JP5002939B2 - 燃料電池用電解質膜および膜電極接合体 - Google Patents

燃料電池用電解質膜および膜電極接合体 Download PDF

Info

Publication number
JP5002939B2
JP5002939B2 JP2005315143A JP2005315143A JP5002939B2 JP 5002939 B2 JP5002939 B2 JP 5002939B2 JP 2005315143 A JP2005315143 A JP 2005315143A JP 2005315143 A JP2005315143 A JP 2005315143A JP 5002939 B2 JP5002939 B2 JP 5002939B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
substrate
interaction
hydrophilic
electrolyte membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005315143A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007123122A (ja
Inventor
幸一郎 青谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2005315143A priority Critical patent/JP5002939B2/ja
Publication of JP2007123122A publication Critical patent/JP2007123122A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5002939B2 publication Critical patent/JP5002939B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、燃料電池用電解質膜および膜電極接合体(以下、単にMEAとも略記する。)に関する。
ガスの電気化学的反応により電気を発生させる燃料電池は、発電効率が高く、排出されるガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ないことから、近年、発電用、低公害の自動車用電源等、種々の用途が期待されている。燃料電池は、その電解質により分類することができ、例えば、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、固体高分子型燃料電池等が知られている。なかでも、固体高分子型燃料電池は、80℃程度の温度で作動させることができるため、他の種類の燃料電池と比較して取扱いが比較的容易であり、また、出力密度が極めて大きいことから、その利用が期待されるものである。固体高分子型燃料電池は、通常、プロトン伝導性のある高分子膜である固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設けたセルを発電単位として、このセルを多数積層して構成される。そして、燃料となる水素ガス等を電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を他方の電極(空気極)へ供給して起電力を得るものである。そして、電解質として用いる固体高分子電解質膜としては、全フッ素系スルホン酸膜等の高分子膜が用いられている。
固体高分子型燃料電池を作動させる温度は、上述のように、80℃程度と比較的高温である。また、触媒活性の向上、排熱の有効利用、冷却効率の向上等の観点から、さらに作動温度を高くすることが望まれている。しかし、電池を高温で作動させる場合には、高
分子材料からなる固体高分子電解質膜の強度が問題となる。つまり、高温下では固体高分子電解質膜の弾性率が低下し膜の強度が低下してしまうというおそれがある。
固体高分子電解質膜の強度を向上させる試みの一つとして、特許文献1には、無機材料複合高分子膜の製造方法として、高分子膜に溶質が前記無機材料の原料となる化合物である原料溶液を含浸させる原料溶液含浸工程と、前記原料溶液を含浸させた高分子膜の両表面のうち少なくとも一方の膜表面に第2液を接液させることで、前記溶質を移動させて膜厚方向に該溶質の濃度勾配を調整する溶質濃度勾配調整工程と、前記溶質を反応させて前記無機材料の微粒子を析出させる無機材料析出工程とを含んで構成している膜厚方向に無機微粒子の濃度勾配を有する微粒子分散電解質膜およびその製造方法が提案されている。
この無機材料複合高分子膜では、微粒子状の無機材料が濃度勾配をもって高分子膜内に分散しているため、その濃度勾配を調整することにより、膜の強度の向上や膜の水管理性あるいは電極との良好な接着性等、様々な要求に応じた電解質膜になるというものである。
特開2002−352818号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の製造方法では、無機材料複合高分子膜の作製ステップが3段階に渡り、工数が増大するため製造コストも増大するといった問題点がある。また、この手法では反応前の無機材料を分散させる必要があり、適用できる無機材料の幅が限られているといった問題点がある。
そこで、本発明では、従来に比べて非常に短いステップで膜厚方向に微粒子の濃度分布をもつ電解質膜および電解質膜−電極接合体を得ることを目的とする。
そこで、本発明者は、製膜過程において膜中の微粒子の濃度勾配をつけることを可能にした。これにより製造工数を増やすことなく一段階で製膜が可能となることを見出し本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、基板と微粒子の相互作用を利用することで膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけたことを特徴とする燃料電池用微粒子含有電解質膜により上記目的が達成される。
本発明によれば、製膜過程において電解質膜中の微粒子濃度を厚み方向に制御して分散させることが可能になるため、工数の増大とならず非常に短いステップで微粒子分散電解質膜が作製可能となる。
また、本発明では、基板と微粒子の相互作用を利用することで、膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向に、例えば、電解質膜(更にはMEA)の外側方向に親水性微粒子が偏在するようにつけた場合(図1〜3参照のこと)、電解質膜(更にはMEA)の中心部位からの排水効果が増大し、フラッディングを抑制する効果がある。
また、本発明では、基板と微粒子の相互作用を利用することで、膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向に、例えば、電解質膜(更にはMEA)の厚み方向全体に親水性微粒子の勾配をつけた場合、電解質膜(更にはMEA)の厚み方向で水分を任意の方向に移動させることができる。なお、上記では、親水性微粒子を用いた場合の効果につき説明したが、疎水性微粒子を用いた場合でも、同様の効果を発現させることができるように、膜中の疎水性微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけることができる。
本発明の燃料電池用微粒子含有電解質膜は、基板と微粒子の相互作用を利用することで電解質膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけたことを特徴とするものである。
本発明によれば、基板と微粒子の相互作用を利用して電解質膜中の微粒子(例えば、親水性微粒子)の濃度勾配を膜厚方向に、例えば、電解質膜(更にはMEA)の中心方向に親水性微粒子を偏在させて濃度勾配をつけることにより、電解質膜(更にはMEA)中に水をとどめることができ、燃料電池発電中のドライアウトを抑制する効果を得ることができる。
また、本発明によれば、基板と微粒子の相互作用を利用することで、膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向に、例えば、電解質膜(更にはMEA)の外側方向に親水性微粒子を偏在させて濃度勾配をつけることにより(図1〜3参照のこと)、電解質膜(更にはMEA)の中心部位からの排水効果が増大し、フラッディングを抑制する効果を得ることができる。
更に、本発明によれば、基板と微粒子の相互作用を利用することで、膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向に、例えば、電解質膜(更にはMEA)の厚み方向全体に親水性微粒子の濃度勾配をつけることで、MEAの厚み方向で水分を任意の方向に移動させることができる。
また、本発明によれば、製膜過程で電解質膜中の微粒子濃度を厚み方向に制御して分散させることが可能になる。そのため、工数の増大とならず非常に短いステップで微粒子分散電解質膜を作製することができる。その結果、従来の複数ステップを要する微粒子分散電解質に比して、より安価な電解質膜を提供することができる。
ここで、基板と微粒子の相互作用としては、例えば、親水−親水相互作用、疎水−疎水相互作用、π−π相互作用、静電的相互作用(静電反発を含む)、電荷移動相互作用(電子供与体と電子受容体との間の相互作用)、双極子−双極子相互作用(水素結合、永久双極子間相互作用、永久双極子−誘起双極子相互作用、一時双極子−誘起双極子間相互作用、ファンデアワールス力などを含む)、配位結合、親和性などの相互作用が挙げられる。かかる相互作用は、1種の相互作用を単独で利用してもよいし、2種以上の相互作用を適宜組み合わせて利用してもよい。
以下、本発明の実施形態の1例として親水−親水相互作用を利用する例を中心に説明する。但し、本発明がこれらに制限されるものではなく、他の相互作用についても、親水−親水相互作用と同様にして行うことができるものである。
I.第1実施形態;親水−親水相互作用を利用する形態
基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用する形態としては、例えば、基板と微粒子共に親水性のものを用いて、基板と微粒子の間に、分子間力(引力)を働かせるものである。1例を挙げれば、親水化したシリカ微粒子と親水化したシリカ基板(共にピラニア処理など)が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。本実施形態によれば、親水性の微粒子を分散させたい場合や膜厚方向に親水性の濃度勾配をつけたい場合に基板を調節するだけで容易に濃度分布を制御可能となる点で優れている。
(i)微粒子
上記微粒子は、親水性を持つもの(単に親水性微粒子ともいう)、親水性を付与したもの(単に親水化微粒子ともいう)のいずれであってもよい。本実施形態では、こうした微粒子を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
また、これらの微粒子は、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、−カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、カルボニル基(−CO)、スルホン基、スルホン酸基(−SOH)、ペプチド結合(−CONH−)、エーテル結合(−COO−)、シアノ基(−CN)、ポリオキシエチレン基、チオール基(−SH)、アルデヒド基(−COH)、アミド基(−CONH)、イミド基、イミダゾール(ヘテロ環)基、エステル結合(−O−)、ホスホジエステル結合(−O−P(=O)OH−O−)などの親水性の官能基(但しこれらの官能基に何ら制限されるものではない。)をその表面ないし内部に一種類以上有している化合物により形成(ないし含有)されているものが望ましい。
