JP5007579B2 - ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置 - Google Patents
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Description
図1は本願ハイブリッド車両のシステム図である。本願ハイブリッド車両は、エンジンE、モータジェネレータMG、始動クラッチCL1、自動変速機AT、左後輪RL(駆動輪)、右後輪RR(駆動輪)を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
本願ハイブリッド車両は始動クラッチCL1の締結・開放状態に応じてEVモード(モータジェネレータMGの駆動力のみで走行)、およびHEVモード(モータジェネレータMGおよびエンジンEの駆動力を併用)の2走行モードを有する。
始動クラッチCL1が開放状態にある場合、エンジンEの駆動力は自動変速機ATには伝達されず、車両はモータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するEVモードとなる。
始動クラッチCL1が締結状態にある場合、エンジンEの駆動力は始動クラッチCL1およびモータジェネレータMGを介して自動変速機AT内の締結要素(各クラッチC1〜C3、各ブレーキB1〜B4)に伝達され、モータジェネレータMGに加えてエンジンEの駆動力を併用するHEVモードとなる。
駆動力T(MG)がゼロであればエンジンEの駆動力によってのみ走行するエンジン走行モードとなる。
モータジェネレータMGから自動変速機ATに入力される駆動力T(MG)が正の値であれば、モータジェネレータMGとエンジンEの駆動力を併用して走行するモータアシスト走行モードとなる。
モータジェネレータMGから自動変速機ATに入力される駆動力T(MG)が負の値、すなわちモータジェネレータMGがトルクを発生せずエンジンEまたは車両イナーシャによって回され、外部のトルクを消費している場合、モータジェネレータMGは発電機として機能する。これによりバッテリ4を充電する。
車両が加速状態または定速走行状態にあればモータジェネレータMGはエンジンEによって回され、車両が減速状態にあればモータジェネレータMGは車両イナーシャによって回され、発電を行う。
本願ハイブリッド車両はエンジンコントローラ1、モータコントローラ2、パワーコントロールユニット3、バッテリ4、ATコントローラ7、統合コントローラ10を有し、それぞれ情報交換可能なCAN通信線11を介して接続されている。
図2は自動変速機ATのスケルトン図である。自動変速機ATは、回転要素としてフロント、ミッド、リアのプラネタリーギアG1,G2,G3を有する。各プラネタリーギアG1,G2、G3はそれぞれ回転要素としてサンギアS1,S2,S3、キャリアPC1,PC2,PC3、リングギアR1,R2,R3を有する。
図3は自動変速機ATの締結表である。
(1速)
自動変速機ATは、ハイ&ローリバースクラッチC2、フロントブレーキB2、ローコーストブレーキB3、およびフォワードブレーキB4を締結することで第1速を達成する。
ダイレクトクラッチC3、フロントブレーキB2、およびフォワードブレーキB4を締結することで第2速を達成する。
ハイ&ローリバースクラッチC2、ダイレクトクラッチC3、フロントブレーキB2、およびフォワードブレーキB4を締結することで第3速を達成する。
インプットクラッチC1、ハイ&ローリバースクラッチC2、ダイレクトクラッチC3、およびフォワードブレーキB4を締結することで第4速を達成する。
インプットクラッチC1、ハイ&ローリバースクラッチC2、フロントブレーキB2、およびフォワードブレーキB4を締結することで第5速を達成する。
ハイ&ローリバースクラッチC2、リバースブレーキB1、およびフロントブレーキB2を締結することで後退速を達成する。
図4は統合コントローラ10で実行されるダウンシフト中エンジン始動制御のブロック図である。この制御を行うことにより、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立させる。
図5は始動変速同時制御処理(ダウンシフト中エンジン始動制御)のフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定することにより、ダウンシフト終了時における同期がスムーズに行われる。よって、目標変速段を高レスポンスで締結し、変速応答を早めるものである。
目標回転数と実回転数の偏差に基づき演算されたモータジェネレータMGの発生トルクがエンジントルクに対して小さい場合、エンジントルクを低下させる。これにより、モータジェネレータMGにおける回転数フィードバック制御性の悪化を回避する。
自動変速機入力軸回転数INの目標値と実際値が同期してから目標変速段を締結することで、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避するとともに、ダウンシフト時のショックを低減する。
図6はダウンシフト中エンジン始動制御のタイムチャートである。
(時刻t0)
時刻t0において車両はEVモードで走行中であり、エンジンEは停止している。また、現在の変速段は締結、ダウンシフトの目標変速段は解放されている。モータジェネレータMGはトルク制御状態にある。
時刻t1においてアクセル開度が所定値を越え、EVモードからエンジンEとモータジェネレータMGとを共用するハイブリッドモードへ遷移する。また、アクセル開度上昇に合わせて自動変速機ATの出力トルクが上昇する。この時点でまだダウンシフトは行われておらず、現在の変速段は締結されたままである。
