第1の発明は、複数の食器の周端部を重ね方向に沿って支持する複数の支持体と、前記複数の食器の先頭に位置する食器の表面側と最後尾に位置する食器の裏面側の位置を規制する位置規制部材を有し、表面側と裏面側を水平方向に重ねた複数の食器を、重ね方向に沿った移動および姿勢変化を所定範囲内で自在となるように収納するとともに、前記少なくとも一つの支持体の食器の周端部への当接位置を調節可能とした食器の収納具としたものである。
これによって、従来のように個々の食器の周端部を支持する必要がなく、寸法にばらつきのある食器、外縁同士のピッチが小さく近接した食器、喫食後の残飯、肉片等の固形物が付着した食器を、積み重ねてそのまま収納具に挿入、収納することができる。また複数の食器の個々の嵌め込み具合の確認も不要となり、複数の食器の収納および取り出しを極めて容易にして収納性を向上させることができる。
さらに、従来は個々の食器の周端部を支持するため、支持部材による食器へ応力がかかることがあり、収納および取り出し、持ち運び、車両による運搬等のときに食器を破損する恐れがあった。これに対して本発明の収納具は、個々の食器の周端部を支持する必要がないので前記のような破損を生じることがない。
また、積み重ねた食器の全長に対して所定スペースだけ与えて収納すればよく、複数の食器をコンパクトに収納して、収納具自体の小型化、軽量化を図ることができる。さらに構造の簡素化により、収納具に収納した複数の食器へ噴射する洗浄水の流れに対して妨げとなる構成要素が少なく、複数の食器の洗浄を確実に行うことができる。また収納具自体の洗浄も確実に行うことができるとともに、複数の食器の汚れ成分が引っかかり収納具に残ってしまうこともない。このように収納具の構成を簡素化するとともに食器の収納性を向上させることができる。
さらに、所定範囲にある径方向の大きさの異なる食器を一つの収納具に収納可能とすることができる。したがって、所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した個々の収納具(食器篭)を必要とせず、食器の収納具の数を削減するとともに、取り扱いを簡素化することができる。さらに使用する食器の変更・新規食器への更新に対して、迅速に対応することができる。
第2の発明は、第1の発明において、支持体の両端を固定する側方部材を備え、側方部材への支持体の固定位置を変えて、前記支持体の食器の周端部への当接位置を調節する食器の収納具としたものである。これによって、同一の支持体の固定位置を変えるのみで所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した食器の収納具とすることができる。
第3の発明は、第1の発明において、支持体の両端を固定する側方部材を備え、外径の異なる支持体を側方部材へ着脱させて食器の周端部への当接位置を調節する食器の収納具としたものである。これによって、外径の異なる支持体を付け替えるのみで所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した食器の収納具とすることができる。
第4の発明は、第1の発明において、支持体の外周に調節部材を着脱させて食器の周端部への当接位置を調節する食器の収納具としたものである。これによって、支持体の外周に前記支持体の外径よりも大きな調節部材を着脱させるのみで所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した食器の収納具とすることができる。
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明において、複数の食器の重ね方向に食器位置調節部材を設けて、先頭に位置する食器の表面側と最後尾に位置する食器の裏面側を規制する位置間の距離を調節可能とした食器の収納具としたものである。これによって、食器の収納数の変動に対して、簡単な手段によって先頭に位置する食器の表面側と最後尾に位置する食器の裏面側を規制する位置間の距離を調節可能とし、食器の収納数が変動しても食器の姿勢を安定化させることができる。また食器の収納具の共用化をより図ることができ、収納数別に用意する食器の収納具の種類を削減することができるとともに、食器の収納数の変動に対して、収納具全体の変更の必要がなく柔軟に対応することができる。
第6の発明は、第5の発明において、食器位置調節部材を支持体に備えた食器の収納具としたものである。これによって、食器位置調節部材を簡単に装着することができる。
第7の発明は、第5の発明において、食器位置調節部材を複数の食器を重ね方向に移動可能とした食器の収納具としたものである。これによって、食器の収納数のより多くの変動に対応することができる。
第8の発明は、第5〜第7のいずれかの発明において、食器位置調節部材を着脱自在とした食器の収納具としたものである。これによって、食器位置調節部材の必要性に応じて簡単に対応することができる。
第9の発明は、第1〜第8のいずれかの発明において、互いに隣り合う食器を接触させて鉛直面に対して所定角度傾斜した姿勢で複数の食器を収納する食器の収納具としたものである。
これによって、個々の食器を支持し、この支持機構を操作して複数の食器を傾斜させる必要がなく、収納具を水平方向にするだけで複数の食器が傾斜した姿勢となるので、洗浄時における操作作業を簡素化することができる。さらに複数の食器の姿勢を安定化させた状態で洗浄装置に投入、搬送することができる。
第10の発明は、第9の発明において、互いに隣り合う食器の下方側の周端部の間隔を、上方側の周端部の間隔よりも広くなるようにして複数の食器を収納する食器の収納具としたものである。
これによって、複数の食器の姿勢をより安定化させた状態で洗浄装置に投入、搬送することができる。また洗浄後に保管する際、食器の表面側と裏面側に付着した洗浄水が流出しやすく乾燥をより早めることができる。
第11の発明は、前記第1〜第10のいずれかの発明の食器の収納具を用いた食器の洗浄方法であって、前記食器の収納具に収納した複数の食器の周端部にノズルから洗浄水を重ね方向に沿って順次噴射し、前記ノズルから噴射した洗浄水により、接触した互いに隣り合う食器を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の食器の洗浄を順次行うことを特徴とする食器の洗浄方法としたものである。
従来例のように個々の食器の周端部を支持、拘束せずに、所定範囲内で重ね方向の移動および姿勢変化を自在にして収納し、この周端部に重ね方向に沿って順次噴射する。これによって個々の食器が洗浄水の流動に瞬時に追従して動いて揺動し、互いに隣り合う食器が接触状態と離れた非接触状態を順次繰り返しながら離間する。前記洗浄水が離間した間隔内を流動して汚れを確実に除去するとともに、離間した間隔の形成を保持することがでる。
また、互いに隣り合う食器が接触状態と離れた非接触状態を順次繰り返しながら、食器が複数の支持体に沿って移動、揺動し、さらに互いに隣り合う食器が早い速度で接触しあうことになる。この移動および接触時の反動によって食器に付着した汚れを除去することができ、残渣物の剥離を促進して洗浄性能をより高めることができる。さらに食器の周端部が移動することによって周端部部分および収納具の支持体の汚れも確実に除去することができる。
このように、個々の食器の周端部の支持を不要とし、且つ互いに隣り合う食器の間に洗浄水が流動するに必要な所定スペースを有して複数の食器を収納具に収納すればよく、収納具を小型化することができる。これにより洗浄装置に、同時により多くの収納具を投入して洗浄することができる。また前記したように互いに隣り合う食器が瞬時に離間し、且つ汚れを確実に除去することができる。したがって収納具にコンパクトに収納した被洗浄物である食器の汚れを確実にかつ効率的に除去することができるものである。
さらに、所定範囲にある径方向の大きさの異なる食器を一つの収納具に収納可能とすることができる。したがって、所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した個々の収納具(食器篭)を必要とせず、食器の収納具の数を削減するとともに、取り扱いを簡素化することができる。さらに使用する食器の変更・新規食器への更新に対して、迅速に対応することができる。
第12の発明は、第11の発明において、ノズルから噴射した洗浄水により、所定角度傾斜した姿勢で収納した食器を鉛直方向の姿勢に変化させて接触した互いに隣り合う食器を離して離間させる食器の洗浄方法としたものである。
これによって、互いに隣り合う食器を確実に離間させるとともに洗浄水が食器の表面および裏面に必ず接触して流動し、さらに鉛直方向へ姿勢を変化させることで汚れ成分の落下を促進して汚れを確実に除去することができる。
第13の発明は、第11または12の発明において、食器の周端部に複数のノズルから洗浄水を重ね方向に沿って順次噴射する食器の洗浄方法としたものである。
これによって、食器の姿勢を安定させた状態で離間させるとともに、十分な洗浄水が離間した間隔に入り込み汚れを確実に除去することができる。
第14の発明は、第13の発明において、複数のノズルから互いに交差する方向に洗浄水を噴射する食器の洗浄方法としたものである。
これによって、複数のノズルからの洗浄水が衝突流となって拡散し、洗浄水の噴射の無い周端部側から外方に排出する高速の洗浄水流を形成し、汚れを確実に除去することができる。
第15の発明は、前記第1〜第10のいずれかの発明の食器の収納具を用いた食器の洗浄装置であって、前記食器の収納具に収納した複数の食器の周端部に洗浄水を噴射するノズルを備え、前記食器の収納具に収納した食器の重ね方向に沿って洗浄水を順次噴射し、接触した互いに隣り合う食器を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の食器の洗浄を順次行うことを特徴とする食器の洗浄装置としたものである。
従来例のように個々の食器の周端部を支持、拘束せずに、所定範囲内で重ね方向の移動および姿勢変化を自在にして収納し、この周端部に重ね方向に沿って順次噴射する。これによって個々の食器が洗浄水の流動に瞬時に追従して動いて揺動し、互いに隣り合う食器が接触状態と離れた非接触状態を順次繰り返しながら離間する。前記洗浄水が離間した間隔内を流動して汚れを確実に除去するとともに、離間した間隔の形成を保持することがでる。
