JP5387266B2 - 組換え哺乳動物細胞、組換え哺乳動物細胞の製造方法、および目的タンパク質の生産方法 - Google Patents
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Description
本発明は、組換え哺乳類動物培養細胞、および該細胞を利用したタンパク質の生産方法に関する。
原核生物や真核生物を宿主とした、種々の組換えタンパク質生産システムが知られている。哺乳類動物細胞を宿主とした組換えタンパク質生産システムによれば、ヒトを始めとする高等動物由来のタンパク質に対し、糖鎖付加、フォールディング、リン酸化などの翻訳後修飾を、より生体で作られるものと同じように施すことが可能である。
また、本発明による上記哺乳動物細胞の製造方法は、宿主細胞のhprt遺伝子座に、外来性の目的タンパク質遺伝子の複数コピーを組込む工程を含んでなるものである。
また、本発明による目的タンパク質の製造方法は、上記哺乳動物細胞を培養して前記目的タンパク質を産生することを含んでなるものである。
本発明による目的タンパク質の製造方法にあっては、hprt遺伝子座を複数コピーの目的タンパク質遺伝子組換えのターゲット領域とする。このhprt遺伝子は、ヒト等のX染色体長腕に存在するハウスキーピング遺伝子の一つとして知られている。このhprt遺伝子座に複数コピーの外来性の目的タンパク質を組込んで発現させる場合、目的タンパク質の比生産性レベルがそのコピー数にほぼ比例して増加する。しかも、このタンパク質発現量を長期間に渡り安定に維持することが可能となる。本発明の好ましい態様によれば、この安定性は、選択薬剤の非存在下にあっても長期にわたり維持させることができる。
上記目的タンパク質遺伝子は、cDNAに由来する配列であっても、ゲノムDNAに由来する天然イントロンを含む構造遺伝子であっても、好適に利用可能である。また、目的タンパク質遺伝子は、医薬として有用なタンパク質をコードしていることが好ましい。該タンパク質は細胞内に蓄積されるものであっても、細胞外に分泌されるものであっても本発明において利用することが可能である。また、かかる目的タンパク質としては、酵素、サイトカイン、ホルモン、抗体、凝固因子、調節タンパク質、レセプター等が挙げられるが、より具体的な例としては、エリスロポエチン、モノクローナル抗体、組織特異的プラスミノーゲン活性化因子、顆粒球コロニー活性化因子等が挙げられる。
上記目的タンパク質遺伝子は、hprt遺伝子座において、プロモーター配列や転写終結シグナル配列等の発現に必要な要素を含む発現ユニットとして組込まれることが好ましい。したがって、本発明の一つの態様によれば、目的タンパク質遺伝子は、少なくともプロモーター配列および転写終結シグナル配列を含んだ発現ユニットとしてhprt遺伝子座に組込まれてなる。
本発明の一つの態様によれば、複数コピーの発現ユニットをhprt遺伝子座へ組換える場合、複数コピーの発現ユニットを含むベクターを用いることが好適である。また、シングルコピーの発現ユニットを含むベクターを哺乳動物細胞に導入し、複数コピーの発現ユニットが組換えられた細胞を選択・取得してもよく、本発明にはかかる態様も包含される。また、本発明の別の態様によれば、遺伝子増幅マーカー遺伝子と目的タンパク質遺伝子の発現ユニットとを含むベクターを用いてhprt遺伝子座へ組換えた後、適切な遺伝子増幅プロセスにより、複数コピーの発現ユニットが組込まれた細胞を選択することもまた好適である。
本発明に用いられるベクターとしては、哺乳動物細胞染色体へ目的遺伝子を組換えうるものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、人工染色体ベクター等が挙げられるが、好ましくは、プラスミドベクターである。また、上記ベクターは、直鎖状または環状のいずれで構成してもよい。
上記ベクターの哺乳動物細胞への導入は、当該技術分野において公知の方法を用いることが可能であり、例えば、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法などが挙げられる。かかる導入方法は、哺乳動物細胞の種類、ベクターのサイズ、導入効率等を勘案して当業者により適宜選択される。ここで、ベクターが環状である場合、公知の方法により線状化して細胞に導入されてもよい。
組換え哺乳動物細胞は、薬剤選択等の当該分野で周知となっている方法で選択し、取得することができる。例えば、目的タンパク質の発現ユニットを含むプラスミドベクターが優性選択が可能な薬剤耐性遺伝子等の選択マーカーを有する場合、選択薬剤を添加した培地で細胞の培養を行うことにより、組換え細胞を選択し、取得することが可能である。また、hprt遺伝子の発現をブロックする位置において目的タンパク質遺伝子が組込まれた場合、6-TGまたは8-AGを培地に添加することにより、組換え哺乳動物細胞を効率的に選択しうる。
適切な遺伝子増幅マーカー遺伝子と外来性遺伝子(好ましくはそれを発現ユニットとして)とを含むベクターをhprt遺伝子座に組換えた細胞を用意し、適切な遺伝子増幅プロセスを行うことにより、hprt遺伝子座に外来性遺伝子発現ユニットが複数コピー組込まれた組換え細胞を取得することができる。
