以下、本発明に係る種々の実施例について説明する。
図1は、本発明の実施例に係るプラズマディスプレイ装置1の概略構成を示す図である。プラズマディスプレイ装置1は、プラズマディスプレイパネル(PDP)2を有し、さらに、このプラズマディスプレイパネル2内の放電セルCL,…,CLを駆動する列電極駆動部15、第1行電極駆動部16Aおよび第2行電極駆動部16Bを有している。これら列電極駆動部15、第1行電極駆動部16Aおよび第2行電極駆動部16Bによって本発明に係る「パネル駆動部」が構成され得る。
また、プラズマディスプレイ装置1は、プラズマディスプレイパネル2に表示すべき映像信号を処理する信号処理部として、コントローラ10、階調調整部12、駆動データ生成部13およびメモリ回路14を有している。これら処理ブロック10〜13の全部または一部は、ハードウェアの回路構成で実現されてもよいし、あるいは、不揮発性メモリや光ディスクなどの記録媒体に記録されたプログラムまたはプログラムコードで実現されてもよい。そのようなプログラムまたはプログラムコードは、CPUなどのプロセッサに上記処理ブロック10〜13の全部または一部の処理を実行させるものである。
コントローラ10は、デジタル信号である入力映像信号VSiに信号処理を施して映像信号VSaを生成し、この映像信号VSaを階調調整部12に転送する。また、コントローラ10は、外部信号源(図示せず)から供給される同期信号(水平同期信号と垂直同期信号含む。)およびクロック信号を用いて、駆動制御部11の動作を制御する機能をも有する。
さらにコントローラ10は、重み割り当て部10Aおよび輝度検出部10Bを処理ブロックとして含む。輝度検出部10Bは、入力映像信号VSiの少なくとも1フィールドの平均輝度レベル(すなわち、APL:Average Picture Level)、最大輝度レベルおよび最小輝度レベルを検出する。重み割り当て部10Aは、輝度検出部10Bで検出された平均輝度レベルに応じた輝度の重みを、入力映像信号VSiの各フィールドを構成するサブフィールドにそれぞれ割り当てる機能を有する。
階調調整部12は、コントローラ10から入力された映像信号VSaに誤差拡散処理およびディザ処理を施して階調調整信号VSbを生成する。階調調整部12は、たとえば、8ビットの映像信号VSaの画素データの下位2ビットを周辺画素データの上位6ビットに拡散する誤差拡散を実行して6ビット信号を得ることができる。また階調調整部12は、たとえば、誤差拡散により得られた6ビット信号にディザマトリクスの要素を加算した後にビットシフトを施すことで上位4ビットの階調調整信号VSbを得ることが可能である。
駆動データ生成部13は、サブフィールド法の駆動シーケンスに対応する変換テーブルに従って、階調調整信号VSbを駆動データ信号DDに変換する機能を有する。メモリ回路14は、駆動データ生成部13の出力である駆動データ信号DDを一時的に記憶する。同時にメモリ回路14は、駆動制御部11による制御に従って、記憶データをサブフィールド単位で読み出し、当該読み出されたデータ信号DDaを列電極駆動部15に転送する。このように駆動データ生成部13とメモリ回路14は協働して、階調調整信号VSbの各フィールドを複数のサブフィールドに分解し、これらサブフィールドを表すデータ信号DDaを生成する機能を発揮する。
列電極駆動部15は、メモリ回路14から転送されたデータ信号DDaに基づいてアドレスパルスを発生し、これらアドレスパルスを所定のタイミングでプラズマディスプレイパネル2の列電極D1,…,Dm(mは2以上の整数)に印加することとなる。
プラズマディスプレイパネル2は、面状に且つマトリクス状に配列されている複数の放電セルCL,…,CLと、列電極駆動部15から列方向に伸長するm本の列電極(すなわち、アドレス電極)D1,…,Dmと、第1行電極駆動部16Aから行方向に伸長するn本(nは2以上の整数)の共通電極X1,…,Xnと、第2行電極駆動部16Bから行方向に伸長するn本の走査電極Y1,…,Ynと、を有する。共通電極Xj(jは正整数)とこれに対応する走査電極Yjとで1つの行電極対が構成される。行電極対Xj,Yjと列電極Dk(kは正整数)との交差領域、言い換えれば、行電極対Xj,Yjと列電極Dkとの交差点に対応する領域に放電セルCLが形成されている。電極対Xj,Yjと列電極Dkとは、プラズマディスプレイパネル2の基板の厚み方向に離間しており、各放電セルCL内の放電空間は、これら電極対Xj,Yjと列電極Dkとの間に形成されている。
図2は、プラズマディスプレイパネル2の構成の一例を示す平面図である。図3は、図2に示されるプラズマディスプレイパネル2のV3−V3切断線での断面図であり、図4は、図2に示されるプラズマディスプレイパネル2のW2−W2切断線での断面図である。
図3および図4に示されるように、プラズマディスプレイパネル2は、透明基板(前面基板)22と背面基板24とを有する。透明基板22の内面には、行電極対Xj,YjおよびXj+1,Yj+1が形成されている。各共通電極Xjは、第1透明電極Xaと当該第1透明電極Xaに接続する第1バス電極Xbとからなり、各走査電極Yjは、第2透明電極Yaと当該第2透明電極Yaに接続する第2バス電極Ybとからなる。第1および第2透明電極Xa,Yaは、ITO(インジウム錫酸化物)やSnO2などの透明電極材料からなり、第1および第2バス電極Xb,Ybは、行電極対Xj,YjおよびXj+1,Yj+1のインピーダンス低減のため、Cr(クロム)やCu(銅)などの比較的低い電気抵抗を持つ導電材料からなる。また、行電極対Xj,Yjと行電極対Xj+1,Yj+1との間には、透明基板22の内面に黒色または暗色の光吸収層(ブラックストライプ)21が形成されている。
共通電極Xj,Xj+1と走査電極Yj,Yj+1と光吸収層21とを被覆する保護層として誘電体層23が形成されている。誘電体層23は、たとえばガラス材料からなる単層または複数層の誘電体膜と、この誘電体膜を被覆する保護膜とで構成されればよい。保護膜としては、たとえばアルカリ土類金属の酸化物膜(たとえば、MgO膜)が挙げられる。図2に示されるように、共通電極Xj,Xj+1の第1バス電極Xbは行方向に伸長し、第1透明電極Xaは、第1バス電極Xbから列方向に突出し且つT字状の先端部を有する。同様に、走査電極Yj,Yj+1の第2バス電極Ybは行方向に伸長し、第2透明電極Yaは、第2バス電極Ybから列方向に突出し、且つ第1透明電極XaのT字状先端部に対向するT字状の先端部を有している。そして、行電極対Xj,Yjと行電極対Xj+1,Yj+1との間に介在する光吸収層21は、行方向に伸長しており、外光反射率を低下させてコントラストを改善する機能を発揮する。
一方、図2〜図4に示されるように、背面基板24の対向面には、列方向に伸長する列電極Dk,Dk+1,Dk+2が形成されている。これら列電極Dk,Dk+1,Dk+2を被覆する白色誘電体からなる保護層25が成膜されている。保護層25の上には、各放電セルCLが有する放電空間DSを形成する隔壁20が設けられている。各隔壁20は、図2に示されるように、行方向に伸長する一対の隔壁20A,20Aと、前記一対の隔壁20A,20Aを接続するように列方向に伸長する複数の隔壁20B,20B,…とで構成されている。図3および図4に示されるように、電極対Xj,YjおよびXj+1,Yj+1の下方において隔壁20の側壁と保護層25の上面とに蛍光体層26が塗布されている。これら隔壁20と蛍光体層26と誘電体層23とで囲まれる領域各々が各放電空間DSを形成することとなる。放電空間DSには、キセノンなどの放電ガスが封入されており、この放電ガスは、共通電極Xjと走査電極Yjとの間の電位差、あるいは共通電極Xjおよび走査電極Yjのいずれか一方と列電極Dk+1との間の電位差が放電空間DS内に形成する電界によりガス放電を起こし、紫外線を発生させる。この紫外線は、蛍光体層26の励起子(たとえば、電子やホール)を励起させ、蛍光体層26に当該蛍光体層26の発光色(赤色、緑色または青色)の可視光を放出させる。
なお、1個の画素セルは複数個の表示セルCL,…,CLで構成される。たとえば、赤色発光の表示セルCL,緑色発光の表示セルCLおよび青色発光の表示セルCLで1個の画素セルを構成すればよい。
図5および図6は、プラズマディスプレイパネル2の構成の他の例を示す断面図である。図5は、図2に示されるプラズマディスプレイパネル2のV3−V3切断線での断面図であり、図6は、図2に示されるプラズマディスプレイパネル2のW2−W2切断線での断面図である。図5および図6のプラズマディスプレイパネル2では、誘電体層23を被覆するように電子放出層30が形成されている。電子放出層30を除く構成は、図3および図4の構成と略同じである。電子放出層30は、電子ビーム蒸着法またはスパッタリング法により成膜することができる。
電子放出層30は、イオン(電子を含む。)の照射を受けて二次電子(Ion-Induced Secondary Electron)を高い二次電子放出率(γ値)をもって放出し、且つ電界を受けて電子(以下、「初期電子」という。)を放出する電子放出材料を含むものである。プラズマディスプレイ装置1の高精細化を実現するために放電セルCLが微細化されると、発光効率の低下とともに放電遅れの増大が問題となる。二次電子や初期電子は、放電開始電圧を低下させるプライミング効果を起こして放電遅れを改善させるものである。特に電子放出材料として酸化マグネシウムの結晶体を使用すると、放電遅れを改善することができる。この酸化マグネシウムの結晶体は、酸化マグネシウム蒸気と酸素とを気相酸化反応させて結晶核を生成し、当該生成された結晶核を成長させるプロセスにより得ることが可能である。
