以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
図3は実施例1である“画像形成装置”(オプション装置付きのカラーレーザプリンタ)の構成を示す図である。
401はカラーレーザプリンタ、402は記録紙32を収納する給紙カセット、404は給紙カセット402から記録紙32を繰り出すピックアップローラ、405は前記ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送する給紙ローラである。406は前記給紙ローラ405と対をなし記録紙32の重送を防止するためのリタードローラ、407はレジストローラ対である。
409は静電吸着搬送転写ベルト(以下ETB:electrical transfer beltと記す)であり、記録紙32を静電吸着させて搬送する。410はプロセスカートリッジであり、感光ドラム305、感光ドラム305上のトナーを除去するクリーニング装置306、帯電ローラ303、現像ローラ302、トナー格納容器411を備えており、カラーレーザプリンタ401に対し着脱可能となっている。
420はスキャナユニットであり、後述するビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザユニット421、各レーザユニット421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査するためのポリゴンミラー422とスキャナモータ423、結像レンズ群424により構成されている。なお、前記プロセスカートリッジ410とスキャナユニット420は、4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックB)分存在する。
431は定着器であり、内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433と加圧ローラ434、定着ローラ433からの記録紙32を搬送するための定着排紙ローラ対435により構成されている。
451、452、453はDCブラシレスモータであり、451はプロセスカートリッジ410を駆動するメインモータ、452はETBを駆動するETBモータ、453は定着器を駆動する定着モータである。
201はレーザプリンタ401の制御部であるDCコントローラであり、マイクロコンピュータ207、及び各種入出力制御回路(不図示)等で構成されている。
202は低圧電源回路であり、1次AC電流を平滑後に降圧し、各DCブラシレスモータ451,452,453や、DCコントローラ201などに電力を供給する。
440はビデオコントローラであり、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ441から送出される画像データを受け取るとこの画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。
323は記録紙に光を照射し、記録紙の透過光量から記録紙の坪量を判別する坪量判別装置である。324は画像形成装置の周囲温度を検知する温度検知センサである。
651は異なる記録紙に対応するためのオプション装置である給紙ユニットであり、記録紙32を収納する給紙カセット652、給紙カセット652から記録紙32を繰り出すピックアップローラ654とを有する。
801はカラーレーザプリンタ401から排出された記録紙を所定枚数毎に排紙トレイにソートするオプション装置である排紙ユニットであり、搬送ローラ対804、805を駆動するモータ802と、排紙トレイ806を昇降動作させるモータ803とを有する。
701はカラーレーザプリンタ401から排出された記録紙をオプション装置である排紙ユニット801に搬送するオプション装置である搬送ユニットであり、搬送ローラ対703、704を駆動するモータ702を有する。
901は原稿搬送部930と原稿読み込み部931とからなるオプション装置であるイメージスキャナである。902は原稿932を搬送する原稿搬送モータ、904は露光ユニット、905は露光装置、906はミラー、903は露光ユニット904を水平移動させるスキャナ駆動モータ、907は反射装置、908、909はミラーである。910は受光装置、940はイメージスキャナ901の動作を制御するとともに、受光装置910で受光した信号を画像データ化するイメージスキャナコントローラユニットである。
次に画像形成動作を説明する。
まず、ホストコンピュータ441からビデオコントローラ440に画像データが送信される。ビデオコントローラ440は、DCコントローラ201に画像形成の開始を指示するPRINT信号を送信するとともに、受信した画像データをビットマップデータに変換する。PRINT信号を受信したDCコントローラ201は、所定のタイミングでスキャナモータ423、及びメインモータ451,ETBモータ452,定着モータ453の駆動を開始するとともに、ピックアップローラ404、給紙ローラ405、リタードローラ406を駆動して給紙カセット402から記録紙32を繰り出す。その後、坪量判別装置323で記録紙32の厚みを判別し、記録紙に応じた画像形成速度及び画像形成条件を選択し、記録紙32の判別結果により画像形成速度の変更が必要な場合はメインモータ451,ETBモータ452,定着モータ453の回転速度を変更する。
また、温度検知センサ324で画像形成装置401の周囲温度(環境温度)を検知し、検知結果に応じて選択した画像形成条件の補正を行う。記録紙32は、レジストローラ対407まで搬送して一旦停止する。次に、ビットマップデータに依存した画像信号に応じてレーザユニット421をON/OFF制御する。レーザユニット421から出射するレーザー光はポリゴンミラー422、結像レンズ群424を介して感光ドラム305に照射され、帯電ローラ303により所定電位に帯電した感光ドラム305上に静電画像が形成される。その後、この静電潜像に対して現像ローラ302からトナーを供給しトナー像に現像する。前述のトナー像形成動作は所定のタイミングでイエローY、マゼンタM、シアンC,ブラックKに対し行う。
一方、レジストローラ対407で一旦停止していた記録紙32を、前記トナー像形成動作に応じた所定のタイミングでETB409に再給紙し、転写ローラ430で感光ドラム305上のトナー像を順次記録紙32上に転写してカラー像を形成する。以上のように、感光ドラム305、帯電ローラ303、レーザユニット421、現像ローラ302、転写ローラ430等、記録紙上にトナー画像を形成するための構成を画像形成部と称する。記録紙32上に形成されたカラートナー像は定着器431に搬送され、所定温度に加熱された定着ローラ433と加圧ローラ434によって加熱、加圧(圧力をかける)され記録紙32に定着されたのち、定着排紙ローラ対435により画像形成装置401外に排出される。
排出された記録紙32は、搬送ユニット701を経由して排紙ユニット801に搬送される。排紙ユニット801では、所定枚数毎に記録紙32が排紙トレイ806に排出される。
次にイメージスキャナ901の動作について説明する。原稿搬送部930に原稿932をセット後、コピーモードか、読み取りデータを電子ファイル化するだけのスキャナモードかを不図示のパネルより選択する。
コピーモードを選択した場合、原稿搬送モータ902により所定のタイミングで原稿932を原稿読み込み部931に搬送する。そして、スキャナ駆動モータ903により露光ユニット904を水平移動させ露光装置905の光を原稿932に照射する。原稿からの反射光はミラー906、及び反射装置907内のミラー908、909を経由して受光装置910で受光され、受光信号はイメージスキャナコントローラユニット940に送信される。
イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を画像データ化し、ビデオコントローラ440に送信する。その後は、ホストコンピュータ441からの画像形成と同様の動作で記録紙に画像形成を行う。
一方、スキャナモードを選択した場合、イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を所定のファイル形式で電子ファイル化し、ビデオコントローラ440経由でホストコンピュータ441に送信する。スキャナモードの場合、記録紙への画像形成は実行しない。
なお、通常、イメージスキャナの動作は、カラーレーザプリンタ401の画像形成動作とは独立に動作する。
図4は本実施例の画像形成装置の回路図である。202は低圧電源、501はインレット、502は商用電源からのノイズ及び低圧電源からのノイズを除去するACフィルタ、503はメインスイッチ、504はダイオードブリッジ、505は24Vを生成するコンバータ、506はコンバータ制御回路である。507はダイオード、508はコンデンサ、509は定電圧制御回路、510はフォトカプラ、511は24Vから3Vを生成するDC/DCコンバータ、512はカレントトランス、513は抵抗、514は商用電源から画像形成装置への入力電流(1次総電流)を検知する電流検知回路(第1電流検知回路)、515はゼロクロス検知回路である。
521は画像形成装置のドアと連動して開閉するインタロックスイッチ、522はリレー、523はトライアック、524,525、527は抵抗、526はフォトトライアックカプラ、528はトランジスタである。また、431は定着器(定着部)、433は定着ローラ、434は加圧ローラ、432は加熱ヒータ、529はサーモスイッチ、530は定着ローラ433の温度を検知するサーミスタ(温度検知素子)、531は抵抗、581はコンデンサである。
続いて、回路動作について説明する。
メインスイッチ503がONされると、インレット501及びACフィルタ502を介して商用電流が流れ、ダイオードブリッジ504とコンデンサ581で全波整流される。そして、コンバータ制御回路506によりコンバータ505がスイッチングされ、コンバータ505の2次側に脈流電流が励起される。前記脈流電流はダイオード507及びコンデンサ508により整流される。整流後の電圧を定電圧制御部509が検知し、一定電圧(本実施例では24V)になるようにフォトカプラ510を介してコンバータ制御回路506を制御する。整流された24V電圧は、DCブラシレスモータ451等に供給されるとともに、DC/DCコンバータ511に供給され3Vが生成される。生成された3VはDCコントローラ201に供給され、画像形成装置401の制御に使用される。
次に、定着器の温度制御動作について説明する。図5は定着器に流れる定着電流波形を説明する図である。
DCコントローラ201はサーミスタ530と抵抗531の分圧電圧をA/Dポート1を介して検知する。サーミスタ530は温度の上昇とともに抵抗値が低下する特性をもっており、DCコントローラ201はA/Dポート1の分圧電圧より定着ローラ433の温度を検出する。定着器431内の加熱ヒータ432には、リレー522、トライアック523及びサーモスイッチ529を介して商用電源が供給される。DCコントローラ201は、ゼロクロス検知回路515を介して、商用電源の正負が切り替わるタイミング、いわゆるゼロクロスを検知し、内部ゼロクロス信号を生成する。そして、ゼロクロスを検知してから所定時間後(以降TOFF)にON/OFFポート1よりトライアックON信号を出力し、トランジスタ528をONする。トランジスタ528がONすると、抵抗527を介してフォトトライアックカプラ526に電流が流れフォトトライアックカプラ526がONする。フォトトライアックカプラ526がONすると抵抗524、525を介してトライアック523にゲート電流が流れ、トライアック523がONし、加熱ヒータ432に電流が流れ発熱する。そして、トライアック523はゲート電流がゼロ、すなわち次のゼロクロスのタイミングでOFFする。DCコントローラ201は時間TOFFを制御することで、定着ローラ433を所定温度に制御する。
続いて、定着器へ流す電流が制限された場合の定着電流波形を説明する。
