JP6085746B2 - 抗トロンボポエチン抗体の検出における検出感度の向上方法、免疫性血小板減少症の検出方法及びキット - Google Patents

抗トロンボポエチン抗体の検出における検出感度の向上方法、免疫性血小板減少症の検出方法及びキット Download PDF

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本発明は、生体試料中の抗トロンボポエチン(TPO)抗体の検出方法、免疫性血小板減少症の検出方法、生体試料中の抗TPO抗体を検出するためのキット及び免疫性血小板減少症を検出するためのキットに関する。
免疫性血小板減少症(ITP)患者の骨髄では、巨核球の成熟が障害されることにより、血小板の産生能が低下していると考えられているが、その機序は不明な点が多い。近年、巨核球の成熟障害を標的としたITPの新規治療薬である、TPO受容体作動薬が発売され、ITPにおける巨核球の成熟障害が注目されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
血小板自己抗原は血小板のみならず巨核球にも発現する。このため、抗血小板抗体は巨核球にも結合する。そして、ITP患者由来の抗血小板抗体が、インビトロで巨核球の成熟障害を誘導することが報告されている(例えば、非特許文献2を参照。)。
また、巨核球の減少を伴うITP患者の血漿において、TPOの受容体であるc−Mplに対する自己抗体が見出されている(例えば、非特許文献3を参照。)。
TPOは主に肝細胞で産生される液性因子であり、巨核球とその前駆細胞に働き、増殖及び分化を促進する。再生不良性貧血等の造血障害による血小板減少症では、血中TPO濃度が著増している。これに対し、ITP患者の血中TPO濃度は、正常であるか、軽度に増加しているのみであることが知られている(例えば、非特許文献4を参照。)。
Nurden A.T., et al., New-generation drugs that stimulate platelet production in chronic immune thrombocytopenic purpura, Lancet, 373, 1562-1569, 2009 McMillan R., et al., Suppression of in vitro megakaryocyte production by antiplatelet autoantibodies from adult patients with chronic ITP, Blood, 103, 1364-1369, 2004 Kuwana M., et al., Autoantibody to c-Mpl (thrombopoietin receptor) in systemic lupus erythematosus: relationship to thrombocytopenia with megakaryocytic hypoplasia, Arthritis Rheum. 46, 2148-2159, 2002 Mukai H.Y., et al., Serum thrombopoietin (TPO) levels in patients with amegakaryocytic thrombocytopenia are much higher than those with immune thrombocytopenic purpura, Thromb Haemost, 76, 675-678, 1996
ITP患者の巨核球が未熟であるにもかかわらず、ITP患者の血中TPO濃度が著増していない原因は不明である。発明者らは、この原因について、ITP患者の血液中には、TPOに対する自己抗体(抗TPO抗体)が存在し、この抗TPO抗体によりTPOが破壊され、血中TPO濃度を低下させており、血中TPO濃度の低下によってTPO受容体からのシグナル伝達が低下することにより、巨核球の成熟障害を誘導しているのではないかという仮説を立てた。そして、通常の方法により、生体試料中の抗TPO抗体の検出系を構築したが、十分な検出感度が得られなかった。
そこで、本発明は、検出感度が向上した、抗TPO抗体の検出方法を提供することを目的とする。本発明はまた、検出感度が向上した、免疫性血小板減少症の検出方法、生体試料中の抗TPO抗体を検出するためのキット及び免疫性血小板減少症を検出するためのキットを提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
(1)生体試料中の抗TPO抗体の検出における検出感度の向上方法であって、TPOと前記生体試料とを接触させる工程と、前記抗TPO抗体と前記TPOとの結合を検出する工程と、を含み、前記TPOが哺乳動物細胞発現系で発現されたものであり、前記生体試料が血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGである、検出感度の向上方法。
(2)前記検出が酵素結合免疫吸着法(ELISA法)により行われる、(1)に記載の検出感度の向上方法。
(3)前記TPOを固相上に固定化させる工程と、前記生体試料を固相上の前記TPOと接触させる工程と、前記固相を洗浄する工程と、前記抗TPO抗体と固相上の前記TPOとの結合を検出する工程と、を含み、前記固定化させる工程が、30〜40℃で行われる、(2)に記載の検出感度の向上方法。
