JP5250989B2 - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は光電変換素子に関し、特に色素増感型光電素子及びそれを用いた太陽電池に関する。
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では、非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはそれらの複合材料等である。これらを真空蒸着法、キャスト法、またはディッピング法等により、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池がスイスのグレッツェル博士らによって報告された(非特許文献1参照)。提案された電池は色素増感型太陽電池であり、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の利点は酸化チタン等の安価な金属化合物半導体を高純度まで精製する必要がないこと、従って安価で、更に利用できる光は広い可視光領域にまでわたっており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できることである。
反面、資源的制約があるルテニウム錯体が使われているため、この太陽電池が実用化された場合に、ルテニウム錯体の供給が危ぶまれている。また、このルテニウム錯体は高価で有ることと、経時での安定性に問題があり、安価で安定な有機色素へ変更することが出来れば、この問題は解決出来る。
この電池の色素としてトリフェニルアミン構造を有する化合物を用いると光電変換効率が高い素子が得られることが開示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、これらの色素は酸化チタンへの吸着が低かったり、高い増感効果を得るには至っておらず、また、耐久性にも問題があることがわかった。
特開2005−123033号公報 Nature,353,737(1991),B.O’ReganとM.Gratzel
本発明の目的は、新規で、変換効率が高く、高耐久性の増感色素を用いた高効率の光電変換素子及びそれを用いた太陽電池を提供することにある。
本願発明者等は、色増感型光電変換素子の光電変換効率及び耐久性の向上を増感色素の化学構造との関連で検討しているが、増感色素の1分子中のπ電子共役系を増加することが光電変換効率の改善に有効であることを見いだし、本願発明を達成した。即ち、本願発明の上記課題は、以下に記す一般式(1)又は一般式(2)のいずれかの構造を有する化合物を増感色素として用いることにより達成することができる。即ち、本願発明は、以下の構成を有することにより達成される。
1.対向電極間に、下記一般式(1)の構造を有する化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
一般式(1) −(G)m−
上記一般式(1)中、Gは、一般式(1a)で表される結合基、mは1以上の整数を示す。
前記一般式(1a)中、Ar1は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基又は下記一般式(3)を示し、R1は水素原子、置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示し、Aはトリアリールアミン基を含有する2価の基を示す。又、複数のA、Ar1、R1は互いに異なっていてもよい。pは0又は1の整数を表す。
一般式(3)中、Wは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CH=CH−、または−C(R4)(R5)−であり、R2、R3、R4、R5は水素原子、アルキル基、または芳香族基である。R2とR3、R4とR5はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
2. 対向電極間に、下記一般式(2)の構造を有する化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
一般式(2) −(J)n−
上記一般式(2)中、Gは、一般式(2a)で表される結合基、nは3以上の整数を示す。
前記一般式(2a)中、Ar2は1価の置換、無置換の芳香族基を示す。Ar3は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基、又は下記一般式(3)或いは一般式(4)を示す。但し、複数のAr1、Ar2は互いに異なっていてもよい。
一般式(3)中、Wは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CH=CH−、または−C(R4)(R5)−であり、R2、R3、R4、R5は水素原子、アルキル基、または芳香族基である。R2とR3、R4とR5はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(4)中、Ar31、Ar33は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基、又は前記一般式(3)を示し、Ar32は1価の置換、無置換の芳香族基を示す。
3.前記一般式(1)又は一般式(2)に記載された化合物が、下記一般式(a)または(b)で表される置換基を含有することを特徴とする前記1又は2に記載の光電変換素子。
〔式中Zは、少なくとも一つ以上の酸性基を有し、Cと共に5員環または6員環を形成するのに必要な原子群を表す。Xは電子求引性基を表し、Yは酸性基を表す。Ra,Rbは水素原子または任意の1価の有機基を表す。〕
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
