JP2009255388A - 画像記録装置及び画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原稿画像を正確に再現するした画像を記録することができる画像記録装置を提供することにある。
【解決手段】記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得手段と、記録素子の記録特性を示す情報を用いて、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する補正対象記録素子決定手段と、補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正記録素子を決定する補正記録素子決定手段と、補正対象記録素子の記録特性に基づいて、補正対象記録素子及び補正記録素子の出力濃度を補正する濃度補正係数を算出する補正係数決定手段と、記録特性のうち、打滴径、打滴率、着弾位置誤差値に基づいて算出した反射濃度と出力濃度との関係を用いて前記濃度補正係数を修正する補正係数修正手段とを有することで上記課題を解決する。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録の分野に関し、より詳しくは、記録素子の記録特性により発生する濃度ムラを補正して画像を記録する画像記録装置及び画像記録方法に関するものである。
記録媒体に画像を記録する方式として、インクジェットヘッドからインク液滴を吐出させ画像を形成するインクジェット記録方式がある。
このインクジェット記録方式では、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるため、記録する画像に吐出口を備える記録素子毎の記録特性(着弾位置誤差、滴下されるインク液量のばらつき等)に起因する濃度ムラが発生するという問題がある。この問題は、ライン型のインクジェットヘッドを固定し、記録媒体を一方向に一度搬送することで記録媒体の全面に画像を記録するシングルパスのインクジェット方式の時に特に問題となる。
この濃度ムラを補正する方法としては、記録素子毎に、濃度ムラにあわせて吐出駆動条件を変更し、ドット径やドット濃度を調整することで、濃度ムラを補正する方式と、濃度ムラにあわせて画像データを補正することで、記録する画像に濃度ムラの影響がなくなるようにする方式がある。
吐出駆動条件を変更する方法は、インクジェットヘッドから吐出するインク液滴を変更するものであるため、実施に際してインクジェットヘッドの駆動方式や補正幅に制限がある。これに対して、濃度ムラにあわせて画像データを補正する方式は、インクジェットヘッドから実際に吐出するインク液滴は、そのまま、つまり、インクジェットヘッド自体を変更(つまり、物理的な変更)をすることなく、データの補正を行うことで実現できるため、自由度が高く、種々の補正方法が提案されている。
このような、画像データを補正することにより、画像濃度ムラを補正する方法としては、例えば特許文献1、特許文献2に記載されている方法がある。
特許文献1には、印字ヘッドを備えたインクジェット方式の印刷装置であって、印字ヘッドの特定及び画像データに基づいて飛行曲がり画素を起こしている画素を特定し、その飛行曲がり画素近傍の画素の画素値をその飛行曲がり量に応じて補正する印刷装置が記載されている。
また、特許文献1には、飛行曲がり画素を特定し、その画素の一定距離内の画素を補正対象画素として抽出し、飛行曲がり画素と隣接する補正対象画素との間に仮想的な領域を想定し、その領域内の画素濃度を演算する。その演算結果をもとに各領域の濃度が等しくなるように補正値を算出することで、濃度補正を行うことが記載されている。
特許文献2には、記録ヘッドにおける複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定し、補正対象記録素子の周囲のN個の記録素子を出力濃度の補正に用いる補正記録素子に設定し、補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数成分を低減する補正条件に基づいて補正記録素子の濃度補正係数を決定し、その濃度補正係数を用いて出力濃度を補正することで、画像濃度ムラを補正する方法が記載されている。
特開2006−212907号公報 特開2006−347164号公報
特許文献1及び特許文献2に記載されているように、インク液滴の着弾位置誤差(飛行曲がり画素の誤差量)を検出し、その検出結果に基づいて、濃度ムラ補正を行うことで、記録特性に起因する濃度ムラが補正された(記録特性により濃度ムラが生じないように)画像を記録媒体上に記録することができる。
ここで、特許文献1及び特許文献2は、着弾位置誤差により1つのドットを各所定領域に振り分け、その割合を加味して、近傍の記録素子の吐出頻度、またはインク液滴量を増減させ、各記録素子がその領域に打滴するインク液滴の出力濃度の合計値が、その所定領域の所望の出力濃度となる補正係数を算出している。
しかしながら、着弾位置誤差によりずれた量に応じて近傍の記録素子のインク液滴の吐出を増減させ、所定領域の出力濃度を所望の出力濃度にしても、反射濃度の値が考慮されていないと視認により確認した場合に、実際に視認される画像と原稿画像が異なってしまう場合がある。この問題は特に高濃度領域において、顕著な問題となる。
本発明の目的は、上記従来技術に基づく問題点を解消し、原稿画像を正確に再現した画像を記録することができる画像記録装置及び画像記録方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、インク液滴を吐出する記録素子を複数有する記録ヘッドと、記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被 記録媒体を相対移動させる搬送手段と、前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得手段と、前記記録素子の記録特性を示す情報を用いて、前記複数の記録素子から、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する補正対象記録素子決定手段と、前記複数の記録素子から、前記補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正記録素子を決定する補正記録素子決定手段と、前記補正対象記録素子の記録特性に基づいて、前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する濃度補正係数を算出する補正係数決定手段と、前記記録特性のうち、打滴径、打滴率、搬送方向に対して直交する方向における打滴の着弾位置誤差値に基づいて算出した反射濃度と出力濃度との関係を用いて前記濃度補正係数を修正する補正係数修正手段と、修正された濃度補正係数を用いて前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、前記補正処理手段により補正した出力濃度に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする画像記録装置を提供するものである。
ここで、前記出力濃度と反射濃度との関係は、打滴径、打滴率、搬送方向に対して直交する方向における打滴の着弾位置誤差値から打滴点の重なり量を算出し、算出した重なり量と打滴された面積との関係に基づいて算出した関係であることが好ましい。
また、前記出力濃度は、打滴された領域内のインク量であることが好ましい。
また、前記補正係数決定手段は、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段であることが好ましい。
前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点における微分係数が略0となる条件であることが好ましい。
また、前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることが好ましい。
また、本発明は、上記課題を解決するために、インク液滴を吐出する記録素子を複数有する記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と有し、前記搬送手段により前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対的に走査させつつ前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に画像を形成する画像記録方法であって、前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得ステップと、前記記録素子の記録特性を示す情報を用いて、前記複数の記録素子から、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する補正対象記録素子決定ステップと、前記複数の記録素子から、前記補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正記録素子を決定する補正記録素子決定ステップと、前記補正対象記録素子の記録特性に基づいて、前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する濃度補正係数を算出する補正係数決定ステップと、前記記録特性のうち、打滴径、打滴率、搬送方向に対して直交する方向における打滴の着弾位置誤差値に基づいて算出した反射濃度と出力濃度との関係を用いて前記濃度補正係数を修正する補正係数修正ステップと、修正された濃度補正係数を用いて前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する演算を行う補正処理ステップと、前記補正処理手段により補正した出力濃度に基づいて前記記録素子の駆動を制御し、前記記録媒体上に画像を出力する画像出力ステップとを有することを特徴とする画像記録豊方法を提供するものである。
本発明によれば、記録特性に基づいて算出した反射濃度と出力濃度との関係に基づいて、濃度補正係数を補正することで、記録特性に起因した濃度むらの補正を行った場合に、濃度補正ムラ処理が施した領域が視認において、原稿画像とは異なる濃度の画像となることを防止することができる。これにより、原稿画像を正確に再現するした画像を記録することが可能となる。
本発明に係るに画像記録装置及び画像記録方法について、添付の図面に示す実施形態を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の画像記録方法を用いる本発明の画像記録装置の一実施形態の画像記録装置10の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示した画像記録装置10の吸着ベルト搬送部36と記録ヘッドユニット50を示す上面図である。
