JP5005467B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子および光電変換素子を用いた太陽電池に関するものである。
有機物を能動材料として用いた光電変換素子が多く研究されている。その目的は、単結晶、多結晶、アモルファスシリコン、あるいは化合物半導体を用いた光電変換素子では達成が困難とされている、安価で毒性のない光電変換素子を開発するためである。
光電変換素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であるため、変換効率がその主要な評価対象となる。光電流の生成には内部電界の存在が必要であるが、内部電界を生成する方法としていくつかの素子構成が知られている。その代表的なものとして、ショットキー接合、n型無機半導体/p型有機半導体接合を利用したヘテロpn接合、有機/有機ヘテロpn接合を利用した光電変換素子が報告されている。
ショットキー接合を利用した光電変換素子は、金属/半導体接合で生じる内部電界を利用したものであり、有機半導体材料としてメロシアニン色素、フタロシアニン顔料等が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
この素子は、開放電圧(Voc)は大きくとれるが、電極として金属材料が用いられているため、電極の光透過率が低くなる。実際の光透過率は、よくても30%、通常は10%前後である。また、これらの材料は耐酸化性に乏しい。従って、この素子形態では高い変換効率と、安定した特性を作り出すことは望めない。
n型無機半導体/p型有機半導体接合を利用したヘテロpn接合型光電変換素子は、n型無機半導体/p型有機半導体を接合したときに生じる内部電界を利用したものである。n型材料として硫化カドミニウム、酸化亜鉛等が用いられ、p型有機半導体材料としてメロシアニン色素、フタロシアニン等が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
この素子は、電荷生成が主として有機層でなされるため、分光感度の制限を受ける。通常、有機層は単一の材料から形成されるが、幅広く光を吸収する有機半導体が存在しないからである。従って、この素子構成では光入射電極の光透過性や、電極の安定性の問題はクリアできるが、分光感度領域が狭いため、高い変換効率は望めない。
有機/有機ヘテロpn接合を利用した光電変換素子は、電子受容性の有機物と電子供与性の有機物を接合したときに生じる電界を利用したものである。この電子受容性有機物としてはマラカイトグリーン、メチルバイオレット、ピリリウム等の染料、フラバンスロン、ペリレン顔料等の縮合多環芳香族化合物が報告されており、電子供与性有機物としてはフタロシアニン顔料、メロシアニン色素等が報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
この素子の場合には透明電極からの光照射が行え、また、2種の材料で光電荷生成が可能であるため、分光感度も広げることができる。
しかし、非特許文献3に記載の技術は次の様な欠点を有している。前記電子供与性有機物及び電子受容性有機物の光電流、開放電圧、安定性等の特性及び成膜時ピンホールが生じやすいこと等の問題があって未だ十分とは言えない。また記載されている材料が、電子受容性有機物は短波長領域に分光感度を有し、電子供与性有機物は長波長領域に分光感度を有しているため積層する組合せが限定されてしまう。
また例えば、特許文献1には、電子供与性有機物または電子受容性有機物として特定のジイミダゾール化合物を用いる光電変換素子が記載されている。
しかしこの素子構成においても、未だ電子供与性有機物と電子受容性有機物との組合せの最適化は十分とはいえず、さらなる光電変換効率の向上が求められる。また、用いられる材料が低分子化合物であるため、素子作成プロセスにおいては蒸着プロセスが主となり、多量生産や大面積化が容易ではないという課題も残されている。
また、特許文献2には、導電性高分子であるポリチオフェンと増感作用のあるメロシアニン色素を混合した光電変換素子が提案されている。しかしながら、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)に代表されるポリチオフェン類は耐酸素性に劣るため、大気中での取り扱いが困難である。また、用いられているメロシアニン色素類は、銀塩写真用の増感色素として広く知られているものであり、これらの銀塩写真用の増感色素は、感光後速やかに分解するものが好ましく、光電変換素子のように光を連続照射するものには適していない。
また、低コスト化の可能性としてスイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが提案した色素増感太陽電池への期待が高まっている(例えば、特許文献3、非特許文献4、5参照)。この高効率太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。Graetzelらは酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
しかしながら、上記太陽電池はアセトニトリル等の蒸気圧の高い電解液を用いているため、電解液の揮発や漏れに問題があった。この欠点を補うものとして、下記のような完全固体型色素増感型太陽電池の発表が行われている。
〔1〕無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献6、7参照)。
〔2〕低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献4、非特許文献8、9参照)。
〔3〕導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献5、非特許文献10参照)。
上記非特許文献3の太陽電池では、p型半導体層の構成材料としてヨウ化銅が用いられている。しかしながら、ヨウ化銅の結晶粒の増大等を理由とする劣化により、発生電流が低下する問題があった。
そこで、非特許文献4においては、イミダゾリニウム塩を加えることによってヨウ化銅の結晶化を抑制しているが、長期安定性に欠け、更なる耐久性向上が求められている。
前記非特許文献8に記載の有機ホール輸送材料を用いたタイプの固体型太陽電池はHagenらによって報告され、Graetzelらによって改良されている(非特許文献9)。しかしながら、液体電解質に比べて変換効率は非常に低い。
また、特許文献4に記載のトリフェニルアミン化合物を用いた固体型太陽電池は、トリフェニルアミン化合物を真空蒸着して電荷輸送層を形成している。そのため、多孔質半導体の内部空孔へトリフェニルアミン化合物が到達できず、やはり低い変換効率しか得られていない。
導電性高分子を用いたタイプの固体型太陽電池として、大阪大学の柳田らがポリピロールを用いたもの(非特許文献10)を報告している。しかしながら、これらにおいても変換効率は低い。
また、特許文献5記載のポリチオフェン誘導体を用いた固体型太陽電池は、色素を吸着した多孔質酸化チタン電極上で、電解重合法を用いて電荷移動層を設けているが、色素の酸化チタンからの脱着や、あるいは色素の分解を生じる問題がある。また、ポリチオフェンは先にも述べたように耐久性に問題がある。そして、高分子は多孔質酸化チタン内部への浸透が難しいという問題もある。
以上、これまでに検討されてきた完全固体型の光電変換素子は、何れも満足いく特性のものが得られていないのが現状である。
特開平5−21823号公報 特開2004−319705号公報 特許第2664194号 特開平11−144773号公報 特開2000−106223号公報 A.K.Ghoshら、J.Appl.Phys.49,5982(1978) A.Horら、Appl.Phys.Lett.,42.15(1983) C.Tang、Appl.Phys.Lett.,48,183(1986) Nature, 353 (1991) 737 J. Am. Chem. Soc., 115 (1993) 6382 Semicond. Sci. Technol., 10 (1995) 1689 Electrochemistry, 70 (2002) 432 Synthetic Metals, 89 (1997) 215 Nature, 398 (1998) 583 Chem. Lett., (1997) 471
本発明は上記従来の実情に鑑みなされたものであって、その目的は、光電変換効率が高い光電変換素子の製造方法を提供することにある。特に、製造方法においては、湿式法により成膜が可能で、かつ製造が容易であり、ピンホールなどが生じにくく、多量生産や大面積化が容易なことを目的にする。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の〔17〕〜〔21〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明によれば以下の〔1〕〜〔16〕についても提供することができる。