放電遅れを大幅に改善する観点からは、酸化マグネシウムの結晶体として、電子線照射により励起されて200〜300ナノメートルの波長域内で発光ピークを持つカソード・ルミネッセンス材料を含む結晶材料を使用することが好ましく、特に230〜250ナノメートルの波長域内に発光ピークを持つカソード・ルミネッセンス材料を含む結晶材料を使用することが好ましい。このような酸化マグネシウムの結晶体は、高い二次電子放出率(γ値)だけでなく高い初期電子放出率を有するので、プライミング効果を増大させる効果を奏する。
酸化マグネシウムの結晶体は、互いに嵌り込む立方体結晶からなる多重結晶構造、あるいは立方体形の単結晶構造を有することが望ましく、特に、2000オングストローム以上の平均粒径を有する結晶体であることが望ましい。結晶体の平均粒径は、試料へのガス吸着量の測定の測定結果に基づいてBET法(Brunauer-Emmette-Teller Method)を用いて測定することができる。2000オングストローム以上の平均粒径を持つ酸化マグネシウムの結晶体を生成するためには、気相酸化反応に必要な加熱温度を高くする必要がある。かかる加熱温度を生成する火炎の長さを長くし且つ当該火炎の温度と周囲の温度との差を大きくすることによって、単位時間当たりに蒸発させるマグネシウムの量を増加させ、マグネシウム蒸気と酸素との反応領域を増大させて、前述の波長域内の発光ピークを有する大きな粒径の結晶体を多数得ることができる。
さらなる放電遅れの改善のために、上記電子放出材料からなる薄膜を蛍光体層26上に成膜してもよいし、あるいは、上記電子放出材料からなる結晶体粒子を放電空間DSに露出する状態で蛍光体層26に混在させてもよい。図7は、蛍光体層26上に成膜された電子放出膜26aを概略的に示す図であり、図8は、蛍光体層26内に散在する電子放出材料の結晶体粒子26e,26e,…を概略的に示す図である。図8に示されるように、結晶体粒子26e,…は、放電空間DSに露出した状態で蛍光体粒子26p,26p,…とともに蛍光体層26を構成している。図7の電子放出膜26aと図8の電子放出材料の結晶体粒子26eとを使用すると、列電極Dkに負の電圧極性のパルスを印加し共通電極Xjまたは走査電極Yjに正の電圧極性のパルスを印加することにより放電空間DSに対向放電を起こす場合に、電子放出膜26aと結晶体粒子26eとから二次電子および初期電子(プライミング粒子)が放出され、プライミング効果を起こして放電遅れを改善させる。このプライミング効果については後述する。
以上の構成を有するプラズマディスプレイ装置1の種々の動作を以下に説明する。
図1に示される駆動制御部11は、輝度検出部10Bで検出された輝度レベルに応じて、2種類の駆動シーケンスのいずれか一方を選択し、当該選択された駆動シーケンスに従った制御を実行する機能を有する。駆動制御部11は、当該検出された輝度レベルが所定の閾値レベル以下であるときは入力映像信号VSiの画像が低輝度画像であると判定して一方の駆動シーケンス(以下、第1駆動シーケンスと呼ぶ。)を選択することができる。他方、駆動制御部11は、当該検出された輝度レベルが前記閾値レベルよりも高いときには入力映像信号VSiの画像が低輝度画像ではないと判定して他方の駆動シーケンス(以下、第2駆動シーケンスと呼ぶ。)を選択することができる。輝度レベルとしては、上述の平均輝度レベル、最大輝度レベルあるいは最小輝度レベルを選択的に使用すればよい。
図9は、本実施例に係る第1駆動シーケンスの例を概略的に示す図である。この第1駆動シーケンスでは、映像信号の1フィールドは、表示順に連続的に配列されるN個(Nは2以上の整数)のサブフィールドSF1,…,SFNに分解されている。プラズマディスプレイ装置1は、これらサブフィールドSF1,…,SFNをプラズマディスプレイパネル2に順次表示することにより人間の眼に1枚の多階調画像を視覚させることができる。図10は、図9の第1駆動シーケンスによる駆動信号の波形を概略的に例示するタイミングチャートである。図10には、列電極D1〜Dnに印加される信号波形、共通電極X1〜Xnに印加される信号波形、並びに、走査電極Y1,…,Ynにそれぞれ印加される信号波形が示されている。
また、図11は、図9の第1駆動シーケンスを選択した場合に実現され得る放電セルCLの発光パターンと第1変換テーブルとを例示する図である。図11には、映像信号の各フィールドを14個のサブフィールドSF1〜SF14に分解した場合の映像信号の階調レベルとこれに対応する発光パターンとの関係が示されている。第1変換テーブルには、階調調整信号VSbの4ビット値と駆動データ信号DDの14ビット値とが示されている。駆動データ生成部13は、この第1変換テーブルに従って階調調整信号VSbを駆動データ信号DDに変換する。
一方、図12は、本実施例に係る第2駆動シーケンスの例を概略的に示す図である。この第2駆動シーケンスでは、映像信号の1フィールドは、表示順に連続的に配列されるM個(Mは2以上の整数)のサブフィールドSF1〜SFMに分解されている。図13は、図12の第2駆動シーケンスによる駆動信号の波形を概略的に例示するタイミングチャートである。図13には、列電極D1〜Dnに印加される信号波形、共通電極X1〜Xnに印加される信号波形、並びに、走査電極Y1,…,Ynにそれぞれ印加される信号波形が示されている。
また、図14は、図12の第2駆動シーケンスを選択した場合に実現され得る放電セルCLの発光パターンと第2変換テーブルとを例示する図である。図14には、映像信号の各フィールドを14個のサブフィールドSF1〜SF14に分解した場合の映像信号の階調レベルとこれに対応する発光パターンとの関係が示されている。第2変換テーブルには、階調調整信号VSbの4ビット値と駆動データ信号DDの14ビット値とが示されている。駆動データ生成部13は、この第2変換テーブルに従って階調調整信号VSbを駆動データ信号DDに変換する。
最初に、第1駆動シーケンスによるプラズマディスプレイ装置1の動作を説明する。図9に示される通り、先頭サブフィールドSF1の表示期間は、第1リセット期間Tr1、第1選択書込期間(アドレス期間)Tw1、微少発光期間TLLおよび第2リセット期間Tr2に分割されている。第2番目サブフィールドSF2の表示期間は、選択書込期間(アドレス期間)Tw2および発光期間T2に分割されている。第2番目サブフィールドSF2に続く各後続サブフィールドSFqの表示期間(qは3〜N−1の整数)は、選択消去期間Teおよび発光期間Tqに分割されている。そして、最終サブフィールドSFNの表示期間は、選択消去期間Te、発光期間TNおよび消去期間Tbに分割されている。
図1の重み割り当て部10Aは、先頭サブフィールドSF1を除く後続サブフィールドSF2〜SFNにそれぞれ輝度の重みを割り当てる。後続サブフィールドSF2,…,SFNの発光期間T2,…,TNの長さは、それぞれ、輝度の重みに比例する時間長を有するように制御される。本実施例では、輝度の重みは、それぞれ、後続サブフィールドSF2,…,SFNの発光期間T2,…,TNに印加されるべき放電維持パルスの個数あるいはこれに略比例する値を有する。
図10を参照すると、先頭サブフィールドSF1の表示期間における第1リセット期間Tr1では、図1の列電極駆動部15は、列電極D1〜DmにGNDレベル(接地レベル)の電圧を印加する。このとき、図1の第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに所定レベルから漸次緩やかに上昇する波形を有する正極性のリセットパルスPya,…,Pyaを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。同時に、図1の第1行電極駆動部16Aは、共通電極Xjと走査電極Yjとの間での放電(面放電)の発生を防止するために、電圧レベルが経過時間とともに所定レベルから漸次緩やかに上昇する波形を有する正極性のリセットパルスPxaを共通電極X1〜Xnに印加する。これにより、陽極である走査電極Yjと陰極である列電極Dkとの間の電位差に起因して放電セルCLの放電空間DSにリセット放電が発生し、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち正イオン粒子は陰極Dkに近い壁面に誘引され、負イオン粒子は陽極Ykに近い壁面に誘引されるので、陽極Yjから陰極Dkに向けて電流が流れてリセット放電は停止する。この結果、走査電極Y1〜Ynに近い誘電体層23の壁面には負イオン粒子が蓄積され、列電極D1〜Dmに近い蛍光体層26(図3)の壁面には正イオン粒子が蓄積される。
これらリセットパルスPxa,Pyaの立ち上がり時の電圧レベルの時間変化率は、後述する放電維持パルスP+の立ち上がり時の電圧レベルの時間変化率よりも低く且つ緩やかである。よって、リセット放電は維持放電よりも微弱であり、リセット放電により発生する光の背景発光輝度への寄与は無視できる程度に小さい。なお、これらリセットパルスPxa,Pyaの最大ピーク電圧は、放電維持パルスP+の最大ピーク電圧よりも低いが、これに限らず、放電維持パルスP+の最大ピーク電圧と同一またはそれ以上であってもよい。
なお、第1行電極駆動部16Aは、リセットパルスPxaを印加しなくても共通電極Xjと走査電極Yjとの間に面放電が起きない場合には、リセットパルスPxaを印加せずに共通電極X1〜Xnに、たとえばGNDレベルの一定電圧を印加してもよい。
