JP5007579B2 - ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、エンジンおよびモータジェネレータにより駆動力を得るハイブリッド車両のエンジン始動制御装置に関する。
従来ハイブリッド車両においては、モータのみで走行するEVモード時でアクセルを踏み込んだ際、変速機に接続するクラッチを解放して伝達トルクを遮断することで、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避している(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−82260号公報
ここで、エンジン始動時のアクセルの踏み込み量が大きい場合、駆動力を確保するためにエンジン始動とともにダウンシフトを行い、運転者の要求駆動力を速やかに達成することが望ましい。その際、エンジン始動後にダウンシフトを行うと、ダウンシフトの変速制御を行う時間分、アクセル応答が遅れることになる。一方、ダウンシフト完了後にエンジンを始動する場合、エンジン始動が遅れてしまう。
そのためEVモード時にアクセルを大きく踏み込んだ際は、エンジン始動とダウンシフトを同時に行えば、エンジン始動応答と駆動力応答がともに向上することになる。
しかしながら上記従来技術にあっては、エンジン始動時における変速動作についての記載がなく、EV走行時にアクセルが大きく踏み込まれた際、エンジン始動とダウンシフトのいずれかを先に行うか、または同時に行うかについては不明である。
したがって、エンジン始動後にダウンシフトが行われる可能性を排除することはできず、エンジン始動とダウンシフトを同時に行って駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立させることができなかった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立したハイブリッド車両のエンジン始動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、EVモードで走行中にアクセル踏み込みに伴いエンジン始動指示および変速指示が出力されたと判定したときには、変速機のダウンシフト中にエンジンを始動するものであり、前記ダウンシフトを実行中は前記モータジェネレータの目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定して、フィードバック制御により、前記モータジェネレータの回転数を制御するとともに、前記モータジェネレータの目標回転数と実回転数との偏差に基づき演算された前記モータジェネレータの発生トルクが、前記エンジンの発生トルクよりも小さいときには、前記エンジンの発生トルクを低下させることとした。

よって、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立したハイブリッド車両のエンジン始動制御装置を提供できる。
以下、本発明のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
[システム構成]
図1は本願ハイブリッド車両のシステム図である。本願ハイブリッド車両は、エンジンE、モータジェネレータMG、始動クラッチCL1、自動変速機AT、左後輪RL(駆動輪)、右後輪RR(駆動輪)を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
エンジンEはガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
始動クラッチCL1はエンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装され、始動クラッチコントローラ5からの制御指令に基づき始動クラッチ油圧ユニット6によって締結・開放制御される。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、出力軸であるロータは、自動変速機ATの入力軸INに連結されている。駆動の際はモータコントローラ2からの制御指令に基づき、パワーコントロールユニット3のインバータ3Aによって制御される。
このモータジェネレータMGは、バッテリ4(蓄電装置)からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として機能する。また、外力により回転している際には発電機として機能し、バッテリ4を充電することも可能である。
パワーコントロールユニット3は、インバータ3、強電回路3b、DC/DCコンバータ3cから構成される。インバータ3は半導体スイッチング素子であり、バッテリ4の直流を三相交流に変換してモータジェネレータMGへ出力するとともに、モータジェネレータMGからの三相交流を直流に変換してバッテリ4へ出力する。
強電回路3bは、バッテリ4、インバータ3、DC/DCコンバータ3cとの間に配設され、内部に備えたリレーにより電力の流通を遮断する。DC/DCコンバータ3cは、バッテリ4の電圧を降圧して補機バッテリ25(照明、表示、補機類等の電源)に電力を供給する。

自動変速機ATは車速やアクセル開度等に応じて変速段を自動的に変更する有段変速機であり、入力軸INを介してモータジェネレータMGのロータと接続し、出力軸OUTを介して左右後輪RL,RRに接続する。
[走行モード]
