以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明をインクジェットプリンタに適用した場合について説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」という。)10の全体構成が示されている。
プリンタ10は、インク滴を吐出して画像を記録する記録ヘッドアレイ12を備えている。記録ヘッドアレイ12は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインク液及び後述する処理液(H)に対応して5つの記録ヘッド14C、14M、14Y、14K、14Hを備えている。なお、以下の説明では、インク液の各色及び処理液を区別する場合に符号に対応する頭文字を付加し、特に区別しない場合には各色に対応する頭文字を省略して説明する。
なお、処理液は、多価金属等を含む無色又は淡色の液体であり、CMYK各色のインク液と混じることによりインク液の色素を凝集させてドットの滲みを少なくしたり、濃度を上げたりする作用を有する。この処理液を各色のインクに重ねて滴下することにより、ドットの滲みが少なくなり画質を向上させることができる。
各記録ヘッド14は、記録領域が記録用紙Pの幅以上ある長尺ヘッドとされ、記録用紙Pの幅方向に沿って複数のノズル40(図3参照。)が配置されている。記録ヘッド14は、各ノズル40からインク滴を吐出することにより、記録用紙Pの全幅を一括して記録することができる。
プリンタ10は、それぞれCMYKの各インク液及び処理液を各々貯蔵したインクカートリッジ16C、16M、16Y、16K、16Hが装填されている。各インクカートリッジ16に貯蔵されたインク液及び処理液は、図示しない配管を通して対応する各記録ヘッド14に供給される。
記録ヘッドアレイ12の両側には、各記録ヘッド14のインクの詰まりを防止するための清掃や、インクの詰まりが発生した際に吸引回復動作等を行うメンテナンスユニット15が、各記録ヘッド14に対応して設けられている。
メンテナンスユニット15は、画像記録する際には、図1に示すように、記録ヘッドアレイ12の両側に位置し、メンテナンスする際には、図2に示すように、記録ヘッドアレイ12の各ノズルに対向する位置に移動するように構成されている。なお、メンテナンスユニット15の構成はこれに限るものではなく、メンテナンスする際に、記録ヘッドアレイ12の各ノズルに対向可能に配置できればよく、他の構成としてもよい。
また、プリンタ10は、記録用紙Pを収容する収容部18を備えている。収容部18から供給された記録用紙Pは、複数のローラ対20によって搬送されて、記録ヘッドアレイ12へ供給される。
記録ヘッドアレイ12に対向する位置には、ローラ22A、22B及びテンションローラ23に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト24が設けられている。搬送ベルト24は、表面が記録用紙Pの搬送方向に対する直交方向の幅より幅広とされ、テンションローラ23によって下方方向に引っ張られることにより所定のテンションが与えられている。搬送ベルト24は、ローラ22A、22B及びテンションローラ23の回転によって周回駆動する。
ローラ22Bに対向する位置には帯電ロール26が設けられており、当該帯電ロール26には所定の電圧が印加されている。複数のローラ対20によって搬送されてきた記録用紙Pは、帯電ロール26と搬送ベルト24とにより挟持されることにより帯電して搬送ベルト24の表面に吸着され、搬送ベルト24の周回駆動に伴って記録ヘッドアレイ12と対向する画像記録領域を通過する。
プリンタ10は、記録用紙Pが画像記録領域を通過する際に、画像情報に基づいて各記録ヘッド14の各ノズルよりインク滴及び処理液を吐出させることにより、記録用紙Pにフルカラー画像が記録される。
搬送ベルト24の記録用紙Pの搬送方向下流側には、複数の排出ローラ30が設けられている。記録ヘッドアレイ12によって画像が記録された記録用紙Pは、これら複数の排出ローラ30により搬送され、排紙部32に排出される。
また、プリンタ10は、両面記録用の反転パス33を備えている。反転パス33は、複数のローラ対35で構成されており、記録ヘッドアレイ12により片面に画像が記録された記録用紙Pが、反転パス33で反転されて再び画像記録領域まで搬送される。これにより、記録用紙Pの両面に画像を記録することが可能とされている。
図3には本実施の形態に係る記録ヘッド14の断面図が示されている。
同図に示されるように、記録ヘッド14は、ノズル40、インクタンク41、供給路44、圧力室46及び圧電素子48を備えている。
インクタンク41には、各々の記録ヘッド14が対応している色のインクカートリッジ16から適量のインク液が供給され、一時的に蓄えられる。このインクタンク41は、供給路44を介して圧力室46と空間的につながっている。また、圧力室46はノズル40を介して外部と空間的につながっている。
また、圧力室46の壁面の一部は、圧力調整板46Aにより構成されている。この圧力調整板46Aには圧電素子48が取り付けられている。
圧電素子48は、後述するヘッド制御部64(図4参照。)より供給される駆動信号の駆動波形に応じて変形して圧力調整板46Aに対する押圧力を変化させることにより、圧力室46に体積変化(収縮又は膨張)を発生させる。すなわち、記録ヘッド14は、圧力室46の体積変化により発生するインク液の振動波(圧力波)によってインクタンク41内に蓄えられたインク液が供給路44及び圧力室46を介してノズル40から吐出されるものとされている。
