JP4995655B2 - 洗浄方法 - Google Patents
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Description
そして、このようにして気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液においては、従来では生じていた気泡を起因とする異物は少なく、洗浄液中の異物の量が従来よりも著しく低減されており、この洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄することによって、洗浄後の基板におけるパーティクルを極めて低減することができる。これによって欠陥の極めて少ない基板を得ることが可能である。
このように、洗浄液を、前記フィルタのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流せば、気泡がフィルタに付着するのを一層効果的に防ぎ、気泡をフィルタのフィルタ面に沿って移動させ易く、フィルタで濾過される洗浄液から気泡を除去しつつ濾過することが可能である。
そして、このような方法とすることで、省スペースで効率良く気泡の除去および異物の除去を行うことができる。
このように、気泡を含む洗浄液ごと排除すれば、より確実に、気泡を系外へと排除することが可能となる。
このようにすれば、洗浄液の排除を効率良く行うことができ、コストが必要以上に増加するのを防ぐことができる。
このように、洗浄液の排除する総量を、気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量の1倍以上を目安とすれば、気泡をより確実に排除できるので好ましい。
このように、気液分離器を用いることにより、より確実に気泡を系外へ排除することが可能である。
このように、洗浄液を40℃以上100℃未満に加温してから、気泡の除去および異物の除去を行えば、気泡が発生し易い加温した洗浄液であっても、気泡を起因とする異物の発生を防止できるとともに、特には硫酸イオンを除く効果が高い洗浄液とすることができ、フォトマスク材料を効果的に洗浄することができる。
フォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体は極めて高い清浄度を求められるため、本発明の洗浄方法により好適に洗浄することができる。
従来、フォトマスク材料等において、基板に残留する硫酸イオンを取り除く場合、加温した純水を用いて洗浄するのが有効であることが知られていた。しかしながら、本発明者がこの洗浄方法について鋭意研究を重ね、ノズル等により、その加温した純水を被洗浄基板上に直接供給して洗浄し、乾燥した後の基板について調査を行ったところ、パーティクルが多数発生してしまっていることが判った。
このように、超純水を加温して、被洗浄基板を洗浄する洗浄液として、ユースポイントである洗浄用ノズル付近でフィルタにより濾過したものを用いた場合に特にパーティクルが多数発生することから、本発明者は、フィルタで異物除去する異物除去工程において、温水の使用により、洗浄後の基板にパーティクルが増加し得る原因を種々検討した。
ここで、純水等の洗浄液中の気泡に関して、洗浄液の加温により気泡は特に発生し易くなるため、例えば特開平4−338282号公報には、洗浄液を加温する工程において、気液分離器を用いて洗浄液中の気泡を排除することが開示されている。
すなわち、加温工程、あるいは、それ以前の純水製造工程において、洗浄液中に発生する気泡を洗浄液から排除するための処理を行っていたとしても、異物除去工程にかける洗浄液には気泡が含まれてしまう。
そして、このような洗浄液を異物除去工程でフィルタにより濾過すると、洗浄液中の気泡を起因として、異物の濾過能力の低下、フィルタからの発塵が生じ、異物除去工程後の洗浄液を用いて被洗浄基板を洗浄する(すなわち、従来の洗浄方法)とパーティクルが多数発生してしまう。
本発明者は上記のことを見出して本発明を完成させた。
図1に、本発明の洗浄方法を実施するときに、異物除去工程で用いることができる異物除去装置の一例の概略を示す。なお、ユースポイントであるノズル、ノズルから噴射される洗浄液で洗浄される被洗浄基板についても併せて図示している。
この異物除去装置1はハウジング10を有し、このハウジング10には、例えば加温工程等を経た後に送られてくる洗浄液がハウジング10に入るための洗浄液入口11、ハウジング10から気泡の除去および異物の除去が行われた洗浄液が出るための洗浄液出口14が設けられている。さらに、洗浄液を濾過して洗浄液中の異物を除去するためのフィルタ12がハウジング10の内部に配設されている。
そして、フィルタ12aを挟んで流路17の反対側に設けられた流路17’は洗浄液出口14へと続いている。
なお、流路17、17’やフィルタ12aは、図1のような構造や配置に限定されない。
この排気口15には例えば気液分離器16やあるいは間歇弁等が備えられており、これらによって、排気口15付近へ集まった気泡を系外へと排除できるようになっている。
例えば上記の比重差を用いる気液分離器のタイプの場合、気泡のみを排除するのではなく、一定量の洗浄液と共に気泡を系外へと排除してしまうものとすることができ、洗浄液と気泡の完全な分離をするための装置の大きさは不必要となり、気液分離器は小型化することができる。
そして、排水ライン15’には排水弁19がさらに備えられており、例えばコンピュータと接続されている。そして、異物除去装置1により気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量、すなわち、後に実際にユースポイントのノズルに供給される洗浄液の量に応じて、上記コンピュータで排水弁19を制御し、排水ライン15’を通して系外に排除される気泡を含む洗浄液の総量を調整できるようになっている。