まず、カレントトランス512及び抵抗513で画像形成装置401に流れる1次総電流を電流−電圧変換する。次に、電流−電圧変換した結果を電流検知回路514で実効値演算し、結果をDCコントローラ201のA/Dポート2に出力する。DCコントローラ201はA/Dポート2の電圧値に基づいて、1次総電流を検出する。検出した1次総電流が所定電流値Ilimitを超えると、超えた電流値に応じてON/OFFポート1から出力するトライアックON信号を遅延(△t)させる。その結果、定着電流制限を行っていない時に流れる定着電流(図5の破線)よりも定着電流を制限し、1次総電流をIlimit以下にする(第1段階の調整動作)。本実施例では電流制限後に1次総電流がIlimit−Ip(図6参照)を超えないように遅延時間△tを設定している。
図1、図2は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。以下に図1、図2を用いて、連続画像形成中の電流抑制について説明する。
まず、図1を用いて電流を抑制しつつ定着性を確保するための第2段階の調整動作について説明する。
画像形成が開始されると、まずS101で前述の手法により定着ローラ433の加熱を開始し、S102でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S103で定着器の温度(サーミスタ530の検知温度)がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS104で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。画像形成中は定着器の温度が制御目標温度Tfを維持するように定着器へ流す電流を制御する。本実施例では、温度Taをプリント中の定着器の制御目標温度Tfより低い温度に設定しているが、温度Taを制御目標温度Tfと同じ温度に設定してもよく、適宜設定すればよい。
S105で定着器の温度をモニタし、定着器の温度が所定温度Tb(<Tf)以上であればS106で印字が終了するまで画像形成を継続する。本実施例では、温度Tbはトナー像の定着性を確保できる定着可能下限温度である。一方、S105で定着器の温度がTb以下と検知した場合、S107で定着電流が制限されているかを判断する。定着電流が制限されていない場合、S108で定着器の異常低温と判断し、S109で印字を終了する。S107で定着電流が制限されていると判断した場合、S110で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。
一方、画像形成が継続する場合は、S111で給紙間隔を判断する。給紙間隔がTslimit以下である場合は、S112で定着器の温度(サーミスタ530の検知温度)がTfに上昇するまで画像形成を一時停止し、S113で以降の給紙間隔を現在の給紙間隔よりもTsa延長する。これにより給紙間隔がTs1からTs2(=Ts1+Tsa)に変更される(図6)。そして、S104で画像形成を継続する。換言すると、定着器に搬送される記録材の搬送間隔が拡大する。給紙間隔を延長することで、紙間時に定着器の温度を上昇させることが可能となり、定着電流が抑制された状況においても定着器の温度低下が低減できる(第2段階の調整動作)。
給紙間隔を延長した後も定着器の温度(サーミスタ530の検知温度)がTb以下となった場合は、S107、S110、S111を経て給紙間隔がTslimit(限界)になるまで給紙間隔をTsaずつ延長しながら画像形成を継続する。給紙間隔をTslimitとしても定着器の温度(サーミスタ530の検知温度)がTb以下となってしまう場合(S111)は、図2に記載する第3段階の調整動作を行う。
次に図2を用いて第3段階の調整動作について説明する。
第3段階の調整動作は、表1に示すように画像形成装置の動作状況に応じて画像形成動作を制限する(複数の駆動部(負荷)の一部の動作を停止する)ことで1次総電流を抑制する。
上述したが、本実施例の画像形成装置は、イメージスキャナ901で原稿の画像を読み取り電子ファイル化するだけのスキャナモードと、イメージスキャナ901が原稿の画像を読み取り且つこの画像情報に応じてレーザプリンタ401が記録紙に画像形成するコピーモードを有する。更に、ホストコンピュータ等の外部装置441から送信される画像情報に応じてレーザプリンタ401が記録紙に画像形成するプリンタモードを有する。プリンタモードはスキャナモードで原稿を読み取っている時でも実行可能である。また、スキャナモードはプリンタモードで画像形成を行っている時でも実行可能である。
まずS151でイメージスキャナ901が動作しているかどうかを判断する。イメージスキャナ901が動作しているということは、スキャナモードまたはコピーモードである。イメージスキャナ901が動作している場合は、S152で読み取り動作を停止し(読取動作が一枚の原稿の途中である場合、その原稿は最後まで読み取って停止させる)、S153でスキャナモードかコピーモードかを判断する。スキャナモードの場合は、S154、S155で印字終了まで画像形成を継続し、印字終了後、S156で読み取り動作を再開する。スキャナモードであるにも拘わらずS154で画像形成しているのはプリンタモードで画像形成している場合である。S154ではプリンタモードは許可状態であり、外部装置441から新しい画像情報が送信されれば、この画像情報に応じた画像形成は実行可能である。つまり、レーザープリンタ401とイメージスキャナ901が同時に作動する状況を回避すればよい。一方、S153でスキャナモードでないと判断した場合、即ちコピーモードの場合、S157、S158で読み取り済み原稿の画像形成を行った後(S152の読取停止が実行される前に既に読み取られていた画像情報に応じた画像形成)、S159で残りの原稿の読み取りを行う。そして、S160、S161で読み取った残りの原稿の印字を行う。
イメージスキャナ901が動作していない場合は、S162で排紙ユニット801の動作状態を確認する。排紙ユニット801が動作している場合は、S163でソートとステイプル動作を禁止し(ソート途中やステイプル途中の記録紙は終了させて、その後、動作禁止する)、S164、S165で印字終了まで画像形成を継続する。S164ではプリンタモードは許可状態であり、S164の画像形成はプリンタモードでの画像形成を意味している。従って、外部装置441から新しい画像情報が送信されれば、この画像情報に応じた画像形成は実行可能である。一方、排紙ユニット801が動作していない場合は、S166で画像形成装置に異常な電流が流れていると判断し、S167で印字を中止する。
図6は図1、図2で説明した電流抑制を行った場合の1次総電流と定着器温度の関係を示した図である。図6を用いて、本実施例における電流抑制効果について説明する。
t1で画像形成を開始すると、定着器431の加熱を開始するとともに、メインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。t2で定着器温度がTaに到達すると画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。画像形成中は定着器温度が制御目標温度Tfを維持するように制御する。しかし、t3で1次総電流がIlimitを超えてしまうため、図5で示した手法で定着電流を制限し、1次総電流がIlimitを超えないように制御を行う(第1段階の調整動作)。ただし、定着電流の最大値が制限されるため、定着器温度は徐々に低下し、t4で定着器温度が所定温度Tb(定常時の目標温度Tfより所定値だけ低い温度Tb)以下となってしまう。そこで、定着器温度がTfに上昇するまで画像形成を一時停止するとともに、以降の給紙間隔をTs2に広げる(第2段階の調整動作)。給紙間隔を延長することで、紙間時に定着器の温度を上昇させることが可能となり、定着電流が抑制された状況においても定着器の温度低下が低減できる。この第2段階の調整動作は、定着器温度がTb以下に降下する度に給紙間隔を距離Tsaずつ広げるものであり、最終的に給紙間隔Ts2が所定の給紙間隔上限Tslimitに達するまで実行できる。更に画像形成を継続した場合に、t5で再び定着器温度がTb以下となることも考えられる。この時点で給紙間隔はTslimitに達しているため、t6で表1に示すように複数の駆動部の一部の動作を制限する。これにより1次総電流をIlimit以下に抑えつつ定着器温度をTb以上に保ちながら画像形成を継続する(第3段階の調整動作)。
この結果、トナー像の定着不足の発生を防止しながら、1次総電流がIlimitを超えないように制御できている。
以上説明したように、本実施例によれば、連続画像形成中に画像形成装置の消費電流が増加した場合においても、商用電源の最大電流を超えないように制御するとともに、所望の定着性を確保し、かつ画像形成能力の低下を最小限に止めることができる。
実施例2である“画像形成装置”について説明する。
本実施例では、1次総電流だけでなく定着器に流れる電流も検知し、1次総電流が増加した理由が、定着器に流れる電流の増加か否かを判断し、判断結果に応じて第3段階の調整動作を設定する点が実施例1と異なる。
本実施例の全体構成は、実施例1の図3と同様なので、その説明を援用し、ここでの再度の説明を省略する。
図7は本実施例の画像形成装置の回路図である。実施例1の図4に記載済のものは同じ符号を付すとともに説明を省略する。
601はカレントトランス、602は抵抗であり、加熱ヒータ432に流れる定着電流を電流−電圧変換する。電流−電圧変換した結果を定着電流検知回路(第2電流検知回路)603で実効値演算し、結果をDCコントローラ201のA/Dポート5に出力する。DCコントローラ201はA/Dポート5の電圧値に基づいて、定着電流を検出する。
図8、図9、図10は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。
以下に図8〜図10を用いて、連続画像形成中の調整動作について説明する。まず、図8を用いて第1段階の調整動作(電流抑制動作)について説明する。
画像形成が開始されると、まずS201で前述の手法により定着ローラ433の加熱を開始し、S202でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S203で定着器温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS204で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。画像形成中は定着器の温度が制御目標温度Tfを維持するように制御する。
S205で定着器温度をモニタし、定着器の温度が所定温度Tb以上であればS206で印字が終了するまで画像形成を継続する。一方、S205で定着器の温度がTb以下と検知した場合、S207で定着電流が制限されている(前述の第1段階の調整動作)かを判断する。定着電流が制限されていない場合、S208で定着器の異常低温と判断し、S209で印字を終了する。S207で定着電流が制限されていると判断した場合、S210で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S211で給紙間隔を判断する。給紙間隔がTslimit以下である場合は、S212で定着器の温度がTfに上昇するまで画像形成を一時停止し、S213で以降の給紙間隔を現在の給紙間隔よりもTsa延長する(第2段階の調整動作)。そして、S204で画像形成を継続する。給紙間隔を延長することで、紙間時に定着器の温度を上昇させることが可能となり、定着電流が抑制された状況においても定着器の温度低下が低減できる。
給紙間隔を延長した後も定着器の温度が所定温度Tb以下となった場合は、S207、S210、S211を経て給紙間隔がTslimitになるまで給紙間隔を距離Tsaずつ延長しながら画像形成を継続する。ここまでは、実施例1の第2段階の調整動作までと同じ動作である。
給紙間隔をTslimitとしても定着器の温度がTb以下となってしまう場合(S211)は、図9に記載する第3段階の調整動作を行う。
次に図9と図10を用いて実施例2の第3段階の調整動作について説明する。
本実施例の第3段階の調整動作は、表2に示すように画像形成装置の動作状況と定着電流に応じて画像形成動作を制限することで1次総電流を抑制する。