また、互いに隣り合う食器が接触状態と離れた非接触状態を順次繰り返しながら、食器が複数の支持体に沿って移動、揺動し、さらに互いに隣り合う食器が早い速度で接触しあうことになる。この移動および接触時の反動によって食器に付着した汚れを除去することができ、残渣物の剥離を促進して洗浄性能をより高めることができる。さらに食器の周端部が移動することによって周端部部分および収納具の支持体の汚れも確実に除去することができる。
このように、個々の食器の周端部の支持を不要とし、且つ互いに隣り合う食器の間に洗浄水が流動するに必要な所定スペースを有して複数の食器を収納具に収納すればよく、収納具を小型化することができる。これにより洗浄装置に、同時により多くの収納具を投入して洗浄することができる。また前記したように互いに隣り合う食器が瞬時に離間し、且つ汚れを確実に除去することができる。したがって収納具にコンパクトに収納した被洗浄物である食器の汚れを確実にかつ効率的に除去することができるものである。
さらに、所定範囲にある径方向の大きさの異なる食器を一つの収納具に収納可能とすることができる。したがって、所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した個々の収納具(食器篭)を必要とせず、食器の収納具の数を削減するとともに、取り扱いを簡素化することができる。さらに使用する食器の変更・新規食器への更新に対して、迅速に対応することができる。
第16の発明は、第15の発明において、収納具を、複数の食器の重ね方向に移動させる搬送手段と、前記搬送手段により移動する収納具の搬送方向の複数の位置に、収納具に収納した食器の周端部に洗浄水を噴射するノズルを有する複数の洗浄ゾーンを備え、前記搬送手段による収納具の移動により各々の洗浄ゾーンごとに収納具に収納した食器の重ね方向に沿って洗浄水を順次噴射し、前記各々の洗浄ゾーンのノズルから噴射した洗浄水により、接触した互いに隣り合う食器を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の食器の洗浄を順次行う食器の洗浄装置としたものである。
これによって、各々の洗浄ゾーンごとに、接触した互いに隣り合う食器を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の食器の洗浄を繰り返すことで、食器の汚れをより確実にかつ効率的に除去することができるものである。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1を丸形形状をした皿を食器例として図1〜図19を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例1の食器である皿の洗浄方法を実施する洗浄装置の基本構成を示す正面構成図、図2は図1のA−A線における側断面図、図3は皿の収納具の概観斜視図、図4は図3の収納具の上面図、図5は収納具への支持体の固定を示す一部構成図、図6は他の収納具の概観斜視図、図7は収納具への径の異なる支持体の固定を示す一部構成図、図8は収納具の支持体の外径を調節する調節部材の装着を示す一部構成図、図9は複数の皿を鉛直方向に積み重ねた状態を示す概観図、図10は鉛直方向に積み重ねた皿を収納具に収納した状態を示す正面図、図11は収納具を鉛直方向から水平方向に倒した状態における皿の姿勢を示す図、図12は複数の皿を収納具に収納し、収納具を水平方向にしたときの先頭部に位置する皿の上方側の周端部および最後尾部に位置する皿の上方側の周端部の一部拡大図、図13は食器位置規制部材を支持体に装着し、鉛直方向に積み重ねた皿を収納具に収納した状態を示す正面図、図14は収納具を鉛直方向から水平方向に倒した状態における皿の姿勢を示す図、図15は食器位置規制部材の概観斜視図、図16〜19は洗浄時における皿の離間および姿勢状態変化を示す図である。図30中の実線矢印は収納具14の移動方向(搬送方向)を示す。図1中の実線矢印は収納具14の移動方向(搬送方向)を示す。
図1に示すように、洗浄装置1は、搬送手段であるコンベア2と、コンベア2の下方に位置する仕切部材3により上下方向に区分され、下方部は下部外郭体4によって機器スペース5を構成している。上方部は上部外郭体6によって洗浄スペース7を構成している。また洗浄水を貯留するタンク8からポンプ9によって洗浄水を噴射するノズル10、11を備えている。複数の皿37を収納した収納具14がコンベア2に位置し、図1中の実線矢印方向に所定の速度で移動するものである。なおコンベア2は収納具14に収納した皿37に、ノズル10、11より噴射する洗浄水の妨げにならないようレール状に構成されている。タンク8、ポンプ9、ノズル10、11は配管12、13により接続されている。
図2に示すように、ノズル10、11は、鉛直中心を挟んで互いに所定角度(θ2)を有して配置し、皿37の上半部側より皿37の略中央部に向けて洗浄水を噴射する。またノズル10、11は、図1に示すように鉛直面に対して所定角度(θ1)を有して配置しているものである。さらにノズル10、11の各々と皿37との距離は、皿37の複数の大きさに対応させるため、最も外径の大きい皿37をベースにできるだけ皿37の周端部に近接した位置に配置している。なおノズル10、11の所定角度(θ1)は鉛直面に対して例えば略10度に設定しているものである。
洗浄スペース7には、収納具14の移動方向に沿って皿37を収納した複数の収納具14が所定間隔をおいてコンベア2上に位置し、収納具14に対応した位置に各々ノズル10、11を備えている。また洗浄スペース7は、収納具14の入口側から荒洗浄ゾーン7a、中間洗浄ゾーン7b、仕上げ洗浄ゾーン7cに区分されている。各々の洗浄ゾーンに、洗浄水を貯留するタンク8、ポンプ9、ノズル10、11を一つのユニットとして少なくとも一つ備えているものである。なお洗浄ゾーンの区分およびその数、各々の洗浄ゾーンにおけるタンク8、ポンプ9、ノズル10、11の各々の配置数は一例であって、これに限定されるものではない。
図3の皿37の収納具14の概観斜視図、図4の収納具14の上面図、図5の収納具への支持体の固定を示す一部構成図に示すように、収納具14は主に収納部15、保持部26により構成されている。収納部15はベース板16、枠17を有し、ベース板16と枠17は所定長さの支柱18、19、20、21により一体化されている。さらに断面が円形である棒状の支持体22、23がベース板16と枠17の間に固定されている。また保持部26はベース板27、枠28を有し、ベース板27と枠28は所定長さの支柱29、30、31、32により一体化されている。さらに断面が円形である棒状の支持体33、34がベース板27と枠28の間に固定されている。収納部15の支柱21と保持部26の支柱31の複数個所に回動部材35を設け、収納部15と保持部26を回動自在に構成して保持部26の開閉を可能としてある。さらに保持部26の支柱32にフック部材36を設けて、保持部26を収納部15に対して閉状態したとき各々を固定するようにしたものである。枠17には取手24を設けている。
また、ベース板16と枠17には、支持体22、23を固定する孔16a、16b、16cおよびを孔17a、17b、17c形成し、ベース板27、枠28には支持体33、34固定する孔27a、27b、27cおよび孔28a、28b、28cを形成している。支持体22、23の両端は、孔16a、16b、16cと対向する孔17a、17b、17c間に、また支持体33、34の両端は孔27a、27b、27cと対向する孔28a、28b、28c間に固定する。図5に示すように、支持体22、23、33、34の両端には雌ネジを形成し、ベース板16、枠17またはベース板27、枠28を挟んで止め具25の雄ネジ25aを前記雌ネジに螺合させて、各々の支持体を固定する。
なおベース板16、27と枠17、28が、支持体22、23、33、34の両端を固定する側方部材となる。
図4に示すように、孔16aと17aとの間に支持体22、23を固定するとともに、孔27aと28aとの間に支持体33、34を固定した場合は、実線で示した所定範囲の寸法の内、最も径の小さい皿37を収納する。また、孔16cと17cとの間に支持体22、23を固定するとともに、孔27cと28cとの間に支持体33、34を固定した場合は、破線で示した所定範囲の寸法の内、最も径の大きい皿37を収納する。さらに孔16bと17bとの間に支持体22、23を固定するとともに、孔27bと28bとの間に支持体33、34を固定した場合は、所定範囲の寸法の内、中間の径の大きさの皿37を収納するものである。なお三段階に所定範囲の寸法の皿37を収納するようにしたが、これに限定されるものではなく、さらに多段階に構成してもよい。
図4の構成においては、ベース板16と枠17には、支持体22、23を固定する孔16a、16b、16cおよびを孔17a、17b、17c形成し、ベース板27、枠28には支持体33、34固定する孔27a、27b、27cおよび孔28a、28b、28cを形成させたが、図6に示す他の収納具の概観斜視図においては、支持体22、23、33、34を固定する孔を長孔16d、17d、27d、28dとし、スリット状の長孔の任意の位置で支持体22、23、33、34を固定できるようにしたもので、所定範囲の寸法の皿37の様々な径に応じて収納することができるものである。
図7(a)(b)は収納具14への径の異なる支持体の固定を示す一部構成図で、
図7(a)は標準の外径である支持体22、23、33、34を固定し、図7(b)は図7(a)よりも外径の大きい支持体22、23、33、34を固定したものである。
前記図3、図4に示した孔16cと17cとの間および孔27cと28cとの間に、図7(a)に示す支持体22、23、33、34を各々固定した場合は、所定範囲の寸法の内、最も径の大きい皿37を収納する。また前記図3、図4に示した孔16cと17cとの間および孔27cと28cとの間に、図7(b)に示す支持体22、23、33、34を各々固定した場合は、所定範囲の寸法の内、最も径の小さい皿37を収納するものである。この構成においては、孔16cと17c、27c、28cのみを形成し、複数の外径の異なる複数の支持体22、23、33、34を選択して固定することによって、さらに所定範囲の寸法の皿37の様々な径に応じて収納することができるものである。