本願ハイブリッド車両は始動クラッチCL1の締結・開放状態に応じてEVモード(モータジェネレータMGの駆動力のみで走行)、およびHEVモード(モータジェネレータMGおよびエンジンEの駆動力を併用)の2走行モードを有する。
(EVモード)
始動クラッチCL1が開放状態にある場合、エンジンEの駆動力は自動変速機ATには伝達されず、車両はモータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するEVモードとなる。
(HEVモード)
始動クラッチCL1が締結状態にある場合、エンジンEの駆動力は始動クラッチCL1およびモータジェネレータMGを介して自動変速機AT内の締結要素(各クラッチC1〜C3、各ブレーキB1〜B4)に伝達され、モータジェネレータMGに加えてエンジンEの駆動力を併用するHEVモードとなる。
なお、HEVモードにあっては、モータジェネレータMGが発生する駆動力T(MG)の大小および符号によってさらにモードが細分化される。
(エンジン走行モード)
駆動力T(MG)がゼロであればエンジンEの駆動力によってのみ走行するエンジン走行モードとなる。
(モータアシスト走行モード)
モータジェネレータMGから自動変速機ATに入力される駆動力T(MG)が正の値であれば、モータジェネレータMGとエンジンEの駆動力を併用して走行するモータアシスト走行モードとなる。
(走行発電モード)
モータジェネレータMGから自動変速機ATに入力される駆動力T(MG)が負の値、すなわちモータジェネレータMGがトルクを発生せずエンジンEまたは車両イナーシャによって回され、外部のトルクを消費している場合、モータジェネレータMGは発電機として機能する。これによりバッテリ4を充電する。
車両が加速状態または定速走行状態にあればモータジェネレータMGはエンジンEによって回され、車両が減速状態にあればモータジェネレータMGは車両イナーシャによって回され、発電を行う。
[制御構成]
本願ハイブリッド車両はエンジンコントローラ1、モータコントローラ2、パワーコントロールユニット3、バッテリ4、ATコントローラ7、統合コントローラ10を有し、それぞれ情報交換可能なCAN通信線11を介して接続されている。
エンジンコントローラ1にはエンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報が入力され、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じてエンジン動作点(Ne:エンジン回転数,Te:エンジントルク)を制御する。エンジン回転数NeはCAN通信線11を介して統合コントローラ10へ出力される。
モータコントローラ2はモータジェネレータMGのロータ回転位置(レゾルバ13により検出)、および目標モータジェネレータトルク指令(統合コントローラ10において演算)等に基づき、モータジェネレータMGのモータ動作点(モータジェネレータ回転数N、モータジェネレータトルクTMG)を制御する指令をパワーコントロールユニット3へ出力する。
また、モータコントローラ2はバッテリ4の充電状態を示すバッテリSOCを監視する。このバッテリSOCはモータジェネレータMGの制御情報に用いられるとともに、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16、車速センサ17と自動変速機ATに設けられた油圧センサ18からのセンサ情報、および統合コントローラ10からの始動クラッチ制御指令に基づき、始動クラッチCL1の締結・開放制御指令を自動変速機ATに出力する。なお、アクセル開度APOと車速VSPの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
統合コントローラ10は車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うものである。モータ回転数センサ21、始動クラッチ出力回転数センサ22、始動クラッチトルクセンサ23からそれぞれモータ回転数Nm、始動クラッチ出力回転数N2ouT、始動クラッチトルクが入力されるとともに、CAN通信線11を介して得られた情報が入力される。
これらの入力情報に基づき、統合コントローラ10はエンジンコントローラ1、モータコントローラ2、始動クラッチコントローラ5、およびATコントローラ7へ指令を出力し、それぞれエンジンE、モータジェネレータMG、始動クラッチCL1、変速機ATを制御する。
[自動変速機の構成]
図2は自動変速機ATのスケルトン図である。自動変速機ATは、回転要素としてフロント、ミッド、リアのプラネタリーギアG1,G2,G3を有する。各プラネタリーギアG1,G2、G3はそれぞれ回転要素としてサンギアS1,S2,S3、キャリアPC1,PC2,PC3、リングギアR1,R2,R3を有する。
なお、INはモータジェネレータMGのみ、または、エンジンE及びモータジェネレータMGからダンパーを介して回転駆動トルクが入力されるインプットシャフトであり、OUTは自動変速機ATを経過して左右後輪RL,RRに回転駆動トルクを出力するアウトプットシャフトである。
前進5速後退1速の変速段を決める締結要素として、インプットクラッチC1と、ハイ&ローリバースクラッチC2と、ダイレクトクラッチC3と、リバースブレーキB1と、フロントブレーキB2と、ローコーストブレーキB3と、フォワードブレーキB4と、ファーストワンウェイクラッチF1と、サードワンウェイクラッチF2と、フォワードワンウェイクラッチF3と、を備えている。
