JP5003373B2 - 時計 - Google Patents
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Description
一方、時計体(ムーブメント)91は、時計体91の外周部における二箇所程度を胴92の内周部に形成された固定部や円筒状の枠体(スペーサ)96にねじで固定することによって胴92に固定されていた。
また、裏蓋がスクリュー構造の場合、裏蓋および胴にねじを刻設する以上、裏蓋や胴に所定の肉厚、所定の厚み(時計厚み方向の寸法)が必要となるため、裏蓋や胴が厚く、大型とならざるを得ない。
このように、ガラス縁、裏蓋、時計体のそれぞれが違う固定手段を採ることにより、ガラス縁、裏蓋、胴のそれぞれが厚くなり、時計の大型化や重量増加を招いていた。なお、ガラス縁、裏蓋、時計体の固定手段が別々に設計されることが問題であり、裏蓋がねじで固定される構造(特許文献1)においてもやはり、ある程度時計が大型化するのは仕方なかった。
なお、時計体固定部、縁固定部、および裏蓋固定部のそれぞれに共通のねじを使用することが可能である。すなわち、時計体、ガラス縁、および裏蓋のそれぞれの固定手段をすべて同じねじ止めの構成とすることによって製造が容易となり、また修理用部品の管理も容易となる。
なお、時計体固定部、縁固定部、および裏蓋固定部は、例えば、胴の内壁から突出する凸部として形成される。
すなわち、この発明によれば、ガラス縁、裏蓋、時計体の固定手段がすべてねじ止めとされ、併せて、防水手段および固定手段がねじと弾性部材とに按分されることにより、防水性を有する時計におけるスペース効率を大幅に向上させることができる。
なお、加工上、各時計体固定部、各裏蓋固定部、および各縁固定部のうち時計の厚み方向において同じ位置あるいは近接した位置に設けられているもの同士を連設することが好ましい。
なお、耐衝撃性をより高めるために、複数の係合部がガラス縁や裏蓋の周方向に分散して設けられることが好ましい。
〔1.全体構成〕
図1および図2は、本実施形態に係る時計の縦断面図であり、図3は、本実施形態の時計の分解斜視図である。なお、図1における垂線の左側は12時方向の断面を示し、右側は3時方向の断面を示す。
本実施形態の時計は、図示しないゼンマイなどの駆動源や駆動輪列、調速機構、ステップモータなどを有する時計体(ムーブメント)1と、時計体1を収容する略筒状の胴2と、風防ガラス3と、風防ガラス3の周縁部を保持する環状のガラス縁4と、胴2の風防ガラス3が設けられる側とは反対側に設けられる裏蓋5とを備えている。裏蓋5は、環状の裏蓋リング51と、裏蓋リング51の内周部に設けられる裏側ガラス52とを有している。
なお、本実施形態の時計は、ゼンマイの駆動力により指針を駆動するとともに、ゼンマイの駆動力により発電した電力を電子回路に供給して調速を行う電子制御式機械時計とされているが、時計体の駆動方式は限定されない。本実施形態の時計は電子時計や機械時計であってもよい。
なお、図1および図2に示すように、時計体1には文字板6、指針7、巻真8が設けられている。また、2Aは、時計バンドが取り付けられるカンである。
図4は、胴2の平面概略図である。胴2は、略筒状の胴本体21と、胴本体21の時計体1に対向する側に設けられる耐磁部材22とを有している。耐磁部材22により、外部磁界による歯車等の磁化やステップモータ等の誤動作が防止される。
図5は、胴本体21を風防ガラス側から見た平面図である。胴本体21は、三次元の切削・研磨加工により形成され、時計体1を固定する5つの時計体固定部211と、ガラス縁4を固定する6つの縁固定部214と、裏蓋5を固定する5つの裏蓋固定部215とを有している。胴本体21の材料は特に限定されないが、本実施形態の胴本体21には金無垢材料が使用されている。
各時計体固定部211、各縁固定部214、および各裏蓋固定部215はそれぞれ、胴本体21の内周壁210における周方向の異なる位置に突設されている。
なお、各時計体固定部211、各縁固定部214、および各裏蓋固定部215は、巻真パイプ9に重ならない位置に設けられている。
時計体固定部211は、断面C字状の孔211Aを有しており、この孔211AにはねじF1(図2、図3)が挿入される。また、裏蓋固定部215は、ねじ孔215Aを有しており、このねじ孔215AにはねじF5(図1、図3)がねじ込まれる。
耐磁部材22は、図4に簡略に図示したが、実際は、時計体1における各種の輪列やレバー、輪列受け、地板、押さえ板等の形状に倣って、時計の平面方向にも縦断面方向にも複雑な形状をしている。この耐磁部材22も、胴本体21と同様に三次元の切削・研磨加工により形成されている。
耐磁部材22は、各時計体固定部211、各縁固定部214、および各裏蓋固定部215が胴本体21の周方向に点在している部分を除く胴本体21の内周壁210と時計体1との間の空間をほぼ埋めるように形成されている。但し、耐磁部材22には、時計体1と胴本体21との間への組み込みを可能とするための空隙が形成されている。
また、耐磁部材22の外周部におけるガラス縁4に対向する部分には、図示を省略するが6つの縁固定部214の間に分散して3つの凹部が形成されている。
