JP4998814B2 - Dna構築物およびそれを用いた組み換えcho細胞の製造方法 - Google Patents

Dna構築物およびそれを用いた組み換えcho細胞の製造方法

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Description

本発明は、組み換えCHO細胞の効率的な製造に有用なDNA構築物、およびそれを用いた組み換えCHO細胞の製造方法に関する。
組み換えタンパク質生産システムにおいて、原核生物や真核生物を宿主とした種々の方法が知られている。哺乳類動物細胞を宿主とした組み換えタンパク質生産システムは、ヒトを始めとする高等動物由来のタンパク質に対し、糖鎖付加、フォールディング、リン酸化などの翻訳後修飾をより生体で作られるものと同じように施すことが可能である。
この翻訳後修飾は、タンパク質の本来有する生理活性を組み換えタンパク質で再現するために必要なものであり、そのような生理活性が特に必要とされる医薬品などに用いられる組み換えタンパク質の生産系には、哺乳類動物細胞を宿主としたタンパク質生産システムがよく用いられている。
現在、工業的生産に用いられている哺乳類動物細胞による主なタンパク質生産システムとしては、CHO−DHFRシステムとGS−NS0システムの二つが挙げられる。これらの生産システムでは、プラスミドベクターに含まれる選択マーカーと適切な薬剤選択プロセスを組み合わせることで、染色体に組み込まれたプラスミドベクターのコピー数が増幅したクローンを選択する。特にCHO−DHFRシステムは、選択薬剤メトトレキセートによる2段階の選抜工程により、発現レベルが数十倍に増大した細胞クローンを選択しうる。
しかしながら、上記タンパク質生産システムには、単純に増幅されたプラスミドベクターのコピー数に比例して目的タンパク質の発現レベルが必ずしも増大しないこと、発現レベルが増大した細胞クローンを選択するまでにかかる時間が長いことなどの問題があることが知られている。さらに、発現レベルが増大した細胞クローンの選択後に、選択薬剤を含まない培地で選択細胞クローンの培養を継続することで、ほとんどのクローンにおいて発現レベルの減少または消失が確認されることが報告されている(特許文献1:特表2002−541854公報、非特許文献1:Kim, N. S. (1998) Biotechnol. Bioeng.,60, 679−688.)。
また、上記のような哺乳類動物細胞による目的タンパク質生産システムは、一般的に、目的タンパク質遺伝子を含むベクターを宿主細胞に導入し、該ベクターが染色体へ組み込まれた細胞クローンを選択し、さらに該細胞クローンを適切な培養条件で培養することにより製造されている。
この染色体への組み込みはランダムな位置で起こりうる事象であり、得られる細胞クローンによって目的タンパク質の発現レベルが異なる。また細胞クローンによっては目的タンパク質を発現しないなどの問題がある。これについては、多数のクローンを組み換えタンパク質の発現レベルにより選抜して、好ましいクローンを選択するという方法が採られている。しかしながら、このスクリーニングプロセスは非常に手間と労力を要する。このような手間を回避して迅速に好ましいクローンを選択するための種々のプロセスが報告されている。
例えば、マウス細胞の特定染色体位置にベクターを組み込む技術が開示されている(特許文献2:特表平9−510865公報)。免疫グロブリンγ2A座と相同な塩基配列を有する配列を搭載したベクターにより、組み換え細胞クローンのプール中に相同的組み換え細胞クローンを生じさせる。標的となる染色体位置は、外来遺伝子が組み込まれた際にランダム組み込みと比較して高い発現レベルを与えうる位置としてあらかじめ同定されている。したがって、スクリーニング対象となる組み換え細胞クローンのプール中に、高い発現レベルを有する相同的組み換え細胞クローンが一定の頻度で存在することにより、発現レベルによるスクリーニングの際の労力を低減することが可能となる。
また、マーキングプラスミドの利用技術についても開示されている(特許文献3:特表2001−516221公報)。あらかじめマーキングプラスミドをランダム組み換えした細胞クローン集団の中からマーキングプラスミド内に存在するマーカー遺伝子の発現レベルが高いクローンを選択しておく。次に目的タンパク質遺伝子を有するプラスミドベクターとランダムに組み込まれたマーキングプラスミド配列との間で部位特異的組み換えが引き起こされた細胞クローンを選択することにより、マーカー遺伝子の発現レベルを継承した目的タンパク質産生クローンが得られる。
上記技術は、発現レベルの高いクローンの選択に要する労力削減において有利である。しかしながら、例えば、組み換え細胞を選択薬剤非添加で継続的に培養した際、得られたクローンが長期的に発現レベルを安定に維持しうるかについては依然として予測できない。
医薬タンパク質の工業的生産においては、タンパク質の発現が高いレベルでかつ安定に維持されることが重要である。特に発現レベルが安定に維持されることに関しては、コスト面のみならず、医薬タンパク質としての同一性および安全性を証明するためにも重要である。組み換えタンパク質生産細胞を工業的スケールでの生産に用いるためには生産細胞クローンの培養スケールの拡大を図る必要がある。これには通常少なくとも樹立直後のクローンから約60回の細胞分裂を経なければならないと見積られており(非特許文献2:Brown, M. E. et al. (1992) Cytotechnology, 9, 231−236.)、この発現レベルが一定に保たれていなければならない。
また、選択薬剤は培養コストを上昇させることのみならず、医薬品への異物混入リスク回避のために行われる精製プロセスのコストも上昇させる。したがって、選択薬剤を添加することなく発現レベルを安定に維持できる細胞クローンの作製技術の開発が強く望まれている。
上記のような事情があるにも関わらず、目的タンパク質発現レベルの安定性に関して充分な技術的検討が行なわれてきたとはいえない。これまでのところ、多くのタンパク質産生系の製造方法においては、長期培養時における成長速度ならびに生産性に関して蓄積されたデータを元に、経験的にクローン選択が行なわれている。しかしながら、この経験的な方法では発現レベルが安定な細胞クローンを実際に取得できるケースは稀である(非特許文献3:Barnes, L. M. et al. (2003) Biotechnology and Bioengineering, 81, 631−639.)。
近年、細胞ゲノム中の標的遺伝子座に目的タンパク質遺伝子を特異的な組み込み、長期間、安定にタンパク質を発現しうる組み換え細胞を効率的に取得する手法が検討されている。
この標的遺伝子の一例としては、hprt遺伝子が挙げられる。hprt遺伝子は、ヒト等のX染色体長腕に存在するハウスキーピング遺伝子の一つとして知られており、hprt遺伝子のノックアウト後の細胞は、薬剤6-Thioguanime
(6TG)やG418に対して耐性を示すため、陰性選択が容易に行われる。
そして、本発明者らの一部は、ヒトの雄由来のHT1080細胞株のhprt遺伝子座へ目的タンパク質遺伝子を組み換えベクターにより導入し、選択薬剤非存在下で長期間、安定にタンパク質を発現しうる組み換え細胞を取得したことを報告している(特許文献5:特開2007−325571公報、非特許文献4:Koyama Y Et Al.,(2006) Biotechnology And Bioengineering,95,1052−1060)。この実施例においては、各々約1kbpの第一および第二の相同DNA断片をホモロジーアームとして用いたところ、107細胞あたり10クローン程度の組み換え細胞を取得したことが報告されている。
また、hprt遺伝子座へのターゲッティングの別の例としては、マウスES細胞に対してターゲッティングが行われたことが報告されている(特許文献6:特表平5−507853公報)。
しかしながら、同じ遺伝子座を標的としても、培養細胞の種類によっては、ジーンターゲッティング頻度が大きく異なる場合がある。例えば、Porter C. G. Itzhaki J. E, Eur. J. Biochem 218, 273−281(非特許文献5)、および広島大学原爆放射線医科学研究所年報第44号 (2003)(非特許文献6)では、ES細胞と、HT1080細胞とを比較すると、ジーンターゲッティング頻度が異なり、体細胞由来の培養細胞では、ジーンターゲッティング頻度が極めて低いことが報告されている。
一方、CHO細胞は、抗体医薬タンパク質産生系の宿主細胞として利用されており、CHO細胞を用いて高レベルで安定なタンパク質生産システムを製造することが求められている。
しかしながら、CHO細胞のhprt遺伝子座に対してジーンターゲッティングが行われたことは報告されていない。CHO細胞の一方の染色体上のaprt遺伝子を欠損した特殊な細胞株を用いた研究例が存在するのみである(非特許文献11:PNAS,88, 9488−9502(1991)、非特許文献12:Somatic Cell. Mol. Genet., 19, 363−375、非特許文献13:PNAS,86,4574−4578(1989))。これらの実施例では、一方の染色体上のみにaprt遺伝子が存在する細胞株を宿主とし、2.6kbp〜4kbpの相同DNA断片をホモロジーアームとして用いた結果、107細胞あたり数クローン〜15クローン程度の相同組み換え体を取得している。
また、CHO細胞のhprt遺伝子座のゲノムの配列はエキソン以外は何ら報告されていない。したがって、CHO細胞のhprt遺伝子座に対する特異的なジーンターゲッティングを行うためには、まずはエキソン以外の全塩基配列を解析し、同定しなければならないないという問題がある。
また、CHO細胞は、雌由来の細胞であることから、X染色体を2本有しており、そのhprt遺伝子座も2つ有している。そのため、両方の染色体のhprt遺伝子座に外来遺伝子が組み込まれることで、CHO細胞は6TG等の選択薬剤耐性となる。しかしながら、このように、2本の染色体で組み換えが生じる確率は、雄由来細胞の場合と比べて低くなるのが通常である。例えば、Koyama Y Et Al., (2006) Biotechnology And Bioengineering,95,1052−1060(非特許文献4)における雄由来HT1080細胞株のhprt遺伝子座への組み換え効率を参考として染色体1本で組み換えが生じる確率を10-6と仮定すると、染色体2本で同時に生じる理論上の確率は10-12となる。
さらに、雌由来の細胞では、2本存在するX染色体のうち、片方は父方に由来し、もう片方は母方に由来するため、ポリモルフォリズムが存在する。ジーンターゲッティングの頻度は、ホモロジーアームのゲノムに対する相同性が重要であり、塩基配列の相違により、大幅にジーンターゲッティング頻度が大幅に低下する場合がある(非特許文献7:Datt, A. et al., (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94, 9757−9762、非特許文献8:Selva E. M. et al.,(1995) Genetics. 139, 1175−1188、非特許文献9:Riele H. et al., (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89, 5128−5132、非特許文献10:Deng C, D, Capecchi M, R (1992) Mol. Cell. Biol. 12, 3365−3371)。よって、CHO細胞のような雌由来の培養細胞の場合、X染色体のポリモルフォリズムの影響によっても、雄由来の培養細胞と比較して、組み換え細胞の取得頻度は低くなりうる。