また、微粒子の材料については、該微粒子を含有した電解質膜として用いた燃料電池を運転した際に、該電解質膜内で安定して存在できるものであれば、その種類を特に制限するものではない。有機、無機のいずれの化合物により形成された微粒子であってもよい。有機微粒子の場合には、親水-親水相互作用のほか、使用材料によっては更に、π−π相互作用、静電的相互作用等を有効に利用することができ、表面制御の容易性や使用できる化合物の種類が無限にある点で優れている。また、有機微粒子の場合には、無機微粒子に比して電解質膜の膜表面近傍に多く存在しても、電解質膜と電極との間で極めて良好な接着性を発現させることができ、電池反応を充分に進行させることができる点で優れている。その結果、MEAの耐久性が高く、電池特性に優れた燃料電池を提供することができる。ただし、本発明では、後述する各実施形態に示すように、無機微粒子表面を各種の相互作用が得られるように改質して用いられることから、有機微粒子と同程度の極めて高い接着性を発現させることができる場合も多い。一方、基板と微粒子の相互作用により、MEAの中心方向に微粒子を偏在させる場合には、更に微粒子と電極との接着性によらず、電極と電解質膜を良好に接着させることができる。そのため、微粒子材料が制約されることもないので、基板と微粒子の間で所望の相互作用を選択することもできる。そのため、例えば、基板と微粒子の間で親水−親水相互作用を選択できるように、親水性基板と親水性微粒子を用いれば、MEAの中心方向に親水性微粒子を偏在させることができ、燃料電池の発電中のドライアウトを抑制することができる。一方、無機微粒子の場合には、耐酸化性、寸法安定性のほか、耐熱性、機械的強度等に優れる無機微粒子が電解質膜中に固定化されているため、電解質膜の強度を向上させることができる。また高温下で使用した場合にも、耐熱性に優れた無機微粒子が電解質膜の立体構造を補強する効果を奏することができるため、高強度を長期間にわたって保持することができる。の点で優れている。従って、これら有機、無機微粒子は、使用用途に応じて、適宜使い分けてもよいし、併用してもよい。当該要件は、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
微粒子が親水性を持つもの(親水性微粒子)としては、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、−カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、カルボニル基(−CO)、スルホン基、スルホン酸基(−SOH)、ペプチド結合(−CONH−)、エーテル結合(−COO−)、シアノ基(−CN)、ポリオキシエチレン基、チオール基(−SH)、アルデヒド基(−COH)、アミド基(−CONH)、イミド基、イミダゾール(ヘテロ環)基、エステル結合(−O−)、ホスホジエステル結合(−O−P(=O)OH−O−)などの親水性の官能基(但しこれらの官能基に何ら制限されるものではない。)を微粒子の表面や内部に一種類以上有している化合物により形成されてなる微粒子などが挙げられる。例えば、親水性モノマーの分散重合により合成してなる親水性ポリマー微粒子等が挙げられる。1例を示せば、アクリルアミドを主成分とし、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸をコモノマーとして用いた親水性モノマーの分散重合により親水性ポリマー微粒子を合成することができる。該合成には、反応性分散安定剤として、ポリ(オキシエチレン)メタリクレート等を用い、分散媒として、親水性有機溶媒を用いることができる。これにより、サブミクロンサイズの微粒子が得られ、その粒子径は分散媒のSP、ポリ(オキシエチレン)メタリクレートの共重合量およびその鎖長に依存する。また、特定の条件下では重合率と一粒子あたりの体積の関係が1次となり、単分散の微粒子が得られる。ただし、本発明は、これらに何ら制限されるものではなく、各種の親水性微粒子が挙げられる。
この他にも、親水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのコポリマー、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)ポリマー、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)ポリマー、これらの組合せ、およびこれらの誘導体などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
微粒子に親水性を付与したもの(親水化微粒子)としては、例えば、ピラニア処理、放射線グラフト処理、化学気相吸着処理(CVD処理)、真空紫外光処理(VUV処理)などの親水化処理技術によって、微粒子の表面や内部に上記したような親水性の官能基を修飾させたものなどが挙げられる。例えば、ピラニア処理を例に示せば、シリカゲル微粒子などの無機微粒子をピラニア溶液(体積比が過酸化水素水(31%):濃硫酸=3:7の混合溶液を熱したもの。以下、単にピラニア溶液ともいう。)に所定時間浸漬することにより親水化処理を行い、該微粒子の表面(や孔内部)に多数の水酸基(−OH基)を導入(付与)してなる親水化微粒子を得ることができる。かかる親水化処理に適した微粒子の材料は、リン酸ジルコニウム、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機系化合物である。ピラニア溶液は有機物とは爆発的に反応するためである。このように、個々の親水化処理ごとに、最適な条件や材料を適宜選択すればよい。この他にも、微粒子(更には、後述する基板)の表面修飾は、親水性(更には、後述する疎水性、あるいは表面電荷)を調整することができるものであれば特に限定されることなく、一般に用いられる表面改質方法で行うことができる。例えば、オクタデシルトリメトキシシラン等のアルコキシシランを含むシランカップリング剤、チタニウムカップリング剤などのカップリング剤を用いる方法、チオールと貴金属の結合を用いる方法、ゾル・ゲル法により表面に薄膜を塗布する方法、ポリイミドやポリプロピレンなどの高分子膜を塗布する方法、(さらに表面修飾を施した粒子を基板表面の壁面に敷き詰める方法;後述する基板の表面修飾に適用可能である)、界面活性剤で処理する方法などを用いることができる。
本発明に用いられる微粒子の形状としては、何ら制限されるものではない。具体的には、断面円形状(球状)、断面楕円形状、円柱状、角柱状、針状(棒状)、無定形状などが挙げられる。当該要件は、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
本発明に用いられる微粒子の大きさ(平均粒子径)としては、1nm〜100μm、好ましくは1nm〜0.1μmの範囲である。微粒子の大きさ(平均粒子径)が1nm未満の場合には、取扱いが困難、凝集力が高いため安定に分散が困難であるほか、微粒子自体の製造が困難であり、高コストになりやすい。微粒子の大きさ(平均粒子径)が100μmを超える場合には、電解質のプロトン伝導性を著しく低下させる恐れがある。該微粒子の大きさ(平均粒子径)は動的光散乱測定により測定することができる。当該要件も、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
本発明に用いられる微粒子の含有量は、0.01〜50wt%、好ましくは1〜5wt%である。微粒子の含有量が0.01wt%未満の場合には、所望の水分制御が困難であるほか、膜厚方向に十分な微粒子の濃度勾配(濃度分布)を持たせるのが困難となるおそれがある。微粒子の含有量が50wt%を超える場合には、形態の維持が困難、力学的に脆くなるほか、電解質膜内でプロトンのスムーズな移動を若干制限するようになるおそれがある。当該要件も、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
本発明に用いられる微粒子は、これらが複数個集まって(凝集等して)2次粒子化したものであってもよいし、微粒子が凝集せずに単分散したものであってもよい。該2次粒子の形状も、特に制限されるものではなく、球状(塊状)、断面楕円形状、らせん状(紐状)、房状、層状、無定形状などが挙げられる。これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。当該要件も、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
(ii)基板
上記基板は、親水性を持つもの(単に親水性基板ともいう)、親水性を付与したもの(単に親水化基板ともいう)のいずれであってもよい。
また、これらの基材は、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、−カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、カルボニル基(−CO)、スルホン基、スルホン酸基(−SOH)、ペプチド結合(−CONH−)、エーテル結合(−COO−)、シアノ基(−CN)、ポリオキシエチレン基、チオール基(−SH)、アルデヒド基(−COH)、アミド基(−CONH)、イミド基、イミダゾール(ヘテロ環)基、エステル結合(−O−)、ホスホジエステル結合(−O−P(=O)OH−O−)などの親水性の官能基(但しこれらの官能基に何ら制限されるものではない。)をその表面ないし内部に一種類以上有している化合物で構成(形成)されているものが望ましい。これらは本実施形態の親水性基板だけに特に限定されるものではなく、親水化基板、あるいは他の実施形態に利用される基板にも適用可能である。
本発明では、膜(電解質膜)中の微粒子との相互作用の観点から、少なくとも基材表面が親水性基板や親水化基板となるように処理されていればよい。従って、例えば、親水性基板や親水化基板でない疎水性基板に、親水性基板や親水化基板を張り合わせたものであってもよいし、基板の厚さ方向に親水化度の濃度勾配を持たせるように形成されたものであってもよい。
また、本発明では、こうした基板(表面)全体の親水化度が均一になるように形成されたものであってもよいし、基板(表面)の面方向に適当な濃度勾配を持つように形成されたものであってもよい。基板の面方向に親水化度の濃度勾配を持たせることにより、微粒子との相互作用により、得られる電解質膜の面方向にも同様な親水化度の濃度勾配を持たせることができ、例えば、燃料含有ガスや酸素含有ガスの入口側から出口側に向けて親水化度の濃度勾配を持たせることができる。
基板が親水性を持つもの(親水性基板)としては、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、−カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、カルボニル基(−CO)、スルホン基、スルホン酸基(−SOH)、ペプチド結合(−CONH−)、エーテル結合(−COO−)、シアノ基(−CN)、ポリオキシエチレン基、チオール基(−SH)、アルデヒド基(−COH)、アミド基(−CONH)、イミド基、イミダゾール(ヘテロ環)基、エステル結合(−O−)、ホスホジエステル結合(−O−P(=O)OH−O−)などの親水性の官能基(但し、これらの官能基に何ら制限されるものではない。)を基板の表面や内部に一種類以上有している化合物により形成されてなる基板などが挙げられる。1例を示せば、アクリルアミドを主成分とし、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸をコモノマーとして用いた親水性モノマーの重合により親水性ポリマーを合成し、これを塗布、乾燥することで、所望の基板を得ることができる。
