JP4997550B2 - 微細パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細パターン形成方法に関する。より詳細には、本発明は、高アスペクト比でナノメートルからマイクロメートルオーダーの微細パターンを低温・低圧・短時間の単一条件下で一括形成し得る方法に関する。
ナノメートル(nm)オーダーの微細な凹凸構造を有する微細パターンを形成する手法として、ナノインプリント技術が知られている。ナノインプリント技術によるパターン形成の代表的な手順は以下のとおりである:(1)基板にパターニング材料を塗布し、(2)所定の凹凸構造を有する微細パターンを形成したモールドを、所定の圧力で当該パターニング材料に押し付け、加熱処理による熱変形または紫外線照射による紫外線硬化を促し、(3)所定時間経過後にパターニング材料からモールドを引き離して、モールドに形成された微細パターンをパターニング材料に反転転写する。ナノインプリント技術によるパターン形成は、現在の半導体技術を支えているフォトリソグラフィー技術と比較して、(i)原理が簡単で、プロセスがスピーディーである、(ii)有機溶媒を使ったウェットプロセスを必要としないので、環境にやさしい、(iii)フォトリソグラフィーに用いられるステッパーに比べて格段に安価な装置で実施することができる、という利点を有している。
従来、ナノインプリント技術においては、モールドのパターンを転写しやすい有機物質(例えば、PMMA)からなるパターニング材料を用いていた。しかし、有機物質は、水分を吸収しやすく、耐熱性および耐薬品性が不十分であり、硬度が比較的低いという欠点がある。その結果、有機物質からなるパターニング材料を用いて形成された微細パターンを有する膜は、使用条件がきわめて狭い範囲に制限されるという問題がある。
上記のような問題を解決するために、無機物質からなるパターニング材料を用いる技術が提案されている(例えば、非特許文献1および2参照)。しかし、無機物質は融点が高く常温では非常に硬いので、パターン形成を高温・高圧で長時間行わなければならないという問題がある。その結果、ナノインプリント装置およびモールドに対する負荷が大きく、これらが破損または故障しやすいという問題がある。さらに、上記のように高温で処理を行うことに起因して、形成された微細パターンが温度変化により膨張または収縮するので、形成された微細パターンが変形しやすいという問題がある。加えて、無機物質をパターニング材料として用いる従来の手法では、高アスペクト比の微細パターンを形成することが困難であるという問題がある。
"Nanoimprint of GlassMaterials with Glassy Carbon Molds Fabricated by Focused-Ion-Beam Etching", Masaharu Tkahashi, Koichi Sugimoto and Ryutaro Maeda, Jpn. J.Appl. Phys., 44, 5600 (2005). "Large are directnanoimprinting of SiO2-TiO2 gel gratings for optical applications", Mingtao Li, Hua Tan, Lei Chen, Jian Wang, and Stephen Y. Chou, J.Vac. Sci. Technol. B 21 660 (2003).
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低温・低圧・短時間の単一条件下で、高アスペクト比でナノメートルからマイクロメートルオーダーの微細パターンを一括形成し得る方法を提供することにある。
本発明の微細パターン形成方法は、ポリシランとシリコーン化合物とを含むパターニング材料を基板に塗布する工程と;所定の微細パターンが形成されたモールドを、該塗布されたパターニング材料に圧接する工程と;該モールドと該パターニング材料とを圧接した状態で、該基板側からエネルギー線を照射する工程と;該モールドを離型する工程と;該パターニング材料に、該モールドが圧接されていた側からエネルギー線を照射する工程とを含む。
好ましい実施形態においては、上記方法は、上記モールドを離型した後に、酸素プラズマを照射する工程をさらに含む。
好ましい実施形態においては、上記圧接工程は常温付近で行われる。
好ましい実施形態においては、上記方法は、上記モールドが圧接されていた側からエネルギー線を照射した後に、上記パターニング材料を加熱する工程をさらに含む。
好ましい実施形態においては、上記加熱工程は150℃〜450℃で行われる。
好ましい実施形態においては、上記ポリシランは分岐型ポリシランである。好ましい実施形態においては、上記分岐型ポリシランの分岐度は2%以上である。
好ましい実施形態においては、上記パターニング材料は、上記ポリシランおよび上記シリコーン化合物を重量比80:20〜5:95の割合で含有する。
好ましい実施形態においては、上記パターニング材料は増感剤をさらに含む。
本発明の別の局面によれば、3次元フォトニック結晶、バイオチップまたはパターンドメディアが得られる。これらはいずれも、上記の方法によって形成された微細パターンを有する。
