JP5006497B2 - 両面粘着テープ及び両面粘着テープの剥離方法 - Google Patents

両面粘着テープ及び両面粘着テープの剥離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行え、更に、剥離が容易な両面粘着テープ及びそれを用いたICチップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路(ICチップ)は、通常棒状の純度の高い半導体単結晶をスライスしてウエハとしたのち、フォトレジストを利用してウエハ表面に所定の回路パターンを形成して、次いでウエハ裏面を研磨機により研磨して、ウエハの厚さを100〜600μm程度まで薄くし、最後にダイシングしてチップ化することにより、製造されている。
【0003】
ここで、上記研磨等の加工を行う際には、ウエハ表面に粘着シートを貼り付けたり、粘着シートを介して支持板を貼り付けたりすることにより、ウエハの破損を防止し、研磨等の加工を容易にすることが行われている。
このような粘着シートには、研磨等の加工を行う際には充分な接着力を有しており、加工後には糊残りすることなく容易に剥がせることが求められている。
【0004】
これに対して、特開平5−32946号公報には、ポリマーの側鎖又は主鎖に放射線重合性官能基を有する多官能性モノマー又はオリゴマーが結合された粘着剤を用いた粘着シートが開示されている。放射線重合性官能基を有することにより紫外線照射によりポリマーが硬化することを利用して、剥離時に紫外線を照射することにより糊残りなく剥離することができるというものである。
また、特開平11−166164号公報には、熱膨張性微小球を含有する粘着剤層を有する粘着シートが開示されている。これは、剥離時に加熱すると熱膨張性微小球が膨張して接着力を低下させることから、容易に剥離することができるというものである。
【0005】
近年ではICチップの用途が広がるにつれて、ICカード類に用いたり、積層して使用したりすることができる厚さ50μm程度の極めて薄い半導体ウエハも要求されるようになってきた。このような厚さが50μm程度の半導体ウエハは、従来の厚さが100〜600μm程度の半導体ウエハに比べて反りが大きく衝撃により割れやすくなるので取扱性に劣ることから、従来の粘着シートを用いて接着した場合には、剥離時に破損してしまうことが多いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行え、更に、剥離が容易な両面粘着テープ及びそれを用いたICチップの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、剥離時に光を照射することにより厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであっても破損することなく剥離可能な両面粘着テープであって、少なくとも一方の面に光照射により気体を発生する気体発生剤を含有する、光照射により弾性率が上昇する粘着剤からなる粘着剤層を有し、前記気体発生剤は、前記粘着剤層中に溶解しており、前記気体発生剤は、下記式(1)で表されるアゾアミド化合物である両面粘着テープである。
【化3】
Figure 0005006497
前記式(1)中、R 及びR は、それぞれ同一又は異なる低級アルキル基を表し、R は、炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の両面粘着テープは、少なくとも一方の面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有するものである。本発明の両面粘着テープは、基材の両面に粘着剤層が形成されたサポートテープであってもよいし、基材を有しないノンサポートテープであってもよい。
【0009】
上記基材としては、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激が光による刺激である場合には、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
【0010】
上記気体発生剤から気体を発生させる刺激としては、例えば、光、熱、超音波による刺激が挙げられる。なかでも光又は熱による刺激が好ましい。上記光としては、例えば、紫外線や可視光線等が挙げられる。上記刺激として光による刺激を用いる場合には、気体発生剤を含有する粘着剤層は、光が透過又は通過できるものであることが好ましい。
【0011】
上記刺激により気体を発生する気体発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾイリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミダイン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミダイン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0012】
なかでも、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)等の下記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物が好ましい。
【0013】
【化2】
Figure 0005006497
【0014】
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ低級アルキル基を表し、R3は、炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。なお、R1とR2は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0015】
上記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物は、熱分解温度が高いことから、ICチップの製造において必要に応じて行われる高温処理が可能であり、後述するアクリル酸アルキルエステルポリマー等の粘着性を有するポリマーへの溶解性にも優れている。
上記アゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0016】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド等や、3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。これらのアジド化合物は、光、熱及び衝撃等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0017】
これらの気体発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによってウエハが損傷することがあるという問題もある。このような問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。
【0018】
一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しないことから取扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないためウエハを損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた接着性の制御が可能であるという利点もある。従って、上記気体発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0019】
上記気体発生剤を含有することにより、上記両面粘着テープに刺激を与えると気体発生剤から発生した気体が、接着面の少なくとも一部を剥がすことにより、粘着力が低下して被着体を容易に剥離することができる。
【0020】
上記気体発生剤は気体発生剤を含有する粘着剤層全体に含有されていてもよいが、気体発生剤を粘着剤層全体に含有させておくと、粘着剤層全体が発泡体となるため柔らかくなりすぎ、粘着剤層をうまく剥がせなくなるおそれがある。従って、上記気体発生剤は、表面部分にのみ含有されていることが好ましい。表面部分にのみ含有させておけば、粘着剤層全体が発泡体とならずに、被着体との接着面で気体発生剤から気体が発生することにより接着面積を減少させ、なおかつ気体が、被着体と粘着剤層との接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