画像記録装置10は、基本的に、被記録媒体Pを供給する供給部12と、供給部12から供給された被記録媒体Pを、平面性を保持しながら、搬送する搬送部14と、搬送部14に対向して配置され、被記録媒体Pに画像を描画する記録ヘッドユニット50及び記録ヘッドユニット50に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部52等を有する描画部16と、画像が描画された被記録媒体Pを加熱し、加圧する加熱加圧部18と、画像が描画された被記録媒体Pを外部に排出する排出部20と、描画部16により被記録媒体Pに記録された画像を読み取るスキャナ24と、これらを制御する制御部22とを有する。
供給部12は、マガジン30と、加熱ドラム32と、カッタ34とを有する。
マガジン30は、ロール状の被記録媒体Pが収納されている。画像描画時には、被記録媒体Pがマガジン30から加熱ドラム32に供給される。
加熱ドラム32は、被記録媒体Pの搬送経路において、マガジン30の下流側に配置され、マガジン30から送り出された被記録媒体Pを、マガジン30に収納されていた方向と逆の方向に曲げた状態で加熱する。
被記録媒体Pを加熱ドラム32により加熱することで、マガジン30に収納されている間に被記録媒体Pについた巻きクセを除去する。つまり、加熱ドラム32は、被記録媒体Pのデカール処理を行う。
このとき、被記録媒体Pが、印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御することが好ましい。
カッタ34は、被記録媒体Pの搬送路幅以上の長さの固定刃34Aと、固定刃34Aに沿って移動する丸刃34Bとを有し、被記録媒体Pの画像が描画される面側に丸刃34Bが配置され、搬送路を挟んで対向する面に固定刃34Aが配置されている。
カッタ34は、加熱ドラム32を通過して供給された被記録媒体Pを所望のサイズにカットする。
ここで、本実施形態では、供給部のマガジンを1つとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、紙幅、紙質や種類が異なる被記録媒体を収納したマガジンを複数配置してもよく、また、マガジンに替えて、または、加えて、予め所定長さに切断されている被記録媒体が多数枚積層されたカセットも用いることができる。また、被記録媒体Pとして、予め所定長さに切断されている被記録媒体Pのみを用いる場合は、上述の加熱ローラ及びカッタを必ずしも設ける必要はない。
また、複数のマガジン及び/又はカセットを用い、複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジン及び/又はカセットに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
搬送部14は、吸着ベルト搬送部36、吸着チャンバー39、ファン40、ベルト清掃部42及び加熱ファン44を有し、供給部12でデカール処理され、所定長さにカットされた被記録媒体Pを描画位置つまり、後述する描画部16により画像が描画される位置に搬送する。
吸着ベルト搬送部36は、被記録媒体Pの搬送経路において、カッタ34の下流側に配置されており、ローラ37a、ローラ37b及びベルト38とを有する。
ベルト38は、被記録媒体Pの幅よりも広い幅寸法を有する無端状のベルトであり、ローラ37aとローラ37bとで張架されている。また、ベルト38は、ベルト面に多数の吸引孔(不図示)が形成されている。
また、吸着ベルト搬送部36の少なくとも画像描画(印字)位置、つまり、描画部16の後述する記録ヘッドユニット50のノズル面、及び、画像検出位置、つまり、後述するスキャナ24のセンサ面に対向する部分は、ノズル面及びセンサ面に対して水平(フラット)に保持されている。
ベルト38が巻かれているローラ37a、37bの少なくとも一方は、図示しないモータに接続されており、モータの動力がローラ37a、37bの少なくとも一方を介してベルト38に伝達されることにより、ベルト38は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト38上に保持された被記録媒体Pは図1の左から右へと搬送される。
ここで、被記録媒体Pの搬送手段は特に限定されず、吸着ベルト搬送部36に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いることもできる。しかしながら、描画領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題があるため、印字領域では、本実施形態のように、画像面と接触しない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着チャンバー39は、ベルト38の内側において描画部16の後述する記録ヘッドユニット50のノズル面及びスキャナ24のセンサ面に対向する位置に設けられる。また、ファン40は吸着チャンバー39に接続されている。吸着チャンバー39をファン40で吸引して負圧にすることによってベルト38上の被記録媒体Pがベルト38に吸着保持される。
被記録媒体Pをベルトに吸着させることで、被記録媒体Pを安定して保持することができる。
ベルト清掃部42は、ベルト38の外側、つまりリング形状の外周面と対向する側で、かつ、被記録媒体Pの搬送経路から外れた位置に配置されている。つまり、ベルト38は、描画部16を通過し、被記録媒体Pを後述する加圧ローラ754に排出した後、ベルト清掃部42に対向する位置を通過する。
ベルト清掃部42は、縁無しプリント等を行うことによりベルト38上に付着したインクを除去する。ベルト清掃部42としては、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
加熱ファン44は、ベルト38の外側で、かつ被記録媒体Pの搬送経路上において描画部16の後述する記録ヘッドユニット50の上流側に配置されている。
加熱ファン44は、描画前の被記録媒体Pに加熱空気を吹き付け、被記録媒体Pを加熱する。描画直前に被記録媒体Pを加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
描画部16は、画像を描画(印字)する記録ヘッドユニット50と、記録ヘッドユニット50にインクを供給するインク貯蔵/装填部52とを有する。
記録ヘッドユニット50は、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yを有し、ベルト38の被記録媒体Pが載置される面に対向して配置されている。
記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、それぞれ、吐出部から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)色のインクを吐出するピエゾ型のインクジェットヘッドであり、ベルト38の被記録媒体Pが載置される面に対向して、加熱ファン44よりの被記録媒体Pの搬送方向下流側に、加熱ファン44に近い順に、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yの順で配置されている。また、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、インク貯蔵/装填部52及び制御部22に接続されている。
また、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、図2に示すように、被記録媒体Pの搬送方向に直交する方向の幅が、搬送する被記録媒体Pの最大幅を越える領域に複数の吐出部(ノズル)が列状に配置されているフルライン型のインクジェットヘッドである。ここで、インクジェットヘッドの構造は、インク貯蔵/装填部52との関係と合わせて後ほど詳細に説明する。
本実施形態のように、記録ヘッドをフルライン型とすることで、被記録媒体Pと描画部16を記録ヘッドの吐出部の延在方向と直交する方向(副走査方向)に相対的に1度、移動させることで(すなわち1回の走査で)、被記録媒体Pの全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
インク貯蔵/装填部52は、各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yに対応する色のインクを貯蔵するインク供給タンクを有する。
インク供給タンクとしては、例えば、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示せず)からタンク内にインクを補充する方式や、タンクごと交換するカートリッジ方式を用いることができる。
インク貯蔵/装填部52の各インク供給タンクは、図示しない管路を介して各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yと連通されており、各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yにインクを供給する。
ここで、インク貯蔵/装填部52は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有することが好ましい。
また、使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式を用いることが好ましい。また、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
次に、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yの構造について説明する。ここで、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yは、吐出するインクの色を除いて、構成は同一であるので、以下、代表して記録ヘッド50Kについて説明する。
図3(A)は、記録ヘッド50Kの吐出部60の配置パターンを示す正面図であり、図3(B)は、記録ヘッド50Kの1つの吐出部60を示す拡大断面図である。
図3(A)に示すように記録ヘッド50Kは、インク液滴を吐出する記録素子(以下「吐出部」という。)60を複数有しする。この複数の吐出部60は、一定間隔で列状に配置されている。
図3(B)に示すように1つの吐出部60は、インク室ユニット61と、アクチュエータ66とを有する。さらに、インク室ユニット61は、共通流路65に接続している。この共通流路65は、複数の吐出部60のインク室ユニット61と接続している。
インク室ユニット61は、ノズル62と、圧力室63と、供給口64とを有する。
ノズル62は、インク液滴を吐出する開口部であり、一端が被記録媒体Pと対向する面に開口し、他端が圧力室63に接続している。
圧力室63は、インク液滴を吐出する方向に垂直な面の平面形状が概略正方形の直方体形状であり、対角線上の両隅部がノズル62と供給口64とに接続されている。
供給口64は、一端が圧力室63と接続し、他端が共通流路65と連通している。
アクチュエータ66は、圧力室63のノズル62および供給口64との接続面とは反対側の面(天面)に配置され、加圧板67と、個別電極68とを有する。
このアクチュエータ66は、個別電極68に駆動電圧を印加することで、加圧板67が変形する。
吐出部60のインク吐出方法について説明する。
インクは、共通流路65から共通口64を介して、圧力室63及びノズル62に供給される。