本発明によれば、ポリシランとシリコーン化合物とを含むパターニング材料を用い、かつ、特定の手順でエネルギー線照射を行うことにより、低温・低圧・短時間でガラス材料のナノインプリントが可能となる。その結果、ナノインプリントプロセスの処理時間が従来のガラス材料に対するプロセスと比較して大幅に短縮され得る。さらに、低温プロセスであるため微細パターンの温度変化による膨張ならびに収縮が無視できる程度に小さいので、形成される微細パターンの変形がきわめて良好に防止され得る。加えて、優れた耐熱性、機械的特性、光透過性および耐薬品性を有する微細パターンが得られ得る。かつ、出発材料が比較的柔らかい高分子材料であるので、硬いガラス材料をそのままインプリントする場合と比較して高アスペクト比の微細パターンが得られ得る。
以下、本発明に用いられるパターニング材料について説明し、次いで、微細パターン形成方法の具体的手順について説明する。
A.パターニング材料
本発明に用いられるパターニング材料は、ポリシランとシリコーン化合物とを含む。パターニング材料は、一般的には、溶媒をさらに含む。パターニング材料は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤の代表例としては、増感剤、表面調整剤等が挙げられる。
A−1.ポリシラン
本明細書において「ポリシラン」とは、主鎖がケイ素原子のみからなる高分子をいう。本発明で使用するポリシランは、直鎖型であってもよく分岐型であってもよい。分岐型が好ましい。溶媒やシリコーン化合物に対する溶解性および相溶性に優れかつ成膜性に優れるからである。分岐型と直鎖型は、ポリシラン中に含まれるSi原子の結合状態によって区別される。分岐型ポリシランとは、隣接するSi原子と結合している数(結合数)が、3または4であるSi原子を含むポリシランである。これに対して、直鎖型のポリシランでは、Si原子の、隣接するSi原子との結合数は2である。通常、Si原子の原子価は4であるので、ポリシラン中に存在するSi原子の中で結合数が3以下のものは、Si原子以外に、水素原子、炭化水素基、アルコキシ基等の有機置換基と結合している。好ましい炭化水素基の具体例としては、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロプロピル基およびノナフルオロヘキシル基などの鎖状炭化水素基、および、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基のような脂環式炭化水素基などが挙げられる。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基およびアントラシル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1〜8のものが挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。合成の容易さを考慮すると、これらの中でもメチル基およびフェニル基が特に好ましい。例えば、ポリメチルフェニルシラン、ポリジメチルシラン、ポリジフェニルシランやそれらの共重合体が好適に用いられ得る。例えば、ポリシランの構造を変化させることにより、得られるパターンや光学素子の屈折率を調整することができる。具体的には、高屈折率が所望の場合はジフェニル基を共重合にて多く導入し、低屈折率を所望の場合はジメチル基を共重合にて多く導入することで調整可能である。
分岐型ポリシランは、その分岐度が好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは5%〜40%であり、特に好ましくは10%〜30%である。分岐度が2%未満である場合には、溶解性が低く、また得られる膜中に微結晶が生成しやすく、当該微結晶が散乱の原因となるので、透明性が不十分となる場合がある。分岐度が大きすぎると、高分子量体の重合が困難となる場合があり、また分岐に起因して可視領域での吸収が大きくなる場合がある。上記好ましい範囲においては、分岐度が高いほど、より光透過率を高めることができる。なお、本明細書において「分岐度」とは、隣接するSi原子との結合数が3または4であるSi原子が、分岐型ポリシラン中の全体のSi原子数に占める割合をいう。ここで、例えば、「隣接するSi原子との結合数が3である」とは、Si原子の結合手のうち3つがSi原子と結合していることをいう。
本発明に使用されるポリシランは、ハロゲン化シラン化合物をナトリウムのようなアルカリ金属の存在下、n−デカンやトルエンのような有機溶媒中において80℃以上に加熱することによる重縮合反応によって製造することができる。また、電解重合法や、金属マグネシウムと金属塩化物を用いた方法でも合成可能である。
分岐型ポリシランは、例えば、オルガノトリハロシラン化合物、テトラハロシラン化合物およびジオルガノジハロシラン化合物を含むハロシラン混合物を加熱して重縮合することにより得られる。ハロシラン混合物中のオルガノトリハロシラン化合物およびテトラハロシラン化合物の量を調整することにより、分岐型ポリシランの分岐度を調整することができる。例えば、オルガノトリハロシラン化合物およびテトラハロシラン化合物が全体量の2モル%以上であるハロシラン混合物を用いることにより、分岐度が2%以上である分岐型ポリシランが得られ得る。ここで、オルガノトリハロシラン化合物は、隣接するSi原子との結合数が3であるSi原子源となり、テトラハロシラン化合物は、隣接するSi原子との結合数が4であるSi原子源となる。なお、分岐型ポリシランの分岐構造は、紫外線吸収スペクトルや硅素の核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
