JP4855146B2 - 色素増感太陽電池及び色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents

色素増感太陽電池及び色素増感太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感太陽電池とその製造方法に関するものである。
太陽電池にはいくつかの種類があるが、実用化されているものはシリコン半導体の接合を利用したダイオード型のものがほとんどである。これらの太陽電池は現状では製造コストが高く、このことが普及を妨げる要因となっている。
最近、低コスト化の可能性としてスイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが高効率の太陽電池を発表したことにより、実用化への期待が高まっている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
この高効率太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。Graetzelらは酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
しかしながら、これらの太陽電池はアセトニトリル等の蒸気圧の高い電解液を用いているため、電解液の揮発や漏れに問題があった。この欠点を補うものとして、次に示されるような完全固体型色素増感型太陽電池の発表が行われている。
(1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献3、4参照)
(2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献2、非特許文献5、6参照)
(3)導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献3、非特許文献7参照)
非特許文献3の太陽電池では、p型半導体層の構成材料としてヨウ化銅が用いられている。しかしながら、ヨウ化銅の結晶粒の増大等を理由とする劣化により、発生電流が低下する問題があった。そこで、非特許文献4においては、イミダゾリニウム塩を加えることによってヨウ化銅の結晶化を抑制しているが、長期安定性に欠け、更なる耐久性向上が求められている。
非特許文献5記載の有機ホール輸送材料を用いたタイプの固体型太陽電池はHagenらによって報告され、Graetzelらによって改良されている(非特許文献6)。
しかしながら、液体電解質に比べて変換効率は非常に低く、また、特許文献2記載のトリフェニルアミン化合物を用いた固体型太陽電池は、トリフェニルアミン化合物を真空蒸着して電荷輸送層を形成している。そのため、多孔質半導体の内部空孔へトリフェニルアミン化合物が到達出来ず、やはり低い変換効率しか得られていない。
導電性高分子を用いたタイプの固体型太陽電池として、大阪大学柳田らがポリピロールを用いたもの(非特許文献7)を報告している。
しかしながら、これらにおいても変換効率は低く、特許文献3記載のポリチオフェン誘導体を用いた固体型太陽電池は、色素を吸着した多孔質酸化チタン電極上で、電解重合法を用いて電荷移動層を設けているが、色素が酸化チタンから脱着したり、あるいは色素の分解が生じたりする問題がある。また、ポリチオフェン誘導体は耐久性に非常に問題がある。
以上、これまでに検討されてきた完全固体型の光電変換素子は、何れも満足いく特性のものが得られていないのが現状である。
なお、本出願人は先に特定の構造を有する高分子材料を含有する光起電力素子及びこれを備えた光センサーを提案した(例えば、特許文献4参照。)が、本発明の光電変換素子とは動作原理及び構成材料の異なるものである。
特許第2664194号 特開平11−144773号公報 特開2000−106223号公報 特開2005−93572号公報 Nature, 353 (1991) 737 J. Am. Chem. Soc., 115 (1993) 6382 Semicond. Sci. Technol., 10 (1995) 1689 Electrochemistry, 70 (2002) 432 Synthetic Metals, 89 (1997) 215 Nature, 398 (1998) 583 Chem. Lett., (1997) 471
本発明は、上記問題点を解決し、従来と比較して良好な光電変換特性を示すと共に長期安定性に優れ、更に生産性にも優れた完全固体型の色素増感太陽電池とその製造方法を提供することを目的とする
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に記載する〔1〕〜〔16〕の発明により、上記課題が解決されて高性能な色素増感太陽電池を提供できることを見出し本発明に到達した。以下、本発明について具体的に説明する。
〔1〕:少なくとも一方が透明な電子集電電極とホール集電電極間に、電子輸送層とホール輸送層が設けられた色素増感太陽電池において、
前記ホール輸送層が、下記一般式(14)または(15)で表される高分子材料と、少なくとも1種以上の下記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする色素増感太陽電池である。
Figure 0004855146
Figure 0004855146
[(14)式中、Ar 1 は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
[(15)式中、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、qは0〜5の整数を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
Figure 0004855146
[式中、nは0または1の整数を表し、Ar’は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R5は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、R6は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Ar’とR5は互いに結合して環を形成してもよい。Aは9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基あるいは下記一般式(1B−1)または(1B−2):
Figure 0004855146
〔式中、R50及びR51は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子または下記一般式(1B−3):
Figure 0004855146
(式中、R52及びR53は置換アルキル基を含むアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、R52及びR53は同一でも別異でもよく、R52及びR53は互いに結合して環を形成してもよい。)で表される基を表す。〕で表される基を表す。]
Figure 0004855146
[(2)式中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1とR2、R1とR3、あるいはR2とR3は共同で環を形成してもよい。R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。R5、R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R5とR6は共同で環を形成してもよい。]
Figure 0004855146
[(3)式中、R7は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R8、R9、R10、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R8とR9、R10とR11は共同で環を形成してもよい。]
Figure 0004855146
[(4)式中、R12、R13、R14は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R12とR13、R13とR14、R12とR14は共同で環を形成してもよい。R15は窒素原子、ホウ素原子、アルキリジン基、置換もしくは無置換の3価の芳香族炭化水素基を表す。]
Figure 0004855146
[(5)式中、R16は置換もしくは無置換の4価の芳香族炭化水素基を表す。R17〜R24は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R17とR18、R19とR20、R21とR22、R23とR24は共同で環を形成してもよい。]
〔2〕:前記ホール輸送層が、上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料と、少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有し、かつ、一般式(14)または(15)で表される高分子材料を前記ホール集電電極として兼用するように構成したことを特徴とする〔1〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔3〕:前記電子輸送層が酸化物半導体からなることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔4〕:前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、ホール輸送層が上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料、少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物、及び金属化合物を含有することを特徴とする〔3〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔5〕:前記金属化合物が、ハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であることを特徴とする〔4〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔6〕:前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、ホール輸送層が上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料、少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物、及びイオン性液体の混合物を含有することを特徴とする〔3〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔7〕:前記イオン性液体がイミダゾリニウム化合物であることを特徴とする〔6〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔8〕:前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、該電子輸送層上に光増感化合物が吸着されていることを特徴とする〔3〕〜〔7〕の何れかに記載の色素増感太陽電池である。
〔9〕:前記光増感化合物が、下記一般式(6)〜(10)の少なくとも1種以上から選ばれる化合物であることを特徴とする〔8〕に記載の色素増感太陽電池である。
