JP5320033B2 - 時計用の竜頭 - Google Patents

Description

本発明は、例えば時計の巻真又は押しボタン用の竜頭に関する。より詳細には、本発明は、革新的かつ魅力的な審美的効果を与える、このタイプの竜頭に関する。

前述のタイプの竜頭は、例えば、本出願人名義の欧州特許出願第１５８６９６０号から知られている。これは、解放装置を含む時計竜頭に関する。竜頭は、巻真が固定されるパイプが内側に配置された中空の円筒状ハウジングと、弾性変形可能で、かつ回転時にノッチ付き剛性リングタイプの要素と協働可能な要素とを含む。この回転時の協働は、ノッチ付きリングによって弾性変形可能な要素に伝達されるトルクが所定のしきい値未満のままであれば、保証される。このしきい値を超えたときには、ノッチ付きリングと弾性要素との間に解放現象が観察される。換言すれば、もはやノッチ付きリングと弾性要素との間に回転トルクの伝達がない。これで、竜頭は、伝達作用なしに回転し、したがって、その回転運動は巻真には伝達されない。

以上で簡単に説明した竜頭の構造は、係合を外すことが可能な竜頭の構造である。そのような竜頭の目的は、特に、主ぜんまいが完全に巻き上げられたときにユーザが自身の腕時計の機構を巻き上げようと試みる場合に、時計機構に損傷を与えるのを回避することである。

前述の欧州特許出願に記載されている竜頭の諸実施形態のうちの１つでは、弾性変形可能な要素は、その形状が概ね正方形の形状に近く、そこから弾性変形可能な４つのアームが延びる、中央の基部を含むばねによって形成される。各弾性アームは、連続した２つの部分、すなわち、ほぼ直角を成すエルボとなる前の、中央の基部からほぼ径方向に沿って延びる第１の短い部分と、第１の部分の拡張部である、屈曲した部分の後のほぼ直線的な第２の部分とを含む。

もちろん、前述のフラットばね要素の幾何学形状は、とりわけ、ノッチ付きリングと前記ばね要素との間のトルクの伝達効率と、ある値を超えるとこれら２つの要素間に解放が観察されるしきい値とを決定する、物理的及び機械的原理に従う。それでもなお、その幾何学形状と対称的な性質ゆえに、ばね要素に特定の魅力がないわけではないことに留意すべきである。

この魅力こそが、本特許出願の主題を成す本発明の著者が腕時計ユーザに示したいものである。
欧州特許出願第１５８６９６０号

したがって、本発明は、時計用の竜頭であって、前記竜頭が、その竜頭のハウジングの境界となるスカートが延びているキャップを含んでおり、前記竜頭は、少なくとも部分的に透明なカバーがキャップ内に取り付けられ、前記カバーは竜頭ハウジング内に配置された装置のすべて又は一部を見せることを特徴とする竜頭に関する。

これらの特徴によって、本発明は、竜頭の内部容積内に収容された装置をユーザから見えるようにすることができる、例えば時計の巻真又は押しボタン用の竜頭を提供する。この装置は、例えば、前述の解放機構とすることができる。ただし、装置は、例えば、単に、時計ブランドの独特の記号又は他の任意の装飾的な飾りを備えた、装飾プレートとすることもできる。解放機構の場合、ユーザは、諸部品のすべての細部と微細な形状を見ることができ、さらには機構が動作する様子さえ観察することができる。したがって、本発明は、新しいタイプの竜頭に魅力的かつ革新的な外観を提供することができる。

本発明の他の特徴及び利点は、本発明による竜頭の一実施形態についての以下の詳細な説明からより明らかになる。この実施例は、純粋に、付属図面に関する非限定的な説明のために与えられている。

本発明は、例えば時計巻真又は押しボタン用の竜頭の内部容積内に収容された装置をユーザから見えるようにしようとする発明の一般概念から開始する。竜頭内に収容された装置は、フラットばねタイプの弾性要素と内周部にノッチが設けられたリングとを備えた、巻真用の解放機構とすることができる。該装置は、また、時計ブランドの独特の商標又は他の任意の装飾的デザインを備えたプレートとすることもできる。この結果を達成するために、少なくとも部分的に透明なカバーが竜頭の頭部に取り付けられて、竜頭の内部容積内に収容された装置のすべて又は一部を視認可能とすることができる。この構造によって、本発明による１つもしくはいくつかの竜頭及び／又は押しボタンを備えた時計は、魅力的かつ革新的な外観を有するようになる。

図１は、全体的な参照数字１によって全体として示された、本発明の教示による竜頭の長手方向断面図を示す。図１に示されるように、竜頭１は、概ね円筒状の形状である。ただし、竜頭１を、正方形、八角形、又は他の多面体断面を備えたいずれか他の全体的な外部形状となるように、回転楕円体形の断面を備えた形状とは異なるものとすることができることはいうまでもない。