圧力室63及びノズル62にインクが満ちている状態で、個別電極68に駆動電圧が印加されると、加圧板67が変形し、圧力室63が加圧されて、ノズル62からインクが吐出される。このようにアクチュエータ66を駆動させることでノズル62からインク液滴を吐出させることができる。
また、インクが吐出されると、共通流路65から供給口64を通って新しいインクが圧力室63に供給される。
なお、本発明の吐出部の配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ66の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明はこれに限定されず、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
次に、記録ヘッドユニット50とインク貯蔵/装填部52との関係をより詳細に説明する。
図4は、画像記録装置10におけるインク供給系及びヘッド周辺部の構成を示す模式図である。なお、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yの各記録ヘッドとインク貯蔵/装填部52との関係は、インクの種類を除いて同様の構成であるので、以下、記録ヘッド50Kとインク貯蔵/装填部52との関係のみを説明し、記録ヘッド50C,50M,50Yと、インク貯蔵/装填部52との関係の説明は省略する。
インク供給タンク70は、記録ヘッド50Kに対応する色、つまり黒色のインクを貯蔵するタンクであり、インク貯蔵/装填部52の内部に配置されている。また、記録ヘッド50Kとインク供給ヘッド70とは、供給管で連結されている。
インク供給タンク70と記録ヘッド50Kとを接続する流路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ72が設けられている。フィルタ72のフィルター・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
記録ヘッド50Kの近傍又は記録ヘッド50Kと一体にサブタンクを設けることが好ましい。サブタンクを設けることで、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果を得ることができ、リフィルを改善することができる。
また、図4に示すように、画像記録装置10には、ノズル62の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ74、吸引ポンプ77及び回収タンク78と、記録ヘッド50Kのノズル面、つまり、ノズル62の開口が形成されている面の清掃手段としてのクリーニングブレード76とが設けられている。
キャップ74及びクリーニングブレード76を含むメンテナンスユニットは、図示しない移動機構によって記録ヘッド50Kに対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から記録ヘッド50Kの下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ74は、メンテナンス位置において、記録ヘッド50Kに対向する位置に配置され、図示しない昇降機構によって記録ヘッドユニット50に対して相対的に昇降可能に支持されている。
キャップ74は、電源OFF時や印刷待機時に図示しない昇降機構によって所定の上昇位置まで上昇され、記録ヘッド50Kに密着し、記録ヘッド50Kのノズル面をキャップ74で覆う。
このように、キャップ74により、記録ヘッド50Kのノズル面を覆い、密封状態とすることで、ノズル内のインクが乾燥し、固着すること、及び、インク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなることを防止できる。
また、メンテナンス時、又は一定期間毎に、記録ヘッド50Kにキャップ74を装着し、アクチュエータ66を駆動させて、ノズル62からインクを吐出させてもよい。
記録ヘッド50Kは、描画中又は待機中において、特定のノズル62の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまい、ノズル62からインクを吐出できなくなってしまうことがあるが、キャップ74にインクを予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き)することで、ノズル62内の劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)をノズル62内から排出することができる。これにより、ノズル62にインクが目詰まりすることを防止でき、また、ノズル62によって、異なるインク粘度となり、吐出特性が変化することも防止できる。これにより安定してインク液滴を吐出させることができる。
吸引ポンプ77は、一端がキャップ74に、他端が回収タンク78に接続されている。キャップ74が記録ヘッド50Kに装着され、キャップ74と記録ヘッド50Kとが密着された状態で、吸引ポンプ77により吸引することで、ノズル62内のインクは吸い出される。また、吸引ポンプ77により吸引されたインクは回収タンク78に送られる。
このように、吸引ポンプ77によりインクを吸引することで、例えば、記録ヘッド50K内のインク(圧力室63内)に気泡が混入し、アクチュエータ66を動作させてもノズルからインクを吐出させることができない場合でも、吸引ポンプ77によりインクを吸引することで、圧力室63内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去することができる。つまり、インク液滴を吐出できる状態にすることができる。
なお、吸引ポンプ77による吸引は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出すために行うことが好ましい。
また、吸引ポンプ77による吸引は、圧力室63内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には叙述したキャップ74へのインク液滴の吐出(予備吐出)を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード76は、ゴムなどの弾性部材で形成されており、メンテナンス時は、記録ヘッド50Kのノズル面に、接触した状態で配置されている。また、クリーニングブレード76は、図示しないブレード移動機構(ワイパー)に接続されており、このブレード移動機構により、ノズル面を摺動される。クリーニングブレード76がノズル面を摺動することで、ノズル面に付着したインク滴、異物は、拭き取り除去される。つまり、ノズル面を清掃することができる。
なお、該ブレード機構によりインク吐出面の汚れを清掃した際に、該ブレードによってノズル62内に異物が混入することを防止するために予備吐出が行うことが好ましい。
図1に戻り、画像記録装置10の他の部分を説明する。
加熱加圧部18は、後乾燥部53と、加圧ローラ対54とを有し、描画部16で画像が描画された被記録媒体Pを加熱し、加圧することで、画像部を乾燥し定着させる。
後乾燥部53は、被記録媒体Pの搬送経路において、記録ヘッドユニット50の下流側でかつ、ベルト38に対向する位置に配置されている。後乾燥部53は、加熱ファン等であり、被記録媒体Pの画像面に熱風を吹き付け、描画された画像を乾燥させる。
ここで、後乾燥部53には、加熱ファンを用い、熱風を吹き付けることが好ましい。
加熱ファンにより、被記録媒体上の画像部のインクを乾燥させることで、画像部に接触することなく乾燥させることができる。これにより、被記録媒体Pに描画された画像に画像欠陥、画像汚れが生じることを防止できる。
また、加圧ローラ対54は、被記録媒体Pの搬送経路において、後乾燥部53の下流側に配置されている。加圧ローラ対54は、後乾燥部53を通過した後、ベルト38から分離された被記録媒体Pを、挟持搬送する。
加圧ローラ対54は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、吸着ベルト搬送部36で搬送されてきた被記録媒体Pの画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ54で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
また、多孔質のぺーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことができ、画像の耐候性が向上させることができる。
さらに、画像記録装置10は、被記録媒体Pの搬送経路において、加熱加圧部18の下流側にカッタ(第2カッタ)56が配置されている。
カッタ56は、固定刃56Aと丸刃56Bとから構成され、被記録媒体Pに通常の画像と位置ずれ検出用の画像を形成した場合に、通常の画像部分と位置ずれ検出用の画像部分とを切り離す。
排出部20は、第1排出部58A、第2排出部58Bを有し、被記録媒体Pの搬送方向において、カッタ56の下流側に配置されている。排出部20は、加熱加圧部18で画像が定着された被記録媒体Pを排出する。
ここで、本実施形態では、被記録媒体Pに記録された画像により、図示しない選別手段が被記録媒体Pを排出する排出部を切換、第1排出部58Aには、通常の画像が描画された被記録媒体が排出され、第2排出部58Bには、位置ずれ検出に用いた画像が描画された被記録媒体や、不要な被記録媒体が排出される。
また、排出部20には、オーダ別に画像を集積するソーターが設けることが好ましい。
なお、本実施形態のように、排出部を2つ設け、目的に応じて排出部を選択できるようにすることが好ましいが、これに限定されず、排出部を1つとし、全ての被記録媒体を1つの排出部から排出させてもよい。また、排出部を3つ以上設けてもよい。
次に、制御部22は、供給部12、搬送部14、描画部16、加熱加圧部18、排出部20、スキャナ24による被記録媒体の搬送、加熱、描画、画像検出等を制御する。制御部22の構成については、後ほど詳細に説明する。
スキャナ24は、ベルト38の外側(外周面)に対向し、かつ、記録ヘッドユニット50と後乾燥部53と間となる位置に配置されている。スキャナ24は、描画部16で形成されたテストパターンを撮像する(つまり読み取る)ためのイメージセンサー(ラインセンサー等)を有し、該イメージセンサーによって、記録媒体上に記録された画像を読み取る。なお、スキャナ24は、少なくとも2つの異なる解像度で画像を読み取ることができ、モードにより読み取る解像度を切り換える。
本実施形態のスキャナ24は、各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサーで構成される。このラインセンサーは、赤(R)の色フィルターが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサー列と、緑(G)の色フィルターが設けられたGセンサー列と、青(B)の色フィルターが設けられたBセンサー列と、を備える色分解ラインCCDセンサである。なお、ラインセンサーに代えて、受光素子が二次元配列されてなるエリアセンサーを用いることも可能である。
図5は、画像記録装置10の制御部22のシステム構成を示す要部ブロック図である。