図4には、本実施の形態に係るプリンタ10の電気系の構成が示されている。
同図に示されるように、プリンタ10は、全体の動作を司るCPU(中央処理装置)50と、装置全体を制御する制御プログラム、画像記録処理プログラム、及びドット情報作成処理ルーチン・プログラムを含む各種プログラムや各種データ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)52と、各種データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)54と、後述する分離ドット位置情報及び濃度補正情報等を記憶する不揮発性メモリ55と、図示しない通信回線を介して外部端末と接続され、当該外部端末から記録用紙Pに記録する画像情報を受信する通信インタフェース56と、受信した画像情報をCMYK色空間の画像情報に変換するデータ変換部58と、各記録ヘッド14の駆動を制御するヘッド制御部64と、各ローラ対20や各排出ローラ30、ローラ22A、22B等を回転駆動させる図示しないモータを制御して記録用紙Pの搬送を制御する搬送制御部66と、を備えている。
なお、データ変換部58には、色補正用のLUT(ルックアップテーブル)が記憶されており、画像情報をCMYK色空間の画像情報に変換すると共にインクの性質に応じた色補正や濃度補正などの補正処理を行う。
また、CPU50は、データ変換部58により変換されたCMYK色空間の画像情報に対してハーフトーン処理等の画像処理を行ってCMYK各色毎のドット情報を作成する。
なお、本実施の形態では、ハーフトーン処理の手法としてディザ法を用いて、例えば、256階調等の比較的高階調の画像情報から、記録ヘッド14で記録可能な階調数のドット情報を作成する。なお、一般的にインクジェットプリンタで記録可能な階調数は2〜8階調であるが、本実施形態に係るプリンタ10では、YMCKの各色共2階調(滴あり、滴無し)の場合を例として説明する。
また、CPU50は、CMYK各色毎のドット情報の作成に加えて、記録ヘッド14Hの各ノズル40より処理液を吐出させるための処理液用のドット情報を作成する。
さらに、ヘッド制御部64は、各記録ヘッド14に設けられた各圧電素子48とそれぞれ配線によって個別に電気的に接続されており、それぞれの配線毎に通電のオン/オフを個別に制御するスイッチ回路を内蔵している。ヘッド制御部64は、ドット情報に基づいてスイッチ回路により通電のオン/オフを制御することにより予め定められた駆動波形の駆動信号を生成する。生成された駆動信号は圧電素子48に供給される。
これらCPU50、ROM52、RAM54、不揮発性メモリ55、通信インタフェース56、データ変換部58、ヘッド制御部64、及び搬送制御部66は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU50は、ROM52、RAM54及び不揮発性メモリ55へのアクセスと、通信インタフェース56を制御しての外部端末とのデータの送受信の制御と、データ変換部58によるデータ処理の制御と、ヘッド制御部64を制御しての記録用紙Pへの画像の記録の制御と、搬送制御部66を制御しての記録用紙Pの搬送の制御と、を各々行うことができる。
ところで、本実施の形態に係る記録ヘッド14は、液滴を吐出させた際に各ノズル40から主滴が吐出されると共に当該主滴に付随して分離滴が吐出されるものとされている。このため、記録ヘッド14の各ノズル40から液滴を吐出させて画像を記録した場合、意図せずに主ドットと分離ドットが重なって濃度が濃くなってしまったり、あるいは、分離滴により意図しない分離ドットが形成されて画質が低下してしまう場合がある。
そこで、本実施の形態に係るプリンタ10では、ノズル40から記録用紙Pに対して液滴を吐出させた場合の、当該記録用紙Pに主滴により形成される主ドットの位置を基準とした分離滴により形成される分離ドットの位置を示す分離ドット位置情報及び分離ドットの濃度値を濃度補正情報として予め不揮発性メモリ55に記憶している。
そして、CPU50は、不揮発性メモリ55に記憶された分離ドット位置情報を用いて、データ変換部58により変換されたCMYK色空間の画像情報に対してハーフトーン処理等の画像処理を行って、CMYK色空間の画像を示す画像情報から、ノズル40から吐出される液滴により形成される主ドット及び分離ドットにより当該画像を形成するためのドット情報を作成する画像処理を行なう。
この分離ドット位置情報は、例えば、各記録ヘッド14の各ノズル40よりそれぞれ液滴を吐出させて、一例として、図5に示すようにドットの周りに十分な空白を設けた検査パターンを記録用紙Pに記録し、記録用紙Pに記録された検査パターンをスキャナやカメラなどを用いて読み取り、読み取った検査パターンに記録された主ドットの中心と分離ドットの中心との位置関係を検出すること等により求めることができる。また、濃度補正情報は、読み取った検査パターンに記録された分離ドットの濃度値を測定すること等により求めることができる。
また、本実施の形態に係るプリンタ10では、ユーザにより図示しない操作パネルを介して、或いは外部端末から通信インタフェース56を介して入力される分離ドット位置情報及び濃度補正情報を不揮発性メモリ55に記憶する。
