実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1におけるインバータ装置の回路図である。図1では、3相インバータ装置を一例として示している。図1において、3相インバータ装置1は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)などといったスイッチング機能を持つ素子からなる6個のスイッチング素子T1〜T6、およびスイッチング素子T1〜T6に対応してそれぞれ逆並列接続されたダイオードD1〜D6からなるインバータ回路である電圧型インバータ2と、電圧型インバータ2の駆動を行うインバータ駆動回路3とを備えている。
電圧型インバータ2において、スイッチング素子T1,T3,T5は上アーム(正側アーム)を構成し、スイッチング素子T2,T4,T6は下アーム(負側アーム)を構成する。スイッチング素子T1,T3,T5の各コレクタは、電圧型インバータ2に正の電源電圧を印加する電源端子Pにそれぞれ接続される。スイッチング素子T2,T4,T6の各エミッタは、電圧型インバータ2に負の電源電圧を印加する電源端子Nにそれぞれ接続される。電圧型インバータ2は、直流電源の正負極間である電源端子Pと電源端子Nとの間に接続され、少なくとも1対のスイッチング素子によって構成されるインバータ回路である。
また、スイッチング素子T1のエミッタおよびスイッチング素子T2のコレクタはそれぞれ電圧型インバータ2のU相の出力端子Uに接続される。同様に、スイッチング素子T3のエミッタおよびスイッチング素子T4のコレクタはそれぞれ電圧型インバータ2のV相の出力端子Vに接続され、スイッチング素子T5のエミッタおよびスイッチング素子T6のコレクタはそれぞれ電圧型インバータ2のW相の出力端子Wに接続される。更に、スイッチング素子T1〜T6の各ゲートは、対応するゲート抵抗である抵抗R1〜R6を介してインバータ駆動回路3に接続される。インバータ駆動回路3は、外部から入力される制御信号に応じて各スイッチング素子T1〜T6のスイッチング制御を行う。
インバータ駆動回路3は、入力信号の基準電位と出力信号の基準電位とが異なる駆動回路である高耐圧IC4、保護回路5、フローティング電源6〜8、および定電圧ダイオードD10によって構成されている。高耐圧IC4は、電圧形インバータ2の各スイッチング素子T1〜T6の駆動を行うIC(Integrated Circuit)である。保護回路5は、クランプ回路部を構成するダイオードであるU相のクランプダイオードD7、V相のクランプダイオードD8、W相のクランプダイオードD9、各相のクランプダイオードD7〜D9に対して並列接続された充電回路部である容量性素子C1〜C3、および分圧回路部であるインピーダンス素子Z1によって構成されている。
クランプダイオードD7〜D9の各アノードは、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0につながる共通点Fにそれぞれ接続されている。クランプダイオードD7〜D9の各カソードは、高耐圧IC4の各相の高圧側基準端子VS1〜VS3にそれぞれ対応するように接続されている。クランプダイオードD7〜D9は、駆動回路である高耐圧IC4の高電位側の信号の基準となる電位が印加される高圧側基準端子VS1〜VS3にカソードが接続され、アノード側接続点である共通点Fの電位を高圧側基準端子VS1〜VS3の電位にクランプする。
次に、インピーダンス素子Z1について説明する。インピーダンス素子Z1は、クランプダイオードD7〜D9のアノード側接続点である共通点Fと直流電源の負極である電源端子Nとの間に接続されている。なお、インピーダンス素子Z1は、各相のクランプダイオードD7〜D9のカソード側接続点と1対のスイッチング素子T1およびT2、T3およびT4,T5およびT6の接続点でもある各相の出力端子U,V,Wとの間にそれぞれ接続してもよいし、共通点Fと電源端子Nとの間および各相のクランプダイオードD7〜D9のカソード側接続点と各相の出力端子U,V,Wとの間の両方の箇所に同時接続してもよい。