基板に親水性を付与したもの(親水化基板)としては、例えば、ピラニア処理、放射線グラフト処理、化学気相吸着処理(CVD処理)、真空紫外光処理(VUV処理)などの親水化処理技術によって、基板の表面や内部に上記したような親水性の官能基を修飾させたものなどが挙げられる。なお、ピラニア処理に関しては、上記親水化微粒子にて説明したと同様である為、ここでの説明は省略する。
上記基板の形状厚さとしては、特に制限されるものではなく、フィルム状であってもよいし、板状であってもよい。当該要件は、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
上記基板の厚さとしては、特に制限されるものではなく、形状に応じて適宜最適な厚さを選択すればよく、フィルム状では10〜100μmの範囲であればよく、板状では0.1mm〜10cmの範囲であればよい。当該要件も、本実施形態、更には後述する他の実施形態に制限されるものではなく、本発明全般に適用しえるものである。
図1は、第1実施形態の1例として、基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用することで、膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜の様子を模式的に表した概略図である。図1Aは、親水性を付与した基板上に作製された燃料電池用親水性微粒子含有電解質膜の様子を模式的に表した断面概略図であり、図1Bは、図1Aの親水性微粒子含有電解質膜(膜)の膜厚方向に対する親水性微粒子の濃度分布の関係を表すグラフである。
第1実施形態では、基板300と微粒子103の親水−親水相互作用により、これら各種の分子間力(相互作用)を引力または斥力のドライビングフォースとして微粒子と基板の間に働かせることで、基板300上の電解質膜100の膜厚方向に微粒子103の濃度分布が形成されてなるものである。
これは、製膜過程、親水性の基板300上に親水性微粒子103を分散した電解質溶液を塗布してから溶媒を除去するまでの、該微粒子103が移動可能な状態にある過程において親水−親水相互作用を働かせる。詳しくは、基板側の親水性の官能基と微粒子側の親水性の官能基との間で、親水−親水相互作用を働かせることにより、電解質膜100中の微粒子103に所望の濃度勾配を膜厚方向につける。その後、溶媒を除去した時点で、当該膜厚方向につけられた濃度勾配を固定化(安定化)させる。これにより、所望の微粒子分散電解質膜を得ることができる。
したがって、基板300としては、燃料電池の構成部材である必要はなく、電解質膜100を作製する過程で用いられる製膜用基板として利用可能なものであればよい。例えば、電解質膜の両面に接合させて用いられる電極触媒層(燃料電池の構成部材)であってもよいし、製造段階でのみ用いる製膜用基材(支持体)であってもよい。好ましくは、製膜用基材(支持体)である。これは、電極触媒層も、微粒子を分散させることで電極−膜接合体全体として、微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけることで、所望の作用効果を発現させることができるためである。
ここで、濃度分布(濃度勾配)は、基板を調節することにより容易に制御可能となる。例えば、基板表面の親水性官能基の密度を調整することにより制御可能となる。ただし、微粒子を調節することにより制御してもよい。
また、親水性微粒子103の濃度勾配(濃度分布)は、例えば、電子プローブX線マイクロアナライザ(EPMA)、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)、オージェ電子分光法により測定することができる。
II.第2実施形態;疎水−疎水相互作用
基板と微粒子の疎水−疎水相互作用を利用する形態としては、例えば、基板と微粒子共に疎水性のものを用いて、基板と微粒子の間に、分子間力(引力)を働かせるものである。1例を挙げれば、含フッ素微粒子やフッ素化処理微粒子とフッ素処理基板(有機シラン系など)が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。本実施形態によれば、疎水性の微粒子を分散させたい場合や膜厚方向に疎水性の濃度勾配をつけたい場合に基板を調節するだけで容易に濃度分布を制御可能となる点で優れている。
(i)微粒子
上記微粒子は、疎水性を持つもの(単に疎水性微粒子ともいう)、疎水性を付与したもの(単に疎水化微粒子ともいう)のいずれであってもよい。本実施形態では、こうした微粒子を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
また、微粒子の材料についても、該微粒子を含有した電解質膜として用いた燃料電池を運転した際に、該電解質膜内で安定して存在できるものであれば、その種類を特に制限するものではない。有機、無機のいずれの化合物により形成された微粒子であってもよい。有機微粒子の場合には、疎水−疎水相互作用のほか、使用材料によっては更に、π−π相互作用、静電的相互作用を有効に利用することができ、表面制御の容易性や使用できる化合物の種類が無限にある点で優れている。一方、無機微粒子の場合には、耐酸化性、寸法安定性の点で優れている。従って、これら有機、無機微粒子は、使用用途に応じて、適宜使い分けてもよいし、併用してもよい。
微粒子が疎水性を持つもの(疎水性微粒子)としては、フッ素骨格、アルキル基などの炭化水素基、フルオロアルキル基などのフッ素化炭化水素基、二重結合(>C=C<)、アリル基、アシル基、フェニル基、芳香環(ベンゼン環等)、ジスルフィド結合、フッ素骨格などに代表される疎水性の官能基(但し、これらの官能基に何ら制限されるものではない。)を微粒子の表面や内部に一種類以上有している化合物により形成(ないし含有)されてなる微粒子などが挙げられる。例えば、疎水性モノマーの分散重合により合成してなる疎水性ポリマー微粒子等が挙げられる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂製微粒子(フッ素微粒子)などが挙げられる。この他にも、疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデンのコポリマー、そのターポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、これらの組合せ、およびこれらの誘導体などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
微粒子が疎水性を持つもの(疎水性微粒子)としては、アルキル基などの炭化水素基、フルオロアルキル基などのフッ素化炭化水素基、アルキル基などの炭化水素基、フルオロアルキル基などのフッ素化炭化水素基、二重結合(>C=C<)、アリル基、アシル基、フェニル基、芳香環(ベンゼン環等)、ジスルフィド結合、フッ素骨格、などの疎水性の官能基(但し、これらの官能基に何ら制限されるものではない。)を微粒子の表面や内部に一種類以上有している化合物により形成されてなる微粒子などが挙げられる。
微粒子が疎水性を付与したもの(疎水化微粒子)としては、例えば、フッ素化処理、アルキル化処理、表面グラフト処理などの疎水化処理技術によって、微粒子の表面や内部に上記したような疎水性の官能基を修飾させたものなどが挙げられる。1例を示せば、微粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、微粒子を一次粒径となるように分散しつつ、カップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法などを用いることができる。この疎水化処理方法は、気相中または液相中で行うことが出来るが、液相中で行うと、微粒子同士の凝集(二次粒子化)が生じにくく、また疎水化処理による微粒子間の帯電反発作用が働き、微粒子をほぼ一次粒子の状態で表面処理することが可能となる。かかる疎水化処理に適した微粒子の材料は、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルなどのビニル系高分子化合物、有機シラン系などのケイ素元素含有化合物などの有機系化合物、シリカ、酸化チタン、アルミナなどの無機系化合物が挙げられる。
上記カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式RSiY(式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基などの炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)で示されるものである。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
(ii)基板
上記基板は、疎水性を持つもの(単に疎水性基板ともいう)、疎水性を付与したもの(単に疎水化基板ともいう)のいずれであってもよい。また、これらの基材は、例えば、アルキル基などの炭化水素基、フルオロアルキル基などのフッ素化炭化水素基、二重結合(>C=C<)、アリル基、アシル基、フェニル基、芳香環(ベンゼン環等)、ジスルフィド結合、フッ素骨格、などの疎水性の官能基(但し、これらの官能基に何ら制限されるものではない。)をその表面ないし内部に一種類以上有している化合物で構成(形成)されているものが望ましい。
本発明では、膜(電解質膜)中の疎水性を有する微粒子との相互作用の観点から、疎水性基板、あるいは少なくとも電解質溶液が塗布される基板表面が疎水性を有するように処理されてなる疎水化基板であればよい。従って、例えば、疎水性基板や疎水化基板でない親水性基板に、疎水性基板や疎水化基板を張り合わせたものであってもよいし、基板の厚さ方向に疎水化度の濃度勾配を持たせるように形成されたものであってもよい。
また、本発明では、こうした基板(表面)全体の疎水化度が均一になるように形成されたものであってもよいし、基板(表面)の面方向に適当な濃度勾配を持つように形成されたものであってもよい。基板の面方向に疎水化度の濃度勾配を持たせることにより、微粒子との相互作用により、得られる電解質膜の面方向にも同様な疎水化度の濃度勾配を持たせることができ、例えば、燃料含有ガスや酸素含有ガスの入口側から出口側に向けて疎水化度の濃度勾配を持たせることができる。
基板が疎水性を持つもの(疎水性基板)としては、例えば、アルキル基などの炭化水素基、フルオロアルキル基などのフッ素化炭化水素基、二重結合(>C=C<)、アリル基、アシル基、フェニル基、芳香環(ベンゼン環等)、ジスルフィド結合、フッ素骨格などの疎水性の官能基(但し、これらの官能基に何ら制限されるものではない。)を基板の表面や内部に一種類以上有している化合物により形成されてなる基板などが挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂製の基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジシクロペンタジエンなどのオレフィン類、ウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ノルボルネン樹脂などの基板などが挙げられる。