なお、プリンタ10の経時変化等による主ドットを基準とした分離ドットの位置の変化が誤差の範囲内であれば、プリンタ10の工場出荷前に検査を行なって、ROM52に記憶させておいてもよい。これに対し、プリンタ10の経時変化等による主ドットを基準とした分離ドットの位置の変化が比較的大きいならば、定期的に検査を行うことが好ましい。
次に、図6を参照して、画像を記録する際のプリンタ10の作用を説明する。なお、図6は、図示しない外部端末から画像情報が入力された際にCPU50によって実行される画像記録処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはROM52の所定の領域に予め記憶されている。
同図のステップ100では、受信した画像情報をRAM54に記憶させ、次のステップ102では、データ変換部58に対して変換処理の実行を指示する。
これに応じて、データ変換部58は、上記ステップ100の処理によってRAM54に記憶された画像情報を読み込み、当該画像情報をCMYK色空間の画像情報に変換すると共に、色補正用のLUTを用いて各色のインクの性質に応じた色補正や濃度補正などの補正処理を行う。そして、データ変換部58は、色補正処理後の画像情報を、RAM54の上記画像情報とは異なる記憶領域に記憶させる。
次のステップ104では、ドット情報作成処理ルーチン・プログラムを実行する。
以下に、図7を参照して、本実施の形態に係るドット情報作成処理ルーチン・プログラムについて説明する。なお、当該プログラムもROM52の所定の領域に予め記憶されている。
同図のステップ200では、RAM54からデータ変換部58による変換処理後の画像情報を読み込む。
次のステップ202では、読み込んだ画像情報により示される画像を記録ヘッド14の各ノズル40から液滴を吐出させて記録する際のデータ処理順に、当該画像情報により示される画像の各画素の濃度値を、各々異なる閾値が行列状に配列されたディザ行列の各閾値と当該ディザ行列のサイズに応じた領域毎に比較して閾値以上となる画素を特定する。
例えば、図8に示されるように、プリンタ10が記録ヘッド14に複数のノズル40が所定方向に沿って配置され、各ノズル40から液滴を吐出することにより記録用紙Pに1ラインずつ画像を記録するものであり、ディザ行列が3×3の行列である場合は、画像情報により示される画像を記録用紙Pの搬送方向上流側から順に3ラインずつのライン群に分け、各ライン群毎の各画素の濃度値を、各ラインの一端側から他端側へ順にディザ行列のサイズに応じた領域毎にディザ行列の閾値と比較して閾値以上となる画素を特定する。
そして、本ステップ202では、不揮発性メモリ55に記憶されている分離ドット位置情報に基づき、画像情報により示される画像内において、特定した画素の位置に主ドットが形成された際の分離ドットが形成される位置に対応する画素を求めて当該画素の濃度値から不揮発性メモリ55に記憶されている濃度補正情報により示される分離ドットの濃度値を減算する。そして、減算を行なった後の濃度値がディザ行列の閾値以上となる画素を液滴を吐出させる画素であるものと特定してCMYK各色毎のドット情報を作成する。作成されたドット情報は、RAM54の所定の記憶領域に記憶させる。
図9(A)〜(D)には、各ライン群毎の各画素の濃度値を上記ディザ行列の閾値と比較して、液滴を吐出させる画素を特定する際の流れが模式的に示されている。また、本実施の形態では、1回の吐出で、同程度の大きさの主ドットと分離ドットが紙面上に形成され、その相対的な距離はおよそ1画素である場合を例に説明する。
図9(A)に示されるように、画像情報により示される画像の各画素の濃度値が150であり、ディザ行列が同図右側に示されるものである場合、画素C、画素D、画素E、画素F、画素Hは、濃度値が閾値以上である画素であるものと特定される。ここで、分離ドット位置情報により示される分離ドットが形成される位置が、1ライン下流側の画素(図9(A)の右となりの画素)の位置であるとした場合、画素Cの主ドットが形成されると画素Fの位置に分離ドットが形成され、画素Dの主ドットが形成されると画素Gの位置に分離ドットが形成され、画素Eの主ドットが形成されると画素Hの位置に分離ドットが形成される。
このため、本実施の形態に係るドット情報作成処理ルーチン・プログラムでは、図9(B)に示されるように、画素F、画素G、画素Hの各濃度値から、濃度補正情報により示される分離ドットの補正値(ここでは、128)を減算している。
これにより、画素F、画素G、画素Hでは、それぞれ濃度値が減算されてディザ行列の対応する位置の閾値未満となる。
これにより、図9(C)に示されるように、網掛け状態で示される画素C、画素D、画素Eが液滴を吐出させる画素と特定される。この画素C、画素D、画素Eに対応させてノズル40から液滴を吐出させた場合、図9(D)に示されるように、主ドット及び分離ドットが形成される。
ここで、分離ドットが形成される画素において分離ドットの濃度に対応する補正値を減算する関係から、画素の濃度値とディザ行列の閾値との比較を行う処理は、記録の際に画素が形成される順が好ましい。例えば、図9の場合においては、ライン1、ライン2、ライン3の順に処理を行うことが好ましい。
なお、例えば、図8のライン3に属する画素で主ドットが形成される場合など、主ドットが形成される位置等によりディザ行列に対応させる領域を跨って主ドットと分離ドットとが形成される場合がある。この場合においても、分離ドットが形成される画素(本実施の形態の場合には、ライン4に属する画素)の濃度値を補正する。ディザ行列を画像情報の当該ディザ行列のサイズに応じた領域毎に比較する処理も画像が形成される順に行われるので、主ドットと分離ドットとがディザ行列に対応させる領域を跨って形成されても、各画素の濃度値の補正を反映したドット情報が作成される。