次にリセット期間Tr1の残存部分では、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する波形を持つ負極性の調整パルスPyc,…,Pycを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。同時に、第1行電極駆動部16Aおよび列電極駆動部15は、調整パルスPycの電圧レベルよりも高い略一定の電圧(本実施例では、GND電圧)を共通電極X1〜Xnと列電極D1〜Dmとに印加する。調整パルスPyc,…,Pycの最小ピーク電圧は、後述する走査パルスPsの最小ピーク電圧よりも高く且つGNDレベルに近いレベルになるように調整されており、また、調整パルスPyc,…,Pycの電圧振幅は走査パルスPsの電圧振幅よりも小さい。これにより、放電セルCL内でイオン粒子の移動、あるいは走査電極Yjと列電極Dkとの間に微弱放電が生起されて壁電荷分布が調整される。この結果、全ての放電セルCLは、非発光状態(消灯モード)に設定され、後述する第1選択書込期間Tw1で誤りなくアドレス放電を起こし得る壁電荷分布を有することとなる。
次に、先頭サブフィールドSF1の第1選択書込期間Tw1では、第2行電極駆動部16Bは、GNDレベルよりも低い電圧を持つ負極性のオフセットパルスPomを走査電極Y1,…,Ynに印加し、これらオフセットパルスPomに重畳する負極性の走査パルスPsを走査電極Y1,…,Ynに順次印加する。このとき、共通電極X1〜XnにはGND電圧が印加される。列電極駆動部15は、正極性の書込パルス群Dw1,…,Dwnの各々を各走査パルスPsに同期させて列電極D1,…,Dmに印加する。たとえば、1番目の走査電極Y1に走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した書込パルス群Dw1が列電極D1,…,Dmに印加される。続いて2番目の走査電極Y2に走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した書込パルス群Dw2が列電極D1,…,Dmに印加される。一般に、j番目の走査電極Yjに走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した書込パルス群Dwjが列電極D1,…,Dmに印加される。これにより、表示パネル2の放電セルCL,…,CLに選択的に書込放電が生起されて、放電セルCLのうちの初期選択セルCLのみが発光可能状態(点灯モード)に設定される。
より具体的には、走査電極Yjに負極性の走査パルスPsが印加されている間に当該走査パルスPsに同期した書込パルス群Dwjの正極性パルスが選択的に列電極Dkに印加されたとき、陰極である走査電極Yjと陽極である列電極Dk間の電位差に起因して放電空間DSにガス放電(すなわち書込放電)が発生し、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、正イオン粒子は陰極Yjに近い誘電体層23の壁面に誘引され、負イオン粒子は陽極Dkに近い蛍光体層26の壁面に誘引されて書込放電は停止する。結果として、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに、互いに電荷極性の異なるイオン粒子すなわち壁電荷が蓄積される。このような壁電荷分布を有する放電セルCLは発光可能状態(点灯モード)に設定されている。
一方、走査電極Yjに負極性の走査パルスPsが印加されている間に当該走査パルスPsに同期した書込パルスが列電極Dkに印加されない放電セルCLには、ガス放電は発生しない。このような放電セルCLは非発光状態に設定されたままである。
次に、先頭サブフィールドSF1の微少発光期間TLLでは、第2行電極駆動部16Bは、図10に示されるが如き急峻に立ち上がる電圧パルスPL,…,PLを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。列電極D1〜DmにはGND電圧が印加されており、パルスPL,…,PLの最大電圧は、列電極D1〜Dmの電位よりも高いものとなる。このとき、列電極D1〜Dmは陰極であり、走査電極Y1〜Ynは陽極である。前記第1選択書込期間Tw1で初期選択セルCL内に蓄積された壁電荷は、放電空間DS内に弱電界を形成している。パルスPLの印加により放電空間DS内に形成された電界は既存の弱電界に重畳される。当該重畳電界は、走査電極Yjと列電極Dkとの間に微少放電を起こし、この微少放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
図10に示されるように、パルスPLの最大電圧は、後述するサブフィールドSF2〜SFNの表示期間での放電維持パルスP+の最大ピーク電圧よりも低く、当該パルスPLの最大電圧を、後述する選択消去期間Teで印加されるオフセットパルスPopの電圧と略同一レベルに設定することができる。これにより、放電維持パルスP+に伴う維持放電の強度よりも低い強度を持つ微少放電が生起され得る。放電維持パルスP+により生起される維持放電は、共通電極Xjと走査電極Yjとの間の面放電であるのに対し、パルスPLにより生起される微少放電は、列電極Dkと走査電極Yjとの間の放電である。したがって、かかる微少放電に伴う発光輝度は、維持放電に伴う発光輝度と比べると低いものとなる。
また、パルスPLの電圧レベルは、第1リセット期間Tr1に印加されるリセットパルスPyaの緩やかに電圧レベルが上昇する波形と比べて急峻に立ち上がる。換言すれば、パルスPLの電圧レベルの立ち上がり区間での時間変化率は、リセットパルスPyaの電圧レベルが緩やかに上昇する立ち上がり区間での時間変化率よりも大きい。これにより、第1リセット期間Tr1で生起されるリセット放電の強度よりも大きな強度を持つ微少放電が生起される。
上記の選択書込期間Tw1と第1リセット期間Tr1とを通じて、初期選択セルCLではアドレス放電と微少放電とが生起され、初期選択セルCL以外の放電セルCLでは何らガス放電は生起されない。このアドレス放電により発生した紫外線が蛍光体層26を励起して光を放出させることが起こり得る。かかる場合にはアドレス放電により放出された光も表示輝度に寄与する。
次に、先頭サブフィールドSF1の第2リセット期間Tr2では、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが所定レベル(本実施例では、パルスPLの最大電圧)から漸次緩やかに上昇する波形を持つリセットパルスPyb,…,Pybを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynを印加する。リセットパルスPybの最大ピーク電圧は、上記第1リセット期間Tr1でのリセットパルスPyaの最大ピーク電圧よりも高い。同時に、第1行電極駆動部16Aは、電圧レベルが所定レベルから漸次緩やかに上昇する波形を持つリセットパルスPxaを共通電極X1〜Xnに印加する。このとき、列電極D1〜DmにはGND電圧が印加されている。これにより、放電セルCL内の列電極Dkと走査電極Yjとの間にリセット放電が生起される。この結果、走査電極Y1〜Ynに近い誘電体層23の壁面には負イオン粒子が蓄積され、列電極D1〜Dmに近い蛍光体層26(図3)の壁面には正イオン粒子が蓄積される。
また、第2リセット期間Tr2に印加されるリセットパルスPybは、立ち上がり時に電圧レベルが急峻に上昇するパルスPLの波形と比べて、電圧レベルが緩やかに上昇する波形を有している。換言すれば、リセットパルスPybの電圧レベルの立ち上がり区間での時間変化率は、パルスPLの電圧レベルの立ち上がり区間での時間変化率よりも小さい。これにより、第2リセット期間Tr2で生起されるリセット放電の強度は、パルスPLにより生起される微少放電の強度よりも小さい。また、においては、初期選択セルCLにおいては微少発光期間TLLで微少放電が生起される一方で、初期選択セルCL以外の放電セルCLにおいては、微少発光期間TLLで放電が生起されないが、その直後の第2リセット期間Tr2で放電が生起され得ることとなる。すなわち、第2リセット期間Tr2が終了すると、全ての放電セルCLにて列電極Dkと走査電極Yjとの間で放電が生起された結果となる。
なお、リセットパルスPxaを印加しなくても共通電極Xjと走査電極Yjとの間に面放電が起きない場合には、リセットパルスPxaを印加せずに共通電極X1〜Xnに、たとえばGNDレベルの一定電圧を印加してもよい。
次に第2リセット期間Tr2の残存部分では、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する波形を持つ負極性の調整パルスPyd,…,Pydを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。同時に、第1行電極駆動部16Aは、調整パルスPydの電圧レベルよりも高い略一定電圧のオフセットパルスPopを共通電極X1〜Xnに印加し、列電極駆動部15は、調整パルスPydの電圧レベルよりも高い略一定電圧(本実施例ではGND電圧)を列電極D1〜Dmに印加する。調整パルスPyd,…,Pydの最小ピーク電圧は、後述する走査パルスPsの最小ピーク電圧よりも高く且つGNDレベルに近いレベルになるように調整されており、また、調整パルスPyd,…,Pydの電圧振幅は走査パルスPsの電圧振幅よりも小さい。これにより、当該放電セルCL内でイオン粒子の移動、あるいは走査電極Yjと列電極Dkとの間での微弱放電が発生して壁電荷分布が調整される。この結果、全ての放電セルCLは、非発光状態(消灯モード)に設定され、後述する第2選択書込期間Tw2で誤りなく選択書込放電(アドレス放電)を起こし得る壁電荷分布を有することとなる。