制御部22は、通信インターフェース102、システムコントローラ104、画像メモリ106、モータドライバ108、ヒータードライバ110、プリント制御部112、画像バッファメモリ114、ヘッドドライバ116等を備え、上述したように、供給部12、搬送部14、描画部16、加熱加圧部18、排出部20、スキャナ24による被記録媒体Pの搬送、加熱、描画、位置ずれ検出等を制御する。
システムコントローラ104は、通信インターフェース102、画像メモリ106、モータドライバ108、ヒータードライバ110等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ104は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ118との間の通信制御、画像メモリ106の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ98やヒータ99を制御する制御信号を生成する。
また、システムコントローラ104は、スキャナ24から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差、打滴径等の各吐出部の記録特性のデータを生成する記録特性算出部130と、各吐出部の記録特性から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部132と、濃度補正係数算出部132で算出した濃度補正係数を打滴点の重なり率を用いて補正する濃度補正係数補正部134とを有する。記録特性算出部130による記録特性の算出方法、濃度補正係数の算出部132による濃度補正係数の算出方法、濃度補正係数補正部134による係数補正方法は、後ほど詳述する。なお、記録特性算出部130及び濃度補正係数算出部132は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって情報の処理を行う。
濃度補正係数記憶部120は、濃度補正係数補正部134で補正された濃度補正係数(以下、「補正後濃度補正係数」という。)のデータを記憶する記憶部であり、記憶した補正後濃度補正係数のうち必要なデータをプリント制御部112に送る。
ROM122には、システムコントローラ104のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(着弾位置誤差測定用のテストパターンのデータを含む)などが格納されている。ROM122は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM122の記憶領域を活用することで、ROM122に濃度補正係数記憶部120の機能を持たせた構成としてもよい。
通信インターフェース102は、ホストコンピュータ118から送られてくる画像データを受信し、システムコントローラ104に送信する。通信インターフェース102としては、USB、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを用いることができる。さらに、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。
画像メモリ106は、通信インターフェース102を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ104を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ106は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
ホストコンピュータ118から送り出された画像データは通信インターフェース102を介して画像記録装置10に取り込まれ、システムコントローラ104を通じて、画像メモリ106に記憶される。
モータドライバ108は、システムコントローラ104からの指示にしたがってモータ98を駆動するドライバ(駆動回路)である。
ヒータードライバ110は、システムコントローラ104からの指示にしたがって後乾燥部746等のヒータ99を駆動するドライバである。
プリント制御部112は、濃度データ生成部136と、補正処理部138と、インク吐出データ生成部140と、駆動波形生成部142とを有し、システムコントローラ104の制御に従い、画像メモリ106内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、濃度ムラ補正などの処理を行い、画像データから生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ116に供給する。
プリント制御部112において所要の信号処理が施された画像データに基づいてヘッドドライバ116を介して記録ヘッド750のインク液滴の吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドット配置が実現される。
濃度データ生成部136は、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
補正処理部138は、濃度補正係数記憶部120に格納されている補正後濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、濃度ムラ補正処理を行う。
インク吐出データ生成部140は、補正処理部138で生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、2値(多値)化処理を行う。インク吐出データ生成部140にて生成されたインク吐出データはヘッドドライバ116に与えられ、ヘッド50のインク吐出動作が制御される。
駆動波形生成部142は、ヘッド50の各ノズル61に対応したアクチュエータ66を駆動するための駆動信号波形を生成する手段である。駆動波形生成部142にて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ116に供給される。なお、駆動信号生成部142から出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
また、信号処理手段である、濃度データ生成部136と、補正処理部138と、インク吐出データ生成部140と、駆動波形生成部142とは、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって情報の処理を行う。
画像バッファメモリ114は、プリント制御部112における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ114に一時的に格納される。なお、図5において画像バッファメモリ114はプリント制御部112に付随する態様で示されているが、画像メモリ106と兼用することも可能である。また、プリント制御部112とシステムコントローラ104とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
次に、ヘッドドライバ116は、プリント制御部112から与えられる吐出制御信号(印字データ)に基づいて各色の記録ヘッド50K,50C,50M,50Yの各吐出部のアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ116にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
画像記録装置10は、基本的に以上のような構成である。
ここで、図6は画像出力時の手順を示すフローチャートである。
図示の処理は画像を出力するごとに制御部22で実行されるものである。
画像を出力(プリント)する際には、まず、出力すべき画像(プリント対象となる画像)のデータを入力する(ステップS20)。入力時の画像のデータ形態は、特に限定されないが、例えば、24ビットカラーのRGBデータとする。この入力画像に対して、ルックアップテーブルによる濃度変換処理を行い(ステップS22)、プリンタの持つインク色に対応した濃度データD(i.j)に変換する。なお、(i,j)は画素の位置を表し、各画素について濃度データが割り当てられる。ここでは、説明の便宜上、入力画像の解像度とプリンタの解像度(ノズル解像度)は一致しているものとするが、両者が一致しない場合は、プリンタ解像度に合わせて、入力画像について画素数変換の処理が行われる。
ステップS22における濃度変換処理は一般的な処理であり、下色除去(UCR:Under color Removal)処理、或いはライトインク(同色系の淡インク)を使用するシステムの場合におけるライトインクへの分配処理などが含まれる。
例えば、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)の3色インクの構成の場合には、CMYの濃度データD(i,j)に変換される。或いはまた、上記3色に加えてK(黒),LC(ライトシアン),LM(ライトマゼンタ)などの他のインクを含むシステムの場合は、そのインク色を含む濃度データD(i,j)に変換される。
濃度変換処理を経て得られた濃度データD(i,j)に対して、算出した濃度補正処理をさらに補正した濃度補正係数(以下「補正後濃度補正係数」という。)を用いたムラ補正処理が行われる(ステップS24)。なお、補正後濃度補正係数の詳細な処理内容は図8〜図14で説明する。こうして、補正済みの濃度データD’(i,j)が得られる。
次いで、この補正済みの濃度データD’(i,j)からハーフトーニング処理(スクリーニング)を行うことによって(ステップS26)、ドットのオン/オフ信号(2値データ)、または、ドットサイズ変調を含む場合はドットの種類(ドットサイズの選択)を含んだ多値データに変換される。ハーフトーニングの手法は特に限定されず、誤差拡散法やディザ法など周知の2値(多値)化手法を用いることができる。
このようにして得られた2値(多値)信号に基づいて各ノズルの打滴が実行され、画像が出力される(ステップS28)。すなわち、ハーフトーニング処理(ステップS26)から得られた2値(多値)のデータから、各ノズルのインク吐出(打滴)データが生成され、吐出動作が制御される。これにより、濃度ムラが抑制され、高品位な画像形成が可能である。
次に、画像記録装置10による補正後濃度補正係数の作成方法について説明する。つまり、記録特性算出部130による記録特性の検出方法、濃度補正係数算出部132による濃度補正係数の算出方法および濃度補正係数補正部134による補正後濃度補正係数の算出方法を説明する。
なお、補正後濃度補正係数の作成の方法は、記録ヘッド50K,50C,50M,50Yのいずれでも同様の方法で行うため、以下、代表して記録ヘッド50Kで説明する。
まず、各吐出部(記録素子)の記録特性を検出するために、記録ヘッド50Kで被記録媒体Pにテストパターンを描画する。
図7(A)は、テストパターンの一例を示す模式図であり、図7(B)は、図7(A)の部分拡大図ある。
具体的には、上述したように列状に配置された複数の吐出部を一端から他端までを順にA1、A2、A3・・・、Anと定義したときに、吐出部を、吐出部の番号の基づいて4k−3、4k−2、4k−1、4k(k=1,2,3,・・・・)の4つのグループに分け、吐出部の番号が4k−3となる吐出部からインク液滴を連続的に吐出させ、記録媒体P上に吐出部毎の直線を形成し、その後、吐出部の番号が4k−2となる吐出部からインク液滴を連続的に吐出させ、記録媒体P上に吐出部毎の直線を形成し、その後、同様に、吐出部の番号が4k−1の吐出部、吐出部の番号が4kの吐出部についても、記録媒体P上に吐出部毎の直線を形成する。