本願発明の一般式(1)又は一般式(2)のいずれかの構造を有する化合物を増感色素として用いることにより、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び太陽電池を得ることができた。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の光電変換素子について、図をもって説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す構成断面図である。
図1に示すように、基板1、1′、透明導電膜2、7、金属化合物半導体3、増感色素4、電解質5、隔壁9等から構成されている。
光電極(一方の対抗電極として)として、透明導電膜2を付けた基板1(導電性支持体とも言う。)上に、金属化合物半導体3の粒子を焼結して形成した空孔を有する半導体層を有し、その空孔表面に増感色素4を吸着させたものが用いられる。
対向電極6(他の対抗電極として)としては、基板1′上に透明導電膜7が形成され、その上に白金8を蒸着したものが用いられ、両極間には電解質層として電解質5が充填されている。
本発明はこの光電変換素子に用いられる新規の化合物(増感色素として好ましく用いられる)に関するものである。
発電時において増感色素は光酸化反応を繰り返すことにより電流を発生させており、耐久性向上には酸化反応に強い色素が求められる。本発明者らは、前記一般式(1)又は一般式(2)の構造を有する化合物を光電変換素子の酸化チタン電極等の増感色素として用いると、光電変換効率の改善及び高耐久性の改善を示すことを見いだした。更に、光励起された電子が酸化チタン電極等へ効率的に移動できるようにするため、該化合物に吸着基を付加することが好ましく、吸着基を持つことにより、化合物と酸化チタンとの間に強固な吸着を生成することが可能となる。好ましい吸着基としては、カルボン酸やリン酸等の酸性基が好ましい。又、シアノ基やハロゲン等の電子吸引性基を有することにより、酸化チタン等にスムーズに電子を供給できるようになり、増感効率の向上のために好ましい。中でも、このような酸性基や電子吸引性基を有する前記した一般式(a)又は一般式(b)で示される置換基を一般式(1)又は一般式(2)のいずれかの構造を有する化合物に導入することが好ましい。以下に、一般式(a)又は一般式(b)で示される置換基の具体的な好ましい例を示す。
又、光励起電子の移動効率を上げるために、一般式(1)及び一般式(2)のいずれかの構造を有する化合物の母核と酸性基や電子吸引性基との間を電子吸引性のπ共役系で連結させることが好ましい。
また、前記一般式(1)及び一般式(2)のいずれかの構造を有する化合物は増感色素としての効率や耐久性で優れている反面、分子サイズが大きくなると溶媒への相溶性が低下しやすい。即ち、溶媒への溶解性が小さいと、酸化チタン電極等に吸着できる色素量が制限されるため、結果的に効率が低下する懸念があった。この課題に対しては一般式(1)及び一般式(2)のそれぞれの化合物構造に分布を持たせることにより、即ち、mやnの数が異なるものを混在させることにより、相溶性の問題を改善できることが見出された。又、一般式(1)及び一般式(2)のいずれかの構造を有する化合物構造の()内の構造の対称性を低下させる構造とすることにより、相溶性の問題を改善できることが見出された。
又、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される本願発明の化合物は、分子サイズが大ききと共に、π電子共役系が大きく広がっている為に、モル吸光度が大きいことにも特徴を有しており、この特徴を生かして、前記図1で示した光電極の増感色素が吸着した金属化合物半導体層をより薄層に構成でき、内部抵抗の増加を減少させた効率のよい光電変換素子を設計することが可能である。
前記一般式(1)及び一般式(2)の化合物について説明する。
まず、一般式(1a)、一般式(2a)について説明する。
これら一般式(1a)において、Ar1は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基とあるが、これらは、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等であり、2価の複素環基としては、例えば、酸素、窒素或いは硫黄原子を含む5員環又は6員環等の2価の基が挙げられる。
又、一般式(1a)中、R1は水素原子、置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示し、とあるが、置換、無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ドデシル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基等が挙げられる。1価の芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(2a)において、Ar2は、1価の置換、無置換の芳香族基を示す、とあるが、例えばフェニル基、ナフチル基等があげられる。Ar3は、2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基等とあるが、2価の置換、無置換の芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等であり、2価の複素環基としては、例えば、酸素、窒素或いは硫黄原子を含む5員環又は6員環等の2価の基が挙げられる。
一般式(3)のR2、R3、R4、R5等のアルキル基としては、前記R1と同様な基が例示され、芳香族基としては、前記Ar2と同様な基が例示される。
又、上記アルキル基、芳香族基、複素環基等は置換基を有していても良い。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基等でもよいが、特に、これら置換基として、前記した一般式(a)又は一般式(b)の置換基が好ましい。いずれにしても、分子構造にnの数が異なるものを混在させ、化合物に分子量分布を持たせ、酸性基や電子吸引性基の吸着基を有することが好ましい。