Figure 0004855146
[(6)、(7)式中、R25〜R31は、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボキシル基、アリールオキシカルボキシル基、カルボキシル基の4級アンモニウム塩、カルボキシル基の金属塩、スルホン酸、スルホン酸の4級アンモニウム塩、スルホン酸の金属塩、ホスホン酸、ホスホン酸の4級アンモニウム塩、ホスホン酸の金属塩、酸性基を有するアルキル基、酸性基を有するアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。X1はハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
(8)式中、R32〜R35は、水素原子、アルキル基を表す。Ar7は、2価のビニレン基、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。X2は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表す。R36は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。
(9)式中、R37、R38は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素ル基、置換基を有していてもよい複素環基を表す。R38とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。R39は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。X3は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表す。sは0〜2の整数を表す。
(10)式中、R40、R41は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基を表す。R41とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。X4は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。X5は酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいローダニン環を表す。]
〔10〕:前記電子輸送層をなす酸化物半導体のラフネスファクターが20以上であることを特徴とする〔3〕〜〔9〕の何れかに記載の色素増感太陽電池である。
〔11〕:前記電子輸送層の膜厚が100nm以上であることを特徴とする〔3〕〜〔10〕の何れかに記載の色素増感太陽電池である。
〔12〕:前記電子輸送層をなす酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化ニッケルの少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする〔3〕〜〔11〕の何れかに記載の色素増感太陽電池である。
〔13〕:前記電子輸送層が、非多孔質構造からなる層と多孔質構造からなる層の多層構造であることを特徴とする〔1〕〜〔12〕の何れかに記載の色素増感太陽電池である。
〔14〕:前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、該電子輸送層上に光増感化合物が吸着されており、かつ、ホール輸送層が上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料、及び少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有する溶液を湿式製膜法により塗布形成されたものであることを特徴とする〔1〕〜〔13〕の何れかに記載の色素増感太陽電池である。
〔15〕:前記ホール輸送層が、400mmHg以下の真空中で湿式製膜法により塗布形成されたものであることを特徴とする〔14〕に記載の色素増感太陽電池である。
〔16〕:少なくとも一方が透明な電子集電電極とホール集電電極間に、電子輸送層とホール輸送層を設けてなる色素増感太陽電池の製造方法において、
前記電子集電電極上に電子輸送層を形成し、該電子輸送層に光増感化合物を担持させ、次いで下記一般式(14)または(15)で表される高分子材料及び少なくとも1種以上の下記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有する溶液を用いて湿式製膜法によりホール輸送層を塗布積層し、多孔化処理を施した後に該ホール輸送層に接してホール集電電極を形成することを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法である。
Figure 0004855146
[(14)式中、Ar 1 は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
Figure 0004855146
[(15)式中、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、qは0〜5の整数を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
Figure 0004855146
[式中、nは0または1の整数を表し、Ar’ は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R5は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、R6は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Ar’とR5は互いに結合して環を形成してもよい。Aは9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基あるいは下記一般式(1B−1)または(1B−2):
Figure 0004855146
〔式中、R50及びR51は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子または下記一般式(1B−3):
Figure 0004855146
(式中、R52及びR53は置換アルキル基を含むアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、R52及びR53は同一でも別異でもよく、R52及びR53は互いに結合して環を形成してもよい。)で表される基を表す。〕で表される基を表す。]
Figure 0004855146
[(2)式中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1とR2、R1とR3、あるいはR2とR3は共同で環を形成してもよい。R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。R5、R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R5とR6は共同で環を形成してもよい。]
Figure 0004855146
[(3)式中、R7は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R8、R9、R10、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R8とR9、R10とR11は共同で環を形成してもよい。]
Figure 0004855146
[(4)式中、R12、R13、R14は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R12とR13、R13とR14、R12とR14は共同で環を形成してもよい。R15は窒素原子、ホウ素原子、アルキリジン基、置換もしくは無置換の3価の芳香族炭化水素基を表す。]
Figure 0004855146
[(5)式中、R16は置換もしくは無置換の4価の芳香族炭化水素基を表す。R17〜R24は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R17とR18、R19とR20、R21とR22、R23とR24は共同で環を形成してもよい。]
本発明の〔1〕、〔2〕の構成により、コストパフォーマンスに優れ、良好な変換効率を示す完全固体型の色素増感太陽電池が提供される。
〔3〕〜〔7〕の電子輸送層に酸化物半導体を用いる構成により、電子移動が効率的となり、更に優れた変換効率を示す色素増感太陽電池が提供される。
〔8〕、〔9〕の電子輸送層上に光増感化合物を吸着させる構成により、光吸収効率が増し、より高い変換効率を示す色素増感太陽電池が提供される。
〔10〕〜〔15〕における構成により、電子輸送層、ホール輸送層に用いる高分子材料が適切に選択されることで、コストパフォーマンスに優れ、かつ良好な変換効率を示す、優れた色素増感太陽電池が提供される。
上記〔1〕〜〔15〕の色素増感太陽電池を用いた構成により、優れた変換効率を示す太陽電池が提供される。このような太陽電池は、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等各種電子装置の電源や、充電式あるいは乾電池式の各種電気器具の補助電源として用いることができる。また、上記〔16〕の製造方法によれば、光電変換特性の優れた完全固体型の色素増感太陽電池を生産性良く製造することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
光電変換素子は一般に電子集電電極、電子受容体兼電子輸送層(以下単に電子輸送層と称す)、電子供与体兼ホール輸送層(以下単にホール輸送層と称す)、ホール集電電極から構成される。
本発明の光電変換素子は、電子集電電極とホール集電電極間に、電子輸送層とホール輸送層が設けられた光電変換素子において、前記ホール輸送層が、特定の高分子材料と、特定の化合物をホール輸送層に用いることを特徴としている。また、特徴の一つとして、必要によりホール輸送層の構成材料成分である高分子材料を、ホール集電電極にも兼用して用いることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について図を参照して説明する。
本発明における光電変換素子は、例えば、図1の概略図に示すような構造を有する。
図1の光電変換素子では、透明な支持体(基板)(1a)に支持された透明な電子集電電極(2a)上に緻密構造からなる電子輸送層(3a)と、光増感化合物(5)を吸着した多孔質構造からなる粒状の電子輸送層(3b)、ホール輸送層(4)、ホール集電電極(2b)、支持体である基板(1b)が積層されている。(3a)と(3b)により電子輸送層(3)が構成されている。なお、図1の構成図は本発明に係る光電変換素子の一構成例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に説明する本発明のホール輸送層とすることにより、変換効率など光電変換特性特が良好で長期安定性にも優れた完全固体型の光電変換素子が得られる。また、生産性が良好であるためコストパフォーマンスの良い光電変換素子とすることができる。
ここで、本発明におけるホール輸送層は、少なくとも下記一般式(1)で表される高分子材料を成分の一つとして含有することを特徴としている。
Figure 0004855146