また、一定間隔離間した吐出部をグループ化することで、隣接した吐出部からインクを吐出することなく直線を形成することができる。これにより、直線同士が重なることを防止できる。
なお、本実施形態では、搬送部14により記録媒体Pを搬送方向、つまり記録ヘッド50Kに直交する方向に搬送しつつ、記録ヘッド50Kの各吐出部からインク液滴を吐出させて記録媒体上に打滴点を形成する。
以上のようにして、図7(A)及び図7(B)に示すように、被記録媒体P上には、吐出部の4つのグループに対応して、4つ(G1,G2,G3,G4)形成され、それぞれのグループには、各吐出部に対応した直線が形成されたテストパターンを形成する。
なお、本実施形態では、各記録素子が1つの打滴点に滴下する液滴の数を変化させることで複数種類の打滴点を形成できる。そのため、それぞれの種類の打滴点についてもテストパターンを作製する。なお、テストパターンは、1枚の記録媒体に全てのテストパターンを記録しても、複数のテストパターンに記録してもよいが、1枚の記録媒体に記録することで、より高い精度で後述する記録特性を測定することができる。
次に、作製したテストパターンから各吐出部の記録特性を測定する。
まず、被記録媒体Pに形成されたテストパターンを読み取る。
具体的には、記録媒体Pは、テストパターンが形成された後、搬送部14により、さらに搬送され、スキャナ24に対向した位置を通過する。
スキャナ24は、対向する位置を通過する記録媒体Pに形成された画像を読み取ることで、テストパターンを読み取る。スキャナ24は、読み取った画像データを、制御部22の記録特性算出部130に第1濃度ムラ補正情報算出部124に送る。
次に、記録特性算出部130が、テストパターンに基づいて、各吐出部の記録特性、本実施形態では、着弾位置を算出する。
具体的には、記録特性算出部130は、各吐出部毎に直線が形成されたテストパターンを読み取った画像データから、各吐出部のインク液滴の着弾位置を算出する。
ここで、着弾位置は、例えば、特開2006−264069号公報に記載されているように、各直線の濃度プロファイルを検出し、その検出結果から各直線の中心を算出することで、各吐出部から吐出されたインク液滴の着弾位置を算出することができる。
また、中心位置の算出方法は特に限定されず、インク液滴の両端を検出し、その中間点を中心としても、濃度が最も高い位置を中心としてもよい。
また、この着弾位置は、各直線の複数点で中心を算出し、その中心を結んで近似直線を算出することが好ましい。複数点の中心を結んで近似直線を算出することで、インク液滴の着弾位置をより正確に検出することができる。
また、近似直線を延長させることで、各グループ間の相対的な位置関係も正確に検出することができる。なお、相対的な位置関係は、テストパターンの作成時に基準の吐出部を設定し、その吐出部により形成する直線は4つ全てのグループで形成するようにすればよい。
このようにして算出した打滴点の着弾位置に基づいて、打滴点の理想の着弾位置(想定されている打滴点の着弾位置)との差分(着弾位置誤差)を算出する。また、インク液滴を吐出しない吐出部(不吐出ノズル)を検出し、ヘッドの不吐出情報(npn[nzl])を作成する。
次に、補正後濃度補正係数の算出例について説明する。なお、以下では、不吐出ノズルにも対応した濃度補正・不吐出補正係数を算出する場合について説明する。
ここで、図8及び図9は、濃度補正・不吐出補正係数の算出例を示すフローチャートである。ここでは画素濃度に応じた補正係数を求めるため、各濃度での補正係数を算出する例を説明する。
フローチャートは、画素濃度「0.0〜1.0」の範囲について、所定の刻み幅(例えば、「0.5」の刻み)で各濃度について補正係数を演算する処理(ステップS110)が繰り返される。
演算対象濃度(d)について、まず、ドット打滴率の演算を行う(ステップS121)。
すなわち、各画像濃度でのドット種の存在比率を示すドット打滴率テーブルを使用して、対象画素濃度(d)に応じたドット打滴率(dp_buf[kind])を算出する。ドット打滞率テーブル(DP_buf[d][kind])は、濃度[d]とドット種[kind]を変数とするテーブルである。
図10にドット打滴率テーブル(DP_buf[d][kind])の例を示す。図10ではドット種類が4種類(kind=[l,2.3,4])の場合を例示している。同図において横軸は画素濃度、縦軸は打滴種類(ドット種)比率を表している。例えば、画素濃度=0.8の場合における各ドット種の比率を見ると、「3drops」の比率が最も高く、約0.72、次いで「4drops」の比率が約0.24、「2drops」の比率は約0.04、「1drop」の比率は0.0である。このように、ある画素濃度値における各ドット種の比率をdp_bufの値とする。
図11に示すような関係のドット打滴率テーブルは、予め作成しておき記憶しておくものとする。なお、ドット打滴率テーブルは必要に応じて補間演算して利用してもよい。
上記のように演算対象濃度についてドット打滴率を求めた後、次に、実行打滴誤差の演算を行う(図8のステップS122)。すなわち、ステップS122では、各ノズルについて、それぞれドット種類ごとの位置誤差データ計測値(err_x[nzl][kind])を実行打滴誤差(位置:err_xx[nzl])に変換する演算を行う。
実行打滴誤差のうち「位置:err_xx[nzl]」の成分は、次式によって計算される。
すなわち、実行打満誤差の「位置:err_xx[nzl]」は、着弾位置誤差の測定値をドット打滴率(dp_buf[kind])と打滴液量(volume[kind])で重み付けして加重平均をとったものである。なお、打滴液量(volume[kind])のテーブルは、予めドット種毎の液量を測定して記憶しておくものとする。図9に打滴液量のテーブルの一例を示す。
図8のステップS122の後は、ステップS123に進み、記録特性に基づいて、液量誤差を算出する(ステップS123)。
ここで、図12(A)及び図12(B)は、それぞれ隣接する打滴点の関係を示す模式図である。また、図13(A)は、打滴点がx方向に隣接する打滴点と重なった状態を示す模式図であり、図13(B)は、打滴点がy方向に隣接する打滴点と重なった状態を示す模式図であり、図13(C)は、打滴点がxy方向に隣接する打滴点との重なった状態を示す模式図である。
図12(A)に示すように、打滴点と隣接する打滴点とが重ならない場合には、それぞれの打滴点のインク量から算出される視覚効果を得ることができる、つまり視認においても設定した画像の濃さの画像とすることができるが、図12(B)に示すように、打滴点と隣接している打滴点が重なると、その重なり部分は、予想されるよりも視覚効果が低下することになる、つまり、算出した計算上の視認における画像の濃度よりも実際に記録された濃度が低くなる。
より具体的には、打滴点が重なることで、記録されたインク濃度と反射濃度との間でずれが発生し、所定範囲ないのインク濃度を設定値になるように補正しても、重なり部分により必要な反射濃度とはならない場合がある。
そこで、この重なり部分による影響を補正するために、隣接する打滴点との重なりに基づく誤差量を液量誤差量(errv)として算出する。
まず、3方向で発生する打滴点の重なり面積を算出する。つまり、図13(A)に示すようなx方向に隣接する打滴点との重なり面積Sx、図13(B)に示すようなy方向に隣接する打滴点との重なり面積Sy、図13(C)に示すようなxy方向に隣接する打滴点との重なり面積Sxyを算出する。ここで、図13(A)〜(C)において、x方向は、記録ヘッドの吐出部の延在方向であり、y方向は、記録媒体Pの搬送方向である。つまい、x方向に隣接する打滴点は、異なる吐出部により形成された打滴点であり、y方向に隣接する打滴点は、同一の吐出部により異なるタイミング(直前または直後に)形成された打滴点である。なお、同一吐出部から打滴されるy方向には、打滴位置誤差はないものとする。
ここで、複数種類の打滴点の中の最大打滴径をR0とし、標準打滴間隔(設定された打滴間隔)をL0とし、打滴点位置誤差を含む打滴点(i番目)とx方向に隣接する打滴点(i+1番目)との打滴間隔をLx(i)とし(なお、xy方向も同様に定義する)、最大打滴径かつ標準打滴間隔で打滴を形成した場合の打滴点同士の重なり面積をS0とし、画像濃度をdとし、打滴存在率をfとすると、重なり面積Sx、Sy、Sxyは、下記式で算出することができる。
また、打滴存在率は下記式で表すことができる。
したがって、重なり面積Sx、Sy、Sxyは、下記式で算出することができる。

上記式に基づいて、算出した画像濃度d、吐出部番号(ノズル番号)i(nzl)におけるSx、Sy、Sxyから打滴点の重なりによるインク損失Δv(i、d)は、下記式で算出することができる。ここで、下記式において、Cは、実験等により算出することができる係数であり、種類、インクの濃度、記録媒体の種類等ごとに算出される。
このようにして吐出部毎にインク量損失Δv(i、d)を算出し、下記式を用い、順次加算していくことで、吐出部毎の液量誤差量ERRv(i、d)を算出する。
ここで、下記式においては、更新前(右辺)の液量誤差量ERRv(i、d)に0.5×Δv(i、d)を加算することで、新たな(左辺)の液量誤差量ERRv(i、d)を算出している。また、0.5は、重なり面積を2つの打滴点分配しているためである。
これによりノズル番号iを順次更新して上記計算を繰り返すことで、吐出部毎の液量誤差量ERRv(i、d)を算出することができる。
さらに、下記式に示すように算出した液量誤差量ERRv(i、d)を平均打滴量(Vave)で割り、単位液滴当たりの液量誤差量err_vv(i、d)を算出する。
以上のようにして液量誤差量を算出する。
図8のステップS123の後は、ステップS124に進み、濃度補正係数(coef[nzl])の演算及び修正演算を行う。説明を分かりやすくするために、単純な具体例で説明する。例えば、補正対象ノズルと、その左右1ノズルずつの3ノズルを補正ウインドウ(N=3)として補正係数を演算する場合を説明する。この場合、補正ウインドウ内における左ノズルの補正係数をp[0]、中央ノズルの補正係数をp[1]、右ノズルの補正係数をp[2]に格納する。
また、演算に際しては、ヘッドの不吐出情報(npn[nzl])に基づき、補正ウインドウ内の不吐出ノズルの数と位置で場合分けを行う(図8参照)。本例では補正ウインドウ内に不吐出ノズルが2カ所以上存在する場合は演算を中止するものする。具体的な演算例を図9に示す。
以下に述べる演算がヘッドの全ノズルについて繰り返される(ステップS130)。
まず、演算対象の補正ウインドウを定め、当該補正ウインドウ内における不吐出ノズルの数と位置に応じて、次の3パターンに場合分けされる。すなわち、(a)不吐出ノズルが無い場合、(b)中央ノズルが不吐出の場合、(C)左又は右ノズルが不吐出の場合、の3パターンに場合分けされ、該当する処理に切り換えられる。
(a)不吐出ノズルが無い場合は、以下のように処理する。
各ノズルの位置誤差に、理想位置間隔値:Lを合算して(左:−L、中央:0、右:+L)、絶対位置(a[3])に変換する。すなわち、以下の演算を行う。
