JP2007180190A - 有機太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、電子供与性を有するp型共役高分子及び電子受容性を有するn型半導体を混合してなるヘテロ接合層3と、へテロ接合層3の一面側に設けられる第1電極2と、へテロ接合層3の他面側に設けられる第2電極4とを有し、へテロ接合層3が有機金属錯体を含み、有機金属錯体のLUMOのレベルが、p型共役高分子の伝導帯の最低エネルギー準位とn型半導体の伝導帯の最低エネルギー準位との間にあり、有機金属錯体のHOMOのレベルが、p型共役高分子の価電子帯の最高エネルギー準位とn型半導体の価電子帯の最高エネルギー準位との間にあることを特徴とする有機太陽電池である。
【選択図】 図1
Description
用いたバルクへテロ接合型太陽電池が提案され(例えば特許文献1参照)、最近特に注目
を浴びている。これは、この種の太陽電池が、一方の有機材料を他方の有機材料中に分散させているため、接合面積が広く、電荷分離する領域も広くなっており、高い光電変換効率が期待されるためである。
C.W.Tang,[Applied Physics Letters], Vol.48, p183 G.Yu,[Science],No.270, p 789(1995) N.S.Sariciftci,[Advanced Functional Materials], Vol.13, p85(2003) W.Huynh,[Science],No.295, p2425(2002)
ビス(テトラブチルアンモニウム)シス−ビス(チオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシリックアシッド,4’−カルボキシレート)ルテニウム(II)錯体、及びトリ(チオシアナト)(2,2’,6’,2”−ターピリジル−4,4’,4”−トリカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
LUMOのレベル[eV]=長波長端[eV]+HOMOのレベル[eV]
により算出される値を言うものとする。ここで、紫外可視吸収スペクトルは、島津製作所製の分光光度計(UV−2100)で測定した値を言う。
p型の共役高分子は、電子供与性を有するものであれば特に限定されず、p型共役高分子としては通常、分子構造中に共役二重結合を有するものが挙げられる。このようなp型共役高分子としては、例えば、チオフェン、フェニレンビニレン、チエニレンビニレン、カルバゾール、ビニルカルバゾール、ピロール、イソチアナフェン、イソチアナフェン及びヘプタジエンなどの化合物、ならびに水酸基、アルキル基、アミノ基、メチル基、ニトロ基及びハロゲン基などを有する上記化合物の誘導体、の重合体が挙げられる。なお、これらの共役高分子は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。より具体的には、3−ヘキシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−(4−オクチルフェニル)−2,2’−ビチオフェン、3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン、及び2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレンなどの単独重合体又はこれらの2種以上の共重合体が挙げられる。なかでも、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)が、変換効率を向上させる観点からは、特に好ましい。
n型半導体は、電子受容性を有するものであれば特に限定されないが、例えばCdSe、CdTeが挙げられる。
数が8を超えると、炭素数が8以下の場合に比べて、変換効率が下がることに加えて、後述のスピンコート溶液調製時に溶解しにくくなる傾向がある。なお、チオフェン、ピロール、フラン、セレニウムはいずれも共役構造をとりうる物質である。
直接結合される数を表し、例えばnが3である場合、括弧で表される3個の基がFuの異なる部位にそれぞれ結合されていることを意味する。nが6を超えると、nが6以下の場合と比較して、量子効率の長波長端がより長波長側まで伸びなくなる傾向がある。nは1〜4であることがより好ましい。nが4を超えると、nが1〜4の場合に比べて、変換効率が低下する傾向があることに加えて、そのようなフラーレン誘導体が極微量にしか合成されず、コストが高くなる傾向がある。なお、ヘテロ接合層3は、n=1〜3のものをそれぞれ同時に含んでいてもよい。
上記有機金属錯体は、LUMOのレベルが、p型共役高分子の伝導帯の最低エネルギー準位とn型半導体の伝導帯の最低エネルギー準位との間にあり、且つHOMOのレベルが、p型共役高分子の価電子帯の最高エネルギー準位とn型半導体の価電子帯の最高エネルギー準位との間にあるものであれば特に限定されない。このような有機金属錯体としては、例えばMg、Zn、Ruなどを中心金属イオンとして含むフタロシアニン類、ポルフィリン類、ポリエン類のほか、Ruピリジル錯体などが挙げられるが、幅広い範囲の波長の太陽光を効率よく吸収して光電変換可能であることから、Ruピリジル錯体が好ましい。
基板1は、透明電極2、ヘテロ接合層3および対向電極4を有する積層体を支持し、補強するものであればよく、基板1を構成する材料としては、例えばガラス;ポリイミド、PET、PEN、PES、テフロン(登録商標)等の耐熱性の高分子フィルム;ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金属、シリコン等の半導体、セラミック等が挙げられ、なかでも、基板1は、高い透明性を有するもの、例えばガラスがより好ましい。但し、基板1を構成する材料として、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金属、シリコン等の半導体、セラミックを用いる場合には、膜厚を十分に薄くして透明にする必要がある。基板1は、これらの材料からなる層単独で構成されてもよいし、これらの材料からなる複数の層を積層して構成してもよい。なお、基板1は、表面がフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。
板は、基板1と透明電極2とで構成される。この場合、有機太陽電池10を大気中に取り出したときに、保護層によりヘテロ接合層3及び対向電極4に対する防湿効果が得られ、光電変換能を長期間保持できるという利点がある。かかる保護層としては、例えばガラス、アルミコートのポリマーフィルムなどが挙げられる。保護層は、具体的には、熱溶着フィルム等からなるスペーサを介して透明電極基板に設けられる。