〔1〕:上記課題は、透明電極上に、ホールブロッキング層、光電変換層、電極を順次設けた光電変換素子であって、前記光電変換層が、下記一般式(A−1)あるいは(A−2)で表される少なくとも何れか一方の高分子材料と、下記一般式(A−4)〜(A−8)で表される色素化合物群から選択される少なくとも1種以上の色素化合物とを含有することを特徴とする光電変換素子により解決される。
Figure 0005005467
[式(A−1)、(A−2)中、Ar1、Ar5は、置換もしくは無置換のアルキル基、アリ−ル基、ヘテロ環を表し、Ar2、Ar3、Ar4、Ar6、Ar7は2価の置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。X1、X2、X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
n、m、qは0から2の整数を表す。]
Figure 0005005467
[式(A−4)、(A−5)中、R3〜R9は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボン酸の4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、スルホン酸、スルホン酸の4級アンモニウム塩、スルホン酸の金属塩、ホスホン酸、ホスホン酸の4級アンモニウム塩、ホスホン酸の金属塩、酸性基を有するアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表し、同一であっても異なっていてもよい。X4はハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
式(A−6)中、R10〜R13は水素原子、アルキル基を表す。Ar8は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。X5は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。R14は水素原子、4級アンモニウム塩を表す。
式(A−7)中、R15、R16は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R16とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。R17は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。X6は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。Ar9は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。sは0〜2の整数を表す。
式(A−8)中、R18、R19は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R19とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。Ar10は2価の不飽和炭化水素基を表す。R20は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。X7は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。X8は酸素原子、硫黄原子、ローダニン環を表す。]
〔2〕:上記〔1〕に記載の光電変換素子において前記一般式(A−1)が、下記一般式(A−9)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−9)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。x、y、zは1から3の整数を表す。]
〔3〕:上記〔1〕に記載の光電変換素子において、前記一般式(A−1)が、下記一般式(A−10)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−10)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。u、x、yは1から3の整数を表す。]
〔4〕:上記〔1〕に記載の光電変換素子において前記一般式(A−2)が、下記一般式(A−11)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−11)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
x、y、zは1から3の整数を表す。]
〔5〕:上記〔1〕に記載の光電変換素子において、前記一般式(A−2)が、下記一般式(A−12)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−12)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
u、x、yは1から3の整数を表す。]
上記〔1〕〜〔5〕の構成、すなわち光電変換層に、前記構成単位を有する高分子材料(ホール輸送機能を有する)と前記特定構造の有機色素(電子輸送機能を有する)を含有する構成とすれば、良好な変換効率を示すと共に、分光感度、安定性や耐久性などの特性の良好な光電変換素子が提供される。このような光電変換層は、塗工液を用いて塗布・乾燥する(湿式成膜法)ことにより、容易に製造できるため、コストパフォーマンスに優れている。
〔6〕:上記〔1〕に記載の光電変換素子において、前記ホールブロッキング層が、n型酸化物半導体であることを特徴とする。
〔7〕:上記〔6〕に記載の光電変換素子において、前記n型酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする。
上記〔6〕〜〔7〕のホールブロッキング層に酸化物半導体を用いる構成とすることによって電子移動が効率的となり、更に優れた変換効率を示す光電変換素子が提供される。
〔8〕:上記〔6〕または〔7〕に記載の光電変換素子において、前記n型酸化物半導体が酸化チタンあるいは酸化亜鉛であり、光電変換層に金属化合物を含有することを特徴とする。
〔9〕:上記〔8〕に記載の光電変換素子において、前記金属化合物がハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であることを特徴とする。
上記〔8〕〜〔9〕の金属化合物を含有する構成とすることにより発電効率が向上し、より高い変換効率を示す光電変換素子が提供される。
〔10〕:上記〔6〕または〔7〕に記載の光電変換素子において、前記n型酸化物半導体が、酸化チタンあるいは酸化亜鉛であり、光電変換層に金属化合物、並びに塩基性化合物を含有することを特徴とする。
〔11〕:上記〔10〕に記載の光電変換素子において、前記金属化合物がハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であり、前記塩基性化合物がピリジン環を含有する化合物であることを特徴とする。
上記〔10〕〜〔11〕の金属化合物と塩基性化合物を含有する構成とすることにより、更に優れた変換効率を示す光電変換素子が提供される。
〔12〕:上記〔6〕または〔7〕に記載の光電変換素子において、前記n型酸化物半導体が、酸化チタンあるいは酸化亜鉛であり、前記光電変換層にイオン液体を含有することを特徴とする。
〔13〕:上記〔12〕に記載の光電変換素子において、前記イオン液体がイミダゾリニウム化合物であることを特徴とする。
上記〔12〕〜〔13〕のイオン液体を加える構成とすることにより、光電変換層、あるいは必要により光電変換層上に設けられるホール輸送層のホール輸送機能が向上し、良好な変換効率を示すコストパフォーマンスに優れた光電変換素子が提供される。
〔14〕:上記〔6〕または〔7〕に記載の光電変換素子において、前記n型酸化物半導体が酸化チタンあるいは酸化亜鉛であり、光電変換層にイオン液体、金属化合物、塩基性化合物を含有することを特徴とする。
〔15〕:上記〔14〕に記載の光電変換素子において、前記イオン液体がイミダゾリニウム化合物であり、金属化合物がハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であり、塩基性化合物がピリジン環を含有する化合物であることを特徴とする。
上記〔14〕〜〔15〕のイオン液体、金属化合物、塩基性化合物を含有する構成とすることにより、更に優れた変換効率を示す光電変換素子が提供される。
〔16〕:上記課題は、〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の光電変換素子を用いたことを特徴とする太陽電池により解決される。
上記〔16〕の光電変換素子を用いる構成により、優れた変換効率を示す太陽電池が提供される。
〔17〕:上記課題は、透明電極上に、ホールブロッキング層、光電変換層、電極を順次設けた光電変換素子の製造方法であって、前記光電変換層が、下記一般式(A−1)あるいは(A−2)で表される少なくとも何れか一方の高分子材料と、下記一般式(A−4)〜(A−8)で表される色素化合物群から選択される少なくとも1種以上の色素化合物とを含む塗工液を塗布・乾燥して形成されることを特徴とする光電変換素子の製造方法により解決される。