次に、一般式(1)及び一般式(2)の化合物の各々について、より具体的な化学構造を説明する。
一般式(1)の化合物としては、下記一般式(1b)又は一般式(1c)が好ましい。
一般式(1b)中、Ar1は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基又は前記一般式(3)を示し、Ar4は1価の置換又は無置換の芳香族基又は複素環基を示し、R1、R7は水素原子、置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示し、Aはトリアリールアミン基を含有する2価の基を示す。但し、Ar4とR7は互いに結合して環を形成してもよい。又、複数のA、Ar1、R1、R7は互いに異なっていてもよい。mは1以上の整数を表し、p、qは各々0又は1の整数を表す。
一般式(1c)中、Ar1は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基、又は前記一般式(3)を示し、R1は水素原子、置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示し、Aはトリアリールアミン基を含有する2価の基を示し、Bは1価の置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示す。但し、複数のA、B、R1は互いに異なっていてもよい。mは1以上の整数を表し、pは各々0又は1の整数を表す。
一般式(1)の化合物の中で、一般式(1b)の具体例を下記に例示する。
上記一般式(1)の化合物の合成例を下記に記す。
(例示化合物D−1の合成)
以下に示すスキーム(1)に従い、例示化合物D−1を合成した。
出発原料は特開2005−99777号を参考に合成し、高速液体クロマトグラフィー及び質量分析の結果、=0〜4の混合物であり、その組成比(高速液体クロマトグラフィーの面積比)は=0/1/2/3/4=30/45/17/6/2であった。
これをビルスマイヤー反応によりホルミル化した。得られたホルミル体2.0g、シアノ酢酸0.6g、酢酸アンモニウム0.8gを酢酸5.0gに溶解し、120℃で30分加熱攪拌した。冷却後、水50mlを加えて攪拌し、結晶を濾取した。水100mlで2回洗浄し、次いで2−プロパノール(50ml)で2回洗浄し、例示化合物D−1を得た。高速液体クロマトグラフィー及び質量分析の結果、=0〜3の混合物であり、その組成比(高速液体クロマトグラフィーの面積比)は=0/1/2/3=35/47/15/3であった。
一般式(1)の化合物の中で、一般式(1c)の具体例を下記に例示する。
(例示化合物D−12の合成)
以下に示すスキーム(2)に従い、例示化合物D−12を合成した。
出発原料は特開2005−99777号を参考に合成、高速液体クロマトグラフィー及び質量分析の結果、=0〜4の混合物であり、その組成比(高速液体クロマトグラフィーの面積比)は=0/1/2/3/4=24/44/22/7/3であった。
これをビルスマイヤー反応によりホルミル化した。得られたホルミル体2.0g、シアノ酢酸0.6g、酢酸アンモニウム0.8gを酢酸5.0gに溶解し、120℃で30分加熱攪拌した。冷却後、水50mlを加えて攪拌し、結晶を濾取した。水100mlで2回洗浄し、次いで2−プロパノール(50ml)で2回洗浄し、例示化合物D−12を得た。高速液体クロマトグラフィー及び質量分析の結果、=0〜3の混合物であり、その組成比(高速液体クロマトグラフィーの面積比)は=0/1/2/3=27/46/20/7であった。
一般式(2)の化合物としては、下記一般式(2b)が好ましい。
前記一般式(2b)中、Rは置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基又は複素環基を示し、Ar2は1価の置換、無置換の芳香族基を示す。Ar3は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基、又は前記一般式(3)或いは一般式(4)を示す。但し、複数のAr2、Ar3、Rは互いに異なっていてもよく、nは3以上の整数を示す。
一般式(2)の化合物の具体例を下記に例示する。
上記一般式(2)の化合物例の中で、D−19の化合物のmは1以上の整数を表す。
上記一般式(2)の化合物の合成例を下記に記す。
(例示化合物D−18の合成)
以下に示すスキーム(3)に従い、例示化合物D−18を合成した。
出発原料は特開2005−99777号を参考に合成し、高速液体クロマトグラフィー及び質量分析の結果、n=0〜6の混合物であり、その組成比(高速液体クロマトグラフィーの面積比)はn=0/1/2/3/4/5/6=3/9/24/34/20/8/2であった。
これをNBSによりブロム化、Suzukiカップリングによりチオフェン化、ビルスマイヤー反応によりホルミル化した。
引き続き、得られたホルミル体2.0g、シアノ酢酸0.6g、酢酸アンモニウム0.8gを酢酸5.0gに溶解し、120℃で30分加熱攪拌した。冷却後、水50mlを加えて攪拌し、結晶を濾取した。水100mlで2回洗浄し、次いで2−プロパノール(50ml)で2回洗浄し、例示化合物D−18を得た。高速液体クロマトグラフィー及び質量分析の結果、n=0〜5の混合物であり、その組成比(高速液体クロマトグラフィーの面積比)はn=0/1/2/3/4/5=4/12/27/33/17/7であった。
他の化合物も上記各合成例を参照して合成することができる。
このようにして得られた本願発明の化合物は、増感色素として、金属化合物半導体に含ませることにより増感し、本願発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、金属化合物半導体に増感色素を含ませるとは半導体表面への吸着、半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記増感色素を充填する等の種々の態様が挙げられる。