次に、サブフィールドSF2の第2選択書込期間Tw2では、第2行電極駆動部16Bは、GNDレベルよりも低い電圧を持つ負極性のオフセットパルスPomを走査電極Y1,…,Ynに印加し、これらオフセットパルスPomに重畳する負極性の走査パルスPsを走査電極Y1,…,Ynに順次印加する。このとき、共通電極X1〜Xnには、GNDレベルよりも高い電圧を持つ正極性のオフセットパルスPopが印加される。また列電極駆動部15は、正極性の書込パルス群Dw1,…,Dwnの各々を各走査パルスPsに同期させて列電極D1,…,Dmに印加する。すなわち、j番目の走査電極Yjに走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した書込パルス群Dwjが列電極D1,…,Dmに印加される。これにより、表示パネル2の放電セルCL,…,CLに選択的に書込放電が生起されて、放電セルCLのうちの選択セルCLのみが発光可能状態に設定される。すなわち、共通電極Xjに近い壁面に負イオン粒子が蓄積され、走査電極Yjに近い壁面には正イオン粒子が蓄積される。
より具体的には、走査電極Yjに負極性の走査パルスPsが印加されている間に当該走査パルスPsに同期した書込パルス群Dwjの正極性パルスが選択的に列電極Dkに印加されたとき、陰極Yjと陽極Dk間の電位差に起因して放電空間DSにガス放電(すなわち選択書込放電)が発生し、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、正イオン粒子は陰極Yjに近い誘電体層23の壁面に誘引され、負イオン粒子は陽極Dkに近い蛍光体層26の壁面に誘引されてガス放電は停止する。また、第2選択書込期間Tw2では、走査電極Y1〜Ynには負極性のオフセットパルスPomが印加され、共通電極X1〜Xnには正極性のオフセットパルスPopが印加されているので、走査パルスPsの印加時に生じる選択書込放電に誘発されて、選択セルCLでのみ放電空間DS内で共通電極Xjと走査電極Yjとの間に放電が生起され得る。このような放電は、走査電極Y1〜Ynに負極性のオフセットパルスPomが印加されない第1選択書込期間Tw1では生起されないものである。以上の結果、第2選択書込期間Tw2の終了後、選択セルCLでは、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに、互いに電荷極性の異なるイオン粒子(壁電荷)が蓄積される。
次に、サブフィールドSF2の発光期間T2では、図10に示されるように、第2行電極駆動部16Bは、正極性の電圧パルスを放電維持パルスP+として各行電極対に印加する。このとき、走査電極Y1〜Ynの各々に1個の正極性の放電維持パルスP+が印加され、同時に、共通電極X1〜Xnの各々にはGNDレベルの電圧パルスP-が印加される。また列電極D1〜DmにはGND電圧が印加されている。放電維持パルスP+の印加直前には、発光可能状態の選択セルCLでは、共通電極Xjに近い壁面に蓄積された負イオン粒子と、走査電極Yjに近い壁面に蓄積された正イオン粒子と、列電極Dkに近い壁面に蓄積された負イオン粒子とが放電空間DS内に弱電界を形成している。この状態で、走査電極Yjに放電維持パルスP+を印加し且つ共通電極Xjに電圧パルスP-を印加すれば、これらパルスP+,P-により放電空間DS内に形成された電界が既存の弱電界に重畳される。当該重畳電界は、選択セルCLの放電空間DS内で共通電極Xjと走査電極Yjとの間、並びに走査電極Yjと列電極Dkとの間に強いガス放電(すなわち維持放電)を引き起こし、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、負イオン粒子は走査電極Yjに誘引され、正イオン粒子は共通電極Xjに誘引されるので、共通電極Xjに近い壁面の電荷極性と走査電極Yjに近い壁面の電荷極性とは反転する。また維持放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
さらに、発光期間T2の残存期間では、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する負極性の電荷調整パルスPc,…,Pcを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。かかる電荷調整パルスPcの印加により、選択セルCL内のイオン粒子が移動し、あるいは微弱放電が生起されて壁電荷の一部が消滅するので、後述の選択消去期間Teで選択消去放電が誤りなく生起されるように選択セルCL内の壁電荷分布が調整される。
なお、発光期間T2では、低輝度画像の階調表現能力の向上のために、走査電極Y1〜Ynの各々に1個の放電維持パルスP+を印加したが、これに限定されるものではない。各行電極対の走査電極Yjおよび共通電極Xjに交互に奇数個の放電維持パルスP+を印加してもよい。
次に、サブフィールドSF3〜SFNの各々の選択消去期間Teでは、第2行電極駆動部16Bは、GNDレベルよりも高い電圧を持つ正極性のオフセットパルスPopを走査電極Y1,…,Ynに印加し、オフセットパルスPopに重畳する負極性の走査パルスPsを走査電極Y1,…,Ynに順次印加する。このとき、共通電極X1〜XnにはGND電圧が印加される。また列電極駆動部15は、正極性の消去パルス群De1,…,Denの各々を各走査パルスPsに同期させて列電極D1,…,Dmに印加する。すなわち、j番目の走査電極Yjに走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した消去パルス群Dejが列電極D1,…,Dmに印加される。これにより、表示パネル2の選択セルCL,…,CLに選択的に消去放電(選択消去放電)が生起されて、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに同一電荷極性のイオン粒子が蓄積される。この結果、選択消去放電が発生した選択セルCLは発光可能状態から非発光状態に設定される。
一方、選択消去放電が発生しない選択セルCLでは、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに、互いに異なる電荷極性のイオン粒子が蓄積されたままである。このような選択セルCLの状態は発光可能状態に維持されている。
次に、サブフィールドSF3〜SFNの発光期間T3〜TNでは、それぞれ、正極性の放電維持パルスP+が各行電極対の走査電極Yjおよび共通電極Xjに交互に印加される。ここで、各行電極対の走査電極Yjに放電維持パルスP+が印加されているときは、対応する共通電極XjにはGNDレベルの電圧パルスP-が印加され、各行電極対の共通電極Xjに放電維持パルスP+が印加されているときは、対応する走査電極YjにGNDレベルの電圧パルスP-が印加される。また、各発光期間に各行電極対の走査電極Yjに印加される放電維持パルスP+の個数と、対応する共通電極Xjに印加される放電維持パルスP+の個数との合計は、放電セルCL内の壁電荷分布が各発光期間の前後で略変化しないように偶数個となるように設定される。最終サブフィールドSFNを除くサブフィールドSF3〜SFN-1の発光期間T3〜TN-1の残存期間には、発光期間T2の残存期間と同様に電荷調整パルスPcが走査電極Y1〜Ynに印加される。
図10を参照すると、発光期間T3には、列電極D1〜DmにGNDレベルの電圧が印加されている。このとき、各行電極対の走査電極Yjとこれに対応する共通電極Xjとに交互に放電維持パルスP+が印加される。このようにして各行電極対Xj,Yj間に電位差を与える電圧パルスP+,P-が印加されることにより、発光可能状態の放電セルCLの放電空間DSでは、共通電極Xjと走査電極Yjとの間に維持放電が繰り返し発生する。この維持放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
そして、最終サブフィールドSFNの発光期間TNの終了後、第2行電極駆動部16Bは、負極性の最小ピーク電圧を持つ消去パルスPeを全ての走査電極Y1〜Ynに印加する。かかる消去パルスPeの印加に応じて、発光可能状態の放電セルCLのみに消去放電が生起される。この消去放電により、発光可能状態の放電セルCLは非発光状態に遷移する。
上記第1駆動シーケンスにより図11に示される発光パターンを実現することが可能である。図11において、記号「□」は、先頭サブフィールドSF1の表示期間で選択書込放電と微少放電とが発生することを意味し、記号「◎」は、第2番目サブフィールドSF2の表示期間で選択書込放電と維持放電とが発生することを意味し、記号「○」は、サブフィールドSF3〜SF14の発光期間T3〜T14のいずれかで維持放電が発生することを意味し、記号「●」は、サブフィールドSF3〜SF14の選択消去期間Teのいずれかで選択消去放電が発生することを意味する。
映像信号の階調レベルgの表示輝度をL1(g)で表すとき、表示輝度L1(g)は次式で与えられる。
ここで、Nは、サブフィールドSF
1〜SF
Nの総数であり、図11の場合は、N=14となる。B(g;i)は、階調レベルgについてi番目サブフィールドSF
iで放電セルCLが発光可能状態に設定されるときは値「1」をとり、放電セルCLが非発光状態に設定されるときは値「0」をとる。αは、先頭サブフィールドSF
1に割り当てられた輝度の重みであり、W(i)は、i番目サブフィールドSF
iに割り当てられた輝度の重みである。たとえば、W(2)=1、W(3)=2、W(4)=6、W(5)=8、W(6)=10、W(7)=12、W(8)=16、W(9)=22、W(10)=26、W(11)=30、W(12)=36、W(13)=40、W(14)=46、のように輝度の重みが設定されれば、図11のテーブルに示される表示輝度L(g)が実現される。