一方、従来のディザ法では、図19(A)に示されるように、図9(A)と同じの画像情報を処理した場合、図19(B)に示されるように、網掛け状態で示される画素C、画素D、画素E、画素F、画素Hが液滴を吐出させる画素と特定され、図19(C)に示されるように、主ドット及び分離ドットが形成される。このように従来のディザ法では、主ドットと分離ドットが重なる部分があるために濃度が濃くなってしまったり、あるいは本来ドットがないはずの画素に分離ドットが形成されてしまうため、記録される画像の画質が低下する。
このように、本実施の形態のディザ法によれば、従来のディザ法と比較して、分離滴による意図しないドットの重なりや、意図しないドットの形成が抑制されて本来形成されるべきドット分布に近くなる。
次のステップ204では、上記ステップ202の処理によって作成したCMYK各色毎のドット情報に基づき、記録用紙PのCMYK各色のインク滴が付着する位置に対して処理液を吐出させる処理液用のドット情報を作成する。
そして、作成したCMYKの各色毎及び処理液用のドット情報をRAM54の所定記憶領域に記憶させて、本ドット情報作成処理ルーチン・プログラムを終了し、図6に示される画像記録処理プログラムのステップ106に移行する。
ステップ106では、搬送制御部66に対して記録用紙Pの搬送開始を指示する。
これに応じて搬送制御部66は、図示しないモータを制御し、収容部18に収容された記録用紙Pの搬送を開始させる。記録用紙Pは、複数のローラ対20及び搬送ベルト24により搬送されて画像記録領域を通過する。
次のステップ108では、RAM54の記憶領域に記憶されているCMYKの各色毎及び処理液用のドット情報をヘッド制御部64へ出力し、記録用紙Pへの画像の記録を指示する。
これに応じてヘッド制御部64は、記録用紙Pが記録ヘッドアレイ12と対向する画像記録領域を通過する際に、CMYKの各色毎及び処理液用のドット情報に基づいて、各記録ヘッド14の各ノズル40に対応した圧電素子48に対して駆動信号を順次供給して、記録用紙Pに画像を記録する。
画像が記録された記録用紙Pは、複数の排出ローラ30により搬送され、排紙部32に排出される。記録用紙Pが排紙部32に排出されると、本ドット情報作成処理ルーチン・プログラムは終了となる。
以上のように本実施の形態によれば、従来のディザ法と比較して、分離滴による意図しないドットの重なりや、意図しないドットの形成を抑制されて本来形成されるべきドット分布に近くなる。また、液滴を吐出させる回数が抑えられるため、インク液の消費量が減少し、液滴の吐出も安定する。
また、従来、例えば、ノズル40から吐出された液滴が分離せず、形成されるドットが分離しないとき、2画素分のドットを形成するには、2回の液滴の吐出が必要である。
これに対し、本実施の形態に係るプリンタ10では、吐出された液滴が主滴と分離滴に分離することで1回の液滴の吐出で2画素分のドットが形成される。
ところで、1回の液滴の吐出で1画素に適した量の液滴が吐出される場合、分離滴が生じたことにより1画素あたりの滴量が少なくなる。あるいは、分離滴が生じない場合には1画素にドットが形成されていたのに対し、分離滴が生じる場合には2画素分にドットが形成されることになる。その結果、ドット分布によっては、分離滴が生じる場合の方が記録される画像の平均濃度が変化することも考えられる。
この濃度変化を調整するために、ディザ行列の各閾値を修正してもよい。すなわち、記録される画像の濃度が濃くなるときは、形成されるドットの個数を少なくすればよいので、ディザ行列の各閾値を大きくしてドットを出しにくくする。逆に、記録される画像の濃度が薄くなるときは、形成されるドットの個数を多くすればよいので、ディザ行列の各閾値を小さくすればよい。
次に、図10を参照して、分離滴が生じることで、濃度が変化する場合について説明する。画像の各画素の濃度値は100であるものとする。
分離滴が生じない場合のドット分布までの流れが図10の右上段側の3つの図により示されている。
まず、画像の各画素の濃度値とディザ行列の各閾値とを比較して、ドット情報を求める。ドット情報には、液滴を吐出する画素が斜線状態で示されている。このドット情報の斜線状態の画素に対応させてドットを形成すると、ドット分布は上段右に示される図のようになる。
一方、分離滴が生じる場合のドット分布までの流れが図10の右下段側の3つの図により示されている。
ドットが分離するときは、ドットを形成する画素の数を増やすことにより濃度を濃くしたいため、ディザ行列の各閾値を低く設定する。この例では、分離滴が生じない上段に比べ、各閾値を20だけ低くしている。この結果、出力画像では、新たに左下の画素でドットが生成されるようになる。1回の吐出駆動(ドット生成)で吐出される液滴が2個に分離し、右側の画素にもドットが形成されるものとした場合、ドット分布は下段の右の図のようになる。
なお、図10に示される例では、ディザ行列の各閾値の変化量を−20としたが、当該変化量の最適な値は、記録する画像のドットの分布によって異なる。