そして、フィルタ12bを挟んで流路18の反対側に設けられた流路18’は洗浄液出口14へと続いている。
なお、流路18、18’やフィルタ12bは、図1のような構造や配置に限定されない。
なお、信頼性を高めるため、上記異物除去装置1は洗浄装置(ユースポイント)の近位、例えば1メートル以内の位置に配設されているのが好ましい。
洗浄する被洗浄基板としては、例えば、フォトマスク基板であるSiO2基板(例えば特開2002−318450号公報)、フッ化カルシウム基板(例えば特開2001−19596号公報)等の透明フォトマスク基板やチタンドープSiO2基板(例えば米国特許公開公報2002/157421号公報)等の反射型フォトマスク基板や、該フォトマスク基板に遮光性等を与えるための単層あるいは多層膜を形成したフォトマスクブランク(例えば特開2007−33470号公報)、さらにパターン照射による焼付けを行なうリソグラフィーにおいて半導体回路図の原図となるフォトマスク(例えば特開2007−33470号公報)を挙げることができ、更にフォトマスクブランクやフォトマスクの製造工程における製造中間体も本発明の洗浄方法の対象となり得る。
ここでは、純水を洗浄液とし、被洗浄基板をフォトマスク材料、すなわち、フォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体のいずれかとする場合について述べるが、これに限定されず、種々のものを洗浄液として、また、被洗浄基板として本発明の洗浄方法を実施することができる。
このように、洗浄液を加温すると洗浄液中に気泡が発生し易くなるが、本発明の洗浄方法では、異物除去工程で併せて気泡を除去し、気泡の除去および異物の除去を行うことができるので、気泡を起因とするパーティクルの発生の防止に実に有効であり、高い洗浄効果を得ることができる。
また、特には硫酸イオンを効果的に取り除くことができる洗浄液となり、フォトマスク材料の洗浄に好適である。
洗浄液で満たされているフィルタ12a付近を通るとき、洗浄液中の気泡がフィルタ12aに付着しようとすると、気泡は表面張力により抵抗を受ける。このとき、上記のように、洗浄液が流路17を通り、フィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように洗浄液が流れていると、気泡はフィルタ12aに付着せず、フィルタ面に沿って移動する(図3の場合、上方に移動する)。流路17を流れる洗浄液はフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有しているため、例えばフィルタ面に対して垂直な方向にのみ流れる場合に比べると、フィルタ12aでの洗浄液の濾過量に対して十分な移動が行なわれるために、より効果的に、気泡を付着させることなくフィルタ面から離すことができる。
ただし、これは洗浄液の流れがフィルタ面に対して平行な方向の成分を持てば良く、図3のようにフィルタ12aを流路17に対して平行に配設する場合に限られない。例えばフィルタ12aを流路17に対して斜めに配設した場合にも、洗浄液は、フィルタ12aのフィルタ面に対して平行な方向に流れ成分を持つものである。
一方、フィルタ12aのフィルタ面から離れた気泡は、ハウジング10の上部13をさらに上昇し排気口15(あるいは排水ライン15’)へと向かう。
このように気泡を洗浄液ごと排除するのであれば、気泡を洗浄液から完全に分離する必要がなくなるため、例えばより簡易でコンパクトな気液分離器を用いることが可能となり、省スペースで本発明の洗浄方法を実施することができるし、より確実に気泡を系外へと排除することができる。
このようにすれば、洗浄液の排除を効率良く行うことができ、不要に洗浄液を系外へ排除してしまうのを防ぐことができ、効率良く気泡ごと洗浄液を排除でき、コストを改善することができる。
そして、次の洗浄工程において、上記洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄を行う。被洗浄基板への洗浄液の供給方法は特に限定されず、例えば、従来と同様の洗浄装置を用い、ノズル等により洗浄液を供給することが可能である。
図4に、本発明の洗浄方法を実施するときに、異物除去工程で用いることができる別の異物除去装置の一例の概略を示す。
この異物除去装置2では、図1の異物除去装置1に比べてフィルタがさらに一つ多く配設されており、図1のフィルタ12a、流路17、17’、排気口15からなる構造が多段に設けられた構造となっている。
なお、図4の異物除去装置2の各部自体は、図1の異物除去装置1と同様のものとすることができる。
また、異物除去工程後の洗浄工程等は特に限定されず、例えば従来と同様の手順で行うことができる。
図5に、異物除去工程で用いることができるさらに他の異物除去装置の一例の概略を示す。
この異物除去装置3は、円筒状のハウジング30を有し、水平方向に開いた洗浄液入口31、それと対峙して洗浄液出口34が設けられている。ハウジング30の内部にはフィルタ32が配設されており、ハウジング30に入った洗浄液はフィルタ32により濾過され、流路37’を流れて洗浄液出口34から出される構造になっている。
排水ライン35’から洗浄液の一部を排除せずにフィルタ32で洗浄液を濾過しようとすると(すなわち従来法)、フィルタ32の界面付近では、洗浄液はフィルタ面にほぼ垂直な流れ方向を持って濾過され、濾過された洗浄液は洗浄液出口34を通ってユースポイントに送られる。このような異物除去工程を経た場合、従来における気泡を起因とする問題を解消することはできない。