また、基板に疎水性を付与したもの(疎水化基板)としては、例えば、具体的には、ガラス板、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ステンレス板、ステンレスベルト、シリコンウエハ等の従来一般的に用いられている基板表面に、前記フッ素樹脂がコーティングされているもの、あるいは基板表面に疎水性の官能基を結合させてなる基板などの疎水化処理技術によって、基板の表面や内部に上記したような親水性の官能基を修飾させたものなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。例えば、ガラスやステンレス等の基板を、3−メルカプトプロピオン酸−エタノール溶液中に10分〜3日浸積し、疎水性の官能基を結合させてなる疎水化基板にする。この操作は、室温(20〜30℃)付近で行う。また、1時間〜30時間程度が好ましい。エタノールを用いる代わりに、メタノールやアルカリ水溶液を使用してもよい。さらに、3−メルカプトプロピオン酸を用いる代わりに、脂肪族のより長いω−メルカプト脂肪酸(例えば、10−メルカプトデカン酸)、芳香族を有する、例えば、4−チオ安息香酸などを用いることもできる。この他、リポ酸を用いてもよい。あるいは、エポキシアダクトポリアミドアミン、分子内にシラノール基やチオール基を有する高分子化合物を用いてもよい。シラノール基を有する化合物としては、材料の表面を疎水処理するためのカップリング剤として用いられるアルキルシラノールなどが好ましい。
第2実施形態でも、図1の基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用したものと同様に膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜を形成できる。
第2実施形態でも、図1を参照して説明すれば、基板300と微粒子103が疎水−疎水相互作用により、これら各種の分子間力(相互作用)を引力または斥力のドライビングフォースとして微粒子と基板の間に働かせることで、基板300上の電解質膜100の膜厚方向に微粒子103の濃度分布が形成されてなるものとみることができる。
これは、製膜過程、疎水性の基板300上に微粒子103を分散した電解質溶液を塗布してから溶媒を除去するまでの、該微粒子103が移動可能な状態にある過程において疎水−疎水相互作用を働かせる。詳しくは、基板側の疎水性の官能基と微粒子側の疎水性の官能基との間で、疎水−疎水相互作用を働かせることにより、電解質膜100中の微粒子103に所望の濃度勾配を膜厚方向につける。その後、溶媒を除去した時点で、当該膜厚方向につけられた濃度勾配を固定化(安定化)させる。これにより、所望の微粒子分散電解質膜を得ることができる。
したがって、基板300としては、第1の実施形態で説明したと同様に、燃料電池の構成部材である必要はなく、電解質膜100を作製する過程で用いられる製膜用基板として利用可能なものであればよい。例えば、電解質膜の両面に接合させて用いられる電極触媒層(燃料電池の構成部材)であってもよいし、製造段階でのみ用いる製膜用基板であってもよい。好ましくは、製膜用基板である。これは、電極触媒層も、微粒子を分散させることでMEA全体として、微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけることで、所望の作用効果を発現させることができるためである。
ここで、濃度分布(濃度勾配)は、基板側を調節することにより容易に制御可能となる。例えば、基板表面の撥水性を調整することにより制御可能となる。ただし、微粒子側の疎水化度、粒子径等を調節することにより制御してもよい。
また、疎水性微粒子の濃度勾配(濃度分布)は、例えば、電子プローブX線マイクロアナライザ(EPMA)、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)、オージェ電子分光法により測定することができる。
また、親水−疎水間の相互作用を利用することも可能である。即ち、上記した親水−親水相互作用と疎水−疎水相互作用を利用して、基板と微粒子間で親水−疎水作用を生じさせることもできる。
また、本発明では、以下に説明する第3〜6実施形態の相互作用により、電解質膜の保水性や排水性のほか、プロトン伝導性の向上効果などの発現効果が期待されるが、好ましくは、上記した第1〜2実施形態の親水−親水相互作用ないし疎水−疎水相互作用による効果を高めることができるように、これらの相互作用を利用した上で尚且つ以下に説明する第3〜6実施形態の相互作用との相乗効果が得られるように、微粒子の材質や表面処理を行うのが望ましい。例えば、以下の第3実施形態のように、微粒子として第1〜2実施形態に挙げた親水性材料や疎水性材料であって尚且つ芳香族環のπ電子を有する材料としたり、あるいは第1〜2実施形態に挙げた親水性材料や疎水性材料の一部を化学修飾するなどして微粒子表面に芳香族環を導入したりしてもよい。この反対に、微粒子として、以下の第3の実施形態に挙げた芳香族環のπ電子を有する材料の一部を化学修飾するなどして微粒子表面に親水性ないし疎水性の官能基を導入するようにしてもよい。このことは、他の第4〜6実施形態においても同様である。以下、第3〜6の各実施形態につき、説明する。
III.第3実施形態;π−π相互作用を利用する形態
基板と微粒子のπ−π相互作用を利用する形態としては、例えば、基板と微粒子共に芳香族環のπ電子を有するもの、又は芳香族環のπ電子と官能基の持つ電子とのπ-π相互作用を用いて、基板と微粒子の間に、分子間力(引力)を働かせるものである。これは、芳香族環と芳香族環、又は芳香族環とCH基、NH基もしくはOH基の官能基との間で、π−π相互作用が働くためである。従って、基板と微粒子のπ−π相互作用を利用する形態として、1例を挙げれば、芳香族環を持つ微粒子あるいは芳香族化合物修飾微粒子と芳香族化合物処理基板が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
(i)微粒子
上記微粒子は、芳香環を持つもの(単に芳香環微粒子ともいう)、芳香環化合物で修飾したもの(単に芳香環化合物修飾微粒子ともいう)のいずれであってもよい。本実施形態では、こうした微粒子を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
また、微粒子の材料については、該微粒子を含有した電解質膜として用いた燃料電池を運転した際に、該電解質膜内で安定して存在できるものであれば、その種類を特に制限するものではない。有機、無機のいずれの化合物により形成された微粒子であってもよい。有機微粒子の場合には、π−π相互作用のほか、使用材料によっては更に、親水−親水相互作用ないし疎水−疎水相互作用、静電的相互作用等を有効に利用することができ、より強固な相互作用を併用して微粒子の濃度勾配を制御可能である点で優れている。一方、無機微粒子の場合には、耐酸化性、寸法安定性の点で優れている。従って、これら有機、無機微粒子は、使用用途に応じて、適宜使い分けてもよいし、併用してもよい。
微粒子が芳香族環を持つもの(芳香族環微粒子)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリフェニレン類などの芳香族環を持つ化合物により形成されてなる微粒子などが挙げられる。
微粒子に芳香族環化合物で修飾したもの(芳香族環化合物修飾微粒子)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族環を有するポリエステル類、ポリフェニルエーテルなどのポリフェニレン類などの芳香族環化合物による表面修飾技術によって、微粒子の表面や内部に上記したような芳香環化合物あるいは芳香族環を有する官能基を修飾させたものなどが挙げられる。
(ii)基板
上記基板は、芳香環(ヘテロ芳香環、多重結合環などを含む)を持つもの(単に芳香環基板ともいう)、芳香族化合物(ヘテロ芳香化合物、多重結合物などを含む)で修飾したもの(単に芳香族環化合物修飾基板ともいう)のいずれであってもよい。
本発明では、膜(電解質膜)中の微粒子との相互作用の観点から、少なくとも基材表面が芳香環基板や芳香環化合物修飾基板となるように処理されていればよい。従って、例えば、芳香環基板や芳香環化合物修飾基板でない基板に、芳香環基板や芳香環化合物修飾基板を貼り合わせたものであってもよい。
基板を芳香環化合物で修飾したもの(芳香環化合物修飾基板)としては、例えば、ピラニア処理、放射線グラフト処理、化学気相吸着処理(CVD処理)、真空紫外光処理(VUV処理)などの芳香環化合物による表面修飾処理技術によって、基板の表面や内部に上記したような芳香環化合物で修飾させたものなどが挙げられる。なお、ピラニア処理に関しては、上記親水化微粒子にて説明したと同様である為、ここでの説明は省略する。
上記基板の形状厚さとしては、特に制限されるものではなく、フィルム状であってもよいし、板状であってもよい。
上記基板の厚さとしては、特に制限されるものではなく、形状に応じて適宜最適な厚さを選択すればよく、フィルム状では10〜100μmの範囲であればよく、板状では0.1mm〜10cmの範囲であればよい。
第3実施形態でも、図1の基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用したものと同様に膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜を形成できる。
第3実施形態でも、図1を参照して説明すれば、基板300と微粒子103がπ−π相互作用により、これら各種の分子間力(相互作用)を引力または斥力のドライビングフォースとして微粒子と基板の間に働かせることで、基板300上の電解質膜100の膜厚方向に微粒子103の濃度分布が形成されてなるものとみることができる。
これは、製膜過程、親水性の基板300上に親水性微粒子103を分散した電解質溶液を塗布してから溶媒を除去するまでの、該微粒子103が移動可能な状態にある過程においてπ−π相互作用を働かせる。詳しくは、基板側の芳香族環のπ電子と微粒子側の芳香族環のπ電子との間で、π−π相互作用を働かせることにより、電解質膜100中の微粒子103に所望の濃度勾配を膜厚方向につける。その後、溶媒を除去した時点で、当該膜厚方向につけられた濃度勾配を固定化(安定化)させる。これにより、所望の微粒子分散電解質膜を得ることができる。
したがって、基板300としては、第1の実施形態で説明したと同様に、燃料電池の構成部材である必要はなく、電解質膜100を作製する過程で用いられる製膜用基板として利用可能なものであればよい。例えば、電解質膜の両面に接合させて用いられる電極触媒層(燃料電池の構成部材)であってもよいし、製造段階でのみ用いる製膜用基板であってもよい。好ましくは、製膜用基板である。これは、電極触媒層も、微粒子を分散させることでMEA全体として、微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけることで、所望の作用効果を発現させることができるためである。
ここで、濃度分布(濃度勾配)は、基板を調節することにより容易に制御可能となる。例えば、基板表面の芳香環密度を調節することにより制御可能となる。ただし、微粒子を調節することにより制御してもよい。
IV.第4実施形態;静電的相互作用を利用する形態
基板と微粒子の静電的相互作用を利用する形態としては、例えば、プラス(+)かマイナス(−)にチャージした微粒子(例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)微粒子など)に、逆の電荷を帯びさせた基板または同じ電荷を帯びさせた基板との静電反発または静電的相互作用を用いて、基板と微粒子の間に、分子間力(引力)を働かせるものであるが、これらに何ら制限されるものではない。
(i)微粒子
上記微粒子は、上記(I)〜(III)に記載した各種微粒子が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。好ましくはプラス(+)かマイナス(−)にチャージしやすい、ポリスチレンスルホン酸、ポリアニリンなどが望ましい。本実施形態では、こうした同じ電荷を帯びた微粒子を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