先頭サブフィールドSF1に割り当てられた輝度の重みαは、微少放電により得られるものなので、第2番目サブフィールドSF2に割り当てられた輝度の重み(=1)よりも小さい値を持つ。よって、第2階調レベルを表す表示輝度(=α)は、黒レベル(=0)を表す第1階調レベルよりも高く、且つ第3階調レベルの表示輝度(=1)よりも低い。また、図10に示されるようにサブフィールドSF2の発光期間T2に各走査電極Yjに印加される放電維持パルスP+の個数は、1個のみであり、2番目サブフィールドSF2に割り当てられた輝度の重み(=1)に対応している。したがって、第1駆動シーケンスが選択されたとき、低輝度画像表示時の階調表現力が向上し、滑らかなグラデーションを持つ低輝度画像を表示することができる。さらに、図11に示される発光パターンでは、第4階調レベル〜第16階調レベルで発光する放電セルCLの発光可能状態は1フィールドの表示期間において連続的であり、且つ放電セルCLが一度非発光状態に設定された後は再び発光可能状態に設定されないため、動画像疑似輪郭(dynamic pseudo contour)の発生が抑制される。
上記第1駆動シーケンスは、図3および図4に示される構造を有する表示パネル2に適用されてもよいし、あるいは図5および図6に示される構造を有する表示パネル2に適用されてもよい。さらには、図7および図8に示される構造を有する表示パネル2に適用することも可能である。上述の通り、図5および図6のパネル構造は、プライミング効果により放電遅れを改善するので、駆動電圧の広いマージン(余裕度)を確保することができる。図5および図6の構造と図7および図8の構造とを併用すれば、さらなる放電遅れの改善と広い駆動電圧マージンとを実現できる。
上述の通り、図10の第1リセット期間Tr1では、リセットパルスPyaの印加により陰極である列電極Dkと陽極である走査電極Yjとの間にリセット放電が生起され、その後、調整パルスPycの印加により微弱放電が生起されて壁電荷分布が初期化される。また、図10の第2リセット期間Tr2では、リセットパルスPybの印加により陰極である列電極Dkと陽極である走査電極Yjとの間にリセット放電が生起され、その後、調整パルスPydの印加により微弱放電が生起されて壁電荷分布が初期化される。図7または図8の構造を使用すれば、そのようなリセット放電が起きたとき、正イオン粒子が陽極Yjから陰極Dkに移動して図7または図8に示される電子放出膜26aまたは結晶体粒子26eに衝突し、これにより、電子放出膜26aまたは結晶体粒子26eから二次電子(プライミング粒子)が放出されて放電開始電圧を低下させる。このため、比較的弱いリセット放電を生起させることが可能である。よって、リセット放電の微弱化によりその放電に伴う背景発光輝度が低下するので、低輝度画像表示時における暗所コントラストを向上させることができる。
図15(A)および(B)は、第1リセット期間Tr1にリセットパルスPyaが印加されたときに走査電極Yjと列電極Dkとの間に発生したガス放電の強度の測定値を表すグラフである。図15(A)は、図5および図6の構造を有するプラズマディスプレイ装置1を使用した場合のグラフ、図15(B)は、図5および図6の構造に加えて、図8に示されるような結晶体粒子26eを含む蛍光体層26を使用した場合のグラフである。図15(A)のグラフによれば、リセットパルスPyaの印加に応じて比較的強いリセット放電が約1ミリ秒以上に亘って継続的に発生している。一方、図15(B)のグラフによれば、リセットパルスPyaの印加に応じて比較的微弱なリセット放電が発生してから約0.04ミリ秒以内に終息する。したがって、図5および図6の構造に加えて図8に示されるような結晶体粒子26eを含む蛍光体層26を使用することにより、放電遅れを大幅に改善することが可能である。また、リセット放電を微弱放電にすることができるので、暗所コントラストを大幅に向上できることが分かる。
また、前記リセット放電は、陽極Yjと陰極Dk間で起こるものであるから、列電極Dkよりも前面基板22側に形成されている共通電極Xjと走査電極Yjとの間にリセット放電を起こす場合と比べると、前面基板22から外部に放出される光量が少なくなるので、さらなる暗所コントラストの向上を図ることができる。
図10に示される通り、1フィールドの表示期間において第1階調レベル(黒レベル)を表示する放電セルCLで生起される放電は、第1リセット期間Tr1でのリセット放電のみである。また、図10に示されるように、先頭サブフィールドSF1の表示期間では、第1リセット期間Tr1に印加されるリセットパルスPyaの最大ピーク電圧は、第2リセット期間Tr2に印加されるリセットパルスPybの最大ピーク電圧よりも低い。それゆえ、第1リセット期間Tr1に全ての放電セルCLで一斉にリセット放電を起こしたときでも、当該リセット放電により発生する光量を微弱にすることができる。したがって、当該リセット放電に起因する背景発光輝度は無視できる程度に小さく、暗所コントラストの向上を実現できる。
サブフィールドSF2の発光期間T2では、共通電極Xjと走査電極Yjとの間の面放電だけでなく、陽極である走査電極Yjと陰極である列電極Dkとの間にも放電が生起される。この結果、走査電極Yjに近い壁面には負極性の壁電荷が蓄積され、列電極Dkに近い壁面には正極性の壁電荷が蓄積される。これにより、次のサブフィールドSF3の選択消去期間Teでは、陰極である走査電極Yjと陽極である列電極Dkとの間に選択消去放電を容易に起こすことができる。また、サブフィールドSF3〜SFN-1の発光期間T3〜TN-1では、各行電極対に印加する放電維持パルスP+の個数が偶数個に設定されている。このため、サブフィールドSF3〜SFN-1の各発光期間の終了直後は、走査電極Yjに近い壁面に負極性の壁電荷が蓄積され、列電極Dkに近い壁面には正極性の壁電荷が蓄積される。これにより、サブフィールドSF3〜SFN-1の各発光期間に続く選択消去期間Teでは、陰極である走査電極Yjと陽極である列電極Dkとの間に選択消去放電を容易に起こすことができる。したがって、1フィールドの表示期間に亘って列電極Dkには正極性のパルスのみを印加すれば足りるので、列電極駆動部15の回路構成を簡略化でき、製造コストを抑制できる。
次に、第2駆動シーケンスによるプラズマディスプレイ装置1の動作を説明する。図12に示される通り、先頭サブフィールドSF1の表示期間は、リセット期間Tr、選択書込期間(アドレス期間)Tswおよび発光期間T1に分割されている。先頭サブフィールドSF1に続く各後続サブフィールドSFq(qは1〜M−1)の表示期間は、選択消去期間(アドレス期間)Teおよび発光期間Tqに分割されている。そして、最終サブフィールドSFMの表示期間は、選択消去期間(アドレス期間)Te、発光期間TMおよび消去期間Tbに分割されている。図1の重み割り当て部10Aは、サブフィールドSF1〜SFMにそれぞれ輝度の重みを割り当てる。サブフィールドSF1,…,SFMの発光期間T1,…,TMの長さは、それぞれ、輝度の重みに比例する時間長を有するように制御される。
図13の信号波形を参照すると、先頭サブフィールドSF1の表示期間におけるリセット期間Trでは、図1の列電極駆動部15は、列電極D1〜DmにはGNDレベル(接地レベル)の電圧を印加する。このとき、図1の第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに所定レベルから漸次緩やかに上昇する波形を有する正極性のリセットパルスPyr,…,Pyrを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。これらリセットパルスPyrの最大ピーク電圧は、後述する発光期間T1に印加される放電維持パルスP+の最大ピーク電圧よりも大きい。同時に、図1の第1行電極駆動部16Aは、共通電極Xjと走査電極Yjとの間での放電(面放電)の発生を防止するために、電圧レベルが経過時間とともに所定レベルから漸次緩やかに上昇する波形を有する正極性のリセットパルスPxrを共通電極X1〜Xnに印加する。これにより、陽極である走査電極Yjと陰極である列電極Dkとの間の電位差に起因して放電セルCLの放電空間DSにリセット放電が発生し、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち正イオン粒子は陰極Dkに近い壁面に誘引され、負イオン粒子は陽極Ykに近い壁面に誘引されるので、陽極Yjから陰極Dkに向けて電流が流れてリセット放電は停止する。この結果、走査電極Y1〜Ynに近い誘電体層23の壁面には負イオン粒子が蓄積され、列電極D1〜Dmに近い蛍光体層26(図3)の壁面には正イオン粒子が蓄積される。
次にリセット期間Trの残存部分では、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する波形を持つ負極性の調整パルスPyc,…,Pycを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。同時に、第1行電極駆動部16Aは、GNDレベルよりも高い電圧を持つオフセットパルスPopを共通電極X1〜Xnに印加する。このとき、列電極D1〜DmにはGND電圧が印加されている。調整パルスPyc,…,Pycの最小ピーク電圧は、後述する走査パルスPsの最小ピーク電圧よりも高く且つGNDレベルに近いレベルになるように調整されており、また、調整パルスPyc,…,Pycの電圧振幅は走査パルスPsの電圧振幅よりも小さい。これにより、当該放電セルCL内でイオン粒子の移動、あるいは走査電極Yjと列電極Dkとの間でのガス放電が発生して壁電荷分布が調整される。この結果、全ての放電セルCLは、非発光状態(消灯モード)に設定され、後述する選択書込期間Tswで誤りなくアドレス放電を起こし得る壁電荷分布を有することとなる。