また、半導体層(半導体でもよい)1m2あたりの本願発明の化合物の総含有量は0.01ミリモル〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1ミリモル〜50ミリモルであり、特に好ましくは0.5ミリモル〜20ミリモルである。
本願発明の化合物を用いて増感処理を行う場合、前記化合物を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよく、又他の化合物(例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)と混合して用いることもできる。
特に、本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように吸収波長の異なる二種類以上の化合物(増感色素)を混合して用いることが好ましい。
金属化合物半導体に本願発明の化合物を含ませるには、前記化合物を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
本願発明の化合物(増感色素)を複数種類併用したり、その他の化合物とを併用して増感処理する際には、各々の化合物(増感色素)の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの増感色素について別々の溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各増感色素について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、金属化合物半導体に増感色素等を含ませる順序がどのようであっても本発明に記載の効果を得ることができる。また、前記増感色素を単独で吸着させた金属化合物半導体の微粒子を混合する等することにより作製してもよい。
また、本発明に係る金属化合物半導体の増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
また、空隙率の高い金属化合物半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気などにより水が半導体薄膜上、並びに半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、増感色素等の吸着処理を完了することが好ましい。
次に本発明の光電変換素子について説明する。
〔光電変換素子〕
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上の金属化合物半導体に本願発明の化合物(増感色素)を含ませてなる光電極と対向電極を電解質層を介して対向配置してなる。以下、金属化合物半導体、光電極、電解質、対向電極について順次説明する。
《金属化合物半導体》
光電極に用いられる金属化合物半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
具体例としては、TiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、Nb25、CdS、ZnS、PbS、Bi23、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti34等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO2、ZnO、SnO2、Fe23、WO3、Nb25、CdS、PbSであり、更に好ましく用いられるのは、TiO2またはNb25であるが、中でも好ましく用いられるのはTiO2である。
光電極に用いる金属化合物半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti34)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、金属化合物半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
また、本発明に係る金属化合物半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でもピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
上記の有機塩基が液体の場合は、そのまま固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明に係る金属化合物半導体を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
(導電性支持体)
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3〜5mmが好ましい。
また導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることが更に好ましい。
《光電極の作製》
本発明に係る光電極の作製方法について説明する。
本発明に係る光電極の金属化合物半導体が粒子状の場合には、金属化合物半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、光電極を作製するのがよい。また、本発明に係る金属化合物半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、酸化物半導体を導電性支持体上に貼合して光電極を作製することが好ましい。
本発明に係る光電極の好ましい態様としては、上記導電性支持体上に金属化合物半導体の微粒子を用いて焼成により形成する方法が挙げられる。
本発明に係る金属化合物半導体が焼成により作製される場合には、本願発明の化合物(増感色素)を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質層への充填等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