竜頭１は、本質的に、中空の内側ハウジング６の境界となる円形のスカート４が底部方向へ延びて境界が形成されたキャップ２で形成される。図面に示された例では、キャップ２と円形スカート４は、単一部品で作製される。もちろん、また、これらの２つの部品を別々に作製し、次いでそれらをいずれか適切な手段によって組み立てることも想定することができる。

スカート４の外周部は、ユーザにとって竜頭１の取扱いを容易にするぎざぎざ８を有する。竜頭１の中空の内側ハウジング６は円形の肩部１０を有する。この肩部１０は、２つの機能を有する。一方では、竜頭１のキャップ２内に作られた開孔１６内に収容されたカバー１４のための支持面２となっている。本発明によれば、このカバー１４は、竜頭１の中空の内部容積６内に収容された装置１８を見せるために、少なくとも部分的に透明である。図面に示された例では、カバー１４は、封止ガスケット２０を挿入して開孔１６内に取り付けられたガラス・プレートすなわち透明プレートによって形成される。

肩部１０の他の機能は、竜頭１の中空の内部容積６内に収容された装置１８のための停止面２２の役割を果たすことである。図１に示され、また図２でさらによくわかるように、この装置１８は、この場合、解放機構２４によって形成される。解放機構は、ユーザが所定の限界値を超えて主ぜんまいを巻き上げるのを防ぐことによって時計のムーブメントを保護することがその目的である。

解放機構２４は、したがって、１つ、好ましくは２つの重ね合わせられた同一のばね２６を含む。所望の剛性レベルを得るために必要な厚さを達成するために、ここでは同一の２つのばね２６が設けられる。

２つのばね２６は、後述する方式でリング２８と協働する。リング２８の外径は、円形スカート４の内径に等しい。リング２８の内周部は複数のノッチ３０を有する。

図２を調べればわかるように、ノッチ付きリング２８と２つのばね２６とは、竜頭１の底側に配置されて、円形肩部１０によって実現されている停止面２２に当接する。巻真（図示せず）を取り付けるねじ穴３４を有するパイプ３２が解放機構２４を完成させる。パイプ３２は、円盤形の頭部３８が上に取り付けられた円筒状断面の主要部３６を有している。頭部の直径は主要部３６の直径よりも大きい。パイプ３２のヘッド３８の周辺部の内側で輪郭が内接する凸状部分４０が、頭部３８の上に取り付けられている。より具体的には、凸状部分４０の周囲形状は、例えば正方形であり、ばね２６内に作られたやはり正方形の穴４２に内接しており、その結果、回転運動がばね２６に与えられるときに、ばねは、次に、凸状部分４０を介してパイプ３２を駆動する。もちろん、ばね２６が凸状部分４０を駆動することが可能なままであれば、本発明の範囲から逸脱することなく、凸状部分４０と穴４２の形状を、正方形とは異なる、例えば多角形など、任意の非円形プロファイルを有するものとすることができる。

図１が示すように、ばね２６は、パイプ３２の頭部３８に当接し、また、概ね円筒形のブッシュ４６の円形の縁部４４に一部が当接する。より具体的には、ブッシュ４６は貫通穴４８を有する。その貫通穴は、パイプ３２の頭部３８と同じ形状及び寸法のボア５０へと開口しており、そのボアの周囲が、ばね２６が当接している円形の縁部４４の境界となっている。

さらに、貫通穴４８は、局所的な直径縮小部５２を有しており、その直径は、チューブ５４の外径よりも大きい値Ｄ１から、Ｄ１よりも小さく、パイプ３２の主要部３６の外径よりも大きい値Ｄ２へと移行する。また、ブッシュ４６が、封止ガスケット５８を収容する外周部の溝５６と、封止ガスケット６２を収容する内周部の溝６０とを有することに気付くであろう。ガスケット５８の機能は、ブッシュ４６と竜頭１の中空の内側ハウジング６との間の封止を保証することであり、一方、ガスケット６２は、ブッシュ４６とチューブ５４との間の封止を保証する。

本発明による竜頭は、以下の方式で取り付けられる。まず初めに、パイプ３２の頭部３８がブッシュ４６のボア５０内に収容されるまで、パイプ３２がブッシュ４６内に係合させられる。次いで、ばね２６がパイプ３２の凸状部分４０に係合され、ねじ６４が、パイプ３２の頭部３８内に作られた、パイプ３２の主要部３６まで延びることのできるねじ穴６６に螺入される。ばね２６がパイプ３２の頭部３８とねじ６４の頭部６８との間で維持されている。ノッチ付きリング２８が、竜頭１の中空の内側ハウジング６内に、これらの２部品間の堅固な連結を得るために、押込み、溶接、又は他の手段などのいずれか適切な手段によって配置される。次いで、パイプ３２、ブッシュ４６、ばね２６、ねじ６４によって形成されたアセンブリが、竜頭１の中空の内側ハウジング６内に収容される。ブッシュ４６は、７０のところに示されるように、押込み、溶接、結合、又はリベット留めなどのいずれか適切な手段によって竜頭１に固定される。次いで、クリスタル１４とガスケット２０を竜頭１の上に取り付けることができる。