そして、当該位置誤差情報(a[3])を用いて補正係数(p[3])を演算する。この演算は、後ほど詳述する。ここでは、表記の便宜上、補正ウインドウ内のノズル位置を表す[0]、[1]、[2]の3種類をまとめて[3]と表記している。
なお、位置誤差情報(a[3])の示す位置誤差が所定のしきい値(例えば、0.1μm)内であれば、実質的に補正不要であるとして位置補正を行わないものとする。補正を行うか否かの判断基準となるしきい値は、誤差を許容できる許容範囲の観点から定められる。
当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
さらに、中央ノズル(p[1])に対しては、1を減ずる。すなわち、次式のように演算する。
次に、算出したp[k]を液量誤差に基づいてさらに補正する。
具体的には、上述したステップS123で算出した単位液量当たりの液量誤差量err_vv(i、d)をb[k]に代入する。すなわち、下記式の演算を行う。

その後、下記式により、算出した吐出部番号kの濃度補正係数p[k]を液量誤差量により補正する。
上記式で補正することで、液滴の重なりにより発生したインク損失を補正することができ、記録される画像のインク濃度と、視認される画像の反射濃度とがずれることを防止できる。
次に、ムラ補正係数(coef[nzl])に上記求めた補正ウインドウ内補正係数を加算する。すなわち、以下のように演算する。
(b)中央ノズルが不吐出の場合は、以下のように処理する。
各ノズルの位置誤差に、理想位置間隔値:Lを合算して(左:−L、中央:0、左:+L)、絶対位置(a[3])に変換する([数8]参照)。そして、当該位置誤差情報(a)[3]を用いて補正係数(p[3])を演算する。この演算は、不吐出ノズルを除外して演算を行う。つまり、不吐の中央ノズルは「ないもの」として演算する。
当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
さらに、中央ノズル(p[1])に対しては、−1を代入する。
次に、上述と同様に、算出したp[k]を液量誤差に基づいてさらに補正する。
具体的には、上述したステップS123で算出した単位液量当たりの液量誤差量err_vv(i、d)をb[k]に代入する。すなわち、下記式の演算を行う。

その後、上述した[数12]により、算出した吐出部番号kの濃度補正係数p[k]を液量誤差量により補正する。
そして、ムラ補正係数(coef[nzl])に上記求めた補正ウインドウ内補正係数を加算する。
すなわち、以下のように演算する。
(C)左又は右ノズルが不吐出の場合は、以下のように処理する。
各ノズルの位置誤差に、理想位置間隔値:Lを合算して(左:−L、中央:0、右:+L)、絶対位置(a[3])に変換する([数8]参照)。そして、当該位置誤差情報(a[3])を用いて補正係数(p[3])を演算する。この演算は、不吐出ノズルを除外して演算を行う。つまり、不吐の左ノズル又は右ノズルは「ないもの」として演算する。
左ノズルが不吐出のとき、当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
さらに、中央ノズル(p[1])に対しては、1を減ずる。
また、左ノズル(p[0])には、0を代入する。
また、右ノズルが不吐出のとき、当該補正ウインドウ内の各ノズルの補正係数は、次式によって算出される。
右ノズルが不吐の時:
さらに、中央ノズル(p[1])に対しては、1を減ずる。
また、右ノズル(p[2])には、0を代入する。
次に、上述と同様に、算出したp[k]を液量誤差に基づいてさらに補正する。
具体的には、上述したステップS123で算出した単位液量当たりの液量誤差量err_vv(i、d)をb[k]に代入する。すなわち、下記式の演算を行う。

その後、上述した[数12]により、算出した吐出部番号kの濃度補正係数p[k]を液量誤差量により補正する。
そして、ムラ補正係数(coef[nzl])に上記求めた補正ウインドウ内補正係数を加算する。
すなわち、以下のように演算する。
ヘッド内の全ノズルについて、上記の演算が繰り返される(ステップS130)。
各画素濃度について、順次同様の処理を実行した後、各画素濃度でのムラ補正係数((coe[nzl])を一つの濃度毎ムラ補正係数(COEF[d][nzl])にまとめる(ステップS140)。なお、このとき全データに1を加算する。すなわち、濃度:dのときのムラ補正係数(coel[nzl])を、全ノズル:nzlに対して、濃度毎ムラ補正係数(COEF[d][nzl])に1を加えて代入する。
以上の処理を実行して本演算処理を終了する。
記録特性算出部130、濃度補正係数算出部132および濃度補正係数補正部134は、以上のようにして、画像濃度毎に、吐出部毎に、補正した濃度補正係数を算出する。また、算出した補正後濃度補正係数は、濃度補正係数記憶部120に記憶される。
次に、画像データの処理の流れを説明する。
図14は、画像データの処理の流れを示すフローチャートである。図6でも説明したように、まず、画像データの読み込みを行い(ステップS30)、当該画像テ一夕について濃度変換テーブルを使用して画像濃度値を変換する(ステップS32)。この濃度データに対してムラ補正の処理を実行し(ステップS34)、補正後の濃度データについてN値化処理(本例では誤差拡散による例を後述する)を実行する(ステップS36)。そして、得られたN値のデータ(ドットデータ)を基に打滴を行う(ステップS38)。
次に、図14に示したムラ補正の処理(ステップS34)の詳細な例について図15に示す。
図15は、ムラ補正実行フローチャートである。
本処理が開始すると、まず、濃度毎ムラ補正テーブルを読み込む(ステップS210)。そして、画像の高さ方向(y方向)について演算対象の位置(yの値)を順次変えながら以下のステップS230の処理を全範囲について繰り返す(ステップS220)。
すなわち、ステップS230では、演算対象に係るy値における画像幅方向(x方向)について演算対象の位置(xの値)を定め、このx位置について、x位置に応じたノズル番号(nzl番号)を求め、画素濃度d[x][y]、nzl値に応じたムラ補正係数を濃度毎ムラ補正係数テーブルより求める(ステップS232)。そして、このムラ補正係数(f)を用いて、次式によって補正演算を実行する(ステップS234)。
画像幅(x方向)について、xの位置を順次変えながら、画像幅の全範囲について、上記のステップS232〜S234が繰り返される(ステップS230)。
全ての画像位置[x][y]について、上記の補正演算が終了したら、本処理は終了する。
次に誤差拡散法の一例について説明する。
図16は、図14で説明したN値化処理(ステップS36)において実施される誤差拡散法のフローチャートである。
本処理が開始すると、まず、エラー積算バッファを0に初期化する(ステップS310)。図17にエラー積算バッファの概念図を示す。
図17に示すように、エラー積算バッファはx方向について画像の全幅分の各位置に対応するデータ格納セルを有し、y方向については2ライン分のデータ格納が可能である。図16のステップS310では、図17に示すように、各セルのデータを全て0に初期化する。
その後、画像の高さ方向(y方向)について演算対象の位置(yの億)を順次変えながら以下の処理を全範囲について繰り返す(図16のステップS320)。
すなわち、演算対象に係るy値のラインに属する各x位置についてラスタ順にN値化の処理を行う。N値化の手順は、まず、画像幅方向の注目位置xについて画像データの濃度に積算エラー値を加算する。図18は、その説明図である。今、注目する位置xについて、エラー積算バッファの同位置の積算エラー値を画像データ濃度に加算し、この積算エラー値を加えた濃度を(modinp)とする。
次に、N倍化のためのしきい値テーブルから上記濃度値(modinp)に応じたしきい値を読み込む。
図19にしきい値テーブルの例を示す。図示のしきい値テーブルは、4種類の打滴を使用する場合(5値化)の一例であり、ドット種別に「1drop」〜「4drops」の各しきい値をT1〜T4と定めている。
このしきい値テーブルから読み込んだしきい値に対して適宜のノイズを付加した後、対象とする点の濃度値から打滴種類を決定する。本例の場合、「濃度値+エラー積算値」の値と、T1、T2、T3、T4の大小関係によって以下のように打滴種類が決定される(図16参照)。
(i)「濃度値+エラー積算値」の値がT4以上である場合
「濃度値+エラー積算値」の値がT4以上である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を4dropsのドット値(例えば、8ビットで「144」とする。)に決定する。
このN値化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から4drops打滴点濃度を減算した値となる。
(ii)「濃度値+エラー積算値」の値がT3以上、T4未満である場合
「濃度値+エラー積算値」の値がT3以上、T4未満である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を3dropsのドット値(例えば、「112」とする。)に決定する。
このN値化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から3drops打滴点濃度を減算した値となる。
(iii)「濃度値十エラー積算値」の値がT2以上、T3未満である場合
「濃度値+エラー積算値」の値がT2以上、T3未満である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を2dropsのドット値(例えば、「80」とする。)に決定する。
このN倍化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から2drops打滴点濃度を減算した値となる。
(iv)「濃度値+エラー積算値」の値がT1以上、T2未満である場合
「濃度値+エラー積算値」の値がT1以上、T2未満である場合には、当該画素位置[x][y]の出力画像(打滴点濃度)を1dropのドット値(例えば、「48」とする。)に決定する。このN倍化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」から1drop打滴点濃度を減算した値となる。
(v)「濃度値十エラー積算値」の値がT1未満である場合
「濃度値+エラー積算値」の値がT1未満である場合には、当該画素位置[x][y]について打滴無し(打滴点濃度0)とする。このN値化で発生した対象点のエラー値は、「濃度値+エラー積算値」そのものとなる。
次いで、上述した(i)〜(v)のN値化で発生した対象点のエラー値を、当該対象点に隣接する未処理画素に拡散する処理を行う。
図20は、エラー値の拡散方法の一例を示す模式図である。
図20では、対象点[x]で発生したエラー値を隣接する4つの未処理位置に対し、それぞれ同図(a)に示す比率(分配定数)で分配する。
対象ラインに属する全てのx位置について上記のN値化が終了したら、対象ライン(y)を変更する。このとき、対象ライン(y)を移動するのに備えて、エラー積算バッファを更新する。すなわち、図21に示すように、エラー積算バッファをy方向上にスクロールし、新たなラインに対する積算バッファを0に初期化する。