上記オルガノトリハロシラン化合物、テトラハロシラン化合物、およびジオルガノジハロシラン化合物がそれぞれ有するハロゲン原子は、好ましくは塩素原子である。オルガノトリハロシラン化合物およびジオルガノジハロシラン化合物が有するハロゲン原子以外の置換基としては、上述の水素原子、炭化水素基、アルコキシ基または官能基が挙げられる。
上記分岐型ポリシランは、有機溶媒に可溶でありシリコーン化合物と相溶し、塗布により透明な膜が成膜できるものであれば特に限定されない。
上記ポリシランの重量平均分子量は、好ましくは5000〜50000であり、さらに好ましくは10000〜20000である。
上記ポリシランは、必要に応じて、シランオリゴマーを含んでいてもよい。ポリシラン中のシランオリゴマー含有量は、好ましくは5重量%〜25重量%である。このような量でシランオリゴマーを含有することにより、より低温での圧接工程が可能となる。オリゴマー量が25重量%を超える場合には、加熱工程においてパターンの流動や消失が起こる場合がある。
上記シランオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは200〜3000であり、さらに好ましくは500〜1500である。
A−2.シリコーン化合物
本発明に用いられるシリコーン化合物としては、ポリシランおよび有機溶媒と相溶し、透明な膜を形成し得る任意の適切なシリコーン化合物が採用され得る。1つの実施形態においては、シリコーン化合物は、以下の一般式で表される化合物である。
[式中、RからR12は、それぞれ独立して、ハロゲンまたはグリシジルオキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群から選択される基である。a、b、cおよびdは、それぞれ0を含む整数であり、a+b+c+d≧1を満たすものである。]
具体的には、有機置換基が2つあるD体と呼ばれるジクロロシランと、有機置換基が1つであるT体と呼ばれるトリクロロロシランの2種類以上を加水分解縮合したものが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロプロピル基、グリシジルオキシプロピル基などの鎖状炭化水素基、およびシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基のような脂環式炭化水素基などが挙げられる。上記芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基などが挙げられる。上記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、オクチルオキシ基、ter‐ブトキシ基などが挙げられる。
上記RからR12の種類ならびにa、b、cおよびdの値は、目的に応じて適切に選択され得る。例えば、ポリシランが有する炭化水素基と同じ基をシリコーン化合物に導入することにより、相溶性を向上させることができる。したがって、例えばポリシランとしてフェニルメチル系ポリシランを用いる場合には、フェニルメチル系またはジフェニル系のシリコーン化合物を使用することが好ましい。また例えば、1分子中にアルコキシ基を2つ以上有するシリコーン化合物(具体的には、RからR12のうち少なくとも2つが炭素数1〜8のアルコキシ基であるシリコーン化合物)は、架橋剤として利用可能である。このようなシリコーン化合物の具体例としては、アルコキシ基を15重量%〜35重量%含んだメチルフェニルメトキシシリコーンやフェニルメトキシシリコーンなどを挙げることができる。この場合、アルコキシ基の含有量は、シリコーン化合物の平均分子量とアルコキシユニットの分子量とから算出され得る。
上記シリコーン化合物の重量平均分子量は、好ましくは100〜10000、さらに好ましくは100〜3000である。
1つの実施形態においては、シリコーン化合物は、必要に応じて、二重結合含有シリコーン化合物を含む。シリコーン化合物中における二重結合含有シリコーン化合物の含有量は、好ましくは20重量%〜100重量%、さらに好ましくは50重量%〜100重量%である。このような範囲で二重結合含有シリコーン化合物を用いることにより、エネルギー線照射時の反応性を高め、より低温での圧接やより低照度での加工が可能となる。また、ポリシランに対してシリコーン化合物が多くなる配合の場合に、固形性の低下による熱処理時のパターンの流動や消失を防止することができる。
二重結合含有シリコーン化合物の重量平均分子量は、好ましくは100〜10000、さらに好ましくは100〜5000である。
上記二重結合含有シリコーン化合物において二重結合を提供する化学基は、好ましくはビニル基、アリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基である。例えば、一般にシランカップリング剤と呼ばれているシリコーン化合物の中で二重結合を有するものを用いることができる。この場合、ヨウ素価は、好ましくは10〜254である。シリコーン化合物1分子中の二重結合の個数は2つ以上であってもよい。このようなシリコーン化合物は、架橋剤として利用可能である。このようなシリコーン化合物の具体例としては、二重結合を1重量%〜30重量%含んだビニル基含有メチルフェニルシリコーンレジンなどを挙げることができる。