まず図9のS251でイメージスキャナ901が動作しているかどうかを判断する。動作している場合は、S252で定着電流を検知し、定着電流がIFth未満(定着電流検出手段の検出値が所定値未満)であればモータ駆動電流が大きい(定着器以外の負荷に流れる電流が大きい)と判断してS253で読み取り動作を停止する(読取動作が一枚の原稿の途中である場合、その原稿は最後まで読み取って停止させる)。次に、S254でスキャナモードかコピーモードかを判断する。スキャナモードの場合は、S255、S256で印字終了まで画像形成を継続し(プリンタモードの画像形成を許可する)、印字終了後、S257で読み取り動作を再開する。一方、コピーモードの場合、S258、S259で読み取り済み原稿の画像形成を行った後、S260で残りの原稿の読み取りを行う。そして、S261、S262で読み取った残りの原稿の印字を行う。
S252で、定着電流がIFth以上(所定値以上)である場合は、単位体積当りの熱容量(以降 坪量という)の大きい記録紙に形成したトナー像を定着処理中だと判断し、S263で定着速度を1/2速に変更する。一般的に同じ坪量の記録紙に定着する場合、定着速度が遅いほど定着電流は低くなる。本実施例の画像形成装置の場合、定着速度のみを変更することが出来ないため、画像形成部の画像形成速度も同時に1/2速に変更する。そして、S264、S265で印字終了まで画像形成を行う。
次に、S251でイメージスキャナ901が動作していない場合の動作について図10を用いて説明する。まず、S271で排紙ユニット801の動作状態を確認する。排紙ユニット801が動作している場合は、S272で定着電流を検知し、定着電流がIFth未満であればモータ駆動電流が大きい(定着器以外の負荷に流れる電流が大きい)と判断してS273でソートとステイプル動作を禁止する(ソート途中やステイプル途中の記録紙は終了させて、その後、動作禁止する)。そして、S274、S275で印字終了まで画像形成を行う(プリンタモードでの画像形成を許可する)。
S272で、定着電流がIFth以上である場合は、坪量の大きい記録紙に形成したトナー像を定着処理中だと判断し、S276で画像形成速度を1/2速に変更する。そして、S277、S278で印字終了まで画像形成を行う(プリンタモードでの画像形成を許可する)。
一方、S271で排紙ユニット801が動作していないと判断した場合は、S279で定着電流を検知する。定着電流がIFth以上である場合は、坪量の大きい記録紙に形成したトナー像を定着処理中だと判断してS279で画像形成速度を1/2速に変更し、S277、S278で印字終了まで画像形成を行う(プリンタモードでの画像形成を許可する)。定着電流がIFth未満である場合は、S283で画像形成装置に異常な電流が流れていると判断し、S284で印字を中止する。
以上説明したように、本実施例によれば、連続画像形成中に画像形成装置の消費電流が増加した場合においても、商用電源の最大電流を超えないように制御するとともに、所望の定着性を確保し、かつ画像形成能力の低下を最小限に止めることのできる。
実施例3である“画像形成装置”について説明する。本実施例では、1次総電流だけでなく記録紙の坪量と画像形成装置の周囲温度(環境温度)を検知し、1次総電流が増加した理由が、定着器に流れる電流の増加か否かを判断し、判断結果に応じて第3段階の調整動作を選択する。本実施例の全体構成は実施例1と同様なので、その説明を援用し、ここでの再説明を省略する。
図11は本実施例の画像形成装置の回路図である。実施例1の図4に記載済のものは同じ符号を付すとともに説明を省略する。
323は坪量判別装置(坪量検知手段)であり、光照射素子561と透過光量検出素子563を有する。DCコントローラ201は記録紙32が坪量判別装置323に到達する所定のタイミングで光照射素子561をONさせる。透過光量検出素子563は受光光量に応じた出力をDCコントローラ201のA/Dポート3に出力し、DCコントローラ201はA/Dポート3の電圧値に基づいて記録紙の坪量を検出する。
324は画像形成装置の周囲温度を検知する温度検知センサ(環境温度検知手段)であり、検知温度に応じた出力をDCコントローラ201のA/Dポート4に出力する。DCコントローラ201はA/Dポート4の電圧値に基づいて画像形成装置の周囲温度を検出する。
図12、図13、図14は本実施例の画像形成動作を説明するフローチャートである。以下に図12〜図14を用いて、連続画像形成中の電流抑制動作について説明する。まず、図12を用いて第2段階の調整動作(給紙間隔の延長)について説明する。
画像形成が開始されると、まずS301で前述の手法により定着ローラ433の加熱を開始し、S302でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S303で定着器の温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS304で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。画像形成中は制御目標温度Tfを維持するように制御する。S305で定着器の温度をモニタし、定着器の温度が所定温度Tb以上であればS306で印字が終了するまで画像形成を継続する。
一方、S305で定着器の温度がTb以下と検知した場合、S307で定着電流が制限されているか(前述の第1段階の調整動作が実行されているかどうか)を判断する。定着電流が制限されていない場合、S308で定着器の異常低温と判断し、S309で印字を終了する。S307で定着電流が制限されていると判断した場合、S310で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S311で給紙間隔を判断する。給紙間隔がTslimit以下である場合は、S312で定着器の温度がTfに上昇するまで画像形成を一時停止し、S313で以降の給紙間隔を現在の給紙間隔よりTsa延長する(第2段階の調整動作)。そして、S304で画像形成を継続する。給紙間隔を延長することで、紙間時に定着器の温度を上昇させることが可能となり、定着電流が抑制された状況においても定着器の温度低下が低減できる。
給紙間隔を延長した後も定着器の温度が所定温度Tb以下となった場合は、S307、S310、S311を経て給紙間隔がTslimitになるまで給紙間隔をTsaずつ延長しながら画像形成を継続する。給紙間隔をTslimitとしても定着器温度がTb以下となってしまう場合(S311)は、図13、図14に記載する第3段階の調整動作を行う。
次に図13と図14を用いて第3段階の調整動作について説明する。
第3段階の調整動作は、表3に示すように画像形成装置の動作状況と記録紙の坪量、及び周囲温度に応じて画像形成動作を制限することで1次総電流を抑制する。
まず図13のS351でイメージスキャナ901が動作しているかどうかを判断する。動作している場合は、S352で記録紙の坪量を検知し、坪量が90g/m2未満であれば定着器温度がTbであっても定着可能と判断し、S353で画像形成を行う。そして、定着器温度がTb−10℃より高ければ、S353、S354、S355で印字終了まで画像形成を継続する。
定着器温度がTb−10℃以下になった場合(S354)は、S356で読み取り動作を停止する。次に、S357でスキャナモードかコピーモードかを判断する。スキャナモードの場合は、S358、S359で印字終了まで画像形成を継続し、印字終了後、S360で読み取り動作を再開する。一方、コピーモードの場合、S361、S362で読み取り済み原稿の画像形成を行った後、S363で残りの原稿の読み取りを行う。そして、S364、S365で読み取った残りの原稿の印字を行う。
S352で、坪量が90g/m2以上である場合は、S366で周囲温度を検知する。一般的に周囲温度と記録紙の温度は同じであり、記録紙温度が低いほど定着器温度を高くする必要がある。S366で周囲温度が15℃以上と判断した場合は、定着器温度が低くても定着可能であると判断し、S353に戻り前述の動作を行う。一方、周囲温度が15℃未満の場合は、定着器温度をTb以上に維持する必要があると判断し、S367で画像形成速度を1/2速に変更する。そして、S368、S369で印字終了まで画像形成を行う。
次に、S351でイメージスキャナ901が動作していない場合の動作について図14を用いて説明する。まず、S401で排紙ユニット801の動作状態を確認する。排紙ユニット801が動作している場合は、S402で記録紙の坪量を検知し、坪量が90g/m2未満であれば定着器温度がTbであっても定着可能と判断し、S403で画像形成を行う。そして、定着器温度がTb−10℃より高ければ、S403、S404、S405で印字終了まで画像形成を継続する。定着器温度がTb−10℃以下になった場合(S404)は、S406でソートとステイプル動作を禁止する。そして、S407、S408で印字終了まで画像形成を行う。
S402で、記録紙の坪量が90g/m2以上である場合は、S409で周囲温度を検知する。周囲温度が15℃以上と判断した場合は、定着器温度が低くても定着可能であると判断し、S403に戻り前述の動作を行う。一方、周囲温度が15℃未満の場合は、定着器温度をTb以上に維持する必要があると判断し、S410で画像形成速度を1/2速に変更する。そして、S411、S412で印字終了まで画像形成を行う。
一方、S401で排紙ユニット801が動作していないと判断した場合は、S413で記録紙の坪量を検知する。坪量が90g/m2未満の場合、S414で1次総電流が大きい理由が画像形成装置に異常な電流が流れているためと判断し、S415で印字を中止する。坪量が90g/m2以上の場合は、S416で周囲温度を検知する。周囲温度が15℃以上の場合は、1次総電流が大きい理由が画像形成装置に異常な電流が流れているためと判断し、S414に戻って印字を中止する。周囲温度が15℃未満の場合は、定着器温度をTb以上に維持する必要があると判断し、S417で画像形成速度を1/2速に変更する。そして、S418、S419で印字終了まで画像形成を行う。
以上説明したように、本実施例によれば、前述の制御を行うことで、連続画像形成中に画像形成装置の消費電流が増加した場合においても、商用電源の最大電流を超えないように制御するとともに、所望の定着性を確保し、画像形成能力の低下を最小限に止めることが可能となる。
なお、実施例1〜3では、カラーレーザプリンタを用いて説明を行った。しかしながら、画像形成装置はカラーレーザプリンタに限定されるものではなく、モノクロレーザプリンタであっても構わない。
また、オプション給紙ユニットの動作状態に応じて第3段階の調整動作の実行を判断しても構わない。
実施例1〜3では、第2段階の調整動作(給紙間隔の延長)を実行する場合と第3段階の調整動作(定着器以外の負荷の駆動禁止)を実行する場合の基準となる所定温度を同じTbとして説明を行った。しかしながら、それぞれの調整動作を行う基準の温度は異ならせても構わない。
実施例2では、1次総電流と定着器に流れる電流を検知し、1次総電流が増加した理由が、定着器に流れる電流の増加か否かを判断した。しかしながら、1次総電流のみを検知し、例えば定着器をONしているときとOFFしているときの1次総電流の差から、1次総電流が増加した理由が、定着器に流れる電流の増加か否かを判断しても構わない。
また、上述した実施例1〜3では、第1段階から第3段階までの調整動作が設定されている画像形成装置について説明したが、少なくとも第1段階と第2段階の調整動作が設定されていれば良い。この構成であっても、商用電源から画像形成装置への入力電流を所定値以下に抑えつつ処理能力の低下を抑えられる画像形成装置を提供することができる。
次に、商用電源から画像形成装置への入力電流を所定値以下に抑えつつ処理能力の低下を抑えられる画像形成装置の他の実施例を以下の実施例4〜7に説明する。実施例1〜3との違いは、前述した第1段階の調整動作(定着器への電流制限)における定着器への投入可能電流の上限値決定方法である。実施例4〜7を第1段階の調整動作として用いれば、更に画像形成装置の処理能力の低下を抑えることができる。