図2に、インピーダンス素子Z1の回路図の一例を示す。分圧回路部であるインピーダンス素子Z1は、図2(a)に示すように抵抗R0とダイオードD0との並列体で構成してもよいし、図2(b)に示すようにインダクタL0とダイオードD0との並列体で構成してもよいし、分圧する機能とバイパスする機能があれば、それぞれの機能を果たす別の素子で構成してもよい。本実施の形態では、分圧回路部であるインピーダンス素子Z1に用いられるダイオードをクランプダイオードD7〜D9と区別して説明するが、インピーダンス素子Z1のダイオードとクランプダイオードとが同じタイプのダイオードであってもよい。図2(a)、図2(b)において、ダイオードD0のカソード側が電圧型インバータ2の電源端子N側に接続されるように構成されている。このダイオードD0はインピーダンス素子Z1の抵抗値が大きい場合に、低圧側基準端子VS0から電源端子Nへ流れる高耐圧IC4の動作電流が制限されないよう電流をバイパスするものであり、動作電流に問題となる影響を与えない程度の抵抗値であれば動作電流をバイパスするためのダイオードを省くことできるのは言うまでもない。なお、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0は、インピーダンス素子Z1を介して電源端子Nに接続されると共に、定電圧ダイオードD10を介して高耐圧IC4のVSS端子に接続されている。VSS端子は接地されている。
高耐圧IC4は、入力信号の基準電位と出力信号の基準電位とが異なっており、3個のレベルシフタb2〜b4、上アーム側ドライバ回路b5〜b7、下アーム側ドライバ回路b8〜b10、過電流検出器b11、およびエラー信号発生器b12を備えている。3個のレベルシフタb2〜b4は、外部制御信号入力端子UPi,UNi,VPi,VNi,WPi,WNi、入力バッファb1、入力バッファb1の出力信号を受け取ってその入力信号の電位から浮いたフローティング電位の信号を生成する。3個の上アーム側ドライバ回路b5〜b7は、レベルシフタb2〜b4の各出力信号を受け取ってそれぞれ上アームのスイッチング素子T1,T3,T5を駆動する。下アーム側ドライバ回路b8〜b10は、入力バッファb1から出力される3個の信号を受け取ってそれぞれ下アームのスイッチング素子T2,T4,T6を駆動する。過電流検出器b11は、過電流の検出を行う。そして、エラー信号発生器b12は、過電流検出器b11から出力される検出信号を受け取ってエラー信号を生成する。
上下アームのスイッチング素子の各ドライバ回路b5〜b10は、スイッチング素子駆動信号出力端子UPo,VPo,WPo,UNo,VNo,WNoを介して上下アームの各スイッチング素子T1〜T6に駆動信号を出力する。各上アーム側ドライバ回路b5〜b7のフローティング電源正側入力端子VB1〜VB3と高圧側基準端子VS1〜VS3との間には対応するフローティング電源6〜8がそれぞれ接続されている。各下アーム側ドライバ回路b8〜b10には正側電源入力端子VCCを介して直流電源9より正の電圧が印加されるとともに、低圧側基準端子VS0に共通接続されている。
図3は、図1における高耐圧IC4の周辺回路を、保護回路5を中心としてU相の1相分の主要部分を抽出して示した回路図である。図3を用いて保護回路5の動作について説明する。スイッチング素子T1〜T6のスイッチングや外来ノイズによって高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生したマイナスサージを、保護回路5のインピーダンス素子Z1とクランプダイオードD7とによって分圧させる。また、クランプダイオードD7がオン電圧に至るまでの期間、クランプダイオードD7に並列接続された容量性素子C1は充電を行う。このような動作によって、クランプダイオードD7がオン電圧に至るまでの期間、容量性素子C1が充電を行うことによって、高耐圧IC4に印加される負電圧を小さくすることができる。また、インピーダンス素子Z1にクランプダイオードD7〜D9の順方向過渡電圧特性と等価となるような電圧特性を持たせることによって高耐圧IC4に印加される負電圧を小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態における3相インバータ装置1は、保護回路5のクランプダイオードD7〜D9とインピーダンス素子Z1とによる分圧とともに、容量性素子C1〜C3が、クランプダイオードD7〜D9がオンするまでの期間、充電を行うことでクランプダイオードD7〜D9のアノードとカソードとの間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができる。マイナスサージを小さく抑えることができるので、簡単な回路の付加により高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3および低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧IC4の設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧IC4の耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧ICの設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる。
実施の形態2.