二重結合含有シリコーン化合物としては、市販品を用いることができる。例えば、以下の表1に示す化合物を用いることができる。
上記シリコーン化合物は、ポリシラン/シリコーン化合物の重量比が好ましくは80:20〜5:95の割合、さらに好ましくは70:30〜40:60の割合でパターニング材料中に含有されている。このような範囲でシリコーン化合物を含有させることにより、十分に硬化し、クラックが非常に少なく、かつ、透明性の高い膜が得られ得る。
A−3.溶媒
上記パターニング材料は、一般的には溶媒を含む。溶媒は、好ましくは有機溶媒である。好ましい有機溶媒としては、炭素数5〜12の炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。炭化水素系溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、n−デカン、n−ドデカン等の脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶媒などが挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶媒の具体例としては、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフランなどが挙げられる。溶媒の使用量は、パターニング材料中のポリシラン濃度が10重量%〜50重量%となるような範囲が好ましい。
A−4.増感剤
上記パターニング材料は、好ましくは、増感剤をさらに含み得る。増感剤の代表例としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、ポリシランのSi−Si結合間に効率良く酸素を挿入できる化合物であれば任意の適切な化合物が採用され得る。例えば、パーオキシエステル系過酸化物、ベンゾフェノン骨格を有する有機過酸化物が挙げられる。より具体的には、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(以下、「BTTB」という)が好ましく用いられる。また、有機過酸化物は、二重結合含有シリコーン化合物の二重結合に作用して、二重結合間同士の付加重合反応を促進する効果を有する。
上記増感剤は、上記ポリシランおよびシリコーン化合物の合計100重量部に対して、好ましくは1重量部〜30重量部、さらに好ましくは2重量部〜10重量部の割合で用いられ得る。このような範囲で増感剤を用いることにより、非酸化雰囲気下でもポリシランの酸化が促進され、非常に優れた硬度を有するパターンを低温・低圧・短時間で形成することができる。
A−5.その他の添加剤
上記表面調整剤の具体例としては、フッ素系の界面活性剤が挙げられる。表面調整剤は、上記ポリシランおよびシリコーン化合物の合計100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜0.5重量部の割合で用いられ得る。表面調整剤を用いることにより、パターニング材料の塗布性を向上させることができる。
B.微細パターン形成方法
図面を参照して、本発明の実施形態による微細パターンの形成方法を説明する。図1(a)〜(e)は、本発明の好ましい実施形態による微細パターン形成方法の手順を説明する模式図であり、図2(a)〜(d)は、パターニング材料中のポリシランの化学変化を説明する模式図である。
まず、図1(a)に示すように、上記A項で説明したパターニング材料102を基板100に塗布する。基板としては、エネルギー線を透過し得る任意の適切な基板が採用され得る。基板の代表例としては、エネルギー線として紫外線を用いる場合には石英基板が挙げられる。パターニング材料の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。代表例としては、スピンコートが挙げられる。パターニング材料の塗布厚みは、モールド微細パターン部の高さより大きいことが好ましい。例えばモールドの微細パターン部の高さが1.0μmである場合には、パターニング材料の塗布厚みは、好ましくは1.1μm〜2.0μm程度である。パターニング材料の塗布厚みは、パターニング材料の濃度、スピンコーターの回転数を調整することにより制御され得る。
次に、図1(b)に示すように、目的に応じて所定の微細パターンが形成されたモールド104を、塗布されたパターニング材料102に圧接する。圧接は、好ましくは常温付近で行われる。上記のようなパターニング材料を用いて、かつ、後述する一連の処理を行うことにより、常温付近での圧接が可能となる。常温付近での圧接は昇温および降温に必要な時間を最小限にすることができるので、ナノインプリントプロセスの処理時間が大幅に短縮され得る。さらに、常温付近での圧接のメリットは、温度変化による材料(モールド、基板、パターニング材料)の膨張や収縮が非常に小さくなるので、転写中における微細パターンの熱変化がきわめて良好に防止され得ることにある。このような常温付近での圧接を実現したことが本発明の成果の1つである。1つの実施形態においては、圧接温度は常温〜80℃であり、圧接圧力は1MPa〜3MPaであり、圧接時間は5秒〜15秒である。本発明によれば、このような低温・低圧・短時間でのナノインプリントが可能となる。なお、本発明においては、圧接前のパターニング材料に加熱処理(いわゆるプリベーク処理)を行うことが好ましい、プリベーク処理の条件としては、例えば、加熱温度は50℃〜100℃であり、加熱時間は3分〜7分である。