なお、前記図3、図4に示した孔16a、16b、16cおよび孔17a、17b、17c、孔27a、27b、27cおよび孔28a、28b、28c、または図6に示す長孔16d、17d、27d、28dを用いて、さらに複数の外径の異なる複数の支持体22、23、33、34を選択して固定することも可能で、この場合にはより広い範囲の径の皿37を収納することができる。
図8は収納具の支持体の外径を調節する調節部材の装着を示す一部構成図で、支持体22、23、33、34の外周に、複数の外径の異なる調節部材22a、23a、33a、34aを挿入する。これによって、支持体の外周に前記支持体の外径よりも大きな調節部材22a、23a、33a、34aを着脱させるのみで所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器を収納する食器の収納具とすることができる。なお前記図3、図4に示した孔16a、16b、16cおよび孔17a、17b、17c、孔27a、27b、27cおよび孔28a、28b、28c、または図6に示す長孔16d、17d、27d、28dを用いて、さらに複数の外径の異なる調節部材22a、23a、33a、34aを選択して固定することも可能で、この場合にはより広い範囲の径の皿37を収納することができる。
また、図3、図6においては、保持部26に支持体33、34を備えるようにしたが、
支持体33、34の間の位置で丸形状の皿37を一つの支持体で支持するようにしてもよい。この構成とした場合は、収納部15の支持体22、23を同一の位置に固定し、前記一つの支持体のみの当接位置を調節可能とすることで、所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器を収納する食器の収納具とすることができる(図示なし)。図3〜図8で説明した各々の手段を適用して、一つの支持体の当接位置を調節することができる。
以上のように、複数の皿37の周端部37cを重ね方向に沿って支持する複数の支持体のうち、少なくとも一つの支持体の皿37の周端部37cへの当接位置を調節可能とすることで、所定範囲にある径方向の大きさの異なる食器を一つの収納具に収納可能とすることができる。したがって、所定範囲にある径方向の大きさが異なる食器に対応した個々の収納具(食器篭)を必要とせず、食器の収納具の数を削減するとともに、取り扱いを簡素化することができる。さらに使用する食器の変更・新規食器への更新に対して、迅速に対応することができる。
次に、食器である皿37の基本的な収納方法について説明する。図9、図10に示すように、喫食後における未洗浄の食器である皿37は、皿37の表面37aを上にして所定個数(例えば20〜40個)鉛直方向(縦方向)に積み重ねる。これを一単位として鉛直方向の姿勢にした収納具14の保持部26を開状態として収納部15に収納する。最下部の皿37の裏面37bの糸底37dがベース板16上に乗り、皿37の周端部37cが支持体22、23に接触するまで押し込んで収納する。この後保持部26を回動させて閉状態とする。このとき皿37の周端部37cが支持体33、34に接触または近接した状態なる。これによって所定個数、鉛直方向に積み重ねた皿37は、支持体22、23、33、34により周端部37cの複数個所が支持される。
また、積み重ねた皿37の先頭(最上部)に位置する皿37の表面37aと、最後尾(最下部)位置する皿37の裏面37b(糸底37を含む)との全長(L1)に対して、先頭(最上部)に位置する皿37の表面37aと枠17、28の内面とに所定のスペース(L2)を有するように収納具14に積み重ねた皿37を収納する。したがって収納具14のベース板16、27の内面と枠17、28の内面との全長(L3)は(L1)に(L2)を加えたものとなる。所定のスペース(L2)は、例えば10〜20ミリメートルに設定する。(S1)は互いに隣り合う皿37の周端部37cの間隔を示す。
皿37を鉛直方向に積み重ね、これを一単位として鉛直方向の姿勢にした収納具14に収納するようにしたが、収納部15を下にして収納具14を水平方向(横方向)の姿勢として、積み重ねた皿37を収納することもできる。
収納具14に複数の皿37を収納した後、収納具14を、収納部15を下にして水平方向の姿勢にして洗浄スペース7のコンベア2上に投入する。収納具14を鉛直方向から水平方向にした際の複数の皿37の姿勢状態を図11に示す。
また、収納具14を水平方向にした際には、先頭に位置する皿37の表面37a側の下部が枠17(位置規制部材)に接触し、最後尾に位置する皿37の裏面37b側の一部がベース板27(位置規制部材)に接触して、両端の位置が規制されている。また収納具14を鉛直方向にして複数の皿37を収納したときの先頭に位置する皿37の表面37aと枠17、28の内面との所定のスペース(L2)に相当する所定範囲において、複数の皿37の周端部37cが支持体22、23、33、34を自由に滑って重ね方向に沿って移動自在に支持されている。
さらに、前記した従来技術のように、支持部材により皿37の個々を支持固定せず、複数の皿37の周端部37cが支持体22、23、33、34を自由に滑って重ね方向に沿って移動自在に支持するとともに、複数の皿37全体の周端部37cおよび先頭に位置する皿37の表面37a側と最後尾に位置する皿37の裏面37b側のみを位置規制部材であるベース板16、27、枠17、28により支持して位置規制するものである。これによって所定のスペース(L2)に相当する所定範囲において、表面37a側と裏面37b側を水平方向に重ねた複数の皿37を、重ね方向に沿った移動および鉛直方向(縦方向)および水平方向(横方向)の姿勢変化を所定範囲内で自在となるようにして収納するものである。
収納具14を水平方向にした際に、皿37の重心が皿37の裏面37b側に位置することによって、複数の皿37は皿37の裏面37b側を下方として周端部37cが支持体22、23、33、34を滑って、複数の皿37は互いにその一部が接触し、折り重なるようにして同方向に所定角度(θ3)に傾斜した姿勢となっている。また、皿37の傾斜角度は、先頭に位置する皿37と最後尾に位置する皿37とで異なり、先頭に位置する皿37の傾斜角度(θ3)を最大とし、最後尾に位置する皿37側方向につれて傾斜角度が徐々に小さくなった状態となる。
また、傾斜した複数の皿37の下方側の周端部37cは支持体22、23に接触し、さらに先頭に位置する皿37の傾斜角度(θ3)を最大とし、最後尾に位置する皿37側方向につれて傾斜角度が徐々に小さくなった状態となっていることから、複数の皿37の上方側の周端部37cの高さは、最後尾に位置する皿37の周端部37cから先頭に位置する皿37の周端部37cにかけて徐々に低くなる状態となっている。この状態では複数の皿37の上方側の周端部37cは支持体33、34に接触せず離れているものである。なお複数の皿37の傾斜角度は、所定のスペース(L2)を一定とした場合、皿37の直径寸法によって異なり、皿37の直径がより大きい場合に傾斜角度(θ3)は小さくなることになる。また、互いに隣り合う皿37の下方側の周端部37cの間隔(S2)は、上方側の周端部37cの間隔(S3)よりも広くなった状態となる。
複数の皿37の上方側の周端部37cの高さは、最後尾に位置する皿37の周端部37cから先頭に位置する皿37の周端部37cにかけて徐々に低くなる状態となっている。これによって図12に示すように、互いに隣り合う皿37の周端部37cの高さ方向に段差(S5)が形成されるとともに、互いに隣り合う皿37は表面37a側と裏面37b側の一部(例えば糸底37d)が接触することによって、周端部37c間に間隔(S3)が形成される。また複数の皿37が折り重なるようにして同方向に所定角度(θ3)に傾斜した姿勢となっていることから、先頭に位置する皿37の上方側の周端部37cと収納具14の枠17との間に間隔(S4)が形成されている。また、図12に示すように、最後尾に位置する皿37の裏面37b側の一部(例えば糸底37d)がベース板16、27に接触することによって、最後尾に位置する皿37の上方側の周端部37cとベース板16および27との間に間隔(S6)が形成されている。
次に、図13〜図15を用いて、食器位置調節部材100を支持体22、23、33、34に装着して、先頭に位置する皿37の表面側と最後尾に位置する皿37の裏面側を規制する位置間の距離を調節可能として複数の皿37を収納した例を説明する。
食器位置調節部材100は、例えばシリコンゴム等の弾性を有する材料で構成し、挿入口100aを支持体22、23、33、34の円周方向からに挿入して軸孔100b部分で保持させて装着する。食器位置調節部材100が弾性を有することから、支持体22、23、33、34に着脱自在に装着することができるとともに、支持体22、23、33、34の軸長方向にも移動させることができるように構成しているものである。
なお、食器位置調節部材100は、シリコンゴム等の弾性を有する材料で構成した例で説明したがこれに限定されるものではない。樹脂成型品、金属加工品としネジ等で固定してもよい。
学校給食に用いる収納具14は、前記したように皿37の収納数を20〜40個とするが、この収納数の範囲において、例えば定格の収納数を15個、20個、25個、30個、35個、40個とした収納具14を用意し、クラス別の生徒数に応じて定格の収納数の異なる収納具14を組み合わせて用いる。前記のように収納具14を組み合わせて用いるが、クラスの生徒数の若干の変動によって、皿37の収納数も変動する場合がある。皿37の収納数を例えば20個を収納具14の定格の収納数として設定した場合、生徒数が減少したときには、収納具14に収納する皿37の収納数も減少し、前記した所定のスペース(L2)が大きくななる。これによって収納具14を水平方向にしたときに複数の皿37の傾斜角度が大きくなり収納具14内での複数の皿37の姿勢がばらつくとともに不安定となって、後述する洗浄時に互いに隣り合う皿37を洗浄水によって確実に離間させることができなくなることが生じる。