図15は、実施例4〜7に係る電子写真プロセスを用いた画像形成装置(レーザプリンタ)の概略構成図である。
レーザプリンタ本体1101(以下、本体1101)は、記録シートSを収納するカセット1102が装着可能で、このカセット1102から供給される記録シートSに画像を形成する。1103は、カセット1102の記録シートSの有無を検知するカセット有無センサである。1104は、カセット1102に収容されている記録シートSのサイズを検知するカセットサイズセンサで、ここでは例えば複数のマイクロスイッチで構成されている。1105は、カセット1102から記録シートSをピックアップして搬送する給紙ローラである。この給紙ローラ1105の下流には記録シートSを同期搬送するレジストローラ対1106が設けられている。また、このレジストローラ対1106の下流には、レーザスキャナ部1107からのレーザ光に基づいて記録シートS上にトナー像を形成する画像形成部1108が設けられている。更に、この画像形成部1108の下流には、記録シートS上に形成されたトナー像を熱定着する定着器1109が設けられている。そして、この定着器1109の下流には、排紙部の搬送状態を検知する排紙センサ1110、記録シートSを排紙する排紙ローラ対1111、画像が形成されて定着された記録シートSを積載して収容する積載トレイ1112が設けられている。尚、ここでこの記録シートSの搬送基準は、記録シートSの搬送方向に直交する方向の長さ、つまり記録シートSの幅に対して、略中央になるように設定されている。
またレーザスキャナ部1107は、外部装置1131から送出される画像信号(画像信号VDO)に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザユニット1113を有している。このレーザユニット1113からのレーザ光は、ポリゴンモータ1114により回転駆動されるポリゴンミラーにより反射され、結像レンズ1115、折り返しミラー1116等により反射されて感光ドラム1117上を走査する。
画像形成部1108は、公知の電子写真プロセスに必要な、感光ドラム1117、一次帯電ローラ1119、現像器1120、転写帯電ローラ1121、クリーナ1122等を有している。また定着器1109は、定着フィルム1109a、加圧ローラ1109b、定着フィルム1109a内部に設けられた定着用セラミックヒータ1109c、セラミックヒータ1109cの表面温度を検出するサーミスタ1109dを有している。
また、メインモータ1123は、給紙ローラ1105に対して給紙ローラクラッチ1124を介して回転力を与えている。またレジストローラ対1106には、レジストローラクラッチ1125を介して回転力を与えている。更に、感光ドラム1117を含む画像形成部1108の各ユニット、定着器1109、排紙ローラ対1111にも駆動力を与えている。
1126はエンジンコントローラであり、レーザスキャナ部1107、画像形成部1108、定着器1109による電子写真プロセスの制御、及び本体1101での記録シートSの搬送制御等を行なっている。1127はビデオコントローラであり、パーソナルコンピュータ等の外部装置1131と汎用のインタフェース(セントロニクス、RS232C等)1130で接続されている。ビデオコントローラ1127は、この汎用インタフェース1130を介して送られてくる画像情報をビットデータに展開し、そのビットデータをVDO信号として、エンジンコントローラ1126へ送出している。
図16は、本発明の実施の形態において、セラミックヒータ1109cへの通電駆動を制御するヒータ制御回路(電力供給制御回路)の構成を示すブロック図である。
1201は、この画像形成装置が接続される交流電源(商用電源)を示している。この画像形成装置は、交流電源1201をACフィルタ1202,リレー1241を介してセラミックヒータ1109cの発熱体1203,発熱体1220へ供給している。これによりセラミックヒータ1109cを構成する発熱体1203、発熱体1220を発熱させる。この発熱体1203への電力の供給は、トライアック1204の通電、遮断により制御される(通電切替え制御)。抵抗1205,1206は、このトライアック1204のバイアス抵抗で、フォトトライアックカプラ1207は、一次、二次間の沿面距離を確保するためのデバイスである。このフォトトライアックカプラ1207の発光ダイオードに通電することにより、トライアック1204がオンされる。抵抗1208は、フォトトライアックカプラ1207に流れる電流を制限するための抵抗であり、トランジスタ1209によりフォトトライアックカプラ1207への通電がオン/オフされる。このトランジスタ1209は、抵抗1210を介してエンジンコントローラ1126から供給される信号(ON1)に従って動作する。
また発熱体1220への電力の供給は、トライアック1213の通電、遮断により制御される。抵抗1214,1215は、トライアック1213のバイアス抵抗で、フォトトライアックカプラ1216は、一次、二次間の沿面距離を確保するためのデバイスである。このフォトトライアックカプラ1216の発光ダイオードに通電することにより、トライアック1213をオンすることができる。抵抗1217は、フォトトライアックカプラ1216に流れる電流を制限するための抵抗である。トランジスタ1218は、抵抗1219を介してエンジンコントローラ1126から供給される信号(ON2)に従って、このフォトトライアックカプラ1216による通電をオン/オフしている。
また、交流電源1201は、ACフィルタ1202を介してゼロクロス検出回路1212に入力される。このゼロクロス検出回路1212は、交流電源1201の電圧が、閾値以下の電圧になっていることをエンジンコントローラ1126に対してパルス信号で報知する。以下、このエンジンコントローラ1126に送出される信号をZEROX信号と呼ぶ。エンジンコントローラ1126は、このZEROX信号のパルスのエッジを検知し、位相制御又は波数制御によりトライアック1204或は1213のオン/オフを制御している。
これらトライアック1204及び1213を駆動することにより発熱体1203,1220に通電されるヒータ電流は、カレントトランス1225によって電圧変換され、電流検出回路(第2電流検知回路)1227に入力される。この電流検出回路1227は、電圧変換されたヒータ電流波形を実効値もしくはその2乗値に変換し、HCRRT1信号としてエンジンコントローラ1126に入力される。こうして入力されたHCRRT1信号は、エンジンコントローラ1126でA/D変換され、デジタル値で管理される。
またACフィルタ1202を介して入力される交流電源1201からの電流は、カレントトランス1226によって電圧変換され、電流検出回路(第1電流検知回路)1228に入力される。この電流検出回路1228では、電圧変換されたヒータ電流波形と低圧電源電流波形の合成電流波形を、実効値もしくはその2乗値に変換し、HCRRT2信号としてエンジンコントローラ1126に入力する。こうして入力されたHCRRT2信号は、エンジンコントローラ1126でA/D変換され、デジタル値で管理される。第1電流検知回路1228は商用電源から画像形成装置への入力電流(1次総電流)を検知する回路であり、第2電流検知回路1227は定着器に流れる電流を検知する回路である。
サーミスタ(温度検知素子)1109dは、発熱体1203,1220が形成されているセラミックヒータ1109cの温度を検知するための素子である。このサーミスタ1109dは、セラミックヒータ1109c上に発熱体1203,1220に対して絶縁距離を確保できるように、絶縁耐圧を有する絶縁物を介して配置されている。このサーミスタ1109dによって検出される温度は、抵抗1222と、サーミスタ1109dとの分圧として検出され、エンジンコントローラ1126にTH信号として入力される。こうして入力されたTH信号は、エンジンコントローラ1126でA/D変換され、デジタル値で管理される。
このセラミックヒータ1109cの温度は、TH信号としてエンジンコントローラ1126で監視されている。そしてエンジンコントローラ1126で設定されているセラミックヒータ1109cの設定温度(制御目標温度)と比較することによって、セラミックヒータ1109cを構成する発熱体1203,1220に供給するべき電力比(デューティ)を算出する。そして、その供給する電力比に対応した位相角(位相制御)又は波数(波数制御)に換算し、その制御条件によりエンジンコントローラ1126がトランジスタ1209にON1信号、或はトランジスタ1218にON2信号を送出する。こうしてセラミックヒータ1109cの温度が制御される。ここで発熱体1203,1220に供給する電力比を算出する際に、電流検出回路1227と電流検出回路1228から報知されるHCRRT1信号、HCRRT2信号を基に上限の電力比を正確に算出して、その上限の電力比以下の電力が通電されるように制御する。例えば、位相制御の場合、下記のような制御テーブルがエンジンコントローラ1126に設けられており、この制御テーブルに基づいて制御する。
更に、発熱体1203,1220に電力を供給して制御する回路など故障して発熱体1203,1220が熱暴走に至った場合、その過昇温を防止する一手段として、過昇温防止部1223がセラミックヒータ1109cに配されている。この過昇温防止部1223は、例えば温度ヒューズやサーモスイッチである。発熱体1203,1220が熱暴走になって過昇温防止部1223が所定の温度以上になると、この過昇温防止部1223が開放状態となって発熱体1203,1220への通電が遮断される。
またTH信号として監視されているセラミックヒータ1109cの温度制御のために、エンジンコントローラ1126で温度制御の設定温度とは別に異常高温を検知するための異常温度値が設定されている。これによりTH信号が示す温度情報が、その異常温度値以上になった場合は、エンジンコントローラ1126はRLD信号をロウレベルにする。これによりトランジスタ1242がオフ状態になってリレー1241を開放する。こうして発熱体1203,1220への通電が遮断される。通常、温度制御時には、エンジンコントローラ1126はRLD信号を常にハイレベルで出力してトランジスタ1242をオンにし、リレー1241をオン(導通状態)にしている。抵抗1243は電流制限抵抗であり、抵抗1244は、トランジスタ1242のベース・エミッタ間のバイアス抵抗である。ダイオード1245はリレー1241のオフ時の逆起電力吸収用素子である。
図17(A)(B)は、本実施の形態に係るセラミックヒータ1109cの概略を説明する図である。図17(A)は、セラミック面発ヒータの断面図、図17(B)の1301は、発熱体1203,1220が形成されている面を示しており、図17(B)の1302は、1301が示す面とは反対側の面を示している(図17(A)参照)。
このセラミック面発ヒータ1109cは、SiC,AlN,Al2O3等のセラミックス系の絶縁基板1331と、この絶縁基板1331面上にペースト印刷等で形成されている発熱体1203,1220と、2本の発熱体を保護しているガラス等の保護層1334から構成されている。この保護層1334上に、セラミック面発ヒータ1109cの温度を検出するサーミスタ1109dと過昇温防止部1223が配置されている。サーミスタ1109dと過昇温防止部1223は記録シートの搬送基準、つまり発熱部1203a,1220aの長さ方向の中心に対して左右対称な位置で、かつ通紙可能な最小の記録シート幅よりも内側の位置に配設されている。
発熱体1203は、電力が供給されると発熱する部分1203aと、コネクタを介して電力が供給される電極部1203c,1203dと、これら電極部1203c,1203dと発熱体1203とを接続する導電部1203bとを有している。また発熱体1220は、電力が供給されると発熱する部分1220aと、コネクタを介して電力が供給される電極部1203c,1220dと、電極部1203c,1220dと接続される導電部1220bとを有している。電極部1203cは、2本の発熱体1203と1220に共通に接続されており、発熱体1203,1220の共通電極となっている。また発熱体1203,1220が印刷されている絶縁基板1331との対向面側に摺動性を向上させるためにガラス層が形成される場合もある。