また、微粒子の材料については、該微粒子を含有した電解質膜として用いた燃料電池を運転した際に、該電解質膜内で安定して存在できるものであれば、その種類を特に制限するものではない。有機、無機のいずれの化合物により形成された微粒子であってもよい。有機微粒子の場合には、静電的相互作用、π−π相互作用、親水−親水相互作用ないし疎水−疎水相互作用等が複合的に関与し有効に作用することができ、使用できる材料の組み合わせが無限大である点で優れている。一方、無機微粒子の場合には、耐酸化性、寸法安定性の点で優れている。従って、これら有機、無機微粒子は、使用用途に応じて、適宜使い分けてもよいし、併用してもよい。
微粒子をプラス(+)かマイナス(−)にチャージする方法としては、微粒子を帯電させるのに用いる一般的な帯電技術を用いることができる。具体的には、電圧を印加する方法等が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。なお、当該微粒子にチャージされた電荷(静電荷)は、その後、適当な方法で簡単に除去することができる。
(ii)基板
上記基板は、帯電可能な材料であれば良く、上記(I)〜(III)に記載した各種基板が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
基板に所望の電荷を帯びさせる方法としては、例えば、電圧印加等が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない
第4実施形態でも、図1の基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用したものと同様に膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜を形成できる。
第4実施形態では、基板と微粒子の静電的相互作用により、これら各種の分子間力(相互作用)を引力または斥力のドライビングフォースとして微粒子と基板の間に働かせることで、基板上の電解質膜の膜厚方向に微粒子の濃度分布が形成されてなるものである。
これは、製膜過程で、+(又は−)に帯電させた基板上に+または−にチャージした微粒子を分散した電解質溶液を塗布してから溶媒を除去するまでの、該微粒子が移動可能な状態にある過程において静電的相互作用を働かせる。詳しくは、基板表面と微粒子間で、静電的相互作用を働かせることにより、電解質膜中の微粒子に所望の濃度勾配を膜厚方向につける。その後、溶媒を除去した時点で、当該膜厚方向につけられた濃度勾配を固定化(安定化)させるようにしてもよい。これにより、所望の微粒子分散電解質膜を得ることができる。
V.第5実施形態;電荷移動相互作用を利用する形態
基板と微粒子の電荷移動相互作用を利用する形態としては、基板と微粒子の一方に電子供与体(ドナー;アントラキノンジスルホン酸、芳香族炭化水素、アミン類等)を、基板と微粒子のもう一方に電子受容体(アクセプター;ハロゲン含有化合物、ヒドロキノン等のキノン系化合物、ニトロ化合物、シアノ化合物等)との組み合わせによる電荷移動相互作用を用いて、基板と微粒子の間に、分子間力(引力)を働かせるものである。この他にも、例えば、ヨードとベンゼン、ベンゾキノンとヒドロキノン、トリニトロベンゼンとヘキサメチルベンゼン、テトラシアノエチレンとベンゼンやヘキサメチルベンゼンまたはこれらの誘導体との組み合わせなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
(i)微粒子
上記微粒子は、電子供与体として用いる場合には、上記したようなアントラキノンジスルホン酸、芳香族炭化水素、アミン類等などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。電子受容体として用いる場合には、ハロゲン含有化合物、ヒドロキノン等のキノン系化合物、ニトロ化合物、シアノ化合物等が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。本実施形態では、こうした電子供与体または電子受容体としての微粒子を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
また、上記微粒子の材料については、該微粒子を含有した電解質膜として用いた燃料電池を運転した際に、該電解質膜内で安定して存在できるものであれば、その種類を特に制限するものではない。有機、無機のいずれの化合物により形成された微粒子であってもよい。有機微粒子の場合には、電荷移動相互作用、π−π相互作用、親水−親水相互作用ないし疎水−疎水相互作用等が複合的に関与し有効に作用することができ、使用できる材料の組み合わせが無限大である点で優れている。一方、無機微粒子の場合には、耐酸化性、寸法安定性の点で優れている。従って、これら有機、無機微粒子は、使用用途に応じて、適宜使い分けてもよいし、併用してもよい。
(ii)基板
上記基板は、上記微粒子と組むあわせて電荷移動相互作用を奏することができるものであればよく、微粒子で例示した電子供与体および電子受容体が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
第5実施形態でも、図1の基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用したものと同様に膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜を形成できる。
第5実施形態では、基板と微粒子の電荷移動相互作用により、これら各種の分子間力(相互作用)を引力または斥力のドライビングフォースとして微粒子と基板の間に働かせることで、基板上の電解質膜の膜厚方向に微粒子の濃度分布が形成されてなるものである。
これは、製膜過程で、例えば、電子供与体で構成された基板上に、電子受容体で構成された微粒子を分散した電解質溶液を塗布してから溶媒を除去するまでの、該微粒子が移動可能な状態にある過程において電荷移動相互作用を働かせる。詳しくは、基板表面と微粒子間で、電荷移動相互作用を働かせることにより、電解質膜中の微粒子に所望の濃度勾配を膜厚方向につける。その後、溶媒を除去した時点で、当該膜厚方向につけられた濃度勾配を固定化(安定化)させるようにしてもよい。これにより、所望の微粒子分散電解質膜を得ることができる。
VI.第6実施形態;双極子−双極子相互作用を利用する形態
基板と微粒子の双極子−双極子相互作用を利用する形態としては、基板と微粒子に、例えば、FON原子団を持つ化合物同士による水素結合などの双極子−双極子相互作用を用いて、基板と微粒子の間に、分子間力(引力)を働かせるものであるが、これらに何ら制限されるものではない。
(i)微粒子
上記微粒子としては、例えば、フッ素置換安息香酸シアノフェニル、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ尿素などのFON原子団を持つ化合物などの極性分子が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。特に双極子−双極子相互作用が特に強い例である水素結合を利用する場合には、電気陰性度が大きい原子が、F(フッ素),O(酸素),N(窒素)でないと、水素結合に必要なだけの求引力を誘起できないことから、上記したFON原子団を持つ化合物を用いる必要がある。電解質材料に分散させる観点から、上記微粒子として好ましくは、ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族系ポリマーなどが望ましい。本実施形態では、こうした微粒子を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
また、上記微粒子も、該微粒子を含有した電解質膜として用いた燃料電池を運転した際に、該電解質膜内で安定して存在できるものであれば、その種類を特に制限するものではなく、有機、無機のいずれの化合物により形成された微粒子であってもよい。有機微粒子の場合には、π−π相互作用、静電的相互作用、親水−親水相互作用ないし疎水−疎水相互作用等が複合的に関与し有効に作用することができ、利用できる化合物の種類が豊富である点で優れている。一方、無機微粒子の場合には、耐酸化性、寸法安定性の点で優れている。従って、これら有機、無機微粒子は、使用用途に応じて、適宜使い分けてもよいし、併用してもよい。
(ii)基板
上記基板としては、上記微粒子との間で水素結合などの双極子−双極子相互作用(引力)が働くものであればよく、上記微粒子で例示したものと同様のFON原子団を持つ化合物などの極性分子が挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
第6実施形態でも、図1の基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用したものと同様に膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜を形成できる。
第6実施形態では、基板と微粒子の双極子−双極子相互作用により、例えば、基板を構成する極性分子の正端と微粒子を構成する極性分子の負端との間に働く各種の分子間力(相互作用)を、引力または斥力のドライビングフォースとして微粒子と基板の間に働かせることで、基板上の電解質膜の膜厚方向に微粒子の濃度分布が形成されてなるものである。
これは、製膜過程で、例えば、FON原子団を持つ化合物で構成された基板表面上に、同様にFON原子団を持つ化合物で構成された微粒子を分散した電解質溶液を塗布してから溶媒を除去するまでの、該微粒子が移動可能な状態にある過程において、双極子−双極子相互作用を働かせる。詳しくは、基板表面と微粒子間で、双極子−双極子相互作用を働かせることにより、電解質膜中の微粒子に所望の濃度勾配を膜厚方向につける。その後、溶媒を除去した時点で、当該膜厚方向につけられた濃度勾配を固定化(安定化)させるようにしてもよい。これにより、所望の微粒子分散電解質膜を得ることができる。
以上が本発明の微粒子含有電解質膜の特徴部分の構成要件についての説明である。本発明の微粒子含有電解質膜の他の構成要件(主に、電解質成分)に関しては、特に制限されるものではない。以下、他の構成要件(主に、電解質成分)につき、簡単に説明するが、これらに何ら制限されるものではない。
即ち、本発明の微粒子含有電解質膜としては、該電解質膜中に上記した微粒子が膜厚方向に濃度勾配を持って含有されていることを除き、特に限定されず公知の電解質成分からなる膜を用いることができるが、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材であればよい。この際使用できる電解質成分は、ポリマー骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホン、ポリスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
また、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。または、上記電解質膜としては、上記したようなフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂による膜に加えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された多孔質状の薄膜に、リン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸したものを使用してもよい。この際には、多孔質状の薄膜を製膜する際に微粒子を加えて、濃度勾配を持つようにすればよいといえる。
前記電解質膜の厚みは、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜100μmである。製膜時の強度やMEA作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、MEA作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