しかし、ユースポイントに洗浄液が送られる際に排水ライン35’を開け、流路37を通して洗浄液の一部を排除してやることにより、フィルタ32の界面付近でフィルタ面に対して平行な方向の洗浄液の流れを作ることができる。これにより、洗浄液中の気泡をフィルタ32に付着させることなく除去し、さらには洗浄液ごと排水ライン35’から排除することができる。一方、フィルタ32で濾過された洗浄液は、気泡の除去および異物の除去がなされ、洗浄液出口34を通って被洗浄基板へと向かう。
このようにして、洗浄液中の気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を得ることができ、該洗浄液を洗浄工程で被洗浄基板に供給して洗浄することができる。
例えば、フィルタの配設位置の直前に気液分離器等を配設したものを用い、該気液分離器を用いて洗浄液中の気泡を除去、さらには系外へと排除してから、フィルタによって洗浄液を濾過することによって、気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液を得ることができる。
(実施例1)
スピン洗浄・乾燥機に洗浄液を供給し、フォトマスク基板を洗浄、スピン乾燥可能な装置について、この装置より手前に、洗浄液を送るラインにラインヒーターを設置して、供給する洗浄液を加温できるようにした。さらに、このラインヒーターにより加温された温水がスピン洗浄装置に送られる直前の位置に図4の異物除去装置を取りつけた。また、スピン洗浄装置は温水を用いた場合にも装置内にミストが立ち込めないように清浄なエアーによる十分な換気を行えるものとした。
次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、1Lの洗浄液が排除されるように設定した。
実施例1のスピン洗浄・乾燥機において、図5の、排水ラインを持ち、洗浄装置に供給する洗浄液量に連動して排水ラインから排除される洗浄液量が調整できる異物除去装置を取り付けた。
実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、1Lの洗浄液が排除されるように設定した。
実施例2の装置を用い、実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、2.8Lの洗浄液が排除されるように設定した。
実施例2の装置を用い、実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで80℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、上記異物除去工程で、排水ラインから排除される洗浄液の総量は、洗浄ノズルから毎分1Lの洗浄液を供給するのに対して、2.8Lの洗浄液が排除されるように設定した。
実施例2の装置を用い、実施例1と同様の被洗浄基板に同様の処理を施し、次に、ラインヒーターで60℃に加温し、上記異物除去装置を用いた異物除去工程にかけた純水を、10分間、毎分1L供給して洗浄し、洗浄後1000rpmで30秒間スピン乾燥を行った。
なお、排水ラインは閉じ、排除する洗浄液量は0とした。すなわち、洗浄液中の気泡を除去せず、従来法により洗浄した。
しかしながら、本発明の洗浄方法を実施せず、従来と同様に、異物除去工程でただ単に異物を除去しただけの比較例1では、欠陥数は1300個程度にもなってしまった。
このように、本発明の洗浄方法によって欠陥数を著しく抑制できたことが分かる。
11、31…洗浄液入口、 12(12a、12b)、32…フィルタ、
13…ハウジングの上部、 14、34…洗浄液出口、
15…排気口、 15’、35’…排水ライン、
16…気液分離器、 17、17’、18、18’、37、37’…流路、
19…排水弁。
Claims (5)
- 洗浄液中の異物を除去する異物除去工程を含み、異物を除去した洗浄液を被洗浄基板に供給して洗浄する洗浄方法であって、
少なくとも、前記洗浄液をフィルタで濾過して洗浄液中の異物を除去する前記異物除去工程において、併せて洗浄液中の気泡を洗浄液ごと系外へ排除するとき、
前記洗浄液を、前記フィルタのフィルタ面に対して平行な方向の流れ成分を有するように流して、気泡を除去しつつ濾過し、かつ、前記気泡の除去および異物の除去を多段で行い、
該気泡の除去および異物の除去を多段で行った洗浄液を、
スパッタ法によりケイ素、遷移金属を含有するケイ素やクロム、または更にそれらに酸素、窒素、炭素から選ばれる軽元素を含む膜を成膜したフォトマスク基板、フォトマスクブランク、フォトマスク、あるいはそれらの製造中間体のいずれかに供給して洗浄することを特徴とする洗浄方法。 - 前記気泡を含む洗浄液ごと系外へ排除するとき、該洗浄液の排除する総量を、
前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量に応じて調整することを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。 - 前記洗浄液の排除する総量を、前記気泡の除去および異物の除去を行った洗浄液の総量の1倍以上とすることを特徴とする請求項2に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄液中の気泡を気液分離器を用いて系外へ排除することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄方法。
- 前記洗浄液を40℃以上100℃未満に加温してから、前記気泡の除去および異物の除去を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の洗浄方法。
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