この共通電極1203cは、交流電源1201のHOT側端子から過昇温防止部1223を介して接続される。電極部1203dは、発熱体1203を制御するトライアック1204に接続され、交流電源1201のNeutral端子に接続される。電極部1220dは、発熱体1220を制御するトライアック1213と電気的に接続され、交流電源1201のNeutral端子に接続される。セラミックヒータ1109cは、図18(A)(B)に示すように、フィルムガイド62によって支持されている。
図18(A)(B)は、本実施の形態に係る熱定着器1109の概略構成を示す図で、18(A)は、絶縁基板1331に対して、発熱体1203,1220が定着ニップ部(定着フィルム1109aと加圧ローラ1109bが接触する領域)と反対側にある場合を示している。また図18(B)は、絶縁基板1331に対して、発熱体1203,1220が定着ニップ部側に位置している場合を示している。
定着フィルム1109aは、耐熱材(例えばポリイミド)を材料として筒状に製造されたもので、セラミックヒータ1109cを下面側に支持させたフィルムガイド1062に外嵌させてある。そして、このフィルムガイド1062の下面のセラミックヒータ1109cと、加圧部材としての弾性加圧ローラ1109bとを、定着フィルム1109aを介して圧接させている。こうして加熱部としての所定幅の定着ニップ部を形成している。また過昇温防止部1223、例えば、サーモスタットがセラミックヒータ1109cの絶縁基板1331面上、或は保護層1334面上に当接されている。この過昇温防止部1223は、フィルムガイド1062に位置を矯正され、過昇温防止部1223の感熱面がセラミックヒータ1109cの面上に当接されている。図示はしていないが、サーミスタ1109dも同様に、このセラミックヒータ1109cの面上に当接されている。ここで、図18(A)のように、セラミックヒータ1109cは発熱体1203,1220がニップ部と反対側にあっても良く、或は図18(B)のように、発熱体1203,1220がニップ部側にあってもかまわない。また、定着フィルム1109aの摺動性を上げるために、定着フィルム1109aとセラミックヒータ1109cとの界面に摺動性のグリースを塗布してもかまわない。
図19は、本実施の形態に係る電流検出回路(第2電流検知回路)1227の構成を説明するブロック図、図21は、この電流検出回路1227の動作を説明するための波形図である。電流検出回路1227は検出対象(定着器)の負荷電流(定着電流)の二次電流を入力し、それに応じた電圧を電圧保持回路(コンデンサ1074a)で保持して出力している。
図21の1601では、発熱体1203に電流I1が流されると、カレントトランス1225によって、その電流波形が二次側で電圧変換される。このカレントトランス1225の電圧出力をダイオード1051a,1053aによって整流する半波整流回路を構成し、負荷抵抗として抵抗1052a,1054aを接続している。1603は、このダイオード1053aによって半波整流された波形を示す。この電圧波形は、抵抗1055aを介して乗算器1056aに入力される。この乗算器1056aは、1604で示すように、2乗した電圧波形を出力する二乗回路として機能している。この2乗された波形は、抵抗1057aを介してオペアンプ1059aの−端子に入力される。このオペアンプ1059aの+端子には、抵抗1058aを介してリファレンス電圧1084aが入力されており、帰還抵抗1060aにより反転増幅される(増幅回路として機能)。尚、このオペアンプ1059aは片電源から電源が供給されているものとする。
1605は、リファレンス電圧1084aを基準に反転増幅された波形を示す。このオペアンプ1059aの出力は、積分回路を構成するオペアンプ1072aの+端子に入力される。オペアンプ1072aでは、リファレンス電圧1084aと、その+端子に入力された波形の電圧差と、抵抗1071aで決定される電流がコンデンサ1074aに流入されるようにトランジスタ1073aを制御している。こうしてコンデンサ1074aは、リファレンス電圧1084aと、その+端子に入力された波形の電圧差と抵抗1071aで決定される電流で充電される。
ダイオード1053aによる半波整流区間が終わると、コンデンサ1074aへの充電電流がなくなるため、その電圧値がピークホールドされる(電圧保持回路)。そして1606に示すように、ダイオード1051aの半波整流期間にDIS信号によりトランジスタ1075aをオンする。これにより、コンデンサ1074aの充電電圧が放電される。1607で示すように、トランジスタ1075aは、エンジンコントローラ1126からのDIS信号によりオン/オフされており、1602で示すZEROX信号を基に、トランジスタ1075aのオン/オフ制御を行っている。このDIS信号は、ZEROX信号の立上がりエッジから所定時間Tdly後にオンし、ZEROX信号の立下がりエッジと同じタイミング、もしくは直前でオフする。これにより、ダイオード1053aの半波整流期間であるヒータの通電期間を干渉することなく制御できる。
つまり、コンデンサ1074aのピークホールド電圧V1fは、カレントトランス1225によって電流波形が二次側に電圧変換された波形の2乗値の半周期分の積分値となる。こうしてコンデンサ1074aにピークホールドされた電圧値が、電流検出回路1227からHCRRT1信号としてエンジンコントローラ1126に送出される。つまり、電圧V1fが電流検出回路(第2電流検知回路)1227で検出する電流(定着器のヒータに流れる電流)に対応している。
図20は、本実施の形態に係る電流検出回路(第1電流検知回路)1228の構成を説明するブロック図、図22は、この電流検出回路1228の動作を説明するための波形図である。この回路もまた、検出対象である電源電流(商用電源から画像形成装置への入力電流)の二次電流を入力し、それに応じた電圧を電圧保持回路(コンデンサ1075b)で保持して出力している。
1701は、ACフィルタ1202を介して供給される電源電流I2を示し、この電流I2はカレントトランス1226によって二次側で電圧変換される。この電源電流I2は、ヒータ1109c(発熱体1203,1220)に流す電流I1(1601)と、低圧電源(LVPS)電流I3との合計である。
このカレントトランス1226からの電圧出力をダイオード1051b,1053bによって整流し、負荷抵抗として1052b,1054bを接続している。1703は、ダイオード1053bで半波整流された電圧波形を示し、この波形は抵抗1055bを介して乗算器1056bに入力される。1704は、この乗算器1056bにより2乗された波形を示す。この2乗された電圧波形は、抵抗1057bを介してオペアンプ1059bの−端子に入力されている。一方、このオペアンプ1059bの+端子には、抵抗1058bを介してリファレンス電圧1084bが入力されており、帰還抵抗1060bにより反転増幅される。尚、このオペアンプ1059bは、片電源で電源供給されている。こうしてリファレンス電圧1084bを基準に反転増幅された波形、つまり、オペアンプ1059bの出力は、オペアンプ1072bの+端子に入力される。
オペアンプ1072bは、リファレンス電圧1084bと、その+端子に入力された波形の電圧差と抵抗1071bに決定される電流がコンデンサ1074bに流入されるようにトランジスタ1073bを制御している。これによりコンデンサ1074bは、リファレンス電圧1084bと+端子に入力された波形の電圧差と抵抗1071bで決定される電流で充電される。ダイオード1053bによる半波整流区間が終わると、コンデンサ1074bへの充電電流がなくなるため、その電圧値がピークホールドされる。ここでダイオード1051bの半波整流期間にトランジスタ1075bをオンすることにより、コンデンサ1074bにチャージされた電圧を放電する。このトランジスタ1075bは、1707で示す、エンジンコントローラ1126からのDIS信号によりオン/オフされており、1702で示す、ZEROX信号を基にトランジスタ1075bを制御している。DIS信号は、ZEROX信号の立上がりエッジから所定時間Tdly後にオンし、ZEROX信号の立下がりエッジ、もしくは直前でオフすることにより、ダイオード1053bの半波整流期間のヒータ電流期間に干渉することなく制御することができる。
つまり、コンデンサ1074bのピークホールド電圧V2fは、カレントトランス1226によって電流波形が二次側に電圧変換された波形の2乗値の半周期分の積分値となる。1706では、コンデンサ1074bの電圧が、1706で示すHCRRT2信号として、電流検出回路1228からエンジンコントローラ1126に送出される。つまり、電圧V2fが電流検出回路(第1電流検知回路)1228で検出する電流(画像形成装置への入力電流)に対応している。
次に本発明の実施例4に係る画像形成装置のエンジンコントローラ1126による定着器の制御シーケンスについて説明する。
図23は、本発明の実施例4に係るエンジンコントローラ1126による定着器1109の制御シーケンスを説明するフローチャートである。また図24は、実施例4に係るエンジンコントローラ1126の機能構成を示すブロック図である。以下、図23及び図24を参照して、実施例4に係る処理を詳しく説明する。
先ずステップS31で、エンジンコントローラ1126のヒータオン要求判断部1901が、ヒータ1109cをオンするヒータオン要求が入力されたかを判断する。このヒータオン要求が入力されない場合はステップS31を実行するが、ヒータオン要求が入力されるとステップS32に進み、予め設定されたイニシャルの電力デューティDを電力デューティ保存部1905に保存する。次にステップS33に進み、電力デューティ決定部1902が、電力デューティ保存部1905に保存された電力デューティDを、ヒータ1109cをオンさせる電力デューティとして決定する。そしてその電力デューティDに基づいてON1信号出力部1903、ON2信号出力部1904からそれぞれON1信号、ON2信号を出力してヒータ1109cの発熱体1203,1220に通電する。ここでは、ステップS32で電力デューティ保存部1905に保存された電力デューティDに相当する位相角α1で、ON1,ON2信号のオンパルスがZEROX信号をトリガにして、エンジンコントローラ1126よリ送出される。これにより発熱体1203,1220には、位相角α1で電流が供給される。尚、この電力デューティDは、予め想定されている入力電圧の範囲やヒータ1109cの抵抗値等を考慮して許容電流を超えない値に設定されている。つまり、入力電圧が最大、ヒータの抵抗値が最小、低圧電源(LVPS)電流が最大の場合を想定して電力デューティDが設定されている。
次にステップS34に進み、ヒータ温度検出部1914がTH信号に基づいてヒータ1109cの温度を検出する。次にステップS35に進み、Dp算出部1915がヒータ投入電力デューティDpを算出する(第1算出手段)。つまり、デューティDpはヒータ温度検出部1914の検知温度に基づいて決定されるデューティ(投入電力比率)である。
次にステップS36に進み、発熱体1203,1220がデューティDで通電された状態で、電流検出回路(第2電流検知回路)1227(図16)から送られてくるHCRRT1信号により、V1f検出部1906が電圧V1fを取得する。この電圧V1fは、前述したコンデンサ1074a(図19)でピークホールドされた電圧値V1fに該当している。即ち、図21に示すHCRRT1信号のピークホールド値であり、定着器に流れる電流に対応している。この電圧V1fを取得した後、ステップS37で、交流電源1201の周波数に応じて、V1f周波数補正部1907が電圧V1fを補正する。周波数に応じて電圧V1fを補正する理由は、コンデンサ1074aでピークホールドされた電圧値V1fは交流電源の周波数に依存した値となってしまうからである。したがって、特に説明がない場合、第2の電流検知回路1227の検知電流は、交流電源周波数で補正した後の電圧V1fを指すものとする。次にステップS38に進み、V1f周波数補正部1907で補正された周波数補正後の電圧V1fを基に、Df算出部1908が負荷(定着器)電流リミットデューティDf(第2上限値)を以下の式(1)に基づいて算出する(第2算出手段)。