すなわち、記録する画像にドットが密に分布しており平均濃度が高い場合(例えば、高濃度領域)は、ドットが分離しても、他の画素のドットと重なる確率が高いため、濃度変化は小さいと考えられる。よって、閾値を下げる変化量は小さくてもよいと考えられる。よって、形成されるドット数の変化は小さくてよいので、ディザ行列の閾値を下げる変化量も小さくてよい。
一方、記録する画像にドットが疎に分布しており画像の平均濃度が低い場合(例えば、中濃度領域)は、ドットが分離することによる濃度変化への影響が大きいと考えられるので、上記変化量も高濃度領域のときの変化量と比較して大きくすることが好ましい。
この変化量は、淡色のインクの使用や滴径変調など、プリンタ10の採用しているシステムに応じて調整すればよい。
なお、第1の実施の形態では、分離ドットの補正値を各画素の濃度値から減算させてドット情報を作成する例について説明したが、これに代えて、分離ドットの補正値をディザ行列の閾値に加算してもよい。この場合にも、ディザ行列の閾値と各画素の濃度を比較する際に分離ドットの補正値を加味した比較が行われることとなるため、分離滴による意図しないドットの重なりや、意図しないドットの形成が抑制される。
[第2の実施の形態]
本第2の実施の形態では、誤差拡散法を用いてドット情報を作成する場合の形態例について説明する。
第2の実施の形態に係るプリンタ10、記録ヘッド14の構成及びプリンタ10の電気系の構成は、上記第1の実施の形態(図1、図2、図3及び図4参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。なお、第2の実施形態に係るプリンタ10では、YMCKの各色及び処理液共に滴無し、小滴、中滴、及び大滴の各滴量により記録される4階調とされている場合について説明する。
また、第2の実施の形態に係るプリンタ10では、ハーフトーン処理の手法として誤差拡散法を用いて画像情報から、記録ヘッド14で記録可能な階調数のドット情報を作成する。
図11には、第2の実施の形態に係るドット情報作成処理ルーチン・プログラムの処理の流れが示されている。なお、同図における図7と同一の処理には図7と同一の符号を付して、その説明を省略する。
ステップ203では、読み込んだ画像情報により示される画像を記録ヘッド14の各ノズル40から液滴を吐出させて記録する際のデータ処理順に、当該画像情報により示される画像の各画素の濃度値を所定閾値と比較し、濃度値が所定閾値以上の画素を特定する。なお、本実施の形態では、画素の濃度値を、複数(例えば3つ)の閾値と比較することにより、吐出する液滴のサイズ(小滴、中滴、及び大滴)も特定する。
例えば、図12に示されるように、プリンタ10が記録ヘッド14に複数のノズル40が所定方向に沿って配置され、各ノズル40から液滴を吐出することにより記録用紙Pに1ラインずつ画像を記録するものである場合は、搬送方向上流側のラインから順に画像情報により示される画像を1ラインずつ、各ラインの一端側から他端側へ順に各画素の濃度値を複数の閾値と比較して液滴が吐出される画素を特定する。なお、図12に示される網掛け状態で示される画素は、複数の閾値と濃度を比較済みの画素を表わしている。また、一般にハーフトーン処理は画像左上の画素から右方向(図12に示される搬送方向)に順に処理していき、以下で説明する本実施の形態でも適用可能である。ただし、以下では図12に示すように、画像左上の画素から下方向(図12に示されるノズル配列方向)に順に処理していく場合を例にとり説明する。このようにノズル配列方向に沿って処理していくと、たとえば、分離ドットが横方向ではなく、若干上方向にずれた場合にもより高い精度で適用できるので、一層の効果が期待できる。
そして、本ステップ203では、特定した画素の濃度値と主ドットの濃度値との差を当該画素に隣接し且つ所定閾値と未比較の画素の濃度値に所定割合ずつ量子化誤差として配分する。なお、本実施の形態では、吐出する液滴のサイズにより小滴、中滴、及び大滴によるドットが形成されるため、主ドットとして形成するドットの濃度値と特定した画素の濃度値との差を量子化誤差として配分する。
さらに、本ステップ203では、不揮発性メモリ55に記憶されている分離ドット位置情報に基づき、画像情報により示される画像内において特定した画素の位置に主ドットが形成された際の分離ドットが形成される位置に対応する画素を求めて当該画素の濃度値から不揮発性メモリ55に記憶されている濃度補正情報により示される分離ドットの補正値を減算することを対象画素に対して行なって、液滴を吐出させる画素を特定して、CMYK各色毎のドット情報を作成する。
図13には、本実施の形態に係る誤差拡散法の流れが模式的に示されている。各画素の4階調化処理を行う際に、当該画素の濃度値(入力値)と周辺画素から配分された量子化誤差の和に加えて、当該画素が分離ドットが形成される画素の場合には分離ドットの濃度に対応する補正値が減算される。ここでは、滴なし/小滴の閾値を43、小滴/中滴の閾値を128、中滴/大滴の閾値を213とした場合について説明する。
例えば、ノズル40から小滴を吐出したときの主ドットと分離ドットがほぼ同じ大きさであるものとし、小滴により形成される主ドット及び分離ドットの濃度値が85であるものとする。また、分離ドット位置情報により示される分離ドットが形成される位置が、1ライン下流側の画素(図12における右となりの画素)の位置であるものとする。
ここで、図12に示される画素Aで濃度値を閾値と比較して量子化が行なわれるものとする。なお、画素Aの左隣の画素Bは、すでに量子化が終わり、小滴を吐出するものとする。