(4)前記検出が免疫沈降法により行われる、(1)に記載の検出感度の向上方法。
(5)前記抗TPO抗体がTPOに対する中和抗体であり、前記TPOと前記生体試料とを接触させる工程が、前記生体試料及び抗TPO抗体を含まない陰性対照にTPOを添加することにより行われ、
前記抗TPO抗体と前記TPOとの結合を検出する工程が、TPOが添加された前記生体試料又はTPOが添加された前記陰性対照の存在下で巨核芽球細胞をインキュベートし、インキュベート後の前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化を定量することにより行われ、
TPOが添加された前記生体試料の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルが、TPOが添加された前記陰性対照の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルと比較して少ないことが、前記生体試料中に抗TPO抗体が存在することを示す、(1)に記載の検出感度の向上方法。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の検出感度の向上方法により検出された抗TPO抗体の量を指標とする、免疫性血小板減少症の検出方法。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の検出感度の向上方法に用いられるキットであって、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを含み、前記生体試料が血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGである、キット。
(8)(6)に記載の免疫性血小板減少症の検出方法に用いられるキットであって、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを含む、キット。
本発明により、検出感度が向上した、抗TPO抗体の検出方法を提供することができる。また、検出感度が向上した、免疫性血小板減少症の検出方法、生体試料中の抗TPO抗体を検出するためのキット及び免疫性血小板減少症を検出するためのキットを提供することができる。
ELISA法による抗TPO抗体の検出方法を説明する図である。 (a)及び(b)は、ELISA法による解析結果を示すグラフである。 (a)及び(b)は、ELISA法による解析結果を示すグラフである。 (a)及び(b)は、免疫沈降−ウエスタンブロット法による解析結果を示す写真である。 MAPKリン酸化の解析結果を示す写真である。
〔生体試料中の抗TPO抗体の検出方法〕
1実施形態において、本発明は、生体試料中の抗TPO抗体の検出方法であって、TPOと前記生体試料とを接触させる工程と、前記抗TPO抗体と前記TPOとの結合を検出する工程と、を含み、前記TPOが哺乳動物細胞発現系で発現されたものである、検出方法を提供する。
[ELISA法による検出方法]
1実施形態において、生体試料中の抗TPO抗体の検出は、酵素結合免疫吸着法(ELISA法)により行われてもよい。図1は、本実施形態に係る抗TPO抗体の検出方法を説明する図である。図1に示すように、本実施形態に係る検出方法は、TPOを固相上に固定化させる工程と、生体試料を固相上のTPOと接触させる工程と、固相を洗浄する工程と、抗TPO抗体と固相上のTPOとの結合を検出する工程と、を含む。以下、図1を参照しながら説明する。
(TPOを固相上に固定化させる工程)
TPOを固相上に固定化させる工程において、固相上にTPO10を固定化する。TPO10は、哺乳動物細胞発現系で発現されたものである必要があり、ヒトTPOであることが好ましい。哺乳動物細胞発現系で発現されたヒトTPOとしては、市販されたものを使用することができる。あるいは、ヒトTPO遺伝子が組み込まれた発現ベクターを哺乳動物細胞内で発現させ、当該哺乳動物細胞の培養物からヒトTPOを精製して使用してもよい。哺乳動物細胞としては、ヒト細胞株、サル細胞株、げっ歯類細胞株等が挙げられ、より具体的には、HeLa細胞株、Cos細胞株、Vero細胞株、CHO細胞株、BHK細胞株、NIH3T3細胞株等が挙げられる。
後述するように、発明者らは、本実施形態の検出方法にバキュロウイルス発現系で発現されたTPOを用いた場合、十分な検出感度を得ることができないことを明らかにした。理論に拘泥するものではないが、発明者らは、上記の結果から、特に抗TPO抗体の検出においては、哺乳動物細胞発現系と哺乳動物細胞以外の発現系とで発現されたTPOにおける糖鎖修飾の違いの影響が顕著であるものと推察している。
固相としては、96ウェルプレートが例示できる。固相の表面は、静電相互作用、疎水的な相互作用、水素結合、共有結合等により、タンパク質が固相上に固定化されやすいように修飾されていることが好ましい。例えば、固相の表面には、−CHOH基、>C=O基、−COOH基、−NH基、又は>NH基が導入されていることが好ましい。
TPOの固定化は、TPOを含むバッファーを固相と接触させることにより行うことができる。例えば、ELISAプレートのウェル内にTPOを含むバッファーを添加し、30〜40℃、例えば37℃でインキュベート(静置)することにより、TPOを固定化することができる。インキュベートする時間は、例えば0.5〜24時間であり、例えば、1〜3時間である。通常、ELISA法において、抗原を固相上に固定化する場合には4℃で終夜インキュベートすることが一般的である。これに対し、発明者らは、本実施形態の検出方法では、30〜40℃でTPOの固定化を行うことにより、より向上した検出感度が得られることを見出した。