前記電解質膜の大きさは、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよい。特に、本発明では、電解質膜の製膜過程で製造工数を増やすことなく一段階で製膜が可能となる為、膜のコスト低減が図られる点で優れている。これは、例えば、自動車燃料電池用の燃料電池の価格は1〜2億円ともいわれ、量産化によるコスト低減効果だけでは、現状のガソリンエンジン自動車並みの価格にするのは困難であるといわれている。そこで、燃料電池の性能の向上と共に、コスト低減に寄与する部品や構造の開発が重要なテーマになっている。このことは燃料電池を構成する膜に関しても言える課題の1つであり、特に高性能膜の1つであるフッ素系樹脂製膜では、低コスト化が大きなテーマである。そのため、本発明のように製膜過程を非常に短いステップで行い得るので膜の大幅なコスト低減が図れることは大幅なコスト低減効果が見込まれる点で極めて優れたものといる。
次に、本発明に係るMEAは、上記した本発明の微粒子含有電解質膜に触媒層を両面から挟持して積層することで得られることを特徴とするものである。
以下、本発明のMEAの実施形態につき、上記した本発明の微粒子含有電解質膜中の微粒子の膜厚方向への濃度勾配の付け方ごとに分けて説明する。
本発明のMEAの第1の実施形態は、MEAの電解質膜の厚さ方向で中心に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層して得られてなるものである。かかる構成をとることにより、例えば、MEAの中心方向に親水性微粒子が偏在した場合には、MEA中に水をとどめることができ、燃料電池発電中のドライアウトを抑制する効果を発現ないし高めることができる。これとは逆にMEAの中心方向に疎水性微粒子が偏在した場合には、MEAの中心部位からの排水効果が増大し、フラッディングを抑制する効果を発現ないし高めることができる。
なお、本発明のMEAでは、微粒子含有電解質膜を用いた例を示したが、さらに触媒層にも本発明の微粒子含有電解質膜と同様にして形成した微粒子含有触媒層を用いてもよい。こうすることで、上記したMEA全体で、MEAの中心方向に親水性微粒子が偏在した構成とすることができ、上記効果をより一層高めることができる点で優れている。
本発明のMEAの第2の実施形態は、MEAの膜厚方向で外側に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層して得られてなるものである。かかる構成をとることにより、例えば、MEAの中心方向に親水性微粒子が偏在した場合には、MEAの中心部位からの排水効果が増大し、フラッディングを抑制する効果を発現ないし高めることができる。これとは逆にMEAの中心方向に疎水性微粒子が偏在した場合には、MEA中に水をとどめることができ、燃料電池発電中のドライアウトを抑制する効果を発現ないし高めることができる。
本発明のMEAの第3の実施形態は、MEAの膜厚方向で一方の表面からもう一方の表面に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層して得られてなるものである。かかる構成をとることにより、例えば、MEAの厚み方向全体に親水性微粒子ないし疎水性微粒子の勾配がついた場合、MEAの厚み方向で水分を任意の方向に移動させることができる。MEAの面内の適当な部位にこうした構成を設けることで、燃料電池発電中のドライアウトを抑制する効果を発現ないし高めることができると共に、MEAの中心部位からの排水効果が増大し、フラッディングを抑制する効果を発現ないし高めることもできる。
本発明の燃料電池用微粒子含有電解質膜(更には触媒層)及びこれを用いたMEAでは、上記MEAの第3の実施形態に限らず、上述したような微粒子の膜厚方向に偏在する構成をとる部位を、電解質膜(更には触媒層)ないしMEA表面(電解質膜ないしMEAの面方向)全体に形成してもよい。あるいは、電解質膜(更には触媒層)ないしMEA表面(電解質膜ないしMEAの面方向)の適当な箇所(領域)にのみ形成してもよい。こうした構造は、例えば、基板表面の適用な箇所にのみ微粒子と相互作用するような材料(例えば、親水性材料)を用いて構成してもよいし、基板表面の適用な箇所にのみ微粒子と相互作用するような表面処理(例えば、親水化処理など)を施しても良い。
なお、本発明のMEAに関しても、上記した本発明の微粒子含有電解質膜以外の他の構成要件(主に、触媒層、更にはガス拡散層(GDL))に関しては、特に制限されるものではない。以下、これら他の構成要件(主に、触媒層、更にはガス拡散層(GDL))につき、簡単に説明するが、これらに何ら制限されるものではない。
(1)触媒層
触媒層の構成としては、(i)電極触媒及び(ii)電解質を含む。
(i)電極触媒
電極触媒は、触媒粒子が導電性担体に担持されてなるものである。
ここで、カソード触媒層に用いられる触媒成分は、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、アノード触媒層に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード触媒をして合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、カソード触媒層に用いられる触媒成分及びアノード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、カソード触媒層及びアノード触媒層用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、カソード触媒層及びアノード触媒層用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒インクに用いられる触媒粒子の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、触媒インクに含まれる触媒粒子の平均粒子径は、1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらにより好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmの粒状であることが好ましい。担持の容易さという観点から1nm以上であることが好ましく、触媒利用率の観点から30nm以下であることが好ましい。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値により測定することができる。
前記導電性担体としては、触媒粒子を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gとするのがよい。前記比表面積が、20m/g以上であると前記導電性担体への触媒成分および高分子電解質の分散性が向上し、十分な発電性能が得られる点で優れている。一方、1600m/g以下であると触媒成分および高分子電解質の高い有効利用率を有効に保持することができる点で優れている。
また、前記導電性担体の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
前記導電性担体に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%とするのがよい。前記担持量が、80質量%以下であると、触媒成分の導電性担体上での優れた分散度を有効に保持することができ、担持量の増加に見合った発電性能の向上効果を有効に発現させることができる利点がある。また、前記担持量が、10質量%以上であると、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の発電性能を得ることができる。そのため、所望の電池性能を確保するための担持量設計が比較的容易になし得る点で優れている。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
また、導電性担体への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。または、電極触媒は、市販品を用いてもよい。
(ii)電解質
本発明のカソード触媒層/アノード触媒層(単に「触媒層」とも称する)には、電極触媒の他に、電解質が含まれる。前記電解質としては、特に限定されず、上記膜に用いたものと同様の高分子電解質が使用できる。前記膜に用いられる電解質と、各触媒層に用いられる電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、各触媒層と膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。すなわち、前記電解質としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材であればよい。この際使用できる電解質は、ポリマー骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
(iii)微粒子
本発明では、さらに必要に応じて、触媒層も本発明の微粒子分散電解質膜と同様に微粒子分散触媒層としてもよい。具体的な構成および製造方法に関しては、上記微粒子含有触媒層で説明したと同様にして行うことができる(実施例で説明する図2参照のこと。)
即ち、基板と微粒子の相互作用を利用することで、触媒層中の微粒子の濃度勾配を膜厚(層の厚さ)方向につけたことを特徴とする燃料電池用微粒子含有触媒層とすることができる。上記相互作用は、親水−親水相互作用、疎水−疎水相互作用、π−π相互作用、静電的相互作用、電荷移動相互作用で、双極子−双極子相互作用などを適宜組み合わせて用いることができる。親水−親水相互作用を利用する場合において、微粒子及び基板は、それぞれは親水性を持つもの、または親水性を付与したものを用いることができる。詳しくは、親水性の官能基をその表面ないし内部に一種類以上有している化合物であってもよいし、その表面ないし内部に親水性の官能基を修飾させることにより親水性を付与したものであってもよい。同様に、疎水−疎水相互作用を利用する場合においても、微粒子及び基板は、それぞれ疎水性を持つもの、または疎水性を付与したものを用いることができる。詳しくは、疎水性の官能基をその表面ないし内部に一種類以上有している化合物であってもよいし、その表面ないし内部に疎水性の官能基を修飾させることにより疎水性を付与したものであってもよい。なお、これら詳細に関しては、既に微粒子分散電解質膜の項において説明しているため、ここでの説明は省略する。
また、触媒層、更には電解質膜中の微粒子の濃度勾配のつけ方も、MEAの電解質膜及び、触媒層の厚さ方向で中心に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層してもよいし、MEAの膜厚方向で外側に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層してもよいし、MEAの膜厚方向で一方の表面からもう一方の表面に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層してもよいなど、燃料電池のMEAに求められる特性に応じて最適な構成(濃度勾配)となるようにすればよい。なお、これら詳細に関しても、既に本発明のMEAの項において説明しているため、ここでの説明は省略する。
(2)GDL
GDLは、膜の両側のアノード及びカソード触媒層上にそれぞれ配置されてなるものである。具体的には、MEA(膜+触媒層)をさらにGDLで挟持し、必要であればこれをホットプレスにより挟持・接合することで得ることができる。
GDLとしては、特に限定されず公知のものが同様にして使用でき、例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。前記基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