次に、先頭サブフィールドSF1の選択書込期間Tswでは、第2行電極駆動部16Bは、GNDレベルよりも低い電圧を持つ負極性のオフセットパルスPomを走査電極Y1,…,Ynに印加し、オフセットパルスPomに重畳する負極性の走査パルスPsを走査電極Y1,…,Ynに順次印加する。このとき、共通電極X1〜XnにはGNDレベルよりも高い電圧を持つ正極性のオフセットパルスPopが印加される。列電極駆動部15は、正極性の書込パルス群Dw1,…,Dwnの各々を各走査パルスPsに同期させて列電極D1,…,Dmに印加する。すなわち、j番目の走査電極Yjに走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した書込パルス群Dwjが列電極D1,…,Dmに印加される。これにより、表示パネル2の放電セルCL,…,CLに選択的に書込放電が生起されて、放電セルCLのうちの選択セルCLのみが発光可能状態(点灯モード)に設定される。
より具体的には、走査電極Yjに負極性の走査パルスPsが印加されている間に当該走査パルスPsに同期した書込パルス群Dwjの正極性パルスが選択的に列電極Dkに印加されたとき、陰極である走査電極Yjと陽極である列電極Dk間の電位差に起因して放電空間DSにガス放電(すなわち書込放電)が発生し、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、正イオン粒子は陰極Yjに近い誘電体層23の壁面に誘引され、負イオン粒子は陽極Dkに近い蛍光体層26の壁面に誘引されて書込放電は停止する。また、選択書込期間Tswでは、走査電極Y1〜Ynには負極性のオフセットパルスPomが印加され、共通電極X1〜Xnには正極性のオフセットパルスPopが印加されているので、走査パルスPsの印加時に生じる選択書込放電に誘発されて、選択セルCLでのみ放電空間DS内で共通電極Xjと走査電極Yjとの間に微弱放電が生起され得る。以上の結果、選択書込期間Tswの終了後、選択セルCLでは、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに、互いに電荷極性の異なるイオン粒子すなわち壁電荷が蓄積される。このような壁電荷分布を有する選択セルCLは発光可能状態(点灯モード)に設定されている。
一方、走査電極Yjに負極性の走査パルスPsが印加されている間に当該走査パルスPsに同期した書込パルスが列電極Dkに印加されない放電セルCLには、ガス放電は発生しない。このような放電セルCLは非発光状態に設定されたままである。
次に、先頭サブフィールドSF1の発光期間T1では、列電極D1〜DmにGND電圧が印加されている。また、第2行電極駆動部16Bは、走査電極Y1〜Ynの各々に1個の正極性の放電維持パルスP+を印加する。同時に、第1行電極駆動部16Aは、共通電極X1〜Xnの各々にGNDレベルの電圧パルスP-を印加する。これにより、選択セルCLの放電空間DS内で共通電極Xjと走査電極Yjとの間、並びに走査電極Yjと列電極Dkとの間に強いガス放電(すなわち維持放電)が生起され、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、負イオン粒子は走査電極Yjに誘引され、正イオン粒子は共通電極Xjに誘引されるので、共通電極Xjに近い壁面の電荷極性と走査電極Yjに近い壁面の電荷極性とは反転する。また維持放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
さらに、発光期間T1の残存期間では、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する負極性の電荷調整パルスPc,…,Pcを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。かかる電荷調整パルスPcの印加により、選択セルCL内のイオン粒子が移動し、あるいは微弱放電が生起されて壁電荷の一部が消滅するので、後述の選択消去期間Teで選択消去放電が誤りなく生起されるように選択セルCL内の壁電荷分布が調整される。
次に、サブフィールドSF3〜SFMの各々の選択消去期間Teでは、第2行電極駆動部16Bは、GNDレベルよりも高い電圧を持つ正極性のオフセットパルスPopを走査電極Y1,…,Ynに印加し、オフセットパルスPopに重畳する負極性の走査パルスPsを走査電極Y1,…,Ynに順次印加する。このとき、共通電極X1〜XnにはGND電圧が印加される。また列電極駆動部15は、正極性の消去パルス群De1,…,Denの各々を各走査パルスPsに同期させて列電極D1,…,Dmに印加する。すなわち、j番目の走査電極Yjに走査パルスPsが印加されている間に、この走査パルスPsに同期した消去パルス群Dejが列電極D1,…,Dmに印加される。これにより、表示パネル2の選択セルCL,…,CLに選択的に消去放電(選択消去放電)が生起されて、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに同一電荷極性のイオン粒子が蓄積される。この結果、選択消去放電が発生した選択セルCLは発光可能状態から非発光状態に設定される。
一方、選択消去放電が発生しない選択セルCLでは、共通電極Xjに近い壁面と走査電極Yjに近い壁面とに、互いに異なる電荷極性のイオン粒子が蓄積されたままである。このような選択セルCLの状態は発光可能状態に維持されている。
次に、サブフィールドSF2〜SFMの発光期間T2〜TMでは、それぞれ、正極性の放電維持パルスP+を各行電極対の走査電極Yjおよび共通電極Xjに交互に印加する。ここで、各行電極対の走査電極Yjに放電維持パルスP+が印加されているときは、対応する共通電極XjにはGNDレベルの電圧パルスP-が印加され、各行電極対の共通電極Xjに放電維持パルスP+が印加されているときは、対応する走査電極YjにGNDレベルの電圧パルスP-が印加される。また、各発光期間に各行電極対の走査電極Yjに印加される放電維持パルスP+の個数と、対応する共通電極Xjに印加される放電維持パルスP+の個数との合計は、放電セルCL内の壁電荷分布が各発光期間の前後で略変化しないように偶数個となるように設定される。最終サブフィールドSFMを除くサブフィールドSF2〜SFM-1の発光期間T2〜TM-1の残存期間には、発光期間T1の残存期間と同様に電荷調整パルスPcが走査電極Y1〜Ynに印加される。
図13を参照すると、発光期間T2には、列電極D1〜DmにGNDレベルの電圧が印加されている。このとき、各行電極対の走査電極Yjとこれに対応する共通電極Xjとに交互に放電維持パルスP+が印加される。このようにして各行電極対Xj,Yj間に電位差を与える電圧パルスP+,P-が印加されることにより、発光可能状態の放電セルCLの放電空間DS内では、共通電極Xjと走査電極Yjとの間に維持放電が繰り返し発生する。この維持放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
そして、最終サブフィールドSFMの発光期間TMの終了後、第2行電極駆動部16Bは、負極性の最小ピーク電圧を持つ消去パルスPeを全ての走査電極Y1〜Ynに印加する。かかる消去パルスPeの印加に応じて、発光可能状態の放電セルCLのみに消去放電が生起される。この消去放電により、発光可能状態の放電セルCLは非発光状態に遷移する。
上記第2駆動シーケンスにより図14に示される発光パターンを実現することが可能である。図14において、記号「◎」は、先頭サブフィールドSF1の表示期間で選択書込放電と維持放電とが発生することを意味し、記号「○」は、サブフィールドSF2〜SF14の発光期間T2〜T14のいずれかで維持放電が発生することを意味し、記号「●」は、サブフィールドSF2〜SF14の選択消去期間Teのいずれかで選択消去放電が発生することを意味する。
映像信号の階調レベルgの表示輝度をL2(g)で表すとき、表示輝度L2(g)は次式で与えられる。
ここで、Mは、サブフィールドSF
1〜SF
Mの総数であり、図14の場合は、M=14となる。B(g;i)は、階調レベルgについてi番目サブフィールドSF
iで放電セルCLが発光可能状態に設定されるときは値「1」をとり、放電セルCLが非発光状態に設定されるときは値「0」をとる。W(i)は、i番目サブフィールドSF
iに割り当てられた輝度の重みである。たとえば、W(1)=1、W(2)=2、W(3)=6、W(4)=8、W(5)=10、W(6)=12、W(7)=16、W(8)=18、W(9)=22、W(10)=24、W(11)=28、W(12)=32、W(13)=36、W(14)=40、のように輝度の重みが設定されれば、図14のテーブルに示される表示輝度L2(g)が実現される。図14に示される発光パターンでは、第2階調レベル〜第15階調レベルで発光する放電セルCLの発光可能状態は1フィールドの表示期間において連続的であり、且つ放電セルCLが一度非発光状態に設定された後は再び発光可能状態に設定されないため、動画像疑似輪郭は発生しない。
上記第2駆動シーケンスは、図3および図4に示される構造を有する表示パネル2に適用されてもよいし、あるいは図5および図6に示される構造を有する表示パネル2に適用されてもよい。さらには、図7および図8に示される構造を有する表示パネル2に適用することも可能である。上述の通り、図5および図6のパネル構造は、初期電子および二次電子によるプライミング効果を向上させて放電遅れを改善するので、駆動電圧の広いマージン(余裕度)を確保することができる。図5および図6の構造と図7および図8の構造とを併用すれば、さらなる放電遅れの改善と広い駆動電圧マージンとを実現できる。
図13のリセット期間Trにおいては、リセットパルスPyrの印加により陰極である列電極Dkと陽極である走査電極Yjとの間にリセット放電が生起され、その後の調整パルスPycの印加により微弱放電が生起されて壁電荷分布が初期化される。図7または図8の構造を使用すれば、リセット放電が起きたとき、正イオン粒子が陽極Yjから陰極Dkに移動して図7または図8に示される電子放出膜26aまたは結晶体粒子26eに衝突し、これにより、電子放出膜26aまたは結晶体粒子26eから二次電子(プライミング粒子)が放出されて放電開始電圧を低下させる。このため、比較的弱いリセット放電を生起させることが可能である。よって、リセット放電の微弱化によりその放電に伴う背景発光輝度が低下するので、低輝度画像表示時における暗所コントラストの低下を抑制することができる。