Figure 0005005467
[式(A−1)、(A−2)中、Ar1、Ar5は、置換もしくは無置換のアルキル基、アリ−ル基、ヘテロ環を表し、Ar2、Ar3、Ar4、Ar6、Ar7は2価の置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。X1、X2、X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
n、m、qは0から2の整数を表す。]
Figure 0005005467
[式(A−4)、(A−5)中、R3〜R9は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボン酸の4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、スルホン酸、スルホン酸の4級アンモニウム塩、スルホン酸の金属塩、ホスホン酸、ホスホン酸の4級アンモニウム塩、ホスホン酸の金属塩、酸性基を有するアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表し、同一であっても異なっていてもよい。X4はハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
式(A−6)中、R10〜R13は水素原子、アルキル基を表す。Ar8は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。X5は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。R14は水素原子、4級アンモニウム塩を表す。
式(A−7)中、R15、R16は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R16とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。R17は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。X6は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。Ar9は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。sは0〜2の整数を表す。
式(A−8)中、R18、R19は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R19とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。Ar10は2価の不飽和炭化水素基を表す。R20は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。X7は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。X8は酸素原子、硫黄原子、ローダニン環を表す。]
〔18〕:上記〔17〕に記載の光電変換素子の製造方法において、前記一般式(A−1)が、下記一般式(A−9)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−9)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。x、y、zは1から3の整数を表す。]
〔19〕:上記〔17〕に記載の光電変換素子の製造方法において、前記一般式(A−1)が、下記一般式(A−10)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−10)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。u、x、yは1から3の整数を表す。]
〔20〕:上記〔17〕に記載の光電変換素子の製造方法において、前記一般式(A−2)が、下記一般式(A−11)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−11)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
x、y、zは1から3の整数を表す。]
〔21〕:上記〔17〕に記載の光電変換素子の製造方法において、前記一般式(A−2)が、下記一般式(A−12)で表されることを特徴とする。
Figure 0005005467
[式(A−12)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
u、x、yは1から3の整数を表す。]
上記〔17〕〜〔21〕の製造方法により、良好な変換効率を示すと共に長期安定性や耐久性、分光感度も良好でコストパフォーマンスに優れた光電変換素子が提供される。
発明の光電変換素子の製造方法によれば、湿式法により容易に皮膜形成(光電変換素子を構成する膜)が可能であり、ピンホールなどが生じにくく、多量生産や大面積化を可能とするため、コストパフォーマンスに優れている。この製造方法により得られる光電変換素子を用いれば各種電気機器や器具の電源装置として有用な太陽電池が提供される。
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係る光電変換素子の構造は、例えば、図1、図2に示す形態で使用される。すなわち、図1は、本発明に係る光電変換素子の構成例を模式的に示す概略断面図である。また、図2は、本発明に係る光電変換素子の別の構成例を模式的に示す概略断面図である。
図1においては、透明絶縁支持体1の上に、透明電極2、ホールブロッキング層3、光電変換層4および電極(背面電極)5を積層し、透明電極2と電極5とにそれぞれリード線6を取り付けたものである。図2では、上記図1に示した光電変換層4と電極(背面電極)5との間にホール輸送層7を設けたものである。図1及び図2における各光電変換層4には、ホール輸送機能を持つ特定の構成単位を有する高分子材料と、電子輸送機能を持つ特定構造の有機色素とを含んでいる。
すなわち、本発明における光電変換素子は、透明電極上に、ホールブロッキング層、光電変換層、電極を順次設けた光電変換素子であって、前記光電変換層が、下記一般式(A−1)あるいは(A−2)で表される少なくとも何れか一方の高分子材料と、下記一般式(A−4)〜(A−8)で表される色素化合物群から選択される少なくとも1種以上の色素化合物とを含有することを特徴とするものである。
Figure 0005005467
[式(A−1)、(A−2)中、Ar1、Ar5は、置換もしくは無置換のアルキル基、アリ−ル基、ヘテロ環を表し、Ar2、Ar3、Ar4、Ar6、Ar7は2価の置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。X1、X2、X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
n、m、qは0から2の整数を表す。]
Figure 0005005467
[式(A−4)、(A−5)中、R3〜R9は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボン酸の4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、スルホン酸、スルホン酸の4級アンモニウム塩、スルホン酸の金属塩、ホスホン酸、ホスホン酸の4級アンモニウム塩、ホスホン酸の金属塩、酸性基を有するアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表し、同一であっても異なっていてもよい。X4はハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
式(A−6)中、R10〜R13は水素原子、アルキル基を表す。Ar8は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。X5は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。R14は水素原子、4級アンモニウム塩を表す。
式(A−7)中、R15、R16は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R16とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。R17は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。X6は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。Ar9は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。sは0〜2の整数を表す。