また、本発明による哺乳動物細胞は、上述の手法により製造されるものであり、hprt遺伝子座に、外来性の目的タンパク質遺伝子の複数コピーが組込まれてなることを特徴とする。かかる組換え哺乳動物細胞にあっては、目的タンパク質遺伝子の比生産性レベルはその遺伝子コピー数に比例して増加し、この比生産性レベルは長期間に渡り安定に維持しうる。
さらに、この複数コピーの目的タンパク質遺伝子の長期的な発現安定性は、選択薬剤の非存在下であっても維持され、培養コストや異物混入リスク回避のために行われる精製プロセスのコストを低減する上で有利である。
上記目的タンパク質遺伝子の長期的な発現安定性は、選択薬剤の非存在下であっても維持されるものであり、かかる選択薬剤としては、細胞選択において用いられる公知薬剤が挙げられるが、例えば、ネオマイシン、6TG、MTX、MSX等である。
また、本発明において、宿主細胞として用いられる哺乳動物細胞は、好ましくはヒト由来のものであり、かかる哺乳動物細胞の具体的な例としては、例えば、ヒト線維肉腫由来のHT1080細胞株等が挙げられるが、hprt遺伝子の哺乳動物における普遍性を鑑みれば、これらに限定されるものではない。
また、相同組換えによりhprt遺伝子座へ目的タンパク質遺伝子を組込む場合、6TGや8AGなどの選択薬剤による相同組換え細胞の選択を勘案すれば、宿主細胞としてはhprt遺伝子座を全ゲノム中に1ヶ所のみ有する細胞が好ましい。そのような細胞の例としては、上述したHT1080株や、男性由来のX染色体を1本しか持たない細胞株などが挙げられる。
また、本発明による目的タンパク質の製造方法にあっては、hprt遺伝子座に複数コピーの目的タンパク質遺伝子が組込まれた組換え哺乳動物細胞を培地中で培養し、目的タンパク質を産生させることができる。上記哺乳動物細胞の培養条件の詳細は、細胞の性質および状態等に応じて当業者によって適宜決定されるが、培養コストを勘案すれば、培地は、好ましくは無血清培地であり、より好ましくはChemically defined(CD)培地である。
なお、以下の実験において、制限酵素による反応、PCR反応、ライゲーション反応等の各反応条件は、メーカーの推奨する反応条件、あるいはMolecular Cloning 2nd edition Sambrook et.al. Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の方法に従って設定した。また、得られた種々のプラスミドベクターDNA等については、自動DNAシークエンサー(310 Genetic Analyzer、Applied Bio Systems, Inc.)を用いてDNA配列を決定した。
1−1:プラスミドベクターの構築
以下、複数コピーのエリスロポエチン(EPO)遺伝子をhprt遺伝子座に対して組込むため、シングルコピーのEPO遺伝子を含む、図1で表されるベクター(phprt-GT-EPO gene)を構築した。
JCRBセルバンクから入手したヒト由来細胞株HT1080細胞株(カタログ番号:IF050354)をGFX(商品名) Genomic Blood DNA Purification Kit (Amersham Biosciences)により処理し、ゲノムDNAを得た。次に、このゲノムDNAを鋳型とし、PCR反応(KOD-Plus-、TOYOBO)によって、ターゲットとなるhprt遺伝子の相同DNA配列(HA1およびHA2)をクローニングした。HA1およびHA2は、後述する図3でも示される通り、hprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
5’-CCTGCAGGTCGCGATTGGTACTTGTTCAGCTTTATTCAAG-3’(配列番号1)
HA1 antisense プライマー:
5’-GTCGACAAGGACGCGTTCTGATAAAATCTACAGTCATAGGA-3’(配列番号2)
HA2 sense プライマー:
5’GTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGCGTAATCATGGTCTCCGGAGACTGAAGAGCTATTGTGTGAGTAT-3’(配列番号3)
HA2 antisense プライマー:
5’-ACATGTTCTCTTAAGTCGCGAAGTAGTGTTATGATGTATGGGCATA-3’(配列番号4)
5’-ACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAAC-3’(配列番号5)
Ecoli antisense プライマー:
5’-CCTGCAGGGACGTCAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGC-3’(配列番号6)
次に、DNA配列1〜3をライゲートしてphprt-GT-MCSプラスミドベクターを得た。
5'- CCTTGCTAGCATGGGGGTGCACGGTGAGTA -3'(配列番号7)
EPO gene as プライマー:
5'- CCTTGAATTCTCATCTGTCCCCTGTCCTGC -3'(配列番号8)
プラスミド線状化