(生体試料を固相上のTPOと接触させる工程)
生体試料としては、被検者の血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGが挙げられる。本工程においては、固相上に固定化されたTPO10と生体試料とを接触させる。本工程は、例えば、TPOが固定化されたELISAプレートのウェルに生体試料を添加してインキュベートすることにより行うことができる。
(固相を洗浄する工程)
続いて、固相の表面を洗浄する。これにより、固相上に固定化されたTPO10と結合した抗TPO抗体20以外の物質を除去することができる。固相の洗浄は、例えば、界面活性剤を含むバッファーで固相表面を洗い流すことにより行うことができる。バッファーとしては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等が挙げられる。また、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンモノラウレート(Tween20)等が挙げられる。
(抗TPO抗体と固相上の前記TPOとの結合を検出する工程)
続いて、固相上に固定化されたTPO10と結合した抗TPO抗体20を検出する。生体試料がヒト由来である場合には、抗TPO抗体20はIgG型であると考えられるため、例えば、酵素標識された抗ヒトIgG抗体30を反応させ、続いて、当該酵素35の基質を反応させて発色物質40等を生成することにより、抗TPO抗体を検出することができる。あるいは、酵素標識ではなく蛍光標識された抗ヒトIgG抗体を反応させ、当該蛍光の強度を測定することによって抗TPO抗体を検出してもよい。本実施形態の検出方法により、生体試料中の抗TPO抗体の検出を定量的に行うこともできる。
[免疫沈降法による検出方法]
1実施形態において、生体試料中の抗TPO抗体の検出は、免疫沈降法により行われてもよい。
(ビーズへの抗IgG抗体の結合)
本実施形態の検出方法の概要は次の通りである。まず、ほとんどの哺乳動物由来のIgG抗体と結合することが知られている、プロテインG、プロテインA等のタンパク質が表面に結合された免疫沈降用ビーズを、生体試料と接触させ、ビーズの表面に、生体試料中の抗TPO抗体を含むIgG抗体を結合させる。本実施形態の検出方法に好適な生体試料としては、被検者の血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGが挙げられる。
(ビーズへのTPOの結合)
次に、上記のビーズにTPOを接触させる。TPOは、哺乳動物細胞発現系で発現されたものである必要があり、ヒトTPOであることが好ましい。後述するように、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを使用することにより、格段に検出感度が向上する。TPOとしては、上述したELISA法による検出方法におけるものと同様のものを使用することができる。この工程において、ビーズの表面に抗TPO抗体が結合していた場合には、当該抗TPO抗体を介してTPOがビーズに結合する。
(ビーズに結合したTPOの検出)
続いて、ビーズに結合したTPOを検出する。この工程は、例えばウエスタンブロット法により行うことができる。より具体的には、遠心分離により回収したビーズ(免疫沈降物)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した後、膜に転写し、当該膜を抗ヒトTPO抗体で染色することにより、ビーズに結合したTPOを検出することができる。
本工程で検出されるTPOの量は、生体試料中の抗TPO抗体の量に比例する。このため、本実施形態の方法により、生体試料中の抗TPO抗体を検出することができる。生体試料中の抗TPO抗体の検出は、半定量的に行うこともできる。
[MAPKのリン酸化の検出による検出方法]
1実施形態において、本発明は、前記抗TPO抗体がTPOに対する中和抗体であり、前記TPOと前記生体試料とを接触させる工程が、前記生体試料及び抗TPO抗体を含まない陰性対照にTPOを添加することにより行われ、
前記抗TPO抗体と前記TPOとの結合を検出する工程が、TPOが添加された前記生体試料又はTPOが添加された前記陰性対照の存在下で巨核芽球細胞をインキュベートし、インキュベート後の前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化を定量することにより行われ、
TPOが添加された前記生体試料の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルが、TPOが添加された前記陰性対照の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルと比較して少ないことが、前記生体試料中に抗TPO抗体が存在することを示す、生体試料中の抗TPO抗体(TPOに対する中和抗体)の検出方法を提供する。
すなわち、本実施形態の検出方法は、生体試料中のTPOに対する中和抗体の検出方法であって、
前記生体試料及びTPOに対する中和抗体を含まない陰性対照にTPOを添加する工程と、
TPOが添加された前記生体試料又はTPOが添加された前記陰性対照の存在下で巨核芽球細胞をインキュベートする工程と、