また、前記リセット放電は、陽極Yjと陰極Dk間で起こるものであるから、列電極Dkよりも前面基板22側に形成されている共通電極Xjと走査電極Yjとの間にリセット放電を起こす場合と比べると、前面基板22から外部に放出される光量が少なくなるので、さらなる暗所コントラストの低下抑制を図ることができる。
図13に示されるように、第2駆動シーケンスに従って黒レベルを表す第1階調レベルを表示する放電セルCLでは、1フィールドの表示期間を通して生起される放電は、先頭サブフィールドSF1でのリセット放電のみである。また先頭サブフィールドSF1の選択書込期間Tswでは、黒レベル以上の階調レベルで発光する放電セルCLでのみ選択書込放電が生起される。したがって、第2駆動シーケンスによる駆動制御は、背景発光輝度の発生を極力を抑制し、暗所コントラストの低下を抑制するものである。
また、上記第1駆動シーケンスによる駆動制御の場合と同様に、図13に示されるように1フィールドの表示期間に亘って列電極Dkには正極性のパルスのみを印加すれば足りるので、列電極駆動部15の回路構成を簡略化でき、製造コストを抑制できる。
上記の如く、本実施例に係るプラズマディスプレイ装置1は、輝度検出部10Bで検出された輝度レベルに応じて、第1駆動シーケンスまたは第2駆動シーケンスを選択し、当該選択された駆動シーケンスに従って駆動制御を実行する。よって、プラズマディスプレイ装置1は、入力映像信号VSiの画像が低輝度画像であるときには第1駆動シーケンスを選択して、滑らかなグラデーションを持つ低輝度画像を表示し、低輝度領域で豊かな階調表現力を発揮することができる。他方、入力映像信号VSiの画像が低輝度画像でないときは第2駆動シーケンスを選択して、中輝度画像あるいは高輝度画像に適した表示を行うことができる。たとえば、表示輝度が「10」未満の低輝度領域において、第1駆動シーケンスによる発光パターン(図11)は6階調を実現できるが、第2駆動シーケンスによる発光パターン(図14)は4階調しか実現できないので、第2駆動シーケンスよりも第1駆動シーケンスの方が高い階調表現能力を有する。ところが、表示輝度が「110」以上の高輝度領域においては、第2駆動シーケンスによる発光パターン(図14)は5階調を実現できるが、第1駆動シーケンスによる発光パターン(図11)は4階調しか実現できないので、第1駆動シーケンスよりも第2駆動シーケンスの方が高い階調表現能力を有する。
以上により、本実施例に係るプラズマディスプレイ装置1は、低輝度画像表示時における暗所コントラストの低下の抑制と階調表現能力の向上とを実現するものである。
なお、上記の通り、上記第2駆動シーケンスでは、図13に示したように先頭サブフィールドSF1の表示期間にのみリセット期間Trが設けられていたが、放電の安定化のために、先頭サブフィールドSF1に限らず、サブフィールドSF1〜SFNのうちの2以上のサブフィールドの表示期間でリセット期間Trを設けてもよい。これは、第2駆動シーケンスは、表示画像が比較的明るい場合に選択されるので、かかる場合にはリセット放電に伴う背景発光輝度が目立たないからである。
また、本実施例に係るプラズマディスプレイ装置1は上記第2駆動シーケンスを好ましいものとして採用した。上記第2駆動シーケンスは、先頭サブフィールドSF1の表示期間で放電セルCLを選択的に発光可能状態に設定した後、後続サブフィールドSF2〜SFNのいずれかの表示期間で放電セルCLを発光可能状態から非発光状態に遷移させるという、いわゆる選択消去法に基づいてプラズマディスプレイパネル2を駆動制御するものであるが、これに限る必要はない。この第2駆動シーケンスの代わりに、たとえば、サブフィールドSF2〜SFNの各々の表示期間で放電セルCLを選択的に非発光状態から発光可能状態に遷移させるという、いわゆる選択書込法に基づく駆動シーケンスを採用してもよい。
また、図11に示したように、第1および第3階調レベルを除く全ての階調レベルに対して先頭サブフィールドSF1の表示期間に微少放電を生起しているが、この代わりに、第4階調レベル以上の階調レベルに対しては先頭サブフィールドSF1の表示期間に微少放電を生起させなくてもよい。これは、第4階調レベル以上の階調レベルで放電セルCLが発光するとき、微少放電に伴う輝度(=α)は極めて低いため、微少放電に伴う輝度の表示輝度に占める割合が低くなり、人間の眼に殆ど視覚されないからである。
上記第1駆動シーケンスは、発光可能状態の放電セルCLに選択的にアドレス放電(選択消去放電)を起こして放電セルCLの状態を発光可能状態から非発光状態に遷移させるという、いわゆる選択消去法に基づいてプラズマディスプレイパネル2を駆動制御するものであるが、この第1駆動シーケンスの代わりに、以下に説明する選択書込法に基づく第3駆動シーケンスを使用してもよい。
図16は、第3駆動シーケンスの例を概略的に示す図である。この第3駆動シーケンスでは、映像信号の1フィールドは、表示順に連続的に配列されるN個(Nは2以上の整数)のサブフィールドSF1,…,SFNに分解されている。図17は、図16の第3駆動シーケンスによる駆動信号の波形を概略的に例示するタイミングチャートである。図17には、列電極D1〜Dnに印加される信号波形、共通電極X1〜Xnに印加される信号波形、並びに、走査電極Y1,…,Ynにそれぞれ印加される信号波形が示されている。図17に示される先頭サブフィールドSF1の表示期間の駆動信号は、図10に示した先頭サブフィールドSF1の表示期間の駆動信号と同一であるので、その詳細な説明を省略する。また、図17に示されるサブフィールドSF2〜SFNの選択書込期間Twの駆動信号も、図10に示した第2選択書込期間Tw2の駆動信号と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
図17を参照すると、サブフィールドSF2〜SFNの各選択書込期間Twの直後には、点灯すべき選択セルCLのみが発光可能状態に設定されている。すなわち、選択セルCLでは、列電極Dkに近い壁面に負イオン粒子が蓄積され、走査電極Yjに近い壁面に正イオン粒子が蓄積され、共通電極Xjに近い壁面に負イオン粒子が蓄積されている。
サブフィールドSF2〜SFNの発光期間T2〜TNでは、それぞれ、第2行電極駆動部16Bは、正極性の電圧パルスを放電維持パルスP+として各行電極対に印加する。同時に、第1行電極駆動部16Aは、共通電極X1〜Xnの各々にはGNDレベルの電圧パルスP-を印加し、列電極駆動部15は、列電極D1〜DmにGND電圧を印加する。サブフィールドSF2の発光期間T2に印加される放電維持パルスP+の個数は1個のみである。他のサブフィールドSF3〜SFNの発光期間T3〜TNでは、放電維持パルスP+が各行電極対の走査電極Yjおよび共通電極Xjに交互に印加され、各行電極対に印加される放電維持パルスP+の総数は奇数個である。放電維持パルスP+が印加されると、選択セルCLの放電空間DS内で共通電極Xjと走査電極Yjとの間、並びに走査電極Yjと列電極Dkとの間に強いガス放電(すなわち維持放電)が生起され、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、負イオン粒子は走査電極Yjに誘引され、正イオン粒子は共通電極Xjに誘引されるので、共通電極Xjに近い壁面の電荷極性と走査電極Yjに近い壁面の電荷極性とは反転する。また維持放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
次に、サブフィールドSF2〜SFNの各消去期間Tdでは、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する波形を持つ負極性の消去パルスPd,…,Pdを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。このとき、第1行電極駆動部16Aは、消去パルスPdの電圧レベルよりも高い略一定電圧を持つ正極性のオフセットパルスPopを共通電極X1〜Xnに印加し、列電極駆動部15は、消去パルスPdの電圧レベルよりも高い略一定電圧(本実施例ではGND電圧)を列電極D1〜Dmに印加する。これにより、発光可能状態の放電セルCLで消去放電が生起され、発光可能状態の全ての放電セルCLが非発光状態に遷移する。このとき、放電セルCLの列電極Dkと走査電極Yjとの間に微弱な放電が生起され、かかる放電により、次の選択書込期間Twにおいて誤りなく安定してアドレス放電(選択書込放電)を起こすように壁電荷分布が調整される。
プラズマディスプレイ装置1が第3駆動シーケンスに従って多階調画像を表示する場合、黒レベル(第1階調レベル)より1段階明るい第2階調レベルで発光すべき放電セルCLには、先頭サブフィールドSF1の表示期間のみに選択書込放電とこれに伴う微少放電とを生起すればよい。第3階調レベルで発光すべき放電セルCLには、サブフィールドSF2の表示期間のみに選択書込放電とこれに伴う維持放電とを生起すればよい。そして、第4階調レベル以上の階調レベルで発光すべき放電セルCLには、サブフィールドSF1,SF2の各々の表示期間で選択書込放電とこれに伴う維持放電とを生起し、さらに単数または複数のサブフィールド各々の表示期間で選択書込放電とこれに伴う維持放電とを生起すればよい。ここで、複数のサブフィールドの表示期間に亘って選択書込放電を生起する場合には、動画像疑似輪郭の発生を抑制するために連続的に表示されるサブフィールドを選択する。このような駆動制御により、上記第1駆動シーケンスと同様に(N+1)階調を実現できる。