プラスミドベクターphprt-GT-EPO geneを、Endofree Plasmid Maxi kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、Nru Iにて切断した。2g/Lの濃度になるように滅菌水に溶解し、以下のトランスフェクション実験に用いた。
ヒト線維肉腫細胞株HT-1080(JCRBセルバンクID:IFO50354)を1×107細胞/mLに調製し、線状化したプラスミドベクターphprt-GT-EPO gene、2μgと混合した。次に、得られた混合液を用いて、エレクトロポレーション法によりphprt-GT-EPO geneを細胞株HT-1080へトランスフェクトした。エレクトロポレーションは、Gene Pulser (BioRad社)を用いて、950μFの条件で行った。この実験のさらなる詳細は、Biotech. Bioeng. 2006. 95: 1052-1060.に記載の条件に従った。トランスフェクトした細胞は、500 細胞/ウェルにて96ウェルプレートに播種し、インキュベーター中37 ℃、5 % CO2にて培養し(培地: Advanced MEM(GIBCO社)に5% FBS、1x Glutamax(GIBCO社)を添加したもの)、トランスフェクションから24時間後にG418(インビトロジェン社)を加えた(最終濃度; 500 μg/ mL)。
培養8-12日後、上記プレートにG418耐性コロニーが現れたことを確認した。この段階で、6TG(最終濃度; 50 μM)(和光純薬工業)が添加された新しい培地を加え、さらに8日間培養した。培養後、全ウェルを確認し、6TG耐性コロニーを単離した。
以下、サザンハイブリダイゼーションを用い、hprt遺伝子座に複数コピーのEPO遺伝子が組込まれた組換え細胞を取得するため、6TG耐性コロニーのスクリーニングを行った。
プローブの調製
phprt-GT-EPO gene中のネオマイシン耐性遺伝子に相補的な配列を有するNRプローブを、以下の手順で合成した。まず、phprt-GT-EPO gene中のネオマイシン耐性遺伝子コード配列の全長をPCRにより増幅し、pGEM T プラスミドベクター(Promega社)にTAクローニングした。次に、PCR DIGプローブ合成キット(ロシュ社、プライマー:M13 Forward/Reverseプライマー)を用いて、DIG(Digoxigein)標識されたプローブを作製した。
6TG耐性コロニーから各細胞クローンのゲノムDNAをGFX Genomic Blood DNA purification kit(Amersham Biosciences社)を用いて抽出し、Bgl II制限酵素により切断した。切断したゲノムDNA10μgを、0.6%アガロースゲルを用いて電気泳動し、ナイロンメンブレン(Hybond N+ membrane、AmaershamBiosciences社)へ転写した。得られたメンブレンは80℃で2時間インキュベートし、DNAをメンブレン上に固定した。
上記メンブレンに対し、上記NRプローブをハイブリダイズさせた。この際、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよびプローブの検出は、DIGアプリケーション マニュアル(ロシュ社)に従って行った。また、プローブのストリッピイングは、ストリッピングバッファー(0.2M NaOH, 0.1% SDS)を用い、37℃で15分の条件で2回行った。
果を説明する。
図3(A)で示される通り、hprt遺伝子(1)の相同組換えのターゲット部位(2)は、エクソン3(3)を含む領域に設定され、ホモロジーアーム1(HA1)(4)およびホモロジーアーム2(HA2)(5)は、ターゲット部位における二つの隣接した領域に相同であるように設定されている。そして、Bgl II制限酵素サイトは、ターゲット部位(2)を挟むように位置し、その内側には存在しない。一方、図3(B)および(C)に示されるphprt-GT-EPO geneDNA配列(6)にはBgl II制限酵素サイトは存在しない。そして、phprt-GT-EPO geneDNA配列(6)には、NRプローブ(7)がハイブリダイズしうるように設計されている。
一方、図3(B)に示される通り、参照細胞であって8546 bpのDNA断片が検出された組換えクローン#19-3Bは、1コピーのphprt-GT-EPO geneDNA配列(6)が組込まれたものであることが確認された。
2−1:組換えクローンの培養
組換えクローン#14-5Eおよび#19-3Bを樹立直後に、選択薬剤G418および6TG不存在下で培養を行った。
培養は、5 % FBS(Japan Bioserum社製)含有Advanced MEM(GIBCO社製)中、5 % CO2存在下37 ℃で行われた。トリプシン処理による継代は、約4〜5日の間隔で、細胞数および細胞密度が70-80 %に達した時点で行った。定期的に対数増殖期において、細胞数のカウントと培地のサンプリングを行い、以下のEPOの生産性解析に用いた。
上記方法により培養した組換えクローン#14-5E および#19-3Bについて、以下の手順に従い、サンプル細胞を取得した。