なお、上記表面部分とは、粘着剤層の厚さによるが、粘着剤の表面から20μmまでの部分であることが好ましい。また、ここでいう表面部分にのみ含有されるとは、例えば、粘着剤表面に付着した気体発生剤が粘着剤と相溶して粘着剤層に吸収された態様、粘着剤の表面に気体発生剤が均一に付着している態様等が挙げられる。
【0021】
上記表面部分にのみ気体発生剤を含有させる方法としては、例えば、両面粘着テープの最外層に1〜20μm程度の厚さで気体発生剤を含有する粘着剤を塗工する方法や、あらかじめ作製した両面粘着テープの少なくとも一方の面の表面に、気体発生剤を含有する揮発性液体を塗布するかスプレー等によって吹き付けることにより、表面に気体発生剤を均一に付着させる方法等が挙げられる。なお、表面に気体発生剤を付着させる場合には、粘着剤と相溶性に優れた気体発生剤を付着させることが好ましい。すなわち、粘着剤の表面に気体発生剤を多量に付着させると粘着力が低くなるが、気体発生剤が粘着剤と相溶する場合は、付着した気体発生剤は粘着剤層に吸収され粘着力が低下することがなく、気体発生剤が拡散することにより被着体との接触面全体に対してより均一に気体を発生させることができる。また、気体発生剤を含有する表面部分とそれ以外とは、異なる組成の樹脂成分からなることが好ましく、なかでも、異なる極性を有する樹脂成分からなることがより好ましい。これにより、表面部分の気体発生剤がそれ以外に移行することを防止するか、移行しにくくすることができる。
【0022】
上記気体発生剤は、粒子として存在しないことが好ましい。なお、本明細書において、気体発生剤が粒子として存在しないとは、電子顕微鏡により気体発生剤を含有する粘着剤層の断面を観察したときに気体発生剤を確認することができないことを意味する。上記粘着剤層中に気体発生剤が粒子として存在すると、気体を発生させる刺激として光を照射したときに粒子の界面で光が散乱して気体発生効率が低くなってしまったり、本発明の両面粘着テープの表面平滑性が悪くなったりすることがある。
【0023】
上記気体発生剤を粒子として存在しないようにするには、通常、粘着剤中に溶解する気体発生剤を選択するが、粘着剤中に溶解しない気体発生剤を選択する場合には、例えば、分散機を用いたり、分散剤を併用したりすることにより粘着剤中に気体発生剤を微分散させる。
【0024】
また、気体発生剤は、微小な粒子であることが好ましい。更に、これらの微粒子は、例えば、分散機や混練装置等を用いて必要に応じてより細かい微粒子とすることが好ましい。すなわち、電子顕微鏡により本発明の接着性物質を観察したときに気体発生剤を確認することができない状態まで分散させることがより好ましい。
【0025】
本発明の両面粘着テープは、上記気体発生剤としてアジド化合物又はアゾ化合物等の光による刺激により気体を発生する気体発生剤を用いる場合には、更に光増感剤も含有することが好ましい。上記光増感剤は、上記気体発生剤への光による刺激を増幅する効果を有することから、より少ない光の照射により気体を放出させることができる。また、より広い波長領域の光により気体を放出させることができるので、被着体がポリアミド等のアジド化合物又はアゾ化合物から気体を発生させる波長の光を透過しないものであっても、被着体越しに光を照射して気体を発生させることができ被着体の選択の幅が広がる。
上記光増感剤としては特に限定されないが、例えば、チオキサントン増感剤等が好適である。なお、チオキサントン増感剤は、光重合開始剤としても用いることができる。
【0026】
上記気体発生剤を含有する粘着剤は、刺激により弾性率が上昇するものであることが好ましい。また、気体発生剤を含有する粘着剤は、刺激により粘着力が低下するものであることが好ましい。上記粘着剤の弾性率を上昇させる刺激又は上記粘着力を低下させる刺激は、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
このような粘着剤としては、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとを主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤や、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとを主成分とし、熱重合開始剤を含んでなる熱硬化型粘着剤等からなるものが挙げられる。
【0028】
このような光硬化型粘着剤又は熱硬化型粘着剤等の後硬化型粘着剤は、光の照射又は加熱により粘着剤層の全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。また、弾性率の上昇した硬い硬化物中で気体発生剤から気体を発生させると、発生した気体の大半は外部に放出され、放出された気体は、被着体から粘着剤の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0029】
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
【0030】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
【0031】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
【0032】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0033】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが用いられる。
【0034】
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記光重合開始剤としては、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記熱重合開始剤としては、熱により分解し、重合硬化を開始する活性ラジカルを発生するものが挙げられ、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエール、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。なかでも、熱分解温度が高いことから、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が好適である。これらの熱重合開始剤のうち市販されているものとしては特に限定されないが、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーメンタH(以上いずれも日本油脂製)等が好適である。これら熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記後硬化型粘着剤には、以上の成分のほか、粘着剤としての凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜配合してもよい。また、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を加えることもできる。
【0038】
本発明の両面粘着テープの少なくとも一方の面は、エンボス加工が施されていることが好ましい。上記エンボス加工が施されていることにより、常圧でも平面性よく本発明の両面粘着テープを被着体に貼り合わせることができる。なお、本明細書において、エンボス加工とは、表面に凹凸模様をつけることをいう。
上記エンボス加工は、上記気体発生剤が一方の面にのみ含有されている場合には、上記気体発生剤を含有する面とは反対側の面に施されていることが好ましく、本発明の両面粘着テープを用いてウエハと支持板とを接着する場合には、支持板側の面のみに施されていることが好ましい。
【0039】
上記ウエハを研磨して厚さ50μm程度の極めて薄い半導体ウエハを作製するためには、研磨時にウエハが支持板に平面性よく保持されていることが重要である。しかしながら従来の両面粘着テープを用いてウエハと支持板とを接着する場合、気泡が入らないよう注意深く貼り合わさなければ、両面粘着テープと支持板との間に気泡を巻きこむ、いわゆるエア溜まりが起こることがあった。エア溜まりが起こると、気泡を巻きこんだ部分のウエハが浮き上がるため、ウエハ形状が歪み平滑な研磨面が得られなかったり、歪みが大きいと歪みがかかった箇所を研磨したときウエハが割れてしまったりする問題点があった。
【0040】