上記モールド104は、好ましくはエネルギー線透過性材料で構成され、さらに好ましくはモールドと下部基板のアラインメントを行うために光透過性材料で構成される。モールドを構成する材料の具体例としては、石英ガラスや加工性に優れたSi基板が挙げられる。
次に、図1(c)に示すように、モールド104とパターニング材料102とを圧接した状態で、エネルギー線(代表的には紫外線、後述)を照射する。その結果、パターニング材料中のポリシランのSi−Si結合がSi−O−Si結合に変化し、パターニング材料がガラス化する。エネルギー線照射は、基板100側から行われる。基板100側からエネルギー線照射を行うことにより、図2(a)に示すように、パターニング材料全体としてはモールドのパターンを十分固定するまで酸化(代表的には光酸化)を進行させ、かつ、基板100近傍のパターニング材料については、例えば石英基板を用いる場合には基板のSi原子との間でもSi−O−Si結合を形成し、非常に強固な密着を実現することができる。しかも、図2(a)に示すように、モールド104近傍のパターニング材料については適度な光照射量を選択することにより酸化(代表的には光酸化)の進行を抑制し、モールドとの優れた離型性を確保することができる。モールドとパターニング材料との界面に光酸化されていない部分を残した結果、モールドとパターニング材料が固着することなく離型を行うことができ、非常に高い歩留まりで微細パターンを形成することができる。
上記エネルギー線の代表例としては、光(可視光、赤外線、紫外線)、電子線、熱が挙げられる。本発明においては、紫外線が特に好適に用いられる。紫外線は、好ましくは、波長スペクトルのピークが365nm以下のものである。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプが挙げられる。1つの実施形態においては、パターニング材料の塗布厚みが2μm程度である場合には、水平放射強度が105μW/cm(波長λ=360nm〜370nm)の紫外光を3分間程度照射することにより、ガラス化を行うことができる。
次に、モールド104を、パターニング材料102から離型する。上記のように、モールド近傍のパターニング材料は酸化が適度に抑制されているので、モールドの離型はきわめて容易であり、離型時のパターン欠落や歩留まりの低下が顕著に抑制され得る。しかも、図1(d)に示すように、モールドを離型した時点で、微細パターンは、外見上、十分良好に形成されている。
ここで、必要に応じて、微細パターンが形成されたパターニング材料102に、酸素プラズマを照射してもよい。酸素プラズマを照射することにより、酸化が完了していないモールド近傍のパターニング材料に十分な量の酸素が供給され、その結果、図2(b)に示すように表面に硬質の酸化被膜が形成される。その結果、形成された微細パターンの型崩れが、非常に良好に防止される。プラズマ処理で形成される酸化被膜の厚みは、例えば2nm〜3nmである。酸素プラズマの照射条件は、例えば、酸素流量800cc、チャンバー圧力10Pa、照射時間1分間、出力400Wである。
次に、図1(d)に示すように、微細パターンが形成されたパターニング材料102に、基板100とは反対側(すなわち、モールド104が圧接されていた側)からエネルギー線(代表的には、紫外線)を照射する。当該紫外線照射により、モールド近傍のパターニング材料の光酸化が実質的に完了し、パターン表面の酸化が十分なものとなる(図2(c)参照)。1つの実施形態においては、紫外線照射は、オゾン存在下で行われ得る。オゾン存在下で紫外線照射を行うことにより、紫外線照射による光酸化反応に加えてオゾンによる化学的な酸化反応が進行し、未反応のパターン表面の酸化をきわめて良好に完了させることができる。
好ましくは、上記モールド側からのエネルギー線照射の後に、加熱処理(いわゆるポストベーク処理)がさらに行われ得る。ポストベーク処理を行うことにより、上記紫外線照射によるポリシランの酸化反応(光酸化)に加えて、熱によるポリシランの酸化反応(熱酸化)が起こる。その結果、ポリシランの酸化がさらに進み、非常に硬質のガラス化が実現され得る(図1(e)および図2(d)参照)。1つの実施形態においては、ポストベーク処理の条件は、加熱温度が好ましくは150℃〜450℃であり、加熱時間が3分〜10分である。なお、加熱温度は、目的に応じて変化し得る。例えば、150℃〜200℃でポストベークすることにより、得られるパターンに耐薬品性が付与され得る。従来のポストベーク処理(例えば、350℃以上)に比べて格段に低温でのポストベーク処理を実現したことが、本発明の特徴の1つである。また例えば、400℃でポストベークすることにより、低融点ガラスに匹敵するビッカーズ硬度を有するパターンが得られ得る。
以上のようにして、微細パターンが形成される。
C.微細パターンの用途
本発明の方法により形成される微細パターンは、例えば、フォトニック結晶などの光デバイス、バイオチップの流路、パターンドメディアなどのストレージデバイス、ナノインプリント用のレプリカモールド、マイクロレンズ、またはディスプレイなどに好適に利用され得る。以下、代表的な用途について簡単に説明する。
C−1.3次元フォトニック結晶