前記GDLは、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐことを目的として、前記基材に撥水剤を含ませることが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
(2’)カーボン粒子層(以下、単にMILともいう)
また、撥水性をより向上させるために、前記GDLは、前記基材上に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるMILを有するものであってもよい。
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。前記カーボン粒子の粒径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
前記MILに用いられる撥水剤としては、前記基材に用いられる上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
前記MILにおける、カーボン粒子と撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性が得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると十分な電子伝導性が得られない恐れがある。これらを考慮して、MILにおけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜40:60程度とするのがよい。
前記MILの厚さは、得られるGDLの撥水性を考慮して適宜決定すればよい。
GDLに撥水剤を含有させる場合には、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。例えば、GDLに用いられる基材を撥水剤の分散液に浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。
GDLにおいて転写用台紙上にMILを形成する場合には、カーボン粒子、撥水剤等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、前記スラリーを転写用台紙上に塗布し乾燥、もしくは、前記スラリーを一度乾燥させ粉砕することで粉体にし、これを前記ガス拡散層上に塗布する方法などを用いればよい。その後、マッフル炉や焼成炉を用いて250〜400℃程度で熱処理を施すのが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。また、当該実施例において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
1.親水化微粒子の調製
平均粒子径0.05μmのシリカゲル微粒子をピラニア溶液に12時間浸漬することによりシリカゲル微粒子の親水化処理を行い、表面に水酸基(−OH基)を付与してなる親水化シリカゲル微粒子103を得た。
2.親水化基板の調製
基板として、シリコン基板をピラニア溶液(体積比が過酸化水素水(31%):濃硫酸=3:7の混合溶液を熱したもの)に12時間浸漬することによりシリコン基板の親水化処理を行い、表面に水酸基(−OH基)を付与してなる親水化処理されたシリコン基板(単に、親水化シリコン基板ともいう)300を得た。得られた親水化シリコン基板300表面の対水接触角は60°であった。
3.厚み方向に親水化微粒子の濃度勾配を有する電解質膜の作製
親水性微粒子分散電解質溶液として、Nafion溶液(登録商標 DuPont社製 DE520、Nafion含量5wt%)中に上記親水化シリカゲル微粒子を5wt%で分散させた溶液を調整した。得られた親水性微粒子分散電解質溶液を支持体である上記親水化シリコン基板300上に流延塗布し、大気雰囲気下、25℃で24時間かけて溶媒を除去し、親水性微粒子分散電解質膜100(厚さ50μm、面積10cm×10cm)を作製した。図1A、Bに示すように、得られた親水性微粒子分散電解質膜100は、基板300との界面での親水性微粒子濃度が最も高くなっている。即ち、電解質膜100内の親水化微粒子103の濃度は、基板側の面(底面)102が最も高くなっている。そして、親水性微粒子の濃度(分布)は、基板側の底面102から空気側の上面101に向かって漸減する勾配を持って存在している。この濃度勾配を有することの確認は、後述するEPMA測定に基づき算出することができる。
なお、図1Bに示す、親水性微粒子の濃度(分布)の制御には、上記した溶媒除去速度(具体的には、乾燥温度など)や親水化処理時の浸漬時間や温度などを変えることで制御可能である。
[厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する電極触媒層の作成]
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5%)10g、Nafion(登録商標)/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、Nafion5wt%含有)に上記親水化シリカゲル微粒子を5wt%で分散させた溶液4.5g、純水50g、1−プロパノール(和光純薬工業社株式会社製特級試薬)40g、2−プロパノール(和光純薬工業社株式会社製特級試薬)40g、を、25℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にて、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで触媒インクを調製した。上記触媒インクを親水化処理基板300上に流延塗布し、大気雰囲気下、25℃で24時間かけて溶媒を除去し、親水性微粒子分散電極触媒層200(厚さ20μm、面積5cm×5cm)を作製した。
[厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する親水性微粒子分散電解質接合体の作成]
図2に示すように、前記親水性微粒子分散電解質膜100と親水性微粒子分散電極触媒層200を用い、親水化処理支持体と接していた面を内側にして積層させ、3MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスすることにより、親水性微粒子分散極接合体400を得た。
[厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する親水性微粒子分散電解質接合体の作成]
図3に示すように、厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する前記親水性微粒子分散電解質膜100とアノード触媒層210、カソード触媒層220とを用い、親水化処理支持体と接していた面がアノード触媒層210と電解質膜100の界面211となるようにして積層させ、3MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスすることにより、厚み方向に親水性微粒子の勾配を有し、電解質膜とアノード触媒層の界面が最も親水性微粒子の濃度が高い親水性微粒子分散膜電極接合体400を得た。図3Bは、得られた膜電極接合体400中の厚み方向の親水性微粒子の濃度分布を表した図面である。図3A、Bに示すように、本実施例では、アノード触媒層210、カソード触媒層220には微粒子を配合していないが、電解質膜と触媒層を積層させ、ホットプレスすることにより、電解質膜からアノード触媒層内にも微粒子が拡散されて、アノード触媒層の厚み方向に親水性微粒子の濃度分布が形成されることが確認された。
図3の組み合わせによると、アノード触媒層と電解質膜の界面の親水性微粒子濃度が最も高くなるため、アノード界面からアノード気相側への蒸発を抑えることができ、アノードドライアウトによる電圧降下を抑制することができる。
図4は、X線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro−Analysis)測定により得られる表面の深さ方向のSi対F強度比分布である。ナフィオン(電解質膜)のフッ素原子をベースとしてシリカゲル微粒子由来のSi原子の存在比率(vs.フッ素)を算出した。親水化処理した基板上でキャスト製膜した場合、親水化基板側のSi濃度が基板側から空気側に向かって勾配を持って存在していることが確認された。同様に、上述した図1B、2B、3Bの微粒子の濃度分布も、上記に示すEPMA測定に基づき算出することができる。
図1は、第1実施形態の1例として、基板と微粒子の親水−親水相互作用を利用することで、膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけた電解質膜の様子を模式的に表した概略図である。図1Aは、親水性を付与した基板上に作製された燃料電池用親水性微粒子含有電解質膜の様子を模式的に表した断面概略図であり、図1Bは、図1Aの親水性微粒子含有電解質膜の膜厚方向に対する親水性微粒子の濃度分布の関係を表すグラフである。 図2Aは、実施例で作製した、親水性微粒子分散電解質膜と親水性微粒子分散電極触媒層を用い、親水化処理支持体と接していた面を内側にして積層させホットプレスすることにより得られてなる親水性微粒子分散膜電極接合体の様子を模式的に表した断面概略図である。図2Bは、図2Aの親水性微粒子分散膜電極接合体の膜厚方向に対する親水性微粒子の濃度分布の関係を表すグラフである。 図3Aは、実施例で作製した、厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する親水性微粒子分散電解質膜とアノード触媒層、カソード触媒層とを用い、親水化処理支持体と接していた面がアノード触媒層と電解質膜の界面となるようにして積層させ、ホットプレスすることにより得られてなる、厚み方向に親水性微粒子の勾配を有し、電解質膜とアノード触媒層の界面が最も親水性微粒子の濃度が高い親水性微粒子分散膜電極接合体の様子を模式的に表した断面概略図である。図3Bは、図3Aの親水性微粒子分散膜電極接合体の膜厚方向に対する親水性微粒子の濃度分布の関係を表すグラフである。 図4は、実施例で図3を用いて説明した親水性微粒子分散電解質膜につき、X線マイクロアナライザー(EPMA)測定により得られる表面の深さ方向のSi対F強度比分布を表したグラフである。
符号の説明
100 親水性微粒子分散電解質膜(厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する電解質膜)、
101 電解質膜両側の面のうち、親水性微粒子濃度が面102よりも低い面、
102 電解質膜両側の面のうち、親水性微粒子濃度が面101よりも高い面、
103 親水化シリカゲル微粒子、
200 厚み方向に親水性微粒子の勾配を有する電極触媒層、
201 親水性微粒子濃度が202面よりも高い面、
202 親水性微粒子濃度が201面よりも低い面、
210 アノード触媒層、
211 アノード触媒層と電解質膜の界面、
220 カソード触媒層、
221 カソード触媒層と電解質膜の界面、
300 親水化処理された基板、
301 親水化処理された基板の表面、
400 厚み方向に親水性微粒子の勾配を有し、電解質膜と電極触媒層(アノード触媒層)の界面が最も親水性微粒子濃度の高いMEA。

Claims (10)

  1. 複数の電解質膜が積層されてなる積層電解質膜に触媒層を両面から挟持し積層して得られる燃料電池用膜電極接合体において、
    積層電解質膜中の微粒子、および触媒層に含まれる化合物がお互いに相互作用する材料であり、積層電解質膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけてなる燃料電池用膜電極接合体であって、