時計体1における時計体固定部211の孔211A(図5)に対向する部分には、ねじ孔11(図2)が形成されている。時計体固定部211の孔211Aに挿入されたねじF1(図2、図3)がこの時計体1のねじ孔11に螺合されることにより、時計体1および耐磁部材22が胴本体21に固定される。このねじF1は、耐磁部材22(図4)の空隙SP1を介して孔211Aおよびねじ孔11に挿入される。
図6は、ガラス縁4を裏側から見た斜視図である。図7は、胴本体21およびガラス縁4を裏蓋側から見た平面図である。図6における4Aは、風防ガラス3(図3)の周縁部が挿入される溝である。
図6に示すように、ガラス縁4の裏面部4Bには、環状の弾性部材としてのゴム製パッキンPK1(図1、図2)が配置される溝41が形成され、この溝41よりもガラス縁4の内周側には、6つのねじ孔42と、3つの係合部としての突起43とが形成されている。
各突起43はそれぞれ、耐磁部材22に形成された凹部(図示せず)に嵌合している。なお、本実施形態に限らず、時計体固定部211に挿入されるねじF1の軸線方向に沿った空隙SP1(図4)のガラス縁4側の周縁部にガラス縁4の突起43が嵌合されていてもよい。
図8は、胴本体21および裏蓋リング51を風防ガラス側から見た斜視図である。図8における51Aは、裏側ガラス52(図3)の周縁部が挿入される溝である。
裏蓋リング51は、裏蓋固定部215および時計体固定部211を隠す位置に設けられている。
この裏蓋リング51の上面部51Bには、環状の弾性部材としてのゴム製パッキンPK2(図1、図2)が配置される溝511が形成され、溝511よりも裏蓋リング51の内周側には、5つの孔512と、3つの突起513とが形成されている。
なお、前述したガラス縁4に設けられるパッキンPK1(図1、図2)とパッキンPK2(図1、図2)とは、同じ径のものが使用されている。
以上のような構成の時計の組立について図1〜図3等を参照して説明する。
まず、胴本体21の内側に、胴本体21の上端部(風防ガラス3が設けられる側)から時計体1を胴本体21との間に耐磁部材22を介在させた状態で収容する。この状態において、裏蓋5側から耐磁部材22の空隙SP1を介してねじF1(図2)を挿入し、5つのねじF1で時計体固定部211と時計体1とを固定する。これにより、胴本体21、耐磁部材22、および時計体1が一体に組みつけられる。
本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)ガラス縁4、裏蓋5、および時計体1のそれぞれの胴2への固定手段がすべてねじ止め構造とされ、固定のためにガラス縁4の全周や裏蓋5の全周、時計体1の全周が必要とならないので、各縁固定部214、各裏蓋固定部215、および各時計体固定部211のそれぞれを時計体1の外周部1Aにほぼ沿った固定基準位置Xに配置することが可能となる。これにより、各固定部211,214,215をいずれも時計体1の同一半径R内に配置可能となってスペース効率が向上するので、これらの固定部211,214,215を含んで構成される胴本体21や、胴本体21に固定されるガラス縁4、裏蓋リング51のそれぞれを細肉にできる。
また、本実施形態の胴本体21は金無垢材料のため、胴本体21の細肉化により、材料コストを低減できる。
なお、突起43および突起513は、胴本体21の周方向に分散してそれぞれ3つずつ設けられているため、どの方向からの衝撃にも対応できる。
なお、時計体固定部211にねじF1を挿通するための空隙SP1の周縁部が突起513との係合部分を兼ねているため、胴本体21の内周部の加工が複雑となることなく、耐衝撃性を高くできる。
この図9のような従来例では、ガラス縁と胴92との固定構造、時計体と胴92との固定構造、および裏蓋と胴92との固定構造がそれぞれ別々に設計されているため、ガラス縁、胴92、および裏蓋が本実施形態の構成(図5)と比べて厚肉かつ大径となる。また、ガラス縁に設けられるパッキン97の径と裏蓋に設けられるパッキン101の径とは相違している。これは、時計が厚くならないように、ガラス縁の固定部(パッキン97)と、時計体の固定部(ねじ98)と、裏蓋の固定部(ねじ99)とがそれぞれ平面的にずらした位置に配置されているためである。
すなわち、本実施形態では、図5のように時計体固定部211、縁固定部214、および裏蓋固定部215が同一半径R内に配置されているため、従来構成に比較して大幅に細肉化でき、時計の大きさが時計体1の径に対して無駄に大径化しない。また、従来構成では難しかったが、ガラス縁4に用いるパッキンPK1と裏蓋5に用いるパッキンPK2との径とを同一にすることができる。
なお、本発明は前記実施形態には限定されず、各種の変形が可能である。時計体および胴の形状は、前記実施形態のように平面視円形状のものに限らず、四角形、多角形、トノー型、楕円形などの各種の形状であってよい。時計体がどのような形状であっても、時計体を収容する胴の形状は時計体の外周部の形状に対して略相似形に決められることが多い。このため、時計体の外周部の形状に対して略相似形の固定基準位置に時計体固定部、縁固定部、および裏蓋固定部が配置されることにより、前記実施形態と略同様の効果が得られる。
