秒間現像を行った。この際,非露光部分は完全に溶解した。ついで純水を用いて洗浄を行った。その後,ドライエッチング装置(サムコ 株式会社RIE-10NR)を用いてエッチングを行った。その後,剥離液に浸し,マスクを基板から除去した。このようにして,酸化膜付きシリコン基板上に白金電極を形成した。それぞれの電極の幅は,1mm,それぞれの電極の長さは,2.0cm〜2.3cm,電極の間隔は20μmであった。
〔製造例2:ナノ間隔電極の製造〕
WO03/076332号公報に開示された電解装置を用いて,電解法に用いる電極を酸化膜付きシリコン基板上に製造した。30×10mmの酸化膜付きシリコン基板を用意し,電子線レジストとしてZEP52A(日本ゼオン(株)製)を,スピンコーターを用いて塗布した。乾燥後,電子線リソグラフィ装置ELS-7700(エリオニクス)で先端部分を露光した。露光後,電子線レジストの現像処理を行った。現像後,スパッタ装置でチタンを5nm蒸着後,金を100nm蒸着した。電子線レジストを剥離後,フォトレジストS1818(シプレイ・ファーイースト(株)製)を塗布,乾燥後,露光,現像し,再度チタンを5nm蒸着後,金を100nm蒸着した。剥離液に浸してフォトレジスト剤を剥離した。このようにして,電極を作成した。
電極の突起部の形状は図5(B)及び図5(D)のような形状のものをそれぞれ作成した。
電解液保持部にTPP・[Co(Pc)(CN)2]5mg,アセトニトリル14mlを加え溶解させたところ,溶け残りのある飽和電解液となった。基板差し込み部に電極基板を挿入しパテを用いて電極基板を定位置に固定した。電極の上部と電解セルの銅線の間に金線を渡し,銀ペーストで固定した。基板保持部を電解液保持部と結合させた後,銅線にデジタルマルチメータを接続した。電極に2.5Vの電圧を掛け,3分間静置した。この際の溶解液の温度は,23℃であった。このようにして得られたナノワイヤーは,長さ100nm〜20μm,幅は50nm〜3μmの柱状であった。得られたトランジスタのSEM像(写真)を図6に示す。図6に示されるように,本実施例で得られたトランジスタは,ソース電極とドレイン電極(図の左右の突起部)が,それぞれから成長した複数のナノワイヤーで連結されていることがわかる。
[試験例1]
実施例1で製造されたトランジスタについて,その電子特性を測定した。その結果を図7に示す。図7は,実施例1で製造されたトランジスタのトランジスタ特性を示すグラフである。横軸は電圧(Voltage)を示し,縦軸は電流(μA)を示す。図7から,ソース・ドレイン間電圧が-3Vにおいてゲート電圧0Vと5VでのON/OFF比が約80と優れたトランジスタ特性を有することがわかる。
本発明のトランジスタは,新規トランジスタとして,微小機械の電気回路などにおいて利用されうる。
図1は,本発明のトランジスタの概略構成図である。図1(A)は,本発明の第1の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図1(B)は,図1(A)のI-I断面図である。 図2は,上記とは別の実施形態に係る本発明のトランジスタの概略構成図である。図2(A)は,本発明の第2の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図2(B)は,図2(A)のI-I断面図である。 図3は,上記とは別の実施形態に係る本発明のトランジスタの概略構成図である。図3(A)は,本発明の第3の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図3(B)は,図3(A)のI-I断面図である。 図4は,上記とは別の実施形態に係る本発明のトランジスタの概略構成図である。図4(A)は,本発明の第4の実施形態に係るトランジスタの正面図である。図4(B)は,図4(A)のI-I断面図である。 図5は,ソース電極及びドレイン電極の突起部の例を示す図である。図5(A)は,先端部が互に平行なものを示し,図5(B)は,突起部の先端部が先に行くほど細くなる形状を有するものを示し,図5(C)は,突起部の先端部が先に行くほど細くなる階段形状を有するものを示し,図5(D)は,先端部に複数のくし状突起を有する形状のものを示す。 図6は実施例1で製造されたトランジスタの図面に代わるSEM像である。 図7は,実施例1で製造されたトランジスタのトランジスタ特性を示すグラフである。
符号の説明
1 トランジスタ
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 導電性ナノワイヤー
5 絶縁層
6 ゲート電極
7 基板

Claims (10)

  1. ソース電極,ドレイン電極及びゲート電極を具備し,
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極は,それぞれ対向する突起部を有し,
    前記突起部は,先端部に複数のくし状突起部を有するものであって,
    前記ソース電極及びドレイン電極の前記複数のくし状突起部が,導電性ナノワイヤーで連結されるトランジスタ。
  2. 前記ソース電極及びドレイン電極と,ゲート電極との間に,絶縁層を具備する請求項1に記載のトランジスタ。
  3. 前記ソース電極及びドレイン電極の前記複数のくし状突起部の最も近接した部位の距離が,1nm〜100μmである請求項1に記載のトランジスタ。
  4. 前記導電性ナノワイヤーの幅が構成分子1個分〜1μmであり,前記導電性ナノワイヤーの長さが1nm〜500μmである請求項1に記載のトランジスタ。
  5. 前記導電性ナノワイヤーの伝導度が1S・cm−1以上である請求項1に記載のトランジスタ。
  6. 前記導電性ナノワイヤーが,有機化合物の結晶を含む請求項1に記載のトランジスタ。
  7. 前記導電性ナノワイヤーが,有機化合物錯体の単結晶,又は有機化合物の単結晶からなる,請求項1に記載のトランジスタ。
  8. 前記有機化合物の結晶が,テトラチオテトラセン類,dmit錯体類,若しくは,テトラチアフルバレン誘導体,ポルフィリン誘導体,フタロシアニン誘導体,又はこれらの錯体により構成される請求項6に記載のトランジスタ。
  9. 前記有機化合物の結晶が,Cat[M(Pc)L(Catはカチオン,Mは金属を示し,Lは軸配位子を示し,Pcはフタロシアニンを示し,x,yは0以上の数を示す。)の部分酸化塩結晶である請求項6に記載のトランジスタ。
  10. 前記Catx[M(Pc)Lの部分酸化塩結晶が,テトラフェニルホスホニウム・[Co(Pc)(CN)結晶である請求項9に記載のトランジスタ。
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