仮に、画素Aの濃度値=80であり、周辺画素からの配分された量子化誤差の和=20であるとすると、画素Aの濃度値+量子化誤差の和−画素Bによる分離ドットの濃度値=80+20−85=15となる。
この値は滴なし/小滴の閾値=43より小さいので、対象画素の出力値=0となり、液滴が吐出されない。
一方、図20に示される従来の誤差拡散法では、画素Bによる分離ドットの濃度値を減算が行なわれないため、画素Aの濃度値+量子化誤差の和=80+20=100となり、閾値と比較して43<100<128なので、小滴が吐出される。
このため、画素Aには、画素Bによる分離ドットと画素Aによる主ドットが存在することになり、同じ画素にドットが2個重なることになる。また、画素Aの右隣の画素Cには画素Aでの小滴の吐出による分離ドットが形成される。このように従来の誤差拡散法では、一部の画素で2個のドットが重なって濃度が濃くなってしまったり、あるいは本来ドットがない画素に分離ドットが形成され、記録される画像の画質が低下する。
以上のように本実施の形態の誤差拡散法によれば、従来の誤差拡散法と比較して、分離滴による意図しないドットの重なりや、意図しないドットの形成を抑制されて本来形成されるべきドット分布に近くなる。また、液滴を吐出させる回数が抑えられるため、インク液の消費量が減少し、液滴が安定して吐出される。
[第3の実施の形態]
本第3の実施の形態では、処理液によるドットが重ならないように処理液の吐出を制御を行なう場合の形態例について説明する。
第3の実施の形態に係るプリンタ10、記録ヘッド14の構成及びプリンタ10の電気系の構成は、上記第1の実施の形態(図1、図2、図3及び図4参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
本実施の形態に係るROM52には上記画像記録処理プログラム、及びドット情報作成処理ルーチン・プログラムに加えて処理液データ作成処理ルーチン・プログラムが記憶されている。
第3の実施の形態に係るプリンタ10は、CMYK各色毎のドット情報に加えて、不揮発性メモリ55に記憶された処理液Hの分離ドットに関する位置情報を用いて、記録用紙PのCMYK各色のインク滴が付着する位置に対して処理液を吐出させる処理液用のドット情報を作成する。
図14には、第3の実施の形態に係るドット情報作成処理ルーチン・プログラムの処理の流れが示されている。なお、同図における図7と同一の処理には図7と同一の符号を付して、その説明を省略する。
ステップ205では、処理液データ作成処理ルーチン・プログラムを実行する。
以下に、図15を参照して、本実施の形態に係る処理液データ作成処理ルーチン・プログラムについて説明する。なお、当該プログラムもROM52の所定の領域に予め記憶されている。
同図のステップ300では、CMYK各色毎のドット情報により示される画像に対して当該画像を記録ヘッド14により記録用紙Pに記録させる際のデータ処理順に対象画素を特定する。
次のステップ302では、CMYK各色毎のドット情報に基づき、対象画素において液滴を吐出されてドットが形成されるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ304へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ306へ移行する。
ステップ304では、対象画素の位置を分離ドット位置情報により示される処理液の分離ドットが形成される位置とした場合の基準となる位置(主ドットの位置)に対応する画素において、処理液の液滴が吐出されるか否かに基づいて、対象画素に処理液の分離ドットが形成されるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ306へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ308へ移行する。
ステップ306では、対象画素を処理液を吐出させない画素とする。
一方、ステップ308では、対象画素を処理液を吐出させる画素とする。
次のステップ310では、全画素を対象画素としたか否かを判定し、肯定判定となった場合は本処理液データ作成処理ルーチン・プログラムを終了して、図6に示される画像記録処理プログラムのステップ106に復帰し、否定判定となった場合はステップ300へ移行する。
以上のように本実施の形態によれば、対象画素でインク液によるドットを形成されない場合は、処理液のドットも不要なので処理液を吐出させない。一方、インク液によるドットを形成される場合は、対象画素に処理液のドットが必要なので処理液を吐出させるが、周辺の画素で既に処理液が吐出されて分離滴による分離ドットが対象画素に形成される場合、新たに処理液を吐出させる必要がないため、処理液を吐出させない。
このように、本実施の形態によれば、ノズル40からの1回の処理液の吐出で複数画素をカバーできるため、処理液の吐出回数が少なくなる。
また、処理液を多く吐出することで生じる記録用紙Pの変形が抑えられ、処理液の消費量が低減する。
[第4の実施の形態]
本第4の実施の形態では、インク液の液量に応じた液量の処理液が吐出を制御を行なう場合の形態例について説明する。
第4の実施の形態に係るプリンタ10、記録ヘッド14の構成及びプリンタ10の電気系の構成は、上記第3の実施の形態(図1、図2、図3及び図4参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。なお、第4の実施形態に係るプリンタ10では、YMCKの各色及び処理液共に滴無し、小滴、中滴、及び大滴の各滴量により記録される4階調とされている場合について説明する。