したがって、目的タンパク質遺伝子を発現する組み換えCHO細胞を効率的に製造する技術の創出が依然として必要とされている。
特表2002−541854公報 特表平9−510865公報 特表2001−516221公報 WO2004/022741公報 特開2007−325571公報 特表平5−507853公報
Kim, N. S. (1998) Biotechnol. Bioeng., 60, 679−688. Brown, M. E. et al. (1992) Cytotechnology, 9, 231−236. Barnes, L. M. et al. (2003) Biotechnology and Bioengineering , 81, 631−639. Koyama Y Et Al., (2006) Biotechnology And Bioengineering, 95, 1052−1060 Porter C. G. Itzhaki J. E, Eur. J. Biochem 218, 273−281 広島大学原爆放射線医科学研究所 年報第44号 (2003) Datt, A. et al., (1997) PNAS, U.S.A. 94, 9757−9762 Selva E. M. et al., (1995) Genetics. 139, 1175−1188 Riele H. et al., (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89, 5128−5132 Deng C, D, Capecchi M, R (1992) Mol. Cell. Biol. 12,3365−3371 PNAS,88, 9488−9502(1991) Somatic Cell. Mol. Genet., 19, 363−375 PNAS,86,4574−4578(1989) Mol Gen. Genet., 212, 301−309(1988) Molecular Biology Reports, 31, 85−90(2004) Biotechnology and Bioengineering, 91, 1−11(2005)
本発明者らは、今般、CHO細胞におけるhprt遺伝子のイントロンを含む全DNA配列を決定し、さらに、その相同DNA断片を有する特定のDNA構築物により目的タンパク質遺伝子をCHO細胞に導入したところ、組み換えCHO細胞を顕著な高頻度で製造しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、組み換えCHO細胞の効率的な製造に有用なDNA構築物およびそれを用いた組み換えCHO細製造方法の提供をその目的とする。
そして、本発明によるDNA構築物は、5’末端から3’末端に向かって、第一の相同DNA断片、目的タンパク質遺伝子、および第二の相同DNA断片を含んでなる、DNA構築物であって、
前記第一の相同DNA断片および第二の相同DNA断片が、CHO細胞ゲノムのヒポキサンチン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素(hprt)遺伝子座の一部と相同組み換え可能な相同性を有し、かつ1kbp以上の鎖長を有するものである。
また、本発明による組み換えCHO細胞の製造方法は、上記DNA構築物を含んでなるベクターをCHO細胞に導入することを含んでなる。
本発明によれば、目的タンパク質遺伝子を発現する組み換えCHO細胞を顕著な高頻度で取得することができる。
実施例1における、CHO−K1細胞株のhprt遺伝子座の模式図である。番号1から9まではhprt遺伝子のエクソン1〜9を示し、各エクソン間の配列は、イントロン1〜8を示す。 実施例2で用いられた相同組み換え用ベクターの模式図である。(A)はCHO細胞のhprt遺伝子に由来する相同DNA断片を有するベクターである。(B)はヒトHT1080細胞に由来する相同DNA断片を有するベクターである。 (A)は、CHO細胞のhprt遺伝子領域、相同組み換え用ベクター、および実施例4において組み換えCHO細胞のゲノムPCRの指標となったDNAの関係を示す模式図である。(B)および(C)は、実施例4のPCRの結果を示す。 (A)は、CHO細胞のhprt遺伝子領域、相同組み換え用ベクター、および実施例5におけるサザンハイブリダイゼーションの指標となったDNAの関係を示す模式図である。(B)は、実施例5のサザンハイブリダイゼーションの結果を示す。 実施例6で取得された組み換えCHO細胞による抗体生産量を示す。 実施例7で用いられた、2.5kbpの相同DNA断片を有する相同組み換え用ベクターの模式図である。 (A)は、CHO細胞のhprt遺伝子領域、相同組み換え用ベクター、および実施例7において組み換えCHO細胞のゲノムPCRの指標となったDNAの関係を示す模式図である。(B)および(C)は、実施例7のPCRの結果を示す。 (A)は、CHO細胞のhprt遺伝子領域、相同組み換え用ベクター、および実施例7におけるサザンハイブリダイゼーションの指標となったDNAの関係を示す模式図である。(B)は、実施例7のサザンハイブリダイゼーションより得られた結果を示す。 (A)は、実施例8における、CHO細胞中の野生型hprt遺伝子の残存を確認するためのゲノムPCRの詳細を説明する模式図である。左図は、野生型のCHO細胞におけるPCRを示し、中央図は、ヘテロ接合型の組み換えCHO細胞におけるPCRを示し、右図は、ホモ接合型の組み換えCHO細胞におけるPCRを示す。 (B)は、実施例8のPCRの結果を示す。 実施例9で用いられた、2.5kbpの相同DNA断片を有し、CHO内在性のプロモーターを有する相同組み換え用ベクターの模式図である。 実施例9で取得された組み換えCHO細胞を長期間継代維持した場合の、抗体生産性を示す。 実施例10で用いられた、2.5kbpの相同DNA断片を有する相同組み換え用ベクターの模式図である。 実施例11で用いられた、ヒトhprt遺伝子イントロン由来のMARを有するCHO組換えベクターと、そのベクターがCHO hprt遺伝子座へ組込まれた染色体の模式図である。(A)はMARが転写されない構造のベクターと、組込み後の染色体構造である。(B)はMARがhprt遺伝子座の転写によって転写される構造のベクターと、組込み後の染色体構造である。(C)はMARがCMVプロモーターで転写される構造のベクターと、組込み後の染色体構造である。 実施例11で用いられた、MARを有するCHO組換えベクターによって取得されたCHO細胞の抗体生産における安定性を示す。 実施例12で用いられた、ホモロジーアーム長200b×2のCHO組み換えベクター(A)、および500b×2のCHO組み換えベクター(B)を示す模式図である。 実施例13で用いられた、ホモロジーアーム長5kb×2のCHO組み換えベクターを示す模式図である。
DNA構築物
本発明によるDNA構築物は、CHO細胞ゲノム中のhprt遺伝子座の一部と相同組み換え可能な相同性を有し、各々が1kbp以上の鎖長を有する、二つの相同DNA断片を含んでなることを一つの特徴とする。上記DNA構築物によれば、CHO細胞が2本のX染色体を有するにもかかわらず、顕著な高頻度で組み換えCHO細胞を取得しうるのは意外な事実である。本発明によるDNA構築物によれば、後述の実施例10に示される通り、1x10-7あたり130個の組み換え細胞が得られている。この結果は、上記したように、染色体2本のhprt遺伝子座において同時に組み換えが生じる理論上の確率が10-12と予測されていたことを勘案すると、驚くべき事実といえる。
本発明によるDNA構築物は、hprt遺伝子座の一部を相同組み換えの標的領域とするものである。hprt遺伝子座の一部を標的領域とすることは、目的タンパク質遺伝子を高レベルで安定に発現する上で有利である。また、かかる標的領域に、DNA構築物を組み込むことは、hprt遺伝子の転写・発現を阻害してhprt遺伝子の機能を不活化し、6-TG等を用いる陰性選択によって効率的に組み換え細胞を取得する上でも好ましい。
また、本発明の標的領域は、目的タンパク質遺伝子の発現を妨げない限り、hprt遺伝子座中において適宜決定してよい。しかしながら、相同組み換えに必要な相同DNA断片の鎖長等を勘案すれば、上記標的領域は、hprt遺伝子のイントロンの少なくとも一部を含む領域が好ましい。上記イントロンは、本発明者らにより今般、塩基配列が決定されたものであり、具体的には、配列番号15〜22のいずれかで表される塩基配列を有する、後述する図1のイントロン1〜8が挙げられる。
また、本発明の標的領域は、上記イントロンと隣接するエクソンの全部または一部を含んでいてもよい。かかるエクソンとしては、具体的には、図1のエクソン1〜9が挙げられ、これらの塩基配列は、例えば、アメリカ合衆国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)等の公知のデータベースにアクセスすることにより取得することができる。
本発明にあっては、図1に示されるhprt遺伝子座におけるイントロンおよびエクソンの配置・それらの塩基配列の情報に基づき、hprt遺伝子座中の所望の領域と相同性を有する相同DNA断片が当業者により適宜構築される。
かかる相同DNA断片を有する本発明によるDNA構築物によれば、hprt遺伝子座中の所望の標的領域に組み込むことが可能である。この組み込みの態様としては、(1)DNA構築物の組み込みによってエクソンが分断されるタイプ、(2)DNA構築物の組み込みによってエクソンが1つ以上欠失するタイプ、(3)DNA構築物の組み込みによってエクソンが2個に増幅し、その間にDNA構築物が挿入されるタイプ、(4)DNA構築物の組み込みによってイントロンが分断されるタイプ、(5)DNA構築物の組み込みによってイントロンが1つ以上欠失するタイプ、(6)DNA構築物の組み込みによってイントロンが2個に増幅し、その間にDNA構築物が挿入されるタイプが挙げられる。
また、本発明のDNA断片は、相同組み換えに必要な鎖長を勘案すると、上述の通り、hprt遺伝子のイントロンの少なくとも一部を含む領域と相同性を有するものが好ましい。したがって、本発明の一つの態様によれば、本発明の第一の相同DNA断片または第二の相同DNA断片は、配列番号15〜22のいずれかに記載の塩基配列またはその部分配列を含んでなるものとされる。
また、上記部分配列の鎖長の下限は1bpであり、その上限は配列番号15〜22のいずれかに記載の塩基配列の鎖長の範囲内において、適宜調節することができる。
また、上記相同DNA断片と、hprt遺伝子座との相同性は、相同組み換えの効率を勘案して適宜決定されるが、好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは100%である。かかる相同性は、例えば、DNAシーケンサー等を用いて解析することにより適宜決定することができる。