インキュベート後の前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化を定量する工程と、を含み、
TPOが添加された前記生体試料の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルが、TPOが添加された前記陰性対照の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルと比較して少ないことが、前記生体試料中にTPOに対する中和抗体が存在することを示し、
前記TPOが哺乳動物細胞発現系で発現されたものである、検出方法を提供する。
ここで、抗TPO抗体には、機能的に異なる2種類が存在すると考えられる。第1の抗TPO抗体は、血中のTPOに結合し、その結果、TPOが網内系のマクロファージ等により貪食・破壊される抗TPO抗体である。第2の抗TPO抗体は、TPOに対する中和抗体である。つまり、第2の抗TPO抗体は、血中のTPOと結合し、その結合部位(エピトープ)により、TPOとTPO受容体であるc−Mplとの結合を阻止(ブロック)するもの、又は、TPOとTPO受容体であるc−Mplとの結合は阻止しないものの、c−Mplからのシグナル伝達を減弱する抗TPO抗体である。なお、中和抗体とは、特定タンパク質の活性を中和できる抗体を意味する。TPOに対する中和抗体とは、TPOの活性、すなわち、TPOがc−Mplに結合してシグナルを伝達する活性を中和する抗体を意味する。
したがって、ELISAおよび免疫沈降法では、全ての抗TPO抗体を検出可能であるが、本実施形態の検出方法では、TPOに対する中和抗体のみが検出される。
本実施形態の検出方法は、TPOによるシグナル伝達を利用するものである。より具体的には、TPOと生体試料とを反応させた反応物の存在下で巨核芽球細胞を培養し、当該巨核芽球細胞内のp44/42MAPKのリン酸化のレベルを測定する。
生体試料中にTPOに対する中和抗体が存在した場合には、TPOと結合するため、TPOが巨核芽球細胞表面のTPO受容体(c−Mpl)に結合できなくなる。その結果、当該巨核芽球細胞内のp44/42MAPKのリン酸化のレベルは低下する。
一方、生体試料中にTPOに対する中和抗体が存在しなかった場合には、TPOが巨核芽球細胞表面のTPO受容体(c−Mpl)に結合する。その結果、当該巨核芽球細胞内のp44/42MAPKがリン酸化される。
したがって、本実施形態の方法により、生体試料中のTPOに対する中和抗体を検出することができる。本実施形態の検出方法において好適な生体試料としては、被検者の血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGが挙げられる。本実施形態の検出方法により、生体試料中のTPOに対する中和抗体の検出を定量的に行うこともできる。
〔免疫性血小板減少症の検出方法〕
1実施形態において、本発明は、上述したいずれかの検出方法により検出された抗TPO抗体の量を指標とする、免疫性血小板減少症(ITP)の検出方法を提供する。
後述するように、少なくとも一部のITP患者の血液中には、TPOに対する自己抗体(抗TPO抗体)が存在しており、この抗TPO抗体によりTPOが破壊され、血中TPO濃度が低下しており、血中TPO濃度の低下によってTPO受容体からのシグナル伝達が低下することにより、巨核球の成熟障害が誘導されていると考えられる。
したがって、生体試料中の抗TPO抗体の量に基づいて、免疫性血小板減少症(ITP)を検出することができる。すなわち、本実施形態の検出方法により、免疫性血小板減少症の患者由来の生体試料を検出することができる。つまり、生体試料が、免疫性血小板減少症(ITP)の患者由来であるか否かを判定することができる。
〔生体試料中の抗TPO抗体を検出するためのキット〕
1実施形態において、本発明は、生体試料中の抗TPO抗体を検出するためのキットであって、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを含む、キットを提供する。
本実施形態のキットは、上述した、生体試料中の抗TPO抗体のELISA法による検出方法、生体試料中の抗TPO抗体の免疫沈降法による検出方法、生体試料中の抗TPO抗体の、MAPKのリン酸化の検出による検出方法に好適に用いることができる。
本実施形態のキットにより、高感度に生体試料中の抗TPO抗体を検出又は定量することができる。
〔免疫性血小板減少症を検出するためのキット〕
1実施形態において、本発明は、免疫性血小板減少症(ITP)を検出するためのキットであって、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを含む、キットを提供する。
本実施形態のキットは、上述した、ELISA法、免疫沈降法、MAPKのリン酸化の検出による検出方法等による、生体試料中の抗TPO抗体の定量に好適に用いることができる。そして、定量された被検者の生体試料中の抗TPO抗体の量に基づいて、被検者が、免疫性血小板減少症(ITP)であるか否かを精度よく診断することができる。
以下、実験例により本発明を説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1:ELISA法による抗TPO抗体の検出]
(抗原の固相化)