本発明の両面粘着テープは、少なくとも一方の面にエンボス加工が施されていることにより、エンボス加工が施された面と被着体とを接着すれば、被着体は凹凸模様の凸部で支えられ、気泡は凹凸模様の凹部にのみあるため、気泡によって部分的にウエハが浮き上がるようなことがない。上記エンボス加工が施された面は均一な厚みで形成されており支持板とウエハとの間隔を一定に保っているので支持板に取り付けられたウエハが支持された状態で研磨されると平滑な研磨面が得られる。更に、上述のように被着体が凹凸模様の凸部で支えられることにより、凹凸模様がクッションの役割を果たしてウエハを研磨する際の圧力が分散されるため、より薄いウエハを効率的に得ることができる。
【0041】
上記エンボス加工により形成される凹凸模様の凸部の間隔は、所望のウエハの厚さに応じて選択される必要があり、例えば、厚さ25μm程度のウエハを作製する場合には、数百μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下である。上記両面粘着テープを用いて支持板に接着したウエハを研磨する場合には、ウエハの凹凸模様の凸部で支えられている部分と支えられていない部分とでは研磨する際にかかる圧力が異なるため、研磨後のウエハに両面粘着テープの凹凸模様に対応した模様が形成され研磨ムラが生じることがあり、ウエハの厚さを薄くするほど問題となってくる。凸部の間隔が100μm以下である凹凸模様とすることにより、たとえこの凹凸模様に対応した模様がウエハに形成されても、研磨ムラとしては実用上問題のないレベルにすることができる。
【0042】
このような凹凸模様としては、例えば、本発明の両面粘着テープの少なくとも一方の面の全面にわたって形成されており、形成される凸部のほぼ全体が数百μm以下の間隔で連続しているランダムな凹凸模様や規則的な凹凸模様等が挙げられる。なかでも、規則正しい凹凸模様であって、凸部の高さが揃っており、かつ、凹部の深さが揃っている凹凸模様が好ましい。このような凹凸模様としては、例えば、点、直線、円弧等が全面にわたって数百μm以下の間隔で連続的に並んだ凹凸模様等が挙げられる。
【0043】
上記エンボス加工の方法としては特に限定されず、例えば、エンボスシート、エンボス板、エンボスロール等を粘着剤層に押し当てることにより凹凸模様を粘着剤層に転写する方法;離型処理を施したエンボス面上に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成した後に、粘着剤層のエンボスが形成されていない面を基材又は他の粘着剤層上に積層する方法等が挙げられる。凸部が100μm以下の間隔で並んだ凹凸模様を得るためには、例えば、微細な砂を吹きつけて表面を研磨することにより微細な凹凸模様を形成するサンドブラスト法;表面に炭酸カルシウム等の微細なフィラーを含有するプライマー層を形成させた後、表面をプライマー層は溶解しないがフィラーは溶解する溶剤で洗浄する方法等によりフィラーを除去することにより微細な凹凸模様を形成するフィラー法等が挙げられる。
【0044】
本発明の両面粘着テープの少なくとも一方の面は、吸水可能な粘着剤からなることが好ましい。このような吸水可能な粘着剤からなる面に適量の水を滴下したうえで被着体と貼り合わせると、接着面に気泡が入るのを防止することができる。上記気体発生剤が一方の面にのみ含有されている場合には、少なくとも上記気体発生剤を含有する面とは反対側の面が吸水可能な粘着剤からなることが好ましい。
【0045】
上記吸水可能な粘着剤としては、例えば、水分散性アクリル粘着剤エマルジョンや水分散性酢酸ビニル粘着剤エマルジョン等の水分散性粘着剤エマルジョン;親水性モノマーが構成モノマーとして含有されているアクリル粘着剤;デンプン糊等が挙げられる。これらの粘着剤は、粘着剤表面が水に対して濡れやすく水を吸収することも可能である。なかでも、カルボン酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、水酸基含有モノマー等の親水性モノマーが構成モノマーとして含有されているアクリル酸エステルモノマーを主成分とするアクリル粘着剤は、湿潤面への接着に対して優れた粘着力を発現し、粘着剤表面は水に対して濡れやすく穏やかに水を吸収するので好ましい。
【0046】
上記親水性モノマーが構成モノマーとして含有されているアクリル粘着剤は、水分散性粘着剤エマルジョンに限定されず、溶剤型粘着剤や無溶剤型粘着剤であってもよい。
上記親水性モノマーが構成モノマーとして含有されているアクリル粘着剤において、主成分であるアクリル酸エステルモノマーは炭素数1〜14の炭素原子のアルキル基を有するものであることが好ましい。このようなアクリル粘着剤としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味するものとする。
【0047】
上記カルボン酸基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸等が挙げられる。
【0048】
上記アミド基含有モノマーとしては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−イソプロリルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−(ブトキシル)−メタアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、n−アルコキシアルキル不飽和カルボン酸アミド等が挙げられる。
【0049】
上記ヒドロキシル含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシルブチルアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルへキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
【0050】
上記親水性モノマーが構成モノマーとして含有されているアクリル粘着剤において、親水性モノマーは主成分であるアクリル酸エステルモノマー100重量部に対して1〜20重量部含有されることが好ましい。
【0051】
上記水分散性粘着剤エマルジョンから得られる粘着剤の乾燥皮膜は乳化剤を含有していることから吸水性を有し、なおかつ粘着剤表面が親水性となる。
上記乳化剤としては、アニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が好適である。上記アニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ラウリル硫酸ソーダ等が挙げられる。また、上記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0052】
上記乳化剤の含有量は、水分散性粘着剤エマルジョンに含まれる粘着性樹脂100重量部に対して0.5〜2重量部であることが好ましい。上記乳化剤の含有量を増やせば、吸水性や粘着剤表面の親水性が向上するが、この範囲外であると、湿潤面に対する接着力が低減することがある。
【0053】
上記吸水可能な粘着剤は、吸水可能である一方で、吸水しても過度に膨潤しないものであることがより好ましい。過度に膨潤すると、粘着層の厚みにバラツキが生ずることがあり、ウエハを保持する場合に平面性が保てなくなることがある。
【0054】
本発明の両面粘着テープの用途としては特に限定されないが、例えば、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハをICチップに加工する際に用いれば、ウエハの破損を防ぎ、良好な加工を担保することができる。
【0055】
上記ウエハとしては、例えば、シリコン、ガリウム砒素等の半導体からなるものが挙げられる。上記ウエハの厚さとしては特に限定されないが、ウエハが薄いほど破損防止の効果が発揮されやすく、研磨後の厚さが50μm程度、例えば、20〜80μmの厚さの半導体ウエハである場合に優れた破損防止の効果が発揮される。
【0056】
少なくとも、本発明の両面粘着テープを介して、ウエハを支持板に固定する工程、ウエハを両面粘着テープを介して上記支持板に固定した状態で研磨する工程、上記両面粘着テープに刺激を与える工程、及び、ウエハから上記両面粘着テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、両面粘着テープを介してウエハを支持板に固定する工程において、少なくとも上記ウエハと貼り合わされる上記両面粘着テープの面には、気体発生剤を含有させるICチップの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0057】