インプットクラッチC1は、開放時にフロントリングギアR1をインプットシャフトINに接続し、締結時にフロントリングギアR1とミッドリングギアR2とをインプットシャフトINに接続する。ハイ&ローリバースクラッチC2は、締結によりミッドサンギアS2とリアサンギアS3とを接続する。ダイレクトクラッチC3は、締結によりリアサンギアS3とリアキャリアPC3を接続する。
リバースブレーキB1は、締結によりリアキャリアPC3をトランスミッションケースTCに固定する。フロントブレーキB2は、締結によりフロントサンギアS1をトランスミッションケースTCに固定する。ローコーストブレーキB3は、締結によりミッドサンギアS2をトランスミッションケースTCに固定する。フォワードブレーキB4は、締結によりミッドサンギアS2をトランスミッションケースTCに固定する。
ファーストワンウェイクラッチF1は、ミッドサンギアS2に対してリアサンギアS3の正転方向(=エンジンEと同一回転方向)の回転をフリー、逆転を固定する。サードワンウェイクラッチF2は、フロントサンギアS1の正転方向をフリー、逆転を固定する。フォワードワンウェイクラッチF3は、ミッドサンギアS2の正転方向をフリー、逆転を固定する。
なお、アウトプットシャフトOUTは、ミッドキャリアPC2に直結されている。フロントキャリアPC1とリアリングギアR3とは第1メンバM1により直結されている。ミッドリングギアR2とリアキャリアPC3とは第2メンバM2により直結されている。
[締結表]
図3は自動変速機ATの締結表である。
(1速)
自動変速機ATは、ハイ&ローリバースクラッチC2、フロントブレーキB2、ローコーストブレーキB3、およびフォワードブレーキB4を締結することで第1速を達成する。
(2速)
ダイレクトクラッチC3、フロントブレーキB2、およびフォワードブレーキB4を締結することで第2速を達成する。
(3速)
ハイ&ローリバースクラッチC2、ダイレクトクラッチC3、フロントブレーキB2、およびフォワードブレーキB4を締結することで第3速を達成する。
(4速)
インプットクラッチC1、ハイ&ローリバースクラッチC2、ダイレクトクラッチC3、およびフォワードブレーキB4を締結することで第4速を達成する。
(5速)
インプットクラッチC1、ハイ&ローリバースクラッチC2、フロントブレーキB2、およびフォワードブレーキB4を締結することで第5速を達成する。
(後退速)
ハイ&ローリバースクラッチC2、リバースブレーキB1、およびフロントブレーキB2を締結することで後退速を達成する。
[ダウンシフト中エンジン始動制御]
図4は統合コントローラ10で実行されるダウンシフト中エンジン始動制御のブロック図である。この制御を行うことにより、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立させる。
同時処理判定部110は変速(ダウンシフト)とエンジン始動の同時処理を行うか否かを判断し、判定結果をAT制御部120へ出力する。
AT制御部120は自動変速機AT内の各締結要素C1〜C3、B1〜B4の締結トルクを出力し、現在の変速段とダウンシフトの目標変速段の係合・解放を行う。また、締結・解放信号を始動クラッチ制御部130へ出力する。
始動クラッチ制御部130は始動クラッチCL1の締結・解放信号をMG(モータジェネレータ)目標回転生成部140、エンジン始動判定部150、変速完了判定部160へ出力する。
MG目標回転生成部140はモータジェネレータMGの目標回転数を生成し、MG回転FB制御部170は目標回転数のフィードバック制御を行ってモーがジェネレータMGの発生トルクを演算し、モータジェネレータMGへ出力する。
エンジン始動判定部150はエンジン始動の有無を判定し、エンジントルク算出部180はモータジェネレータMGの目標回転数と実回転数に基づくフィードフォワード制御により目標エンジントルクを算出し、エンジンコントローラ1へ出力する。
変速完了判定部160は変速完了判定結果をAT制御部120へ出力し、この判定結果に基づきAT制御部120は各クラッチC1〜C3、各ブレーキB1〜B4へ目標トルクを出力する。なお、この実施例ではモータジェネレータMGの目標回転数を生成しているが、モータジェネレータ回転数は変速機ATの入力軸INの回転数と等しいため、入力軸INの目標回転数を生成するものであってもよい。
[ダウンシフト中エンジン始動制御処理]
図5は始動変速同時制御処理(ダウンシフト中エンジン始動制御)のフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS101では、EVモード中のアクセル踏み込みに伴うエンジン始動指示および変速指示に基づき、変速とエンジン始動の同時制御処理の要否が判定され、ステップS102へ移行する。
ステップS102では判定結果は同時処理OKかどうかが判断され、YESであればステップS103へ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS103では現在の変速段が解放されているかどうか(例えば5速から4速へのダウンシフトであれば、ダウンシフトに伴って解放されるフロントブレーキB2が解放されているかどうか)が判断され、YESであればステップS104へ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS104では始動クラッチCL1を締結し、ステップS105へ移行する。