    接合体の膜厚方向の両外側に向かって、積層電解質膜中の微粒子の濃度が高くなるように積層電解質膜を構成する複数の電解質膜を積層してなることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  2. 上記相互作用が、親水−親水相互作用であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  3. 上記相互作用が、疎水−疎水相互作用であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  4. 上記相互作用が、π−π相互作用であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  5. 上記相互作用が、静電的相互作用であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  6. 上記相互作用が、電荷移動相互作用であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  7. 上記相互作用が、双極子−双極子相互作用であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  8. 前記親水−親水相互作用を利用する場合において、微粒子は親水性を持つもの、または親水性を付与したものであることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  9. 前記疎水−疎水相互作用を利用する場合において、微粒子は疎水性を持つもの、または疎水性を付与したものであることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  10. 微粒子を分散した電解質溶液を作製する工程と、
    電解質溶液を基板に塗布する工程と、を含み、
    電解質膜中の微粒子と、基板に含まれる化合物がお互いに相互作用する材料であって、前記相互作用を利用して電解質膜中の微粒子の濃度勾配を膜厚方向につけてなる2枚の電解質膜を貼り合せて、膜厚方向の両外側に向かって微粒子の濃度が高くなるように積層して得られることを特徴とする燃料電池用微粒子含有電解質膜の製造方法。
JP2005315143A 2005-10-28 2005-10-28 燃料電池用電解質膜および膜電極接合体 Expired - Fee Related JP5002939B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005315143A JP5002939B2 (ja) 2005-10-28 2005-10-28 燃料電池用電解質膜および膜電極接合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005315143A JP5002939B2 (ja) 2005-10-28 2005-10-28 燃料電池用電解質膜および膜電極接合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007123122A JP2007123122A (ja) 2007-05-17
JP5002939B2 true JP5002939B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=38146734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005315143A Expired - Fee Related JP5002939B2 (ja) 2005-10-28 2005-10-28 燃料電池用電解質膜および膜電極接合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5002939B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1991606A2 (en) * 2006-01-23 2008-11-19 Hitachi Chemical Research Center, Inc. Ionic polymer devices and methods of fabricating the same
JP4815425B2 (ja) * 2007-11-30 2011-11-16 日東電工株式会社 光拡散粒子偏在ポリマー層を有する光拡散部材、及び光学素子
JP5266766B2 (ja) * 2008-01-16 2013-08-21 トヨタ自動車株式会社 樹脂製の膜構造
WO2010091278A2 (en) * 2009-02-05 2010-08-12 The Research Foundation Of State University Of New York Energy conversion cell having a dielectrically graded region to alter transport, and methods thereof
JP2012164647A (ja) * 2011-01-17 2012-08-30 Sumitomo Chemical Co Ltd 高分子電解質膜、膜電極接合体、燃料電池
JP6094386B2 (ja) * 2013-05-31 2017-03-15 大日本印刷株式会社 電池用導電性多孔質層及びその製造方法
CN104743644B (zh) * 2013-12-27 2018-02-06 日本华尔卡工业株式会社 水处理用电极膜及其制备与应用
WO2016093159A1 (ja) * 2014-12-11 2016-06-16 コニカミノルタ株式会社 単層樹脂フィルム、その製造方法、それを具備した太陽電池用バックシート、偏光板保護フィルム、建築用部材、自動車用部材及びモバイル機器用加飾シート
KR102018323B1 (ko) * 2017-07-05 2019-09-04 한국에너지기술연구원 강화복합막 및 그 제조방법
DE102017220669A1 (de) 2017-11-20 2019-05-23 Robert Bosch Gmbh Brennstoffzelle mit variabler Wasserpermeabilität
JP2019185877A (ja) * 2018-04-03 2019-10-24 トヨタ自動車株式会社 固体電解質積層体及びこれを用いる全固体電池
WO2024004857A1 (ja) * 2022-06-27 2024-01-04 東レ株式会社 電解質膜、触媒層付電解質膜およびその作製に用いられる転写シート、膜電極接合体、水電解装置並びに触媒層付電解質膜の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3603428B2 (ja) * 1995-07-17 2004-12-22 大日本インキ化学工業株式会社 成分濃度傾斜構造を有する有機高分子と金属酸化物との複合体の製造方法
JP3559894B2 (ja) * 1998-04-01 2004-09-02 日産自動車株式会社 樹脂製ウィンドウ及びその製法
JP2001064583A (ja) * 1999-08-31 2001-03-13 Toto Ltd 光触媒塗料組成物、光触媒性塗膜、該塗膜被覆物品および該塗膜形成方法
JP5011610B2 (ja) * 2001-05-28 2012-08-29 株式会社豊田中央研究所 無機材料複合高分子膜およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007123122A (ja) 2007-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5002939B2 (ja) 燃料電池用電解質膜および膜電極接合体
US8211593B2 (en) Low platinum fuel cells, catalysts, and method for preparing the same
JP4626514B2 (ja) 燃料電池用電極、燃料電池、およびこれらの製造方法
JP3760895B2 (ja) 液体燃料供給型燃料電池、燃料電池用電極、およびそれらの製造方法
JP5066998B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
WO2007052650A1 (ja) 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
WO2006001147A1 (ja) 燃料電池用膜-電極接合体
WO2008050895A1 (en) Water repellent catalyst layer for polymer electrolyte fuel cell and manufacturing method for the same
JP2007141588A (ja) 燃料電池用膜電極接合体およびこれを用いた固体高分子形燃料電池
JP2009295441A (ja) 炭素触媒、炭素触媒の製造方法、膜電極接合体、及び、燃料電池
JP4642656B2 (ja) 燃料電池用電極およびこれを用いた燃料電池
JP2007165025A (ja) 膜電極接合体
JP5613181B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜電極構造体および固体高分子型燃料電池
JP5410787B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用ガス拡散層
JP2007287663A (ja) 直接酸化型燃料電池およびその製造方法
JP6205822B2 (ja) 燃料電池
JP2008282635A (ja) 電極触媒およびこれを用いた燃料電池ならびにそれらの製造方法
JP2008235156A (ja) 燃料電池用電極触媒層およびそれを用いた燃料電池
JP2008177136A (ja) 燃料電池用触媒電極およびその製造方法
Choi et al. Optimization of hydrophobic additives content in microporous layer for air breathing PEMFC
JP4872202B2 (ja) 燃料電池及び燃料電池の製造方法
JP6010938B2 (ja) 燃料電池
JP2006079917A (ja) 燃料電池用mea、および、これを用いた燃料電池
JP2006294267A (ja) 燃料電池電極形成用触媒インク
WO2012098606A1 (ja) 燃料電池用膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110830

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110831

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111115

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120409

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120424

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120507

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150601

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees