JP5000222B2 - 建築物及び建築物の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、既存構造物の柱部を利用して施工される建築物及びその施工方法に関し、特に既存構造物の下方空間を利用して施工される建築物及びその施工方法に関する。
既存構造物の柱部とその柱部が支持する構造物の底面によって形成される下方空間(例えば、高架橋下の空間)を利用して、建築物を施工する方法が知られている。このような建築物の施工方法には、既存構造物の基礎とは別個に設けた基礎から立設した建物柱を用いて、既存構造物に荷重をかけることなく独立した建築物を施工する方法や、建築物の荷重のすべて又は一部を既存構造物の柱部等に負担させるように施工する方法がある。
建築物の荷重を既存構造物に負担させるように施工する工法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、高架橋に吊り下げた吊材で建築物下底の梁を支持することで、建築物全体を吊り下げる工法が知られている。
特開平11−269993号公報
特許文献1に記載の施工方法は、独立した建築物を既存構造物の下方空間に施工する場合と比べて、地盤側に新たな基礎や柱を敷設する必要がないため、コスト低減や既存構造物周辺の空間確保に有効である。
しかしながら、既存構造物が、床部や梁を含む建築物全体による鉛直方向の荷重を負担しなければならないため、既存構造物の柱部に余力がなく、荷重の負担性能(すなわち、既存構造物の耐力)が吊り下げる建築物の重量よりも小さい場合には、当該施工方法を適用することができなかった。また、既存構造物が、鉛直方向の荷重には十分な負担性能を有していても、地震荷重のような水平力に対する負担性能が低い場合には、安全性(特に、耐震性)の確保という観点から、当該施工方法を適用することができなかった。
そこで本発明は、荷重の負担性能が低い既存構造物であっても、当該既存構造物の柱部を利用して施工することができる建築物及びその施工方法の提供を目的とする。
本発明の建築物は、既存構造物の柱部を挟むように建物基礎から立設された複数の建物柱と、既存構造物の柱部に固定されたブラケットと、ブラケットの上方で複数の建物柱に掛け渡されると共に、建物柱に剛結された梁材と、ブラケットと梁材とによって挟持されると共に、既存構造物の柱部に対して梁材が水平方向に滑ることを許容する滑り部材と、を備える。
このような構成とすることで、滑り部材はブラケットと梁材とによって挟持されるため、既存構造物の柱部に対して梁材が水平方向に滑ることができる。これにより、地震発生時等の水平力が新たに施工した建築物に加わっても、梁材に剛結された建物柱に水平力を負担させることで、既存構造物の柱部に加わる水平力の増加を摩擦力によって生じる負担程度にまで抑制することができる。したがって、荷重の負担性能(特に、水平力に対する負担性能)が低い既存構造物であっても、建築物の梁材及び屋根等によって生じる鉛直方向の荷重を支持できる程度の余力が柱部にあれば、その柱部を利用して建築物を施工することができる。
また、上記建築物では、ブラケットと滑り部材との間又は梁材と滑り部材との間に、防振ゴムが介在してもよい。このように構成することで、外部から既存構造物に加えられた振動が建築物に伝わることが低減される。また、建築物はブラケット以外では既存構造物と接していないため、防振ゴムを介在させるだけで、既存構造物から伝わる振動を容易に低減することができる。
さらに、本発明の建築物は、ブラケットと梁材とに対して固定された復元材をさらに備えてもよい。このように構成することで、梁材が水平方向に滑ったときに、梁材に剛結された建物柱の剛性だけでなく、ばねの復元力によって、容易に梁材を元の位置へ復帰させることができる。したがって、建築物に水平力が加わったときに建物柱に加わる負担を低減することができる。
また、上記建築物の滑り部材は、水平方向の滑りに対して梁材を元の位置に復帰させる復元力を有していてもよい。このように構成することで、建築物に水平力が加わって、梁材が水平方向に滑ったときに、梁材に剛結された建物柱の剛性だけでなく、滑り部材そのものの復元力によって梁材を元の位置へ復帰させることができる。したがって、建築物に水平力が加わったときに建物柱に加わる負担を低減することができる。
本発明は、上述のように建築物に係る発明としてだけでなく、以下のように建築物の施工方法に係る発明としても記述することができる。
本発明の建築物の施工方法は、既存構造物の柱部を挟むように建物基礎から複数の建物柱を立設する工程と、既存構造物の柱部にブラケットを固定する工程と、ブラケットの上方で複数の建物柱に梁材を掛け渡す工程と、既存構造物の柱部に対して梁材が水平方向に滑ることを許容する滑り部材を、ブラケットと梁材とによって挟持する工程と、建物柱に梁材を剛結する工程と、を備える。