ステップS105ではモータジェネレータMGの目標回転数を生成して回転フィードバック制御を行い、ステップS106へ移行する。
目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定することにより、ダウンシフト終了時における同期がスムーズに行われる。よって、目標変速段を高レスポンスで締結し、変速応答を早めるものである。
ステップS106ではエンジンEが始動したかどうかが判断され、YESであればステップS107へ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS107ではエンジントルクをフィードフォワード制御により算出し、ステップS108へ移行する。
目標回転数と実回転数の偏差に基づき演算されたモータジェネレータMGの発生トルクがエンジントルクに対して小さい場合、エンジントルクを低下させる。これにより、モータジェネレータMGにおける回転数フィードバック制御性の悪化を回避する。
ステップS108では自動変速機ATの入力軸回転数の目標値と実際値が同期したかどうかが判断され、YESであればステップS109へ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS109ではダウンシフトの目標変速段(例えば5速から4速へのダウンシフトであれば、ダウンシフトに伴って締結されるダイレクトクラッチC3)を締結し、ステップS110へ移行する。
自動変速機入力軸回転数INの目標値と実際値が同期してから目標変速段を締結することで、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避するとともに、ダウンシフト時のショックを低減する。
ステップS110ではモータジェネレータMGをトルク制御とし、制御を終了する。
[ダウンシフト中エンジン始動制御の経時変化]
図6はダウンシフト中エンジン始動制御のタイムチャートである。
(時刻t0)
時刻t0において車両はEVモードで走行中であり、エンジンEは停止している。また、現在の変速段は締結、ダウンシフトの目標変速段は解放されている。モータジェネレータMGはトルク制御状態にある。
(時刻t1)
時刻t1においてアクセル開度が所定値を越え、EVモードからエンジンEとモータジェネレータMGとを共用するハイブリッドモードへ遷移する。また、アクセル開度上昇に合わせて自動変速機ATの出力トルクが上昇する。この時点でまだダウンシフトは行われておらず、現在の変速段は締結されたままである。
(時刻t2)
時刻t2において駆動力確保のためダウンシフト指令(変速指示)が出力され、現在の変速段が解放される。このため変速機出力トルクはゼロとなり、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避する。
(時刻t3)
時刻t3において始動クラッチ締結指令が出力され、モータジェネレータMGは目標回転数に基づくフィードバック制御となる。始動クラッチCL1は、応答遅れ分遅れて実際に締結する。
また、モータジェネレータの目標回転数と実回転数の偏差に応じてフィードフォワード制御によりエンジントルクが与えられる。現在の変速段およびダウンシフトの目標変速段がともに解放されているため、変速機出力トルクはゼロのままである。
上述のように目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定することにより、ダウンシフト終了時における同期がスムーズに行われる。よって、目標変速段を高レスポンスで締結し、変速応答を早める。
(時刻t4)
時刻t4においてエンジンEが始動される。ダウンシフトとエンジンEの始動を同時に行うことで、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立させる。
(時刻t5)
時刻t5においてエンジントルクが立ち上がる。モータジェネレータMGの発生トルクがエンジントルクに対して小さい場合、エンジントルクを低下させ、モータジェネレータMGにおける回転数フィードバック制御性の悪化を回避する。
(時刻t6)
時刻t6において自動変速機ATの入力軸回転数の目標値(変速終了時点での回転数)と実際値とが同期し、目標変速段が締結される。これによりダウンシフト時のショックが低減される。
(時刻t7)
時刻t7においてモータジェネレータMGはトルク制御に戻る。
(時刻t8)
時刻t8において自動変速機ATの出力トルクが一定となる。
[本願実施例の効果]
(1)エンジンEと、モータジェネレータMGと、モータジェネレータMGに電力を供給するとともに、このモータジェネレータMGの回生電力を蓄電するバッテリ4と、エンジンEとモータジェネレータMGとを接続する始動クラッチCL1と、自動変速機AT内に設けられた締結要素C1〜C3およびB1〜B4と、エンジンE、モータジェネレータMG、始動クラッチCL1、および締結要素C1〜C3およびB1〜B4を制御する統合コントローラ10とを備え、始動クラッチCL1を開放し、モータジェネレータMGのみを動力源として走行するEVモードでの走行中、エンジンEとモータジェネレータMGとを動力源として走行するハイブリッドモードへの遷移要求があった場合、始動クラッチCL1の引き摺りトルクによりエンジンEを始動するハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