96ウェルELISAプレート(SUMILON、住友ベークライト社、型番「MS−8596F」)に、リコンビナントヒトTPO(rhTPO)(R&D社)を加え固相化した。rhTPOとしては、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPO又はマウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPOを用いた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でそれぞれ最終濃度を500ng/mLに調整して、1ウェルに50μLずつ分注した。ELISAプレートを37℃で2時間インキュベート(静置)して、rhTPOを固相化した。なお、上記の96ウェルELISAプレートは、固相の表面に、−CHOH基及び>C=O基が導入されたものであった。
(洗浄)
2時間後、0.05%ポリオキシエチレンモノラウレート(Tween20)含有のPBS(PBS−T)を150μL/ウェルずつ添加して捨てる操作により、rhTPOを固相化したELISAプレートを2回洗浄した。
(ブロッキング反応)
1%ウシ血清由来アルブミン(BSA)含有PBSを100μL/ウェルずつ添加し、室温で1時間静置してブロッキング反応を行った。
(一次反応)
生体試料(サンプル)として、100倍希釈した、健常人の血漿又はITP患者の血漿を100μLずつウェルに入れて、室温で90分間静置した。血漿の希釈には0.1%BSA含有PBSを使用した。また、検量線用検体として、抗TPO抗体高力価プール血漿を希釈して用いた。希釈系列は、62.5、125、250、500、1000、2000、4000倍希釈の7系列とした。
(洗浄)
サンプルの血漿を90分間反応させた後、PBS−T 150μLで6回洗浄した。
(二次反応)
二次抗体として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Cappel社)をPBS−Tで2500倍希釈したものを使用し、室温で1時間反応させた。
(洗浄)
二次反応後、PBS−T 150μLで6回洗浄し、更にPBS 150μLで1回洗浄した。
(発色反応)
3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)発色液(Sigma社)を各ウェルに加え、30分から40分遮光して発色させた。1N硫酸で反応を止め、プレートリーダー(バイオ・ラッド社、商品名「iMark」)を用いて波長450nm(参照波長540nm)の吸光を測定した。抗TPO抗体高力価の血漿検体の希釈系列から検量線を4係数Logistic解析により作成し、ユニット換算することで測定間の数値的な比較を可能にした。
図2(a)及び(b)は、ELISA法による解析結果を示すグラフである。図2(a)は、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合の結果であり、図2(b)は、マウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合の結果である。
バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合、ITP患者101例(n=101)中7例(6.9%)の血漿から抗TPO抗体が検出された。カットオフ値は健常人(n=72)の血漿サンプルを用いた場合の測定値の平均値+3SD(8.58ユニット、図2(a)のグラフ中点線で示す。)に設定した。
一方、マウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合、ITP患者101例(n=101)中24例(23.8%)の血漿から抗TPO抗体が検出された。カットオフ値は健常人(n=72)の血漿サンプルを用いた場合の測定値の平均値+3.5SD(3.8ユニット、図2(b)のグラフ中点線で示す。)に設定した。
TPOとして、哺乳動物細胞発現系で発現されたものを使用することにより、抗TPO抗体の検出感度が格段に向上することが示された。また、ITP患者の血漿では、抗TPO抗体量が増加していることが判明した。
[実験例2:ELISA法における抗原の固相化条件の検討]
(抗原の固相化)
96ウェルELISAプレート(SUMILON、住友ベークライト社、型番MS−8596F)に、リコンビナントヒトTPO(rhTPO)(R&D社)を加え、4℃で終夜又は37℃で2時間インキュベートすることにより固相化した。rhTPOとしては、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPO又はマウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPOを用いた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でそれぞれ最終濃度を500ng/mLに調整して、1ウェルに50μLずつ分注した。
(洗浄)
2時間後、0.05%ポリオキシエチレンモノラウレート(Tween20)含有のPBS(PBS−T)を150μL/ウェルずつ添加して捨てる操作により、rhTPOを固相化したELISAプレートを2回洗浄した。
(ブロッキング反応)
1%ウシ血清由来アルブミン(BSA)含有PBSを100μL/ウェルずつ添加し、室温で1時間静置してブロッキング反応を行った。
(一次反応)