なお、前記実施形態では、各時計体固定部211、各縁固定部214、および各裏蓋固定部215はそれぞれ、固定基準位置X(図5)よりも胴本体21の内周側に突出するように形成されており、これらの固定部それぞれの略全体が固定基準位置Xの内側に収まるように、すなわち同一半径R内に配置されていたが、これには限定されない。各時計体固定部、各縁固定部、および各裏蓋固定部がそれぞれ固定基準位置上に配置されていれば、固定基準位置の内周側や外周側に各固定部が突出していても、各固定部の形成領域が時計体の半径方向において重なり合う分、スペース効率向上に寄与できる、つまり、前記実施形態と略同様の効果が得られる。
上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (11)
- 時計体と、
前記時計体を収容する略筒状の胴と、
風防ガラスの周縁部を保持し、前記胴に固定されるガラス縁と、
前記胴における前記ガラス縁が設けられる側とは反対側に固定される裏蓋と、を備え、
前記胴は、前記時計体をねじによって固定する複数の時計体固定部と、前記ガラス縁をねじによって固定する複数の縁固定部と、前記裏蓋をねじによって固定する複数の裏蓋固定部とを有し、
前記各時計体固定部、前記各縁固定部、および前記各裏蓋固定部のそれぞれに設けられる前記ねじは、前記胴の軸線方向に略沿っており、
前記各時計体固定部、前記各縁固定部、および前記各裏蓋固定部はそれぞれ、前記胴の周方向の異なる位置で且つ、前記時計体における前記胴に対向する外周部の形状に略相似形の固定基準位置に配置されている
ことを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記ガラス縁と前記胴との間、および前記裏蓋と前記胴との間のそれぞれには、前記胴の周方向に沿った環状の弾性部材が介装されている
ことを特徴とする時計。 - 請求項1または2に記載の時計において、
前記胴および前記時計体は、平面視略円形状であり、
前記各時計体固定部、前記各縁固定部、および前記各裏蓋固定部はそれぞれ、前記時計体の平面中心から同一半径内の位置に配置されている
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から3のいずれかに記載の時計において、
前記各時計体固定部、前記各縁固定部、および前記各裏蓋固定部のうち前記胴の周方向で隣合う少なくとも2つは、互いに連設されている
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から4のいずれかに記載の時計において、
前記時計体が前記胴に収容されている状態において、前記胴には、または前記胴の内側には、前記縁固定部に設けられる前記ねじの軸線方向に沿った部分を含む空隙が形成されている
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から5のいずれかに記載の時計において、
前記胴は、前記時計体固定部、前記縁固定部、および前記裏蓋固定部を含む胴本体と、前記胴本体の前記時計体に対向する側に設けられる耐磁部材とを有し、
前記耐磁部材は、前記各時計体固定部、前記各縁固定部、および前記各裏蓋固定部が配置されている部分を除く前記時計体と前記胴本体との間の空間をほぼ埋めるように形成されている
ことを特徴とする時計。 - 請求項2から6のいずれかに記載の時計において、
前記胴と前記ガラス縁との間に介装される前記弾性部材の径と、前記胴と前記裏蓋との間に介装される前記弾性部材の径とは、同一である
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から7のいずれかに記載の時計において、
前記裏蓋は、環状の裏蓋リングと、この裏蓋リングの内周部に設けられる裏側ガラスとを含んで構成され、
前記裏蓋リングは、前記裏蓋固定部を隠す位置に設けられている
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から8のいずれかに記載の時計において、
前記ガラス縁および前記裏蓋の少なくとも一方は、前記胴の軸線方向に沿って突出し、前記胴の一部と当該胴の周方向に係合する係合部を有する
ことを特徴とする時計。 - 請求項9に記載の時計において、
前記胴には、前記各時計体固定部および前記各縁固定部の少なくともいずれかに設けられる前記ねじの軸線方向に沿った部分を含む空隙が形成され、
前記係合部は、前記胴における前記空隙の周縁部に係合する
ことを特徴とする時計。 - 時計体と、
略筒状の胴部および蓋部を有して前記時計体を収容するケースと、
風防ガラスの周縁部を保持し、前記胴部に固定されるガラス縁と、を備え、
前記胴部は、前記時計体をねじによって固定する複数の時計体固定部と、前記ガラス縁をねじによって固定する複数の縁固定部とを有し、
前記各時計体固定部および前記各縁固定部のそれぞれに設けられる前記ねじは、前記胴部の軸線方向に略沿っており、
前記各時計体固定部および前記各縁固定部はそれぞれ、前記ケースの周方向の異なる位置で且つ、前記時計体における前記胴部に対向する外周部の形状に略相似形の固定基準位置に配置されている
ことを特徴とする時計。
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