JP4998932B2 - メタノール改質装置 - Google Patents
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Description
そこで、メタノールを原料ガスの主成分に採用した水蒸気改質装置(メタノール改質装置)が開発されている。メタノール改質装置によれば、改質温度が200〜300℃と比較的低温である。そのため、天然ガスの場合に比べて、設備の起動を迅速に行うことができる。
特許文献1は、反応管を外筒と内筒とからなる直立した二重筒構造とし、加熱した原料ガスを下端から上端に向かって外筒に流入させた後、内筒を上端から下端に向かって流通させるとともに、熱媒体は加熱室内を反応管に沿ってその原料ガス流入側から上方に向かって流れるように構成されている。これにより、高温の熱媒体が接触する外筒下端の原料ガスの流入部から、比較的低温の内筒下端の反応ガスの流出部に熱伝達が行われる。その結果、原料ガスの流入部の過度の温度上昇が避けられる。しかも、改質ガス成分の多い反応ガス流出部は外筒で囲まれているので、熱媒体と直接接触せずに比較的低温に保たれ、この部分での一酸化炭素の発生を抑えることができる。
また、特許文献2のメタノール改質方法およびその装置によれば、電磁誘導により加熱される発熱体を熱源としているため、常時、交流電源による電力の供給が必要であった。そのため、装置内における熱の有効利用がなされておらず、メタノール改質ガスを得るための熱効率が悪く運転経費が嵩むという問題があった。さらに、多段に設置した発熱体(加熱器)毎に温度検出器を設けて個別に温度制御を行っているため、メタノール改質システムが複雑となり、設備コストが高価となっていた。
本発明は、原料ガスの加熱や原料改質部の加熱における熱交換率を高めることができるメタノール改質装置を提供することを目的としている。
本発明は、触媒燃焼加熱方式を用いた加圧改質反応が可能で、これにより水素製造システムにおいて、従来の常圧改質反応によるシステムと比較して、改質反応速度が大きくなるため触媒使用量を低減することができる。また、改質装置の後流にPSAや分離膜等を用いた水素精製ユニットを配置したシステムの場合、改質ガスの加圧が必要となり、従来の常圧改質反応によるシステムでは改質ガス昇圧用の圧縮機が必要であった。本発明では加圧された改質ガスが生成するため、メタノール改質装置の下流に配置される改質ガス昇圧用の圧縮機を不要とすることができ、その結果、水素製造システムの小型化および低コスト化を図ることができるメタノール改質装置を提供することを目的としている。
本発明は、空気予熱により、設備の起動を迅速に行うことができるとともに熱損失の低減を図ることができるメタノール改質装置を提供することを目的としている。
本発明は、予熱された空気と燃料ガスとを十分に攪拌混合させて触媒燃焼させることで、燃料ガスの燃焼効率を高めることができるメタノール改質装置を提供することを目的としている。
本発明は、改質部の上流部を改質ガス中に未反応メタノールが残らず、かつ改質触媒が熱による劣化を起こさない程度の高温領域とし、改質部の下流部をシフト反応が良好に進行する程度の低温領域とすることで、改質効率が高く、かつ一酸化炭素(CO)の副生率が低い良好な改質ガスを生成することができるメタノール改質装置を提供することを目的としている。
原料加熱部1は、内筒Cに囲まれた円筒状のケーシング11の中心部に配置され、触媒燃焼部6の燃焼触媒層に埋設されている。原料加熱器1はステンレス製のパイプをコイル状に付形したもので、原料加熱器1の入口側のパイプは、原料入口となる直管のノズルN1として、下部ヘッダ4および円筒状ケーシング11の下端板Fの中央付近を貫通し、メタノール改質装置10の外部に取り出されている。円筒状ケーシング11の下端板Fの中央部には、触媒支持用充填部7と連通する燃焼ガスの排出用のノズルN5が設けられている。また、円筒状ケーシング11の下端板Fの中央部付近には、下部ヘッダ4と連通する改質ガスの排出用のノズルN2が設けられている。