生体試料(サンプル)として、100倍希釈した、ITP患者(n=20)の血漿を100μLずつウェルに入れて、室温で90分間静置した。血漿の希釈には0.1%BSA含有PBSを使用した。
(洗浄)
サンプルの血漿を90分間反応させた後、PBS−T 150μLで6回洗浄した。
(二次反応)
二次抗体として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Cappel社)をPBS−Tで2500倍希釈したものを使用し、室温で1時間反応させた。
(洗浄)
二次反応後、PBS−T 150μLで6回洗浄し、更にPBS 150μLで1回洗浄した。
(発色反応)
3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)発色液(Sigma社)を各ウェルに加え、30分から40分遮光して発色させた。1N硫酸で反応を止め、プレートリーダー(バイオ・ラッド社、商品名「iMark」)を用いて波長450nm(参照波長540nm)の吸光を測定した。
図3(a)及び(b)は、ELISA法による解析結果を示すグラフである。図3(a)は、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合の結果であり、図3(b)は、マウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合の結果である。
4℃で終夜インキュベートすることにより、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合、波長450nmの吸光度の平均値±標準誤差は、−0.005±0.001であった。一方、37℃で2時間インキュベートすることにより、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合、波長450nmの吸光度の平均値±標準誤差は、0.004±0.001であった。4℃でrhTPOを固相化した場合と37℃でrhTPOを固相化した場合のこれらの吸光度には、危険率0.1%未満で有意差が認められた(p<0.001)。
また、4℃で終夜インキュベートすることにより、哺乳動物細胞発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合、波長450nmの吸光度の平均値±標準誤差は、0.01±0.006であった。一方、37℃で2時間インキュベートすることにより、哺乳動物細胞発現系で発現されたrhTPOを固相化した場合、波長450nmの吸光度の平均値±標準誤差は、0.015±0.007であった。4℃でrhTPOを固相化した場合と37℃でrhTPOを固相化した場合のこれらの吸光度には、危険率1%で有意差が認められた(p=0.01)。
以上の結果から、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOと哺乳動物細胞発現系で発現されたrhTPOのいずれを固相化した場合においても、37℃で2時間インキュベートしてrhTPOを固相化することにより、4℃で終夜インキュベートした場合と比較して、有意差を持って吸光度の増加(検出感度の向上)が認められた。
[実験例3:抗TPO抗体と巨核球数の関連性の検討]
ELISA法により血漿中に抗TPO抗体が検出されたITP患者(陽性)、及びELISA法により血漿中に抗TPO抗体が検出されなかったITP患者(陰性)について、血液中の巨核球の数を測定し、巨核球数が減少した患者数、及び巨核球数が正常又は増加した患者数を求めた。結果を下記表1に示す。
その結果、血漿中に抗TPO抗体が検出されたITP患者は、血漿中に抗TPO抗体が検出されなかったITP患者と比較して、巨核球が減少している頻度が高かった。この結果には、危険率4.5%で有意差が認められた(p=0.045)。
[実験例4:免疫沈降法による抗TPO抗体の検出]
免疫沈降法(免疫沈降−ウエスタンブロット法)により血漿サンプル中の抗TPO抗体を検出した。
(ビーズとの反応)
500μLのIPPバッファー(10mM Tris−HCl、500mM NaCl、0.1%Nonidet P−40、pH8.0)中で、免疫沈降用ビーズ(商品名「Protein G Sephasose 4 Fast Flow」、GEヘルスケア社)に、サンプルとして、健常人の血漿10μL又はITP患者の血漿10μLを添加して混合し、4℃で終夜又は室温で2時間反応させた。陽性対照には、抗TPO抗体高力価の血漿サンプルを用いた。
(洗浄)
続いて、血漿と反応させた免疫沈降用ビーズを、500μLのIPPバッファーで3回洗浄した。
(rhTPOとの反応)
抗原として、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPO又はマウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPO(いずれもR&D社)を用いた。各rhTPOを、NET−2バッファー(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、0.05%Nonidet P−40、pH7.4)で最終濃度50ng/mLに希釈した。これらのrhTPOを、血漿と反応後の免疫沈降用ビーズに加え、室温で2時間反応させた。
(洗浄)
続いて、rhTPOと反応後の免疫沈降用ビーズを、NET−2バッファーで5回洗浄した。
(ウエスタンブロット法)