Df=(V1f_lim/V1f)×D ...式(1)
ここでDは現在のデューティを示し、Dfは、負荷電流I1fが予め設定された電流値I1f_lim以下になるように制御される電力デューティを示す。また電流値I1f_limは、プリント、ウォームアップに必要な電力を供給でき、かつ、負荷に供給されても熱暴走状態に陥らない電流値である。つまり、デューティDfはヒータが異常発熱状態にならないようにするためのデューティの上限値である。なお、電圧値V1f_limは電流値I1f_limに対応する電圧値である。
次にステップS39に進み、発熱体1203,1220がデューティDで通電された状態で、電流検出回路(第1電流検知回路)1228(図16)から送られてくるHCRRT2信号により、V2f検出部1909が電圧V2fを取得する。この電圧V2fは、前述したコンデンサ74b(図20)でピークホールドされた電圧値V2fに該当している。即ち、図22に示すHCRRT2信号のピークホールド値であり、商用電源から画像形成装置への入力電流に対応している。
この実施例4では、ZEROX信号をトリガにして、ZEROX信号の立上がりエッジからDIS信号を送出するまでの間、期間Tdly内にこのピークホールド値を取得する。この期間Tdlyは、エンジンコントローラ1126がピークホールド電圧値V2fを検知するのに十分な時間に設定されている。こうして電圧値V2fを取得した後、ステップS40に進み、交流電源1201の周波数に応じてV2f周波数補正部1910が電圧V2fを補正する。電圧V2fを交流電源の周波数で補正する理由も第2の電流検知回路の場合と同じである。したがって、特に説明がない場合、第1の電流検知回路1228の検知電流は、交流電源周波数で補正した後の電圧V2fを指すものとする。
次にステップS41に進み、V2f比較部1911が、その補正された電圧V2fが所定電圧(閾値電圧)V2f_thを越えているかどうかを判定する。所定電圧(閾値電圧)V2f_thは、本実施例では電流15A(アンペア)に相当する値である。ここで電圧V2fが閾値電圧V2f_thを超えている場合はステップS42に進む。そしてDi算出部1912が、予め設定された電圧V2f_limと、ステップS40で周波数補正された電圧V2fとを用いて、以下の式(2)に従って電源電流リミットデューティDi(第1上限値)を算出する(第3算出手段)。
Di=(V2f_lim/V2f)×D ...式(2)
ここで、本実施例の場合、電圧値V2f_limは商用電源から画像形成装置に供給可能な入力電流として規格上設定された電流値15Aよりも小さな電流値に対応している。本実施例では電圧V2f_limを14.7Aに相当する値に設定している。このように、電圧V2f_thと電圧V2f_limを夫々設定している理由は、画像形成装置への入力電流が頻繁に15Aを超えないようにするためである。したがって、電圧V2f_thと電圧V2f_limを同じ値(例えば15Aに相当する値、または14.7Aに相当する値等)に設定しても構わない。
以上のように、デューティDiは商用電源から画像形成装置に供給可能な所定の入力電流を超えないようにするためのデューティの上限値である。このデューティDiは、電圧V2f(即ち第1電流検知回路1228の検知電流)とV2f_lim(即ち所定の入力電流)の差分に応じて異なる。
こうして電源電流リミットデューティDiを求めた後、次に、電力デューティ決定部1902で電力デューティDを決定する処理について説明する。
まずステップS43に進み、ステップS42で求めた電源電流リミットデューティDiと負荷電流リミットデューティDfとの大小を判定する。ここでDfがDiより大きい場合、即ち、電源電流リミットよりも負荷電流リミットの方が大きい場合はステップS44に進み、ヒータ投入電力デューティDpと電源電流リミットデューティDiとの大小を判定する。ここでDpがDiより大きい場合、即ち、電源電流リミットよりもヒータ投入電力が大きい場合はステップS45に進み、小さい方の電源電流リミットデューティDiを電力デューティ保存部1905に保存する。
一方、ステップS43でDfがDiより小さい場合、即ち、電源電流リミットよりも負荷電流リミットの方が大きい場合はステップS49に進み、ヒータ投入電力デューティDpと負荷電流リミットデューティDfの大小を判定する。ここでDpがDfより大きい場合はステップS50に進み、小さい方の負荷電流リミットデューティDfを電力デューティ保存部1905に保存してステップS46に進む。一方、ステップS44でDpがDiより小さい場合、或はステップS49でDpがDfよりも小さい場合はステップS51に進み、小さい方のヒータ投入電力デューティDpを電力デューティ保存部1905に保存してステップS46に進む。このように電圧V2fが閾値電圧V2f_thを超えている場合は、より小さい方の電力デューティDを求めて電力デューティ保存部1905に保存する。
このように、デューティDpと、デューティDfと、デューティDiとを比較して、最も小さなデューティをヒータに通電するデューティDに決定する。このようなデューティ決定アルゴリズムを用いた場合の商用電源から画像形成装置への入力電流(インレット電流)の変化を図31に示す。
図31は、ヒータ温度検出部1914の検知温度と制御目標温度を用いて決定されるデューティDpが60%で、且つデューティDfが90%に決定されている場合を示してある。ヒータ以外の画像形成装置(オプション装置を含む)の負荷(低圧電源負荷)に流れる電流が少ない定常時、ヒータに投入可能なデューティDは上述のデューティ決定アルゴリズムによってDpになる。しかしながら、D=60%でヒータに通電している時に低圧電源負荷に流れる電流が増大(Max時)すると、画像形成装置への入力電流が電流Ilimit(14.7A)を超えることがある(図31の「制限前」)。そこで、図23のステップS39で第1電流検知回路1228が電流Ilimit以上の値を検知すると、図31の例の場合、デューティDiが55%に決定される。このデューティDiがデューティDpよりも小さいので、ヒータに投入されるデューティDが55%に変更されて、図31の「制限後」のように、画像形成装置への入力電流が電流Ilimit(14.7A)の範囲内に収まるようになる。
なお、本実施例では3つのデューティ(Dp、Df、Di)のうち、最も小さいデューティをヒータに投入するデューティに決定している。しかしながら、少なくともデューティDpとデューティDiのうち小さいほうをデューティDに決定すれば、商用電源から画像形成装置への入力電流を所定値以下に抑えつつ処理能力の低下を抑えられる画像形成装置を提供することができる。
一方、ステップS41で、ピークホールド電圧値V2fが閾値電圧V2f_thを超えていない場合はステップS49に進み、DpもしくはDfが選択される。
こうしてステップS45,S51,S50のいずれかで電力デューティDが保存されるとステップS46に進む。ステップS46では、その保存された電力デューティDに基づいて、ON1信号出力部1903、ON2信号出力部1904からそれぞれON1信号、ON2信号を出力して発熱体1203,1220を電力デューティDで通電する。次にステップS47に進み、ヒータオン要求があるかどうかを判断し、ヒータオン要求がある場合はステップS34に進み、上記処理を繰り返すが、ヒータオン要求が無い場合はステップS48に進み、ヒータをオフして処理を終了する。
以上説明したように実施例4によれば、商用電源(交流電源)1201から供給される電流が所定の上限電流を超えない範囲でヒータに電力を供給するように制御することができる。また、このような電流制限を行っている時に定着器の温度が制御目標温度より低い所定温度(定着可能下限温度)を下回った場合、実施例1と同様に、少なくとも第2段階の調整動作(定着器へ搬送する記録材の搬送間隔を拡大する動作)を実行すればよい。このことは、以下に示す実施例5〜7も同様である。
次に本発明の実施例5に係る画像形成装置のエンジンコントローラ1126による定着器の制御シーケンスについて説明する。尚、この実施例5に係る装置構成は前述の実施例4と同様であるため、その説明を省略する。
図25は、本発明の実施例5に係るエンジンコントローラ1126による定着器1109の制御シーケンスを説明するフローチャートである。また図26は、実施例5に係るエンジンコントローラ1126の構成を示すブロック図である。以下、図25及び図26を参照して、実施例5に係る処理を詳しく説明する。尚、図25のステップS61〜S63,S65〜S68,S70〜S72は、図23のステップS31〜40と基本的に同じ処理である。
ステップS61で、エンジンコントローラ1126のヒータオン要求判断部1901がヒータオン要求が入力されたかを判断し、その要求が入力されるとステップS62に進み、予め設定されたイニシャルの電力デューティDを電力デューティ保存部1905に保存する。このヒータオン要求が発生しない場合はステップS61の処理を繰り返す。次にステップS63に進み、電力デューティ決定部1902は、電力デューティ保存部1905に保存された電力デューティDに基づいてON1信号出力部1903、ON2信号出力部1904からON1信号、ON2信号をそれぞれ出力する。こうして発熱体1203,1220が電力デューティDで通電される。次にステップS64に進み、変数N更新部1005で変数Nに「0」を代入する。この変数Nは、ヒータON要求が存在する期間中に、ヒータに投入するデューティDとしてデューティDiが採用された回数を表している。デューティDpではなくデューティDiが採用されているということは、商用電源から画像形成装置への入力電流がリミットIlimitを越えたからである。したがって、変数Nは、ヒータON要求が存在する期間中に、商用電源から画像形成装置への入力電流がリミットIlimitを越えた回数でもある。変数Nの値が大きいということは、ヒータON要求が存在する期間中に頻繁に入力電流がリミットIlimitを越えたことになる。実施例4に示したようなデューティ決定アルゴリズムの場合、決定されるデューティDでヒータに通電すると、第1電流検知回路1228による検知電流がIlimitに近くなる。したがって入力電流リミットIlimitを15A、またはこの値に非常に近い値に設定していると、頻繁に入力電流がリミットIlimitを越えることも考えられる。そこで、本実施例では、Nが所定値aを超えた場合、現在のデューティDを多少大きな固定値で削減してデューティDmを設定する。そして、デューティDmが採用された場合には、暫くの間、N値が更新されないようにしている。
次にステップS65に進み、ヒータ温度検出部1914がTH信号によりヒータ1109cの温度を検出する。その後ステップS66で、Dp算出部1915がヒータ投入電力デューティDpを算出する。次にステップS77で、発熱体1203,1220にデューティDで通電した状態で、V1f検出部1906で電圧V1fを検出する。こうして電圧V1fを取得した後、ステップS68に進み、V1f周波数補正部1907が、交流電源1201の周波数に応じて電圧値V1fを補正する。次にステップS69に進み、I1f算出部1009が周波数補正後の電圧値V1fから電流値I1fを算出する。この電流値I1fの算出は、例えば表5に示すような変換テーブルがエンジンコントローラ1126に設けられており、この変換テーブルに基づいて電流値I1fを算出する。
次にステップS70に進み、Df算出部1010が電圧V1fを基に、前述の式(1)に基づいて負荷電流リミットデューティDfを算出する。次にステップS71に進み、発熱体1203,1220がデューティDで通電された状態で、V2f検出部1906が電圧V2fを検知して取得する。この電圧V2fを取得した後、ステップS72で、V2f周波数補正部1910が交流電源1201の周波数に応じて電圧値V2fを補正する。