原料加熱器1の出口側のパイプは、前述したように上部ヘッダ2の内部空間に連通されており、原料加熱器1の出口部には、メッシュ部材Hが設けられている。これにより、上部ヘッダ2内の充填物の原料加熱器1への侵入を防止することができるとともに、原料ガスに含まれた微粒子などの固形物を除去することができる。原料加熱器1は、触媒燃焼部6の燃焼熱により加熱され、ノズルN1より供給される原料(メタノールおよび純水)を気化、加熱する。
原料改質部3は、上部ヘッダ2の下流側および下部ヘッダ4の上流側と連通され、内筒Cと原料加熱器1との間に、円周状(図2参照)に配置された前記8本の改質管Bから構成されている。このように原料改質部3を複数の改質管Bから構成することにより、触媒燃焼加熱による均一な加熱と高い耐圧性が得られ、加圧改質反応を行うことができる。各改質管Bはステンレス製パイプである。各改質管Bの管内には、改質触媒(例えば、銅−亜鉛系など)が充填され、触媒燃焼部6の燃焼熱で原料改質部3が加熱される構成となっている。
ガス混合拡散部5では、円筒状ケーシング11の上端板Eの中央部に立設された燃料ガス供給用のノズルN3(またはノズルN3およびPSAや水素分離膜などの水素精製装置からのオフガスの供給用のノズルN6)からの燃料と、空気分散板Gからの予熱空気が混合され、触媒燃焼部6に均一拡散されて供給される。ノズルN6は、ノズルN3を被うように同心2重管として立設されている。
触媒燃焼部6は、ガス混合拡散部5の下流側に位置し、触媒支持用充填部7の上部に、原料加熱器1および改質管Bを囲むように配置されている。触媒燃焼部6は、白金系触媒、あるいはパラジウム系触媒といった燃焼触媒が充填され、燃焼触媒層を形成している。ここでは、ガス混合拡散部5からの燃料ガスと予熱空気との酸化反応により、原料加熱および改質反応に必要な熱を供給している。触媒燃焼部6に充填される燃焼触媒は、触媒支持用充填部7の上方に直接充填されている。
空気予熱部8は、内筒Cと外壁Dとで形成された間隙部と、上部ヘッダ2と上端板Eとで形成された間隙部により形成されている。空気予熱部8内には、内筒Cの外周に沿って電気ヒータが伝熱セメントJにより固定され、コイル状に敷設されている。空気予熱部8は空気の予熱を目的とし、空気予熱部8における電気ヒータは、起動時の触媒燃焼部6の加熱を目的としている。外壁Dの下端部には、空気を空気予熱部8に導入するノズルN4が設けられている。
断熱部9は、外壁Dの外周に、装置全体を囲むように配置されている。
例えば、改質ガス中に未反応メタノールが残らない改質反応のための約250〜350℃および改質部出口における生成する改質ガス中のCO濃度を低減させる約180〜250℃の温度を得るため、触媒燃焼部6の外側より高温となる中央部には、最も熱量を要する原料加熱器1を設けるとともに、原料加熱器1の周囲に原料改質部3を設けて、改質触媒が耐熱温度以上となるのを防止し、さらに、高温となる触媒燃焼部6の上流側に、最も吸熱が大きくなる原料改質部3の入口部を配置し、かつ低温となる触媒燃焼部6の下流側に原料改質部3の出口部を配置し、熱収支のバランスをとっている。
図3〜4のグラフから、原料供給量を変化させ、生成する改質ガス量を変えた場合(運転負荷を変えた場合)においても、メタノール改質装置10では適切な温度分布となり、CO発生量の少ない改質ガスを生成させることができることが分かる。
また、表1に改質ガスの組成を示す。表1中の100%負荷とは、例えば最大水素製造量が毎時1m3のメタノール改質装置10において、水素を毎時1m3製造するためにメタノール改質装置10を最大(100%)で運転することをいう。表1中の30%負荷とは、例えば最大水素製造量が毎時1m3のメタノール改質装置10において、水素を毎時0.3m3製造するためにメタノール改質装置を最大値の30%で運転することをいう。また、比較データは、従来のメタノール改質装置において原料改質部を300℃で均一加熱したときのデータである。表1から明らかなように、本発明のメタノール改質装置10は、従来のように均一加熱ではなく、原料改質部の上流側を高温領域とし、下流側を低温領域として温度勾配を設けたため、下流側でのシフト反応が起こり易くなり、COの副生率が従来の2.57vol%から100%負荷時で0.50vol%、30%負荷時で0.90vol%まで、それぞれ低減できた。