また、上記相同DNA断片は1kbp以上の鎖長を有するものとされており、かかる鎖長は、DNA構築物の顕著な高頻度での相同組み換えを達成する上で好ましい。上記相同DNA断片の鎖長の下限値は、好ましくは2.5kbp以上である。また、上記相同DNA断片の鎖長の上限値は、7.5kbp以下であり、好ましくは5kbp以下である。相同DNA断片の鎖長の範囲は上記の上限値、下限値を適宜組み合わせることができる。具体的には、好ましくは1kbp以上7.5kbp以下、より好ましくは1kbp以上5kbp以下、最も好ましくは2.5kbp以上5kbp以下である。鎖長がこの範囲であれば、DNA構築物の顕著な高頻度での相同組み換えを達成しながら、組み換え細胞の取得頻度を良好に保つことが可能となる。
また、本発明によるDNA構築物において、目的タンパク質遺伝子は、医薬として有用なタンパク質をコードしていることが好ましい。目的タンパク質遺伝子は、cDNAに由来する配列であっても、ゲノムDNAに由来する天然イントロンを含む構造遺伝子であっても、好適に利用可能である。具体的には、目的タンパク質としては、抗体、酵素、サイトカイン、ホルモン、凝固因子、調節タンパク質、レセプター等が挙げられるが、好ましくは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、エリスロポエチン、組織特異的プラスミノーゲン活性化因子または顆粒球コロニー活性化因子等である。
また、上記目的タンパク質遺伝子は、プロモーター配列や転写終結シグナル配列等の発現に必要な要素を含む発現ユニットとしてhprt遺伝子座に組み込まれることが好ましい。したがって、本発明の一つの態様によれば、目的タンパク質遺伝子は、少なくともプロモーター配列および転写終結シグナル配列を含んだ発現ユニットとしてDNA構築物中に配置される。
もっとも、発現に必要な要素としてCHO細胞の内在性のものを用いるように構成してもよく、本発明にはかかる態様も包含される。
また、上記プロモーターや転写終結シグナルは、目的タンパク質遺伝子の種類、性質等に応じて適宜決定してよく、かかるプロモーター配列の好適な例としては、CMVプロモーター、SV40 プロモーター等が挙げられる。また、転写終結シグナル配列の好適な例としては、BGHポリAシグナル配列、SV40ポリAシグナル配列等が挙げられる。
また、プロモーター配列、転写終結シグナル配列の他の発現に必要な要素としては、例えば、目的遺伝子を効率的に発現させるための調節エレメント(例えば、エンハンサー、IRES(internal ribosome entry site)配列、LoxP配列およびFRT配列等の組み換え酵素認識配列)等を適宜選択して用いてよい。調節エレメントはその性質に応じて、発現ユニットにおける適切な位置に配置することが可能である。これら発現に必要な要素は、目的タンパク質の生産性等を勘案して適宜選択される。
また、DNA構築物は、上記の他、陽性選択マーカー遺伝子を含んでなることが好ましい。陽性選択マーカー遺伝子は、相同組み換えを妨げない限り、DNA構築物中に適宜配置することができる。陽性選択マーカー遺伝子の好適な例としては、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子およびグルタミン合成酵素遺伝子等が挙げられる。陽性選択マーカー遺伝子を用いる場合、組み換えCHO細胞の選択において、陽性選択と、hprt遺伝子の不活化による陰性選択の両者を適用でき、偽陽性クローンを大幅に低減する上で有利である。
ベクター
本発明によるDNA構築物は、ベクターに組み込んでCHO細胞ゲノムに導入することができる。かかるベクターシステムとしては、相同組み換え反応によりDNA構築物をCHO細胞ゲノムに組み込みうる限り特に限定されないが、好ましくは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクターまたは人工染色体ベクター等が挙げられる。
本発明によるDNA構築物およびこれを含むベクターは、制限酵素切断反応およびライゲーション反応を組み合わせて好適に構築される。例えば、各構成ユニットの両末端に制限酵素の認識配列を含有させ、該認識配列用の制限酵素で切断反応を行い、不要なDNA配列(大腸菌内での操作用配列等)をゲル切り出し等の処理によって除去し、得られたユニットのライゲーション反応を行うことにより、DNA構築物およびこれを含むベクターを構築しうる。
ライゲーション反応により構築したベクターDNAは、フェノール・クロロホルム抽出等により精製し、ベクターの種類等を勘案して選択した大腸菌、酵母等の宿主細胞において増殖させることができる。
本発明によるベクターは、CHF1αプロモーターを、目的タンパク質遺伝子に作動可能に連結して搭載していることが好ましい。CHO hprt遺伝子座に組込んだ外来遺伝子の発現はプロモーターの不活化によって生じる。目的タンパク質遺伝子をCHO内在性のCHEF1αプロモーターで発現させるベクター構造にすることで、CHO hprt遺伝子座での安定発現が可能となる。
本発明によるベクターは、ヒトhprt遺伝子の第一イントロン由来の核/マトリックス付着領域(MAR)を、当該ベクターが染色体に組込まれた後、組込み部位で元来生じている転写によって、MAR自身が転写される構造で保持することが好ましい。このような構造でヒトhprt遺伝子イントロンのMARをベクターに搭載しておくことで、発現安定性を備えた組換えCHOを効率的に製造できる。
出願人らは、先に、ヒト由来細胞株HT1080細胞株において、hprt遺伝子座に組込んだ外来遺伝子が安定発現することを報じている(特許文献4:WO2004/022741公報、および非特許文献5:Porter C. G. Itzhaki J. E, Eur. J. Biochem 218, 273−281)。また、ヒトhprt遺伝子の第一イントロンには、核/マトリックス付着領域(MAR)と呼ばれる安定化因子が存在することが知られている(非特許文献14)。これらの事実から、ヒトhprt遺伝子での発現安定化は、組込み部位近傍に存在するMARの寄与によるものと推察される。
ところで、hprt遺伝子はCHOを含めた多くの哺乳動物において普遍的に存在する遺伝子である。CHOのhprt遺伝子座は、組込み細胞の選別難易度が高いと推定されるため、ベクター組込み部位として用いられた例は知られていない。当業者であれば、CHOのhprt遺伝子座に外来遺伝子を組込んだ場合は、ヒト細胞と同様に安定発現可能であると考えるのが普通である。しかしながら、CHOのhprt遺伝子座のイントロン配列は、ヒトのhprt遺伝子とは全くことなっており、イントロンにMARが存在しないという驚くべき事実が、本発明者らによって今般初めて明らかにされた。実際に、CHOのhprt遺伝子座に組込んだ外来遺伝子は、実施例11に示すように、安定発現不能であった。
以上の結果から、CHOのhprt遺伝子座に外来遺伝子を組込む場合に、当業者であれば、ヒトhprt遺伝子イントロンのMARを取得し、CHO組換えベクターに搭載してCHOのhprt遺伝子座に組込むことで、CHOでもヒト細胞と同様に安定発現可能ではないかと考えるであろう。この考え方に沿って、MARをベクターに搭載し、CHOの染色体にランダムに組込む、あるいは染色体外プラスミドとして保持させることで、部分的に安定化を達成した先行例が知られている(非特許文献14:Mol Gen. Genet., 212, 301−309(1988)および非特許文献15:Molecular Biology Reports, 31, 85−90(2004))。これらの先行例では、MAR自身は転写されない位置でベクターに搭載した構造(非特許文献14)、または目的タンパク質遺伝子の転写を期待して配置したプロモーターによって、MAR自身も転写される構造(非特許文献15)となっている。
しかしながら、後述する実施例11に示すように、CHOのhprt遺伝子座においてはそれらの構造は効果が薄く、長期間の安定発現には不十分であるという、意外な結果となった。そして、CHOのhprt遺伝子座で安定発現を達成するためには、実施例11で示すように、ベクター組込み部位で元来生じている転写によってのみ、ベクターに搭載したMARが転写される構造であることが必要であることが明らかにされた。
組み換えCHO細胞/製造方法
本発明による組み換えCHO細胞は、上記ベクターをCHO細胞に導入することにより好適に製造することができる。
したがって、本発明による組み換えCHO細胞は、hprt座に外来性の目的タンパク質遺伝子が組み込まれてなる。また、本発明の好ましい態様によれば、組み換えCHO細胞はhprt遺伝子の機能が不活化している。かかる組み換えCHO細胞は、抗体等の目的タンパク質を高レベルで安定に産生する上で有利である。
ベクターの導入
上記ベクターの導入方法としては、一般的に用いられる方法が好適に利用できる。例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、DEAE−デキストラン法、リポソーム試薬を用いる方法、カチオン性脂質を用いたリポフェクション法などが挙げられる。ここで、ベクターが環状である場合、公知の方法により線状化して細胞に導入されてもよい。
また、ベクターや目的タンパク質の性質によっては、組み換え細胞の取得効率等を勘案して、Cre/LoxPシステムやFlp/FRTシステムなどのような、組み換え酵素を利用した部位特異的導入システムも適宜適用してよく、本発明にはかかる態様も包含される。
細胞株の選択
また、本発明による製造方法にあっては、上記導入後、組み換えCHO細胞の選択を行うことが好ましい。選択工程は、hprt遺伝子の不活化に基づく陰性選択により行うことができる。また、陽性マーカー遺伝子を組み換えCHO細胞に導入している場合には、陰性選択と陽性選択とを組み合わせて高い精度で細胞選択を行うことが可能となる。
また、上記選択方法の他、プロモータートラップ法やポリAトラップ法なども適宜組み合わせて利用してよい。
また、本発明による製造方法にあっては、組み換えCHO細胞を取得後、Chemical Defined 培地などに馴化させることにより無血清下での培養も可能である。かかる馴化条件は、組み換え細胞の状態に応じて適宜決定することができる。
目的タンパク質の製造方法
また、本発明の別の態様によれば、上記組み換えCHO細胞を用意し、該細胞を培養して目的タンパク質を産生することを含んでなる、目的タンパク質の製造方法が提供される。上記方法によれば、目的タンパク質を効率的かつ安定に取得することができる。
上記培養工程における培地としては、組み換えCHO細胞の状態に応じて公知の培地を適宜選択してよいが、無血清培地が好ましい。また、上記培地は、培養コストおよび精製コストを勘案すれば、選択薬剤を添加しないものが好ましい。上記培地の好適な例としては、Chemical Defined培地等が挙げられる。
上記培養方法としては、バッチカルチャー法、フェッド−バッチカルチャー法、還流培養法など公知の方法が適用可能である。