図4は、この発明を実施するための実施の形態2におけるインバータ装置の回路図である。本実施の形態のインバータ装置は、クランプダイオードに容量性素子を並列に接続した保護回路の構成の代わりに、複数のクランプダイオードの並列体を接続した点が実施の形態1と異なっている。図4において、図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することである。また、明細書全文に表れている構成要素の態様は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。ここでは、実施の形態1との相違点のみを説明する。
マイナスサージが発生する一因として、高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と共通点Fとの間に接続されたクランプダイオードが導通するまでの期間に、順方向過渡電圧を持つことが挙げられる。この順方向過渡電圧の大きさはクランプダイオードを流れる過渡電流の大きさに依存するため、マイナスサージを抑えるにはクランプダイオードに流れる過渡電流を小さくすればよい。そこで、複数のクランプダイオードを並列接続することによって、1個のクランプダイオードに流れる過渡電流を小さくする。
図4において、3相インバータ装置10は、電圧型インバータ2と、電圧型インバータ2の駆動を行うインバータ駆動回路11とを備えている。インバータ駆動回路11は、高耐圧IC4、保護回路12、フローティング電源6〜8、および定電圧ダイオードD10によって構成されている。ここで、電圧型インバータ2および高耐圧IC4などの保護回路12以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
保護回路12は、複数のクランプダイオードが並列接続されたU相のクランプダイオードD11、複数のクランプダイオードが並列接続されたV相のクランプダイオードD12、複数のクランプダイオードが並列接続されたW相のクランプダイオードD13、およびインピーダンス素子Z1によって構成されている。各クランプダイオードD11〜D13において、複数のクランプダイオードは、相互に順方向が同じになるように並列接続されている。各相のクランプダイオードD11〜D13を構成するクランプダイオードの個数は2個以上であれば特に限定しないが、図4では各相のクランプダイオードD11〜D13は並列接続された2個のクランプダイオードから構成される。
クランプダイオードD11〜D13の各アノードは、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0につながる共通点Fにそれぞれ接続されている。クランプダイオードD11〜D13の各カソードは、高耐圧IC4の各相の高圧側基準端子VS1〜VS3にそれぞれ対応するように接続されている。また、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0は、インピーダンス素子Z1を介して電源端子Nに接続されると共に、定電圧ダイオードD10を介して高耐圧のVSS端子に接続されている。
インピーダンス素子Z1は、共通点Fと電源端子Nとの間に接続されている。ここで、インピーダンス素子Z1の構成例については実施の形態1と同様であるので説明を省略するが、実施の形態1と同様に、インピーダンス素子Z1は、各相のクランプダイオードD7〜D9のカソード側接続点と各相の出力端子U,V,Wとの間にそれぞれ接続してもよいし、共通点Fと電源端子Nとの間および各相のクランプダイオードD7〜D9のカソード側接続点と各相の出力端子U,V,Wとの間の両方の箇所に同時接続してもよい。
次に、保護回路12の動作について説明する。図4のような構成において、スイッチング素子T1〜T6のスイッチングや外来ノイズによって高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生したマイナスサージを、保護回路12のインピーダンス素子Z1とクランプダイオードD11〜D13によって分圧させるとともに、各相のクランプダイオードD11〜D13において並列接続された複数のクランプダイオードによって過渡電流を分流する。マイナスサージの大きさはクランプダイオードD11〜D13に流れる電流に依存しているため、過渡電流を分流することによって個々のクランプダイオードD11〜D13におけるマイナスサージを小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態におけるインバータ装置は、保護回路12のクランプダイオードD11〜D13とインピーダンス素子Z1とによる分圧とともに、各相のクランプダイオードD11〜D13において並列接続されているクランプダイオードに過渡電流を分流することによって、クランプダイオードに流れる過渡電流を小さくすることができるので、クランプダイオードD11〜D13のアノードとカソードとの間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができる。
マイナスサージを小さく抑えることができるので、簡単な回路の付加により高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧IC4の設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧IC4の耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧ICの設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる効果がある。
実施の形態3.