ところで、プリンタ10では、図16に示されるように、記録用紙Pに複数のインク液によるドットが重なったり、あるいは、大滴によるドットが形成されたりと付着するインクの液量が多い場合、当該インク液の色素を凝集させるために必要な処理液の液量も多くなる。
そこで、第4の実施の形態に係るプリンタ10は、記録用紙Pに付着するCMYK各色のインク滴の液量に応じて吐出させる処理液用の処理液を調整している。
図17には、第4の実施の形態に係る処理液データ作成処理ルーチン・プログラムの処理の流れが示されている。なお、当該プログラムはROM52の所定の領域に予め記憶されている。
同図のステップ400では、CMYK各色毎のドット情報により示される画像に対して当該画像を記録ヘッド14により記録用紙Pに記録させる際のデータ処理順に対象画素を特定する。
次のステップ402では、CMYK各色毎のドット情報に基づき、対象画素において吐出される液滴のサイズ及び液滴の数から当該対象画素に対応する記録用紙Pの位置に付着するCMYK各色のインクの滴量を算出する。
次のステップ404では、上記ステップ402の処理によって算出されたCMYK各色のインクの滴量に対して必要な処理液の滴量を算出する。例えば、図16に示されるように、対象画素において2色のインクによるドットが形成されており、上記ステップ402の処理によって算出された2色のインクの滴量が8pl×2ドット=16plであり、インクの滴量に対して25%だけ処理液が必要である場合、必要な処理液は4plと算出される。
次のステップ406では、対象画素において処理液を吐出させる必要があるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ410へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ408へ移行する。すなわち、上記ステップ404の処理によって算出された処理液の滴量がゼロである場合は、処理液を吐出させる必要がないため、ステップ408へ移行する。
ステップ408では、対象画素を処理液を吐出させない画素とする。
一方、ステップ410では、対象画素の位置を分離ドット位置情報により示される処理液の分離ドットが形成される位置とした場合の基準となる位置(主ドットの位置)に対応する画素において、処理液の液滴が吐出されるか否かに基づいて、対象画素に処理液の分離ドットが形成されるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ414へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ412へ移行する。
ステップ412では、上記ステップ404の処理によって算出された処理液の滴量を超えない最大の滴量となる滴径の処理液を吐出させる画素とする。
一方、ステップ414では、不揮発性メモリ55に記憶された処理液の分離ドットの滴量に関する補正値を参照して、対象画素に形成される処理液の滴量を求め、上記ステップ404の処理によって算出された必要な処理液の滴量から当該求めた処理液の滴量を減算する。
次のステップ416では、対象画素で新たに処理液を吐出させる必要があるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ418へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ420へ移行する。すなわち、上記ステップ414の処理によって減算された必要な処理液の滴量がゼロ以下となった場合は、処理液を吐出させる必要がないため、ステップ418へ移行する。
ステップ418では、対象画素を上記ステップ414の処理によって減算された必要な処理液の滴量を超えない最大の滴量となる滴径の処理液を吐出させる画素とする。
一方、ステップ420では、対象画素を処理液を吐出させない画素とする。
次のステップ422では、全画素を対象画素としたか否かを判定し、肯定判定となった場合は本処理液データ作成処理ルーチン・プログラムを終了して、図6に示される画像記録処理プログラムのステップ400に復帰し、否定判定となった場合はステップ400へ移行する。
以上のように本実施の形態によれば、吐出される処理液の滴量が減るため、記録用紙Pの変形が発生しずらい。また、処理液を吐出させる回数が少なくなる。
なお、上記の第3の実施の形態及び第4の実施の形態は、インクのドット情報作成作成方法として第2の実施形態を用いた構成について説明したが、必ずしも第2の実施の形態を用いてインクのドット情報を作成する場合に限られない。インクのドット情報作成として従来知られた方法を用いた場合にも、第3の実施の形態又は第4の実施の形態の処理液のドット情報作成方法を用いることができる。例えば、第1の実施の形態で示したディザ法を用いてインクのドット情報を作成する場合と併せて、第3の実施の形態又は第4の実施の形態の処理液のドット情報作成方法を用いても良いし、図19に示す従来のディザ法、あるいは図20に示した従来の誤差拡散法を用いてインクのドット情報を作成した場合に合わせて、第3の実施の形態又は第4の実施の形態の処理液のドット情報作成方法を用いても良い。