ウエスタンブロット法により、免疫沈降物を解析した。具体的には、免疫沈降物をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した後、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。続いて、一次抗体としてヤギ抗ヒトTPO抗体(R&D社)を用い、二次抗体としてHRP標識抗ヤギIgG抗体を用い、化学的に発色させて抗TPO抗体を検出した。
図4(a)及び(b)は、免疫沈降−ウエスタンブロット法による解析結果を示す写真である。図4(a)は、バキュロウイルス発現系で発現されたrhTPOを抗原に用いた場合の結果であり、図4(b)は、マウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPOを抗原に用いた場合の結果である。
図4(a)において、レーン1及び2は陽性対照であり、レーン3及び4は健常人の血漿を用いた結果であり、レーン5及び6は、ELISA法による検出で抗TPO抗体陰性であったITP患者の血漿を用いた結果であり、レーン7〜13は、ELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿を用いた結果である。
陽性対照では約50kDaの位置にバンドが認められた。しかしながら、ELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿を含むすべてのサンプルで、バンドが認められなかった。
図4(b)において、レーン1及び2は陽性対照であり、レーン3及び4は健常人の血漿を用いた結果であり、レーン5〜7は、ELISA法による検出で抗TPO抗体陰性であったITP患者の血漿を用いた結果であり、レーン8〜14は、ELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿を用いた結果である。
ELISA法により測定した、図4(b)の各レーンのサンプルに使用した血漿中の抗TPO抗体の濃度(ユニット)を下記表2に示す。
陽性対照及びELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿をサンプルに使用した場合には、約80kDaの位置にバンドが認められた。一方、健常人の血漿及びELISA法による検出で抗TPO抗体陰性であったITP患者の血漿をサンプルに使用した場合には、バンドが認められなかった。
TPOとして、バキュロウイルス発現系で発現されたものを使用した場合には、血漿サンプル中の抗TPO抗体を検出することができなかった。これに対し、TPOとして、哺乳動物細胞発現系で発現されたものを使用することにより、血漿サンプル中の抗TPO抗体の検出が可能となり、抗TPO抗体の検出感度が格段に向上することが示された。
[実験例4:MAPKリン酸化の検出によるTPOに対する中和抗体の検出]
ヒト巨核芽球細胞株であるUT−7/TPO細胞は、c−Mplが高発現し、TPO依存性に増殖する細胞である。TPO/c−Mplの下流には、p44/42MAPKシグナル伝達経路が存在する。
本実験例では、TPOを添加した血漿サンプルの存在下で、巨核芽球細胞をインキュベートし、巨核芽球細胞のMAPKリン酸化を検出することにより、血漿サンプル中のTPOに対する中和抗体を検出した。つまり、血漿サンプル中のTPOに対する中和抗体が、血漿サンプルに添加されたTPOの作用を抑制し、TPOの受容体であるc−Mplの下流のシグナルを減弱させることができるか否か、すなわち、血漿サンプル中の抗TPO抗体が、巨核芽球細胞の成熟障害を引き起こす機能的な抗体であるか否かについて検討した。
(血漿サンプルとrhTPOの反応)
血漿サンプルとして、ELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿、ELISA法による検出で抗TPO抗体陰性であったITP患者の血漿、健常人の血漿を使用した。また、陽性対照として、抗TPO抗体(R&D社)を使用し、陰性対照としてPBSを使用した。
10%ウシ胎児血清(FBS)を含むイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM培地)中で、マウスミエローマ細胞発現系で発現されたrhTPO(R&D社)10ng/mLと、上記の血漿サンプル各10μLとを反応させた。
(UT−7/TPO細胞と反応)
上記の培地にUT−7/TPO細胞を1×10個ずつ添加し、COインキュベーター内で37℃で30分反応させた。その後、細胞を1500rpmで10分間遠心して回収した。続いて回収した細胞から細胞抽出物を調製した。
(ウエスタンブロット法)
ウエスタンブロット法により細胞抽出物を解析し、MAPKリン酸化を検出した。具体的には、免疫沈降物をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した後、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。続いて、一次抗体としてリン酸化p44/42MAPK(Erk1/2)(Thr202/Tyr204)抗体、又は抗p44/42MAPK抗体(いずれもCell Signaling technology社)を用い、二次抗体としてHRP標識抗ウサギIgG抗体を用い、化学的に発色させてバンドを検出した。