まず、細胞サンプルを1シャーレあたり5 x 104 細胞播種し、FBS(Japan Bio Serum社製)を5 %含んだAdvanced MEM(GIBCO社製)中、5 % CO2存在下37 ℃で培養した。培養を開始してから3日目および4日目(対数増殖期)に、培地を回収し、さらに、培地回収後、細胞をトリプシンで処理し、細胞を回収した。回収した培地は、以下のELISA解析に用い、回収した組換えクローンの細胞数は血球計算板を用いてカウントした。なお、上記トリプシン処理は、0.25% Trypsin-EDTA溶液(GIBCO社製)を加え、室温で3〜5分間行った。トリプシン処理後、細胞を回収前には、血清添加培地を加えて反応を停止させた。
回収した培地中のEPO蓄積量は、固定化抗体としてMonoclonal anti-human EPO(R&D Systems)、1次抗体としてPolyclonal anti-human EPO(R&D Systems)、2次抗体としてAnti-mouse Ig, horseradish peroxidase linked whole antibody(from donkey)(Amersham Biosciences社製)を用い、TMB No Hydrogen Peroxide 1 Component HRP Microwell substrate(BioFX社製)により、450nmの吸光度を測定することにより解析した。
樹立直後の組換えクローン #14-5Eおよび#19-3Bに関し、細胞あたりの1日あたりのEPO比生産性を、回収した培地中のEPO蓄積量、細胞数、培養時間に基づき、次式にしたがって算出した。
(EPO比生産性)=(EPO蓄積量4日目-EPO蓄積量3日目)/((細胞数3日目+細胞数4日目)/2)/((サンプリング間の培養時間)/24)
hprt遺伝子座に2コピーのEPO遺伝子を含有する#14-5Eでは比生産性が2.16 pg/細胞/日であった。一方、1コピーのEPO遺伝子を含有する#19-3Bでは1.17 pg/細胞/日であった。#14-5EクローンのEPO生産性は#19-3Bクローンの約2倍であり、組込まれたコピー数に対して加算的に、EPO比生産性レベルが増加していた。
3−1:EPO生産性の測定
組換えクローン#14-5Eを、例2と同様の手法により、G418および6TG不含培地中で97日間継続培養を行った。継続培養中、定期的にEPO生産性の測定を行った。
また、hprt遺伝子座に並列して組込まれた2コピーのEPO遺伝子が長期培養後も安定に保持されているか否かを例1と同様の手法により、サザンハイブリダイゼーションによって確認した。
以下の手順に従い、効率的に複数のエリスロポエチン(EPO)遺伝子をhprt遺伝子に対して組換えるため、複数コピーのEPO遺伝子を含むベクター(phprt-IVS-GT-EPO-2およびphprt-IVS-GT-EPO-3)を構築した。
1コピーのエリスロポエチン遺伝子を含むベクター(phprt-IVS-GT-EPO-1)の構築
複数コピーのEPO遺伝子を含むベクターの構築用材料として、まず、図7で示される1コピーのEPO遺伝子を含むベクター(phprt-IVS-GT-EPO-1)を以下の手順により構築した。
phprt-GT-MCSプラスミドをEco RVおよびApa I制限酵素で切断し、Klenow酵素を作用させた後、セルフライゲーション反応を行い、MCS中の不要な制限酵素認識配列を除去したphprt-GT-MCSプラスミドを得た。
また、pIRESプラスミド(BDバイオサイエンス)を鋳型とし、PCR反応によりCMVプロモーター・エンハンサー配列、イントロン配列を含むDNA断片をクローニングし、PCR増幅産物を得た。PCR反応に用いたプライマー配列は以下の通りである。
5’-CCTTACGCGTTCAATATTGGCCATTAGCCA-3’
CMV−IVS−antisense プライマー(配列番号10):
5’-CCTTGCTAGCCTATAGTGAGTCGTATTAAG-3’
次に、相同組換えHT1080細胞クローン#19-3Bより抽出した全RNAを鋳型とし、RT-PCR反応により、EPO cDNA配列をクローニングした。RT-PCR反応に用いたプライマー配列は以下の通りであった。
5’-CCTTGCTAGCATGGGGGTGCACGAATGTCC-3’
EPO gene as プライマー(配列番号8):
5'- CCTTGAATTCTCATCTGTCCCCTGTCCTGC -3'
phprt-IVS-GT-EPOプラスミド中、ネオマイシン耐性遺伝子ユニットとHA2との間に存在するユニークな制限酵素サイト(Acc IIIおよびSal I)の間に、5’末端側から順に制限酵素サイトBgl II、Not I、Xba I、およびApa Iを含むDNA断片をライゲートし、図7に示されるphprt-IVS-GT-EPO-1プラスミドを得た。このphprt-IVS-GT-EPO-1プラスミドは、以下の複数コピーのEPO遺伝子を含むベクターの構築において用いた。
次に、図8に示される2コピーのEPO遺伝子を含むベクター(phprt-IVS-GT-EPO-2)を以下の手順により構築した。