図17の消去期間Tdに印加される消去パルスPdの波形は、調整パルスPycまたはPydの波形と同一にすることができる。この場合、消去パルスPdと調整パルスPycまたはPydとを共通の駆動回路で生成することができる。また、上記第1駆動シーケンスでは、選択書込放電と選択消去放電を起こす駆動信号を生成するために2系統の回路構成を必要とするが、第3駆動シーケンスでは、選択書込放電を起こす駆動信号を生成するための1系統の回路構成で足りるという利点がある。したがって、第3駆動シーケンスを採用した場合、第1駆動シーケンスを採用した場合よりも、プラズマディスプレイ装置1の駆動回路の製造コストを低減させることができる。
次に、上記第2駆動シーケンスも、選択消去法に基づいてプラズマディスプレイパネル2を駆動制御するものであるが、この第2駆動シーケンスの代わりに、以下に説明する選択書込法に基づく第4駆動シーケンスを使用してもよい。
図18は、第4駆動シーケンスの例を概略的に示す図である。この第4駆動シーケンスでは、映像信号の1フィールドは、表示順に連続的に配列されるM個(Mは2以上の整数)のサブフィールドSF1,…,SFMに分解されている。図19は、図18の第4駆動シーケンスによる駆動信号の波形を概略的に例示するタイミングチャートである。図19には、列電極D1〜Dnに印加される信号波形、共通電極X1〜Xnに印加される信号波形、並びに、走査電極Y1,…,Ynにそれぞれ印加される信号波形が示されている。図19に示される先頭サブフィールドSF1のリセット期間Trの駆動信号は、図13に示した先頭サブフィールドSF1のリセット期間Trの駆動信号と同一であるので、その詳細な説明を省略する。また、図19に示されるサブフィールドSF1〜SFMの各選択書込期間Twの駆動信号は、図13に示したサブフィールドSF1の選択書込期間Tswの駆動信号と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
図19を参照すると、サブフィールドSF1〜SFMの各選択書込期間Twの直後には、点灯すべき選択セルCLのみが発光可能状態に設定されている。すなわち、選択セルCLでは、列電極Dkに近い壁面に負イオン粒子が蓄積され、走査電極Yjに近い壁面に正イオン粒子が蓄積され、共通電極Xjに近い壁面に負イオン粒子が蓄積されている。
サブフィールドSF1〜SFMの発光期間T1〜TMでは、それぞれ、第2行電極駆動部16Bは、正極性の電圧パルスを放電維持パルスP+として各行電極対に印加する。同時に、第1行電極駆動部16Aは、共通電極X1〜Xnの各々にはGNDレベルの電圧パルスP-を印加し、列電極駆動部15は、列電極D1〜DmにGND電圧を印加する。先頭サブフィールドSF1の発光期間T1に印加される放電維持パルスP+の個数は1個のみである。他のサブフィールドSF2〜SFMの発光期間T3〜TMでは、放電維持パルスP+が各行電極対の走査電極Yjおよび共通電極Xjに交互に印加され、各行電極対に印加される放電維持パルスP+の総数は奇数個である。放電維持パルスP+が印加されると、選択セルCLの放電空間DS内で共通電極Xjと走査電極Yjとの間、並びに走査電極Yjと列電極Dkとの間に強いガス放電(すなわち維持放電)が生起され、これによりイオン粒子が生成される。当該生成されたイオン粒子のうち、負イオン粒子は走査電極Yjに誘引され、正イオン粒子は共通電極Xjに誘引されるので、共通電極Xjに近い壁面の電荷極性と走査電極Yjに近い壁面の電荷極性とは反転する。また維持放電により発生した紫外線は、蛍光体層26の励起子を励起して可視光を放出させる。
次に、サブフィールドSF1〜SFMの各消去期間Tdでは、第2行電極駆動部16Bは、電圧レベルが経過時間とともに漸次低下する波形を持つ負極性の消去パルスPd,…,Pdを、それぞれ、走査電極Y1,…,Ynに印加する。このとき、第1行電極駆動部16Aは、消去パルスPdの電圧レベルよりも高い略一定電圧を持つ正極性のオフセットパルスPopを共通電極X1〜Xnに印加し、列電極駆動部15は、消去パルスPdの電圧レベルよりも高い略一定電圧(本実施例ではGND電圧)を列電極D1〜Dmに印加する。これにより、発光可能状態の放電セルCLで消去放電が生起され、発光可能状態の放電セルCLが非発光状態に遷移する。このとき、放電セルCLの列電極Dkと走査電極Yjとの間に微弱な放電が生起され、かかる放電により、次の選択書込期間Twにおいて誤りなく安定してアドレス放電(選択書込放電)を起こすように壁電荷分布が調整される。
プラズマディスプレイ装置1が第4駆動シーケンスに従って多階調画像を表示する場合、黒レベル(第1階調レベル)より1段階明るい第2階調レベルで発光すべき放電セルCLには、先頭サブフィールドSF1の表示期間のみに選択書込放電とこれに伴う維持放電とを生起すればよい。また、第3階調レベル以上の階調レベルで発光すべき放電セルCLには、動画像疑似輪郭の発生を抑制するために、各フィールドの表示期間の先頭から連続的に表示されるサブフィールドの各々の表示期間にて選択書込放電とこれに伴う維持放電とを生起すればよい。このような駆動制御により、上記第1駆動シーケンスと同様に(M+1)階調を実現できる。たとえば、第5階調レベルの輝度で発光すべき放電セルCLには、サブフィールドSF1〜SF4の各々の表示期間に選択書込放電とこれに伴う維持放電とを生起すればよい。
図19の消去期間Tdに印加される消去パルスPdの波形は、調整パルスPycの波形と同一にすることができる。この場合、消去パルスPdと調整パルスPycとを共通の駆動回路で生成することができる。また、上記第2駆動シーケンスでは、選択書込放電と選択消去放電を起こす駆動信号を生成するために2系統の回路構成を必要とするが、第4駆動シーケンスでは、選択書込放電を起こす駆動信号を生成するための1系統の回路構成で足りるという利点がある。したがって、第4駆動シーケンスを採用した場合、第2駆動シーケンスを採用した場合よりも、プラズマディスプレイ装置1の駆動回路の製造コストを低減させることができる。
以上、本発明に係る種々の実施例を説明した。上記実施例のリセット期間Tr1,Tr2,Trでは、全ての放電セルCLに一斉にリセット放電を生起していたが、この代わりに、所定数の放電セルCLからなるブロック毎にリセット放電を時間的に分散させて生起してもよい。
上記第1駆動シーケンスと第3駆動シーケンスでは、図20(A)に示されるように、微少発光期間TLLに印加されるパルスPLの電圧レベルは、第2リセット期間Tr2に印加されるリセットパルスPybの立ち上がり部分と連続しているが、この代わりに、図20(B)に示されるように、パルスPLの電圧レベルが一度立ち下がった後、リセットパルスPybの電圧レベルを立ち上げてもよい。
また、上記第1駆動シーケンスによる図10の駆動信号波形を参照すると、先頭サブフィールドSF1の第1リセット期間Tr1にて正極性のリセットパルスPxa,Pyaが印加されている。上記第3駆動シーケンスによる図17の駆動信号波形でも同様である。リセットパルスPxa,Pyaを印加する目的は、リセット放電を生起して壁電荷分布を最適化し、これにより図10または図17の第1選択書込期間Tw1で書込放電を誤り無く安定して生起させることにある。他の目的は、プライミング粒子(二次電子および初期電子)を電子放出材料から放出させて放電遅れを低下させることである。
上述した通り、図5および図6に示した電子放出層30が放電空間DSに面する構成が採用された場合、特に、図7に示した電子放出膜26aあるいは図8に示した結晶体粒子26eが放電空間DSに面する構成が採用された場合には、放電開始電圧が低下するので広い駆動電圧マージンを確保できる。十分に広い駆動電圧マージンが確保できれば、リセットパルスPxa,Pyaを印加せずとも、図10または図17の第1選択書込期間Tw1での書込放電を安定して生起させることが可能である。かかる場合には、リセットパルスPxa,Pyaの代わりに、たとえばGNDレベルの一定電圧を印加してもよい。図21は、図10の駆動信号波形のリセットパルスPxa,Pyaの代わりにGND電圧を印加した場合の信号波形を示す図である。図21の駆動信号波形によれば、現フィールドに対して1サイクル前のフィールドの最終サブフィールドSFNの消去期間Tbにて消去パルスPeが印加され、現フィールドの先頭フィールドSF1の第1リセット期間Tr1にて調整パルスPycが印加される。これらのパルスPe,Pycだけで全ての放電セルCLは、最適な壁電荷分布を持つ非発光状態に設定される。このため、リセットパルスPxa,Pyaを印加せずとも、図10の第1選択書込期間Tw1で書込放電を安定して生起させることが可能である。
なお、かかる場合であっても、図10および図17に示した第2リセット期間Tr2にてリセットパルスPxb,Pybの代わりに一定電圧を印加することは避けるのが好ましい。リセットパルスPxb,Pybを印加する目的は、第2リセット期間Tr2の後の選択書込期間Tw2で書込放電を安定して生起させることである。リセットパルスPxb,Pybの印加に応じて放出されるプライミング粒子(二次電子および初期電子)は、選択書込期間Tw2での書込放電を安定化させるために作用するので、リセットパルスPxb,Pybを印加しなければ、当該書込放電が安定して生起されず、所望の放電セルCLが非発光状態から発光可能状態に遷移しない可能性がある。この場合、後続サブフィールドSF2〜SFNの表示期間で、本来維持放電が発生すべき放電セルCLで維持放電が発生しない結果となる。図13のリセット期間Trにて印加されるリセットパルスPxr,Pyr、並びに図19のリセット期間Trにて印加されるリセットパルスPxr,Pyrについても同様である。