式(A−8)中、R18、R19は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R19とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。Ar10は2価の不飽和炭化水素基を表す。R20は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。X7は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。X8は酸素原子、硫黄原子、ローダニン環を表す。]
ここで、上記一般式(A−1)、(A−2)におけるAr1、Ar5の具体例としては、メチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、1−ナフチル基等のアリール基、2−フリル基、2−チエニル基、3−n−ヘキシル−2−チエニル基等のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有していても構わない。Ar2、Ar3、Ar4、Ar6、Ar7の具体例としては、メチレン、1,2−エチレン、1,2−ビニレン等の2価のアルキレン基、1,2−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4‘−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン等の2価のアリーレン基、2,5−チエニレン、3,4−チエニレン、2,5’−ビチオフェン−ジイル等のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有してもよい。X1、X2、X3の具体例としては、上述のアルキレン基、上述のアリーレン基、ヘテロ環基、上記一般式(A−3)に表すものを挙げることができる。一般式(A−3)におけるR1、R2の具体例としては、水素原子、上述のアルキル基、上述のアリール基、上述のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有しても構わない。
一般式(A−4)、(A−5)におけるR3〜R9の具体例としては、水素原子、カルボキシル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、4−トリルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等のカルボン酸4級アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム等のカルボン酸の金属塩、スルホン酸基、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等のスルホン酸4級アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム等のスルホン酸の金属塩、ホスホン酸、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等のホスホン酸4級アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム等のホスホン酸の金属塩、上述のアルキル基、上述のアリール基、上述のヘテロ環を挙げることができ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環は置換基を有しても構わない。X4は上述のハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
上記一般式(A−6)におけるR10〜R13の具体例としては、水素原子、上述のアルキル基が挙げられる。Ar8の具体例としては、上述の2価のビニレン基、上述の2価のアリール基、上述の2価のヘテロ環が挙げられる。X5の具体例としては、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、メチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等のアルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、4−トリルスルホニル基等のアリールスルホニル基が挙げられる。R14は水素原子、テトラエチルアンモニウム塩、テトラ−n−ブチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩を表す。
上記一般式(A−7)におけるR15、R16の具体例としては、上述のアルキル基、上述のアリール基、上述のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有してもよい。また、R16とベンゼン環は共同で環を形成しても構わない。R17の具体例としては、水素原子、テトラエチルアンモニウム塩、テトラ−n−ブチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。X6の具体例としては、シアノ基、ニトロ基、上述のハロゲン原子、上述のアルキルスルホニル基、上述のアリールスルホニル基を挙げることができる。Ar9としては、上述のビニレン基、上述の2価のアリール基、上述の2価のヘテロ環を挙げることができる。
上記一般式(A−8)におけるR18、R19の具体例としては、上述のアルキル基、上述のアリール基、上述のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有してもよい。また、R19とベンゼン環は共同で環を形成しても構わない。X7の具体例としては、酸素原子、硫黄原子、セレン原子を挙げることができる。X8の具体例としては、酸素原子、硫黄原子、ローダニン環を挙げることができる。Ar10の具体例としては、メチン基やプロピレン基など炭素数が奇数からなる不飽和炭化水素基を挙げることができる。また、R20の具体例としては、メチル基、エチル基、デシル基などの無置換のアルキル基、あるいはカルボン酸、スルフォン酸、ホスホン酸あるいはこれらのエステル基で置換されたアルキル基を挙げることができる。
前述における各置換基の具体例としては、上述のアルキル基、上述のアリール基、上述のヘテロ環、メトキシ基、エトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等のアルキルチオ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ−p−トリルアミノ基、ジ−1−ナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基、上述のハロゲン原子、シアノ基、トリフロオロメチル基、カルボキシル基等を挙げることができる。
更に、前記一般式(A−1)としては、下記一般式(A−9)、あるいは下記一般式(A−10)で表される高分子材料を用いることが好適である。
Figure 0005005467
[式(A−9)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。x、y、zは1から3の整数を表す。]
Figure 0005005467
[式(A−10)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。u、x、yは1から3の整数を表す。]
上記一般式(A−9)におけるR21、R22、R23の具体例としては、水素原子、上述のアルキル基、上述のアルコキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基、上述のアリール基、上述のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有してもよい。Ar4の具体例としては、上述のアルキレン基、上述のアリーレン基、上述の2価のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有していてもよい。
上記一般式(A−10)におけるR21、R22、R24、R25、R26の具体例としては、水素原子、上述のハロゲン原子、上述のアルキル基、上述のアルコキシ基、上述のアルキルチオ基、上述のアリール基、上述のヘテロ環を挙げることができる。Ar4の具体例としては、上述のアルキレン基、上述のアリーレン基、上述の2価のヘテロ環を挙げることができ、置換基を有してもよい。
更に、前記一般式(A−2)としては、下記一般式(A−11)、あるいは下記一般式(A−12)で表される高分子材料を用いることが好適である。
Figure 0005005467
[式(A−11)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
x、y、zは1から3の整数を表す。]
Figure 0005005467
[式(A−12)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
Figure 0005005467
〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
u、x、yは1から3の整数を表す。]
上記一般式(A−11)における、R21、R22、R23の具体例としては、水素原子、上述のハロゲン原子、上述のアルキル基、上述のアルコキシ基、上述のアルキルチオ基、上述のアリール基、上述のヘテロ環で挙げた例が挙げられ、置換基を有してもよい。X3の具体例としては、上述のアルキレン、上述のアリーレン、上述のヘテロ環、上述の一般式(A−3)で挙げた例が挙げられ、置換基を有してもよい。
上記一般式(A−12)における、R21、R22、R24、R25、R26の具体例としては、水素原子、上述のハロゲン原子、上述のアルキル基、上述のアルコキシ基、上述のアルキルチオ基、上述のアリール基、上述のヘテロ環で挙げた例を挙げることができる。X3の具体例としては上述の2価のアルキレン、上述の2価のアリーレン、上述の2価のヘテロ環、上述の一般式(A−3)で挙げた例が挙げられ、置換基を有してもよい。
本発明で用いられる一般式(A−1)で表される高分子材料の具体例を、下記構造式(B−01)〜(B−22)に、一般式(A−2)で表される高分子材料の具体例を(B−23)〜(B−32)に列挙するが、これら具体例は本発明を制限的に提示しているものでも、限定する意図で開示しているものでもない。また、構造式中の炭素−炭素二重結合はシス体、トランス体の何れでも構わない。
Figure 0005005467
Figure 0005005467
Figure 0005005467
Figure 0005005467
Figure 0005005467
これらの繰り返し単位を含む重合体の製造方法は、例えば、アルデヒドとホスホネートを用いたWittig-Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応、アミンとハロゲン化物を用いたUllmann反応、ボロン酸とハロゲン化物を用いたSuzukiカップリング反応などを用いることができ、公知の方法により製造可能である。
上記一般式(A−1)、(A−2)に示される高分子材料の好ましい分子量はポリスチレン換算数平均分子量で1000〜1000000であり、より好ましくは2000〜500000である。分子量が小さすぎる場合にはクラックの発生等成膜性が悪化し実用性に乏しくなる。また分子量が大きすぎる場合には、一般の有機溶媒への溶解性が悪くなり、溶液の粘度が高くなって塗工が困難になり、やはり実用性上問題になる。
次に、前記一般式(A−4)〜(A−8)で表される色素化合物の具体例を下記構造式(C−01)〜(C−66)に列挙するが、これら具体例は本発明を制限的に提示しているものでも、限定する意図で開示しているものでもない。また、構造式中の炭素−炭素二重結合はシス体、トランス体の何れでも構わない。
Figure 0005005467
Figure 0005005467
Figure 0005005467
Figure 0005005467
Figure 0005005467
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本発明の光電変換素子、いわゆる光起電力素子で用いられる前記透明電極は、可視光に対して、透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用することができる。
例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す。)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す。)、酸化亜鉛、酸化チタンインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物等が挙げられる。これら透明導電性物資の厚さは0.005〜10μmが好ましく、0.01〜2μmが更に好ましい。また、透明電極は一定の強度を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが用いられる。
透明電極と基板が一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛・アルミニウムコートガラス等が挙げられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。これらは単独あるいは2種以上の混合、または積層したものでも構わない。また基板の抵抗を下げる目的で、金属リード線等を用いても構わない。金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
上記の透明電極上に設けるホールブロッキング層は、透明電極と光電変換層あるいはホール輸送層との電子的コンタクトを防ぐ目的で形成するものである。従って、透明電極と光電変換層あるいはホール輸送層が物理的に接触しなければ、ピンホールやクラック等が形成されていても構わない。また、このホールブロッキング層の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。ホールブロッキング層に用いられるものとしては半導体材料が好ましく、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。また、PEDOT−PSSのような導電性高分子を挙げることもできる。
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
ホールブロッキング層の作製方法には特に制限は無く、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、このペーストを透明電極上に塗布する方法が好ましい。
例えば、このペーストを用いて塗膜を形成する(湿式製膜法)場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
ホールブロッキング層は、塗布した後に膜強度の向上や透明電極との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、プレス処理あるいは電子線照射等の処理を行うことが好ましい。これらの処理は単独であってもあるいは二種類以上を行ってもよい。焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限は無いが、温度を上げ過ぎると透明電極の抵抗が高くなることや、基板が溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限は無いが、10分〜10時間が好ましい。また、インピーダンスを低減させる目的で導電助剤を添加してもよい。マイクロ波照射は、光電変換層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。照射時間には特に制限が無いが、1時間以内で行うことが好ましい。プレス処理は、100kg/cm2以上が好ましく、1000kg/cm2が更に好ましい。プレスする時間は特に制限が無いが、1時間以内で行うことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
次に、本発明の光電変換素子においてホールブロッキング層上に設けられる光電変換層は、前記一般式(A−1)あるいは(A−2)で表される少なくとも何れか一方の高分子材料と、前記一般式(A−4)〜(A−8)で表される色素化合物群から選択される少なくとも1種以上の色素化合物との混合物を含む塗工液を塗布・乾燥して形成されるものである(湿式成膜法)。前述のように、光電変換層に含有される高分子材料はホール輸送機能を有するものであり、有機色素は電子輸送機能を有するものであるため、光電変換効率が効果的に向上する。
ここで、高分子材料と色素化合物の混合比は、高分子材料1質量部に対して、色素化合物が0.001質量部以上、5.0質量部以下が好ましく、0.01質量部以上、2.0質量部以下がより好ましい。色素化合物が単独であっても2種以上の混合物であっても構わない。
上記高分子材料及び色素化合物の混合物を、種々の一般的有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒に溶解して塗工液とし、この塗工液を用いて湿式成膜法により、透明電極のホールブロッキング層上に塗布、乾燥して光電変換層を形成することができる。
溶剤は単独、あるいは2種以上を混合して用いることができる。湿式成膜法としては、スピンコート法、ディッピング法、ブレード塗工法、スプレー塗工法、キャスト法、インクジェット法、印刷法等の公知の湿式成膜技術を用いることができる。
また、本発明の光電変換素子においては、光電変換層に各種添加剤を加えても構わない。添加剤としては、金属化合物、イオン液体、塩基性化合物などが挙げられる。
金属化合物の具体例としては、ヨウ素、リチウム、ナトリウム、銅、銀、金、白金などの金属、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫化物、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物などが挙げられる。