なお、組み換えCHO細胞の製造に使用される種々の手法のさらなる詳細は、例えば、F.M.Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,(1989)に記載されており、上記文献の全開示内容は引用することにより本明細書の一部とされる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実験において、制限酵素による反応、PCR反応、ライゲーション反応等の各反応条件は、メーカーの推奨する反応条件、あるいは、Molecular Cloning 2nd Edition; Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press に記載の方法に従って設定した。また、得られた種々のプラスミドベクターDNAについては、DNAシーケンサー(310 Genetic Analyser Applied Bio Systems, Inc.)を用いてDNA配列を決定した。また、以下に示すホモロジーアーム1および2はそれぞれ、本発明の第一および第二の相同DNA断片に対応している。
実施例1:CHO細胞のhprt遺伝子座DNA配列情報の取得
JCRBセルバンクから入手したチャイニーズハムスター卵母細胞株CHO−K1細胞株(Cell No; JCRB9018)をAMEM培地(組成;Advanced MEM(GIBCO)、5%[v/v]FBS、1× GlutaMAX(GIBCO))を用いて、CO2インキュベーター(37 ℃、5% CO2)で培養した。得られた培養液を遠心分離し、CHO−K1細胞ペレットを得た。このペレットをDNA Isolation Kit for Cells and Tissues (Roche Diagnostics K.K.)により処理し、ゲノムDNAを得た。次に、このゲノムDNAを鋳型とし、PCR(KOD−Plus ver.2、TOYOBO)によって、CHO−K1細胞のhprt遺伝子座のDNA断片を7つ得た。得られた断片は図1に示される通りである。7断片の増幅のために用いたPCRプライマーは、Zu Z et al. Mutat Res. 1993. 288(2):237−48.)に記載のプライマー配列を参考に作製した。プライマー配列は以下に示す通りである。
断片1 sense プライマー
5’- tctgcaggct tcctcctcac accg -3’(配列番号1)
断片1 antisense プライマー
5’- acatgtcaag gcaacgccat ttcca -3’(配列番号2)
断片2 sense プライマー
5’- tggaaatggc gttgccttga catgt -3’(配列番号3)
断片2 antisense プライマー
5’- caccttttcc aaatcctcga -3’(配列番号4)
断片3 sense プライマー
5’- agcttatgct ctgatttgaa atcagctg -3’(配列番号5)
断片3 antisense プライマー
5’- cttcagtctg ataaaatcta cagtca -3’(配列番号6)
断片4 sense プライマー
5’- aagacttgcc cgagatgtca tgaa -3’(配列番号7)
断片4 antisense プライマー
5’- ccaagtgagt gattgaaagc acag -3’(配列番号8)
断片5 sense プライマー
5’- tgtgtgtatt caagaatatg catg -3’(配列番号9)
断片5 antisense プライマー
5’- gctgagaaaa tttaacagta ttttag -3’(配列番号10)
断片6 sense プライマー
5’- caaatacaag caagaatttc ccagag -3’(配列番号11)
断片6 antisense プライマー
5’- ggacttgaac atctagggag -3’(配列番号12)
断片7 sense プライマー
5’- acttaccact taccattaaa tacc -3’(配列番号13)
断片7 antisense プライマー
5’- gacaatctat cgaaggctca tagtgc -3’(配列番号14)
得られた7つの断片についてDNAシーケンスを行った(BigDye Terminator v3.1、Applied Biosystems,Inc.)。
図1に示すように、CHO−K1細胞株のhprt遺伝子座のエクソン1とエクソン2間に位置するイントロン1(配列番号15)、エクソン2とエクソン3間に位置するイントロン2(配列番号16)、エクソン3とエクソン4間に位置するイントロン3(配列番号17)、エクソン4とエクソン5間に位置するイントロン4(配列番号18)、エクソン5とエクソン6間に位置するイントロン5(配列番号19)、エクソン6とエクソン7間に位置するイントロン6(配列番号20)、エクソン7とエクソン8間に位置するイントロン7(配列番号21)、エクソン8とエクソン9間に位置するイントロン8(配列番号22)のDNA配列を決定した。
実施例2:ターゲティングベクターの構築
以下に記載の手法により、抗体遺伝子をhprt遺伝子座に対して組み込むため、抗体遺伝子を含む、図2(A)で表されるベクター(CHO
1kx2 抗体ベクター)を構築した。
また、比較対象として、ヒトhprt遺伝子配列由来の相同DNA断片を、CHO細胞のhprt遺伝子配列由来の相同DNA断片と置換した以外、CHO 1kx2 抗体ベクターと同様の構成を有する図2(B)で表されるベクター(HT1080ホモロジーアームベクター)を構築した。
ヒトhprt遺伝子相同DNA断片の取得
JCRBセルバンクから入手したヒト由来細胞株HT1080細胞株(カタログ番号:IF050354)をGFX Genomic Blood DNA Purification Kit (Amersham Biosciences)により処理し、ゲノムDNAを得た。次に、このゲノムDNAを鋳型とし、PCR反応(KOD−Plus−、TOYOBO)によって、標的となるhprt遺伝子の相同DNA断片(HA1およびHA2)をクローニングした。HA1およびHA2は、後述する図3でも示される通り、hprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
HA1 sense プライマー
5’-CCTGCAGGTCGCGATTGGTACTTGTTCAGCTTTATTCAAG-3’(配列番号23)
HA1 antisense プライマー
5’-GTCGACAAGGACGCGTTCTGATAAAATCTACAGTCATAGGA-3’(配列番号24)
HA2 sense プライマー
5’-GTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGCGTAATCATGGTCTCCGGAGACTGAAGAGCTATTGTGTGAGTAT-3’(配列番号25)
HA2 antisense プライマー
5’-ACATGTTCTCTTAAGTCGCGAAGTAGTGTTATGATGTATGGGCATA-3’(配列番号26)
上記PCR反応においては、HA1センスプライマーの5’末端には、制限酵素Sse 8387IおよびNru Iの認識サイトを付加した。同様に、HA1アンチセンスプライマーの5’末端にはSal IおよびMlu Iの認識サイト、HA2センスプライマーの5’末端にはSal IおよびAcc IIIの認識サイト、HA2アンチセンスプライマーの5’末端にはPci IおよびNru Iの認識サイトをそれぞれ付加した。
pQBI25プラスミドベクター(和光純薬株式会社)のDNAから、大腸菌内での複製起点であるori配列およびアンピシリン耐性遺伝子を含むDNA配列を、PCR反応によりクローニングした。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。このPCR反応において、センスプライマーの5’末端および3’末端に、制限酵素Pci IおよびSse 8387Iの認識サイトを付加した。
Ecoli sense プライマー
5’-ACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAAC-3’(配列番号27)
Ecoli antisense プライマー
5’-CCTGCAGGGACGTCAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGC-3’(配列番号28)
HA1、HA2、およびori配列およびアンピシリン耐性遺伝子を含むDNA配列をそれぞれ、PCR反応によりクローニングした。これら3つのDNA配列を制限酵素Pci I、Sse 8387IおよびSal Iにより切断し、ライゲーション反応を行うことによりpHA12プラスミドベクターを得た。次に、pHA12プラスミドベクターを制限酵素Mlu IおよびAcc IIIにより切断し、5’末端から順に、HA2と、ori配列およびアンピシリン耐性遺伝子を含むDNA配列と、HA1とが連結したDNA配列1を得た。
また、pcDNA3,1−Hygro(+)(Invitrogen)から、制限酵素Bam HI認識サイトを含むDNA断片を、末端に制限酵素Mlu
IおよびAccIIIサイトを付加してPCR増幅を行い、DNA配列2を得た。この断片とDNA配列1を連結し、p23HA12プラスミドベクターを得た。
基礎ベクターの構築
次に、p23HA12プラスミドベクターをMlu IおよびBam] HIで切断し、リンカー2−sオリゴとリンカー2−aオリゴをアニールさせたDNA断片を挿入し、基礎ベクターIIを得た。
リンカー2−sオリゴ:
5’-CGCGTatcTCTAGAataATCGATagaAAGCTTacaG-3’(配列番号29)
リンカー2−aオリゴ:
5’- GATCCtgtAAGCTTtctATCGATtatTCTAGAgatA-3’(配列番号30)
また、pQBI15プラスミドベクター(和光純薬株式会社)のDNAから、SV40プロモーター、ポリAシグナル配列およびネオマイシン耐性遺伝子を含むDNA配列3(SV40,neoR,合成ポリAを含む発現カセット)を、PCR反応により増幅した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下の通りである。このPCR反応において、センスプライマーの5’末端に制限酵素Xba Iの認識サイトを、3’末端に合成ポリAおよびCla Iの認識サイトを付加した。
neoR senseプライマー:
5’- ccttTCTAGActtctgaggcggaaagaacc-3’(配列番号31)
neoR antisenseプライマー:
5’-cttATCGATtCACACAAAAAACCAACACACAGATGTAATGAAAATAAAGATATTTTATTgtgggcgaagaactccagca-3’(配列番号32)
次に、基礎ベクターIIを制限酵素Xba IおよびCla Iで切断し、DNA配列3を連結し、基礎ベクター+NeoRプラスミドを得た。
抗体重鎖発現カセットの構築
重鎖可変領域を保持したプラスミド(「Cloning of cDNA and Characterization of Anti−RNase A Monoclonal Antibody 3A21」:Journal of Fermentation and Bioengineering. Vol.82, No.3, pp. 312−314,1999)を鋳型とし、可変領域をIGH-3A21s、IGH-3A21a1プライマーセットでPCR増幅し、DNA配列4を得た。
