PDP(プラズマディスプレイパネル)を用いたプラズマディスプレイ装置は、薄型化および大画面化が可能であるという利点を有する。このプラズマディスプレイ装置では、ガス放電の際の発光を利用することにより画像を表示している。
図8はAC型PDPにおける放電セルの駆動方法を説明するための図である。図8に示すように、AC型PDPの放電セルにおいては、対向する電極301,302の表面がそれぞれ誘電体層303,304で覆われている。
図8(a)に示すように、電極301,302間に放電開始電圧よりも低い電圧を印加した場合には、放電が起こらない。図8(b)に示すように、電極301,302間に放電開始電圧よりも高いパルス状の電圧(書き込みパルス)を印加すると、放電が発生する。放電が発生すると、負電荷は電極301の方向に進んで誘電体層303の壁面に蓄積され、正電荷は電極302の方向に進んで誘電体層304の壁面に蓄積される。誘電体層303,304の壁面に蓄積された電荷を壁電荷と呼ぶ。また、この壁電荷により誘起された電圧を壁電圧と呼ぶ。
図8(c)に示すように、誘電体層303の壁面には負の壁電荷が蓄積され、誘電体層304の壁面には正の壁電荷が蓄積される。この場合、壁電圧の極性は、外部印加電圧の極性と逆向きであるため、放電の進行に従って放電空間内における実効電圧が低下し、放電は自動的に停止する。
図8(d)に示すように、外部印加電圧の極性を反転させると、壁電圧の極性が外部印加電圧の極性と同じ向きになるため、放電空間内における実効電圧が高くなる。実効電圧が放電開始電圧を超えると、逆極性の放電が発生する。それにより、正電荷が電極301の方向に進み、すでに誘電体層303に蓄積されている負の壁電荷を中和し、負電荷が電極302の方向に進み、すでに誘電体層304に蓄積されている正の壁電荷を中和する。
そして、図8(e)に示すように、誘電体層303,304の壁面にそれぞれ正および負の壁電荷が蓄積される。この場合、壁電圧の極性が外部印加電圧の極性と逆向きであるため、放電の進行に従って放電空間内における実効電圧が低下し、放電が停止する。
さらに、図8(f)に示すように、外部印加電圧の極性を反転させると、逆極性の放電が発生し、負電荷は電極301の方向に進み、正電荷は電極302の方向に進み、図8(c)の状態に戻る。
このように、放電開始電圧よりも高い書き込みパルスを印加することにより一旦放電が開始された後は、壁電荷の働きにより放電開始電圧よりも低い外部印加電圧(維持パルス)の極性を反転させることにより放電を持続させることができる。書き込みパルスを印加することにより放電を開始させることをアドレス放電と呼び、アドレス放電を行う期間をアドレス期間と呼び、交互に反転する維持パルスを印加することにより放電を持続させることを維持放電と呼び、維持放電を行う期間を維持期間と呼ぶ。
図9は従来のプラズマディスプレイ装置の主としてPDP(プラズマディスプレイパネル)の構成を示す模式図である。
図9に示すように、PDP1は、複数のアドレス電極11、複数のスキャン電極(走査電極)12および複数のサステイン電極(維持電極)13を含む。複数のアドレス電極11は画面の垂直方向に配列され、複数のスキャン電極12および複数のサステイン電極13は画面の水平方向に配列されている。複数のサステイン電極13は共通に接続されている。
アドレス電極11、スキャン電極12およびサステイン電極13の各交点に放電セルが形成されている。各放電セルが画面上の画素を構成する。
データドライバ2は、画像データに応じて複数のアドレス電極11を駆動する。スキャンドライバ3は、複数のスキャン電極12を順に駆動する。サステインドライバ4は、複数のサステイン電極13を共通に駆動する。
図10はAC型PDPにおける3電極面放電セルの模式的断面図である。
図10に示す放電セル200においては、表面ガラス基板201上に対になるスキャン電極12およびサステイン電極13が画面の水平方向に形成され、それらのスキャン電極12およびサステイン電極13は透明誘電体層202および保護層203で覆われている。一方、表面ガラス基板201に対向する裏面ガラス基板204上にはアドレス電極11が画面の垂直方向に形成され、アドレス電極11上には透明誘電体層205が形成されている。透明誘電体層205上には蛍光体206が塗布されている。
この放電セル200では、アドレス電極11とスキャン電極12との間に書き込みパルスを印加することによりアドレス電極11とスキャン電極12との間でアドレス放電が発生した後、スキャン電極12とサステイン電極13との間に交互に反転する周期的な維持パルスを印加することによりスキャン電極12とサステイン電極13との間で維持放電が行われる。
AC型PDPにおける階調表示駆動方式としては、アドレス放電を行うアドレス期間と維持放電を行う維持期間とを分離して放電セルを放電させるADS(Address and Display−period Separated;アドレス・表示期間分離)方式が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、ADS方式を説明するための図である。図11の縦軸は第1ラインから第mラインまでのスキャン電極の走査方向(垂直走査方向)を示し、横軸は時間を示す。
ADS方式では、1フィールド(1/60秒=16.67ms)を複数のサブフィールドに時間的に分割する。例えば、8ビットで256階調表示を行う場合には、1フィールドを8つのサブフィールドに分割する。また、各サブフィールドは、点灯セル選択のためのアドレス放電が行われるアドレス期間と、表示のための維持放電が行われる維持期間(発光期間)とに分割される。
図11の例では、1フィールドが4つのサブフィールドSF1,SF2,SF3およびSF4に時間的に分割されている。サブフィールドSF1はアドレス期間AD1と維持期間SUS1とに分離され、サブフィールドSF2はアドレス期間AD2と維持期間SUS2とに分離され、サブフィールドSF3はアドレス期間AD3と維持期間SUS3とに分離され、サブフィールドSF4はアドレス期間AD4と維持期間SUS4とに分離されている。
ADS方式では、各サブフィールドで第1ラインから第mラインまでPDPの全面にアドレス放電による走査が行われ、PDPの全面のアドレス放電の終了時に維持放電が行われる。
このADS方式では、PDPの放電セルを点灯させる維持期間を選択することにより階調表示を行うことができる。
図12は、従来のAC型PDPの各電極に印加される駆動電圧の一例を示すタイミングチャートである。
図12のタイミングチャートは、PDP1の垂直方向に配列された1本のアドレス電極11の駆動電圧、そのアドレス電極11と交差する1本のスキャン電極12の駆動電圧および1本のサステイン電極13の駆動電圧を示している。
なお、図12の例では、各フィールドの第1および第2のサブフィールSF1,SF2を示している。