以下、本発明に好ましく用いられる、光電極を金属化合物半導体微粉末を用いて焼成により形成する方法について詳細に説明する。
(金属化合物半導体微粉末含有塗布液の調製)
まず、金属化合物半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては金属化合物半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の金属化合物半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜30質量%である。
(半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
上記のようにして得られた金属化合物半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に金属化合物半導体層(半導体膜)が形成される。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の導電層上に形成された半導体微粒子層は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、機械的強度を高め、基板に強く固着した半導体層とするため前記半導体微粒子層の焼成処理が行われる。
本発明においては、この半導体層はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、本発明に係る半導体層の空隙率は10体積%以下が好ましく、更に好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01体積%〜5体積%以下である。なお、半導体層の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。
多孔質構造を有する焼成物膜になった半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、更に好ましくは200〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
(金属化合物半導体の増感処理)
金属化合物半導体の増感処理は、前述のように本願発明の化合物(増感色素)を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、予め減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去しおくことが好ましい。このような処理により、本発明の増感色素が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようになり、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
本願発明の化合物(増感色素)を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、且つ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。しかしながら、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
(増感処理の温度、時間)
金属化合物半導体を焼成した基板を本願発明の化合物(増感色素)を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記化合物が深く進入して吸着等を充分に進行させ、半導体を十分に増感させることが好ましい。また、溶液中での前記化合物の分解等により生成して分解物が化合物の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では3〜48時間が好ましく、更に好ましくは4〜24時間である。この効果は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については25℃条件での値であり、温度条件を変化させた場合には、上記の限りではない。
浸漬しておくにあたり本発明の増感色素を含む溶液は、前記色素が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃であり、更に好ましくは25〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
《電解質》
本発明に用いられる電解質について説明する。
本発明の光電変換素子においては、対向電極間に電解質が充填され、電解質層が形成される。電解質としてはレドックス電解質が好ましく用いられる。ここで、レドックス電解質としては、I-/I3-系や、Br-/Br3-系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I-/I3-系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電解質層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
上記電解質層に替え、以下の固体電荷輸送層としても良い。電荷輸送層としては、固体のホールもしくは電子移動材料なども適用でき、各種金属フタロシアニン、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレンやコロネン等多環芳香族、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン等電荷移動錯体などの結晶性材料、あるいはAlq3、ジアミン、各種オキサジアゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレンなどのアモルファス導電性高分子なども適用可能である。固体の電荷輸送材料の原料は、室温では粉末状もしくは粒状もしくは板状の固体である。n型半導体電極との接合時には常圧下で固体材料の原料を半導体電極表面上に配置した後減圧する、あるいは減圧下で固体状態の原料を半導体電極表面上に配置する。引き続き固体電荷輸送材料のガラス転移温度あるいは融点以上まで加熱し、固体電荷輸送材料とn型半導体電極の接合を行うことで、良好なn型半導体電極と固体電荷輸送材料の接合を実現する。