イオン液体の具体例としては、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩等のInorg. Chem. 35 (1996) 1168に記載のイオン液体が挙げられる。
塩基性化合物としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物が挙げられる。
また、光電変換層の導電性を更に向上させる目的で、高分子材料の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても構わない。その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート等が好ましい。この酸化剤の添加によって全ての高分子が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また、添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
また、本発明の光電変換素子は光電変換層上にホール輸送層を形成してもよい。ホール輸送材料としては、先の高分子材料を単独で用いることもできるが、2種以上が併用されていてもよい。
併用する高分子材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体、ポリ-γ-カルバゾリルエチルグルタメート誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジフェネチルベンゼン誘導体(例えば、特開平9−127713号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(例えば、特開平9−297419号公報に記載)、ブタジエン誘導体(例えば、特開平9−80783号公報に記載)、水素化ブタジエン(例えば、特開平9−80784号公報に記載)、ジフェニルシクロヘキサン誘導体(例えば、特開平9−80772号公報に記載)、ジスチリルトリフェニルアミン誘導体(例えば、特開平9−222740号公報に記載)、ジフェニルジスチリルベンゼン誘導体(例えば、特開平9−265197号、同9−265201号公報に記載)、スチルベン誘導体(例えば、特開平9−211877号公報に記載)、m−フェニレンジアミン誘導体(例えば、特開平9−304956号、同9−304957号公報に記載)、レゾルシン誘導体(例えば、特開平9−329907号公報に記載)、トリアリールアミン誘導体(例えば、特開昭64−9964号公報、特開平7−199503号公報、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報、特開平8−253568号公報、特開平8−269446号公報、特開平3−221522号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−183719号公報、特開平4−124163号公報、特開平4−320420号公報、特開平4−316543号公報、特開平5−310904号公報、特開平7−56374号公報、特開平8−62864号公報、米国特許5,428,090号明細書、同5,486,439号明細書に記載)などが挙げられる。
以上、ホール輸送層を形成する際に高分子材料を用いる場合について説明したが、光電変換効率の向上等を目的として、低分子型電子供与性有機材料単独、あるいはこれと先の高分子材料とを共に含有させてホール輸送層を形成しても構わない。
低分子型電子供与性有機材料としては公知のものを用いることができ、この低分子電子供与性有機材料も単独または2種類以上の混合物として用いることができる。従来公知の低分子電子供与性有機材料としては、α−フェニルスチルベン誘導体(例えば、特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(例えば、特開昭55−154955号公報、同55−156954号公報、同55−52063号公報、同56−81850号公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(例えば、特公昭5−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(例えば、特開昭51−94829号公報に記載)、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(例えば、特開昭52−139065号公報、同52−139066号公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(例えば、特開平3−285960号公報に記載)、ベンジジン誘導体(例えば、特公昭58−32372号公報に記載)、スチリル誘導体(例えば、特開昭56−29245号公報、同58−198043号公報に記載)、カルバゾール誘導体(例えば、特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(例えば、特開平2−94812号公報に記載)などが挙げられる。
これらの化合物は、種々の一般的有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒に溶解し、これを用いて湿式成膜法によりホール輸送層を形成することができる。溶剤は単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。 湿式成膜法としては、スピンコート法、ディッピング法、ブレード塗工法、スプレー塗工法、キャスト法、インクジェット法、印刷法等の公知の湿式成膜技術を用いることができる。
前述の電極は、光電変換層形成後、あるいは光電変換層上にホール輸送層を形成した後に新たに付与する方法が好ましい。また背面電極は通常前述の透明電極と同様のものを用いることができ、強度や密封性が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
背面電極材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素系化合物、ITO、FTO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。背面電極層の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。背面電極の塗設については、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適な設計、並びに回路設計が行われており、太陽光を利用した時に最適な光電変換効率が得られるような構造を有するものである。本発明の太陽電池を構成する際には、本発明の光電変換素子を並列、あるいは直列に接続されるものである。接続された光電変換素子は、それら全てをケース内に収納したり、あるいは全体を樹脂などで封止することが好ましい。
本発明の光電変換素子は太陽電池及び太陽電池を用いた電源装置に応用できる。応用例としては従来から太陽電池やそれを用いた電源装置を利用している機器類であれば、いずれのものでも可能である。例えば、電子卓上計算機や腕時計用の太陽電池に用いてもよいが、本発明の光電変換素子の特徴を活用する一例として、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電源装置が挙げられる。また充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これら実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
高分子材料(例示化合物B−02)の合成:
下記反応式(I)に沿って、以下の条件で高分子材料(例示化合物B−02)を合成した。
Figure 0005005467
100ml四口フラスコに、上記のジアルデヒド化合物(0.852g、2.70mmol)及びジホスホネート化合物(1.525g、2.70mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0moldm-3テトラヒドロフラン溶液(6.75ml、6.75mmol)を滴下し、室温で更に2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチル及びベンズアルデヒドを順じ加え、更に2時間撹拌した。酢酸1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行い、高分子材料(例示化合物B−02)を1.07g得た。収率73%であった。ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量は8500、重量平均分子量は20000であった。
高分子材料(例示化合物C−49)の合成:
下記反応式(II)に沿って、以下の条件で高分子材料(例示化合物C−49)を合成した。
Figure 0005005467