第1のサブフィールドSF1は、前のフィールドの最後のサブフィールドの維持期間において放電した放電セルに微弱な放電を発生させて壁電荷を均一に調整するための第1の選択型初期化期間、アドレス電極11およびスキャン電極12に書き込みパルスを印加してアドレス放電を行うアドレス期間、スキャン電極12とサステイン電極13とに維持電圧を印加して維持放電を行う維持期間、ならびに第1のサブフィールドSF1の維持期間において放電した放電セルに微弱な放電を発生させて壁電荷を均一に調整するための第2の選択型初期化期間により構成される。
また、第2のサブフィールドSF2は、全放電セルに微弱な放電を発生させて壁電荷を均一に調整するための全セル初期化期間、アドレス放電を行うアドレス期間および維持放電を行う維持期間により構成される。
図12の例では、まず、第1のサブフィールドSF1の第1の選択型初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La11を有する選択型初期化波形Setup10が印加される。また、データドライバ2によりアドレス電極11の電圧が0Vに保持され、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVeに保持される。
このランプ波形La11によりスキャン電極12の電圧がVadまで緩やかに下降されるときに、前フィールドの最後のサブフィールドの維持期間で維持放電した放電セルにおいてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。それにより、アドレス電極11に所定量の正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極12に所定量の負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に所定量の正の壁電荷が蓄積される。その結果、全ての放電セルの壁電荷がほぼ均一に調整される。
次に、第1のサブフィールドSF1のアドレス期間においてデータドライバ2により正極性の書き込みパルスPwが点灯させるべき放電セルに対応するアドレス電極11に印加される。また、スキャンドライバ3により書き込みパルスPwに同期して負極性の書き込みパルスPsがスキャン電極12に印加される。
この場合、点灯させるべき放電セルに対応するアドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧は、書き込みパルスPwと書き込みパルスPsとの間の電位差に、第1の選択型初期化期間終了時にスキャン電極12およびアドレス電極11の各々に蓄積されている壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、アドレス電極11とスキャン電極12との間でアドレス放電が発生し、スキャン電極12とサステイン電極13との間で放電が発生する。その結果、スキャン電極12に正の壁電荷が蓄積され、アドレス電極11に負の壁電荷が蓄積される。また、サステイン電極13に負の壁電荷が蓄積される。
一方、アドレス期間でアドレス電極11に書き込みパルスPwが印加されない場合には、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えないため、アドレス電極11とスキャン電極12との交点の放電セルではアドレス放電が発生しない。
次に、第1のサブフィールドSF1の維持期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで上昇される。このとき、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vにされる。
この場合、点灯させるべき放電セルに対応するスキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧は、スキャン電極12とサステイン電極13との間の電位差Vmに、アドレス期間にスキャン電極12およびサステイン電極13の各々に蓄積された壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、スキャン電極12とサステイン電極13との間で維持放電が発生する。その結果、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に正の壁電荷が蓄積される。
一方、書き込みパルスPwが印加されないためにアドレス放電を起こさなかった放電セルにおけるスキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧は、放電開始電圧を超えない。そのため、スキャン電極12とサステイン電極13との間で維持放電が発生しない。
次に、第1のサブフィールドSF1の第2の選択型初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La12を有する選択型初期化波形Setup20が印加される。また、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVeに保持される。このランプ波形La12によりスキャン電極12の電圧がVadまで緩やかに下降されるときに、第1のサブフィールドSF1の維持期間で維持放電した放電セルにおいてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。その結果、全ての放電セルの壁電荷がほぼ均一に調整される。
以上により、第1のサブフィールドSF1が終了する。なお、第1のサブフィールドSF1終了時には、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に正の壁電荷が蓄積されている。また、アドレス電極11には正の壁電荷が蓄積されている。
次に、第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La13,La14を有する全セル初期化波形Setup30が印加される。
全セル初期化期間においては、まず、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで上昇されるとともに、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が接地電圧0Vにされる。
その後、スキャン電極12の電圧がランプ波形La13によりVsetまで緩やかに上昇される。このとき、サステイン電極13の電圧は0Vに保持される。これにより、全ての放電セルにおいてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。その結果、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積されるとともにアドレス電極11およびサステイン電極13に正の壁電荷が蓄積される。
次に、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで下降されるとともに、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVeまで上昇される。