まず、空気予熱部8に設けられた電気ヒータIを起動し、触媒燃焼部6を燃焼開始温度の約80℃以上(好ましくは100℃以上、80℃以下では燃焼開始時におけるCOおよび未燃炭化水素、あるいはアルデヒドなどの発生の恐れがある)まで加熱する。同時にノズルN4より常温の空気を流し、加熱された空気を触媒燃焼部6に供給して流通させることにより触媒燃焼部6の全体の温度を短時間で均一に上昇させる。
上部ヘッダ2に供給された原料ガスは、充填された伝熱充填物(アルミナボールなど)により拡散されるともに温度保持され原料改質部3に供給される。
CH3OH+H2O→CO2+3H2……(1)
CO2+H2⇔CO+H2O………………(2)
原料ガスは改質触媒の作用によりCO濃度の低い(1vol%以下)水素リッチなガスに改質される。改質ガスは、約180〜250℃で下部ヘッダ4に流入し、ノズルN2を通して外部に排出される。
原料供給量を変化させ、運転負荷を変えた場合においても、メタノール改質装置10では各部が相互に適切な温度分布となり、CO発生量の少ない改質ガスを生成させることができる。(図3(100%負荷) 、図4(30%負荷)を参照)。原料供給量が少ない場合は、原料加熱器1での必要熱量および原料改質部3での吸熱量が小さく、触媒燃焼部6での燃焼量を抑えるために、ガス混合拡散部5からの燃料ガスの供給量を低下させる。これにより、ガス混合拡散部5からの燃料ガスの大部分は、円筒状ケーシング11の中心側、すなわち螺旋状原料加熱器1の内側に流れ、原料改質部3が高温になり過ぎないようにしている。
1)加圧改質の方が、原料ガスと改質触媒の接触が良く、反応速度が大きくなるため触媒量を低減することができる。
2)原料の方が改質ガスより容積が小さいため改質ガスを昇圧するより、原料を昇圧する方が圧縮機(加圧ポンプ)の能力を小さくできる。
さらに、反応に要求される温度範囲になるように、各反応部を隣接して熱交換させるように配置することにより、吸熱または発熱反応に伴う熱収支を最適にバランスさせている。
原料改質部3において、上流側を高温領域、下流側を低温領域となるような配置および燃焼制御を行うことにより、改質効率が高く、かつCOの副生率の低い良好な改質ガスを生成することができる。
また、空気流通路を触媒燃焼部6の外側に設けることで、空気予熱および断熱効果による熱損失の低減を図っている。
空気予熱部8の出口に設けられたリング状の空気分散板Gは、円周上に多数の空気流通孔gが設けられ、各空気流通孔gは空気分散板Gの接線方向に向かって開口されている。そのため、予熱された空気と燃料は、空気分散板Gを通過後に螺旋状の混合ガス流を形成し十分攪拌混合され、燃焼効率を向上させることができる。
1.電気ヒータによる起動方法
起動時、空気予熱部8内に設けられた電気ヒータIを起動し、同時に常温の空気を流して加熱し、予熱空気を触媒燃焼部6に供給して触媒燃焼部6を予熱する。触媒燃焼部6が燃料ガスであるメタノール(都市ガス、LPG、灯油などでもよい)の燃焼開始温度に達した後、燃料ガスを投入して燃料ガスの燃焼を開始する。燃料ガスの燃焼開始後は電気ヒータIを停止することが可能である。
2.水素ガスによる起動方法
水素ガスは常温から触媒燃焼が可能であるため、触媒燃焼部6に水素ガスおよび空気を常温で供給し、水素ガスの燃焼により触媒燃焼部6を予熱する。触媒燃焼部6が燃料ガスであるメタノール(都市ガス、LPG、灯油などでもよい)の燃焼開始温度に達した後、水素ガスを止め、燃料ガスおよび空気を導入して燃料ガスの燃焼を開始する。
11 円筒状ケーシング
6 触媒燃焼部
1 原料加熱部
3 原料改質部
8 空気予熱部
9 断熱部
B 改質管
I 電気ヒータ
5 ガス混合拡散部
G 空気分散板
g 空気流通孔
2 上部ヘッダ
4 下部ヘッダ
7 触媒支持用充填部(触媒支持用充填材)
H メッシュ部材
Claims (12)
- 直立した円筒状ケーシングと、
円筒状ケーシング内に、該円筒状ケーシングの軸線を中心として同心円状に配置され、空気と混合された燃料ガスを燃焼させる燃焼触媒が充填された燃焼触媒層からなる触媒燃焼部と、