本発明の微細パターン形成方法を応用することにより、目的に応じた任意の3次元構造のパターニングが可能となる。有機材料のパターニングでは、有機材料が柔らかいので、せいぜい数層の積層構造しか作製できない。一方、従来の無機材料のパターニングでは、リソグラフィーとエッチング技術を組み合わせなければならず、複雑な3次元構造の作製は実質的には不可能である。目的に応じて所望の(例えば、複雑な)3次元構造のパターニングを可能にしたことが、本発明の成果の1つである。
例えば、ストライプのパターンを交互に交差(例えば、直交)するようにして積層することにより、いわゆるウッドパイル型フォトニック結晶を作製することができる。ウッドパイル型フォトニック結晶の具体的な製造手順は、以下の通りである:(1)モールドのパターンの凸部のみにパターニング材料を塗布して、基板に転写・硬化し、基板上にストライプのパターンを形成する;(2)工程(1)と同様にして、得られたパターン上に、当該パターンに直交するようにしてストライプのパターンを形成する;(3)この手順を繰り返すことにより、ウッドパイル型フォトニック結晶が得られる。モールドのパターンの凸部に塗布されたパターニング材料のみを効率的に基板に転写する方法としては、例えば、モールドの凸部のみに離型剤を選択的に付与する方法が挙げられる。具体的には、モールド全面にPMMAを塗布し、酸素プラズマでエッチバックして凸部表面近傍のみを露出させ、離型剤を全面に塗布した後、凹部のPMMAとその表面の離型剤を除去することにより、モールドの凸部のみに離型剤を選択的に付与することができる。
C−2.バイオチップ
バイオチップは、小型の基板上に流路、ヒーター、分析すべき液体の駆動手段、分光分析手段等を設ける必要があるので、種々のサイズおよび/または形状のパターンを一括して形成する必要がある。本発明のパターン形成方法によれば、後述のように、種々のサイズおよび/または形状のパターンを一括して形成することができるので、目的に応じた任意の適切なバイオチップを作製することができる。さらに、本発明によれば、パターニング材料を用いてバイオチップを封止することが可能となる。その結果、高価な封止用装置を用いることなく、実質的にナノインプリント装置のみを用いてバイオチップの作製が可能となる。封止は、例えば、(1)透明基板にパターニング材料を塗布し、プリベークして、基板/パターニング材料膜の積層体を形成し、(2)この積層体を、微細流路パターン(バイオチップ)に圧接し、(3)硬化することにより行われる。プリベークおよび/または圧接の条件を調整することにより、形成された微細流路パターンを埋めることなく、バイオチップを封止することが可能となる。
C−3.パターンドメディア
本発明のパターン形成方法によれば、良好なパターニング特性と得られるパターンの良好なガラス特性に起因して、優れた特性を有するパターンドメディアを作製することができる。パターンドメディアの具体的な作製手順としては、例えば、上記の本発明のパターン形成方法を用いて所望のパターンを形成し、さらに、当該パターンに磁性膜を形成し、および/または、磁区構造の分離を行う。磁性膜の形成は、例えば、蒸着またはめっきにより行われる。磁区構造の分離は、例えば、研磨(例えばCMP)またはエッチングにより行われる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
(参考例1:ポリシランの合成)
攪拌機を備えた1000mlフラスコにトルエン400mlおよびナトリウム13.3gを充填した。このフラスコの内容物を紫外線から遮断したイエロールーム中で111℃に昇温し、高速攪拌することによりナトリウムをトルエン中に微細に分散させた。ここにフェニルメチルジクロロシラン42.1g、テトラクロロシラン4.1gを添加し、3時間攪拌することにより重合を行った。その後、得られた反応混合物にエタノールを添加することにより、過剰のナトリウムを失活させた。水洗後、分離した有機層をエタノール中に投入することにより、ポリシランを沈澱させた。得られた粗製のポリシランをエタノールから3回再沈殿させることにより、重量平均分子量11600で、オリゴマーを10%含有した、分岐型ポリメチルフェニルシランを得た。
(参考例2:パターニング材料の調製)
参考例1で得られたポリメチルフェニルシラン(PMPS)、ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名「KR−2020」、Mw=2900、ヨウ素価=61)、及び有機過酸化物BTTB(日本油脂製、固形分20重量%)を表2に示す割合で配合し、メトキシベンゼン(商品名「アニソール−S」、協和発酵ケミカル社製)に固形分77重量%となるように溶解しパターニング材料No.1〜No.3を調製した。パターニング材料No.4においては、二重結合を含有しないメトキシ基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名「DC−3074」、ダウコーニング社製)を単独で用いた。パターニング材料No.5においては、二重結合含有シリコーン化合物と二重結合を含有しないメトキシ基含有フェニルメチルシリコーンレジンとを組み合わせて用いた。
(実施例1)
石英基板から5mm×5mmの試料片を切り出し、十分に洗浄して、基板として用いた。洗浄は、アセトン中で3分間超音波洗浄した後、UVオゾンクリーナー中に10分間静置することにより行った。この基板表面に、参考例2で得られたパターニング材料No.1を、2500rpmで40秒間スピンコートすることにより、厚み約2μmの塗布膜を得た。当該パターニング材料が塗布された基板を、80℃で5分間プリベークした。