図5は、この発明を実施するための実施の形態3におけるインバータ装置の回路図である。本実施の形態のインバータ装置は、クランプダイオードに印加される電圧を更に分圧する第2分圧回路部であるインピーダンス素子Z2を低圧側基準端子VS0と共通点Fとの間に接続し、保護回路に追加した点が実施の形態1と異なっている。
図5において、3相インバータ装置13は、電圧型インバータ2と、電圧型インバータ2の駆動を行うインバータ駆動回路14とを備えている。インバータ駆動回路14は、高耐圧IC4、保護回路15、フローティング電源6〜8、および定電圧ダイオードD10によって構成されている。ここで、電圧型インバータ2および高耐圧IC4などの保護回路15以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
保護回路15は、U相のクランプダイオードD7、V相のクランプダイオードD8、W相のクランプダイオードD9、各相のクランプダイオードD7〜D9に対して並列接続された容量性素子C1〜C3、およびインピーダンス素子Z1、Z2によって構成されている。クランプダイオードD7〜D9の各アノードは、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0につながる共通点Fにそれぞれ接続されている。クランプダイオードD7〜D9の各カソードは、高耐圧IC4の各相の高圧側基準端子VS1〜VS3にそれぞれ対応するように接続されている。
インピーダンス素子Z1は、共通点Fと電源端子Nとの間に接続されている。インピーダンス素子Z2は、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0とクランプダイオードD7〜D9のアノード側接続点である共通点Fとの間に接続されている。ここで、インピーダンス素子Z1の他の接続形態および構成については実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。なお、インピーダンス素子Z2は、各相の高圧側基準端子VS1〜VS3と各相のクランプダイオードD7〜D9のカソード側との間にそれぞれ接続してもよいし、低圧側基準端子VS0と共通点Fとの間および各相の高圧側基準端子VS1〜VS3と各相のクランプダイオードD7〜D9のカソード側との間の両方の箇所に同時接続してもよい。また、インピーダンス素子Z1およびインピーダンス素子Z2を接続した構成は、本実施の形態の保護回路15以外の保護回路の構成と組合せてもよい。
インピーダンス素子Z2は、インピーダンス素子Z1と同様に、例えばアノードが駆動回路である高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0に接続されるダイオードと抵抗またはインダクタとを並列接続した構成である。インピーダンス素子Z2は、分圧する機能とバイパスする機能があれば、ダイオードと抵抗またはインダクタとを並列接続した構成でなくても、それぞれの機能を果たす別の素子で構成してもよい。また、本実施の形態では、第2分圧回路部であるインピーダンス素子Z2に用いられるダイオードをクランプダイオードD7〜D9と区別して説明するが、インピーダンス素子Z2のダイオードとクランプダイオードとが同じタイプのダイオードであってもよい。なお、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0は、インピーダンス素子Z2とインピーダンス素子Z1とを介して電源端子Nに接続されると共に、定電圧ダイオードD10を介して高耐圧IC4のVSS端子に接続されている。
インピーダンス素子Z2は、インピーダンス素子Z1側から過渡電流が流入したときに順方向過渡電圧を持つので、クランプダイオードD7〜9のアノードとカソードとの間に生じるマイナスサージを打ち消すように高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0の電位を変動させることで、高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生する電圧差を抑制してマイナスサージを小さく抑えることができる。また、インピーダンス素子Z2を接続することによって、クランプダイオードD7〜9に印加される電圧を更に分圧できるので、マイナスサージを小さく抑えることができる。なお、保護回路15にも実施の形態1で説明したようなマイナスサージを小さくする効果があるので、インピーダンス素子Z2を接続することによって、さらにマイナスサージを小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態における3相インバータ装置13は、保護回路15のクランプダイオードD7〜D9とインピーダンス素子Z1とによる分圧とともに、容量性素子C1〜C3が、クランプダイオードD7〜D9がオンするまでの期間、充電を行うことでクランプダイオードD7〜D9のアノードとカソード間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができる。また、インピーダンス素子Z2により、クランプダイオードD7〜D9における電圧変動に対応して低圧側基準端子VS0の電位を変動させることで、高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0の間に発生する電圧差を抑制してマイナスサージを小さく抑えることができる。
マイナスサージを小さく抑えることができるので、簡単な回路の付加により高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3および低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧IC4の設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧ICの耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧ICの設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる。
実施の形態4.