時刻t2において駆動力確保のためダウンシフト指令(変速指示)が出力され、現在の変速段が解放される。このため変速機出力トルクはゼロとなり、駆動輪に対しエンジン始動トルクが急激に伝達することを回避する。
時刻t3において始動クラッチ締結指令が出力され、モータジェネレータMGは目標回転数に基づくフィードバック制御となる。始動クラッチCL1は、応答遅れ分遅れて実際に締結する。
また、モータジェネレータの目標回転数と実回転数の偏差に応じてフィードフォワード制御によりエンジントルクが与えられる。現在の変速段およびダウンシフトの目標変速段がともに解放されているため、変速機出力トルクはゼロのままである。
上述のように目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定することにより、ダウンシフト終了時における同期がスムーズに行われる。よって、目標変速段を高レスポンスで締結し、変速応答を早める。
時刻t4においてエンジンEが始動される。ダウンシフトとエンジンEの始動を同時に行うことで、駆動力の応答性向上とエンジン始動のレスポンス向上を確定的に両立させる。
時刻t5においてエンジントルクが立ち上がる。モータジェネレータMGの発生トルクがエンジントルクに対して小さい場合、エンジントルクを低下させ、モータジェネレータMGにおける回転数フィードバック制御性の悪化を回避する。
時刻t6において自動変速機ATの入力軸回転数の目標値(変速終了時点での回転数)と実際値とが同期し、目標変速段が締結される。これによりダウンシフト時のショックが低減される。
時刻t7においてモータジェネレータMGはトルク制御に戻る。
時刻t8において自動変速機ATの出力トルクが一定となる。
(1)エンジンEと、モータジェネレータMGと、モータジェネレータMGに電力を供給するとともに、このモータジェネレータMGの回生電力を蓄電するバッテリ4と、エンジンEとモータジェネレータMGとを接続する始動クラッチCL1と、自動変速機AT内に設けられた締結要素C1〜C3およびB1〜B4と、エンジンE、モータジェネレータMG、始動クラッチCL1、および締結要素C1〜C3およびB1〜B4を制御する統合コントローラ10とを備え、始動クラッチCL1を開放し、モータジェネレータMGのみを動力源として走行するEVモードでの走行中、エンジンEとモータジェネレータMGとを動力源として走行するハイブリッドモードへの遷移要求があった場合、始動クラッチCL1の引き摺りトルクによりエンジンEを始動するハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
EVモードで走行中にアクセル開度が所定値以上となった場合、自動変速機ATのダウンシフト中にエンジンEを始動することとした。
CL1 始動クラッチ
MG モータジェネレータ
AT 自動変速機
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
6 始動クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 始動クラッチ油圧ユニット
10 統合コントローラ
Claims (3)
- エンジンと、
モータジェネレータと、
前記モータジェネレータに電力を供給するとともに、このモータジェネレータの回生電力を蓄電するバッテリと、
前記エンジンと前記モータジェネレータとを接続する始動クラッチと、
変速機内に設けられた締結要素と、
前記エンジン、前記モータジェネレータ、前記始動クラッチ、および前記締結要素を制御する制御手段と
を備え、
前記始動クラッチを開放し、前記モータジェネレータのみを動力源として走行するEVモードでの走行中、前記エンジンと前記モータジェネレータとを動力源として走行するハイブリッドモードへの遷移要求があった場合、前記始動クラッチの引き摺りトルクによりエンジンを始動するハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記制御手段は、前記EVモードで走行中にアクセル踏み込みに伴いエンジン始動指示および変速指示が出力されたと判定したときには、前記変速機のダウンシフト中に前記エンジンを始動するものであり、前記ダウンシフトを実行中は前記モータジェネレータの目標回転数をダウンシフトの同期回転数に設定して、フィードバック制御により、前記モータジェネレータの回転数を制御するとともに、前記モータジェネレータの目標回転数と実回転数との偏差に基づき演算された前記モータジェネレータの発生トルクが、前記エンジンの発生トルクよりも小さいときには、前記エンジンの発生トルクを低下させることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記制御手段は、前記エンジンの始動中は前記自動変速機の出力トルクをゼロとすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記制御手段は、前記ダウンシフトの際、現在の変速段の解放が完了してから前記エンジンの始動を開始し、前記変速機の入力軸回転数の目標値と実際値とが同期した後、前記ダウンシフトの目標変速段を締結すること
を特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
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