本発明に係る建築物の施工方法によれば、建物柱間には既存構造物の柱部以外には別途の建物柱を新たに立設する必要がない。したがって、既存構造物の下方空間を有効に利用しつつ、長スパン構造を有する建築物を容易にかつ低コストで施工することができる。また、本発明の方法によって施工された建築物は、上記の建築物に係る発明と同様の作用及び効果を奏する。
本発明によれば、ブラケットと梁材とによって滑り部材を挟持することで、既存構造物の柱部に加わる水平力の増加が抑制されるため、荷重の負担性能が低い既存構造物であっても、当該既存構造物の柱部を利用して建築物を施工することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1から図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る建築物を説明する。
図1は、鉄道用高架橋を既存構造物の例として、高架橋柱を利用して施工した建築物の概念図である。図1に示されるように、既存構造物である鉄道用高架橋100は高架部102と、高架部102を支持する柱部である高架橋柱103と、地中に打設された高架橋基礎104と、高架橋基礎104をつなぐ地中梁105と、を備えている。
建築物1は、高架橋100の高架橋柱103が支持する構造物である高架部102の底面によって形成される下方空間を利用して施工された建築物である。この建築物1は、高架橋100の高架橋柱103を挟むように建物基礎11から立設された複数の建物柱21と、高架橋100の高架橋柱103に固定されたブラケット30と、ブラケット30の上方で複数の建物柱21に掛け渡されると共に、剛結部22で建物柱21に剛結された梁材41と、ブラケット30と梁材41とによって挟持されると共に、高架橋100の高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることを許容する滑り部材51と、を備えている。また、建築物1は、複数の建物柱21に対して固定された壁部23と、複数の梁材41に対して固定された屋根部42と、屋根部42に対向すると共に壁部23間に配され、建築物1の床を形成する建物床12とを備えている。なお、図1では、梁材41の長手方向において、複数の建物柱21が高架橋柱103を挟むように立設された場合を示している。
図2は、高架橋柱にブラケットが取り付けられた状態を示す平面概念図である。図2に示されるように、梁材41は、高架部102の幅方向に伸び、ブラケット30の上方で複数の建物柱21に掛け渡されている。これにより、梁材41及び屋根部42の鉛直方向荷重は、滑り部材51を介して、各ブラケット30に負荷される。
図3(a)〜(c)は、高架橋柱に固定されたブラケットを示す図である。具体的には、図3(a)は梁材(H型鋼)の長手方向の側面を見た場合におけるブラケット及びその周辺を示す図であり、図3(b)は梁材(H型鋼)の断面を見た場合におけるブラケット及びその周辺を示す図であり、図3(c)は梁材及び屋根部を省略した場合に上方からブラケット等を見た図である。
図3(a)〜(c)に示されるように、ブラケット30は、4つの水平材31を備えている。この水平材31は、図示しないボルト及びアングル等の固定手段によって高架橋柱103に対して固定され、ブラケット30と高架橋柱103との間には、空隙を埋めるためのエポキシ樹脂又はモルタルが充填される。隣接する水平材31同士はボルト31Bで固定されている(図3(a)及び図3(b)参照)。また、4つの水平材31によって形成されるブラケット30の四隅は、滑り部材51を配置するための支持部32となる(図3(c)参照)。
滑り部材51は、滑り支承の機能を有する部材であり、本実施形態では板状の部材を用いている。この滑り部材51は、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることを容易にするために、摩擦係数が低い材料で構成することが好ましく、例えば、ステンレス、テフロン(登録商標)樹脂等で構成することができる。図3(a)及び図3(b)では、水平材31及び梁材41のそれぞれに滑り部材51を固定することで、2つの滑り部材を用いて高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることを許容させた場合を示している。しかしながら、滑り部材の配置及び構成はこれに限られず、例えば、1つの滑り部材を水平材31又は梁材41の一方に固定することで、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることを許容するようにしてもよい。
次に、図4を用いて、第1実施形態の変形例を説明する。