100ml四口フラスコに、上記アルデヒド化合物(2.98g、6.40mmol)及びローダニン−3−酢酸(1.39g、7.27mmol)を入れ、アルゴンガス置換して酢酸20mlを加えた。この溶液に酢酸アンモニウム(0.15g)を加え、120℃で加熱攪拌した。1時間後反応を終了し、溶液にイオン交換水200mlを注ぎ込んだ。
析出物を水洗し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製を行い、高分子材料(例示化合物C−49)を3.75g得た。収率92%であった。
(実施例1)
チタニウムテトラ−n−プロポキシド(2ml)、酢酸(4ml)、イオン交換水(1ml)、2−プロパノール(40ml)を混合し、よく洗浄したFTOガラス(日本板ガラス製、10Ω/□)上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成してホールブロッキング層を形成した。次いで、合成した例示化合物B−02(50.0mg)、及び例示化合物C−47(1.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)を混合し、ホールブロッキング層上にスピンコートし、室温で乾燥後、真空乾燥機で120℃、15分間加熱乾燥して光電変換層を形成した。その上に、金を蒸着した。仕事面積は0.25cm2とした。2つの電極に銀ペーストにてリード線を取り付けて素子を作製した。
この素子のFTO側に、75mW/cm2の白色光を照射しながら、50mV/sで掃引される電圧を印加して変換効率を測定したところVoc(開放電圧)=0.78V、Jsc(短絡電流密度)=1.85mA/cm2、ff(形状因子)=0.52となりη(光電変換効率)=1.00%と良好な値が得られた。これらの結果を下記表1にまとめて示す。
(実施例2〜15)
実施例1における例示化合物を、下記表1に記載の例示化合物に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。評価結果を下記表1に示す。なお、例示化合物C−03はペクセルテクノロジー製のものを使用した。
Figure 0005005467
(実施例16〜20)
実施例1における高分子材料(例示化合物B−02)と色素化合物(例示化合物C−47)の添加量を、下記表2に記載の添加量に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。評価結果を下記表2に示す。なお、実施例1の結果も併せて表2に示す。
Figure 0005005467
(比較例1)
実施例1における高分子材料(例示化合物B−02)を、ポリ−3−n−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ製)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.41V、Jsc=1.60mA/cm2、ff=0.44となりη=0.38%であり、本願発明品と比べて低い変換効率であった。結果を下記表3にまとめて示す。
(比較例2)
実施例1における色素化合物(例示化合物C−47)を、下記構造式(III)で示される化合物、エオシンY(東京化成製)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.70V、Jsc=0.88mA/cm2、ff=0.40となりη=0.33%であり、本願発明品と比べて低い変換効率であった。
Figure 0005005467
(比較例3)
実施例1における色素化合物(例示化合物C−47)を、下記構造式(IV)で示される化合物、ペリレン化合物(自社合成品)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.63V、Jsc=0.48mA/cm2、ff=0.39となりη=0.16%であり、本願発明品と比べて低い変換効率であった。結果を下記表3にまとめて示す。
Figure 0005005467
(比較例4)
実施例1における色素化合物(例示化合物C−47)を、銅フタロシアニン(東京化成製)に変更した以外は同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.61V、Jsc=1.1mA/cm2、ff=0.38となりη=0.31%であり、本願発明品と比べて低い変換効率であった。結果を下記表3にまとめて示す。
(比較例5)
実施例1における色素化合物(例示化合物C−47)を、フラーレンC60(東京化成製)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.64V、Jsc=0.99mA/cm2、ff=0.43となりη=0.36%であり、本願発明品と比べて低い変換効率であった。結果を下記表3にまとめて示す。
Figure 0005005467
(実施例21)
実施例1における高分子材料(例示化合物B−02、50.0mg)、色素化合物(例示化合物C−47、1.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)を、高分子材料(例示化合物B−02、50.0mg)、色素化合物(例示化合物C−47、3.0mg)、ヨウ化銅(1.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.70V、Jsc=2.5mA/cm2、ff=0.53となりη=1.24%と良好な値が得られた。
(実施例22)
実施例21におけるヨウ化銅(1.0mg)を、ヨウ化カリウム(1.0mg)に変更した以外は実施例21と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.70V、Jsc=2.45mA/cm2、ff=0.52となりη=1.19%と良好な値が得られた。
(実施例23)
実施例1における高分子材料(例示化合物B−02、50.0mg)、色素化合物(例示化合物C−47、1.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)を、高分子材料(例示化合物B−02、50.0mg)、色素化合物(例示化合物C−47、3.0mg)、ヨウ化銅(1.0mg)、4−t−ブチルピリジン(2.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.75V、Jsc=2.5mA/cm2、ff=0.52となりη=1.30%と良好な値が得られた。
(実施例24)
実施例1における高分子材料(例示化合物B−02、50.0mg)、色素化合物(例示化合物C−47、1.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)を、高分子材料(例示化合物B−02、50.0mg)、色素化合物(例示化合物C−47、3.0mg)、ヨウ化リチウム(1.0mg)、4−t−ブチルピリジン(2.0mg)、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリニウムヨウ素(1.5mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)に変更した以外は実施例1と同様にして素子を作製し、変換効率を評価した。光電変換特性は、Voc=0.73V、Jsc=2.7mA/cm2、ff=0.52となりη=1.37%と良好な値が得られた。
(実施例25)
実施例1で作製した光電変換素子と同一条件で作製した素子を、3つ直列に接続した。接続した素子はアラルダイドを用いて封止を行った。光電変換特性は実施例1と同様にして測定した。その結果、Voc=2.34V、Jsc=1.85mA/cm2、であり、直列に接続しても特性の低下は観測されなかった。
(実施例26)
PEDOT-PSS溶液(アルドリッチ製)を、よく洗浄したFTOガラス(日本板ガラス製、10Ω/□)上にスピンコートし、室温で乾燥後、真空中120℃で30分間乾燥してホールブロッキング層を形成した。次いで、例示化合物B−02(50.0mg)、例示化合物C−47(1.0mg)及びテトラヒドロフラン(1.0ml)を混合し、ホールブロッキング層上にスピンコートし、室温で乾燥後、真空乾燥機で120℃、15分間加熱乾燥して光電変換層を形成した。その上に、金を蒸着した。仕事面積は0.25cm2とした。2つの電極に銀ペーストにてリード線を取り付けて素子を作製した。
この素子のFTO側に、75mW/cm2の白色光を照射しながら、50mV/sで掃引される電圧を印加して変換効率を測定したところVoc(開放電圧)=0.81V、Jsc(短絡電流密度)=1.65mA/cm2、ff(形状因子)=0.51となりη(光電変換効率)=0.91%と良好な値が得られた。
(実施例27)