また、電荷輸送層としては、電荷輸送材料を、バインダー樹脂に溶解又は分散させた膜を形成しても良い。
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
対向電極は導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3-イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
〔太陽電池〕
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、色素増感された金属化合物半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記光電極、電解質層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、金属化合物半導体に吸着された本発明に係る増感色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は金属化合物半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、電荷移動層のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明に係る増感色素は酸化体となっているが、対向電極から電解質層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(光電変換素子SC−1の作製)
市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)透明導電性ガラス基板へドクターブレード法により塗布した。60℃で10分間加熱してペーストを乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ0.9及び5μmの酸化チタン薄膜を得た。
例示化合物D−1をエタノールに溶解させ、3×10-4mol/Lの溶液を調製した。酸化チタンを塗布焼結させたFTOガラス基板を、この溶液に室温で16時間浸漬させて、色素の吸着処理を行った後、メタノールで洗浄、真空乾燥し、光電極とした。
電解液にはヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム0.6mol/L、ヨウ化リチウム0.1mol/L、ヨウ素0.05mol/L、4−(t−ブチル)ピリジン0.5mol/Lを含む3−メチルプロピオニトリル溶液を用いた。
対向電極に白金板を用い、先に作製した光電極ならびに電解液とクランプセルで組み立てることにより光電変換素子SC−1を得た。
(光電変換素子SC−2〜SC−8の作製)
光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物D−1を表1中の化合物に変更した以外は同様にして、それぞれ光電変換素子SC−2〜SC−8を得た。
(光電変換素子SC−R1、SC−R2の作製)
光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物D−1を下記R−1及びR−2に変更した以外は同様にして、それぞれ光電変換素子SC−R1及びSC−R2を得た。
《光電変換素子の評価》
得られた光電変換素子SC−1〜SC−8、比較の光電変換素子SC−R1、SC−R2の各々について、下記のように太陽電池として光電変換性能を評価した。
得られた光電変換素子SC−1〜SC−8、比較の光電変換素子SC−R1、SC−R2の各々を、ソーラーシミュレータ(ワコム電創株式会社製、商品名;「WXS−85−H型」)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cm2の疑似太陽光を照射することにより、各光電変換素子について、I−Vテスターを用いて、室温にて電流−電圧特性として、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)の発生を測定し、変換効率を求めた。
尚、変換効率は、本願発明の化合物を用いた光電変換素子(太陽電池)SC−1の値(下記に記す初期の変換効率A)を100とする相対評価で示す。
また、耐久性については、下記にように評価を行った。
《耐久性評価》
耐久性は、光電変換素子(太陽電池)の初期の変換効率A(組み立て直後の変換効率である)と、太陽光を100時間(合計の照射時間)照射後の変換効率Bとから、下記に式を用いて、耐久性評価を算出した。
耐久性(%)=(B/A)×100(%)
前記酸化チタン薄膜が5μmで得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較に比べて、本願発明の化合物を用いた光電変換素子SC−1〜SC−6および参考例のSC−7〜SC−8は、いずれも良好な光電変換効率を示しており、耐久性も良好であることが判る。一方、比較のRu錯体を用いた光電変換素子SC−R1は初期の変換効率は良好であるが、耐久性の劣化が著しく、トリフェニルアミンを用いた光電変換素子SC−R2は初期の変換効率及び耐久性共に劣ることが見いだされる。
さらに、各光電変換素子を樹脂で封入した後、ロード線を取り付けて、太陽電池として組み立て、上記と同様の評価を行った結果、本発明の試料は長期に渡り良好な性能を示すことが分かった。
さらに、各光電変換素子を樹脂で封入した後、ロード線を取り付けて、太陽電池として組み立て、上記と同様の評価を行った結果、本発明の試料は長期に渡り良好な性能を示すことが分かった。