まず、phprt-IVS-GT-EPOプラスミドをSal IおよびMlu I制限酵素で切断し、得られたプラスミドからHA1、HA2、および大腸菌内での操作配列を除去したEPO遺伝子発現ユニットを含む配列を得た。次に、pQBI25プラスミドベクター(和光純薬工業)を鋳型とし、Ecoli-BセンスプライマーとEcoli-Nアンチセンスプライマーを用いたPCR反応、およびEcoli-XセンスプライマーとEcoli-Aアンチセンスプライマーを用いたPCR反応により、大腸菌内における操作配列2種を得た。この操作配列2種をそれぞれ、上記EPO遺伝子発現ユニットを含む配列にライゲートし、両端にBgl IIおよびNot I制限酵素認識配列を含むEPO-BNプラスミド、および、両端にXba IおよびApa I制限酵素認識配列を含むEPO-XAプラスミドを得た。
5’- CTACGCGTAGATCTGACGTCAGGTGGCACT -3’
Ecoli-N antisense プライマー(Not Iサイト用:配列番号13):
5’- CTGTCGACGCGGCCGCACATGTGAGCAAAA -3'
Ecoli-X sense プライマー(Xba Iサイト用:配列番号14):
5’- CTACGCGTTCTAGAGACGTCAGGTGGCACT -3'
Ecoli-A antisense プライマー(Apa Iサイト用:配列番号15):
5’- CTGTCGACGGGCCCACATGTGAGCAAAAGG -3'
次に、phprt-IVS-GT-EPO-2プラスミド、およびEPO-XAプラスミドをそれぞれXba IおよびApa I制限酵素で切断し、ライゲートし、EPO遺伝子発現ユニットが3コピー同方向に並んで繰り返し含有するphprt-IVS-GT-EPO-3プラスミドを得た(図9)。
なお、得られたphprt-IVS-GT-EPO-1、phprt-IVS-GT-EPO-2およびphprt-IVS-GT-EPO-3は、それぞれ大腸菌DH5α(New England Biolabs社製)中で増殖させた。
プラスミド線状化
複数のEPO遺伝子を含む上記プラスミドベクターphprt-IVS-GT-EPO-2、phprt-IVS-GT-EPO-3は、Endofree Plasmid Maxi kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、Nru Iにて切断した。2g/Lの濃度になるように滅菌水に溶解し、以下のトランスフェクション実験に用いた。
線状化したプラスミドベクターphprt-IVS-GT-EPO-2、および、hprt-IVS-GT-EPO-3を、ヒト線維肉腫細胞株HT-1080(JCRBセルバンクID:IFO50354)に導入し、相同組換え細胞株の取得を行った。トランスフェクションおよびスクリーニングの条件は、例1に記載した方法と同様にして行った。
GFX Genomic Blood DNA purification kit(Amersham Biosciences社)を用い、phprt-IVS-GT-EPO-2およびphprt-IVS-GT-EPO-3のトランスフェクションにより得たG418および6TGに耐性のコロニーからゲノムDNAを抽出し、このゲノムDNAを鋳型とした以下に示すPCR反応により、標的hprt遺伝子座への位置特異的な組換えの確認を行った。なお、参考として、シングルコピーのEPO遺伝子を含むphprt-IVS-GT-EPO-1についても、線上化、トランスフェクションおよびスクリーニングをphprt-IVS-GT-EPO-2およびphprt-IVS-GT-EPO-3と同様に行い、ゲノムPCRによる解析を行った。
HA1(4)またはHA2(5)とEPO発現ユニットを含む繰返し配列(9)の一部とを含むDNA配列(3209 bp 、1443 bpのDNA配列)は相同組み換えによってのみゲノムから取得することができ、相同組み換えの指標となる。
よって、HA1とターゲット部位との相同組換えの指標として、図10(A)に示す3209 bpのDNA配列を設定し、このDNA配列は、以下に示すプライマーHPRTs2/Bgh-scによるPCR反応により検出した。一方、HA2と標的hprt遺伝子座との相同組換えの指標として、図10(A)に示す1443 bpのDNA配列を設定し、このDNA配列は、以下に示すプライマーHPRTas1/Neo-seqSCによるPCR反応により検出した。
5’- AAAGTTCTCTCCTTTCAGCCTTCTGTACAC -3’
Bgh-scプライマー(配列番号17):
5’- GCACCTTCCAGGGTCAAGGA -3'
HPRTas1プライマー(配列番号18):
5’- ACAAGTTAAAAGGAGCTTATGGGTAGGAAG -3'
Neo-seqSCプライマー(配列番号19):
5’- CCTTCTATCGCCTTCTTGAC -3’
図10(B)および(C)において、2-1、2-2、2-3はphprt-IVS-GT-EPO-2プラスミドベクターにより得られたクローンを示し、3-1はphprt-IVS-GT-EPO-3プラスミドベクターにより得られたクローンを示し、1-1は、phprt-IVS-GT-EPO-1プラスミドベクターにより得られたクローンを示す。取得したクローンすべてにおいて、3209 bpおよび1443 bpのPCR増幅産物が確認され、相同組換え反応が確認された。