チタニウムテトラ−n−プロポキシド(2ml)、酢酸(4ml)、イオン交換水(1ml)、2−プロパノール(40ml)を混合し、よく洗浄したFTOガラス(日本板ガラス製、10Ω/□)上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成してホールブロッキング層を形成した。次いで、例示化合物B−02(50.0mg)、例示化合物C−47(1.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)を混合し、ホールブロッキング層上にスピンコートし、室温で乾燥後、真空乾燥機で120℃、15分間加熱乾燥して光電変換層を形成した。その上に、例示化合物B−02(10mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)を混合した溶液をスピンコートしてホール輸送層を形成した。最後に、そのホール輸送層の上に金を蒸着した。仕事面積は0.25cm2とした。2つの電極に銀ペーストにてリード線を取り付けて素子を作製した。
この素子のFTO側に、75mW/cm2の白色光を照射しながら、50mV/sで掃引される電圧を印加して変換効率を測定したところVoc(開放電圧)=0.79V、Jsc(短絡電流密度)=2.05mA/cm2、ff(形状因子)=0.54となりη(光電変換効率)=1.17%と良好な値が得られた。
(実施例28)
実施例27におけるホール輸送層を形成するための溶液〔例示化合物B−02(10.0mg)及びクロロベンゼン(1.0ml)〕を、例示化合物B−02(7.0mg)、下記構造式(V)で示されるトリフェニルアミン化合物3.0mg、及びクロロベンゼン(1.0ml)に変更した以外は、実施例27と同様にして光電変換素子を作製した。得られた素子の変換効率は、Voc(開放電圧)=0.79V、Jsc(短絡電流密度)=2.25mA/cm2、ff(形状因子)=0.54となりη(光電変換効率)=1.28%と良好な値が得られた。
Figure 0005005467
(実施例28)
実施例28で作製した光電変換素子と同一条件で作製した素子を、3つ並列に接続した。接続した素子はアラルダイドを用いて封止を行った。その結果、Voc=0.79V、Jsc=6.75mA/cm2であり、並列に接続しても特性の低下は観測されなかった。
前記評価結果から、本発明の光電変換素子は湿式法による製造で容易に成膜が可能であり、しかも形成された膜にはピンホールを生じにくく素子として安定性に優れ、かつ光電変換効率が高く、この光電変換素子を用いることにより、各種電子装置、電気機器や器具の電源装置として有用な太陽電池が提供される。
本発明に係る光電変換素子の構成例を模式的に示す概略断面図である。 本発明に係る光電変換素子の別の構成例を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1 透明絶縁支持体
2 透明電極
3 ホールブロッキング層
4 光電変換層
5 電極(背面電極)
6 リード線
7 ホール輸送層

Claims (5)

  1. 透明電極上に、ホールブロッキング層、光電変換層、電極を順次設けた光電変換素子の製造方法であって、前記光電変換層が、下記一般式(A−1)あるいは(A−2)で表される少なくとも何れか一方の高分子材料と、下記一般式(A−4)〜(A−8)で表される色素化合物群から選択される少なくとも1種以上の色素化合物とを含む塗工液を塗布・乾燥して形成されることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
    Figure 0005005467

    [式(A−1)、(A−2)中、Ar1、Ar5は、置換もしくは無置換のアルキル基、アリ−ル基、ヘテロ環を表し、Ar2、Ar3、Ar4、Ar6、Ar7は2価の置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。X1、X2、X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
    Figure 0005005467

    〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
    n、m、qは0から2の整数を表す。]
    Figure 0005005467

    [式(A−4)、(A−5)中、R3〜R9は水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボン酸の4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、スルホン酸、スルホン酸の4級アンモニウム塩、スルホン酸の金属塩、ホスホン酸、ホスホン酸の4級アンモニウム塩、ホスホン酸の金属塩、酸性基を有するアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表し、同一であっても異なっていてもよい。X4はハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
    式(A−6)中、R10〜R13は水素原子、アルキル基を表す。Ar8は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。X5は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。R14は水素原子、4級アンモニウム塩を表す。
    式(A−7)中、R15、R16は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R16とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。R17は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。X6は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。Ar9は2価のビニレン基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、ヘテロ環を表す。sは0〜2の整数を表す。
    式(A−8)中、R18、R19は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。R19とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。Ar10は2価の不飽和炭化水素基を表す。R20は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。X7は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。X8は酸素原子、硫黄原子、ローダニン環を表す。]
  2. 前記一般式(A−1)が、下記一般式(A−9)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0005005467

    [式(A−9)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。x、y、zは1から3の整数を表す。]
  3. 前記一般式(A−1)が、下記一般式(A−10)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0005005467

    [式(A−10)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。Ar4は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環を表す。u、x、yは1から3の整数を表す。]
  4. 前記一般式(A−2)が、下記一般式(A−11)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0005005467

    [式(A−11)中、R21、R22、R23は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
    Figure 0005005467

    〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
    x、y、zは1から3の整数を表す。]
  5. 前記一般式(A−2)が、下記一般式(A−12)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0005005467

    [式(A−12)中、R21、R22、R24、R25、R26は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環を表す。X3は置換もしくは無置換のアルキレン、アリーレン、ヘテロ環、あるいは下記一般式(A−3)で表される2価の基を表す。
    Figure 0005005467

    〔式(A−3)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環を表す。〕、
    u、x、yは1から3の整数を表す。]
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