このため、例として図13、図14に示すように、20個を定格の皿37の収納数として設定した収納具14内に、例えば収納数が2個減少したときに食器位置調節部材100を用いて、前記所定のスペース(L2)を最適寸法に調節するものである。皿37の周端部37cの2個分の間隔(ピッチ)に相当する位置に、食器位置調節部材100を支持体22、23、33、34に装着し、図10に示す20個を定格の皿37の収納数として収納した場合と所定のスペース(L2)を同一に調整する。この場合は食器位置調節部材100が先頭に位置する皿37の表面側37aの位置規制部材17、28の機能を備えることになる。なお(L1−2N)は、収納数が2個減少したときの積み重ねた皿37の先頭(最上部)に位置する皿37の表面37aと、最後尾(最下部)位置する皿37の裏面37bとの全長を示す。
これによって、食器の収納数の変動に対して、簡単な手段によって先頭に位置する食器の表面側と最後尾に位置する食器の裏面側を規制する位置間の距離を調節可能とし、食器の収納数が変動しても食器の姿勢を安定化させることができる。また食器の収納具の共用化をより図ることができ、収納数別に用意する食器の収納具の種類を削減することができるとともに、食器の収納数の変動に対して、収納具全体の変更の必要がなく柔軟に対応することができる。
さらに、食器位置調節部材100を支持体22、23、33、34に備えることによって、食器位置調節部材を簡単に装着することができる。また食器位置調節部材100を複数の食器を重ね方向に移動可能とすることによって、食器の収納数のより多くの変動に対応することができる。また食器位置調節部材100を着脱自在としたことによって、食器位置調節部材100の必要性に応じて簡単に対応することができる。
また、収納する食器の径方向の大きさが異なると同時に、形状も変わる場合がある。これによって周端部37c間のピッチ、食器の重ね方向の寸法も変わることになり、前記所定のスペース(L2)を最適寸法に調節する必要が生じる。これに対して、食器位置調節部材100を有することによって、先頭に位置する食器の表面側と最後尾に位置する食器の裏面側を規制する位置間の距離を調節可能とすることで、前記所定のスペース(L2)を最適寸法に簡単に調節することができる。
また本実施例においては、断面が円形である棒状の支持体22、23、33、34と皿37の周端部37cとはほぼ点接触となり滑り抵抗を減少させることができる。支持体22、23および33、34は、平滑性のよい加工表面または少なくとも表面が樹脂等であることが好ましく、この場合には支持体22、23および33、34と皿37の周端部37cとの滑り性を良くして皿37の移動をスムーズにし、洗浄時における互いに隣り合う皿37の離間動作と姿勢変化をより確実に行うことができる。なお断面が円形である棒状の支持体としたが板状のものを用いてもよい。
なお、食器を収納した後の収納具は、容易に持ち運びができ、また洗浄装置への投入、搬出作業が容易にできるように考慮する必要がある。このため食器の種類、形状、質量等によって異なるが、特に総質量の面から収納具14へ収納する皿37の個数は例えば20〜40個程度が好ましい。
また、収納具14の支持体22、23および33、34の数、断面形状、配置位置等は、実施例に限定されるものではなく、食器の形状、大きさ、質量、材質等によって、洗浄時の食器の傾斜姿勢および傾斜姿勢から鉛直方向への移動の安定性を考慮して最適条件に設定すればよい。実施例においては、収納部15を下にして収納具14を水平方向(横方向)の姿勢にして洗浄を行うので、複数の食器の質量を収納部15の支持体22、23が受けて支持することになる。したがって収納部15の支持体22、23の数を保持部26の支持体33、34の数よりも多くしてもよく、この場合には安定性をより向上させることができる。
本発明の食器の収納具14の基本構成は、複数の皿37の周端部37cが支持体22、23、33、34を自由に滑って重ね方向に沿って移動自在に支持するとともに、先頭に位置する皿37の表面37a側と最後尾に位置する皿37の裏面37b側のみの位置を位置規制部材であるベース板16、27および枠17、28により規制して、表面37a側と裏面37b側を水平方向に重ねた複数の皿37を、重ね方向に沿った移動および鉛直方向の姿勢変化を所定範囲内で自在となるように収納するものである。
これによって、従来のように個々の食器の周端部を支持する必要がなく、寸法にばらつきのある食器、外縁同士のピッチが小さく近接した食器、喫食後の残飯、肉片等の固形物が付着した食器を、積み重ねてそのまま収納具に挿入、収納することができる。また複数の食器の個々の嵌め込み具合の確認も不要となり、複数の食器の収納および取り出しを極めて容易にして収納性を向上させることができる。
さらに、従来は個々の食器の周端部を支持するため、支持部材による食器へ応力がかかることがあり、収納および取り出し、持ち運び、車両による運搬等のときに食器を破損する恐れがあった。これに対して本発明の収納具は、個々の食器の周端部を支持する必要がないので前記のような破損を生じることがない。
また、積み重ねた食器の全長に対して所定スペースだけ与えて収納すればよく、複数の食器をコンパクトに収納して、収納具自体の小型化、軽量化を図ることができる。さらに構造の簡素化により、収納具に収納した複数の食器へ噴射する洗浄水の流れに対して妨げとなる構成要素が少なく、複数の食器の洗浄を確実に行うことができる。また収納具自体の洗浄も確実に行うことができるとともに、複数の食器の汚れ成分が引っかかり収納具に残ってしまうこともない。このように収納具の構成を簡素化するとともに食器の収納性を向上させることができる。
収納具14を水平方向(横方向)にした際に、皿37の重心が皿37の裏面37b側に位置することによって、複数の皿37は、裏面37b側を下方として周端部37cが支持体22、23、33、34を滑って、複数の皿37は互いにその一部が接触し、折り重なるようにして同方向に所定角度(θ3)に傾斜した姿勢となるものである。このように個々の皿37を支持し、この支持機構を操作して複数の皿37を傾斜させる必要がなく、収納具14を水平方向にするだけで複数の皿37が傾斜した姿勢となるので、洗浄時における操作作業を簡素化することができる。さらに複数の皿37の姿勢を安定化させた状態で洗浄装置に投入、搬送することができる。
また、互いに隣り合う皿37の下方側の周端部37cの間隔を、上方側の周端部37cの間隔よりも広くなるようにして複数の皿37を収納する。これによって、複数の皿37の姿勢をより安定化させた状態で洗浄装置に投入、搬送することができる。また洗浄後に保管する際、皿37の表面37a側と裏面37b側に付着した洗浄水が流出しやすく乾燥をより早めることができる。
次に、図16〜19に基づいて、前記収納具に収納した食器の基本的な洗浄の動作、その作用および洗浄における食器の姿勢状態変化を説明する。なお図中において、Wは噴射された洗浄水の流れを示す。
図16(a)は、移動方向における先頭に位置する収納具14に収納された皿37の表面37aの洗浄状態を示す。ノズル10、11から間隔(S4)部分に洗浄水を噴射する。これによってノズル10、11からの洗浄水が皿37の表面37a部において衝突流となって拡散し汚れを除去するものである。特に皿37の表面37a部と枠17、28との間で洗浄水が跳ね返りながら表面37a部に当たることによって汚れを確実に除去するものである。
図16(a)の状態においては、複数の食器37は所定角度に傾斜した姿勢であるが、ノズル10、11からの洗浄水が皿37の表面37aへの動圧を与え、また皿37の表面37a部と枠17、28との間隔を上方から下方へ洗浄水が流動することによって、図16(b)に示すように、皿37の表面37aの下部が枠17、28から離れて離間し、先頭から最後尾に位置する複数の皿37が所定角度に傾斜した姿勢から略鉛直姿勢に変化する。さらに皿37の表面37a部と枠17、28との間隔を上方から下方へ洗浄水が流動し、皿37の表面37aの汚れを除去するものである。
図17(a)は、図16(b)の状態から固定配置したノズル10、11に対し、コンベア2により収納具14が移動して、洗浄水が先頭に位置する皿37の周端部37cに当たっている状態を示す。ノズル10、11から噴射する洗浄水は、所定の幅を有し、また洗浄水はその中央部の流速が外周部の流速よりも早い速度分布となっている。さらに周端部37cの厚さ(幅)は小さく、所定の曲率を有する構造となっている。これらによって洗浄水は皿37の周端部37cに当たるとき周端部37cの両側に分流され、この分流量の割合は収納具14の移動によりごく短時間に変化することになる。なおノズル10、11から噴射する洗浄水の収納具14の移動方向における幅は細く絞る必要はなく、例えば互いに隣り合う皿37の周端部37のピッチ寸法程度でよい。
したがって、収納具14の移動により先頭に位置する皿37の周端部37cから枠17、28側への洗浄水の分流成分の量が、先頭に位置する皿37の周端部37cから隣り合う二番目の皿37側への洗浄水の分流成分の量よりも多いときは、皿37の表面37a部と枠17、28は図16(b)に示す離間した状態にある。
さらに、収納具14の移動により先頭に位置する皿37の周端部37cから隣り合う二番目の皿37側への洗浄水の分流成分の量が、先頭に位置する皿37の周端部37cから枠17、28側への洗浄水の分流成分の量よりも多くなると、上方側の周端部37cの間隔(S3)に入り込んだ洗浄水の動圧および静圧が、先頭に位置する皿37の裏面37bおよび二番目の皿37の表面37aに作用してこれらを押し広げ、図17(b)に示すように先頭に位置する皿37は、枠17、28側へ支持体22、23、33、34を周端部37cが滑って移動して枠17、28へ接触し、同時に先頭に位置する皿37と隣り合う二番目の皿37とが接触した状態から離れて離間する。
前記離間した間隔内を洗浄水が上部から下部方向および上部から横方向に流動し、先頭に位置する食器37の裏面37bおよび二番目の食器37の表面37aの汚れを除去して洗浄するものである。洗浄水が離間した間隔内を流動するとき、食器37の表面37aおよび裏面37bの汚れを確実に除去するとともに、離間した間隔の形成を保持することができる。
前記したように、分流量の割合は収納具14の移動によりごく短時間に変化することから、図16(a)から図17(b)に示す状態の移行はほぼ瞬時に行われ、収納具14に収納した複数の皿37は略鉛直姿勢を維持したままの状態となる。図17(b)に示す状態において、洗浄水の流動により先頭に位置する皿37の裏面37bと隣り合う二番目の皿37の表面37aの汚れを除去するものである。