IGH−3A21sプライマー:
5’- TAAAAGGTGTCCAGGATGTGCAGTTTCAGG -3’(配列番号33)
IGH−3A21a1プライマー:
5’- GAGGCCGATGAAACAGTGACCAGAGTCCCT -3’(配列番号34)
RPMI8226培養細胞からISOGEN(日本ジーン)で抽出したRNAを鋳型とし、One−step RT−PCR kit(QIAGEN)を用いてRT−PCRを行い、得られたmRNAを鋳型として定常領域をIGH−Cs、IGH−CaプライマーセットでPCR増幅し、DNA配列5を得た。
IGH−Csプライマー:
5’- CATCGGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCT -3’(配列番号35)
IGH−Caプライマー:
5’- TTAAGCGGCCGCTCATTTACCCGGAGACAG -3’(配列番号36)
次に、IGH−LS、IGH−Vaプライマーセットで、DNA配列4を鋳型としてPCR増幅を行い、分泌シグナルを付加したDNA配列6を得た。
IGH−LSプライマー:
5’-GGTCGCCACCATGGAGTTTGGACTGAGCTGGGTTTTCCTTGTTGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGGATGTG-3’(配列番号37)
IGH−Vaプライマー:
5’-GCCCTTGGTGGAGGCCGATGAAACAGTGAC -3’(配列番号38)
DNA配列5およびDNA配列6を鋳型とし、IGH-Vs、IGH-CaプライマーセットでアセンブルPCRを行い、両配列を連結させたDNA配列7を得た。
IGH−Vsプライマー:
5’-TTCCGGTACCGGTCGCCACCATGGAGTTTG -3’(配列番号39)
pmaxGFPプラスミド(amaxa)に対し、NotI−site−s/ NotI−site−aプライマーセットで、Prime STAR MAX(宝酒造)を用いて変異導入PCR反応を行い、CMVプロモータ直前にNotI部位を導入したpmaxGFP+NotIプラスミドを得た。
NotI−site−sプライマー:
5’-ATGCggccgcATGTCAATATTGGCCATT -3’(配列番号40)
NotI−site−aプライマー:
5’-GACATgcggccGCATGGGAGGAGACCGGG -3’(配列番号41)
次に、pcDNA3.1−hygro(+)(Invitrogen)を鋳型としてNotI−spacerA−s/ NotI−spacerA−aプライマーセットで0.5kbpの断片を増幅し、pmaxGFP+NotIのNorI部位に挿入し、pmax
GFP+spacerAプラスミドを得た。
NotI−spacerA−sプライマー:
5’-ttGCGGCCGCgaaaaagcctgaactcaccg -3’(配列番号42)
NotI−spacerA−aプライマー:
5’-ttGCGGCCGCgacggtgtcgtccatcacag -3’(配列番号43)
次に、DNA配列7を鋳型とし、KpnI−IGH−s/BglII−IGH−aプライマーセットで重鎖を増幅した。これを、pmaxGFP+spacerAのGFPと置換し、pmax+spacerA+IgHプラスミドを得た。
KpnI−IGH−sプライマー:
5’-ccttGGTACCGAAGCCGCTAGCGCTACCGGTCGCCACCaTGGAGTTTGGACTGAGCTGGG-3’(配列番号44)
BglII−IGH−aプライマー:
5’-ccttAGATCTtcatttacccggagacaggg-3’(配列番号45)
pmax+spacerA+IgH を鋳型とし、MluI−spA(IgH)−s2/MluI−CMV−IgHL−SVpA−aプライマーセットでPCR増幅し、pCR−BluntII−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした後、制限酵素Mlu Iで切断し、DNA配列8(重鎖カセット)を得た。
MluI−spA(IgH)−s2プライマー:
5’-ccttACGCGTgacggtgtcgtccatcacag -3’(配列番号46)
MluI−CMV−IgHL−SVpA−aプライマー:
5’-cttACGCGTAACGTCTCGCCCTTTGGTCTC -3’(配列番号47)
抗体軽鎖発現カセットの構築
同様に、軽鎖可変領域を保持したプラスミドを鋳型とし、可変領域をIGL−3A21s1、IGL−3A21a1プライマーセットでPCR増幅し、DNA配列9を得た。
IGL−3A21s1プライマー:
5’-CCCAGGTGCCAGATGTGACATCAAGATGAC-3’(配列番号48)
IGL−3A21a1プライマー:
5’-GCCACAGTTCGTTTTATTTCCAACTTTGTC-3’(配列番号49)
RPMI8226培養細胞からISOGENで抽出したRNAを鋳型とし、One−step RT−PCR kitを用いてRT−PCRを行い、得られたmRNAを鋳型として定常領域をIGL−Cs、IGL−CaプライマーセットでPCR増幅し、DNA配列10を得た。
IGL−Csプライマー:
5’-TGGAAATAAAACGAACTGTGGCTGCACCAT-3’(配列番号50)
IGL−Caプライマー:
5’-TTAAGCGGCCGCCTAACACTCTCCCCTGT-3’(配列番号51)
IGL−LS、IGL−3A21aプライマーセットで、DNA配列9を鋳型としてPCR増幅を行い、分泌シグナルを付加したDNA配列11を得た。
IGL−LSプライマー:
5’-GGTCGCCACCATGGACATGAGGGTCCCCGCTCAGCTCCTGGGGCTCCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGTGCCAGATGTGACA -3’(配列番号52)
IGL−3A21aプライマー:
5’-GCCACAGTTCGTTTTATTTCCAACTTTGTC-3’(配列番号53)
DNA配列10およびDNA配列11を鋳型とし、IGL−Vs、IGL−CaプライマーセットでアセンブルPCRを行って両産物を連結させたDNA配列12を得た。
IGL−Vsプライマー:
5’-CCTTGGTACCGGTCGCCACCATGGACATGA -3’(配列番号54)
次に、pcDNA3.1−hygro(+)(Invitrogen)を鋳型としてNotI−spacerB−s/ NotI−spacerB−aプライマーセットで0.5kbpの断片を増幅し、pmaxGFP+NotIのNorI部位に挿入し、pmaxGFP+spacerBプラスミドを得た。
NotI−spacerB−sプライマー:
5’-ttGCGGCCGCctgtgatggacgacaccgtc-3’(配列番号55)
NotI−spacerB−aプライマー:
5’-ttGCGGCCGCctattcctttgccctcggac-3’(配列番号56)
次に、DNA配列12を鋳型とし、KpnI−IGH−s/BglII−IGH−aプライマーセットで軽鎖を増幅した。これを、pmaxGFP+spacerBのGFPと置換し、pmax+spacerB+IgLプラスミドを得た。
KpnI−IGL−sプライマー:
5’-ccttGGTACCGAAGCCGCTAGCGCTACCGGTCGCCACCatggacatgagggtccccgc-3’(配列番号57)
BglII−IGL−aプライマー:
5’-ccttAGATCTctaacactctcccctgttga -3’(配列番号58)
pmax+spacerB+IgL を鋳型とし、HindIII−spB(IgL)−s2/ Hin3−CMV−IgHL−SVpA−aプライマーセットでPCR増幅し、pCR−BluntII−TOPOベクターにクローニングした後、制限酵素Hind IIIで切断し、DNA配列13(軽鎖カセット)を得た。
HindIII−spB(IgL)−s2プライマー:
5’-ccttAAGCTTctattcctttgccctcggac-3’(配列番号59)
Hin3−CMV−IgHL−SVpA−aプライマー:
5’-cttAAGCTTAACGTCTCGCCCTTTGGTCTC-3’(配列番号60)
基礎ベクター+neoRプラスミドを制限酵素Hind IIIで切断し、DNA配列13(軽鎖カセット)を挿入し、基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドを得た。
CHO細胞hprt遺伝子相同DNA断片の取得
CHO−K1細胞のゲノムDNAを鋳型とし、PCR反応(KOD−Plus−Ver2、TOYOBO)によって、標的となるhprt遺伝子の相同DNA断片(CHA1およびCHA2)をクローニングした。CHA1およびCHA2は、後述する図3でも示される通り、hprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
SseNru−CHA1−1k−sプライマー:
5’-ttCCTGCAGGTCGCGAaggagtttattagaggaaatat-3’(配列番号61)
MluI−CHA1−rプライマー:
5’-ttACGCGTtgataaaatctacagtcatggg-3’(配列番号62)
Bam−CHA2−sプライマー:
5’-ttGGATCCgactgaagagctactgtgta-3’(配列番号63)
PciNru−CHA2−1k−rプライマー:
5’- ttACATGTTCGCGAatcagatccctgggactgga-3’(配列番号64)
CHO 1kx2 抗体ベクターの取得
Bam−CHA2−s/ PciNru−CHA2−1k−rプライマーセットで増幅したCHA2配列を、制限酵素Bam HIおよびPci Iで切断し、基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドのHA2配列と置換した。さらに、SseNru−CHA1−1k−s/ MluI−CHA1−rプライマーセットで増幅したCHA1配列を、制限酵素Sse8387IおよびMlu Iで切断し、HA1配列と置換した。次いで、制限酵素Mlu I部位に、DNA配列8(重鎖カセット)を挿入し、図2(A)で示されるCHO 1kx2 抗体ベクターを得た。
HT1080ホモロジーアームベクターの取得
基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドの制限酵素Mlu I部位に、DNA配列8(重鎖カセット)を挿入し、図2(B)に示されるHT1080ホモロジーアームベクターを得た。
実施例3:細胞へのベクターの導入
ベクター線状化
CHO 1kx2 抗体ベクター、HT1080ホモロジーアームベクターは、Endofree Plasmid Maxi kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、Nru Iにて切断した。2g/Lの濃度になるように滅菌水に溶解し、以下のトランスフェクション実験に用いた。