EVモードで走行中にアクセル開度が所定値以上となった場合、自動変速機ATのダウンシフト中にエンジンEを始動することとした。
これにより、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立したハイブリッド車両のエンジン始動制御装置を提供することができる。
(2)統合コントローラ10は、エンジンEの始動中は自動変速機ATの出力トルクをゼロとすることとした。これにより、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避できる。
(3)統合コントローラ10は、ダウンシフトの際、現在の変速段の解放が完了してからエンジンEの始動を開始し、自動変速機ATの入力軸回転数の目標値と実際値とが同期した後、ダウンシフトの目標変速段を締結することとした。
これにより、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避するとともに、ダウンシフト時のショックを低減することができる。
(4)統合コントローラ10は、ダウンシフトを実行中は自動変速機ATの入力軸回転数の目標値と実際値に基づくフィードバック制御により、モータジェネレータMGの回転数を制御することとした。
目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定することにより、ダウンシフト終了時における同期がスムーズに行われる。よって、目標変速段を高レスポンスで締結し、変速応答を早めることができる。
(5)統合コントローラ10は、自動変速機ATの入力軸回転数の目標値と実際値の偏差に基づくフィードフォワード制御により、エンジンEのトルク制御を行うこととした。
これにより、目標回転数と実回転数の偏差に基づき演算されたモータジェネレータMGの発生トルクがエンジントルクに対して小さい場合、エンジントルクを低下させてモータジェネレータMGにおける回転数フィードバック制御性の悪化を回避することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
本願ハイブリッド車両のシステム図である。 自動変速機ATのスケルトン図である。 自動変速機ATの締結表である。 始動変速同時制御のブロック図である。 始動変速同時制御処理のフローチャートである。 始動変速同時制御のタイムチャートである。
符号の説明
E エンジン
CL1 始動クラッチ
MG モータジェネレータ
AT 自動変速機
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
6 始動クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 始動クラッチ油圧ユニット
10 統合コントローラ

Claims (3)

  1. エンジンと、
    モータジェネレータと、
    前記モータジェネレータに電力を供給するとともに、このモータジェネレータの回生電力を蓄電するバッテリと、
    前記エンジンと前記モータジェネレータとを接続する始動クラッチと、
    変速機内に設けられた締結要素と、
    前記エンジン、前記モータジェネレータ、前記始動クラッチ、および前記締結要素を制御する制御手段と
    を備え、
    前記始動クラッチを開放し、前記モータジェネレータのみを動力源として走行するEVモードでの走行中、前記エンジンと前記モータジェネレータとを動力源として走行するハイブリッドモードへの遷移要求があった場合、前記始動クラッチの引き摺りトルクによりエンジンを始動するハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記EVモードで走行中にアクセル踏み込みに伴いエンジン始動指示および変速指示が出力されたと判定したときには、前記変速機のダウンシフト中に前記エンジンを始動するものであり、前記ダウンシフトを実行中は前記モータジェネレータの目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定して、フィードバック制御により、前記モータジェネレータの回転数を制御するとともに、前記モータジェネレータの目標回転数と実回転数との偏差に基づき演算された前記モータジェネレータの発生トルクが、前記エンジンの発生トルクよりも小さいときには、前記エンジンの発生トルクを低下させることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記エンジンの始動中は前記自動変速機の出力トルクをゼロとすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動装置。
  3. 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
    前記制御手段は、前記ダウンシフトの際、現在の変速段の解放が完了してから前記エンジンの始動を開始し、前記変速機の入力軸回転数の目標値と実際値とが同期した後、前記ダウンシフトの目標変速段を締結すること
    を特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
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