図17(a)、(b)に示す状態において、収納具14に収納した複数の皿37は略鉛直姿勢を維持したままの状態となることから、所定角度((θ3)傾斜して収納した状態での上方側の周端部37cの間隔(S3)は、皿37を鉛直方向に積み重ねて収納具14に収納したときの周端部37cの間隔(S1)とほぼ同一となる。これによって互いに隣り合う皿37の上方側の周端部37cの間隔が広くなり、洗浄水がより互いに隣り合う皿37の周端部37cの間隔に入りやすくなる。
図18(a)は、図17(b)の状態から固定配置したノズル10、11に対し、コンベア2により収納具14が移動して、洗浄水が二番目に位置する皿37の周端部37cに当たっている状態を示す。前記図17(a)、図17(b)における状態変化と同様に、
収納具14の移動により二番目に位置する皿37の周端部37cから先頭に位置する皿37側への洗浄水の分流成分の量が、二番目から隣り合う三番目の皿37側への洗浄水の分流成分の量よりも多いときは、先頭に位置する皿37の裏面37bと二番目に位置する皿37の表面37aは図17(b)に示す離間した状態にある。
さらに、収納具14の移動により二番目に位置する皿37の周端部37cから隣り合う三番目の皿37側への洗浄水の分流成分の量が、二番目に位置する皿37の周端部37cから先頭に位置する皿37側への洗浄水の分流成分の量よりも多くなると、図18(b)に示すように二番目に位置する皿37は先頭に位置する皿37側へ支持体22、23、33、34を滑って移動して先頭に位置する皿37へ接触し、同時に二番目に位置する皿37と隣り合う三番目の皿37とが接触した状態から離れて離間する。
前記したように、分流量の割合は収納具14の移動によりごく短時間に変化することから、図18(a)から図18(b)に示す状態の移行はほぼ瞬時に行われ、収納具14に収納した複数の皿37は略鉛直姿勢を維持したままの状態となる。図18(b)に示す状態において、洗浄水の流動により二番目に位置する皿37の裏面37bと隣り合う三番目の皿37の表面37aの汚れを除去するものである。これ以降、収納具14の移動により前記した同様の動作、作用を繰り返し、収納具14に収納した食器37の洗浄を順次行うものである。
図19(a)は、収納具14の移動により、ノズル10、11からの洗浄水が、最後尾に位置する皿37の裏面37bの位置に移動したときの洗浄状態を示す。ノズル10、11の洗浄水は、最後尾に位置する皿37の裏面37bとベース板16、27との間隔(S6)に入り、収納具14のベース板16、27の面と最後尾に位置する皿37の裏面37bとの間で衝突を繰り返し最後尾に位置する皿37の裏面37bの汚れを除去し洗浄する。収納具14に収納した複数の皿37は、最後尾に位置する皿37の裏面37bが洗浄水に押されていることにより略鉛直方向の姿勢となっているものである。
一般的に食器の表面よりも食器の裏面の汚れは少ないが、前記作用により最後尾に位置する皿37の裏面37bの汚れを確実に除去するものである。なお図16〜18に示した洗浄動作時において、収納具14自体もノズル10、11から噴射した洗浄水および皿37からの洗浄水の流動によって洗浄されるものである
図19(b)は、図19(a)の状態から収納具14の移動により、ノズル10、11からの洗浄水が収納具14のベース板16、27より外れた位置に移動したときの洗浄状態を示す。このときはノズル10、11からの洗浄水が複数の皿37に当たらないので、図11に示すように複数の皿37は収納時と同様に所定角度(θ3)に傾斜した状態に戻ることになる。
以上のように、図16〜19に示した洗浄動作を、荒洗浄ゾーン7a、中間洗浄ゾーン7b、仕上げ洗浄ゾーン7cにおいて行い、収納具14とともに収納した皿37の洗浄を完了する。洗浄を終了した皿37は、収納具14に収納したまま、次工程で例えば乾燥、殺菌等を行い保管されるものである。なお一つの洗浄ゾーンにおいて、収納具14の一方向の移動により図16〜19に示した洗浄動作を複数回行うようにしてもよく、必要に応じて選択する。
本発明の洗浄方法、洗浄装置は、表面37a側と裏面37b側を水平方向に重ねた複数の食器である皿37の周端部37cを重ね方向に沿って複数の支持体22、23、33、34により支持するとともに、前記複数の皿37の内、先頭に位置する皿37の表面37a側と最後尾に位置する皿37の裏面37b側の位置を位置規制部材であるベース板16、27および枠17、28により規制して、複数の皿37を重ね方向に沿った移動および姿勢変化を所定範囲内で自在となるようにして収納具14に収納し、前記収納具14に収納した複数の皿37の周端部にノズル10、11から洗浄水を重ね方向に沿って順次噴射し、前記ノズル10、11から噴射した洗浄水により、接触した互いに隣り合う皿37を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の皿37の洗浄を順次行うものである。
前記したように、皿37の個々ごとに周端部37cを支持、拘束せずに所定範囲内で自由に重ね方向の移動、姿勢変化を自由にして収納し、この周端部37cに重ね方向に沿って順次噴射する。これによって個々の皿37が洗浄水の流動に瞬時に追従して動いて揺動し、互いに隣り合う皿37が接触状態と離れた非接触状態を順次繰り返しながら離間する。前記洗浄水が離間した間隔内を流動するとき、汚れを確実に除去するとともに離間した間隔の形成を保持することがでる。
また、互いに隣り合う皿37が接触状態と離れた非接触状態を順次繰り返しながら、皿37が複数の支持体22、23、33、34に沿って移動、揺動し、さらに互いに隣り合う皿37が早い速度で接触しあうことになる。この移動および接触時の反動によって皿37に付着した汚れを除去することができ、残渣物の剥離を促進して洗浄性能をより高めることができる。さらに皿37の周端部37cが移動することによって周端部37c部分および収納具14自体の汚れも確実に除去することができる。
このように、個々の皿37の周端部37cの支持を不要とし、且つ互いに隣り合う皿37の間に洗浄水が流動するに必要な所定スペースを有して複数の皿37を収納具14に収納すればよく、収納具14を小型化することができる。これにより洗浄装置に、同時により多くの収納具14を投入して洗浄することができる。また前記したように互いに隣り合う皿37が瞬時に離間し、且つ汚れを確実に除去することができる。したがって、収納具にコンパクトに収納した皿37の汚れを確実にかつ効率的に除去することができるものである。
また、本実施例においては、ノズル10、11から噴射した洗浄水により、所定角度傾斜した姿勢で収納した複数の皿37を略鉛直の姿勢に変化させて接触した互いに隣り合う皿37を離して離間させるものである。従来のように個々の皿37を支持して鉛直の姿勢にし、皿37の間に洗浄水を噴射して洗浄する場合には、洗浄水が皿37の表面37aおよび裏面37bに十分接触しないで流動するため、汚れを確実に除去できない恐れがある。これに対して本実施例は、ノズル10、11からから噴射した洗浄水の流動により略鉛直の姿勢にまで変化させるもので、互いに隣り合う皿37を確実に離間させるとともに、洗浄水は、皿37の表面37aおよび裏面37bに必ず接触して流動することになり、さらに略鉛直の姿勢とすることで汚れ成分の落下を促進して汚れを確実に除去することができる。
また、皿37の周端部37cに複数のノズル10、11より洗浄水を重ね方向に沿って噴射することによって、皿37の姿勢を安定させた状態で離間させるとともに、十分な洗浄水が離間した間隔に入り込み汚れを確実に除去することができる。さらに皿37の周端部37cの間隔に複数のノズル10、11から互いに交差する方向に洗浄水を噴射することによって、複数のノズル10、11からの洗浄水が離間した間隔内で衝突流となって拡散し、洗浄水の噴射の無い周端部37c側から外方に排出する高速の洗浄水流を形成し、汚れを確実に除去することができる。なお本実施例においては、各洗浄ゾーンにおいてノズル数を2個としたがこれに限定するものではなく、皿37の外形寸法、形状等により互いに隣り合う皿37の離間および洗浄状態に応じて選択すればよい。
なお、所定スペース(L2)の寸法は、複数の皿37の鉛直面に対する傾斜角度(θ3)、互いに隣り合う皿37の洗浄時における必要な離間距離を考慮し、最適条件に設定すればよい。傾斜角度(θ3)が大き過ぎると皿37の姿勢がばらつき、不安定となり好ましくない。離間距離は、洗浄水が互いに隣り合う皿37の表面37aおよび裏面37bの全面に流動する寸法でよく、大きな距離を必要としない。皿37の種類、形状、寸法、質量等によって異なるが、傾斜角度(θ3)は例えば5〜10度、離間距離は例えば10〜20ミリメートルに設定する。したがって皿37を収納具14にコンパクトに収納し、この状態のまま洗浄することができる。
また、収納具14の移動速度は、洗浄水の噴射量および噴射速度、互いに隣り合う皿37が離間して洗浄水が流動している時間と相関し、皿37の汚れが多い場合には移動速度をより遅くし、汚れが少ない場合には移動速度をより早くすればよく、状況に応じて設定する。通常収納具14の移動速度は例えば分速0.5〜1メートルに設定する。
なお、前記した洗浄状態において、洗浄水により複数の皿37を所定角度傾斜した姿勢から略鉛直姿勢に変化させたが、所定角度(θ3)傾斜した姿勢を若干鉛直方向に変化させ、傾斜した姿勢のまま、互いに隣り合う皿37を接触状態から非接触状態として離間させて洗浄水を流動させて洗浄を行うようにしてもよい。この場合の非接触状態における互いに隣り合う皿37の上方側の間隔は、例えば10ミリメートル以下と狭くなるが、この状態においてもノズル10、11からの洗浄水を皿37の上方側の周端部37cの間隔に入り込ませ、さらに皿37の下方側に抜けるようにして流動させて洗浄することができる。
前記した皿37の所定角度(θ3)傾斜した姿勢から鉛直方向への姿勢の変化角度は、例えばノズル10、11からの洗浄水の量、噴射速度、洗浄スペース7内での収納具14の移動速度等によって調節することができる。ノズル10、11からの洗浄水の量を減少させること、噴射速度を遅くすること、洗浄スペース7内での収納具14の移動速度をより早くすることのうち、少なくともいずれかを調節することによって、鉛直方向への姿勢の変化角度は小さくなる傾向となり、互いに隣り合う食器の上方側の離間した間隔も狭くなる。これは、食器の形状、質量および汚れの程度によって最適条件に設定すればよい。