その後、スキャン電極12の電圧がランプ波形La14によりVadまで緩やかに下降される。このとき、サステイン電極13の電圧はVeに保持される。これにより、全ての放電セルにおいてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。その結果、スキャン電極12の負の壁電荷ならびにアドレス電極11およびサステイン電極13の正の壁電荷が減少する。
全セル初期化期間後の放電セルにおいては、アドレス電極11に所定量の正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極12に所定量の負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に所定量の正の壁電荷が蓄積される。以上により、全ての放電セルの壁電荷の量が均一に調整される。
次に、第2のサブフィールドSF2のアドレス期間においてデータドライバ2により正極性の書き込みパルスPwが点灯させるべき放電セルに対応するアドレス電極11に印加される。また、スキャンドライバ3によりスキャン電極12に書き込みパルスPwに同期して負極性の書き込みパルスPsが印加される。
この場合、点灯させるべき放電セルに対応するアドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧は、書き込みパルスPwと書き込みパルスPsとの間の電位差に、全セル初期化期間終了時にスキャン電極12およびアドレス電極11の各々に蓄積されている壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、アドレス電極11とスキャン電極12との間でアドレス放電が発生し、スキャン電極12とサステイン電極13との間で放電が発生する。その結果、スキャン電極12に正の壁電荷が蓄積され、アドレス電極11に負の壁電荷が蓄積される。また、サステイン電極13に負の壁電荷が蓄積される。
次に、第2のサブフィールドSF2の維持期間において、まず、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで上昇され、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vにされる。それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間で1回目の維持放電が発生する。その結果、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に正の壁電荷が蓄積される。
次に、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧が接地電圧0Vにされ、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVmまで上昇される。それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間で2回目の維持放電が発生する。その結果、スキャン電極12に正の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に負の壁電荷が蓄積される。
次に、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで上昇され、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vにされる。それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間で3回目の維持放電が発生する。その結果、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に正の壁電荷が蓄積される。以上により、第2のサブフィールドSF2が終了する。
ところで、ADS方式では、PDPの放電セルの輝度を最も低くしたい場合、最も維持期間の短い(最も維持放電の回数が少ない)サブフィールドのみにおいてアドレス放電および維持放電を行い、PDPの放電セルの輝度を最も高くしたい場合、全てのサブフィールドにおいてアドレス放電および維持放電を行う。つまり、図12の例では、第1のサブフィールドSF1のみにおいてアドレス放電および維持放電を行うことにより、放電セルの輝度を最も低くすることができる。
特開2002−14652号公報
以下、本発明に係る表示装置の一例としてプラズマディスプレイ装置について説明する。
(参考形態)
図1は参考形態に係るプラズマディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
図1のプラズマディスプレイ装置は、PDP(プラズマディスプレイパネル)1、データドライバ2、スキャンドライバ3、サステインドライバ4、A/Dコンバータ(アナログ/デジタル変換器)5、映像信号−サブフィールド対応付け器6およびサブフィールド処理器7を備える。
A/Dコンバータ5には、映像信号VDが入力される。A/Dコンバータ5は、アナログの映像信号VDをデジタルの画像データに変換し、映像信号−サブフィールド対応付け器6へ出力する。映像信号−サブフィールド対応付け器6は、1フィールドを複数のサブフィールドに分割して表示するため、1フィールドの画像データから各サブフィールドの画像データSPを作成し、サブフィールド処理器7へ出力する。
サブフィールド処理器7は、サブフィールドごとの画像データSPからデータドライバ駆動制御信号DS、スキャンドライバ駆動制御信号CSおよびサステインドライバ駆動制御信号USを作成し、それぞれデータドライバ2、スキャンドライバ3およびサステインドライバ4へ出力する。
PDP1は、複数のアドレス電極(データ電極)11、複数のスキャン電極(走査電極)12および複数のサステイン電極(維持電極)13を含む。複数のアドレス電極11は、画面の垂直方向に配列され、複数のスキャン電極12および複数のサステイン電極13は、画面の水平方向に配列されている。また、複数のサステイン電極13は、共通に接続されている。アドレス電極11、スキャン電極12およびサステイン電極13の各交点には、放電セル14が形成され、各放電セル14が画面上の画素を構成する。
データドライバ2は、PDP1の複数のアドレス電極11に接続されている。スキャンドライバ3は、スキャン電極12ごとに設けられた駆動回路を内部に備え、各駆動回路がPDP1の対応するスキャン電極12に接続されている。サステインドライバ4は、PDP1の複数のサステイン電極13に接続されている。
データドライバ2は、データドライバ駆動制御信号DSに従い、書き込み期間において、画像データSPに応じてPDP1の該当するアドレス電極11に書き込みパルスを印加する。
スキャンドライバ3は、スキャンドライバ駆動制御信号CSに従い、書き込み期間において、シフトパルスを垂直走査方向にシフトしつつPDP1の複数のスキャン電極12に書き込みパルスを順に印加する。これにより、該当する放電セル14においてアドレス放電が行われる。