5−1:プラスミドベクターの構築
以下、エリスロポエチン(EPO)遺伝子およびグルタミン合成酵素(GS)遺伝子増幅マーカーをhprt遺伝子座に組込むため、図11で表されるベクター(pSV-GS-neo-GT-EPO #22)を構築した。
市販されているpIRESベクター(BD Biosciences)を鋳型とし、NEO-ssプライマーおよびNEO-asプライマーを用いたPCR反応により、5’-端にSma I制限酵素サイト、3’-端にNot I制限酵素サイトを含むネオマイシン耐性遺伝子コード配列のPCR増幅産物1を得た。このPCR増幅産物1およびpIRESベクターをSma IおよびNot I制限酵素で切断し、ライゲート反応することでプラスミド1を得た。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
5’-CCTTCCCGGGATGATTGAACAAGATGGAT-3’(配列番号20)
NEO-asプライマー:
5’-CCTTGCGGCCGCTCAGAAGAACTCGTCA-3’(配列番号21)
5’-GTCGACGATATCTCTAGATGTGCCTTCTAG-3’(配列番号22)
BGH-asプライマー:
5’-CCTTGGATCCTCCGGAAGCCATAGAGCCCA-3’(配列番号23)
MCS-ssプライマー:
5’-CCTTAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTTTATTGCGGTAGT-3’(配列番号24)
MCS-asプライマー:
5’-TCTAGAGATATCGTCGACCTATAGTGAGTC-3’(配列番号25)
5’-CCTTGTCGACCACCATGACCACCTCAGCAA-3’(配列番号26)
GS-asプライマー:
5’-CCTTTCTAGATTAATTTTTGTACTGGAAGG-3’(配列番号27)
EPO-ssプライマー:
5’-CCTTGCTAGCATGGGGGTGCACGGTGAGTA-3’(配列番号28)
EPO-asプライマー:
5’-CCTTGAATTCTCATCTGTCCCCTGTCCTGC-3’(配列番号29)
HT1080株のゲノムDNAを鋳型とし、PCR反応(KOD-Plus-、TOYOBO)によって、ターゲットとなるhprt遺伝子の相同DNA配列(HA1およびHA2)をクローニングした。HA1およびHA2は、図12に示される通り、hprt遺伝子のエクソン3を含む領域と相同な配列に設定した。PCR反応に用いたプライマー配列は以下に示す通りである。
5’-CCTGCAGGTCGCGATTGGTACTTGTTCAGCTTTATTCAAG-3’(配列番号1)
HA1-SB antisense プライマー:
5’-GTCGACAAGGAGATCTACGCGTTCTGATAAAATCTACAGTCATAGGA-3’(配列番号30)
HA2 sense プライマー:
5’-GTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGCGTAATCATGGTCTCCGGAGACTGAAGAGCTATTGTGTGAGTAT-3’(配列番号3)
HA2 antisense プライマー:
5’-ACATGTTCTCTTAAGTCGCGAAGTAGTGTTATGATGTATGGGCATA-3’(配列番号4)
5’-ACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAAC-3’(配列番号5)
Ecoli antisense プライマー:
5’-CCTGCAGGGACGTCAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGC-3’(配列番号6)
プラスミド線状化
プラスミドベクターpSV-GS-neo-GT-EPO #22を、Endofree Plasmid Maxi kit(QIAGEN)を用いて精製し、Nru Iにて切断した。フェノール・クロロホルム抽出により精製した後、2 g/ Lの濃度になるように滅菌水に溶解し、以下のトランスフェクション実験に用いた。
ヒト線維肉腫細胞株HT-1080(JCRBセルバンクID:IFO50354)を1×107細胞/mLに調製し、線状化したプラスミドベクターpSV-GS-neo-GT-EPO #22、2μgと混合した。次に、得られた混合液を用いて、エレクトロポレーション法によりpSV-GS-neo-GT-EPO #22を細胞株HT-1080へトランスフェクトした。エレクトロポレーションは、GenePulser(BioRad)を用いて、950 μFの条件で行った。この実験のさらなる詳細は、Biotech. Bioeng. 2006. 95: 1052-1060.に記載の条件に従った。トランスフェクトした細胞は、500 細胞/ウェルにて96ウェルプレートに播種し、インキュベーター中37 ℃、5 % CO2にて培養し(培地: Advanced MEM(GIBCO)に5% FBS、1x Glutamax(GIBCO)を添加したもの)、トランスフェクションから48時間後にG418(インビトロジェン)を加えた(最終濃度; 500 μg/ mL)。