図5は、MAPKリン酸化の解析結果を示す写真である。図5において、レーン1は陽性対照であり、レーン2は陰性対照であり、レーン3は健常人の血漿を用いた結果であり、レーン4及び5は、ELISA法による検出で抗TPO抗体陰性であったITP患者の血漿を用いた結果であり、レーン6〜9は、ELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿を用いた結果である。ELISA法により測定した、図5の各レーンのサンプルに使用した血漿中の抗TPO抗体の濃度(ユニット)を下記表3に示す。
陽性対照では、p44/42MAPKのリン酸化が認められず、MAPK活性が抑制されていることが示された。陰性対照、健常人の血漿、及びELISA法による検出で抗TPO抗体陰性であったITP患者の血漿をサンプルに使用した場合には、p44/42MAPKのリン酸化が認められ、MAPKが活性化されていることが示された。一方、ELISA法による検出で抗TPO抗体陽性であったITP患者の血漿をサンプルに使用した場合には、陰性対照と比較してMAPKのリン酸化レベルが少ないか、MAPKのリン酸化が認められなかった。
以上の結果から、ITP患者の血漿サンプル中の抗TPO抗体が、巨核芽球細胞の成熟障害を引き起こす機能的な抗体であることが確認された。また、TPOを添加した血漿サンプルの存在下で、巨核芽球細胞をインキュベートし、巨核芽球細胞のMAPKリン酸化を検出することにより、血漿サンプル中のTPOに対する中和抗体の検出が可能であることが示された。
また、以上の結果は、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを用いて、免疫性血小板減少症(ITP)の罹患が疑われる被験者から得た生体試料中の抗TPO抗体を検出することにより、免疫性血小板減少症を高精度に検出することができることを示す。また、抗TPO抗体の検出に加え、巨核芽球細胞のp44/42MAPKのリン酸化状態を測定することにより、免疫性血小板減少症を更に高精度に検出することができることを示す。
本発明により、検出感度が向上した、抗TPO抗体の検出方法を提供することができる。また、検出感度が向上した、免疫性血小板減少症の検出方法、生体試料中の抗TPO抗体を検出するためのキット及び免疫性血小板減少症を検出するためのキットを提供することができる。
10…TPO、20…生体試料中の抗TPO抗体、30…酵素標識抗ヒトIgG抗体、33…抗ヒトIgG抗体、35…酵素、40…発色物質。

Claims (8)

  1. 生体試料中の抗トロンボポエチン(TPO)抗体の検出における検出感度の向上方法であって、
    TPOと前記生体試料とを接触させる工程と、
    前記抗TPO抗体と前記TPOとの結合を検出する工程と、を含み、
    前記TPOが哺乳動物細胞発現系で発現されたものであり、
    前記生体試料が血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGである、検出感度の向上方法。
  2. 前記検出が酵素結合免疫吸着法(ELISA法)により行われる、請求項1に記載の検出感度の向上方法。
  3. 前記TPOを固相上に固定化させる工程と、
    前記生体試料を固相上の前記TPOと接触させる工程と、
    前記固相を洗浄する工程と、
    前記抗TPO抗体と固相上の前記TPOとの結合を検出する工程と、
    を含み、前記固定化させる工程が、30〜40℃で行われる、請求項2に記載の検出感度の向上方法。
  4. 前記検出が免疫沈降法により行われる、請求項1に記載の検出感度の向上方法。
  5. 前記抗TPO抗体がTPOに対する中和抗体であり、
    前記TPOと前記生体試料とを接触させる工程が、前記生体試料及び抗TPO抗体を含まない陰性対照にTPOを添加することにより行われ、
    前記抗TPO抗体と前記TPOとの結合を検出する工程が、TPOが添加された前記生体試料又はTPOが添加された前記陰性対照の存在下で巨核芽球細胞をインキュベートし、インキュベート後の前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化を定量することにより行われ、
    TPOが添加された前記生体試料の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルが、TPOが添加された前記陰性対照の存在下でインキュベートされた前記巨核芽球細胞におけるMAPKのリン酸化レベルと比較して少ないことが、前記生体試料中に抗TPO抗体が存在することを示す、請求項1に記載の検出感度の向上方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出感度の向上方法により検出された抗TPO抗体の量を指標とする、免疫性血小板減少症の検出方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出感度の向上方法に用いられるキットであって、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを含み、前記生体試料が血漿、血清又は血漿若しくは血清から精製されたIgGである、キット。
  8. 請求項6に記載の免疫性血小板減少症の検出方法に用いられるキットであって、哺乳動物細胞発現系で発現されたTPOを含む、キット。
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