[(1)式中、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar2、Ar3はそれぞれ独立に置換もしくは無置換の2価の単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基を表す。Ar4はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。]
上記高分子材料は、芳香環上に置換基を有していてもよく、置換基としては溶解性向上の観点から、アルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルチオ基などが挙げられる。
これら置換基の炭素数が増加すれば溶解性はより向上する。好適な置換基の例としては炭素数が1〜25のアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基が挙げられる。更に好適には、炭素数が2〜18のアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基が挙げられる。これら置換基は同一のものを複数導入してもよいし、異なるものを複数導入してもよい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基は、さらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基または炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基やアルコキシ基、アルキルチオ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。
アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を一例として挙げることができ、アルコキシ基、アルキルチオ基としては上記アルキル基の結合位に酸素原子または硫黄原子を挿入してアルコキシ基、アルキルチオ基としたものが一例として挙げられる。
前記一般式(1)における置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基Ar1としては、単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)の何れでもよく、一例として以下のものを挙げることができる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。置換もしくは無置換の2価の、単環式、非縮合多環式または縮合多環式芳香族炭化水素基Ar2、Ar3としては、一例として上記芳香族基の2価基が挙げられる。
また、これら芳香族炭化水素基は以下に示す置換基を有していてもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基またはアルコキシ基。これらはさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されていてもよい。
(3)アリールオキシ基。(アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これらは、ハロゲン原子を置換基として含有してもよく、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基またはアルコキシ基あるいはアルキルチオ基を含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。)
(4)アルキルチオ基又はアリールチオ基。(アルキルチオ基又はアリールチオ基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。)
(5)アルキル置換アミノ基。(具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)
(6)アシル基。(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)
上記一般式(1)に示されるくり返し単位を含む重合体のうち、更に好ましい態様は下記一般式(11)で表される。
Figure 0004855146
[(11)式中、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar4はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R44、R45はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、x、yはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R44、R45が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
上記一般式(1)に示されるくり返し単位を含む重合体のうち、更に好ましい態様は下記一般式(12)で表される。
Figure 0004855146
[(12)式中、Ar4はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R44、R45はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、R46はハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、芳香族炭化水素基から選択される基を表す。zは0〜5の整数を表し、x、yはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R44、R45、R46が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基への置換基については前記一般式(1)と同様である。
上記一般式(1)に示されるくり返し単位を含む重合体のうち、更に好ましい態様は下記一般式(13)で表わされる。
Figure 0004855146
[(13)式中、Ar4はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R44、R45、R46、R47、R48、R49はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。vは0〜3の整数を表し、w、x、yはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R44、R45、R46、R47が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基への置換基については前記一般式(1)と同様である。
上記一般式(1)に示されるくり返し単位を含む重合体のうち、更に好ましい態様は下記一般式(14)で表される。
Figure 0004855146
[(14)式中、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar4はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R50、R51、R52、R53はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0 〜4の整数を表し、R50、R51、R52、R53が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基への置換基については前記一般式(1)と同様である。
上記一般式(1)に示されるくり返し単位を含む重合体のうち、更に好ましい態様は下記一般式(15)で表わされる。
Figure 0004855146
[(15)式中、Ar4はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R50、R51、R52、R53、R54はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、qは0〜5の整数を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R50、R51、R52、R53、R54が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基への置換基については前記一般式(1)と同様である。
以下に、本発明で用いられる一般式(1)で表される高分子材料の具体例を下記構造式(A−01)〜(A−19)に列挙するが、これら具体例は本発明を制限的に提示しているものでも、限定する意図で開示しているものでもない。
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
上記(A−01)、(A−07)、(A−08)、(A−09)、(A−10)、(A−11)に示される高分子材料の製造方法は、例えばアルデヒドとホスホネートを用いたWittig−Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応、アミンとハロゲン化物を用いたUllmann反応などを用いることができ、公知の方法により製造可能である。特に、Wittig−Horner反応およびWittig反応は反応操作の簡便さから有効である。
一例としてWittig−Horner反応を用いた本発明における高分子材料の製造方法について説明する。
本発明で用いられる高分子材料は、下記の反応式(F1)で示されるように、ホスホン酸エステル化合物及びアルデヒド化合物が化学量論的に等しく存在する溶液と、その2倍モル量以上の塩基を混合させることにより重合反応が進行し、得ることができる。
Figure 0004855146
本発明で用いられる高分子材料を製造する場合には、例えば、Aとしてアリールアミン部位、BとしてAr4の組み合わせのモノマーを用いるか、またはAとしてAr4、Bとしてアリールアミン部位の組み合わせのモノマーを用いればよい。
上記ジアルデヒド化合物は、公知の種々の反応により合成することが可能である。例として下記反応式(F2)で示されるVilsmeier反応;
Figure 0004855146
あるいは、下記反応式(F3)で示される、アリールリチウム化合物と、DMF、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン等をはじめとするホルミル化剤との反応;
Figure 0004855146
あるいは、下記反応式(F4)で示されるGatterman反応;
Figure 0004855146
あるいは、下記反応式(F5)で示されるヒドロキシメチル化合物の各種酸化反応;
Figure 0004855146
等を一例として挙げることができ、これら反応を用いてジアルデヒド化合物を合成することができる。
また、上記ホスホン酸ジエステル化合物についても、公知の種々の反応により合成することが可能であるが、下記反応式(F6)で示されるMichaelis−Arbuzov反応が特に容易である。
Figure 0004855146
なお、本発明で用いられる上記高分子材料の具体的な製造方法は、特開2004−18831号公報にその詳細が記載されている。
さらに、本発明におけるホール輸送層は、少なくとも下記一般式(1B)、一般式(2)〜(5)で表される化合物を第二の成分として含有することを特徴としている。
先ず、下記一般式(1B)で表される化合物について説明する。
Figure 0004855146