培養8-12日後、上記プレートにG418耐性コロニーが現れたことを確認した。この段階で、6TG(最終濃度; 50 μM)(和光純薬工業)が添加された新しい培地を加え、さらに8日間培養した。培養後、全ウェルを確認し、6TG耐性コロニーを単離した。
以下、サザンハイブリダイゼーションにより、6TG耐性コロニーのスクリーニングを行った。
プローブの調製
pSV-GS-neo-GT-EPO #22中のネオマイシン耐性遺伝子に相補的な配列を有するNRプローブを、以下の手順で合成した。まず、pSV-GS-neo-GT-EPO #22中のネオマイシン耐性遺伝子コード配列の全長をPCRにより増幅し、pGEM T プラスミドベクター(Promega)にTAクローニングした。次に、PCR DIGプローブ合成キット(ロシュ、プライマー:M13 Forward/Reverseプライマー)を用いて、DIG(Digoxigein)標識されたプローブを作製した。
6TG耐性コロニーから各細胞クローンのゲノムDNAをgenomic prep cells and tissue DNA isolation kit(GE healthcare)を用いて抽出し、Eco RI制限酵素により切断した。切断したゲノムDNA 10μgを、0.6%アガロースゲルを用いて電気泳動し、ナイロンメンブレン(Hybond N+ membrane、AmaershamBiosciences)へ転写した。得られたメンブレンは80℃で2時間インキュベートし、DNAをメンブレン上に固定した。
上記メンブレンに対し、上記NRプローブをハイブリダイズさせた。この際、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよびプローブの検出は、DIGアプリケーション マニュアル(ロシュ)に従って行った。
6−1:グルタミンフリー培地での増殖能検討
培地へのMSX添加による遺伝子増幅細胞のスクリーニングに先立って、グルタミン非添加培地での増殖能を評価した。グルタミン添加培地(培地組成: Advanced MEMに5% FBS、1x Glutamaxを添加したもの)で維持していた前記細胞クローンを、70〜80%コンフルエントになった段階でトリプシン処理し、細胞を回収した。回収した細胞懸濁液の細胞密度は、トリパンブルー染色法によって求めた。培養ディッシュ(直径10 cm)1枚あたり1.7X105 cellsの細胞を播種し、10 mlのグルタミン非添加培地(培地組成: Advanced MEMに2% FBS、1x GS supplement(ニチレイ)を添加したもの)を加え、CO2インキュベーター内で培養した。6日間培養後、同じ手順で細胞を回収し、回収した細胞懸濁液の液量および細胞密度から総細胞数を算出し、増殖能を評価した。同様の手順で1.7X105 cellsの細胞を新しい培養ディッシュに移し、10 mlのグルタミン非添加培地を加えてCO2インキュベーター内で培養した。この操作を2回繰り返し、グルタミンフリー培地での増殖を検証した。
118S-2および118S-5クローンが3回めの培養期間中に、それぞれ2倍および4倍に細胞数が増加していた。非組換えHT1080細胞では、3回めの培養期間中での増殖がみられなかったことから、これら2クローンは外来性gs遺伝子の発現によりグルタミン非添加培地での増殖が支持されているものと考えられた。以降のMSXスクリーニングには、最も増殖のよかった118S-5クローンを用いた。
グルタミン非添加培地で維持していた118S-5クローンを、70〜80%コンフルエントになった段階でトリプシン処理により回収した。MSX濃度を 5または10 μMに調整した選択培地(培地組成: Advanced MEMに2% FBS、1x GS supplement、5または10 μM MSXを含有するもの)で、1×104 cells/ mlと2×104 cells/ mlの細胞懸濁液を調整した。この細胞懸濁液を96ウェルマイクロテストプレート(BD Falcon)に、1ウェルあたり100 μLづつ播種し、37℃、5% CO2条件下で培養を行った。培養開始から1週間後に培地をフレッシュなものに交換した。さらに1週間の培養後、増殖のみられるウェルを顕微鏡観察により判別した。MSX濃度を10 μMとした選択培地では耐性を示した細胞は存在せず、細胞増殖がみられるウェルは存在していなかった。一方、MSX濃度を5 μMとした選択培地では、播種したウェルのおおよそ30%のウェルに耐性細胞が存在していた。次にこれらのウェル中のEPO蓄積量をELISAによって測定した。
ELISA
固定化抗体としてMonoclonal anti-human EPO(R&D Systems)、1次抗体としてPolyclonal anti-human EPO(R&D Systems)、2次抗体としてAnti-mouse Ig, horseradish peroxidase linked whole antibody(from donkey)(Amersham Biosciences)を用い、TMB No Hydrogen Peroxide 1 Component HRP Microwell substrate(BioFX)により、450nmの吸光度を測定することにより解析した。