次にステップS73に進み、変数N比較部1013が変数Nと予め設定された所定値aとの大小を判定する。ここでNがaよりも小さい場合はステップS74に進み、I2f算出部1014が、電圧値V2fから電流値I2fを算出する。この電流値I2fの算出は、例えば前述の表5に示すような変換テーブルを用いて行われる。尚、I1f算出用の変換テーブルとI2f算出用の変換テーブルは共通の変換テーブルを使用しても良く、或はそれぞれ別の変換テーブルを使用しても良い。
次にステップS75に進み、Di算出部1912が電流値I2fと電流値I1fと、予め設定されている交流電源1201から供給される電流の制限値I2f_limとを用いて、以下の式(3)に従って電源電流リミットデューティDiを算出する。
Di=(I1f−I2f+I2f_lim)×D/I1f ...式(3)
こうして電源電流リミットデューティDiを求めた後、次に、電力デューティ決定部1902で電力デューティDを決定する処理について説明する。尚、この図25において、デューティDp、Di、Dfを用いてデューティDを決定するアルゴリズムは実施例4と同じである。
まずステップS76で、負荷電流リミットデューティDfと電源電流リミットデューティDiの大小を判定する。ここでDfがDiより大きい場合はステップS77に進み、ヒータ投入電力デューティDpとDiの大小を判定する。ここでDpがDiより大きい場合はステップS78に進み、Diを電力デューティ保存部1905に保存する。そしてステップS79に進み、変数N更新部1005が変数Nを(N+1)に更新してステップS80に進む。一方、DpがDiより小さい場合はステップS88に進み、Dpを電力デューティ保存部1905に保存する。そしてステップS90で、変数N更新部1005が変数Nに0を代入してステップS80に進む。
またステップS76で、DfがDiより小さい場合はステップS87に進み、DpとDfの大小を判定する。ここでDpがDfより小さい場合は前述のステップS88に進むが、DpがDfより大きい場合はステップS89に進み、Dfを電力デューティ保存部1905に保存してステップS90に進む。
またステップS73で、変数Nの値がaより大きい場合はステップS83に進み、変数N更新部1005が変数Nに0を代入する。その後ステップS84に進み、Dm算出部1913が,現在のヒータ投入電力デューティDから所定値を減じた電力デューティDmを算出する。そしてステップS85に進み、DfとDmの大小の比較を行う。ここでDfがDmより小さい場合はステップS87に進むが、DfがDmより大きい場合はステップS86に進み、DpとDmの大小の比較を行う。ここでDpがDmより小さい場合はステップS88に進み、そうでないときはステップS91に進み、Dmを電力デューティ保存部1905に保存して前述のステップS90に進む。
こうしてステップS78,S88,S89,S91のいずれかで電力デューティDが保存されるとステップS80に進む。ステップS80では、その保存された電力デューティDに基づいて、ON1信号出力部903、ON2信号出力部904からON1信号、ON2信号をそれぞれ出力して、発熱体1203,1220を電力デューティDで通電する。次にステップS81に進み、ヒータオン要求があるかどうかを判定し、ヒータオン要求がある場合はステップS65に進み、上記処理を繰り返す。一方、ヒータオン要求が無い場合はステップS82に進み、ヒータをオフして処理を終了する。
以上説明したように実施例5によれば、交流電源1201から供給される電流が所定の上限電流を超えない範囲で、ヒータに供給する電流を制御することができる。
次に本発明の実施例6に係る画像形成装置のエンジンコントローラ1126による定着器の制御シーケンスについて説明する。尚、この実施例6に係る装置構成は前述の実施例4と同様であるため、その説明を省略する。
図27は、本発明の実施例6に係るエンジンコントローラ1126による定着器1109の制御シーケンスを説明するフローチャートである。また図28は、実施例6に係るエンジンコントローラ1126の構成を示すブロック図である。
先ずステップS101で、エンジンコントローラ1126のヒータオン要求判断部1901がヒータオン要求が入力したかを判定する。このヒータオン要求を入力するとステップS102に進み、予め設定された電力デューティDを電力デューティ保存部1905に保存する。このヒータオン要求が発生しない場合はステップS101の処理を繰り返す。次にステップS103で、電力デューティ決定部1902がヒータ109cをオンさせる電力デューティを決定する。そして、この決定した電力デューティに基づいてON1信号出力部1903、ON2信号出力部904からON1信号、ON2信号をそれぞれ出力し、発熱体1203,1220を電力デューティDで駆動する。次にステップS104に進み、発熱体1203,1220をデューティDで駆動している状態で、V1f検出部1906により電圧V1fを検出して取得する。その後ステップS105に進み、V1f周波数補正部1907により電圧V1fの周波数補正を行ってV1f保存部1108に保存する。次にステップS106に進み、発熱体1203,1220をデューティDで駆動した状態で、V2f検出部1909により、電圧V2fを取得する。そしてステップS107に進み、V2f周波数補正部1910により電圧V2fの周波数補正を行い、その結果をV2f保存部1111に保存する。
次にステップS108に進み、データ数比較部1112がデューティD、電圧V1f、電圧V2fのデータ数が、予め設定されている数bだけ取得できたかどうかを判定する。これらの取得数がbに到達していない場合はステップS103に戻り、上記の処理を繰り返す。
こうしてステップS108で、取得したデータ数がbに到達するとステップS109に進み、D_ave算出部1113が最新のb分のヒータ投入電力デューティDの平均値(D_ave)を算出する。次にステップS110に進み、ヒータ温度検出部1914がTH信号よりヒータの温度を検出する。そしてステップS111で、Dp算出部1915がPID制御用のヒータ投入電力デューティDpを算出する。これらステップS110,S111の処理は図23のステップS34,S35と同じである。
次にステップS112に進み、V1f_ave算出部1114が最新のb分の電圧値V1fの平均値(V1f_ave)を算出する。そしてステップS113で、Df算出部1908が平均値V1f_aveを基に以下の式(4)4に従って負荷電流リミットデューティDfを算出する。
Df=(V1f_lim/V1f_ave)×D ...式(4)
次にステップS114に進み、V2f_ave算出部1116が最新のb分の電圧値V2fの平均値(V2f_ave)を算出する。そしてステップS115で、この平均値V2f_aveと閾値電圧V2f_thの大小を判定する。ここで平均値V2f_aveがV2f_thより大きい場合はステップS116に進み、Di算出部1912が以下の式(5)に従って電源電流リミットデューティDiを算出してステップS118に進む。
Di=(V2f_lim/V2f_ave)×D ...式(5)
こうして電源電流リミットデューティDiを求めた後、次に、電力デューティ決定部1902で電力デューティDを決定する。尚、以降のデューティDの決定アルゴリズムは図23と共通しているので説明は省略する。
こうしてステップS120,S121,S123のいずれかで電力デューティDが保存されるとステップS127に進む。ステップS127では、保存された電力デューティDに基づいて、ON1信号出力部1903、ON2信号出力部1904からそれぞれON1信号、ON2信号を出力する。これにより、発熱体1203,1220が電力デューティDで通電される。次にステップS128に進み、ヒータオン要求があるかどうかを判定し、ヒータオン要求がある場合はステップS104に戻り上記処理を繰り返す。またヒータオン要求が無い場合はステップS129に進み、ヒータをオフして処理を終了する。
以上説明したように実施例6によれば、交流電源から供給される電流が所定の上限電流を超えない範囲で、ヒータに供給する電流を制御することができる。
また前述の実施例5の制御を、実施例6のようにD_ave、V1f_ave、V2f_aveを求めて行なってもよい。
実施例7は、制御を簡略化するために、商用電源から画像形成装置への入力電流の所定時間内の平均値、及びヒータへ供給する電流の所定時間内の平均値を用いて、ヒータへ供給する電流のデューティの上限値の更新回数を少なくするところが特徴である。
次に本発明の実施例7に係る画像形成装置のエンジンコントローラ1126による定着器の制御シーケンスについて説明する。尚、この実施例7に係る装置構成は前述の実施例4と同様であるため、その説明を省略する。
図29は、本発明の実施例7に係るエンジンコントローラ1126による定着器109の制御シーケンスを説明するフローチャートである。また図30は、実施例7に係るエンジンコントローラ1126の構成を示すブロック図である。
図30において、電力デューティ制御部1200が、上述したエンジンコントローラ1126の一機能として実現されるものとする。電力デューティ制御部1200は、交流電源1201から画像形成装置に供給される電流値の所定時間の平均が上限値を超えた場合に、平均電力デューティ検出部1209、平均電流検出部1201,1205の検出結果に基づいて上限電力デューティを算出する。商用周波数検出部1215は、交流電源1201の周波数を検出する。
平均電流検出部1205は、交流電源1201から、この画像形成装置に供給される電流値に対応するHCRRT2信号のピークホールド値を、周波数補正部1216で補正して記憶部1207に記憶する。記憶部1207は所定時間に亘る(所定期間内の)電流値を記憶しており、その平均値を平均電流算出部1206で算出する。平均電流検出部1205は、この平均電流値を電力デューティ算出部1217に出力する。
平均電流検出部1201は、ヒータ1109cに供給される電流値に対応するHCRRT1信号のピークホールド値を、周波数補正部1214で補正して記憶部1203に記憶する。記憶部1203は所定時間に亘る(所定期間内の)電流値を記憶しており、その平均値を平均電流算出部1202で算出する。平均電流検出部1201が記憶する時間は、平均電流検出部1205が記憶する時間と異なる所定時間を記憶してもよい。平均電流検出部1201は、この平均電流値を、電力デューティ算出部1217に出力する。
平均電力デューティ検出部1209は、電力デューティ算出部1217で算出された値を記憶部1211に記憶する。記憶部1211は、平均電流検出部1205が記憶する時間と一致する所定時間の電力デューティを記憶しており、その平均値を平均電力デューティ算出部1210で算出する。平均電力デューティ検出部1209は、この算出された平均電力デューティを電力デューティ算出部1217に出力する。格納部1213は、電力デューティや電流値の初期値を保持している。
電力デューティ算出部1217の上限電力デューティ算出部1222は、平均電流検出部1201、平均電流検出部1205、平均電力デューティ検出部1209の出力に応じて、ヒータ1109cに供給可能な上限電力デューティDlimit_nを算出する。ヒータ1109cに供給される電力デューティは、判断部1221において、ヒータ温調制御部1220の出力と、上限電力デューティ算出部1222の算出結果に基づいて決定される。こうして算出された上限電力デューティDlimit_nは、平均電力デューティ検出部1209の記憶部1211に記憶される。
次に図29のフローチャートを参照して、実施例7に係る定着器1109の制御シーケンスについて説明する。
まずステップS131で、エンジンコントローラ1126にて、ヒータ1109cへの電力供給開始要求(ヒータオン要求)が発生するかを判断し、オン要求が発生するとステップS132に進む。ステップS132では、予め定められた電力デューティDlimit_1を、想定されている入力電圧の範囲やヒータ1109cの抵抗値等を考慮して最大電力デューティとして設定する。ここでは例えば、入力電圧が最小で、抵抗値が最大の場合を想定して、ヒータ1109cに通電可能な許容電流を超えない電力デューティとして設定する。