[式中nは0または1の整数を表し、Ar’ は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R5は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、R6は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Ar’とR5は互いに結合して環を形成してもよい。Aは9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基あるいは下記一般式(1B−1)または(1B−2):
Figure 0004855146
〔式中、R50及びR51は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子または下記一般式(1B−3):
Figure 0004855146
(式中、R52及びR53は置換アルキル基を含むアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、R52及びR53は同一でも別異でもよく、R52及びR53は互いに結合して環を形成してもよい。)で表される基を表す。〕で表される基を表す。]
一般式(1B)の具体例としては、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ジ−p−トリルアミノ−α−フェニルスチルベン、9−スチリルアントラセン、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、1,1−ジフェニル−4―ジエチルアミノフェニル−1,3−ブタジエン、5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン、5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン等が挙げられるが、これらの列挙は本発明に用いられる化合物を制限的に提示している訳でも、これらに限定する意図で開示している訳でもない。
なお、本発明で用いられる一般式(1B)で表される化合物の具体例は、特公平2−24864号公報、特公平3−39306号公報、特公平4−66023号公報にその詳細が記載されている。
前記高分子材料と上記一般式(1B)の化合物は種々の一般的有機溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、ジクロロベンゼン及びキシレン等に対し良好な溶解性を示す。このため、これら高分子材料と低分子化合物を適当な濃度の溶液に作製して用いれば湿式成膜法によりホール輸送層を形成することができる。
次に、一般式(2)〜(5)で表される化合物について説明する。
Figure 0004855146
[(2)式中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1とR2、R1とR3、あるいはR2とR3は共同で環を形成してもよい。R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。R5、R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R5とR6は共同で環を形成してもよい。]
Figure 0004855146
[(3)式中、R7は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R8、R9、R10、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R8とR9、R10とR11は共同で環を形成してもよい。]
Figure 0004855146
[(4)式中、R12、R13、R14は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R12とR13、R13とR14、R12とR14は共同で環を形成してもよい。R15は窒素原子、ホウ素原子、アルキリジン基、置換もしくは無置換の3価の芳香族炭化水素基を表す。]
Figure 0004855146
[(5)式中、R16は置換もしくは無置換の4価の芳香族炭化水素基を表す。R17〜R24は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R17とR18、R19とR20、R21とR22、R23とR24は共同で環を形成してもよい。]
以下に、本発明で用いられる一般式(2)の具体例を下記構造式(B−01)〜(B−26)に、一般式(3)の具体例を下記構造式(B−27)〜(B−50)に、一般式(4)の具体例を下記構造式(B−51)〜(B−56)に、一般式(5)の具体例を下記構造式(B−57)〜(B−60)に列挙するが、これら具体例は本発明を制限的に提示しているものでも、限定する意図で開示しているものでもない。
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
前記高分子材料と上記(B−01)〜(B−60)で示される化合物は、種々の一般的有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒に溶解し、これを用いて湿式成膜法によりホール輸送層を形成することができる。溶剤は単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
また、前記一般式(1B)で示される化合物(低分子化合物)や上記(B−01)〜(B−60)に示される化合物以外の公知のホール輸送物質を併せて添加することも可能である。他のホール輸送物質の具体例としては、特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン化合物、特開昭58−65440号公報あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン化合物等を挙げることができる。
また、本発明の光電変換素子においては、上記に示した高分子材料に各種添加剤を加えても構わない。添加剤としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫化物、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩等のInorg. Chem. 35 (1996) 1168に記載の常温溶融塩(イオン性液体)、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物を挙げることができる。
上記において好ましいものは金属化合物や常温溶融塩からなるイオン性液体である。特に好ましい金属化合物としては、ハロゲン化金属、チオシアン化金属もしくはアミド化金属が挙げられる。また、特に好ましい常温溶融塩からなるイオン性液体としてはイミダゾリニウム化合物が挙げられる。
このような金属化合物もしくは常温溶融塩からなるイオン性液体を加えることにより、電子移動が効率的となり更に優れた光電変換特性を示す光電変換素子とすることができる。
また、導電性を向上させる目的で、高分子材料の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても構わない。その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート等が好ましい。この酸化剤の添加によって全ての高分子が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていれば良い。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
ホール輸送層は、後述する光増感化合物を担持(吸着)した電子輸送層の上に直接形成される。ホール輸送層の作製方法には特に制限は無く、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法が好ましい。この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
ホール集電電極は、ホール輸送層形成後に新たに付与するか、あるいは本発明の高分子材料をホール集電電極として兼用してもよい。また、ホール集電電極は通常前述の電子集電電極と同様のものを用いることができ、強度や密封性が十分に保たれるような構成では支持体(図1に示した基板(1b))は必ずしも必要ではない。
ホール集電電極材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素系化合物、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。ホール集電電極層の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。ホール集電電極の塗設については、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
光電変換素子として動作するためには、電子集電電極とホール集電電極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電変換素子においては、電子集電電極側が透明であり、太陽光を電子集電電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、ホール集電電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましい。また、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
本発明に用いられる電子集電電極としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等が挙げられる。これらの内、FTOが好ましい。電子集電電極の厚さは5nm〜1μmが好ましく、10〜100nmが更に好ましい。また電子集電電極は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが用いられる。
電子集電電極と基板が一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜等が挙げられる。また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。これらは単独あるいは2種以上の混合、または積層したものでも構わない。
また、基板の抵抗を下げる目的で、金属リード線等を用いてもよい。金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、上記の電子集電電極上に、電子輸送層として、半導体からなる薄膜を形成する。この電子輸送層は、電子集電電極上に緻密な電子輸送層を形成し、更にその上に多孔質状の電子輸送層を形成する積層構造であることが好ましい。この緻密な電子輸送層は、電子集電電極とホール輸送層との電子的コンタクトを防ぐ目的で形成するものである。従って、電子終電電極とホール輸送層が物理的に接触しなければ、ピンホールやクラック等が形成されていても構わない。また、この緻密な電子輸送層の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
緻密な電子輸送層上に形成する多孔質状の電子輸送層は、単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。一度の塗布で膜厚が不足する場合には多層塗布は有効な手段である。一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。従って、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