また、スキャンドライバ3は、スキャンドライバ駆動制御信号CSに従い、維持期間において、維持放電を行うための維持波形をPDP1の複数のスキャン電極12に印加する。一方、サステインドライバ4は、サステインドライバ駆動制御信号USに従い、維持期間において、維持波形をPDP1の複数のサステイン電極13に印加する。これにより、該当する放電セル14において維持放電が行われる。
次いで、本参考形態に係るプラズマディスプレイ装置の駆動方法について説明する。
図2は本参考形態に係るプラズマディスプレイ装置の各電極に印加される駆動電圧の一例を示すタイミングチャートである。
図2のタイミングチャートは、PDP1の垂直方向に配列された1本のアドレス電極11の駆動電圧、そのアドレス電極11と交差する1本のスキャン電極12の駆動電圧および1本のサステイン電極13の駆動電圧を示している。
各フィールドは、複数のサブフィールドに分割される。例えば、1フィールドが第1〜第8のサブフィールドに分割されている。図2の例では、1フィールドの第1〜第3のサブフィールドSF1,SF2,SF3が示されている。
第1のサブフィールドSF1は、前のフィールドの最後のサブフィールドにおいて維持放電した放電セル14に微弱な放電を発生させて壁電荷を均一に調整するための選択型初期化期間、アドレス電極11およびスキャン電極12に書き込みパルスを印加してアドレス放電を行うアドレス期間、ならびにスキャン電極12に維持波形を印加して維持放電を行う維持期間により構成される。
また、第2のサブフィールドSF2は、全ての放電セル14に微弱な放電を発生させて壁電荷を均一に調整するための全セル初期化期間、書き込みパルスを印加してアドレス放電を行うアドレス期間および維持波形を印加して維持放電を行う維持期間により構成される。
また、第3のサブフィールドSF3は、選択型初期化期間、アドレス期間および維持期間により構成される。
まず、図2に示すように、第1のサブフィールドSF1の選択型初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La1を有する最高電圧Vmの選択型初期化波形Setup1が印加される。また、データドライバ2によりアドレス電極11が0Vに保持され、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVeに保持される。
このランプ波形La1によりスキャン電極12の電圧がVadまで緩やかに下降されるときに、前のフィールドの最後のサブフィールドの維持期間で維持放電した放電セル14においてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。それにより、アドレス電極11に所定量の正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極12に所定量の負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に所定量の正の壁電荷が蓄積される。その結果、全ての放電セル14の壁電荷がほぼ均一に調整される。
次に、第1のサブフィールドSF1のアドレス期間においてデータドライバ2により正極性の書き込みパルスPwが点灯させるべき放電セル14に対応するアドレス電極11に印加される。また、スキャンドライバ3により書き込みパルスPwに同期して負極性の書き込みパルスPsがスキャン電極12に印加される。
この場合、点灯させるべき放電セル14に対応するアドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧は、書き込みパルスPwと書き込みパルスPsとの間の電位差に、選択型初期化期間終了時にスキャン電極12およびアドレス電極11の各々に蓄積されている壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、アドレス電極11とスキャン電極12との間でアドレス放電が発生し、スキャン電極12とサステイン電極13との間で放電が発生する。その結果、スキャン電極12に正の壁電荷が蓄積され、アドレス電極11およびサステイン電極13に負の壁電荷が蓄積される。このアドレス放電により、放電セル14が1回発光する。
一方、アドレス期間でアドレス電極11に書き込みパルスPwが印加されない場合には、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えないため、アドレス電極11とスキャン電極12との交点の放電セル14ではアドレス放電が発生しない。
次に、第1のサブフィールドSF1の維持期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La2を有する維持波形が印加され、スキャン電極12の電圧が緩やかに上昇される。このとき、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧は0Vに保持される。それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な維持放電(以下、微弱維持放電と称する)が発生する。この微弱維持放電により放電セル14は発光するが、上記のアドレス放電による発光および後述する他のサブフィールにおける維持放電による発光に比べて輝度は低くなる。
ここで、微弱維持放電による発光の輝度は、維持波形の立ち上がり時間により異なる。すなわち、維持期間における維持波形の単位時間当たりの電圧変化(電圧変化率)を調整することにより、微弱維持放電による発光の輝度を調整することができる。本参考形態においては、例えば、微弱維持放電による発光の輝度と他のサブフィールドにおける維持放電による発光の輝度との比が1:4になるように、ランプ波形La2の電圧変化率を調整する。
続いて、第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La3,La4を有する最高電圧Vsetの全セル初期化波形Setup2が印加される。
全セル初期化期間においては、まず、スキャン電極12の電圧がランプ波形La3によりVsetまで緩やかに上昇される。また、サステイン電極13の電圧は0Vに保持される。このとき、全ての放電セル14においてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。その結果、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積されるとともにアドレス電極11およびサステイン電極13に正の壁電荷が蓄積される。
なお、本参考形態においては、第1のサブフィールドSF1の維持期間におけるランプ波形La2および第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間におけるランプ波形La3は連続的に変化する。それにより、スキャン電極12の電圧は0VからVsetまで緩やかに直線的に上昇される。その結果、維持期間開始から全セル初期化期間終了までの時間を短縮することができる。ランプ波形La2,La3の印加方法については後述する。