n型半導体として、CdSeからなるナノ粒子(以下、「CdSeナノ粒子」という)を用いた。CdSeナノ粒子は以下のように合成した。まず金属セレン(アルドリッチ社製)47mgをトリオクチルホスフィン(アルドリッチ社製、以下、「TOP」と略称する)2.034gに室温で溶解させ、Se/TOP溶液を得た。
スピン溶液の調製に際して、N719をクロロホルム/ピリジン混合溶媒に分散させなかったこと以外は実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
スピン溶液の調製に際して、N719の添加量を0.5mgに減量させたこと以外は実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
CdSeナノ粒子の代わりに、CdTeナノ粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
N719の代わりに、(2,2’,6’,2”−ターピリジル−4,4’,4”−トリカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体(ソラオニクス社製、以下、「N746」という)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
N719の代わりに、シス−ビス(チオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体(ソラオニクス社製、以下、「N3」という)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
n型半導体として、[6,6’]−フェニル−C61−ブリリックアシッドメチルエステル(以下、「PCBM」と略称する)を用いた。ここで、PCBMは、ジャーナル・オブ・オーガニックケミストリ、Vol60、532−538(1995)の文献に基づいて合成した。またp型共役高分子として、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロイル)−1,4−フェニレンビニレン)(アルドリッチ社製、分子量51000、以下、「MEH−PPV」と略称する)を用いた。そして、スピンコート溶液は、PCBMを86.4mg、MEH−PPVを13.4mg、N719を3mgだけトルエン2mLに溶解させることにより調製した。これ以外は、実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
スピン溶液の調製に際して、N719をクロロホルム/ピリジン混合溶媒に分散させなかったこと以外は実施例6と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
PCBMの代わりに、上記一般式(1)において、Rがメチル基、Xがビチオフェン(2量体)であるフラーレン誘導体を用いたこと以外は実施例6と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。ここで、このフラーレン誘導体は以下のようにして合成した。
製)24.8mgとビチオフェンアルデヒド140mgを溶解したジメチルスルオキシド
10mLを加えて直ちに120℃まで昇温した。そして、120℃、アルゴン気流下にてトルエンを15時間還流させ、フラーレンC60、N−メチルグリシン及びビチオフェン
アルデヒドを反応させた。冷却後、反応溶液をエバポレータにより濃縮し、続いてシリカゲルカラム(半井化学、球状シリカゲル60、展開溶媒:トルエン)に通して未反応のC60等を分別除去した。
N719の代わりに、クマリン343(アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてバルクヘテロ接合型セルを得た。
実施例1〜8及び比較例1〜2の各バルクへテロ接合型セルの有機金属錯体については、イオン化ポテンシャル測定装置(理研計器社製、AC−2)によりHOMOのレベル[eV]を測定した。結果を表1に示す。また、LUMOのレベルは、有機金属錯体について紫外可視光吸収スペクトルを測定し、長波長端の値と、上記のようにして測定したHOMOのレベルとから以下の式:
LUMOのレベル[eV]=長波長端[eV]+HOMOのレベル[eV]
に基づいて算出した。結果を表1に示す。なお、紫外可視光吸収スペクトルの測定は、島津製作所製の分光光度計を用い、ITOガラス上にヘテロ接合層を形成したものに対して行った。なお、図2は、実施例1について、p型共役高分子、n型半導体、及び有機金属錯体のエネルギーレベルの関係を示す図も兼ねている。
実施例1〜8及び比較例1〜2の各バルクヘテロ接合型セルについて、分光感度測定装置により、擬似太陽光(0.1Sun、AM1.5)の照射の下、50℃で電流―電圧曲線を計測し、得られる短絡電流、開放電圧、形状因子から、光電変換効率を求めた。結果を表1に示す。なお、実施例1及び比較例1の電流−電圧曲線の計測結果については、その結果を図4に示す。図4において、「○」は実施例1を、「●」は比較例1を示す。
Claims (2)
- 電子供与性を有するp型共役高分子及び電子受容性を有するn型半導体を混合してなるヘテロ接合層と、
前記へテロ接合層の一面側に設けられる第1電極と、
前記へテロ接合層の他面側に設けられる第2電極と、
を有し、前記へテロ接合層が有機金属錯体を含み、
前記有機金属錯体の最低空軌道のレベルが、p型共役高分子の伝導帯の最低エネルギー準位とn型半導体の伝導帯の最低エネルギー準位との間にあり、
前記有機金属錯体の最高被占軌道のレベルが、p型共役高分子の価電子帯の最高エネルギー準位とn型半導体の価電子帯の最高エネルギー準位との間にあること、
を特徴とする有機太陽電池。 - 前記有機金属錯体が、
シス−ビス(チオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体、
ビス(テトラブチルアンモニウム)シス−ビス(チオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシリックアシッド,4’−カルボキシレート)ルテニウム(II)錯体、及び
トリ(チオシアナト)(2,2’,6’,2”−ターピリジル−4,4’,4”−トリカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、
を特徴とする請求項1に記載の有機太陽電池。
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