図4は、第1実施形態の変形例に係る建築物において、梁材の長手方向の側面を見た場合におけるブラケット及びその周辺を示す図であり、図3(a)に対応する図である。この変形例では、ブラケット30と滑り部材51との間に防振ゴム52が介在する点が、図1〜3に示される建築物1と異なる。このように構成することで、防振ゴム52が防振材として機能するため、外部(例えば、高架橋100上を走行する電車)から高架橋100に加えられた振動が建築物1に伝わることが低減される。また、建築物1はブラケット30以外では既存構造物と接していないため、防振ゴム52を介在させるだけで、高架橋100から伝わる振動を容易に低減することができる。なお、図4では、ブラケット30と滑り部材51との間に防振ゴム52が介在するように構成した場合を示しているが、梁材41と滑り部材51との間に防振ゴム52が介在するように構成してもよい。
次に、図5及び図6を用いて、第1実施形態の他の変形例を説明する。
図5(a)及び図6(a)は、第1実施形態の変形例に係る建築物において、梁材の長手方向の側面を見た場合におけるブラケット及びその周辺を示す図であり、図3(a)に対応する図である。また、図5(b)及び図6(b)は、第1実施形態の変形例に係る建築物において、梁材及び屋根部を省略した場合に上方からブラケット等を見た図であり、図3(c)に対応する図である。
これらの変形例では、円形断面(図5(a))又は半円断面(図6(a))の部材(例えば、ステンレス棒鋼)を滑り部材に用いることで、滑り部材が他の部材と接する面の少なくとも一部を曲面としている点が、図1〜3に示される建築物1と異なる。
図5(a)及び(b)は、円形断面のステンレス棒鋼を滑り部材に用いた場合を示し、ブラケット30と梁材41との間には、梁材41側から順に、テフロン製の板状部材である他の滑り部材151、円形断面のステンレス棒鋼である滑り部材152、ステンレス板153、絶縁用ゴム材154が介在している。なお、ステンレス板153及び絶縁用ゴム材154は、滑り部材151と同様に板状とされており、絶縁用ゴム材15は電触防止のために設けられている。この変形例では、円形断面の滑り部材152が滑り部材151と協働することで、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることを許容する。また、ブラケット30に対してステンレス板153及び絶縁用ゴム材154が固定されているため、滑り部材152がブラケット30及び梁材41と直接的に接する構成とした場合と比べて、各部材の形状、表面粗さや材質に起因する施工上の不都合(ガタ等)の発生を低減しつつ、滑り部材152はブラケット30と梁材41とによって確実に挟持されると共に、梁材41を高架橋柱103に対して水平方向に滑らせることができる。
一方、図6(a)及び(b)は、半円断面のステンレス棒鋼を滑り部材に用いた場合を示しており、滑り部材152が半円断面の滑り部材252とされている以外は、図5(a)及び(b)と同一の構成である。この変形例では、半円断面の滑り部材252が滑り部材151と協働することで、高架橋柱103に対して梁材41を水平方向に滑らせることができる。また、滑り部材252のブラケット30側は平面とされているため、ステンレス板153との接触面積が増加する。したがって、図5に示される構成にした場合と同様の効果に加えて、梁材41及び屋根部42によって生じる鉛直方向の荷重が大きい場合であっても、好適に適用することができる。
なお、図5及び図6に示される変形例では、テフロン製の滑り部材151を省略して、円形断面の滑り部材152のみ又は半円断面の滑り部材252のみによって、梁材41が水平方向に滑ることを許容させるように構成してもよい。また、ステンレス板153及び絶縁用ゴム材154を省略して、滑り部材152又は滑り部材252が、ブラケット30と梁材41とによって直接挟持されるように構成してもよい。これらのように、図5及び図6に示される変形例において一部の部材を省略する場合には、滑り部材としての機能を向上させるため、滑り部材152又は滑り部材252の表面に塗装を施してもよい。また、上述の変形例のように、ブラケット30とステンレス板153との間又は梁材41と滑り部材151との間に、防振ゴム52を介在させるように構成してもよい。
また、滑り部材は、滑り部材152又は滑り部材252のように、ころに相当する構成ではなく、リニアスライダのような複数の機械要素から構成されてもよい。
引き続き、上述の建築物1の施工方法について説明する。