次に、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで下降されるとともに、サステインドライバ4によりサステインドライバ13の電圧がVeまで上昇される。
その後、スキャン電極12の電圧はランプ波形La4によりVadまで緩やかに下降される。このとき、サステイン電極13の電圧はVeに保持される。これにより、全ての放電セル14においてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。その結果、スキャン電極12の負の壁電荷ならびにアドレス電極11およびサステイン電極13の正の壁電荷が減少する。
全セル初期化期間後の放電セル14においては、アドレス電極11に所定量の正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極12に所定量の負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に所定量の正の壁電荷が蓄積される。以上により、全ての放電セル14の壁電荷の量が均一に調整される。
次に、第2のサブフィールドSF2のアドレス期間においてデータドライバ2により正極性の書き込みパルスPwが点灯させるべき放電セル14に対応するアドレス電極11に印加される。また、スキャンドライバ3により書き込みパルスPwに同期して負極性の書き込みパルスPsがスキャン電極12に印加される。
この場合、点灯させるべき放電セル14に対応するアドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧は、書き込みパルスPwと書き込みパルスPsとの間の電位差に、全セル初期化期間終了時にスキャン電極12およびアドレス電極11の各々に蓄積されている壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、アドレス電極11とスキャン電極12との間でアドレス放電が発生し、スキャン電極12とサステイン電極13との間で放電が発生する。その結果、スキャン電極12に正の壁電荷が蓄積され、アドレス電極11に負の壁電荷が蓄積される。また、サステイン電極13に負の壁電荷が蓄積される。このアドレス放電により、放電セル14が1回発光する。
一方、アドレス期間でアドレス電極11に書き込みパルスPwが印加されない場合には、第1のサブフィールドSF1と同様にアドレス放電が発生しない。
次に、第2のサブフィールドSF2の維持期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12に維持波形が印加され、スキャン電極12の電圧がVmまで上昇される。このとき、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vにされる。
この場合、点灯させるべき放電セル14に対応するスキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧は、スキャン電極12とサステイン電極13との間の電位差Vmに、アドレス期間にスキャン電極12およびサステイン電極13の各々に蓄積された壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、スキャン電極12とサステイン電極13との間で維持放電が発生する。この維持放電により、放電セル14が1回発光する。
一方、書き込みパルスPwが印加されないためにアドレス放電を起こさなかった放電セル14においては維持放電が発生しない。
以上により、第2のサブフィールドSF2が終了する。
第3のサブフィールドSF3においては、まず、選択型初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La5を有する最高電圧Vmの選択型初期化波形Setup3が印加される。また、データドライバ2によりアドレス電極11が0Vに保持され、サステインドライバ4によりサステイン電極13がVeに保持される。
このランプ波形La5によりスキャン電極12の電圧がVadまで緩やかに下降されるときに、第2のサブフィールドSF2の維持期間で維持放電した放電セル14においてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。それにより、アドレス電極11に所定量の正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極12に所定量の負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に所定量の正の壁電荷が蓄積される。その結果、全ての放電セル14の壁電荷がほぼ均一に調整される。
次に、アドレス期間においてデータドライバ2により正極性の書き込みパルスPwが点灯させるべき放電セル14に対応するアドレス電極11に印加される。また、スキャンドライバ3により書き込みパルスPwに同期して負極性の書き込みパルスPsがスキャン電極12に印加される。
この場合、点灯させるべき放電セル14に対応するアドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧は、書き込みパルスPwと書き込みパルスPsとの間の電位差に、選択型初期化期間終了時にスキャン電極12およびアドレス電極11の各々に蓄積されている壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、アドレス電極11とスキャン電極12との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、アドレス電極11とスキャン電極12との間でアドレス放電が発生し、スキャン電極12とサステイン電極13との間で放電が発生する。その結果、スキャン電極12に正の壁電荷が蓄積され、アドレス電極11およびサステイン電極13に負の壁電荷が蓄積される。このアドレス放電により、放電セル14が1回発光する。
次に、第3のサブフィールドSF3の維持期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12に維持波形が印加され、スキャン電極12の電圧がVmまで上昇される。このとき、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vにされる。
この場合、点灯させるべき放電セル14に対応するスキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧は、スキャン電極12とサステイン電極13との間の電位差Vmに、アドレス期間にスキャン電極12およびサステイン電極13の各々に蓄積された壁電荷による壁電圧を加算した値となる。
それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、スキャン電極12とサステイン電極13との間で1回目の維持放電が発生し、放電セル14が1回発光する。