ELISAによるEPO蓄積量測定の2日前に、耐性細胞が存在する96ウェルプレートの選択培地をフレッシュなものに完全交換した。各ウェルあたり50 μLの培地を回収し、ELISAにより測定を行った結果、2日間の培養で0.3〜37 ng/ mlのEPOが蓄積していた。次に、EPO蓄積量が最大値37.3 ng/ mlを示した2-1F8クローン、中程度の値17.7 ng/mlを示した1-2E6クローンに対してgs遺伝子コピー数の解析を行った。
ゲノムサンプルの調整
細胞からのゲノム抽出は、DNA Isolation kit for cells and tissuesキット(Roche)を用いて行った。抽出したゲノムを制限酵素Hind III(TaKaRa)で切断した後、エタノール沈殿でゲノムを回収し、滅菌水に溶解させた。吸光度測定によりDNA濃度を測定した。
調整したゲノムDNAを用いて増幅マーカーであるgs遺伝子のコピー数の測定をReal-time定量PCRにより行った。Real-time定量PCR はABI PRISM 7300(ABI)を用い、Taqman Universal PCR Master Mix(ABI)により反応を行った。PCR反応に用いたプライマーおよびプローブの配列を以下に示す。
5’-ACCCCTTTTCGGTGACAGAA-3’(配列番号31)
hGS Revプライマー:
5’-TCGCCGGTTTCATTGAGAAG-3’(配列番号32)
hGS cDNA-Taqmanプローブ:
5’-CCCTCATCCGCACGTG-3’(配列番号33)
定量PCR結果の解析は装置付属のソフト7300 system softwareで行った。コピー数の算出は以下の手順に従い行った。各ゲノムサンプルに対し、hGSプライマーおよびプローブで測定したCt値と、濃度既知のベクター(pSV-GS-neo-GT-EPO#22)による検量線からコピー数を算出した。サンプル中のゲノム量を補正するため、ゲノム中の他部位としてベータアクチンのコピー数を各サンプルについてさらに測定し、この値が一定となるよう補正を行った。
Claims (13)
- ヒポキサンチン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素(hprt)遺伝子座に外来性の目的タンパク質遺伝子1コピーと、遺伝子増幅マーカー遺伝子としてのグルタミン合成酵素遺伝子(GS)とが導入されてなる哺乳動物細胞を用意し、
該動物細胞を、GS阻害剤であるメチオニンスルフォキシミン(MSX)を添加した培地で培養して耐性細胞をスクリーニングすることによりhprt遺伝子座に外来性の目的タンパク質遺伝子の複数コピーが導入されてなる哺乳動物細胞を得て、
該細胞を培養して前記目的タンパク質を産生することを含んでなる、目的タンパク質の製造方法。 - 前記目的タンパク質遺伝子のコピー数が2以上である、請求項1に記載の方法。
- 前記目的タンパク質遺伝子が、少なくともプロモーター配列および転写終結シグナル配列を含んだ発現ユニットとしてhprt遺伝子座に組込まれてなる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記目的タンパク質遺伝子または前記発現ユニットが、タンデムに並んで繰り返し組込まれてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 宿主細胞がヒト由来の細胞である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記宿主細胞がヒト線維肉腫由来のHT1080細胞株である、請求項5に記載の方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られた、hprt遺伝子座に外来性のタンパク質遺伝子の複数コピーが組込まれてなる、哺乳動物細胞。
- 前記目的タンパク質遺伝子のコピー数が2以上である、請求項7に記載の細胞。
- 前記目的タンパク質遺伝子が、少なくともプロモーター配列および転写終結シグナル配列を含んだ発現ユニットとしてhprt遺伝子座に導入されてなる、請求項7または8に記載の細胞。
- 前記目的タンパク質遺伝子または前記発現ユニットが、タンデムに並んで繰り返し導入されてなる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の細胞。
- 宿主細胞がヒト由来の細胞である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の細胞。
- 前記宿主細胞がヒト線維肉腫由来のHT1080細胞株である、請求項11に記載の細胞。
- 宿主細胞のhprt遺伝子座に目的タンパク質遺伝子が組込まれ、かつグルタミン合成酵素遺伝子(GS)が組込まれた細胞を用意し、
該細胞を、GS阻害剤であるメチオニンスルフォキシミン(MSX)を添加した培地で培養して耐性細胞をスクリーニングすることにより、hprt遺伝子座に組込まれた外来性の目的タンパク質遺伝子のコピー数を増加させること
を含んでなる、請求項7〜12のいずれか一項に記載の細胞の製造方法。
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