半導体としては特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化ニッケルが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
半導体微粒子のサイズに特に制限は無いが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。また、より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、入射光を散乱させる効果により、効率を向上させることも可能である。この場合の半導体の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
電子輸送層の作製方法には特に制限は無く、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板上に塗布する方法が好ましい。この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
機械的粉砕、あるいはミルを使用して分散液を作製する場合、少なくとも半導体微粒子単独、あるいは半導体微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
半導体微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
半導体微粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた半導体微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、トリトンX−100等の界面活性剤、キレート剤等を添加することができる。また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、レーザー光照射、あるいはプレス処理を行うことが好ましい。これらの処理は単独で行ってもあるいは二種類以上組み合わせて行ってもよい。焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限は無いが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限は無いが、10分〜10時間が好ましい。焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行っても良い。
直径が数十nmの半導体微粒子を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表すことが出来る。このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表す数値である。従って、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上であることが好ましい。
また、電子輸送層のインピーダンスを低減させる目的で導電助剤を添加しても良い。マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。照射時間には特に制限が無いが、1時間以内で行うことが好ましい。プレス処理は、100kg/cm2以上が好ましく、1000kg/cm2が更に好ましい。プレスする時間は特に制限が無いが、1時間以内で行うことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
光変換効率のさらなる向上のため、電子輸送層に重ねて光増感化合物を吸着させてもよい。光増感化合物は使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報に記載のインドリン型化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号公報等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物を用いることが好ましく、さらには前記一般式(6)〜(10)の光増感化合物がより好ましい。
前記一般式(6)〜(10)の光増感化合物の具体例は、下記構造式(16)〜(58)に挙げることができ、具体例中の炭素−炭素二重結合は、E体、Z体の何れであっても構わない。また、これらの色素は少なくとも1種、または2種以上の混合として用いることができる。
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
Figure 0004855146
電子輸送層に光増感化合物を吸着させる方法としては、光増感化合物溶液中あるいは分散液中に半導体微粒子を含有する電子集電電極を浸漬する方法、溶液あるいは分散液を電子輸送層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
光増感化合物を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。更に、縮合助剤としてチオール、あるいはヒドロキシ化合物を添加してもよい。
光増感化合物を溶解、あるいは分散する溶媒は、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
これらを用い、光増感化合物を吸着する際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。また、この吸着は攪拌しながら行っても構わない。攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間が更に好ましい。
前述のように本発明の光電変換素子は、例えば、電子輸送層が酸化物半導体からなり、該電子輸送層上に光増感化合物を吸着(担持)させ、かつ、ホール輸送層が前記一般式(1)で表される高分子材料、及び少なくとも1種以上の前記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有する溶液を湿式製膜法により塗布形成して構成することができる。
すなわち、本発明の光電変換素子は、前記電子集電電極上に電子輸送層を形成し、該電子輸送層に光増感化合物を担持させ、次いで前記一般式(1)で表される高分子材料及び少なくとも1種以上の前記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有する溶液を用いて湿式製膜法によりホール輸送層を塗布積層し、多孔化処理を施した後に該ホール輸送層に接してホール集電電極を形成することにより製造することができる。
本発明の光電変換素子は、例えば、太陽電池及び太陽電池を用いた電源装置に応用できる。応用例としては従来から太陽電池やそれを用いた電源装置を利用している機器類であれば、いずれのものでも可能である。例えば電子卓上計算機や腕時計用の太陽電池に用いてもよいが、本発明の光電変換素子の特徴を活用する一例として、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電源装置が挙げられる。また充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す実施例1〜29のうち、実施例11を除く実施例1〜10及び実施例12〜29は、本発明の範囲に属しない参考例に相当する試験例である。
(実施例1)
以下の条件で、高分子材料(重合体1)の合成、酸化チタン半導体電極の作製、光電変換素子の作製を行い、評価した。
[重合体1の合成]
下記反応式(F7)により高分子化合物(重合体1)を合成した。
Figure 0004855146
すなわち、100ml四つ口フラスコに、上記のジアルデヒド0.852g(2.70mmol)及びジホスホネート1.525g(2.70mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン75mlを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液6.75ml(6.75mmol)を滴下し室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチル及びベンズアルデヒドを順次加え、さらに2時間撹拌した。酢酸およそ1mlを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行ない、重合体1を1.07g得た。収率73%であった。元素分析値(計算値);C:84.25%(84.02%)、H:8.20%(7.93%)、N:2.33%(2.45%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は116.9℃であった。ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量は8500、重量平均分子量は20000であった。
[酸化チタン半導体電極の作製]
チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、ポリビニルピロリン0.8g、2−プロパノール40mlを混合し、FTOガラス基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中、450℃で1時間焼成した。焼成して得た電極上に再度、同一溶液を用いてスピンコートし、空気中、450℃で1時間焼成した。
次いで、酸化チタン(日本アエロジル社製P−25)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理により12時間分散を施した。得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000)1.2gを加えてペーストを作製した。このペーストを、上記で得た電極上に膜厚3μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中、500℃で1時間焼成した。
[光電変換素子の作製]
上記酸化チタン半導体電極を、ルテニウム錯体であるN719色素[シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2‘−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)−ビス−テトラ−n−ブチルアンモニウム]のアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)混合溶液中に室温で2日間、暗所にて静置して色素を吸着させた。
高分子化合物(重合体1)90重量部、及び下記構造式(a)の化合物10重量部からなる混合物の塩化メチレン溶液(固形分濃度10%)にトリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(27mM)、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム(0.2mM)、4−t−ブチルピリジン(0.11M)を加え、得られた溶液をキャスト法により、先に作製した電極付の光増感化合物を担持した酸化チタン半導体上に導入した。室温で30分、次いで温風乾燥機で80℃、30分乾燥させた。この上に、対極として金を真空蒸着して光電変換素子を作製した。
Figure 0004855146
〔評価〕
上記により作製した光電変換素子について疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)で光電変換特性を評価した。その結果、光電変換特性は;開放電圧=0.82V、短絡電流密度3.1mA/cm2、形状因子=0.62、変換効率=1.58%という優れた特性を示した。