次にステップS133に進み、上述の電力デューティDlimit_1を上限デューティとしてヒータ温調制御を開始する。ここではエンジンコントローラ1126に設定されている所定の温度になるように、TH信号を基に、例えばPID制御により発熱体1203,1220に供給する電力を制御する。そして以下の処理では、目標の温度情報(制御目標温度)とTH信号による温度情報との差分から、ヒータを駆動する電力デューティD_nを決定している。但し、算出した電力デューティD_nが上限デューティDlimit_1を超える場合は、この上限デューティDlimit_1を電力デューティD_1とする。つまりステップS133では、上限デューティDlimit_1以下の電力デューティD_1でヒータの温調制御を行うことになる。ここでは電力デューティD_1に相当する位相角α_1で、ON1信号、ON2信号のオンパルスがZEROX信号をトリガにしてエンジンコントローラ1126よリ送出される。これにより発熱体1203,1220に位相角α_1で電流が供給される。
次にステップS134に進み、現時点の電力デューティD_1の値を記憶部1211に記憶する。ここでは所定時間Lにおける平均電流を求めて、その平均値を基に制御する。そして、そのサンプリングする数kは、交流電源1201の最小の商用周波数fに応じて決定される。例えば、k=L×fで求められる。従って記憶部1211は、数k分の電力デューティを保存でき、また格納部1213には、初期値の上限電力デューティDlimit_1及び「0」が格納されている。こうして最新の数k分の電力デューティを保持する。
次にステップS135に進み、ZEROX周期T_1を検出する。ここでは、商用周波数検出部1215が、ZEROX信号の立下がりエッジから立下がりエッジまでの時間間隔Tを検出することにより交流電源1201の周波数を検知する。
次にステップS136に進み、電力デューティD_1で通電している状態で、ヒータに流れる電流を検知する電流検出回路1227から送られてくるHCRRT1信号により電圧V1f_1(電流値I1f_1に相当)を取得する。これは前述したようにコンデンサ1074aでピークホールドされた電圧値V1f_1に相当している。即ち、図21に示すHCRRT1信号のピークホールド値である。この実施例7では、ZEROX信号をトリガにして、ZEROX信号の立ち上がりエッジからDIS信号を送出するまでの間、期間Tdly内にこの値を取得する。この期間Tdlyは、エンジンコントローラ1126がピークホールド値V1f_1を検知するのに十分な時間に設定されている。
尚、図29のフローチャートの説明では、電流値を検出し、その電流値に基づいて上限電流値及び上限デューティを求めるように説明しているが、前述したように、実際はピークホールドされた電圧値を検出している。そして、この電圧値に対応する電流値を求めて計算を実行している。
次にステップS137に進み、電流値I1f_1の周波数補正値を求めて記憶部1203に記憶する。尚、ここで記憶部1203には、m波(交流電源のm周期)分の電流値を保存する。例えば、ヒータ1109cに流れる電流を1波(交流電源の1周期)ごとに検知して電流の制限値を設定する場合は、m=1に設定する。格納部1213は、記憶部1203の初期値「0」を格納している。ここで、HCRRT1信号により得られる電流値I1f_1値は、前述したように、2乗波形の交流電源1201の周波数の半周期分の積分値である。いま、この交流電源1201の周波数を特定の周波数、例えば予め50Hzと設定すると、電流値I1fは50Hzにおける電流値となる。
いま電流値I1f_1の50Hz換算値をI150_1とすると、ZEROX周期T_1より、
I150_1=I1f_1×(1/T_1)/50
で表すことができる。
次にステップS138に進み、電力デューティD_1で通電している状態で、商用電源から画像形成装置への入力電流を検知する電流検出回路1228から送られてくるHCRRT2信号から電圧V2f_1(電流値I2f_1に相当)を取得する。これは前述したようにコンデンサ1074bでピークホールドされた電圧V2fに該当している。即ち、図22に示すHCRRT2信号のピークホールド値である。
次にステップS139に進み、ステップS138で求めた電流値I2f_1の周波数補正値を求め、その結果を記憶部1207に記憶する。ここではステップS134で保存した電力デューティと同じく、記憶部1207に数k分の電流値を保存可能であり、格納部1213には初期値「0」が格納されている。ここで、HCRRT2信号により得られる電流値I2f_1は、前述したように、2乗波形の周波数の半周期分の積分値である。交流電源1201の周波数を特定の周波数、例えば予め50Hzと設定しておくと、電流値I2fは50Hzにおける電流値となる。
電流値I2f_1の50Hz換算値をI250_1とすると、ZEROX周期T_1より、
I220_1=I2f_1×(1/T_1)/50
で表すことができる。
次にステップS140に進み、ステップS137で記憶部1203に記憶した、電流値I1fの50Hz換算値に基づき、エンジンコントローラ1126において、数m分の周波数補正した電流値I1f_1の平均電流値I1_aveを算出する。
次にステップS141に進み、発熱体1203,1220に供給可能な電流制限値(第1電流値)Ilimit1と、ステップS139で算出した平均電流値I1_aveとを比較する。ここで電流制限値Ilimit1は、例えば50Hzにおける電流制限値とする。尚、このステップS141の処理は、交流電源1201より画像形成装置に供給される電流が許容範囲内で供給されている場合でも、発熱体1203,1220に供給する電力の上限値が、図16の回路に使用されている素子の定格によって変動するためである。従って、ここでは制限値Ilimit1以下に制御する必要がある。但し、想定されている交流電力の電圧範囲やヒータ1109cの抵抗値等を考慮して、ヒータへのデューティリミットである電力デューティDlimit_1で制御する場合に電流値I1fが許容電流値を超えない場合は、ステップS136〜S137,S140〜S142を省いてもよい。
そしてステップS141で、I1_ave≧Ilimit1であると判定されるとステップS142に進み、I1_ave<Ilimit1の場合はステップS143に進む。ステップS142に移行する場合、発熱体1203,1220に供給する電流が、予め定められたヒータへ供給可能な電流制限値を超えている。このため平均電力デューティ算出部1210が、ステップS134で記憶部1211に保存した電力デューティD_nの数m分の平均値D1_aveを算出する(k≧m)。そしてこの平均電力デューティD1_aveと、ステップS140で算出した電流値I1fの平均電流値I1_aveと、発熱体1203,1220に供給可能な所定の電流制限値Ilimit1とを元にDlimit_2を算出する(Dlimit_n+1を算出する)。尚、この電力デューティDlimit_2は、以下の式により求められる。
Dlimit_2=(Ilimit1/I1_ave)×D1_ave
一方、ステップS141で、I1_ave<Ilimit1と判定した場合はステップS143に進み、ステップS139で記憶部1207に記憶した、電流値I2fの50Hz換算値に基づいて、数k分の平均電流値I2_aveを算出する。そしてステップS144で、予め定められている交流電源1201より供給可能な電流制限値(第2電流値)Ilimit2と、ステップS143で算出した平均電流値I2_aveとを比較する。ここでは電流制限値Ilimit2を、例えば50Hzにおける電流制限値としておく。
ステップS144で、I2_ave≧Ilimit2の場合はステップS145に進み、I2_ave<Ilimit2の場合はステップS146に分岐する。ステップS145は、交流電源1201より供給される平均電流が、予め定められた電流制限値を超えた場合である。従って、この場合は、平均電力デューティ算出部1210が、ステップS134で記憶部1211に記憶した電力デューティに基づき、数k分の電力デューティの平均値D2_aveを算出する。こうして算出した平均電力デューティD2_aveと、電流値I2f_1の50Hz換算値I250_1に基づき、発熱体1203,1220に通電可能な、上限の電力デューティDlimit_2を算出する。尚、この電力デューティDlimit_2は、以下の式により求められる。
Dlimit_2=(Ilimit2/I2_ave)×D2_ave
こうして、電流値I2f_1の50Hz換算値I250_1が、I250_1≧Ilimit2の場合は、上限の電力デューティDlimit_2は、Dlimit_2=min(D_ave,Dlimit_1−X)となる。一方、I250_1<Ilimit2の場合は、上限の電力デューティDlimit_2は、Dlimit_2=min(D_ave,Dlimit_1)となる。なお、ここで「min(,)」は、括弧内のいずれか小さい方を意味している。またXは、電流値I2f及び数k分の平均電流値がともに電流制限値Ilimit2を超えた場合の、上限電力デューティの低減率を示している。このXの値は、ヒータ1109cを除いた全回路(LVPS)に流れる電流量や1波ごとの電流値の変化率に応じて、所定の値に設定される。
このように、上限電力デューティDlimit_2を求める際、平均電力デューティD2_aveを参照することにより、ヒータの温調制御による電力デューティの変化や、ヒータ1109cを除いた全回路(LVPS)に流れる電流値の変化に対応できる。また必要以上に電力デューティの上限を下げることなく温調制御が可能である。
以上の処理を、ステップS146で、ヒータ1109cの温調制御が終了するまで、交流電源1201の周期ごとに繰り返し行い、エンジンコントローラ1126において、発熱体1203,1220に供給する電力デューティを算出する。尚、上限電力デューティDlimit_nの値は、ステップS142及びS145で更新されない限り、上限電力デューティDlimit_n−1の値がそのまま保持される。
以上説明したように実施例7では、ステップS133で、上限電力デューティDlimit_n以下の電力デューティD_nでヒータを温調制御する。そして、ステップS136で、HCRRT1信号により電圧値V1f_n(電流値I1f_n)を取得し、ステップS138で、HCRRT2信号により電圧値V2f_n(電流値I2f_n)を取得する。そしてステップS137,S139で、それぞれを周波数補正した値を記憶部1203及び1207に記憶する。
次に、電流値I1f_nのm波分の平均値及び、電流値I2f_nのk波分の平均値を求め、これら平均値のそれぞれが各対応する制限値Ilimit1或はIlimit2を超えたかどうかを判定する。そして、この制限値を越えた場合は、上限電力デューティ算出部1222において、上限電力デューティDlimit_n+1を算出する。尚、この上限電力デューティは、平均電流検出部1201、平均電流検出部1205、平均電力デューティ検出部1209で算出した値に基づいて算出される。
尚、上述の説明では、ヒータ1109cを構成する発熱体1203,1220が2つの場合で説明したが本発明はこれに限定されるものでなく、発熱体が1本の場合であっても、同様の制御が可能である。
尚、プリント前にヒータを必要な温度まで温調する場合と、プリント中にモータ等を駆動させながらヒータを温調する場合とでは、ヒータの加熱に使用できる電流が大幅に異なる場合がある。実施例7では、ヒータ温調開始時に予め定められた電力デューティDlimit_1に上限電力デューティをリセットしているので、プリント前にヒータを温調する際に最大限の電流を投入し、かつプリント中にも最適な電流設定値で制御することが可能である。
またプリント前のヒータ温調時とは別に、プリント中では電力デューティに所定の設定値を設けてもよい。(プリント前温調から、プリント状態にシーケンスが切り替わった際に、Dlimit_nの値が所定の設定値を超える場合は、Dlimit_n+1を前述した設定値以下に制御する。)
以上説明したように実施例7によれば、平均電流検出部1201、平均電流検出部1205、平均電力デューティ検出部1209で算出した電流値を平均した値を用いている。これにより、ノイズや突入電流や瞬時的な負荷変動などにより一時的に電流が増大しても、入力電源の電圧や力率、ヒータの抵抗値のバラつきや電流波形の波形率に対して精度良く上限値を設定できる。こうして各条件において最大限に電力性能を出させることが可能となる。