竜頭の組立てが完了したときには、巻真は、パイプ３２内に作られたねじ穴３４に螺入される。最後に、アセンブリ全体が、押込み、螺合、又は結合などのいずれか適切な技術によって時計の中央部に固定されたチューブ５４を介して時計に取り付けられる。このチューブ５４は、本発明による竜頭１を、その竜頭１が作動させなければならない時計機構に連結する。

本発明による竜頭１は、以下のように動作する。ユーザが竜頭１を回転させると、ユーザは、ノッチ付きリング２８を駆動し、リング自体がばね２６を駆動する。リング２８は、時計回り又は反時計回りの単一方向又は２方向にばね２６を駆動することができる。完了するためには、ばね２６が、パイプ３２を、したがってそのパイプに固定されたねじ山付き巻真（図示せず）を回転駆動する。竜頭１によってばね２６に加わるトルクが所定のしきい値を超えるときには、ばね２６が弾性変形し、その結果、ノッチ付きリング２８が解放され、もはやばね２６に噛み合わない。ゆえに、竜頭１は、竜頭のその後の作動が時計のムーブメント、特に主ぜんまいにもはや影響を与えないように、トルク伝達作用なしで回転し、それによって、ムーブメントに損傷を与える危険を回避する。

図２と図３で理解されるように、ばね２６とねじ６４は、ユーザからクリスタル１４を通して見ることができ、それが時計に革新的かつ魅力的な外観を与える。

本発明がここまで記載してきた実施形態だけに限定されず、また、冒頭の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく様々な単純な変更及び変形形態を当業者が想定できることは、いうまでもない。特に、本発明による竜頭を、修正子、押しボタン、弁、又はその他のものなど、いずれのタイプの外部時計制御部材にも適用できることが理解されよう。

本発明による時計竜頭の長手方向断面図である。 図１に示される竜頭の上面図である。 本発明による竜頭の斜視図である。

符号の説明

１ 竜頭、２ キャップ、４ 円形スカート、６ 内側ハウジング、８ ぎざぎざ、１０ 円形肩部、１４ カバー、１６ 開孔、１８ 装置、２０ 封止ガスケット、２２ 停止面、２４ 解放機構、２６ ばね、２８ リング、３０ ノッチ、３２ パイプ、３４ ねじ穴、３６ 主要部、３８ 頭部、４０ 凸状部分、４２ 穴、４４ 縁部、４６ ブッシュ、４８ 貫通穴、５０ ボア、５２ 局所的な直径縮小部、５４ チューブ、５６ 外周部の溝、５８ 封止ガスケット、６０ 内周部の溝、６２ 封止ガスケット、６４ ねじ、６６ ねじ穴、６８ 頭部

Claims (7)

1. 時計用の竜頭であって、前記竜頭（１）は、中空の内側ハウジング（６）の境界を決めるスカート（４）が延びているキャップ（２）を含んでおり、かつ前記竜頭（１）は、少なくとも部分的に透明なカバー（１４）が前記キャップ（２）内に取り付けられ、前記カバー（１４）が前記竜頭（１）の前記中空の内側ハウジング（６）内に配置された解放機構（２４）のすべて又は一部を見せるように構成され、前記解放機構（２４）は、複数のノッチ（３０）を内周部に有するリング（２８）と協働する、少なくとも１つのばね（２６）を含むことを特徴とする竜頭。
2. 前記カバー（１４）が前記竜頭（１）の前記キャップ（２）内に作られた開孔（１６）内に取り付けられることを特徴とする請求項１に記載の竜頭。
3. 前記カバー（１４）が、封止ガスケット（２０）を挿入して前記開孔（１６）内に取り付けられた透明プレートであることを特徴とする請求項１に記載の竜頭。
4. 前記１つもしくは複数のばね（２６）がねじ（６４）を用いて維持されることを特徴とする請求項１に記載の竜頭。
5. 前記１つもしくは複数のばね（２６）の中心に非円形の穴（４２）が存在しており、前記ばねが、そのばねを支持するパイプ（３２）に設けた相補的な形状の凸状部分（４０）に係合され、前記ねじ（６４）が前記パイプ（３２）の少なくとも前記凸状部分（４０）内に作られたねじ穴（６６）に螺入されることを特徴とする請求項１に記載の竜頭。
6. 前記時計の外部制御部材に適用されることを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載の竜頭。
7. 前記制御部材が巻真又は押しボタンであることを特徴とする請求項６に記載の竜頭。

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