なお、第1乃至第4の実施の形態では、分離ドット位置情報として1つの主ドットの位置を基準とした分離ドットの位置を示す情報を記憶して、当該分離ドット位置情報を用いて各画素でインクを吐出する場合の分離ドットの位置を求める場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、記録ヘッド14の各ノズル40から液滴を吐出させた際に形成される主ドットの位置を基準とした分離ドットの位置に各ノズル40毎にばらつきがある場合、ノズル40毎の主ドットの位置を基準とした分離ドットの位置を示す情報を分離ドット位置情報として不揮発性メモリ55に記憶し、当該分離ドット位置情報に基づき、画素のドットを記録するノズル40に応じて主ドットの位置を基準とした分離ドットの位置を求めてもよい。
また、ノズル40から複数の種類のサイズの液滴を吐出できる場合は、液滴のサイズ毎に主ドットの位置を基準とした分離ドットの位置を記憶してもよい。
また、インク液や処理液は、温度や湿度に応じて粘性が変化して、主ドットの位置に対する分離ドットの位置関係が変化する場合がある。このため、不揮発性メモリ55に温度や湿度に応じて主ドットの位置に対する分離ドットの位置関係を補正する補正情報を記憶させておき、当該補正情報に基づいて主ドットの位置を基準とした分離ドットの位置を補正してもよい。
また、第1乃至第4の実施の形態では、プリンタ10に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、パーソナル・コンピュータ等の情報処理装置とプリンタ10を接続し、情報処理装置が画像情報からドット情報を作成してプリンタ10に送信するものとし、プリンタ10が受信したドット情報に基づき、記録用紙Pに画像を記録するものとしてもよい。
また、第1乃至第4の実施の形態では、濃度補正情報として分離ドットの濃度値を記憶する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、主ドットと分離ドットを重なるように形成し、主ドットと分離ドットが重なって形成されたドットの濃度値から主ドットによる濃度値を減算した値を濃度補正情報として用いてもよい。すなわち、主ドットと分離ドットが重なって形成されたドットの濃度値は、単純に、主ドットの濃度値と分離ドットの濃度値を加算した値とならない場合がある。このため、主ドットと分離ドットが重なって形成されたドットの濃度値から主ドットによる濃度値を減算することにより、分離ドットが重なった際の濃度値の増加量が求めて濃度補正情報として用いてもよい。また、濃度補正情報として記憶する値は、分離ドットの濃度値そのものである必要はなく、分離ドットの濃度値に相当する値として予め定められた値であってもよい。
また、第1乃至第4の実施の形態では、分離ドットが形成される位置を画素単位の位置で表した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図18に示されるように、分離ドットが主ドットが形成される複数の領域に跨って形成される場合、各主ドットが形成される領域内における分離ドットの面積の比率に応じて分離ドットの濃度値を配分して各主ドットが形成される位置に対応する画素の濃度値から減算するようにしてもよい。例えば、1つの主ドットつき複数の画素対して分離ドット位置情報および分離ドットの濃度補正情報を設定してもよい。
また、第1乃至第4の実施の形態では、記録ヘッド14を記録用紙の幅より幅広とした長尺ヘッドとし、当該長尺ヘッドに対して記録用紙を移動させて画像を記録する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、記録用紙に対して記録ヘッド14を移動させるプリンタ10に適用してもよい、例えば、記録用紙に対して記録ヘッド14を主走査方向に往復移動させながら、記録用紙に画像を記録するプリンタ10に適用してもよい。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
その他、本実施の形態で説明したプリンタ10の構成(図1、図2参照。)及び記録ヘッド14の構成(図3参照。)、プリンタ10の電気系の構成(図4参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、本実施の形態で説明した画像記録処理プログラム(図6参照。)、ドット情報作成処理ルーチン・プログラム(図7、図11、図14参照。)及び処理液データ作成処理ルーチン・プログラム(図15、図17参照。)の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、本実施形態で説明したプリンタ10は、記録媒体上へ画像(文字を含む)を記録するものであったが、本発明のプリンタ10は、これに限定されるものではない。すなわち、記録媒体は記録用紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインク液に限定されるものではない。例えば半導体や液晶表示器等のパターン形成のためにシート状の基板に液滴を吐出するパターン形成装置等の他の液滴吐出記録装置にも適用することができる。
さらに、本実施形態で説明したプリンタ10では本発明に係る画像処理プログラムに対応するドット情報作成処理ルーチン・プログラム及び処理液データ作成処理ルーチン・プログラムがROM52に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。