次ぎに、前記酸化チタン薄膜が0.9μmで得られた結果を表2に示す。
表2から、比較に比べて、本発明の色素増感型光電変換素子SC−1〜SC−6および参考例のSC−7〜SC−8は、酸化チタン膜厚が0.9μmのときにおいて、比較のRu錯体及びトリフェニルアミンを用いた光電変換素子SC−R1〜SC−R2を上回る光電変換効率を示す。本発明のオリゴマー色素のモル吸光係数が比較に比べて大であることで説明できる。また、耐久性の面でも比較例に比べ大幅に向上していることが分かる。
さらに、各光電変換素子を樹脂で封入した後、ロード線を取り付けて、太陽電池として組み立て、上記と同様の評価を行った結果、本発明の試料は長期に渡り良好な性能を示すことが分かった。
(光電変換素子SE−1の作製)
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)透明導電性ガラス基板電極に、アルコキシチタン溶液(松本交商:TA−25/IPA希釈)をスピンコート法にて塗布。室温で30分放置後、450℃で間焼成を行い、短絡防止層とした。続いて、市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)を上記基盤へドクターブレード法により塗布した後、60℃で10分間加熱処理後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ0.9μmの酸化チタン薄膜を有する半導体電極基盤を得た。
例示化合物D−1をエタノールに溶解させ、3×10-4mol/Lの溶液を調製した。上記半導体電極基盤を、この溶液に室温で16時間浸漬させて、色素の吸着処理を行った後、クロロホルムで洗浄、真空乾燥し、光電極とした。
次に、トルエン溶媒中に、ホール輸送剤として、下記spiro−MeO TAD 0.17M、ホールドーピング剤としてN(PhBr)3SbCl6を033mM、Li[(CF3SO22N]を15mMを溶解させ、色素吸着後の上記光電変換電極上にスピンコートし、乾燥してホール移動層を形成した。更に真空蒸着法により金を30nm蒸着し、対向電極を作製した。
(光電変換素子SE−2〜SE−8の作製)
光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物D−1を表2中の化合物に変更した以外は同様にして、それぞれ光電変換素子SE−2〜SE−8を得た。
(光電変換素子SE−R1,SE−R2の作製)
光電変換素子SE−1の作製おいて、例示化合物D−1を前記R−1及びR−2に変更した以外は同様にして、それぞれ光電変換素子SE−R1、SE−R2を得た。
得られた光電変換素子について、光電変換素子SC−1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、本願発明の化合物を用いた光電変換素子SE−1〜SE−6および参考例のSC−7〜SC−8は、いずれも良好な光電変換効率を示しており、耐久性も良好であることが判る。一方、比較のRu錯体を用いた光電変換素子SE−R1は初期の変換効率は良好であるが、耐久性の劣化が著しく、トリフェニルアミンを用いた光電変換素子SE−R2は初期の変換効率及び耐久性共に劣ることが見いだされる。
本発明に用いられる光電変換素子の一例を示す構成断面図である。
符号の説明
1,1′ 基板
2,7 透明導電膜
3 金属化合物半導体
4 増感色素
5 電解質
6 対向電極
7 透明導電膜
8 Pt

Claims (2)

  1. 対向電極間に、下記一般式(1b)または一般式(1c)のいずれかの構造を有する化合物を増感色素として含有し、前記増感色素は式中のmの値が異なる複数の一般式(1b)または一般式(1c)で表される化合物を含有するものであることを特徴とする光電変換素子。
    〔式中、Ar は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基または下記一般式(3)を示し、Ar は1価の置換又は無置換の芳香族基又は複素環基を示し、R 、R は水素原子、置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示し、Aはトリアリールアミン基を含有する2価の基を示し、下記一般式(a)または一般式(b)で表される基を含有する。但し、Ar とR は互いに結合して環を形成してもよい。また、複数のA、Ar 、R 、R は互いに異なっていてもよい。mは0以上の整数を表し、p、qは各々0または1の整数を表す。〕
    〔式中、Ar は2価の置換、無置換の芳香族基、2価の複素環基、または下記一般式(3)を示し、R は水素原子、置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示し、Aはトリアリールアミン基を含有する2価の基を示し、下記一般式(a)または一般式(b)で表される基を含有する。Bは1価の置換、無置換のアルキル基、1価の置換、無置換の芳香族基を示す。但し、複数のA、B、R は互いに異なっていてもよい。mは0以上の整数を表し、pは各々0または1の整数を表す。〕
    一般式(3)中、Wは単結合、酸素原子、硫黄原子、−CH=CH−、または−C(R)(R)−であり、R、R、R、Rは水素原子、アルキル基、または芳香族基である。RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
    〔式中Zは、少なくとも一つ以上の酸性基を有し、Cと共に5員環または6員環を形成するのに必要な原子群を表す。Xは電子求引性基を表し、Yは酸性基を表す。Ra,Rbは水素原子または任意の1価の有機基を表す。〕。
  2. 請求項1に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
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