また皿37の所定角度(θ3)傾斜した姿勢から鉛直方向への姿勢の変化角度を少なくして傾斜したまま洗浄水を噴射する場合には、図12に示すように、互いに隣り合う皿37の周端部37cの高さ方向に段差(S5)が形成されているとともに、ノズル10、11は鉛直面に対して所定角度(θ1)を有して設けていることによって、ノズル10、11から噴射された洗浄水は、段差(S5)部分に当たって捕捉され、皿37の上方側の周端部37cの間隔に入り込み易い状態となる。
前記した段差(S5)部分による洗浄水の捕捉作用により、傾斜した姿勢のまま複数の皿37を順次離間させて洗浄することができる。この場合には収納具14に収納した複数の皿37も傾斜した姿勢となっている。
また、収納具14を、複数の食器の重ね方向に移動させる搬送手段であるコンベア2と、コンベア2により移動する収納具14の搬送方向の複数の位置に、収納具14に収納した食器の周端部に洗浄水を噴射するノズルを有する複数の洗浄ゾーン7a、ゾーン7b、7cを備え、コンベア2による収納具14の移動により各々の洗浄ゾーン7a、ゾーン7b、7cごとに収納具14に収納した食器の重ね方向に沿って洗浄水を順次噴射し、前記各々の洗浄ゾーン7a、ゾーン7b、7cに位置するノズル10,11から噴射した洗浄水により、接触した互いに隣り合う食器を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の食器の洗浄を順次行うものである。
これによって、各々の洗浄ゾーン7a、ゾーン7b、7cごとに、接触した互いに隣り合う食器を離して離間させ、離間した間隔に流入した洗浄水の流動により複数の食器の洗浄を繰り返すことで、食器の汚れをより確実にかつ効率的に除去することができるものである。
なお、図示しないが、収納具14を一方向の移動から駆動手段により往復移動させて皿37の洗浄を行うか、または収納具14を固定し、駆動手段によりノズル10、11を往復移動させて皿37の洗浄を行うことによって、洗浄装置の小型化が可能となり、省スペース化を図ることができる。特に洗浄する皿37の個数の比較的少ない場合に最適である。
なお、丸形状の食器としてお椀があるが、収納具および洗浄方法は前記皿37と同様の構成、洗浄動作、作用、効果となるものである。
次に、食器である四角形状のトレイの収納具および洗浄方法について図20〜図29を参照しながら説明する。洗浄装置はトレイを収納した収納具以外は図1、図2に示したものと同様のものを用いるものである。なお四角形状の食器としては、仕切り皿もあるが洗浄方法としてはトレイとほぼ同様である。
図20はトレイの収納具の概観斜視図、図21は図20の収納具の上面図、図22は複数のトレイを鉛直方向(縦方向)に積み重ねた状態を示す概観図、図23は鉛直方向に積み重ねたトレイを収納具に収納した状態を示す正面図、図24は収納具を鉛直方向から水平方向(横方向)に倒した状態におけるトレイの姿勢を示す図、図25はトレイの周端部の一部拡大図、図26〜図29は洗浄時におけるトレイの姿勢状態変化を示す図である。
図20のトレイ51の収納具38の概観斜視図および図21の収納具38の上面図に示すように、収納具38は収納部39を構成している。収納部39はベース板40、枠41を有し、ベース板40と枠41は所定長さの支柱42、43、44、45により一体化されている。さらに断面が円形である棒状の支持体46、47、48、49がベース板40と枠41の間に固定されている。なおベース板40と枠41が、支持体46、47、48、49の両端を固定する側方部材となる。
また、ベース板40と枠41には、支持体46、47を固定する孔40a、40b、40cおよび孔41a、41b、41cを形成し、支持体46、47の両端は、孔40a、40b、40cと対向する孔41a、41b、41c間に固定する。図5に示した構成と同様に、支持体46、47の両端には雌ネジを形成し、ベース板40と枠41を挟んで止め具25の雄ネジ25aを前記雌ネジに螺合させて、各々の支持体を固定する。なお支持体48、49はベース板40と枠41の定まった位置に螺合または溶接等により固定しているものである。
図21に示すように、孔40aと41aとの間に支持体46、47を固定した場合は、実線で示した所定範囲の寸法の内、短辺間の最も径の小さいトレイ51を収納する。また、孔40cと41cとの間に支持体46、47を固定した場合は、破線で示した所定範囲の寸法の内、短辺間の最も径の大きいトレイ51を収納する。さらに孔40bと41bとの間に支持体46、47を固定した場合は、所定範囲の寸法の内、短辺間の中間径の大きさのトレイ51を収納するものである。
なお、支持体46、47の両方の固定位置を変えるようにしたが、支持体46、47のいずれか一方側にある一つの支持体の固定位置を変えるようにしても大きさの異なるトレイ51を収納することができる。即ち支持体46のみを孔40a、40b、40cと対向する孔41a、41b、41c間のいずれかに固定することによって、大きさの異なるトレイ51を収納することができる。
また、前記図6に示した構成と同様に、スリット状の長孔の任意の位置で支持体46、47を固定できるようにしてもよく、また図7(a)(b)に示した構成と同様に、複数の外径の異なる複数の支持体46、47および48、49を選択して固定するようにしてもよい。さらに図8に示した構成と同様に、支持体46、47および48、49の外周に、複数の外径の異なる調節部材を挿入してもよい。
また、図13〜図15に示した食器位置調節部材100を装着することを同様に実施することができる。トレイ51の収納数の変動に対して、簡単な手段によって先頭に位置するトレイ51の表面側と最後尾に位置するトレイ51の裏面側を規制する位置間の距離を調節可能とし、トレイ51の収納数が変動してもトレイ51の姿勢を安定化させることができる。
また、トレイ51の収納具の共用化をより図ることができ、収納数別に用意するトレイ51の収納具の種類を削減することができるとともに、トレイ51の収納数の変動に対して、収納具全体の変更の必要がなく柔軟に対応することができる。
次に、食器であるトレイ51の基本的な収納方法について説明する。図22、図23に示すように、喫食後における未洗浄の食器であるトレイ51は、トレイ51の表面51aを上にして所定個数(例えば20〜40個)鉛直方向(縦方向)に積み重ねる。これを一単位として縦方向の姿勢にした収納具38の収納部39に収納する。最下部のトレイ51の裏面51bがベース板40上に乗り、トレイ51の周端部51cが支持体48、49に接触するまで挿入口50部分から押し込んで収納する。所定個数縦方向に積み重ねたトレイ51は、支持体46、47、48、49により周端部51cの複数個所が支持され収納するものである。また収納具38に積み重ねたトレイ51を収納した際に、積み重ねたトレイ51の高さ(L4)に対して最上部のトレイ51と枠41とに所定のスペース(L5)を有するように設定しているものである。(S7)は隣り合うトレイ51の周端部51cの間隔を示す。所定のスペース(L5)は、例えば10〜20ミリメートルに設定する。
トレイ51を鉛直方向に積み重ね、これを一単位として鉛直方向の姿勢にした収納具38に収納するようにしたが、収納具38を水平方向の姿勢として、積み重ねたトレイ51を収納することもできる。
なお、収納具38は支柱42、43を手で持って移動させることができるが、取手(図示なし)を設けてもよい。また収納したトレイ51の収納具38からの抜けを防ぐ支持体を設けていないが、収納具14のように開閉する保持部(図示なし)を設けて全周から保持してもよい。
収納具38に複数のトレイ51を収納した後、収納具38を水平方向の姿勢にして洗浄スペース7のコンベア2上に投入する。収納具38を鉛直方向から水平方向にした際の複数のトレイ51の姿勢状態を図24に示す。
前記したように、鉛直方向の収納具38に積み重ねたトレイ51を収納した際に、積み重ねたトレイ51の高さ(L4)に対して最上部のトレイ51と枠41とに所定のスペース(L5)を有するように設定しているものである。先頭のトレイ51の表面51a側の下部が枠41(位置規制部材)に接触し、最後尾のトレイ51の裏面51b側の上部の周端部51cまたはトレイ51の一部がベース板40(位置規制部材)に接触して、両端の位置が規制される。これによって水平方向に重ねた複数のトレイ51を、重ね方向に沿った移動および鉛直方向の姿勢変化を所定範囲内で自在となるように収納するものである。
収納具38を水平方向にした際に、トレイ51の重心がトレイ51の裏面51b側に位置することによって、複数のトレイ51はトレイ51の裏面51b側を下方として周端部51cが支持体46、47、48、49を滑って、互いにその一部が接触し、折り重なるようにして同方向に所定角度(θ4)に傾斜した姿勢となっている。またトレイ51の傾斜角度は、先頭に位置するトレイ51と最後尾に位置するトレイ51とで異なり、先頭に位置するトレイ51の傾斜角度(θ4)を最大とし、最後尾に位置するトレイ51側方向につれて傾斜角度が徐々に小さくなった状態となる。
また、傾斜した複数のトレイ51の下方側の周端部51cは支持体48、49に接触し、さらに先頭に位置するトレイ51の傾斜角度(θ4)を最大とし、最後尾に位置するトレイ51側方向につれて傾斜角度が徐々に小さくなった状態となっていることから、複数のトレイ51の上方側の周端部51cの高さは、最後尾に位置するトレイ51の周端部51cから先頭に位置するトレイ51の周端部51cにかけて徐々に低くなる状態となっている。
また、図25に複数のトレイ51を収納具38に収納し、収納具38を水平方向にしたときの先頭部に位置するトレイ51の上方側の周端部51cおよび最後尾部に位置するトレイ51の上方側の周端部51cの一部拡大図を示す。
複数のトレイ51の上方側の周端部51cの高さは、最後尾に位置するトレイ51の周端部51cから先頭に位置するトレイ51の周端部51cにかけて徐々に低くなる状態となっている。これによって、図25に示すように、互いに隣り合うトレイ51の周端部51cの高さ方向に段差(S10)が形成されるとともに、互いに隣り合うトレイ51は表面51a側と裏面51b側の一部が接触することによって、周端部51c間に間隔(S7)が形成される。
また、複数のトレイ51が折り重なるようにして同方向に所定角度(θ4)に傾斜した姿勢となっていることから、先頭に位置するトレイ51の上方側の周端部51cと収納具38の枠41との間に間隔(S9)が形成されている。また、図25に示すように、最後尾に位置するトレイ51の裏面51b側の一部がベース板40に接触することによって、最後尾に位置するトレイ51の上方側の周端部51cとベース板40との間に間隔(S11)が形成されている。