こうして、画像高さ(y方向)分の全ラインについて上記の処理を繰り返し、全画素について打滴種類を決定したら処理を終了する。
N値化処理では、以上のような誤差分散法を用い、画像をN値化する。
次に、画像記録装置10による記録動作を説明する。
まず、供給部12のマガジン30から供給された被記録媒体Pは、加熱ドラム32でデカール処理され、平坦化される。その後、カッタ34で所定長さに切断された後、搬送部14に供給される。
搬送部14に供給された被記録媒体Pは、吸着ベルト搬送部36のベルト38上に載置され、ベルト38の回転と共に搬送される。
吸着ベルト搬送部36により搬送される被記録媒体Pは、加熱ファン44に対向する位置を通過して、所定温度に加熱され、その後、記録ヘッドユニット50に対向する位置を通過する。記録媒体Pは、記録ヘッドユニット50に対向する位置を通過する際に、各記録ヘッドから上述した吐出制御信号に基づいてインク液滴が吐出され、記録媒体上にK、C、M、Yの順で吐出されたインク液滴が着弾し、被記録媒体P上に画像が形成される。
なお、被記録媒体Pが記録ヘッドユニット50と対向する位置を通過する時は、吸着チャンバー39により吸引されており、被記録媒体Pと記録ヘッドユニット50との距離は一定となる。また、被記録媒体Pを搬送しつつ、各記録ヘッド50K,50C,50M,50Yからそれぞれ色インクを吐出することにより被記録媒体P上にカラー画像が形成される。
記録ヘッドユニット50で画像が形成された被記録媒体Pは、さらに、ベルト38により搬送され、後乾燥部53に対向する位置を通過して、インクで形成された画像部が乾燥され、加圧ローラ54で定着されたのち第1排出部58Aから排出される。
画像記録装置10は、以上のようにして、被記録媒体P上に画像を描画(記録)し、プリント、印刷物を作製する。
以上のように、発明によれば、隣接する打滴点との重なり面積(隣接打滴の重なり率)を用いて、濃度補正係数を補正することで、打滴点の重なりにより発生する、インク濃度(出力濃度)と反射濃度(実際に形成された画像の視認される濃度)とのずれを補正することができる。
これにより、記録素子に起因する濃度ムラをより正確に補正することができ、原稿画像を正確に再現した画像を記録することができる。
つまり、所定領域内にある打滴点の影響を別々に加算するだけでなく、打滴点と打滴点との関係も算出し、微小領域でのインク濃度と反射濃度とのずれも加味して補正ムラをすることで、記録素子に起因する濃度ムラをより正確に補正することができ、原稿画像を正確に再現した画像を記録することができる。
また、上記実施形態では、打滴点同士の重なり面積に基づいて反射濃度とインク濃度とのずれを補正したが、本発明はこれに限定されず、画像処理量は増えるが、さらに、打滴点同士の重なり状態による反射濃度の変化も加味して濃度補正係数を補正するようにしてもよい。
また、上記では、x方向、y方向、xy方向の重なり量を算出したが、着弾位置誤差により重なり面積が最も変化するx方向の重なり量のみを算出するようにしても反射濃度とインク濃度とのずれを補正することができる。
また、上記実施形態では、各吐出部の着弾位置誤差のみを記録特性とし、各記録素子で形成されるドットのばらつきは、加味していないが、本発明はこれに限定されず、各吐出部により形成された打滴径(打滴液量)を算出し、各吐出部で形成される打滴点の径のバラツキも加味するようにしてもよい。このように吐出部で形成される打滴点間の打滴量のばらつきも加味することでより正確に重なり量を検出することができ、より正確に画像を再現することが可能となる。
なお、各吐出部で形成される打滴点の径は、例えば、特開2006−264069号公報に記載されているように、各直線の濃度プロファイルを検出し、その直線の幅を検出することで算出することができる。
また、着弾位置誤差に基づく濃度補正係数の算出は、全吐出部で行うことが好ましいが、本発明はこれに限定されず、着弾位置ずれが一定以上の吐出部のみを補正対象吐出部として、その吐出部の着弾位置誤差等の記録特性に起因する濃度ムラのみを補正するようにしてもよい。
また、本実施形態では、テストパターンとして、4つに分けた直線を形成したが、本発明はこれに限定されず、2つに分けて直線を形成しても、3つに分けて直線を形成しても、5つ以上に分けて直線を形成してもよい。
なお、上記実施形態では、直線としたが、1つの打滴点に基づいて、着弾位置を検出してもよい。
また、隣接する打滴点が被記録媒体上で接触しない状態、つまり打滴点と隣接する打滴点とが非接触であれば、全吐出部により形成される打滴点を被記録媒体の搬送方向に垂直な方向において同一直線上に形成してもよい。
例えば、吐出するインク液滴の大きさを調整できる、つまり、打滴点の大きさを調整できる場合は、吐出するインク液滴を小さくして打滴点を小さくすることで、打滴点と隣接する打滴点とを接触させないようにしてもよい。
このように、打滴点と隣接する打滴点を接触させないことで、各打滴点の基準方向の両端を正確に算出することができる。
また、本実施形態では、インク吐出データ生成部で画像データを多値化(5値化、つまり4種類の打滴点と打滴点形成せず)することで、吐出制御信号を生成したが、本発明はこれに限定されず、記録ヘッドの吐出性能にあわせてN値(N≧2)化すればよい。例えば、記録ヘッドが大ドットと小ドットを吐出できる場合は、大ドット、小ドット、吐出させないの3つの値からなる吐出制御信号を生成するために画像データに3値化処理を施せばよい。また、吐出させる、吐出させないの2値化としてもよい。
また、上記実施形態では、描画部の記録ヘッドを吐出部が1列にライン状に配置されたフルラインヘッド型としたが、単列配置に限定されず、図22に示すように、記録ヘッド50’Kを複数列の吐出部を一定ピッチずつずらして千鳥状に配置してもよい。このように吐出部60を千鳥状に配置し、1列の打滴点を複数列の吐出部で形成することで、より高い解像度の画像を形成することが可能となる。
また、本実施形態では、記録ヘッドユニットをYMCKの標準色(4色)の構成としたが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、例えば、淡インク、濃インクを追加してもよい。より具体的には、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する記録ヘッドを追加する構成も可能である。
また、記録ヘッドユニットをK(黒)インクを吐出する記録ヘッドのみ、つまり、単色の記録ヘッドユニットとし、単色の画像を描画する画像描画装置として用いることもできる。
以上、本発明に係る画像記録方法及び画像記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
例えば、上述した画像記録装置では、インクとして熱硬化性のインクを用い、加熱加圧部により記録媒体上に着弾させたインクを記録媒体上に定着させたが、本発明はこれに限定されず、種々のインクを用いることができる。例えば、インクとして光硬化型インクを用いる場合は、定着部として光照射機構を設け、記録ヘッドから活性エネルギー硬化型インクを吐出させ、被記録媒体P上に光硬化型インクの画像を形成し、その後、活性光光線を照射し、画像を硬化させて、被記録媒体上に画像を定着させればよい。ここで、光硬化型インクとしてUV硬化性インクを用いる場合には、定着部として、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、UVLED等の種々の紫外線光源を用いればよい。
また、本実施形態では、画像記録装置として説明したが、本発明はこれに限定されず、後ほど具体例とともに詳細に説明するが、例えば、被記録媒体P上に記録した画像を加熱し、加圧することで、被記録媒体P上に画像を定着させる画像記録装置も用いることができる。
以下、着弾位置誤差に基づく濃度補正係数の算出方法についてより具体的に説明する。
なお、以下では、濃度補正係数p[i]をdiとし、着弾位置誤差a[i]をxiとしている。
上述したように、特定のノズルの着弾位置誤差に対する濃度補正係数diは、以下の式より決定される。
ここで、xiはそれぞれ補正対象ノズルの理想着弾位置を原点とした各ノズルの着弾位置である。Πは、補正に用いるN本のノズル内で積をとることを意味する。N=3の場合について明示的に表すと、次のようになる。
濃度ムラのパワースペクトルの低周波成分を最小化するという条件から、理論的に各ノズルの濃度補正係数を導くことができる。
まず、各ノズル(つまり、吐出部)の誤差特性を取り込んだ濃度プロファイルを次式のように定義する。
画像の濃度プロファイルD(x)は、各ノズルが印字する濃度プロファイルの和であり、ノズルの印字を表すのが印字モデル(1ノズルが印字する濃度プロファイル)である。印字モデルはノズル出力濃度Diと標準濃度プロファイルz(x)に分離して表現される。
標準濃度プロファイルz(x)は、厳密にはドット径に等しい有限の広がりを持つものであるが、位置誤差の補正を濃度ズレのバランシングの問題であると考えると、重要なのは濃度プロファイルの重心位置(着弾位置)であって、濃度プロファイルの広がりは副次的な要素である。そのため、プロファイルをδ関数で置き換える近似は妥当である。このような標準濃度プロファイルを仮定すると数学的な取り扱いが容易となり、補正係数の厳密解が得られる。
プロファイルをδ関数モデルで近似する場合、標準濃度プロファイルは次式で表される。
補正係数を導出するにあたり、ある特定のノズル(i=0)の着弾位置誤差Δx0を、周辺ノズルN本によって補正することを考える。なお、ここでは補正対象ノズルの番号をi=0とした。また、周辺のノズルも、所定の着弾位置誤差を持ち得ることに注意する。
補正対象ノズル(中心ノズル)を含むN本のノズルの番号(index)は、次式で表される。
なお、この式においては、Nは奇数である必要があるが、本発明の実施に際しては、Nを奇数に限定する必要はない。
初期出力濃度(補正前の出力濃度)はi=0のみ値を持つものとして、次式で表される。
濃度補正係数をdiとするとき、補正後出力濃度Di’は、次式で表される。
つまり、i=0では初期出力濃度値と補正値(di×Dini)の和で表され、i≠0では補正値のみとなる。
各ノズルiの着弾位置xiは、次式で表される。
δ関数型印字モデルを用いると、補正後の濃度プロファイルは、次式で表される。
これに対してFourier変換を行うと、次式、
と表される。なお、Diniは共通の定数のため省略した。
濃度ムラの視認性を最小化することは、すなわち、次式のパワースペクトルの低周波成分を最小化することである。
これは、数学的にはT(f)の f=0における微分係数(1次、2次、…)がゼロである
ことで近似できる。今、未知数di’はN個であるから、DC成分の保存条件も含めると、N−1次までの微分係数がゼロの条件を用いれば、全ての(N個の)未知数di’が厳密に定まる。このようにして、以下の補正条件が定まる。
δ関数モデルにおいては、各補正条件を展開していくと、容易な計算によってDiについてのN本の連立方程式に帰着する。各補正条件を展開したものを整理すると、以下の条件群(方程式群)が得られる。
これらの方程式群の意味するところは、1式目はDC成分の保存であり、2式目は重心位置の保存を表している。3式目以降は統計学におけるN−1次モーメントがゼロであることを表している。