トランスフェクションおよびスクリーニング
CHO−K1細胞をNucleofection T solution(amaxa)で1×10細胞に調製し、線状化したプラスミドベクター2μgと混合した。次に、得られた混合液を用いて、NuceofectorII(amaxa)を用い、プログラムU−023で電圧印加した。トランスフェクションは各ベクターにつき、3回施行した。トランスフェクトした細胞は、350細胞/ウェルにて96ウェルプレートに播種し、インキュベーター中37℃、5%CO2にて培養し(培地:Advanced MEM(GIBCO社)に5%FBS、1x Glutamax(GIBCO社)を添加したもの)、トランスフェクションから2日後にG418(インビトロジェン社)を加えた(最終濃度;500μg/mL)。
トランスフェクションから4日後にG418(最終濃度;500μg/mL)および6−TG(最終濃度;50μM)(和光純薬工業)を加え、さらに6日間培養した。培養後、全ウェルを確認し、G418/6TG耐性コロニーを単離した。結果は、表1に示される通りであった。
結果は、表1に示される通りであった。CHO 1kx2 抗体ベクターによって得られたG418/6TG耐性クローンは、3×10細胞あたり6クローンであった。一方、HT1080ホモロジーアームベクターにおいては、G418/6TG耐性クローンは得られなかった。
Figure 0004998814
実施例4:ゲノムPCRによる解析
DNA Isolation kit(ロシュ)を用い、CHO 1kx2 抗体ベクターのトランスフェクションにより得たG418および6TGに耐性のクローンからゲノムDNAを抽出し、このゲノムDNAを鋳型とした以下に示すPCR反応により、標的hprt遺伝子座への位置特異的な組み換えの確認を行った。
図3(A)は、ゲノムPCRによる相同組み換え反応の解析の詳細を説明する模式図である。
hprt遺伝子(1)の相同組換えの標的領域(2)は、エクソン3(3)を含んで設定されており、この領域にベクターDNA(6)中のCHA1(4)、CHA2(5)およびこれに挟まれた抗体重鎖配列(7)、ネオマイシン耐性遺伝子(8)および抗体軽鎖配列(9)は相同組み換えにより組込まれる。
CHA1(4)と、抗体重鎖配列(7)の一部とを含むDNA(1688bpのDNA)および、CHA2(5)と、抗体軽鎖配列(9)の一部とを含むDNA(1752bpのDNA)は、相同組み換えによってのみゲノムから取得することができ、相同組み換えの指標となる。
よって、CHA1と標的領域との相同組換えの指標として、図3(A)に示す1688bpのDNAを設定し、このDNAは、以下に示すプライマーCHPRTs/NotI−spacerA−sによるPCR反応により検出した。一方、CHA2と標的hprt遺伝子座との相同組換えの指標として、図3(A)に示す1752bpのDNAを設定し、このDNAは、以下に示すプライマーIGL−Cs/ CHA2−seq−a1によるPCR反応により検出した。
CHPRTsプライマー:
5’-TGTTCCTGTGCATACTAGGC-3’ (配列番号65)
CHA2−seq−a1プライマー:
5’-CCAGAGAAATTATTTGCCACCAGC-3’ (配列番号66)
次に、得られたPCR増幅産物を1.0%アガロースゲル電気泳動により解析した。結果は、図3(B)および(C)に示される通りであった。
図3(B)および(C)において、1から6はCHO 1kx2 抗体ベクターにより得られたクローンを示す。取得した6クローンのうち、5クローンにおいて1688bpおよび1752bpの両方のPCR増幅産物が確認され、相同組換え反応が確認された。
実施例5:サザンハイブリダイゼーションによる解析
実施例4で取得された5クローンにおいて、CHO 1kx2 抗体ベクターが標的hprt遺伝子座へ位置特異的な組み換えで組み込まれたことを、以下のサザンハイブリダイゼーションにより確認した。
図4(A)は、実施例5のサザンハイブリダイゼーションの詳細を説明する模式図である。
図4(A)で示される通り、hprt遺伝子(1)の相同組み換えの標的領域(2)は、エクソン3(3)を含む領域に設定され、ホモロジーアーム1(CHA1)(4)およびホモロジーアーム2(CHA2)(5)は、標的領域における二つの隣接した領域に相同であるように設定されている。そして、Pci I制限酵素サイトは、標的領域(2)を挟むように位置し、その内側には存在しない。一方、CHO 1kx2 抗体ベクターにはPci I制限酵素サイトは存在しない。そして、CHO 1kx2 抗体ベクターのネオマイシン耐性遺伝子配列(6)には、NRプローブがハイブリダイズしうるように設計されている。
図4(A)に示される通り、Pci I制限酵素サイトの位置、およびDNA配列の鎖長を勘案すると、10488 bpのDNAが検出される場合、CHO 1kx2 抗体ベクターがクローンのhprt遺伝子座に組み込まれているものと判定できる。
NRプローブの調製
CHO 1kx2 抗体ベクター中のネオマイシン耐性遺伝子に相補的な配列を有するNRプローブを、以下の手順で合成した。まず、CHO 1kx2 抗体ベクター中のネオマイシン耐性遺伝子コード配列の全長をPCRにより増幅し、pGEM T プラスミドベクター(Promega社)にTAクローニングした。次に、PCR DIGプローブ合成キット(ロシュ社、プライマー:M13 Forward/Reverseプライマー)を用いて、DIG(Digoxigein)標識されたプローブを作製した。
メンブレンの調製
6TG耐性コロニーから各細胞クローンのゲノムDNAを抽出し、Pci I制限酵素により切断した。切断したゲノムDNA5μgを、0.6%アガロースゲルを用いて電気泳動し、ナイロンメンブレン(Hybond N+ membrane、AmaershamBiosciences社)へ転写した。得られたメンブレンは80℃で2時間インキュベートし、DNAをメンブレン上に固定した。
ハイブリダイゼーション
上記メンブレンに対し、上記NRプローブをハイブリダイズさせた。この際、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよびプローブの検出は、DIGアプリケーション マニュアル(ロシュ社)に従って行った。
図4(B)に示される通り、解析した5クローン全てにおいて、NRプローブにより10488bpのDNA断片が検出された。
実施例6:組み換え細胞によるタンパク質の生産
組み換えクローンの培養および培地のサンプリング
まず、組み換えクローンを1シャーレあたり2 X 10 細胞播種し、G418(最終濃度; 500 μg/mL)および6−TG(最終濃度; 50 μM)、およびFBS(Japan Bio Serum社製)を5%含んだAdvanced MEM(Invitrogen)10mL中、5 % CO存在下37℃で培養した。培養を開始してから5日目に、培地を回収した。回収した培地は、以下のELISA解析に用いた。
ELISAによる定量
回収した培地中のIgG量は、Human IgG EIA Kit (precoated)(宝酒造製)により、450nmの吸光度を測定することにより解析した。
結果は、図5に示される通りであった。測定した3クローンにおいて、シャーレ1枚あたりのIgG量の平均値は1.29±0.18μg/dishであり、CV値は14.2%であった。
実施例7:鎖長2.5kbpの相同DNA断片を有するベクターによる相同組み換え
2.5kbpのCHO細胞hprt遺伝子相同DNA断片の取得
鎖長2.5kbpの相同DNA断片を有する、図6に示すCHO 2.5kx2 抗体ベクターベクターを製造するため、CHO−K1細胞のゲノムDNAを鋳型とし、PCR反応(KOD−Plus−Ver2、TOYOBO)によって、標的となるhprt遺伝子の相同DNA断片(CHA1−2.5およびCHA2−2.5)をクローニングした。CHA1−2.5およびCHA2−2.5は、後述する図7(A)でも示される通り、hprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は実施例2に記載したMluI−CHA1−rプライマーおよびBam−CHA2−sプライマーと、以下に示すものを用いた。
SseNru−CHA1−2.5k−sプライマー:
5’-ttCCTGCAGGTCGCGAgtctgtgtgtatgtttgtgataggc-3’(配列番号67)
NcoNru−CHA2−2.5k−rプライマー:
5’-ttCCATGGTCGCGAtgaaggttatagagcataggggacc-3’(配列番号68)
CHO 2.5kx2 抗体ベクターの取得
Bam−CHA2−s/ NcoNru−CHA2−2.5k−rプライマーセットで増幅したCHA2−2.5配列を、制限酵素Bam HIおよびNco Iで切断し、基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドのHA2配列と置換した。さらに、SseNru−CHA1−2.5k−s/ MluI−CHA1−rプライマーセットで増幅したCHA1−2.5配列を、制限酵素Sse8387IおよびMlu Iで切断し、HA1配列と置換した。次いで、制限酵素Mlu I部位に、DNA配列8(重鎖カセット)を挿入し、図6で示されるCHO 2.5kx2 抗体ベクターを得た。
CHO 2.5kx2 抗体ベクター組込みクローンの取得
CHO 2.5kx2 抗体ベクターは、実施例3と同様、精製および線状化を行い、2g/Lの濃度になるように滅菌水に溶解し、1×10細胞に対しして導入した。
次に、実施例3と同様に選択薬剤によるスクリーニングを行った結果、5クローンのG418/6TG耐性コロニーを単離した。
ゲノムPCRによる解析
CHO 2.5kx2 抗体ベクターのトランスフェクションにより得たG418および6TGに耐性のクローンからゲノムDNAを抽出し、このゲノムDNAを鋳型とした以下に示すPCR反応により、標的hprt遺伝子座への位置特異的な組み換えの確認を行った。
図7(A)は、ゲノムPCRによる相同組み換え反応の解析の詳細を説明する模式図である。
hprt遺伝子(1)の相同組換えの標的領域(2)は、エクソン3(3)を含んで設定されており、この領域にベクターDNA(6)中のCHA1−2.5(4)、CHA2−2.5(5)およびこれに挟まれた抗体重鎖配列(7)、ネオマイシン耐性遺伝子(8)および抗体軽鎖配列(9)は相同組み換えにより組込まれる。
CHA1−2.5(4)と、抗体重鎖配列(7)の一部とを含むDNA(3075 bpのDNA)、および、CHA2−2.5(5)と、抗体軽鎖配列(9)の一部とを含むDNA(3228 bpのDNA)は、相同組み換えによってのみゲノムから取得することができ、相同組み換えの指標となる。
よって、CHA1−2.5と標的領域との相同組換えの指標として、図7(A)に示す3075 bpのDNAを設定し、このDNAは、以下に示すプライマーCHA1−seq−s11/NotI−spacerA−sによるPCR反応により検出した。一方、CHA2−2.5と標的hprt遺伝子座との相同組換えの指標として、図7(A)に示す3228 bpのDNAを設定し、このDNAは、以下に示すプライマーIGL−Cs/ CHA2−seq−a4によるPCR反応により検出した。