(実施例2)
実施例1の重合体1に代えて、具体例(A−03)に示した構造式の高分子材料80重量部とし、構造式(a)の化合物を20重量部に変えて、混合物として用いた以外は、実施例1と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
作製した光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換特性を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換特性は;開放電圧=0.85V、短絡電流密度3.9mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.96%という優れた特性を示した。
(実施例3)
実施例1の重合体1に代えて、具体例(A−07)に示した構造式の高分子材料70重量部とし、構造式(a)の化合物を30重量部に変えて、混合物として用いた以外は、実施例1と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
作製した光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換特性を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換特性は;開放電圧=0.90V、短絡電流密度3.8mA/cm2、形状因子=0.60、変換効率=2.05%という優れた特性を示した。
(実施例4)
実施例1の重合体1に代えて、具体例(A−12)に示した構造式の高分子材料70重量部とし、構造式(a)の化合物を30重量部に変えて、混合物として用いた以外は、実施例1と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
作製した光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換特性を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換特性は;開放電圧=0.81V、短絡電流密度3.9mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.83%という優れた特性を示した。
(実施例5)
実施例1の重合体1に代えて、具体例(A−14)に示した構造式の高分子材料60重量部とし、構造式(a)の化合物を40重量部に変えて、混合物として用いた以外は、実施例1と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
作製した光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換特性を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換特性は;開放電圧=0.82V、短絡電流密度3.6mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.74%という優れた特性を示した。
(比較例1)
実施例1の重合体1に代えて、PEDOT−PSSを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
作製した光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換特性を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換特性は;開放電圧=0.45V、短絡電流密度1.1mA/cm、形状因子=0.48、変換効率=0.24%という結果であった。
実施例1〜実施例5の結果から明らかなように、ホール輸送層の構成物質として上記高分子材料と一般式(1B)で表される化合物(低分子化合物)を含有する本発明の光電変換素子は、比較例に比べていずれも優れた光電変換特性を示す。そして、本発明の光電変換素子は、生産性にも優れ、完全固体型で高性能の光電変換特性を示すことから、太陽電池として用いることが可能でる。
(実施例6)
実施例1で合成した重合体1を用い、以下の条件で酸化チタン半導体電極の作製、光電変換素子の作製を行い評価した。
[酸化チタン半導体電極の作製]
チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、2−プロパノール40mlを混合し、FTOガラス基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成した。再度同一溶液を用いて、得た電極上にスピンコートし、空気中450℃で30分間焼成し、緻密な電子輸送層を形成した。
酸化チタン(石原産業製ST−21)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理を12時間施した。得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000)0.9gを加えてペーストを作製した。このペーストを、上記緻密な電子輸送層上に膜厚3μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。
[光電変換素子の作製]
上記酸化チタン半導体電極を、ルテニウム錯体として0.5mMに調整したN719色素[シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)−ビス−テトラ−n−ブチルアンモニウム]のアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)混合溶液中に室温で2日間、暗所にて静置して光増感化合物を吸着させた。
重合体1、90重量部、および例示化合物(B−05)10重量部からなる混合物のクロロベンゼン溶液(固形分濃度10%)にトリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(27mM)、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム(0.2mM)、4−t−ブチルピリジン(0.11M)を加え、得られた溶液は室温、大気圧下でキャスト法を用いて上記電極上に導入した。室温で3時間、次いで温風乾燥機で80℃、1.5時間乾燥させ、ホール輸送層を形成した。この上に、対極として金を真空蒸着して光電変換素子を作製した。
〔評価〕
上記光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換効率は、開放電圧=0.85V、短絡電流密度3.2mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.58%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例7)
実施例6における重合体1の代りに、具体例(A−03)に示した構造式の高分子材料80重量部、および例示化合物(B−05)20重量部からなる混合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.85V、短絡電流密度3.3mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.62%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例8)
実施例6における重合体1の代りに、具体例(A−07)に示した構造式の高分子材料70重量部、および例示化合物(B−05)30重量部からなる混合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.85V、短絡電流密度3.3mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.62%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例9)
実施例6における重合体1の代りに、具体例(A−12)に示した構造式の高分子材料70重量部、および例示化合物(B−05)30重量部からなる混合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.84V、短絡電流密度3.4mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.69%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例10)
実施例6における重合体1の代りに、具体例(A−14)に示した構造式の高分子材料60重量部、および例示化合物(B−05)40重量部からなる混合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.80V、短絡電流密度3.6mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.67%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例11)
実施例6における重合体1の代りに、具体例(A−18)に示した構造式の高分子材料60重量部、および例示化合物(B−05)40重量部からなる混合物を用いた以外は、実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.83V、短絡電流密度3.8mA/cm2、形状因子=0.56、変換効率=1.77%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例12)
実施例6における例示化合物(B−05)の代りに、例示化合物(B−33)40重量部、および重合体1の代りに、具体例(A−14)に示した構造式の高分子材料60重量部からなる混合物を用いた以外は、実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.83V、短絡電流密度3.5mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.68%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例13)
実施例6における例示化合物(B−05)の代りに、例示化合物(B−51)40重量部、および重合体1の代りに、具体例(A−14)に示した構造式の高分子材料60重量部からなる混合物を用いた以外は、実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.83V、短絡電流密度3.5mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.68%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例14)
実施例6における例示化合物(B−05)の代りに、例示化合物(B−59)40重量部、および重合体1の代りに、具体例(A−14)に示した構造式の高分子材料60重量部からなる混合物を用いた以外は、実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.80V、短絡電流密度3.3mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.56%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例15)