既存構造物である高架橋100の柱部を利用して建築物1をするために、まず、高架橋100の高架橋柱103を挟むように建物基礎11から複数の建物柱を立設する。次に、高架橋柱103にブラケット30を固定し、ブラケット30の上方で複数の建物柱21に梁材41を掛け渡す。建物柱21に梁材41を掛け渡すときに、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることを許容するように、滑り部材51をブラケット30と梁材41とによって挟持する。さらに、建物柱21に梁材41を剛結することで、本実施形態に係る建築物1が施工される。
なお、滑り部材51をブラケット30と梁材41とによって挟持するときに、防振ゴム52をあわせて挟持することで、上述の変形例に係る建築物を施工することができる。また、滑り部材として、図1〜3に示されるような板状の部材ではなく、図5及び図6に示される各部材を用いる場合には、滑り部材51の代わりに滑り部材152(滑り部材252)等をブラケット30と梁材41とによって挟持すればよい。
本実施形態に係る建築物1及びその施工方法では、滑り部材はブラケット30と梁材41とによって挟持されるため、高架橋100の高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることができる。これにより、地震発生時等の水平力が新たに施工した建築物1に加わっても、梁材41に剛結された建物柱21に水平力を負担させることで、高架橋100の高架橋柱103に加わる水平力の増加を摩擦力によって生じる負担程度にまで抑制することができる。したがって、荷重の負担性能(特に、水平力に対する負担性能)が低い高架橋100であっても、建築物1の梁材41及び屋根部42によって生じる鉛直方向の荷重を支持できる程度の余力が高架橋柱103にあれば、高架橋柱103を利用して建築物を施工することができる。そのため、地震等に対する安全性を低下させることなく既存構造物の下方空間を有効に利用することができる。
さらに、複数の建物柱21に掛け渡された梁材41及び屋根部42等による鉛直方向の荷重は、ブラケット30を介して高架橋柱103にも添架されるため、建物柱21間には既存の高架橋柱103以外には別途の建物柱を新たに立設する必要がない。したがって、既存構造物の下方空間を有効に利用しつつ、長スパン構造を有する建築物を容易にかつ低コストで施工することができる。
なお、本実施形態では、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることにより、建築物1に加わる水平力は実質的に建物柱21のみによって負担される。そのため、水平方向に滑った梁材41が元の位置に復帰するための復元力は、高架橋柱103ではなく建物柱21が受け持つ。
次に、図7〜図12を用いて、本発明の第2実施形態に係る建築物を説明する。この第2実施形態では、建物柱以外に、追加の構成部材又は滑り部材そのものが、水平方向の滑りに対して梁材を元の位置に復帰させる復元力を有する点で、第1実施形態に係る建築物とは異なる。すなわち、建物柱以外に、ブラケット30と梁材41とによって挟持された部材が、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑った時に元の位置に復帰するための復元力の少なくとも一部を受け持つ点が、第1実施形態に係る建築物とは異なる。
図7は、第2実施形態に係る建築物の一例を示す図であり、梁材の長手方向の側面を見た場合におけるブラケット30の支持部32周辺を拡大した図である。この第2実施形態に係る建築物では、図3(a)に示される滑り部材51の代わりに、ブラケット30の支持部32と梁材41とによって挟持される2つの滑り部材351間にブラケット30と梁材41とに対して固定されたばね352を備えている。なお、滑り部材351及びばね352を除いて、第2実施形態に係る建築物は、第1実施形態に係る建築物1と同様の構成である。
このように構成することで、ばね352は復元材として機能し、梁材41が水平方向に滑ったときに、梁材41に剛結された建物柱21の剛性だけでなく、ばね53の復元力によって、容易に梁材41を元の位置へ復帰させることができる。したがって、建築物1に水平力が加わったときに建物柱21に加わる負担を低減することができる。なお、本実施形態における滑り部材351は、第1実施形態における滑り部材51と同様の機能を発揮するために、ブラケット30又は梁材41との接触面がステンレス、テフロン(登録商標)樹脂等で構成されている。
次に、図8〜図12を用いて、第2実施形態の変形例を説明する。
図8は、第2実施形態の変形例に係る建築物について、ブラケット30の支持部32と梁材41との間の構成を模式的に示す図である。この変形例では、図7に示される構成におけるばね352の代わりに、ブラケット30の支持部32及び梁材41に固定された積層ゴム部材361を復元材として用いている。なお、図8では、滑り部材351を1つだけ設けた場合を示しているが、必要に応じて、図7と同様に複数の滑り部材351を設けてもよい。