続いて、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧が0Vにされ、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVmまで上昇される。それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、スキャン電極12とサステイン電極13との間で2回目の維持放電が発生し、放電セル14が1回発光する。
続いて、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで上昇され、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vにされる。それにより、スキャン電極12とサステイン電極13との間の実効電圧が放電開始電圧を超えるため、スキャン電極12とサステイン電極13との間で3回目の維持放電が発生し、放電セル14が1回発光する。以上により、第3のサブフィールドSF3が終了する。
第4〜第8の各サブフィールドは、第3のサブフィールドSF3と同様に選択型初期化期間、アドレス期間および維持期間を有する。ただし、維持期間における維持放電の回数は各サブフィールドによって異なる。また、第3〜第8の各サブフィールドにおいては、選択型初期化期間の代わりに、全セル初期化波形Setpu2を印加する全セル初期化期間を設けてもよい。
以上のように、本参考形態では、第1のサブフィールドSF1の維持期間においては、スキャン電極12にランプ波形La2が印加されることにより微弱維持放電が発生する。この場合、第1のサブフィールドSF1の維持期間における微弱維持放電による放電セル14の発光(以下、微弱発光と称する)は、第1のサブフィールドSF1のアドレス期間ならびに第2のサブフィールドSF2以降の各サブフィールドにおけるアドレス期間および維持期間における発光(以下、強発光と称する)に比べて輝度が低くなる。
ここで、第1〜第3のサブフィールドにおける強発光の回数を整理すると、第1のサブフィールドSF1における強発光の回数は1回であり、第2のサブフィールドSF2における強発光の回数は2回であり、第3のサブフィールドSF3における強発光の回数は4回である。図2において、放電セル14が強発光を行うタイミングを点線丸印で示す。
ADS方式においては、点灯させるべきサブフィールドを選択し組み合わせることにより階調表示を行うことができる。
本参考形態においては、点灯させるサブフィールドを選択し組み合わせることにより強発光の回数を調整し、階調表示を行う。
表1に、各階調レベルを表示するために点灯させるサブフィールドと各階調レベルにおける強発光の回数との関係を示す。なお、表1においては、点灯させるサブフィールドを○で表し、点灯させないサブフィールドを×で表している。
表1に示すように、本参考形態においては、第1〜第3のサブフィールドSF1,SF2,SF3から点灯させるサブフィールドを選択し組み合わせることにより、放電セル14の強発光の回数を1〜7へと1ずつ変化させることができる。例えば、放電セル14の輝度を最も低くしたい場合すなわち階調レベル1を表示したい場合には、第1のサブフィールドSF1のみを点灯させて、強発光を1回行う。また、階調レベル5を表示する場合には、第1のサブフィールドSF1および第3のサブフィールドSF5を点灯させて、強発光を5回行う。
一方、図13において説明した従来の駆動方法においては、第1のサブフィールドSF1において、放電セルは、アドレス期間および維持期間でそれぞれ1回ずつ強発光する。すなわち、第1のサブフィールドSF1における強発光の回数は2である。
また、第2のサブフィールドSF2では、放電セルは、アドレス期間で1回強発光し、維持期間で3回強発光する。すなわち、第2のサブフィールドSF2における強発光の回数は4である。
表2に、従来の駆動方法における階調を表示するために点灯させるサブフィールドと各階調における強発光の回数との関係を示す。なお、表2においては、点灯させるサブフィールドを○で表し、点灯させないサブフィールドを×で表している。
表2に示すように、従来の駆動方法においては、階調1〜3を表示する場合、放電セルの強発光の回数は、2、4および6と2ずつ変化する。このように、従来の駆動方法においては、各階調レベルが2の倍数の強発光の回数で表現される。すなわち、最も低い階調レベルは2回の強発光で表現される。
これに対して、本参考形態に係るプラズマディスプレイ装置の駆動方法においては、各階調レベルが1の倍数の強発光の回数で表現することができる。それにより、より多くの輝度を表示することが可能になる。
また、放電セル14における微弱発光の輝度と強発光の輝度との比が1:4になるようにランプ波形La2が印加されている。この場合、微弱発光の輝度が小さくなるので、第1のサブフィールドSF1における発光の輝度が大幅に低下する。すなわち、最も低い階調レベルでの輝度を大幅に低下させることができる。それにより、黒により近い輝度の表示が可能になる。
また、本参考形態においては、最も低い階調レベルの輝度すなわち第1のサブフィールドSF1の発光による輝度は、強発光の発光輝度に微弱発光の発光輝度を加算した値になる。例えば、強発光の輝度の重み付けを0.4とし、微弱発光の輝度の重み付けを0.1とした場合、階調レベル1の輝度は0.5となり、階調レベル2の輝度は0.9となり、階調レベル3の輝度は1.3となる。
ここで、ランプ波形La2の電圧変化率を調整し、微弱発光の輝度の重み付けを0.2にすると、階調レベル1〜3の輝度はそれぞれ0.6、1.0および1.4となる。このように、本参考形態においては、ランプ波形La2の電圧変化率を調整し微弱発光の輝度を調整することにより、各階調レベルの輝度を調整することができる。それにより、さらに多くの輝度の表示が可能になる。
次に、第1のサブフィールドSF1の維持期間および第2のサブフィールドSF2におけるランプ波形La2,La3の印加方法について詳細に説明する。
まず、図1のスキャンドライバ3について説明する。
図3は、図1のスキャンドライバ3の構成を示す回路図である。以下の説明では、駆動電圧の立ち上がり時に放電を行う正極性のパルスの例を示しているが、立ち下がり時に放電を行う負極性のパルスを用いてもよい。
図3に示すスキャンドライバ3は、FET(電界効果型トランジスタ、以下トランジスタと略記する)Q11〜Q22、コンデンサC11〜15、コイルL1、電源端子V11〜V14およびダイオードD11〜D14を含む。
スキャンドライバ3のトランジスタQ13は、電源端子V11とノードN13との間に接続され、ゲートには制御信号S13が入力される。電源端子V11には、電圧Vmが印加される。トランジスタQ14は、ノードN13と接地端子との間に接続され、ゲートには制御信号S14が入力される。
コンデンサC11は、ノードN11と接地端子との間に接続される。トランジスタQ11およびダイオードD11は、ノードN11とノードN12との間に直列に接続される。ダイオードD12およびトランジスタQ12は、ノードN12とノードN11との間に直列に接続される。トランジスタQ11のゲートには、制御信号S11が入力され、トランジスタQ12のゲートには、制御信号S12が入力される。コイルL11は、ノードN12とノードN13との間に接続される。
コンデンサC12は、ノードN14とノードN13との間に接続される。ダイオードD13は、電源端子V12とノードN14との間に接続される。電源端子V12は、電圧Vrが印加される。
トランジスタQ15は、ノードN14とノードN15との間に接続され、ゲートには制御信号S15が入力される。コンデンサC13は、ノードN14とトランジスタQ15のゲートとの間に接続される。トランジスタQ16は、ノードN15とノードN13との間に接続され、ゲートには制御信号S16が入力される。
トランジスタQ17は、ノードN15とノードN16との間に接続され、ゲートには制御信号S17が入力される。トランジスタQ18は、ノードN16と電源端子V13との間に接続され、ゲートには制御信号S18が入力される。電源端子V13には、電圧Vadが印加される。コンデンサC14は、ノードN16とトランジスタQ18のゲートとの間に接続される。
コンデンサC15は、ノードN16とノードN17との間に接続される。ダイオードD14は、電源端子V14とノードN17との間に接続される。電源端子V14には、電圧Vsが印加される。
トランジスタQ19は、ノードN17とノードN18との間に接続され、ゲートには制御信号S19が入力される。トランジスタQ20は、ノードN18とノードN16との間に接続され、ゲートには制御信号S20が入力される。
トランジスタQ21は、ノードN18とスキャン電極12との間に接続され、ゲートには制御信号S21が入力される。トランジスタQ22は、ノードN16とスキャン電極12との間に接続され、ゲートには制御信号S22が入力される。
次に、図2の第1のサブフィールドSF1の維持期間および第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間における制御信号S11〜S22について説明する。
図4は、第1のサブフィールドSF1の維持期間および第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間における制御信号S11〜S22のタイミングチャートである。
維持期間開始時点において、制御信号S11,S12,S13,S15,S18,S19,S21がそれぞれローレベルになっている。それにより、トランジスタQ11,Q12,Q13,Q15,Q18,Q19,Q21はそれぞれオフしている。また、制御信号S14,S16,S17,S20,S22がそれぞれハイレベルとなっている。それにより、トランジスタQ14,Q16,Q17,Q20,Q22がそれぞれオンしている。この場合、スキャン電極11の電圧は0Vになっている。
維持期間の時点t1において、制御信号S15がハイレベルになりトランジスタQ15がオンになり、制御信号S16がローレベルになりトランジスタQ16がオフになる。このとき、ノードN13は0Vであり、ノードN14は電圧Vrとなっている。また、トランジスタQ15のゲートには、コンデンサC13とゲート抵抗によるRC積分により徐々に電流が流れ、電源端子V12からスキャン電極12に電流が徐々に流れる。それにより、スキャン電極12の電圧が徐々に上昇する。
次に、維持期間の時点t2において、制御信号S11がハイレベルになりトランジスタQ11がオンになり、制御信号S14がローレベルになりトランジスタQ14がオフになり、制御信号S15がローレベルになりトランジスタQ15がオフになり、制御信号S16がハイレベルになりトランジスタQ16がオンになる。
次に、維持期間の時点t3において、制御信号S11がローレベルになりトランジスタQ11がオフになり、制御信号S13がハイレベルになりトランジスタQ13がオンになり、制御信号S15がハイレベルになりトランジスタQ15がオンになり、制御信号S16がローレベルになりトランジスタQ16がオフになる。このとき、ノードN13は電源端子V11の電圧Vmが負荷されており、ノードN14は、コンデンサC12を介して、電圧(Vm+Vr)となっている。また、トランジスタQ15のゲートには、コンデンサC13とゲート抵抗によるRC積分により徐々に電流が流れ、電源端子V12からスキャン電極12に電流が徐々に流れる。それにより、スキャン電極12の電圧はVmからVset(Vm+Vr)まで上昇する。
次に、全セル初期化期間の時点t4において、制御信号S15がローレベルになりトランジスタQ15がオフになり、制御信号S16がハイレベルになりトランジスタQ16がオンになる。この場合、スキャン電極12の電圧は、電源端子V11の電圧Vmまで下降する。
次に、全セル初期化期間の時点t5において、制御信号S13がローレベルになりトランジスタQ13がオフになり、制御信号S18がハイレベルになりトランジスタQ18がオンになり、制御信号S19がローレベルになりトランジスタQ19がオフになる。この場合、スキャン電極12の電圧は、電源端子V13の電圧Vadまで徐々に下降する。
ここで、本参考形態においては、トランジスタQ15のドレインとゲートとの間にコンデンサC13が接続されている。この場合、コンデンサC13の静電容量を調整することにより、コンデンサC13とトランジスタQ15のゲート抵抗によるRC時定数が変化し、ランプ波形La2,La3の電圧変化率を変更することができる。また、本参考形態では、ランプ波形La2,La3を一定の電圧変化率で電圧変化しているが、図5に示すような、曲線状に変化するランプ波形La2,La3をスキャン電極12に与えてもよい。
(一実施の形態)
図6は、一実施の形態に係るプラズマディスプレイ装置の各電極に印加される駆動電圧を示すタイミングチャートである。
図6のタイミングチャートが図2のタイミングチャートと異なるのは以下の点である。
図6のタイミングチャートにおいては、第1のサブフィールドSF1の維持期間において、スキャン電極12の電圧は、ランプ波形La6によりVrまで緩やかに上昇される。このとき、スキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生し、放電セル14が微弱発光する。
次に、第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間において、スキャンドライバ3によりスキャン電極12にランプ波形La7,La8を有する最高電圧Vsetの全セル初期化波形Setup4が印加される。
全セル初期化期間においては、まず、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで上昇されるとともに、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧が0Vに保持される。