次いで、複数のサイズのラインアンドスペース(L&S)パターンが形成されたSi製モールドを、80℃および圧力2MPaで10秒間、上記塗布膜に押し当ててインプリントを行った。本実施例で用いたモールドのL&Sパターンは、ラインとスペースの比L:Sが1:1で、ライン(スペース)の大きさが250nmから25μmの2桁大きさの異なるものであった。さらに、モールドを押し当てた状態で、基板側から紫外線照射(光源:超高圧水銀ランプ、出力:250W、照射時間:約3分間)を行い、塗布膜のほぼ全体を光酸化させた。次いで、モールドを垂直に引き上げて離型した。モールド離型後の塗布膜(ガラス)表面には、モールドの反転パターンが良好に転写・固定されていた。
さらに、パターン表面に酸素プラズマ処理を行った。酸素プラズマ処理の条件は、酸素流量800cc、チャンバー圧力10Pa、照射時間1分間、出力400Wであった。次に、パターン表面側(モールドが押し当てられていた側)から、紫外線照射を行った。この紫外線照射は、UVオゾンクリーナーを用いて、オゾン存在下で行った。ここでは、酸素流量0.5L/minで30分間処理した。最後に、上記のようにして得られた基板/ガラスパターンを、ホットプレート上、250℃で5分間、ポストベーク処理した。以上のようにして、基板上にガラスの微細パターンを形成した。
得られた微細パターンを、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。結果を図3(a)および図3(b)に示す。図3(a)は、本発明の実施例で用いたモールドのSEM写真であり、図3(b)は本発明の実施例により得られた微細パターンのSEM写真である。図3(a)および図3(b)から明らかなように、250nm〜2.5μmのL&Sパターンが一括して、非常に良好にインプリントされていた。さらに、同条件において50nm〜25μmまでのL&Sパターンの転写が良好に行えることを確認しており、おおよそ3桁異なるサイズを有する構造の一括形成に成功した。このように、本発明の方法によれば、低温・低圧・短時間で非常に良好なインプリントを行えることがわかった。しかも、低温処理が可能となったことにより、プロセス全体に要する時間が従来に比べて顕著に短縮化された。
さらに、パターニング材料の特性に関して、以下の評価を行った:
(1)耐熱性
得られたパターンをホットプレート上で加熱し、加熱前後のパターンの高さの比を耐熱性の指標とした。本実施例で得られたパターンは250℃、5分間の加熱処理後の高さ比が1であった(加熱前後で形状が変化しなかった)。さらに、350℃、5分間の加熱処理後の高さ比が0.95であった(加熱による収縮率が5%であった)。このように、本実施例で得られたパターンは、優れた耐熱性を示した。
(2)機械的特性
得られたパターンを450℃でベークした後、マイクロビッカーズ硬度を測定して評価した。本実施例で得られたパターンのビッカーズ硬度は310HVであり、PMMAの約3倍の硬度であった。このように、本実施例で得られたパターンは、優れた機械的特性(硬度)を示した。
(3)光透過性
通常の方法で透過率を測定した。その結果、本実施例で得られたパターンの可視光透過率は約90%以上であり、かつ、波長300nmの深紫外光の透過率が70%以上であった。このように、本実施例で得られたパターンは、可視領域のみならず深紫外領域でも優れた透過性を有していた。
(4)耐薬品性
得られたパターンを350℃でベークした後、アセトン中で5分間超音波洗浄した。本実施例で得られたパターンは、超音波洗浄後も、その形状を実質的に完全に維持していた。
また、得られたパターンを、10%のHCl水溶液、10%のNaOH水溶液、および5%のHF水溶液にそれぞれ30分間浸漬した。その結果、本実施例で得られたパターンは、いずれの溶液処理においても、その形状を実質的に完全に維持していた。このように、本実施例で得られたパターン(ガラス材料)は、非常に優れた耐薬品性を有していた。
(5)アスペクト比
得られたパターンのSEM写真から解析した。その結果、250nmのL&Sパターンにおいてアスペクト比5を達成した。本発明のパターニング材料は、通常のガラスとは異なり、紫外線照射前は非常に柔らかいので、さらに高いアスペクト比を有するパターン形成が可能であることを確認した。
(実施例2)
パターニング材料No.2を用いたこと以外は実施例1と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンを実施例1と同様の評価に供した。その結果、実施例1と同様に、得られたパターンが非常に良好にインプリントされていること、ならびに、優れた耐熱性、機械的特性、光透過性、耐薬品性およびアスペクト比を有することを確認した。
(実施例3)
パターニング材料No.3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンを実施例1と同様の評価に供した。その結果、実施例1と同様に、得られたパターンが非常に良好にインプリントされていること、ならびに、優れた耐熱性、機械的特性、光透過性、耐薬品性およびアスペクト比を有することを確認した。
(実施例4)