CHA1−seq−s11プライマー:
5’-GACACATGCAGACAGAACAG-3’(配列番号69)
CHA2−seq−a4プライマー:
5’-GTTTGCTAACACCCCTTCTC-3’(配列番号70)
次に、得られたPCR増幅産物を1.0%アガロースゲル電気泳動により解析した。結果は、図7(B)および(C)に示される通りであった。
図7(B)および(C)において、1から5はCHO 2.5kx2 抗体ベクターにより得られたクローンを示す。取得した5クローンのうち、4クローンにおいて3075 bpおよび3228 bpの両方のPCR増幅産物が確認され、相同組み換え反応が確認された。
サザンハイブリダイゼーションによる解析
実施例7で取得された4クローンにおいて、CHO 2.5kx2 抗体ベクターが標的hprt遺伝子座へ位置特異的に組み込まれたことを、以下のサザンハイブリダイゼーションにより確認した。
図8(A)は、実施例7のサザンハイブリダイゼーションの詳細を説明する模式図である。
図8(A)で示される通り、hprt遺伝子(1)の相同組み換えの標的領域(2)は、エクソン3(3)を含む領域に設定され、ホモロジーアーム1(CHA1−2.5)(4)およびホモロジーアーム2(CHA2−2.5)(5)は、標的領域における二つの隣接した領域に相同であるように設定されている。そして、Eco RV制限酵素サイトは、標的領域(2)近傍には一か所のみ存在し、標的領域内には一か所しか存在しない。一方、CHO 2.5kx2 抗体ベクターには、Eco RV制限酵素サイトはCHA2−2.5に一か所しか存在しない。そして、CHO 2.5kx2 抗体ベクターのネオマイシン耐性遺伝子配列(6)には、NRプローブがハイブリダイズしうるように設計されている。
図8(A)に示される通り、Eco RV制限酵素サイトの位置、およびDNA配列の鎖長を勘案すると、12302 bpのDNAが検出される場合、クローンのhprt遺伝子座にCHO 2.5kx2 抗体ベクターが組み込まれているものと判定できる。
プローブの調製
CHO 2.5kx2 抗体ベクター中のネオマイシン耐性遺伝子に相補的な配列を有するNRプローブは、実施例5と同様にして準備した。
メンブレンの調製
6TG耐性コロニーから各細胞クローンのゲノムDNAを抽出し、Eco RV制限酵素により切断した。切断したゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション解析を、実施例5と同様に行った。
図8(B)に示される通り、解析した4クローン全てにおいて、NRプローブにより12302 bpのDNA断片が検出された。
実施例8:CHO細胞の2本の染色体における相同組み換えの確認
ゲノムPCRによる野生型hprt遺伝子残存の確認
CHO 1kx2抗体ベクターおよびCHO 2.5kx2抗体ベクターの相同組換えクローンから抽出したゲノムDNAを鋳型として用いた、以下に示すPCR反応により、野生型hprt遺伝子が残存しているのかを確認した。
図9(A)は、野生型hprt遺伝子の残存を確認するためのゲノムPCRの詳細を説明する模式である。
まず、図9(A)左図は2本のX染色体を有する野生型CHO細胞におけるPCRを示す。hprt遺伝子(1)の相同組換えの標的領域(2)は、エクソン3(3)を含んで設定されている。ベクター非導入の野生型細胞の場合、標的領域のDNA(2322bp)は、PCR反応によって増幅することができ、これを指標として野生型hprt遺伝子が残存していることを確認することができる。
図9(A)の中央図は、1本のX染色体のhprt遺伝子座にベクターが組込まれたヘテロ接合型の相同組換え細胞におけるPCRを示す。一方の染色体では、標的領域(2)中にベクターのDNA(7)(CHA1(4)、CHA2(5)およびこれに挟まれた抗体重鎖、ネオマイシン耐性遺伝子および抗体軽鎖配列を含む)は相同組み換えによりに組込まれている。一方、もう1本の染色体は、標的領域を保持しており、標的領域のDNA(2322bp)は、PCR反応によって増幅することができ、野生型hprt遺伝子が残存していることを確認できる。
一方、図9(A)の右図に示されるとおり、両方のX染色体にベクターが組込まれたホモ接合型の相同組換え細胞においては、組み換えDNAのみが発現し、PCR反応によって標的領域のDNA(2322bp)の増幅は生じない。
以上の理解から、図9(A)に示す2322bpのDNAを上記指標として設定し、このDNAを検出するため、プライマーCHPRTs/CHA2−seq−a1を用いてPCR反応を行った。
次に、得られたPCR増幅産物を1.0%アガロースゲル電気泳動により解析した。結果は、図9(B)に示される通りであった。
図9(B)において、WTは野生型細胞を示し、1kx2ベクター組込みクローン(1、2、3、5および6)は、実施例4で取得されたCHO 1kx2抗体ベクターの組込みクローンを示し、2.5kx2ベクター組込みクローン(1〜4)は、実施例7で取得されたCHO 2.5kx2抗体ベクターの組込みクローンを示す。野生型細胞からは2322bpのPCR増幅産物が確認され、野生型hprt遺伝子の存在が確認された。一方、解析した全ての組み換えクローンにおいては2322bpのPCR増幅産物が確認されなかったことから、組み換え細胞は両方のX染色体にベクターが組込まれたホモ接合型であった。
この結果から、本発明によるベクターを用いると、2本のX染色体の両hprt遺伝子座に目的タンパク質遺伝子が組込まれた組換え細胞クローンが高頻度で取得されていることが確認された。
実施例9:CHO内在性プロモーターを使用した組み換えベクタークローンによる、抗体の長期安定発現
CHO CHEF1Pベクターの作製
CHO−K1ゲノムDNAを鋳型とし、EF1aP−MluI−F/EF1aP−XbaI−RプライマーセットでCHEF1αプロモーターを増幅した。
EF1aP−MluI−Fプライマー:
5’-AGAACGCGTCCACACAATCAGAACCACA-3’(配列番号71)
EF1aP−XbaI−Rプライマー:
5’-GACGATCTAGAGGTGGTTTTCACAACA-3’(配列番号72)
また、CHO 2.5k×2_H−neo−Lプラスミドを鋳型とし、CMV−seq−s/MluI−CMV−IgHL−SVpA−aプライマーセットでIgH遺伝子を増幅した。
CMV−seq−sプライマー:
5’-AGGGACTTTCCATTGACGTC-3’(配列番号73)
MluI−CMV−IgHL−SVpA−aプライマー:
5’-cttACGCGTAACGTCTCGCCCTTTGGTCTC-3’(配列番号74)
次に、得られたCHEF1αPとIgH遺伝子をXbaI、NheIでそれぞれ切断し、ライゲーション反応を行った。その後、CHEF1αP+IgH遺伝子のバンドをゲル抽出し、TOPOベクター(インビトロジェン社)へクローニング後、MluI切断により、CHEF1αP+IgH遺伝子カセットを得た。
一方、CHO−K1ゲノムDNAを鋳型とし、EF1aP−HindIII−F/EF1aP−HindIII−RプライマーセットでCHEF1αプロモーターを増幅した。
EF1aP−HindIII−Fプライマー:
5’-AGAAAGCTTCCACACAATCAGAACCACA-3’(配列番号75)
EF1aP−HindIII−Rプライマー:
5’-GACGAATTCGCGGTGGTTTTCACAACA-3’(配列番号76)
また、CHO 2.5k×2_H−neo−Lプラスミドを鋳型とし、IgLser−EcoRI−F/IgLser−HindIII−RプライマーセットでIgL遺伝子を増幅した。
IgLser−EcoRI−Fプライマー:
5’-TATGAATTCGTCGCCACCATGGACAT-3’(配列番号77)
IgLser−HindIII−Rプライマー:
5’-TGTAAGCTTTACCACATTTGTAGAGGTTTT-3’(配列番号78)
次に、得られたCHEF1αPとIgL遺伝子をEcoRIで切断し、ライゲーション反応を行った。その後、CHEF1αP+IgL遺伝子のバンドをゲル抽出し、TOPOベクターへクローニングして、HindIII切断により、CHEF1αP+IgL遺伝子カセットを得た。
CHO 2.5k×2_H−neoベクターをHindIII切断および脱リン酸処理後、CHEF1αP+IgL遺伝子カセットを挿入してH−neo−EF1Lベクターを得た。次に、MluI切断および脱リン酸処理後、CHEF1αP+IgH遺伝子カセットを挿入し、図10で示されるCHO CHEF1Pベクターを得た。
CHO CHEF1Pベクター組み換えCHO細胞の取得
構築したCHO CHEF1Pベクターの線状化、CHO細胞への導入およびスクリーニングを実施例3と同様に実施し、CHO CHEF1Pベクター組換えCHO細胞を取得した。
CHO CHEF1Pベクタークローンの抗体生産における長期安定性の確認
取得したCHO CHEF1Pベクター組換えCHO細胞を、7℃、5%CO2にて継代維持し(選択薬剤非添加培地: Advanced MEM(GIBCO社)に5% FBS、1xGlutamax(GIBCO社)を添加したもの)、適時抗体生産量の測定に供した。
継代維持中の細胞を剥離し、2×10cellsで100mmディッシュに播き込み、37℃、5%COで一晩培養後、細胞を剥離して3×10cells/mlに調製し、1.5mlずつ12ウェルプレートに播き込んで培養した。24時間後、培地を完全除去し、新しい培地を1.5ml分注し、24時間培養後、培地を全量回収し、ELISAアッセイによってIgG量を測定した。また、ウェル底面に付着した細胞を剥離し、細胞数を計測した。
結果は図11に示される通りであった。hprt遺伝子座にCHO CHEF1Pベクターを組込んだCHO細胞の抗体生産性は、選択薬剤非添加で16週間の継代培養を経ても一定に保たれ、生産性低下は認められなかった。
実施例10:鎖長2.5kbpの相同DNA断片を有し、抗体重鎖を発現するベクターによる相同組み換え体の取得
抗体重鎖発現組み換えベクターの作製
実施例7で作製したCHO 2.5kx2 抗体ベクターを制限酵素Hind IIIで切断し、自己閉環化させ、図13で示されるCHO 2.5kbx2 重鎖ベクターを作製した。
CHO 2.5kbx2 重鎖ベクター組換えCHO細胞の取得
構築したCHO 2.5kbx2 重鎖ベクターの線状化、CHO細胞への導入およびスクリーニングを実施例3と同様に実施し、CHO 2.5kbx2 重鎖ベクター組換えCHO細胞を取得した。その結果、10細胞あたり130個の組換えCHO細胞が取得された。
実施例11:ヒトhprt遺伝子座イントロン由来MARを有し、抗体重鎖を発現するベクターによる安定発現CHO細胞の取得
MAR非転写ベクターの作製
実施例2で準備したヒト由来細胞株HT1080細胞株のゲノムDNAを鋳型とし、XbaI−hprtMAR−s/XbaI−hprtMAR−aプライマーセットでヒトhprt遺伝子イントロンのMAR(hprtMAR1)を増幅した。
XbaI−hprtMAR−sプライマー:
5’-ttTCTAGAtagttatgagcccatgtccc-3’(配列番号79)
XbaI−hprtMAR−aプライマー:
5’-ttTCTAGAcggtgaaatcctgtctctac-3’(配列番号80)