前記円筒状ケーシングの中心側に触媒燃焼部を上下に貫通し、前記円筒状ケーシングの軸線を中心として同心円状に配置され、原料であるメタノールと水を所定の温度に加熱する原料加熱部と、
前記触媒燃焼部を上下に貫通して、前記原料加熱部より円筒状ケーシングの軸線を中心として同心円状の外側に配置され、前記原料加熱部によって加熱された原料ガスを改質させる改質触媒が充填された改質触媒層を有する原料改質部と、
前記触媒燃焼部の少なくとも一部の外周に配置され、前記触媒燃焼用空気を予熱する空気予熱部とを備えたメタノール改質装置であり、
予熱された空気と燃料ガスとを混合するガス混合拡散部を触媒燃焼部の上方に設けて、燃焼ガスが触媒燃焼部の上方より下方へ向かって供給されるようにして、触媒燃焼部の下部より上部、かつ外側より中央部を高温となるようにすると共に、
触媒燃焼部の上部に原料改質部の入口部を配置し、かつ触媒燃焼部の下部に原料改質部の出口部を配置して、原料ガスが原料改質部を通過する際に触媒燃焼部の上方より下方へ向かって供給されるようにして、改質触媒層の上流側を高温、かつ下流側を低温となるようにすることを特徴とするメタノール改質装置。 - 前記円筒状ケーシングは断熱部により外周を被われた請求項1に記載のメタノール改質装置。
- 前記原料加熱部は螺旋状中空管からなる請求項1または請求項2に記載のメタノール改質装置。
- 前記原料改質部は、改質触媒がそれぞれ充填された複数の直管形状の改質管からなる請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載のメタノール改質装置。
- 前記空気予熱部は、前記触媒燃焼部の外周に設けられた電気ヒータを有する請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載のメタノール改質装置。
- 前記空気予熱部は、前記触媒燃焼部を前記電気ヒータにより起動する際、前記電気ヒータにより空気を予熱し、該予熱された空気を前記触媒燃焼部に供給して前記触媒燃焼部を加熱するものである、請求項5に記載のメタノール改質装置。
- 前記空気予熱部の下流部は、前記ガス混合拡散部を介して、前記触媒燃焼部と連通され、前記ガス混合拡散部の予熱された空気の流入部には、多数の空気流通孔が分散配置された空気分散板が設けられた請求項1〜請求項6のうち、何れか1項に記載のメタノール改質装置。
- 前記ガス混合拡散部の上部に燃料ガス供給口を設け、かつ前記ガス混合拡散部の横方向に予熱された空気の流入部を設けて、前記ガス混合拡散部において予熱された空気と燃料ガスとが混合拡散するようにした、請求項1〜請求項7のうち、何れか1項に記載のメタノール改質装置。
- 前記円筒ケーシング内の上部には、各改質管の原料ガスの入口側と連通された中空環状体の上部ヘッダが設けられ、前記円筒ケーシング内の下部には、各改質管の改質ガスの出口側と連通された中空円盤体の下部ヘッダが設けられ、前記円筒ケーシング内の下部には、前記原料加熱部の原料ガス供給側の端部が配置された請求項1〜請求項8のうち、何れか1項に記載のメタノール改質装置。
- 前記上部ヘッダは、前記ケーシングの上端板と所定の間隙を有して配置され、該ケーシングの上端板との間隙は、前記空気予熱部から排出された空気の出口流路を構成し、
前記下部ヘッダは、前記ケーシングの下端板と所定の間隙を有して配置され、該ケーシングの下端板との間隙は、前記触媒燃焼部から排出された燃焼ガスの出口流路を構成している請求項9に記載のメタノール改質装置。 - 前記触媒燃焼部に充填される燃焼触媒は、前記下部ヘッダ上部に充填された触媒支持用充填材の上方に直接充填されるとともに、前記上部ヘッダより下方でかつ前記予熱された空気と燃料ガスとを拡散可能な間隙を形成する高さまで充填されている請求項9または請求項10に記載のメタノール改質装置。
- 請求項1〜請求項11のうち、何れか1項に記載のメタノール改質装置を用いるメタノール改質ガスの製造方法であって、
改質触媒温度が、原料改質部の入口部で250〜350℃、原料改質部の出口部で180〜250℃とする、メタノール改質ガスの製造方法。
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