図9は、第2実施形態の他の変形例に係る建築物について、ブラケット30の支持部32と梁材41との間の構成を模式的に示す図である。この変形例では、図8に示される構成において、滑り部材351の代わりに、ブラケット30の支持部32及び梁材41に固定されたオイルダンパー362を備えている。このように構成することで、積層ゴム部材361は滑り部材及び復元材として機能すると共に、オイルダンパー362は梁材41が水平方向に移動する際における減衰材として機能する。
図10は、第2実施形態に係る建築物の他の変形例を示す図であり、梁材の長手方向の側面を見た場合におけるブラケット及びその周辺を示す図である。図10に示される変形例では、積層ゴム部材454は滑り部材として機能すると共に、水平方向の滑りに対して梁材を元の位置に復帰させる復元力を有する復元材として機能する点で、第1実施形態に係る建築物の滑り部材51と異なる。このように構成することで、上述のばね352を備える建築物の場合と同様に、建築物に水平力が加わって、梁材41が水平方向に滑ったときに、梁材41に剛結された建物柱21の剛性だけでなく、積層ゴム部材54が有する復元力によって梁材41を元の位置へ復帰させることができる。したがって、建築物1に水平力が加わったときに建物柱21に加わる負担を低減することができる。
図11は、積層ゴム部材454の詳細を示す図である。図11に示される積層ゴム部材454は、梁材41が水平方向に滑るために十分な厚さを有するゴム層454Rと、ゴム層454Rの層方向両端に取り付けられた取付け板454Sとを備えている。また、取付け板454Sには、ブラケット30又は梁材41へ取り付けるためのボルト穴54Fが設けられている。このような構成とすることで、梁材41及び屋根部42の鉛直方向荷重は、積層ゴム部材54を介して、各ブラケット30に負荷される。また、水平方向にはゴム層454Rの低い剛性と高い変形追従能力により、梁材41が水平方向に滑ったときに、積層ゴム部材454は水平方向に変形するため、建物柱21の剛性だけでなく、積層ゴム部材454の復元力によって梁材41を元の位置へ復帰させることができる。なお、図8及び図9に示される積層ゴム部材361も、図11の積層ゴム部材454と同様の構成とすることができる。
図10では、建築物の滑り部材として積層ゴム部材454を用いた例を示したが、積層ゴム部材454の代わりに、図12に示される曲面滑り支承構造555を用いてもよい。
図12に示される曲面滑り支承構造555は、球面板555Bと、可動子555Dとを備えている。球面板555Bは、摺動に好適な特殊コートが施された曲面である摺動面555Aを備えている。また、可動子555Dは、摺動面555Aを摺動するように設けられた摺動材(滑り材)555Cを備えている。このような構成とすることで、梁材41及び屋根部42の鉛直方向荷重は、曲面滑り支承構造555を介して、各ブラケット30に負荷される。また、水平方向には曲面滑り支承構造555の可動子555Dが中立位置へ戻ろうとする作用により、梁材41が水平方向に滑ったときに、建物柱21の剛性だけでなく、曲面滑り支承構造555の復元力によって梁材41を元の位置へ復帰させることができる。
また、建築物1の滑り部材としてばねを用いて、その水平方向の変形を利用すると共に、固有振動数を建築物1の固有振動数とずらすことによっても、滑り部材51、積層ゴム部材54及び曲面滑り支承構造55と同様に、ばねの復元力によって梁材41を元の位置へ復帰させることができる。
このように、上述した第2実施形態に係る建築物は、高架橋柱103に対して梁材41が水平方向に滑ることができる点において、第1実施形態に係る建築物と共通の特徴を有するため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2実施形態に係る建築物では、建物柱21の剛性だけでなく、追加の構成部材又は滑り部材そのものの復元力によって梁材41を元の位置へ復帰させることができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である
例えば、図4に示される第1実施形態の変形例のように、ブラケット30と滑り部材51との間に防振ゴム52が介在する場合においても、建築物が、図7に示されるばね352をさらに備える構成としてもよい。また、要求される耐震性能や高架橋柱103の設置場所等の条件に応じて、建築物1全体において、第1実施形態の構成のみを用いるのではなく、第2実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