実施例7で作製したCHO 2.5kx2 抗体ベクターを制限酵素XbaIで切断し、hprtMAR1を挿入し、図13(A)で示されるMAR非転写ベクターを得た。
MAR転写ベクターの作製
ヒト由来細胞株HT1080細胞株のゲノムDNAを鋳型とし、AscI−hprtMAR−s/MluI−hprtMAR−aプライマーセットでヒトhprt遺伝子イントロンのMAR(hprtMAR2)を増幅した。
AscI−hprtMAR−sプライマー:
5’-ttGGCGCGCCtagttatgagcccatgtccc-3’(配列番号81)
MluI−hprtMAR−aプライマー:
5’-ttACGCGTcggtgaaatcctgtctctac-3’(配列番号82)
実施例7で作製したCHO 2.5kx2 抗体ベクターを制限酵素MluIで切断し、hprtMAR2を挿入した。次に、制限酵素MluIで切断し、実施例2の抗体重鎖発現カセットを挿入し、図13(B)で示されるMAR転写ベクターを得た。
MAR CMV転写ベクターの作製
ヒト由来細胞株HT1080細胞株のゲノムDNAを鋳型とし、BglII−hprtMAR−s/BglII−hprtMAR−aプライマーセットでヒトhprt遺伝子イントロンのMAR(hprtMAR3)を増幅した。
BglII−hprtMAR−sプライマー:
5’-ttAGATCTtagttatgagcccatgtccc-3’(配列番号83)
BglII−hprtMAR−aプライマー:
5’-ttAGATCTcggtgaaatcctgtctctac-3’(配列番号84)
実施例2で作製したpCR−BluntII−TOPO+抗体重鎖発現カセットを制限酵素BglIIで切断し、hprtMAR3を挿入した後、制限酵素MluIで切り出し、抗体重鎖+MAR発現カセットを得た。
次に、実施例2で作製したpCR−BluntII−TOPO+抗体軽鎖発現カセットを制限酵素BglIIで切断し、hprtMAR3を挿入した後、制限酵素HindIIIで切り出し、抗体軽鎖+MAR発現カセットを得た。
実施例7で作製したCHO 2.5kx2 抗体ベクターを制限酵素MluIで切断し、抗体重鎖+MAR発現カセットを挿入した。次に、制限酵素HindIIIで切断し、抗体軽鎖+MAR発現カセットを挿入し、図13(C)で示されるMAR CMV転写ベクターを得た。
MARベクター組み換えCHO細胞の取得
構築したMAR非転写ベクター、MAR転写ベクターおよびMAR CMV転写ベクターの線状化、CHO細胞への導入およびスクリーニングを実施例3と同様に実施し、組換えCHO細胞を取得した。
ヒトhprt遺伝子座イントロン由来MARを有し、抗体重鎖を発現するベクタークローンの抗体生産における安定性の確認
図13(A)、(B)および(C)に示されるMARベクターによって取得した組換えCHOクローンの抗体生産性解析を、実施例9と同様に実施した。
その結果は図14に示されるとおりであった。この結果が示すように、抗体生産性が維持されたものは、ベクター組込み部位のhprt遺伝子の転写によってのみ、ヒトhprtのMARが転写されるベクターを組込んだクローンだけであった。ヒトhprtMARが転写されない構造のベクター、およびCMVプロモーターで目的タンパク質遺伝子とMARが同時に転写される構造のベクターで取得したクローンでは、7日間の培養中に抗体生産性が低下していた。
実施例12:鎖長200b、500bの相同DNA断片を有し、抗体重鎖を発現するベクターによる相同組み換え体の取得
CHO 200b×2ベクター、CHO 500b×2ベクター作製
CHO−K1細胞のゲノムDNAを鋳型とし、SseNru−CHA1−200−s/MluI−CHA1−rプライマーセット、Bam−CHA2−s/PciNru−CHA2−200−rプライマーセットによるPCR反応によって、標的となるhprt遺伝子の相同DNA断片(CHA1−200およびCHA2−200)をそれぞれクローニングした。CHA1−200およびCHA2−200はhprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
SseNru−CHA1−200−sプライマー:
5’-ttCCTGCAGGTCGCGAtggaatcttctattcctgattt-3’(配列番号85)
PciNru−CHA2−200−rプライマー:
5’-ttACATGTTCGCGAtcagcactcaggagtcagag-3’(配列番号86)
次に、実施例2の基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドを制限酵素Bam HI、Pci Iで切断し、CHA2−200断片と置換した。次に、制限酵素Sse8387I、Mlu Iで切断し、CHA1−200断片と置換した。最後に、制限酵素Mlu I部位にDNA配列8(重鎖カセット)を挿入し、図15(A)で示すホモロジーアーム長200bのCHO 200b×2ベクターを得た。
一方、SseNru−CHA1−500−s/MluI−CHA1−rプライマーセット、Bam−CHA2−s/PciNru−CHA2−500−rプライマーセットによるPCR反応によって、標的となるhprt遺伝子の相同DNA断片(CHA1−500およびCHA2−500)をそれぞれクローニングした。
SseNru−CHA1−500−sプライマー:
5’-ttCCTGCAGGTCGCGAgatgcctagcatgtacctgg-3’(配列番号87)
PciNru−CHA2−500−rプライマー:
5’-ttACATGTTCGCGAtaagtacaaatccatcttgggtgac-3’(配列番号88)
次に、実施例2の基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドを制限酵素Bam HI、Pci Iで切断し、CHA2−500断片と置換した。次に、制限酵素Sse8387I、Mlu Iで切断し、CHA1−500断片と置換した。最後に、制限酵素Mlu I部位にDNA配列8(重鎖カセット)を挿入し、図15(B)で示すホモロジーアーム長500bのCHO 500b×2ベクターを得た。
CHO 200b×2ベクター、CHO 500b×2ベクター組み換えCHO細胞の取得
構築したCHO 200b×2ベクター、CHO 500b×2ベクターの線状化、CHO細胞への導入およびスクリーニングを実施例3と同様に実施した。
ところが、2回の導入操作を実施したにもかかわらず、CHO 200b×2ベクター、CHO 500b×2ベクターのいずれにおいても組み換えCHO細胞は全く取得されなかった。
実施例13:鎖長5kbの相同DNA断片を有し、抗体重鎖を発現するベクターによる相同組み換え体の取得
CHO 5kb×2ベクター作製
CHO−K1細胞のゲノムDNAを鋳型とし、NsiNru−CHA1−5k−s/MluI−CHA1−rプライマーセット、BclI−CHA2−s/BspNru−CHA2−5k−rプライマーセットによるPCR反応によって、標的となるhprt遺伝子の相同DNA断片(CHA1−5kおよびCHA2−5k)をそれぞれクローニングした。CHA1−5kおよびCHA2−5kはhprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
NsiNru−CHA1−5k−sプライマー:
5’-ttATGCATTCGCGAAtctcaggtgataggagacataagac-3’(配列番号89)
BclI−CHA2−sプライマー:
5’-ttTGATCAgactgaagagctactgtgta-3’(配列番号90)
BspNru−CHA2−5k−rプライマー:
5’-ttTCATGAaTCGCGAAtcagcactcaggagtcagag-3’(配列番号91)
次に、実施例2の基礎ベクター+neoR+IgLプラスミドを制限酵素Bam HI、Pci Iで切断し、CHA2−5k断片と置換した。次に、制限酵素Sse8387I、Mlu Iで切断し、CHA1−5k断片と置換した。最後に、制限酵素Mlu I部位にDNA配列8(重鎖カセット)を挿入し、図16で示すホモロジーアーム長5kbのCHO 5kb×2ベクターを得た。
CHO 5kb×2ベクター組み換えCHO細胞の取得
構築したCHO 5kb×2ベクターの線状化、CHO細胞への導入およびスクリーニングを実施例3と同様に実施した。
その結果、1×10細胞あたり、7クローンの組み換えCHO細胞が取得された。実施例7のホモロジーアーム2.5kbのベクターでの取得頻度は1×10細胞あたり4クローンであったことから、ホモロジーアーム長5kbはより好ましい結果となった。

Claims (13)

  1. 5’末端から3’末端に向かって、第一の相同DNA断片、目的タンパク質遺伝子、および第二の相同DNA断片を含んでなる、DNA構築物であって、
    前記第一の相同DNA断片および第二の相同DNA断片が、CHO細胞ゲノムのヒポキサンチン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素(hprt)遺伝子座の一部と相同組み換え可能な相同性を有し、かつ1kbp以上7.5kbp以下の鎖長を有するものである、DNA構築物。
  2. 前記第一の相同DNA断片および第二の相同DNA断片が1kbp以上5kbp以下の鎖長を有するものである、請求項1に記載のDNA構築物。
  3. 前記hprt遺伝子座の一部が、hprt遺伝子のイントロンの少なくとも一部を含んでなる領域である、請求項1に記載のDNA構築物。
  4. 前記第一の相同DNA断片または第二の相同DNA断片が、配列番号15〜22のいずれかに記載の塩基配列またはその部分配列を含んでなる、請求項1に記載のDNA構築物。
  5. 前記目的タンパク質が、抗体、酵素、サイトカイン、ホルモン、凝固因子、調節タンパク質またはレセプターである、請求項1に記載のDNA構築物。
  6. 陽性選択マーカー遺伝子をさらに含んでなる、請求項1に記載のDNA構築物。
  7. 請求項1に記載のDNA構築物を含んでなる、ベクター。
  8. ヒトhprt遺伝子の第一イントロン由来の核/マトリックス付着領域(MAR)を、当該ベクターが染色体に組込まれた後、組込み部位で生じる転写によって、当該MAR自身が転写される構造で保持する、請求項7に記載のベクター。
  9. 前記目的タンパク質遺伝子に作動可能に連結されたCHEF−1α遺伝子プロモーターを含んでなる、請求項7または8に記載のベクター。
  10. 前記ベクターが、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクターまたは人工染色体ベクターである、請求項7〜9のいずれか一項に記載のベクター。
  11. 請求項7〜9のいずれか一項に記載に記載のベクターをCHO細胞に導入することを含んでなる、組み換えCHO細胞の製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法により得られる、組み換えCHO細胞。
  13. 請求項12に記載の組み換えCHO細胞を用意し、該細胞を培養して目的タンパク質を産生することを含んでなる、目的タンパク質の製造方法。
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