その後、スキャン電極12の電圧がランプ波形La7によりVsetまで緩やかに上昇される。このとき、サステイン電極13の電圧は0Vに保持される。これにより、全ての放電セルにおいてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱放電が発生する。その結果、スキャン電極12に負の壁電荷が蓄積されるとともにアドレス電極11およびサステイン電極13に正の壁電荷が蓄積される。
次に、スキャンドライバ3によりスキャン電極12の電圧がVmまで下降されるとともに、サステインドライバ4によりサステイン電極13の電圧がVeまで上昇される。
その後、スキャン電極12の電圧がランプ波形La8によりVadまで緩やかに下降される。このとき、サステイン電極13の電圧はVeに保持される。これにより、全ての放電セルにおいてスキャン電極12とアドレス電極11との間およびスキャン電極12とサステイン電極13との間で微弱な放電が発生する。その結果、スキャン電極12の負の壁電荷ならびにアドレス電極11およびサステイン電極13の正の壁電荷が減少する。
全セル初期化期間後の放電セルにおいては、アドレス電極11に所定量の正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極12に所定量の負の壁電荷が蓄積され、サステイン電極13に所定量の正の壁電荷が蓄積される。以上により、全ての放電セルの壁電荷の量が均一に調整される。
このように、本実施の形態に係るプラズマディスプレイ装置の駆動方法においては、第1のサブフィールドSF1の維持期間において、スキャン電極3にランプ波形La6を印加することにより放電セル14を微弱発光させている。それにより、第1のサブフィールドSF1における放電セル14の強発光の回数が1回になる。
この場合、各階調レベルが1の倍数の強発光の回数で表現することができる。それにより、より多くの輝度を表示することが可能になる。
また、第1のサブフィールドSF1における発光の輝度を大幅に低下させることができる。すなわち、最も低い階調レベルでの輝度を大幅に低下させることができる。それにより、黒により近い輝度の表示が可能になる。
また、ランプ波形La6の電圧変化率を調整し微弱発光の輝度を調整することにより、各階調レベルの輝度を調整することができる。それにより、さらに多くの輝度の表示が可能になる。
次に、第1のサブフィールドSF1の維持期間および第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間におけるスキャン電極12に印加する駆動電圧の印加方法について説明する。
図7は、第1のサブフィールドSF1の維持期間および第2のサブフィールドSF2の全セル初期化期間における制御信号S11〜S22のタイミングチャートである。
維持期間開始時点において、制御信号S11,S12,S13,S15,S18,S19,S21がそれぞれローレベルになっている。それにより、トランジスタQ11,Q12,Q13,Q15,Q18,Q19,Q21はそれぞれオフしている。また、制御信号S14,S16,S17,S20,S22がそれぞれハイレベルとなっている。それにより、トランジスタQ14,Q16,Q17,Q20,Q22がそれぞれオンしている。この場合、スキャン電極11の電圧は0Vになっている。
維持期間の時点t1において、制御信号S15がハイレベルになりトランジスタQ15がオンになり、制御信号S16がローレベルになりトランジスタQ16がオフになる。それにより、電源端子V12からスキャン電極12に電流が流れ、スキャン電極12の電圧がVrまで徐々に上昇する。このとき、制御信号S15のハイレベルおよび制御信号S16のローレベルの幅を調整することで、スキャン電極12の電圧は、0Vから電圧Vrまで電圧を自由に設定することができ、微弱放電の輝度を調整することが可能となる。
次に、維持期間の時点t2において、制御信号S15がローレベルになりトランジスタQ15がオフになり、制御信号S16がハイレベルになりトランジスタQ16がオンになる。それにより、スキャン電極12の電圧は0Vまで下降する。
次に、全セル初期化期間の時点t3において、制御信号S11がハイレベルになりトランジスタQ11がオンになり、制御信号S14がローレベルになりトランジスタQ14がオフになる。それにより、コンデンサC11からスキャン電極12に電流が流れスキャン電極12の電圧が上昇する。
次に、全セル初期化期間の時点t4において、制御信号S11がローレベルになりトランジスタQ11がオフになり、制御信号S13がハイレベルになりトランジスタQ13がオンになる。それにより、電源端子V11からスキャン電極12に電流が流れ、スキャン電極12の電圧がVmまで上昇する。
次に、全セル初期化期間の時点t5において、制御信号S15がハイレベルになりトランジスタQ15がオンになり、制御信号S16がローレベルになりトランジスタQ16がオフになる。この場合、電源端子V12からスキャン電極12に電流が流れるとともに、電源端子V11からノードN13に電流が流れる。それにより、スキャン電極12の電圧はVset(Vm+Vr)まで上昇する。
次に、全セル初期化期間の時点t6において、制御信号S15がローレベルになりトランジスタQ15がオフになり、制御信号S16がハイレベルになりトランジスタQ16がオンになる。この場合、スキャン電極12の電圧は、電源端子V11の電圧Vmまで下降する。
次に、全セル初期化期間の時点t7において、制御信号S13がローレベルになりトランジスタQ13がオフになり、制御信号S18がハイレベルになりトランジスタQ18がオンになり、制御信号S19がローレベルになりトランジスタQ19がオフになる。この場合、スキャン電極12の電圧は、電源端子V13の電圧Vadまで徐々に下降する。
なお、本実施の形態においても、参考形態と同様に、コンデンサC13の静電容量を調整することにより、ランプ波形La6の電圧変化率を変更することができる。また、本実施の形態では、ランプ波形La6を一定の電圧変化率で電圧変化しているが、曲線状に変化するランプ波形La6(図示せず)をスキャン電極12に与えてもよい。
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応)
上記実施の形態においては、アドレス電極11が第1の電極に相当し、スキャン電極12が第2の電極に相当し、サステイン電極13が第3の電極に相当し、サブフィールド処理器7がサブフィールド分割手段に相当し、書き込みパルスPwが第1の駆動波形に相当し、データドライバ2が第1の駆動回路に相当し、書き込みパルスPsが第2の駆動波形に相当し、維持波形が第3の駆動波形に相当し、スキャンドライバ3が第2の駆動回路に相当し、0Vが第1の電圧に相当し、電圧Vmが第2の電圧に相当し、電圧Vsetが第3の電圧に相当し、電圧Vadが第4の電圧に相当し、電圧Vrが第5の電圧に相当し、トランジスタQ11〜Q22がスイッチング素子に相当し、コンデンサC13およびトランジスタQ15が積分回路に相当する。
(他の実施の形態)
スイッチング素子としては、電解効果型トランジスタの代わりにバイポーラ型トランジスタ等の他の種々のトランジスタを用いてもよい。また、第1〜第6の電圧としては、上記実施の形態に記載されたものに限定されず、任意に設定された他の電圧を用いてもよい。