本発明のICチップの製造方法では、まず、両面粘着テープを介して、ウエハを支持板に固定する。この時点でのウエハは、高純度なシリコン単結晶やガリウム砒素単結晶等をスライスして半導体ウエハとし、ウエハ表面に所定の回路パターンが形成されたものであり、厚さ500μm〜1mm程度のものである。このウエハを支持板に固定するに際しては、ウエハの回路が形成されている面と両面粘着テープとを貼り合わせる。
【0058】
上記支持板としては特に限定されないが、上記気体発生剤から気体を発生する刺激が光による刺激である場合にあっては透明であることが好ましく、例えば、ガラス板;アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の樹脂からなる板状体等が挙げられる。
【0059】
上記支持板としては、帯電防止処理が施されたものが好ましい。上記支持板が静電気等により帯電すると、空気中に浮遊する微粒子を引き寄せICチップの製造に悪影響を与えることがある。上記支持板に帯電防止処理を施す方法としては特に限定されないが、上記気体発生剤から気体を発生する刺激が光による刺激である場合には、支持板の透明性を維持できる方法が好ましい。このような帯電防止処理方法としては、例えば、支持板に透明な導電性可塑剤を含有させる方法、透明な界面活性剤を含有させ表面に付着する水分量を増やして帯電を防止する方法等が挙げられる。なかでも、酸化スズ微粒子等の透明な導電性微粒子を分散させた樹脂分散液を透明な支持板の表面に塗布して支持板の表面に導電性樹脂層を形成する方法が、透明性を充分に確保しながら安定した帯電防止効果が得られることから好適である。このような方法によれば、カーボンブラック等を配合する方法と異なり透明な支持板を得ることができる。このような帯電防止処理が施された透明支持板としては、例えば、DCプレート(積水化学工業社製)等が市販されている。
【0060】
なお、上記帯電防止処理が施された支持板を用いる代りに、支持板に除電処理を行ってもよい。上記除電処理としては特に限定されず、例えば、アース、イオナイザーによるイオンの吹き付け等が挙げられる。
【0061】
上記支持板の厚さとしては500μm〜3mmが好ましく、より好ましくは1〜2mmである。また、上記支持板の厚さのばらつきは、1%以下であることが好ましい。
【0062】
上記両面粘着テープを介してウエハを支持板に固定するには、本発明の両面粘着テープの気体発生剤を含有する面とウエハとを貼り合わせる。これにより、50μm程度の非常に薄いウエハが補強されウエハが搬送や加工される際に欠けたり割れたりすることがなく、両面粘着テープはICチップを製造する一連の工程が終了した際、又は、工程の途中で、刺激により容易にICチップから剥離することができる。
【0063】
また、少なくとも一方の面にエンボス加工が施されている両面粘着テープを用いる場合には、両面粘着テープのエンボス加工が施された面と支持板とを貼り合わせることが好ましい。これにより、気泡を巻き込むことなくウエハと支持板とを貼り合わせることができる。
【0064】
なお、上記ウエハと支持板との貼り合わせは、ウエハと支持板のいずれか一方に本発明の両面粘着テープを貼り付けた後に行ってもよいし、ウエハと支持板との貼り合わせ位置に本発明の両面粘着テープを設置して、ウエハと支持板とを同時に本発明の両面粘着テープを介して貼り合わせてもよい。
【0065】
また、少なくとも一方の面が吸水可能な粘着剤からなる両面粘着テープを用いる場合には、両面粘着テープの吸水可能な粘着剤からなる面と支持板とを貼り合わせ、吸水可能な粘着剤からなる面と支持板との貼り合わせは、吸水可能な粘着剤からなる面を水で濡らした後であって、かつ、水が完全に吸水可能な粘着剤からなる面に吸収される前に行うことが好ましい。これにより、支持板と吸水可能な粘着剤からなる面とを貼り合わせる際には、間に水の層が存在するので、水の表面張力により支持板と両面粘着テープとを密着することができ、間に空気を巻き込むこと(エア溜まり)を防止することができる。この方法によっても、気泡を巻き込むことなくウエハと支持板とを貼り合わせることができる。
【0066】
両面粘着テープの吸水可能な粘着剤からなる面と支持板とを貼り合わせるときには、水の表面張力と貼り合わせの圧力とで水の膜が面全体に広がり濡れていくので、少なくとも面の中央部分を水に濡らしていれば空気の巻き込みを防止する効果を得ることができるが、面のほぼ全面を水に濡らしている方が好ましい。これにより支持板と貼り合わせたときに接着面全面が水で濡らされ、空気の巻き込みをより効果的に防止することができる。
【0067】
また、支持板を両面粘着テープの吸水可能な粘着剤からなる面に貼り付ける際には、支持板の一方の端から順に面と貼り合わせていくことが好ましく、これにより表面の水膜が押し退けられながら貼り付けられるので空気の巻き込みをより効果的に防止することができる。また、吸水可能な粘着剤からなる面が水を多量に吸収して膨潤しすぎると表面が柔らかくなりすぎ、粘着剤層の厚さにばらつきを生ずるおそれもあるので、貼り合わせの際は表面の水膜をできるだけ押し退けるようにして貼り合わせ、接着面に残る水の量を少なくすることが好ましい。
表面に水の膜が形成されていると、強く貼り付けなければ貼り合わせ位置の修正は比較的容易であり、貼り付け位置の調整を容易に行うことができる。
【0068】
本発明のICチップの製造方法では、次いで、ウエハを両面粘着テープを介して支持板に固定した状態で研磨する。本発明の両面粘着テープを用いてウエハを支持板に固定することにより、研磨工程におけるウエハの破損を防止することができ、また、上述のとおり、エア溜まりが生じにくいのでウエハを平滑に研磨することができる。
【0069】
続いて両面粘着テープに刺激を与える。上記気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えることにより、気体発生剤から発生した気体が両面粘着テープと被着体との接着面に放出され、接着面の少なくとも一部を剥がすため粘着力が低下する。なお、気体発生剤を含有する面を構成する粘着剤が刺激により弾性率が上昇するものである場合には、気体発生剤から気体を発生させる前に粘着剤の弾性率を上昇させる刺激を与えて粘着剤の弾性率を上昇させることが好ましい。これにより、気体発生剤から発生した気体は粘着剤中から接着面への放出が促進され、より粘着力を低下させることができる。
【0070】
また、少なくとも、本発明の両面粘着テープを介して、ウエハを支持板に固定する工程、ウエハを両面粘着テープを介して上記支持板に固定した状態で研磨する工程、上記両面粘着テープに刺激を与える工程、上記ウエハに貼り付けられた上記両面粘着テープから上記支持板を剥離する工程、及び、ウエハから上記両面粘着テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、両面粘着テープを介してウエハを支持板に固定する工程において、少なくとも上記支持板と貼り合わされる上記両面粘着テープの面には、気体発生剤を含有させるICチップの製造方法もまた、本発明の1つである。支持板と貼り合わせた面に気体発生剤を含有させた両面粘着テープを用いた場合には、両面粘着テープをウエハから剥離するに先立って、刺激を与えて支持体と両面粘着テープの間の気体発生剤から気体を発生させて粘着力を低下させ、硬い支持板を両面粘着テープから剥離しておけば、両面粘着テープは可とう性を有するテープとなりテープをめくりながらウエハから剥がすことができるので、より一層容易にウエハから剥離することができ好ましい。
【0071】
なお、通常の工程では研磨工程終了後刺激を与えて気体を発生させてウエハを剥離する前に、研磨したウエハにダイシングテープを貼り付け、その後ウエハを剥離してからダイシングを行う。
【0072】
また、本発明のICチップの製造方法では、必要に応じて、通常行われる工程を省略したり、工程の順序を通常と異なるものとしたりしてもよく、例えば、あらかじめダイシングを行った後に研磨工程を行い、ウエハをチップ状にしてもよい。
【0073】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート20重量部、光重合開始剤(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)0.5重量部、ポリイソシアネート1.5重量部を混合し粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.02重量部
【0075】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)100重量部混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(2)を調製した。
【0076】
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を表面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0077】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理を施したエンボスPET(ユニチカ社製:PTH−38、凸部間隔40μm)を押しつけることにより、粘着剤(1)層の表面に凹凸模様を形成させた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0078】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0079】
次いで、粘着剤(1)層を設けたコロナ処理を施したPETフィルムの粘着剤(1)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(1)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。
【0080】
この両面粘着テープのエンボス加工が施されていない側の粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(2)層が形成された表面に離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(2)層と貼り合わせた。これにより表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護され、一方の面にエンボス加工が施された粘着剤(1)層が形成されており、他方の面に粘着剤(1)層の表層部分に粘着剤(2)からなるプライマー層が形成された両面粘着テープ1を得た。
【0081】
<ICチップの製造>
(シリコンウエハとガラス板との貼り合わせ)
両面粘着テープ1の粘着剤(2)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに貼り付けた。次に、エンボス加工が施された粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に貼り付けた。
(研磨工程)
ガラス板で補強されたシリコンウエハを研磨装置に取り付け、シリコンウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。研磨装置からシリコンウエハを取り外し、ダイシングテープをシリコンウエハの上に貼り付けた。
(UV照射工程)
ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が40mW/cm2となるよう照度を調節して2分間照射した。
(ウエハの剥離工程)
シリコンウエハを固定し、ガラス板を真上に引っ張って両面粘着テープとともにシリコンウエハから剥がした。なお、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
(ダイシング工程)
続いて、ダイシングテープで補強されたシリコンウエハをダイシング装置に取り付け、ウエハ側からカッター刃を切り入れシリコンウエハをICチップの大きさに切断した。次いで、ダイシングテープからICチップを剥がしICチップを取りだした。
【0082】
(実施例2)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート40重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤(3)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0083】
粘着剤(3)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)30重量部、及び、2,4−ジエチルチオキサントン3.6重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(4)を調製した。
【0084】
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(3)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(3)層の表面に離型処理を施したエンボスPET(ユニチカ社製:エンブレットEM38、凸部間隔600μm)を押しつけることにより、粘着剤(3)層の表面に凹凸模様を形成させた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0085】
粘着剤(4)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約50μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(4)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0086】
次いで、粘着剤(3)層を設けたコロナ処理を施したPETフィルムの粘着剤(3)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(4)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(4)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープ2を得た。
【0087】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ2の粘着剤(4)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに貼り付け、エンボス加工が施された粘着剤(3)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に貼り付けた。
実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0088】
(実施例3)
<両面粘着テープの作製>
実施例1で作製した粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ12μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0089】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。次いで、粘着剤(1)層を設けたPETフィルムの粘着剤(1)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(1)層を設けたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。
【0090】
更に粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)を5重量%の濃度に調製したメチルエチルケトン溶液を粘着剤(1)層の表面が充分に濡れるまでまんべんなく噴霧した。繰り返し3回噴霧を行った後110℃、5分間加熱を行った。これにより粘着剤(1)層の表面には淡黄色の2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)の析出粒子が付着していた。
次いで、この析出粒子が付着した粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼付け、析出粒子を粘着剤層に押しこんで、両面粘着テープ3を得た。なお、粘着剤表面に付着した析出粒子はしばらくすると粘着剤に溶解し粘着剤層に吸収された。
【0091】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ3を用いて、両面粘着テープ3の析出粒子が付着した粘着剤(1)層をシリコンウエハに貼り付け、粘着剤(1)層をガラス板に貼り付け、実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0092】
(実施例4)
<両面粘着テープの作製>
実施例1で作製した粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理を施したエンボスPET(ユニチカ社製:PTH−38、凸部間隔40μm)を押しつけることにより、粘着剤(2)層の表面に凹凸模様を形成させた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0093】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0094】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0095】
次いで、粘着剤(1)層を設けたコロナ処理を施したPETフィルムの粘着剤(1)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(1)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。
【0096】
この両面粘着テープの片側の粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(2)層が形成された表面に離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(2)層のエンボス加工が施されていない側の面と貼り合わせた。これにより表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護され、一方の面に粘着剤(1)層の表層部分にエンボス加工が施された粘着剤(2)からなるプライマー層が形成されており、他方の面に粘着剤(1)層が形成された両面粘着テープ4を得た。
【0097】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ4の粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに貼り付けた。次に、粘着剤(2)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板を貼り付けた。
(研磨工程)
ガラス板で補強されたシリコンウエハを研磨装置に取りつけ、シリコンウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。研磨装置からシリコンウエハを取り外し、ダイシングテープをシリコンウエハの上に貼り付けた。
(UV照射工程)
ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が40mW/cm2となるよう照度を調節して2分間照射した。
(ガラス板の剥離工程)
シリコンウエハを固定してガラス板を両面粘着テープから剥離した。なお、ガラス板は、両面粘着テープから発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
(ウエハの剥離工程)
両面粘着テープの端をつかみ、めくるようにして両面粘着テープを剥離した。
(ダイシング工程)
続いて、ダイシングテープで補強されたシリコンウエハをダイシング装置に取りつけ、ウエハ側からカッター刃を切り入れシリコンウエハをICチップの大きさに切断した。次いで、ダイシングテープからICチップを剥がしICチップを取りだした。
【0098】
(実施例5)
<両面粘着テープの作製>
実施例1で作製した粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約40μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。この表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0099】
更に粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)を5重量%の濃度に調製したメチルエチルケトン溶液を粘着剤(1)層の表面が充分に濡れるまでまんべんなく噴霧した。繰り返し3回噴霧を行った後110℃、5分間加熱を行った。これにより粘着剤(1)層の表面には淡黄色の2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)の析出粒子が付着していた。
【0100】
次いで、この析出粒子が付着した粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼付け、析出粒子を粘着剤層に押しこんで、ノンサポートタイプの両面粘着テープ6を得た。なお、粘着剤表面に付着した析出粒子はしばらくすると粘着剤に溶解し粘着剤層に吸収された。
【0101】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ5を用いて、両面粘着テープ5の析出粒子が付着した粘着剤(1)層をシリコンウエハに貼り付け、粘着剤(2)層をガラス板に貼り付け、
実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0102】
(実施例6)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を還流冷却器、攪拌機、温度計及び滴下ロートが設置されたフラスコ中に投入し、過酸化ベンゾイルのキシレン溶液(過酸化ベンゾイル0.05重量部及びキシレン3.7重量部を混合したもの)を滴下し、還流下で30分間反応させた時点で過酸化ベンゾイルのキシレン希釈溶液(過酸化ベンゾイル0.03重量部及びキシレン3重量部を混合したもの)を滴下した。次いで5時間反応させた後、更に過酸化ベンゾイルのキシレン希釈溶液(過酸化ベンゾイル0.03重量部及びキシレン3重量部を混合したもの)を滴下し、2時間熟成した。得られたアクリル粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ポリイソシアネート1重量部を加え粘着剤(5)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 38重量部
2−エチルヘキシルアクリレート 55重量部
エチルアクリレート 4重量部
アクリルアミド 3重量部
酢酸エチル 85重量部
【0103】
一方、下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート20重量部、ベンゾフェノン0.5重量部、ポリイソシアネート0.3重量部を混合し粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0104】
更に、粘着剤(6)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)100重量部混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(7)を調製した。
【0105】
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(5)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ12μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(5)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0106】
粘着剤(7)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(7)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0107】
次いで、粘着剤(5)層を設けたPETフィルムの粘着剤(5)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(7)層を設けたPETフィルムの粘着剤(7)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープ6を得た。両面粘着テープ8の粘着剤層はいずれも透明であった。
【0108】
<ICチップの製造>
直径20cmの円形に切断した両面粘着テープ6の粘着剤(7)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに貼り付けた。次に、粘着剤(5)層を保護するPETフィルムを剥がし、粘着剤(5)層のほぼ全面に水の膜が形成されるように水を供給したのち、直径20.4cmのガラス板を粘着剤層の端から貼り付け水の膜を押し退けるようにして徐々に貼り付けた。ここで、ガラス板の中心とシリコンウエハの中心を合わせるように位置を修正しながら貼り合わせた。粘着剤の表面に水の膜が形成されていたので強く貼り付けなければ貼り合わせ位置の修正は比較的容易であり、粘着剤層の表面に水膜を形成すると貼り付け位置の調製が容易に行えるという効果もみられた。ガラス板を通して接着面を観察すると、水を押し退けながら接着を行っているので接着面に気泡の巻き込みはみられず、大半の水が押し退けられたので接着面に残留する水もしばらくすると粘着剤に吸収された。そして、接着面は接着直後から強く接着していた。
実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0109】
(実施例7)
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(5)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ12μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(5)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0110】
粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(6)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0111】
次いで、粘着剤(5)層を設けたPETフィルムの粘着剤(5)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(6)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープPを得た。
【0112】
実施例8で調製した粘着剤(7)の酢酸エチル溶液を表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(7)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0113】
上記両面粘着テープPの粘着剤(5)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(5)層と上記粘着剤(7)層が設けられたPETフィルムの粘着剤(7)層の面を貼り合わせた。
これにより粘着剤層が表面に離型処理が施されたPETフィルムで保護され、粘着剤(6)層の表層部分に粘着剤(7)からなるプライマー層を有する両面粘着テープ7を得た。
【0114】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ7を用いて、両面粘着テープ7の粘着剤(7)層をシリコンウエハに貼り付け、粘着剤(5)層をガラス板に貼り付けた。
実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0115】
(実施例8)
<両面粘着テープの作製>
実施例7で作製した両面粘着テープPの粘着剤(6)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)を5重量%の濃度に調製したメチルエチルケトン溶液を粘着剤(6)層の表面が充分に濡れるまでまんべんなく噴霧した。繰り返し3回噴霧を行った後110℃、5分間加熱を行った。これにより粘着剤(6)層の表面には淡黄色の2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)の析出粒子が付着していた。
次いで、この析出粒子が付着した粘着剤(6)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼付け、析出粒子を粘着剤層に押しこんで、両面粘着テープ8を得た。なお、粘着剤表面に付着した析出粒子はしばらくすると粘着剤に溶解し粘着剤層に吸収された。
【0116】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ8を用いて、両面粘着テープ8の析出粒子が付着した粘着剤(6)層をシリコンウエハに貼り付け、粘着剤(5)層をガラス板に貼り付けた。
実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0117】
(実施例9)
<粘着剤の調製>
実施例6で調製した粘着剤(6)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)100重量部混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(8)を調製した。
【0118】
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(8)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ12μmのPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(8)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0119】
実施例6で調製した粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃で5分間静置して溶剤を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は粘着性を示した。
【0120】
次いで、粘着剤(8)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(6)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープ9を得た。
【0121】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ9を用いて、両面粘着テープ9の粘着剤(6)層をシリコンウエハに貼り付け、粘着剤(8)層をガラス板に貼り付けた以外は実施例1と同様にして、シリコンウエハをガラス板に固定して研磨工程を行った。
紫外線を1分間照射した後、シリコンウエハを固定してガラス板を両面粘着テープから剥離した。なお、ガラス板は、両面粘着テープから発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。次いで、紫外線を更に1分間照射した後、両面粘着テープの端をつかみ引き剥がすようにして両面粘着テープを剥離し、最後にダインング工程を行った。
【0122】
(実施例10)
<両面粘着テープの作製>
実施例9で調製した粘着剤(8)の酢酸エチル溶液を表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(8)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0123】
一方、粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ12μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(6)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0124】
粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(6)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0125】
次いで、粘着剤(6)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(6)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。
【0126】
この両面粘着テープの片側の粘着剤(6)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(8)層が形成された表面に離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(8)層と貼り合わせた。