実施例6におけるN719色素の吸着を行わなかった以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.88V、短絡電流密度1.6mA/cm2、形状因子=0.55、変換効率=0.77%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例16)
実施例6におけるトリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、4−t−ブチルピリジンを加えなかった以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.82V、短絡電流密度3.3mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.60%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例17)
実施例6におけるトリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(27mM)の代りに、ヨウ化リチウム(27mM)を加えた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.82V、短絡電流密度3.5mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.69%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例18)
実施例6におけるヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム(0.2mM)のかわりに、ヨウ素(0.2mM)を加えた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.75V、短絡電流密度3.8mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.65%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例19)
実施例6におけるトリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(27mM)の代りに、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリニウム(27mM)を加えた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.80V、短絡電流密度3.7mA/cm2、形状因子=0.56、変換効率=1.66%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例20)
実施例6におけるN719色素の代りに、例示化合物(25)で示した光増感化合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.78V、短絡電流密度4.1mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.85%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例21)
実施例6におけるN719色素の代りに、例示化合物(32)で示した光増感化合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.75V、短絡電流密度2.7mA/cm2、形状因子=0.55、変換効率=1.11%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例22)
実施例6におけるN719色素の代りに、例示化合物(40)で示した光増感化合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.89V、短絡電流密度2.7mA/cm2、形状因子=0.60、変換効率=1.44%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例23)
実施例6におけるN719色素の代りに、例示化合物(49)で示した光増感化合物を用いた以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.80V、短絡電流密度3.1mA/cm2、形状因子=0.57、変換効率=1.41%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例24)
実施例6においてホール輸送層上に、対極として金蒸着を行わなかった以外は実施例6と同様の方法により、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.86V、短絡電流密度2.8mA/cm2、形状因子=0.56、変換効率=1.35%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例25)
実施例6における室温、大気圧下での条件に代えて、室温、50mmHgの真空下でキャスト法を用いた以外は実施例6と同様の方法により光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例1と同様に評価したところ、開放電圧=0.89V、短絡電流密度4.1mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=2.15%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例26)
実施例6における室温、大気圧下での条件に代えて、室温、100mmHgの真空下でキャスト法を用いた以外は実施例6と同様の方法により光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例6と同様に評価したところ、開放電圧=0.89V、短絡電流密度4.0mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=2.10%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例27)
実施例6における室温、大気圧下での条件に代えて、室温、350mmHgの真空下でキャスト法を用いた以外は実施例6と同様の方法により光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例6と同様に評価したところ、開放電圧=0.89V、短絡電流密度3.9mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=2.05%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例28)
実施例6における室温、大気圧下での条件に代えて、室温、450mmHgの真空下でキャスト法を用いた以外は実施例6と同様の方法により光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例6と同様に評価したところ、開放電圧=0.85V、短絡電流密度3.2mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.58%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(実施例29)
実施例6における酸化チタン3gの代りに、酸化チタン2.9gとジルコニアテトラ−n−ブトキシド0.1gの混合を用いた以外は実施例6と同様にして光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例6と同様に評価したところ、開放電圧=0.87V、短絡電流密度3.3mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=1.67%という優れた特性を示した。この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、特性の変化は見出されなかった。
(比較例2)
実施例6における重合体1の代りに、PEDOT−PSSを用いて実施例6と同様に光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例6と同様に評価したところ、開放電圧=0.45V、短絡電流密度1.1mA/cm2、形状因子=0.48、変換効率=0.24%という結果であり、本発明に比較して劣っていることが明らかである。また、この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、開放電圧=0.41V、短絡電流密度0.3mA/cm2、形状因子=0.27、変換効率=0.033%と特性の劣化が観測された。
(比較例3)
実施例6における重合体1の代りに、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)(Aldrich製)を用いて実施例6と同様に光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子を実施例6と同様に評価したところ、開放電圧=0.58V、短絡電流密度1.8mA/cm2、形状因子=0.44、変換効率=0.46%という結果であり、本発明に比較して劣っていることが明らかである。また、この光電変換素子を暗所にて24時間静置した後、同様の条件にて光電変換特性を測定した結果、開放電圧=0.52V、短絡電流密度0.02mA/cm2、形状因子=0.22、変換効率=0.0023%と特性の劣化が観測された。
実施例6〜29の結果から明らかなように、本発明の光電変換素子は、高い変換効率を示す。また、実施例15に示されるように光増感剤が無くても高い変換効率を示すが、光増感剤を吸着することでさらに高い変換効率が得られる。実施例16に示されるようにホール輸送材への添加剤が無い場合でも高い効率を示すが、実施例6に示されるようにホール輸送材に添加することでより高い変換効率が得られる。また、実施例24の結果から明らかなように、本願発明品は対極として金を用いなくても高い効率を得ることが可能であるが、実施例6の結果から明らかなように、金を対極として設けることでより高い変換効率を得ることが可能である。また、本発明の光電変換素子は、実施例6〜29の結果より明らかなように高い耐久性を有していることが分かる。
そして、実施例25〜28の結果に示されるように、本発明の光電変換素子は、大気圧下で製造しても良好な特性を示すが、400mmHg以下の真空下にすることでより高性能な光電変換素子とすることができる。
すなわち、本発明の光電変換素子は、生産性にも優れ、完全固体型で高性能の光電変換特性を示すことから、太陽電池として用いることが可能である。この太陽電池は、例えば、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電子機器の電源や、充電式あるいは乾電池式の電気器具の補助電源として応用することができる。
本発明における光電変換素子の構造の一構成例を示す概略図である。
符号の説明
1a 基板
1b 基板
2a 電子集電電極
2b ホール集電電極
3 電子輸送層
3a 緻密構造からなる電子輸送層
3b 多孔質構造からなる粒状の電子輸送層
4 ホール輸送層
5 光増感化合物