さらに、図1及び図2では、建物柱21の外面に壁部23を取付けた場合を示しているが、建物柱21が壁部23に埋め込まれた態様としてもよい。また、上述の実施形態では、梁材41が高架部102の幅方向に沿って複数の建物柱に掛け渡された場合を説明したが、高架部102の長手方向やトラスのように斜めにかけ渡すように構成してもよい。
また、施工される建築物1の幅は、既存構造物である高架橋100の下方空間を利用できる範囲であれば、特に限定されない。すなわち、ブラケット30が梁材41及び屋根部42の鉛直方向荷重を負担できる範囲であれば、建築物1の幅は特に制限されない。また、図1では、建物柱21が複数の高架橋柱103を挟むように構成した場合を示しているが、1つの高架橋柱103のみを挟むように構成してもよい。
また、建築物1を構成する各部材の材料及び形状は、建築物1に要求される耐震性や耐候性等の性能に応じて適宜選択することができる。例えば、梁材41の形状は、図3に示されるH型鋼以外の形状としてもよい。
上述の実施形態では、鉄道用高架橋を既存構造物の例として説明したが、柱部とその柱部が支持する構造物の底面によって形成される下方空間を有する既存構造物であれば、本発明を適用することができる。例えば、自動車用高架橋についても、鉄道用高架橋の場合と同様に下方空間が形成されるため、本発明を適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る建築物を示すと共に、鉄道用高架橋の高架橋柱を利用して施工した建築物を示す概念図である。 高架橋柱にブラケットが取り付けられた状態を示す平面概念図である。 (a)〜(c)は、高架橋柱に固定されたブラケット及び滑り部材等を示す図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係る建築物において、ブラケット及び滑り部材等を示す図である。 本発明の第1実施形態の他の変形例に係る建築物において、ブラケット及び滑り部材等を示す図である。 本発明の第1実施形態の他の変形例に係る建築物において、ブラケット及び滑り部材等を示す図である。 第2実施形態に係る建築物の一例において、ブラケットの支持部周辺を拡大した図である。 第2実施形態の変形例に係る建築物について、ブラケットの支持部と梁材との間の構成を模式的に示す図である。 第2実施形態の他の変形例に係る建築物について、ブラケットの支持部と梁材との間の構成を模式的に示す図である。 第2実施形態に係る建築物の他の変形例において、ブラケット及び滑り部材等を示す図である。 滑り部材として用いる積層ゴム部材を示す図である。 滑り部材として用いる曲面滑り支承構造を示す概念図である。
符号の説明
1…建築物、11…建物基礎、12…建物床、21…建物柱、22…剛結部、23…壁部、30…ブラケット、31…水平材、32…支持部、41…梁材、42…屋根部、51,151,152,252,351…滑り部材、52…防振ゴム、361,454…積層ゴム部材、362…オイルダンパー(滑り部材)、555…曲面滑り支承構造、100…鉄道用高架橋(既存構造物)、102…高架部、103…高架橋柱(柱部)、352…ばね(復元材)。

Claims (5)

  1. 既存構造物の柱部を挟むように建物基礎から立設された複数の建物柱と、
    前記既存構造物の柱部に固定されたブラケットと、
    前記ブラケットの上方で前記複数の建物柱に掛け渡されると共に、前記建物柱に剛結された梁材と、
    前記ブラケットと前記梁材とによって挟持されると共に、前記既存構造物の柱部に対して前記梁材が水平方向に滑ることを許容する滑り部材と、を備えることを特徴とする建築物。
  2. 前記ブラケットと前記滑り部材との間又は前記梁材と前記滑り部材との間に、防振ゴムが介在することを特徴とする請求項1に記載の建築物。
  3. 前記ブラケットと前記梁材とに対して固定された復元材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築物。
  4. 前記滑り部材は、水平方向の滑りに対して前記梁材を元の位置に復帰させる復元力を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築物。
  5. 既存構造物の柱部を挟むように建物基礎から複数の建物柱を立設する工程と、
    前記既存構造物の柱部にブラケットを固定する工程と、
    前記ブラケットの上方で前記複数の建物柱に梁材を掛け渡す工程と、
    前記既存構造物の柱部に対して前記梁材が水平方向に滑ることを許容する滑り部材を、前記ブラケットと前記梁材とによって挟持する工程と、
    前記建物柱に前記梁材を剛結する工程と、を備える建築物の施工方法。
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