これにより粘着剤層が表面に離型処理が施されたPETフィルムで保護され、粘着剤(6)層の表層部分に粘着剤(8)からなるプライマー層を有する両面粘着テープ10を得た。
【0127】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ10を用いて、両面粘着テープ10の粘着剤(6)層をシリコンウエハに貼り付け、粘着剤(8)層をガラス板に貼り付けた以外は実施例1と同様にして、シリコンウエハをガラス板に固定して研磨工程を行った。
紫外線を1分間照射した後、シリコンウエハを固定してガラス板を両面粘着テープから剥離した。なお、ガラス板は、両面粘着テープから発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。次いで、紫外線を更に1分間照射した後、両面粘着テープの端をつかみ引き剥がすようにして両面粘着テープを剥離し、最後にダインング工程を行った。
【0128】
(実施例11)
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ12μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(6)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
【0129】
粘着剤(6)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約30μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(6)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0130】
次いで、粘着剤(6)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(6)層を設けたPETフィルムの粘着剤(6)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。
【0131】
この両面粘着テープの片側の粘着剤(6)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2―メチルプロピオンアミド)を5重量%の濃度に調製したメチルエチルケトン溶液を粘着剤(2)層の表面が充分に濡れるまでまんべんなく噴霧した。繰り返し3回噴霧を行った後110℃、5分間加熱を行った。粘着剤(6)層の表面には淡黄色の2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)の析出粒子が付着していた。
次いで、析出粒子が付着した粘着剤(6)層に表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼付け、析出粒子を粘着剤層に押し込んで、両面粘着テープ11を得た。
【0132】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ11を用いて、両面粘着テープ11の粘着剤(6)層をシリコンウエハに貼り付け、析出粒子が付着した粘着剤(6)層をガラス板に貼り付けた以外は実施例1と同様にして、シリコンウエハをガラス板に固定して研磨工程を行った。
紫外線を1分間照射した後、シリコンウエハを固定してガラス板を両面粘着テープから剥離した。なお、ガラス板は、両面粘着テープから発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。次いで、紫外線を更に1分間照射した後、両面粘着テープの端をつかみ引き剥がすようにして両面粘着テープを剥離し、最後にダイシング工程を行った。
【0133】
(実施例12)
<粘着剤の調製>
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン100重量部混合して、光分解性アジド化合物を含有する粘着剤(9)を調整した。
【0134】
<両面粘着テープの作製>
粘着剤(9)の酢酸エチル溶液を表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(9)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0135】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施された片面に離型処理の施されたエンボスPETの凹凸模様側の面を強く押しつけながら貼り付けた。これにより、粘着剤(1)層の表面に凹凸模様が転写された。
【0136】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0137】
次いで、粘着剤(1)層を設けたコロナ処理を施したPETフィルムの粘着剤(1)層のないコロナ処理を施した面と、粘着剤(1)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。
【0138】
この両面粘着テープのエンボス加工が施されていない側の粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(2)層が形成された表面に離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(2)層と貼り合わせた。これにより表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護され、一方の面にエンボス加工が施された粘着剤(1)層が形成されており、他方の面に粘着剤(1)層の表層部分に粘着剤(9)からなるプライマー層が形成された両面粘着テープ12を得た。
【0139】
<ICチップの製造>
両面粘着テープ12の粘着剤(9)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに貼り付けた。次に、エンボス加工が施された粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20cmのガラス板に貼り付けた。
実施例1と同様にして研磨工程、UV照射工程、ウエハの剥離工程、及び、ダイシング工程を行い、ICチップを得た。なお、ウエハの剥離工程において、両面粘着テープは、発生した気体により押し上げられて浮き上がり、自ら剥離していた。
【0140】
(ICチップの製造における各両面粘着テープの性能評価)
実施例で作製したいずれの両面粘着テープを用いた場合も、支持板との接着において接着面に気泡の巻き込みは観察されず接着直後から強い粘着力が得られ、研磨面が平滑なシリコンウエハを得ることができた。なお、気体発生剤を含有する粘着剤は粘着力の低下が特に著しく、シリコンウエハやガラス板を簡単に剥離することができた。
更に、先にガラス板を剥離した実施例4、9、10及び11では、きわめて容易にシリコンウエハから両面粘着テープを剥離することができた。
【0141】
【発明の効果】
本発明によれば、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行え、更に、剥離が容易な両面粘着テープ及びそれを用いたICチップの製造方法を提供できる。

Claims (2)

  1. 剥離時に光を照射することにより厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであっても破損することなく剥離可能な両面粘着テープであって、
    少なくとも一方の面に光照射により気体を発生する気体発生剤を含有する、光照射により弾性率が上昇する粘着剤からなる粘着剤層を有し、
    前記気体発生剤は、前記粘着剤層中に溶解しており、
    前記気体発生剤は、下記式(1)で表されるアゾアミド化合物である
    ことを特徴とする両面粘着テープ
    Figure 0005006497
    前記式(1)中、R 及びR は、それぞれ同一又は異なる低級アルキル基を表し、R は、炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。
  2. 請求項1記載の両面粘着テープを被着体から剥離する方法であって、光照射により粘着剤層の弾性率を上昇させ、かつ、気体発生剤から気体を発生させることにより、気体を粘着剤層の外へ放出して被着体を剥離することを特徴とする両面粘着テープの剥離方法。
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