次に、図26〜29に基づいて、洗浄の動作、作用および洗浄におけるトレイ51の離間および姿勢状態変化を説明する。
洗浄装置は図1、図2と基本構成を同一とし、トレイ51を収納した収納具38を投入して洗浄を行う点のみ異なるものである。なお図中において、Wは噴射された洗浄水の流れを示す。
図26(a)は、移動方向における先頭に位置する収納具38に収納されたトレイ51の表面51aの洗浄状態を示す。ノズル10、11から間隔(S9)部分に洗浄水を噴射する。これによってノズル10、11からの洗浄水がトレイ51の表面51aにおいて衝突流となって拡散し汚れを除去するものである。特にトレイ51の表面51aと枠41との間で洗浄水が跳ね返りながら表面51aに当たることによって汚れを確実に除去するものである。
図26(a)の状態においては、複数のトレイ51は所定角度に傾斜した姿勢であるが、ノズル10、11からの洗浄水がトレイ51の表面51aへ動圧を与え、またトレイ51の表面51aと枠41との間隔を上方から下方へ洗浄水が流動することによって、図26(b)に示すように、トレイ51の表面51aの下部が枠41から離れて離間し、先頭から最後尾に位置する複数のトレイ51が所定角度に傾斜した姿勢から略鉛直姿勢に変化する。さらにトレイ51の表面51aと枠41との間隔を上方から下方へ洗浄水が流動し、トレイ51の表面51aの汚れを除去するものである。
図27(a)は、図26(b)の状態から固定配置したノズル10、11に対し、コンベア2により収納具38が移動して、洗浄水が先頭に位置するトレイ51の周端部51cに当たっている状態を示す。ノズル10、11から噴射する洗浄水は、所定の幅を有し、また洗浄水はその中央部の流速が外周部の流速よりも早い速度分布となっている。さらに周端部51cの厚さ(幅)は小さく、所定の曲率を有する構造となっている。これらによって洗浄水はトレイ51の周端部51cに当たるとき周端部51cの両側に分流され、この分流量の割合は収納具38の移動によりごく短時間に変化することになる。
したがって、収納具38の移動により先頭に位置するトレイ51の周端部51cから枠41側への洗浄水の分流成分の量が、先頭に位置するトレイ51の周端部51cから隣り合う二番目のトレイ51側への洗浄水の分流成分の量よりも多いときは、トレイ51の表面51aと枠41は図26(b)に示す離間した状態にある。
さらに、収納具38の移動により先頭に位置するトレイ51の周端部51cから隣り合う二番目のトレイ51側への洗浄水の分流成分の量が、先頭に位置するトレイ51の周端部51cから枠41側への洗浄水の分流成分の量よりも多くなると、図27(b)に示すように周端部51cの間隔(S7)に入り込んだ洗浄水の動圧および静圧が、先頭に位置するトレイ51の裏面51bおよび二番目のトレイ51の表面51aに作用してこれらを押し広げ、先頭に位置するトレイ51は枠41側へ支持体46、47、48、49を周端部51cが滑って移動して枠41へ接触し、同時に先頭に位置するトレイ51と隣り合う二番目のトレイ51とが接触した状態から離れて離間する。
前記離間した間隔内を洗浄水が上部から下部方向および上部から横方向に流動し、先頭に位置するトレイ51の裏面51bおよび二番目のトレイ51の表面51aの汚れを除去して洗浄するものである。洗浄水が離間した間隔内を流動するとき汚れを確実に除去するとともに、離間した間隔の形成を保持することがでる。
前記したように、分流量の割合は収納具38の移動によりごく短時間に変化することから、図27(a)から図27(b)に示す状態の移行はほぼ瞬時に行われ、収納具38に収納した複数のトレイ51は略鉛直姿勢を維持したままの状態となる。図27(b)に示す状態において、洗浄水の流動により先頭に位置するトレイ51の裏面51bと隣り合う二番目のトレイ51の表面51aの汚れを除去するものである。
図28(a)は、図27(b)の状態から固定配置したノズル10、11に対し、コンベア2により収納具38が移動して、洗浄水が二番目に位置するトレイ51の周端部51cに当たっている状態を示す。前記図27(a)、図27(b)における状態変化と同様に、収納具38の移動により二番目に位置するトレイ51の周端部51cから先頭に位置するトレイ51側への洗浄水の分流成分の量が、二番目から隣り合う三番目のトレイ51側への洗浄水の分流成分の量よりも多いときは、先頭に位置するトレイ51の裏面51bと二番目に位置するトレイ51の表面51aは図27(b)に示す離間した状態にある。
さらに、収納具38の移動により二番目に位置するトレイ51の周端部51cから隣り合う三番目のトレイ51側への洗浄水の分流成分の量が、二番目に位置するトレイ51の周端部51cから先頭に位置するトレイ51側への洗浄水の分流成分の量よりも多くなると、図28(b)に示すように二番目に位置するトレイ51は先頭に位置するトレイ51側へ移動して先頭に位置するトレイ51へ接触し、同時に二番目に位置するトレイ51と隣り合う三番目のトレイ51とが接触した状態から離れて離間する。
前記したように、分流量の割合は収納具38の移動によりごく短時間に変化することから、図28(a)から図28(b)に示す状態の移行はほぼ瞬時に行われ、収納具38に収納した複数のトレイ51は略鉛直姿勢を維持したままの状態となる。図28(b)に示す状態において、洗浄水の流動により二番目に位置するトレイ51の裏面51bと隣り合う三番目のトレイ51の表面51aの汚れを除去するものである。これ以降、収納具38の移動により前記した同様の動作、作用を繰り返し、収納具38に収納したトレイ51の洗浄を順次行うものである。
図29(a)は、収納具38の移動により、ノズル10、11からの洗浄水が、最後尾に位置するトレイ51の裏面51bの位置に移動したときの洗浄状態を示す。ノズル10、11の洗浄水は、最後尾に位置するトレイ51の裏面51bとベース板40との間隔(S11)に入り、収納具38のベース板40の面と最後尾に位置するトレイ51の裏面51bとの間で衝突を繰り返し最後尾に位置するトレイ51の裏面51bの汚れを除去し洗浄する。収納具38に収納した複数のトレイ51は、最後尾に位置するトレイ51の裏面51bが洗浄水に押されていることにより鉛直方向の姿勢となっているものである。
一般的に食器の表面よりも裏面の汚れは少ないが、前記作用により最後尾に位置するトレイ51の裏面51bの汚れを確実に除去するものである。なお図26〜29に示した洗浄動作時において、収納具38自体もノズル10、11から噴射した洗浄水およびトレイ51からの洗浄水の流動によって洗浄されるものである。
図29(b)は、図29(a)の状態から収納具38の移動により、ノズル10、11からの洗浄水が収納具38のベース板40より外れた位置に移動したときの洗浄状態を示す。このときはノズル10、11からの洗浄水が複数のトレイ51に当たらないので、図24に示すように複数のトレイ51は収納時と同様に所定角度(θ4)に傾斜した状態に戻ることになる。
以上のように、図26〜29に示した洗浄動作を、荒洗浄ゾーン7a、中間洗浄ゾーン7b、仕上げ洗浄ゾーン7cにおいて行い、収納具38とともに収納したトレイ51の洗浄を完了する。洗浄を終了したトレイ51は、収納具38に収納したまま、次工程で例えば乾燥、殺菌等を行い保管されるものである。なお一つの洗浄ゾーンにおいて、収納具38の一方向の移動により図26〜29に示した洗浄動作を複数回行うようにしてもよく、必要に応じて選択する。
なお、トレイ51の収納具38およびこの洗浄方法は、先に説明した丸形形状をした皿37を食器例として説明した例と同様の作用、効果が得られるものである。
(実施例2)
以下、本発明の実施例3を図30〜34を参照しながら説明する。図30は本発明の実施例3の食器である皿の洗浄方法を実施する洗浄装置の基本構成を示す正面構成図、図31は図30のB−B線における側断面図、図32〜34は洗浄時における皿の離間および姿勢状態変化を示す図である。図30中の実線矢印は収納具14の移動方向(搬送方向)を示す。
実施例1においては、皿37の上半部から洗浄水を噴射するノズル10、11を配置して洗浄するようにしたが、本発明の実施例3おいては、皿37の下半部から洗浄水を噴射するノズル52、53および上半部から洗浄水を噴射するノズル54、55を配置して洗浄するようにしたものである。なお被洗浄物である食器としては、実施例1で説明した皿37とし、収納具14も実施例1と共通として説明する。実施例1と同一箇所は同一番号を付し説明を省略する。
図30、図31に示すように、ノズル52、53は、鉛直中心を挟んで所定角度(θ5)を有して配置し、皿37の下半部側より皿37の略中央部に向けて洗浄水を噴射する。またノズル52、53は、鉛直面に対して所定角度(θ6)を有して配置しているものである。またノズル54、55は、鉛直中心を挟んで所定角度(θ7)を有し、皿37の上半部側より略鉛直方向に食器37の略中央部に向けて洗浄水を噴射する位置に配置している。なお前記所定角度(θ5)は(θ7)よりも小さい角度に設定している。さらにノズル52、53、54、55の各々と皿37との距離は、皿37の複数の大きさに対応させるため、最も大きい皿37をベースにできるだけ皿37の周端部に近接した位置に配置している。
また、皿37の周端部37cに、ノズル52、53から皿37の下半部側より噴射する洗浄水の水量を、ノズル54、55から皿37の上半部側より噴射する洗浄水の水量よりも多く設定してある。また皿37の下半部側より噴射する洗浄水の噴射速度を、皿37の上半部側より噴射する洗浄水の噴射速度よりも速く設定しているものである。なおノズル52、53から噴射する洗浄水の収納具14の移動方向における幅は細く絞る必要はなく、例えば互いに隣り合う皿37の周端部37のピッチ寸法程度でよい。さらにノズル54、55から噴射する洗浄水の収納具14の移動方向における幅は、ノズル52、53から噴射する洗浄水の幅よりも広く(例えば2〜3倍程度)噴射するものである。