パターニング材料No.4を用いたこと以外は実施例1と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンを実施例1と同様の評価に供した。その結果、実施例1と同様に、得られたパターンが非常に良好にインプリントされていること、ならびに、優れた耐熱性、機械的特性、光透過性、耐薬品性およびアスペクト比を有することを確認した。
(実施例5)
パターニング材料No.5を用いたこと以外は実施例1と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンを実施例1と同様の評価に供した。その結果、実施例1と同様に、得られたパターンが非常に良好にインプリントされていること、ならびに、優れた耐熱性、機械的特性、光透過性、耐薬品性およびアスペクト比を有することを確認した。
(比較例1)
実施例1と同様にして、基板に塗布されたパターニング材料にモールドを押し当ててインプリントを行った。次いで、モールド側から紫外線を照射したこと以外は実施例1と同様にして紫外線照射を行った。次いで、モールドを引き上げたところ、ほとんどの部分でモールドとパターニング材料が固着して、実質的にパターンを形成できなかった。
(比較例2)
モールド離型後に酸素プラズマ処理も紫外線照射も行わなかったこと以外は実施例1と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンを実施例1と同様の評価に供した。その結果、パターンの崩れを観察した。
(比較例3)
水素シルセスキオキサン(HSQ:Hydrogen Silsequioxane、東レ・ダウコーニング社製)を用いて、Jpn. J. Appl. Phys.,41,4198(2002).に記載の手順に従って、パターン形成を行った。インプリントの条件は、4MPa、50℃であった。このような条件で、実施例1と同様のL&Sパターンを形成しようとしたが、材料がわずかにへこむ程度であり、パターンは形成されなかった。また、一様なサイズのピラー状パターンの形成も試みたが、こちらも失敗に終わった。
(比較例4)
PMMAを用いてパターン形成を行った。インプリントの条件は、150℃、4MPa、10秒であった。この条件で、実施例1と同様のL&Sパターンが一応形成された。しかし、150℃でベークすると、パターンが消失した。また、得られたパターンをアセトンに浸漬すると即座に溶解した。さらに、得られたパターンのビッカース硬度は100HVであり、実施例1のパターンのビッカーズ硬度の3分の1より小さかった。
本発明の方法は、耐久性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度および高アスペクト比が要求される素子などの作成に利用され得る。例えば、フォトニック結晶などの光デバイス、バイオチップの流路、パターンドメディアなどのストレージデバイス、ナノインプリント用のレプリカモールド、マイクロレンズ、またはディスプレイなどを製造する際の微細パターンの形成に好適に利用され得る。
本発明の好ましい実施形態による微細パターン形成方法の手順を説明する模式図である。 本発明の好ましい実施形態による微細パターン形成方法におけるパターニング材料中のポリシランの化学変化を説明する模式図である。 (a)は、本発明の実施例で用いたモールドのSEM写真であり、(b)は本発明の実施例により得られた微細パターンのSEM写真である。
符号の説明
100 基板
102 パターニング材料
104 モールド

Claims (9)

  1. ポリシランとシリコーン化合物とを含むパターニング材料を基板に塗布する工程と、
    所定の微細パターンが形成されたモールドを、該塗布されたパターニング材料に圧接する工程と、
    該モールドと該パターニング材料とを圧接した状態で、該基板側からエネルギー線を照射する工程と、
    該モールドを離型する工程と、
    該パターニング材料に、該モールドが圧接されていた側からエネルギー線を照射する工程とを含む
    微細パターン形成方法。
  2. 前記モールドを離型した後に、酸素プラズマを照射する工程をさらに含む、請求項1に記載の微細パターン形成方法。
  3. 前記圧接工程が常温付近で行われる、請求項1または2に記載の微細パターン形成方法。
  4. 前記モールドが圧接されていた側からエネルギー線を照射した後に、前記パターニング材料を加熱する工程をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の微細パターン形成方法。
  5. 前記加熱工程が、150℃〜450℃で行われる、請求項4に記載の微細パターン形成方法。
  6. 前記ポリシランが分岐型ポリシランである、請求項1から5のいずれかに記載の微細パターン形成方法。
  7. 前記分岐型ポリシランの分岐度が2%以上である、請求項6に記載の微細パターン形成方法。
  8. 前記パターニング材料が、前記ポリシランおよび前記シリコーン化合物を重量比80:20〜5:95の割合で含有する、請求項1から7のいずれかに記載の微細パターン形成方法。
  9. 前記パターニング材料が増感剤をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の微細パターン形成方法。

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