このようにして得られた条件式を行列形式で表すと、以下のように表すことができる。
この係数行列Aは、いわゆるVander monde型の行列であり、その行列式は差積を用いて次式となることが知られている。
このため、Crammerの公式を用いてdi’の厳密解を求めることができる。計算の詳細な過程は省略するが、代数計算によって、その解は次式となることが示される。
よって、求めるべき補正係数diは、次式となる。
以上のように、パワースペクトルの原点微分係数をゼロにするという条件から、濃度補正係数diの厳密解が導かれる。補正に用いる周辺ノズル数Nを増やすほど、より高次の
微分係数をゼロにすることが可能になるため、低周波エネルギーがより小さくなり、ムラの視認性は一層低減する。
本実施形態では、原点微分係数をゼロにする条件を用いたが、完全にゼロとせずとも、補正前の微分係数に比べて十分小さい値(例えば、補正前の1/10)に設定しても、濃度ムラのパワースペクトルの低周波成分を十分に小さくすることができる。つまり、濃度ムラが視認されない程度にパワースペクトルの低周波成分を小さくするという条件の観点で、パワースペクトルの原点微分係数を十分に小さい値(略0)に設定するという意味から、その値の範囲として補正前の微分係数の絶対値の1/10以下までを許容する。
また、人間の視覚特性を考慮すると、濃度ムラの視認性を示すのは、0〜8cycle/mmの低周波領域であり、この領域のパワースペクトルが小さいほど、補正精度が高いことを意味する。
また、ノズルkの持つ位置誤差に対するノズルiの濃度補正係数をd(i、k)とおくと、このd(i、k)は[数27]の方程式で求められる。そして、ノズルiのトータルの濃度補正係数diは、次式として求められる。
なお、上記の例では、全ノズルの着弾位置誤差を補正対象としてインデックスkを足し合わせているが、ある値ΔX_threshを閾値として予め設定しておき、この閾値を超える着弾位置誤差をもつノズルのみを補正対象とするように選択的に補正する構成も可能である。
前述のとおり、補正に用いるノズル数Nの値を増加させると補正精度が向上するが、濃度補正係数の変化幅も増加して再現画像の破綻を招く可能性がある。そのため、画像破綻を起こさないための補正係数制限範囲(上限値d_maxと下限値d_min)を定めておき、上記[数34]の式で求まるトータルの濃度補正係数が制限範囲内に収まるようにN値を設定することが望ましい。すなわち、d_min<di<d_maxを満たすようN値を定める。
実験的な知見によれば、d_min≧−1、d_max≦1を満たすならば画像破綻を起こさない。
画像記録装置の概略構成を示す正面図である。 図1に示した画像記録装置の吸着搬送ベルと及び記録ヘッドユニットを示す上面図である。 (A)は、記録ヘッドの吐出部の配置パターンを示す正面図であり、(B)は、(A)に示した記録ヘッドの1つの吐出部を示す拡大断面図である。 画像記録装置におけるインク供給系及びヘッド周辺部の構成を示す模式図である。 図1に示した制御部のシステム構成を示す要部ブロック図である。 画像記録の各工程を示すフロー図である。 (A)は、テストパターンの一例を示す模式図であり、(B)は、(A)の部分拡大図ある。 濃度補正・不吐出補正係数の算出例を示すフローチャートである。 濃度補正・不吐出補正係数の算出例を示すフローチャートである。 画像濃度とトッド打滴率との関係を示すグラフである。 打滴種類と液量との関係を示すグラフである。 (A)及び(B)は、それぞれ隣接する打滴点の関係を示す模式図である。 (A)は、打滴点がx方向に隣接する打滴点と重なった状態を示す模式図であり、(B)は、打滴点がy方向に隣接する打滴点と重なった状態を示す模式図であり、(C)は、打滴点がxy方向に隣接する打滴点との重なった状態を示す模式図である。 画像データの処理の流れを示すフローチャートである。 ムラ補正実行フローチャートである。 N値化処理において実施される誤差拡散法のフローチャートである。 データ格納セルの一例を示す説明図である。 N値化処理の処理を説明するための説明図である。 しきい値テーブルの例を示す説明図である。 エラー値の拡散方法の一例を示す模式図である。 N値化処理の処理を説明するための説明図である。 記録ヘッドの吐出部の配置パターンの他の一例を示す照明図である。
符号の説明
10 画像記録装置
12 供給部
14 搬送部
16 描画部
18 加熱加圧部
20 排出部
22 制御部
24 スキャナ
30 マガジン
32 加熱ドラム
34、56 カッタ
34A、56A 固定刃
34B、56B 丸刃
36 吸着ベルト搬送部
38 ベルト
39 吸着チャンバー
40 ファン
42 ベルト清掃部
44 加熱ファン
46 後乾燥部
50 記録ヘッドユニット
50K、50C、50M、50Y 記録ヘッド(インクジェットヘッド)
52 インク貯蔵/装填部
54 加圧ローラ
58 排出部
60 吐出部
61 インク室ユニット
62 ノズル
63 圧力室
64 供給口
65 共通流路
66 アクチュエータ
67 加圧板
68 個別電極
70 インク供給タンク
72 フィルタ
74 キャップ
76 クリーニングブレード
77 吸引ポンプ
78 回収タンク
80 通信インターフェース
82 システムコントローラ
84 画像メモリ
86 モータドライバ
88 ヒートドライバ
90 プリント制御部
92 画像バッファメモリ
94 ヘッドドライバ
96 ホストコンピュータ
98 モータ
99 ヒータ
P 被記録媒体

Claims (7)

  1. インク液滴を吐出する記録素子を複数有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、
    前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得手段と、
    前記記録素子の記録特性を示す情報を用いて、前記複数の記録素子から、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する補正対象記録素子決定手段と、
    前記複数の記録素子から、前記補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正記録素子を決定する補正記録素子決定手段と、
    前記補正対象記録素子の記録特性に基づいて、前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する濃度補正係数を算出する補正係数決定手段と、
    前記記録特性のうち、打滴径、打滴率、搬送方向に対して直交する方向における打滴の着弾位置誤差値に基づいて算出した反射濃度と出力濃度との関係を用いて前記濃度補正係数を修正する補正係数修正手段と、
    修正された濃度補正係数を用いて前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、
    前記補正処理手段により補正した出力濃度に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする画像記録装置。
  2. 前記出力濃度と反射濃度との関係は、打滴径、打滴率、搬送方向に対して直交する方向における打滴の着弾位置誤差値から打滴点の重なり量を算出し、算出した重なり量と打滴された面積との関係に基づいて算出した関係である請求項1に記載の画像記録装置。
  3. 前記出力濃度は、打滴された領域内のインク量である請求項1または2に記載の画像記録装置。
  4. 前記補正係数決定手段は、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
  5. 前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点における微分係数が略0となる条件であることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
  6. 前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることを特徴とする請求項5記載の画像記録装置。
  7. インク液滴を吐出する記録素子を複数有する記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と有し、前記搬送手段により前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対的に走査させつつ前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に画像を形成する画像記録方法であって、
    前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得ステップと、
    前記記録素子の記録特性を示す情報を用いて、前記複数の記録素子から、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する補正対象記録素子決定ステップと、
    前記複数の記録素子から、前記補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正記録素子を決定する補正記録素子決定ステップと、
    前記補正対象記録素子の記録特性に基づいて、前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する濃度補正係数を算出する補正係数決定ステップと、
    前記記録特性のうち、打滴径、打滴率、搬送方向に対して直交する方向における打滴の着弾位置誤差値に基づいて算出した反射濃度と出力濃度との関係を用いて前記濃度補正係数を修正する補正係数修正ステップと、
    修正された濃度補正係数を用いて前記補正対象記録素子及び前記補正記録素子の出力濃度を補正する演算を行う補正処理ステップと、
    前記補正処理手段により補正した出力濃度に基づいて前記記録素子の駆動を制御し、前記記録媒体上に画像を出力する画像出力ステップとを有することを特徴とする画像記録豊方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012200872A (ja) * 2011-03-23 2012-10-22 Seiko Epson Corp 印刷装置、および印刷方法
JP2013141123A (ja) * 2012-01-04 2013-07-18 Fujifilm Corp 画素データの補正方法、画像処理装置、プログラム並びに画像形成装置
JP2019059025A (ja) * 2017-09-25 2019-04-18 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置及び画像形成プログラム
JP2019199082A (ja) * 2018-05-17 2019-11-21 ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトHeidelberger Druckmaschinen AG 濃淡度のばらつきの補償

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