Claims (16)

  1. 少なくとも一方が透明な電子集電電極とホール集電電極間に、電子輸送層とホール輸送層が設けられた色素増感太陽電池において、
    前記ホール輸送層が、下記一般式(14)または(15)で表される高分子材料と、少なくとも1種以上の下記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有することを特徴とする色素増感太陽電池
    Figure 0004855146

    [(14)式中、Ar 1 は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
    Figure 0004855146

    [(15)式中、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、qは0〜5の整数を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
    Figure 0004855146

    [式中、nは0または1の整数を表し、Ar’は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R5は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、R6は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Ar’とR5は互いに結合して環を形成してもよい。Aは9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基あるいは下記一般式(1B−1)または(1B−2):
    Figure 0004855146

    〔式中、R50及びR51は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子または下記一般式(1B−3):
    Figure 0004855146

    (式中、R52及びR53は置換アルキル基を含むアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、R52及びR53は同一でも別異でもよく、R52及びR53は互いに結合して環を形成してもよい。)で表される基を表す。〕で表される基を表す。]
    Figure 0004855146

    [(2)式中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1とR2、R1とR3、あるいはR2とR3は共同で環を形成してもよい。R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。R5、R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R5とR6は共同で環を形成してもよい。]
    Figure 0004855146

    [(3)式中、R7は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R8、R9、R10、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R8とR9、R10とR11は共同で環を形成してもよい。]
    Figure 0004855146

    [(4)式中、R12、R13、R14は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R12とR13、R13とR14、R12とR14は共同で環を形成してもよい。R15は窒素原子、ホウ素原子、アルキリジン基、置換もしくは無置換の3価の芳香族炭化水素基を表す。]
    Figure 0004855146

    [(5)式中、R16は置換もしくは無置換の4価の芳香族炭化水素基を表す。R17〜R24は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R17とR18、R19とR20、R21とR22、R23とR24は共同で環を形成してもよい。]
  2. 前記ホール輸送層が、上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料と、少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有し、かつ、一般式(14)または(15)で表される高分子材料を前記ホール集電電極として兼用するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池
  3. 前記電子輸送層が酸化物半導体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感太陽電池
  4. 前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、ホール輸送層が上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料、少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物、及び金属化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池
  5. 前記金属化合物が、ハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の色素増感太陽電池
  6. 前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、ホール輸送層が上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料、少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物、及びイオン性液体の混合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池
  7. 前記イオン性液体がイミダゾリニウム化合物であることを特徴とする請求項6に記載の色素増感太陽電池
  8. 前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、該電子輸送層上に光増感化合物が吸着されていることを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載の色素増感太陽電池
  9. 前記光増感化合物が、下記一般式(6)〜(10)の少なくとも1種以上から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項8に記載の色素増感太陽電池
    Figure 0004855146

    [(6)、(7)式中、R25〜R31は、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボキシル基、アリールオキシカルボキシル基、カルボキシル基の4級アンモニウム塩、カルボキシル基の金属塩、スルホン酸、スルホン酸の4級アンモニウム塩、スルホン酸の金属塩、ホスホン酸、ホスホン酸の4級アンモニウム塩、ホスホン酸の金属塩、酸性基を有するアルキル基、酸性基を有するアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。X1はハロゲン原子、シアノ基、チオシアン酸基、イソシアン酸基を表す。
    (8)式中、R32〜R35は、水素原子、アルキル基を表す。Ar7は、2価のビニレン基、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。X2は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表す。R36は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。
    (9)式中、R37、R38は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素ル基、置換基を有していてもよい複素環基を表す。R38とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。R39は、水素原子、4級アンモニウム塩を表す。X3は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表す。sは0〜2の整数を表す。
    (10)式中、R40、R41は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基を表す。R41とベンゼン環は共同で環を形成してもよい。X4は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。X5は酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいローダニン環を表す。]
  10. 前記電子輸送層をなす酸化物半導体のラフネスファクターが20以上であることを特徴とする請求項3〜9の何れかに記載の色素増感太陽電池
  11. 前記電子輸送層の膜厚が100nm以上であることを特徴とする請求項3〜10の何れかに記載の色素増感太陽電池
  12. 前記電子輸送層をなす酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化ニッケルの少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする請求項3〜11の何れかに記載の色素増感太陽電池
  13. 前記電子輸送層が、非多孔質構造からなる層と多孔質構造からなる層の多層構造であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の色素増感太陽電池
  14. 前記電子輸送層が酸化物半導体からなり、該電子輸送層上に光増感化合物が吸着されており、かつ、ホール輸送層が上記一般式(14)または(15)で表される高分子材料、及び少なくとも1種以上の上記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有する溶液を湿式製膜法により塗布形成されたものであることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の色素増感太陽電池
  15. 前記ホール輸送層が、400mmHg以下の真空中で湿式製膜法により塗布形成されたものであることを特徴とする請求項14に記載の色素増感太陽電池
  16. 少なくとも一方が透明な電子集電電極とホール集電電極間に、電子輸送層とホール輸送層を設けてなる色素増感太陽電池の製造方法において、
    前記電子集電電極上に電子輸送層を形成し、該電子輸送層に光増感化合物を担持させ、次いで下記一般式(14)または(15)で表される高分子材料及び少なくとも1種以上の下記一般式(1B)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)で表される化合物を含有する溶液を用いて湿式製膜法によりホール輸送層を塗布積層し、多孔化処理を施した後に該ホール輸送層に接してホール集電電極を形成することを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法。
    Figure 0004855146

    [(14)式中、Ar 1 は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
    Figure 0004855146

    [(15)式中、Ar 4 はベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、ナフタレンの2価基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 はそれぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、アルキル基またはアルコキシ基もしくはアルキルチオ基から選択される基を表し、qは0〜5の整数を表し、r、s、t、uはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R 50 、R 51 、R 52 、R 53 、R 54 が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。]
    Figure 0004855146

    [式中、nは0または1の整数を表し、Ar’は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R5は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、R6は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Ar’とR5は互いに結合して環を形成してもよい。Aは9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基あるいは下記一般式(1B−1)または(1B−2):
    Figure 0004855146

    〔式中、R50及びR51は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子または下記一般式(1B−3):
    Figure 0004855146

    (式中、R52及びR53は置換アルキル基を含むアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、R52及びR53は同一でも別異でもよく、R52及びR53は互いに結合して環を形成してもよい。)で表される基を表す。〕で表される基を表す。]
    Figure 0004855146

    [(2)式中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1とR2、R1とR3、あるいはR2とR3は共同で環を形成してもよい。R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。R5、R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R5とR6は共同で環を形成してもよい。]
    Figure 0004855146

    [(3)式中、R7は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表す。R8、R9、R10、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R8とR9、R10とR11は共同で環を形成してもよい。]
    Figure 0004855146

    [(4)式中、R12、R13、R14は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R12とR13、R13とR14、R12とR14は共同で環を形成してもよい。R15は窒素原子、ホウ素原子、アルキリジン基、置換もしくは無置換の3価の芳香族炭化水素基を表す。]
    Figure 0004855146

    [(5)式中、R16は置換もしくは無置換の4価の芳香族炭化水素基を表す。R17〜R24は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の複素環基を表し、R17とR18、R19とR20、R21とR22、R23とR24は共同で環を形成してもよい。]
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