次に、図32〜34に基づいて、洗浄の動作、作用および洗浄における食器の姿勢状態変化を説明する。なお図中において、Wは噴射された洗浄水の流れを示す。図32(a)は、収納具14の移動方向に対して先頭に位置する皿37の洗浄状態を示す。先頭に位置する皿37の表面37aに対し、ノズル54、55から洗浄水を噴射し、この表面の汚れを除去する。このときノズル54、55が所定角度(θ7)を有して配置されていることから皿37の上半部側より互いに交差する方向に洗浄水を噴射する。
これによって、ノズル54、55からの洗浄水が皿37の表面37aにおいて衝突流となって拡散し汚れを確実に除去するものである。またこの状態においては、先頭に位置する皿37の表面37aに対し洗浄水の押し圧力が作用していることにより、複数の皿37は所定角度に傾斜したままの姿勢である。このとき、皿37の下半部側よりノズル52、53から噴射する洗浄水は、先頭に位置する皿37の下方部に到達していない状態である。
図32(b)は、コンベア2により収納具14が移動して先頭に位置する皿37とこれと隣り合う二番目の皿37の下方側の周端部37cの間隔(S2)にノズル52、53からの洗浄水が入り込み、またノズル52、53からの洗浄水の入り込みによって広がった上方側の周端部37cの間隔にノズル54、55からの洗浄水が入り込んで、先頭に位置する皿37の裏面37bと二番目の皿37の表面37aの洗浄を行う状態を示す。
図32(b)において、収納具14の移動により、ノズル52、53からの洗浄水が、先頭に位置する皿37の下方側の周端部37cを過ぎて、先頭に位置する皿37とこれと隣り合う二番目の皿37の下方側の周端部37cの間隔(S2)の位置に移動する。このとき先頭に位置する皿37とこれと隣り合う二番目の皿37の下方側の周端部37cの間隔(S2)に、ノズル52、53から皿37の下半部側より互いに交差する方向に噴射した洗浄水が入り込み洗浄水の上方への流動により、二番目以降の複数の皿37および先頭に位置する皿37が傾斜した姿勢から鉛直方向の姿勢に変化し始める。
これによって、上方側の周端部37cの間隔(S3)も広くなり、ノズル54、55から皿37の上半部側より互いに交差する方向に噴射した洗浄水が入り込む。これにより図32(b)に示すように先頭に位置する皿37は枠17、28側へ支持体22、23、33、34を周端部37cが滑って移動して枠17、28へ接触し、同時に先頭に位置する皿37と隣り合う二番目の皿37とが接触した状態から離れて離間する。
前記した洗浄水の水量、噴射速度が複数のノズル52、53とノズル54、55間で異なることに加え、ノズル52、53は、図30に示すように鉛直面に対して所定角度(θ6)に傾斜して配置していることから、二番目の食器37の下方側の周端部37cおよびこの近傍の皿37の表面37aに衝突して、二番目の皿37に対して速度エネルギーが作用することになり、二番目以降の複数の皿37が、傾斜姿勢から鉛直方向の姿勢により瞬時に移動する。さらに先頭に位置する皿37の裏面37bに、二番目の皿37の表面37aからの洗浄水の跳ね返りにより、先頭に位置する皿37の裏面37bに反力が作用することになり、先頭に位置する皿37も傾斜姿勢から鉛直方向の姿勢により瞬時に変化する。
ノズル52、53からの洗浄水が、先頭に位置する皿37の下方側の周端部37cを過ぎると、図32(a)から図32(b)に示す状態の移行はほぼ瞬時に行われ、収納具14に収納した複数の皿37は略鉛直姿勢を維持したままの状態となる。
また、皿37の周端部37cの間隔に複数のノズル52、53、54、55から互いに交差する方向に洗浄水を順次噴射することによって、十分な洗浄水が間隔に入り込み、隣り合う皿37を順次確実に離間させるとともに、皿37の表面37aと裏面37bの間隔において複数のノズル52、53、54、55からの洗浄水が衝突流となって拡散し、洗浄水の噴射の無い周端部37c側から外方に排出する高速の洗浄水流を形成し、汚れを確実に除去することができる。
図33(a)は、図32(b)の状態からコンベア2により収納具14が移動して、洗浄水が二番目に位置する皿37の周端部37cに当たっている状態を示す。収納具14の移動により二番目に位置する皿37の周端部37cから先頭に位置する皿37側への洗浄水の分流成分の量が、二番目から隣り合う三番目の皿37側への洗浄水の分流成分の量よりも多いときは、先頭に位置する皿37の裏面37bと二番目に位置する皿37の表面37aは図32(b)に示す離間した状態にある。
さらに、収納具14の移動により二番目に位置する皿37の周端部37cから隣り合う三番目の皿37側への洗浄水の分流成分の量が、二番目に位置する皿37の周端部37cから先頭に位置する皿37側への洗浄水の分流成分の量よりも多くなると、図33(b)に示すように二番目に位置する皿37は先頭に位置する皿37側へ移動して先頭に位置する皿37へ接触し、同時に二番目に位置する皿37と隣り合う三番目の皿37とが接触した状態から離れて離間する。
前記したように、分流量の割合は収納具14の移動によりごく短時間に変化することから、図33(a)から図33(b)に示す状態の移行はほぼ瞬時に行われ、収納具14に収納した複数の皿37は略鉛直姿勢を維持したままの状態となる。図33(b)に示す状態において、洗浄水の流動により二番目に位置する皿37の裏面37bと隣り合う三番目の皿37の表面37aの汚れを除去するものである。これ以降、収納具14の移動により前記した同様の動作、作用を繰り返し、収納具14に収納した皿37の洗浄を順次行うものである。
図34(a)は、収納具14の移動により、ノズル52、53、54、55からの洗浄水が、最後尾に位置する皿37の裏面37bの位置に移動したときの洗浄状態を示す。ノズル52、53からの洗浄水は、最後尾に位置する皿37の裏面37bとベース板16、27との間隔(S6)に入り、収納具14のベース板16、27の面と最後尾に位置する皿37の裏面37bとの間で衝突を繰り返し最後尾に位置する皿37の裏面37bの汚れを除去し洗浄する。収納具14に収納した複数の皿37は、最後尾に位置する皿37の裏面37bが洗浄水に押されていることにより鉛直方向の姿勢となっているものである。
一般的に皿37の表面37aよりも皿37の裏面37bの汚れは少ないが、前記作用により最後尾に位置する皿37の裏面37bの汚れを確実に除去するものである。なお図32〜34に示した洗浄動作時において、収納具14自体もノズル52、53、54、55から噴射した洗浄水および皿37からの洗浄水の流動によって洗浄されるものである
図34(b)は、図34(a)の状態から収納具14の移動により、ノズル52、53、54、55からの洗浄水が収納具14のベース板16、27より外れた位置に移動したときの洗浄状態を示す。このときはノズル52、53からの洗浄水が複数の皿37に当たらないので、図11に示すように複数の皿37は収納時と同様に所定角度(θ3)に傾斜した状態に戻ることになる。
以上のように、図32〜34に示した洗浄動作を、荒洗浄ゾーン7a、中間洗浄ゾーン7b、仕上げ洗浄ゾーン7cにおいて行い、収納具14とともに収納した皿37の洗浄を完了する。洗浄を終了した皿37は、収納具14に収納したまま、次工程で例えば乾燥、殺菌等を行い保管されるものである。なお一つの洗浄ゾーンにおいて、収納具14の一方向の移動により図32〜34に示した洗浄動作を複数回行うようにしてもよく、必要に応じて選択する。なお実施例1において説明したトレイ51も同様にして洗浄することができるものである。
なお、図32〜34に示した洗浄動作においては、ノズル52、53から皿37の下半部側より互いに交差する方向に洗浄水を噴射し、さらにノズル54、55から皿37の上半部側より互いに交差する方向に洗浄水を噴射する構成として洗浄を行うようにしたが、ノズル52、53からのみ、皿37の下半部側より互いに交差する方向に洗浄水を噴射して洗浄するようにしてもよい。この場合にはノズル52、53からの洗浄水が皿37の下方側の周端部37cの間隔に入り込み、互いに隣り合う皿37を離間させ、皿37の上方側に抜けるようにして洗浄水を流動させて洗浄することができる。なお先頭に位置する皿37の表面37aの洗浄を行うには、収納具14の枠17、28に開口(図示なし)を設け、この開口部をノズル52、53からの洗浄水を通過させて皿37の表面37aに噴射させればよい。
また、ノズル52、53からの洗浄水により互いに隣り合う皿37を離間させて、皿37の表面37aおよび裏面37bを洗浄水の流動により洗浄するとともに、ノズル54、55からシャワー状の洗浄水を皿37の上方側から噴射させるようにしてもよい。この場合には、洗浄済みの皿37への汚れの再付着を防止することができる。
また、前記した洗浄状態において、洗浄水により複数の皿37を所定角度傾斜した姿勢から略鉛直姿勢に変化させたが、所定角度(θ3)傾斜した姿勢を若干鉛直方向に変化させ、傾斜した姿勢のまま、互いに隣り合う皿37を接触状態から非接触状態として離間させて洗浄水を流動させて洗浄を行うようにしてもよい。この状態においてもノズル52、53からの洗浄水を皿37の下方側の周端部37cの間隔に入り込ませ、さらに皿37の上方側に抜けるようにして流動させて洗浄することができる。
前記した皿37の所定角度(θ3)傾斜した姿勢から鉛直方向への姿勢の変化角度は、例えばノズル52、53からの洗浄水の量、噴射速度、洗浄スペース7内での収納具14の移動速度等によって調節することができる。ノズル52、53からの洗浄水の量を減少させること、噴射速度を遅くすること、洗浄スペース7内での収納具14の移動速度をより早くすることのうち、少なくともいずれかを調節することによって、鉛直方向への姿勢の変化角度は小さくなる傾向となり、互いに隣り合う食器の上方側の離間した間隔も狭くなる。これは、食器の形状、質量および汚れの程度によって最適条件に設定すればよい。
なお、実施例2においても実施例1と同様の作用、効果が得られるものである。
以上のように、本発明の食器の収納具によれば、複数の食器の個々の支持を不要として、構造の簡素化、小型化を図り、食器の収納および取り出しを容易にして収納性を向上させるとともに、所定範囲にある径方向の大きさの異なる食器を一つの収納具に収納可能とすることができる。したがって、径方向の大きさが異なる食器に対応した個々の収納具を必要とせず、食器の収納具の数を削減するとともに、取り扱いを簡素化することができる。さらに使用する食器の変更・新規食器への更新に対して、迅速に対応することができる。また、本発明の食器の洗浄方法、食器の洗浄装置によれば、収納具にコンパクトに収納した食器の汚れを確実にかつ効率的に除去することができる。