図6は、この発明を実施するための実施の形態4におけるインバータ装置の回路図である。実施の形態1では特に言及していないが、一般的に保護回路を構成するクランプダイオードにはSi(ケイ素)ダイオードが用いられる。本実施の形態のインバータ装置では、クランプダイオードとして特にSiC(炭化ケイ素)ショットキーバリアダイオードを用いた構成とする。
ショットキーバリアダイオードは、一般的なPN接合やPIN(p−intrinsic−n)接合のダイオードと異なり、多数キャリアによって電荷が移動する原理で動作するため、スイッチングを妨げる接合面での少数キャリアの蓄積がなく高速スイッチングが可能であり、大きな過渡電流による順方向過渡電圧の発生を小さくすることができる特徴を持つ。さらに、材料としてSiCを用いることで優れた逆方向耐電圧を得ることができ、従来、ショットキーバリアダイオードを適用できなかった高電圧回路での使用が可能となる。
図6において、実施の形態1の図1との相違点は、保護回路18を構成するクランプダイオードD14〜D16をSiCショットキーバリアダイオードとした点、インピーダンス素子Z2を接続している点である。なお、インピーダンス素子Z2を接続しなくてもよい。3相インバータ装置16は、電圧型インバータ2と、電圧型インバータ2の駆動を行うインバータ駆動回路17とを備えている。インバータ駆動回路17は、高耐圧IC4、保護回路18、フローティング電源6〜8、および定電圧ダイオードD10によって構成されている。ここで、電圧型インバータ2および高耐圧IC4などの保護回路18以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
保護回路18は、U相のクランプダイオードD14、V相のクランプダイオードD15、W相のクランプダイオードD16、各相のクランプダイオードD14〜16に対して並列接続された容量性素子C1〜C3、およびインピーダンス素子Z1、Z2によって構成されている。クランプダイオードD14〜16の各アノードは、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0につながる共通点Fにそれぞれ接続されている。クランプダイオードD14〜16の各カソードは、高耐圧IC4の各相の高圧側基準端子VS1〜VS3にそれぞれ対応するように接続されている。
インピーダンス素子Z1は、共通点Fと電源端子Nとの間に接続されている。インピーダンス素子Z2は、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0と共通点Fとの間に接続されている。ここで、インピーダンス素子Z1の他の接続形態および構成については実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。なお、特に限定しないが、クランプダイオードD14〜D16は2つの並列接続されたクランプダイオードで構成される。また、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0は、インピーダンス素子Z2およびインピーダンス素子Z1を介して電源端子Nに接続されると共に、インピーダンス素子Z2および定電圧ダイオードD10を介して高耐圧IC4のVSS端子に接続されている。
このように保護回路18を構成することによって、スイッチング素子T1〜T6のスイッチングや外来ノイズによって高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生したマイナスサージを、保護回路18のインピーダンス素子Z1とクランプダイオードD14〜D16とによって分圧させるとともに、並列接続されたクランプダイオードD14〜D16によって過渡電流を分流する。また、容量性素子C1〜C3は、クランプダイオードD14〜D16がオン電圧に至るまでの期間中、充電を行う。さらに、インピーダンス素子Z2はインピーダンス素子Z1側から過渡電流が流入したときに順方向過渡電圧を持ち、クランプダイオードD14〜16のアノードとカソードとの間に生じる電圧変動に対応して高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0の電位を変動させることで、高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0の間に発生する電圧差を抑制してマイナスサージを小さく抑えることができる。
以上のように、本実施の形態における3相インバータ装置16は、保護回路18のクランプダイオードD14〜D16および容量性素子C1〜C3を接続することによって、クランプダイオードD14〜D16のアノードとカソードとの間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができるとともに、SiCショットキーバリアダイオードが持つ高速なスイッチング特性により、クランプダイオードD14〜D16のアノードとカソードとの間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができる。
マイナスサージを小さく抑えることができるので、簡単な回路の付加により高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3および低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧IC4の設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧IC4の耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧ICの設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる。
実施の形態5.
図7は、この発明を実施するための実施の形態5におけるインバータ装置の回路図である。実施の形態3および実施の形態4では、インピーダンス素子Z2を高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0とクランプダイオードのアノード側との間に接続したり、インピーダンス素子Z2を各相の高圧側基準端子VS1〜VS3と各相のクランプダイオードのカソード側との間にそれぞれ接続したり、インピーダンス素子Z2をこれら2つの領域の両方に同時接続したりしていた。本実施の形態のインバータ装置は、インピーダンス素子Z2と等価の特性になる所望の抵抗値またはインダクタンスとなる配線を施し、インピーダンス素子Z2を配置しない点が実施の形態3などと異なる。また、電圧型インバータと保護回路とを一体化してモジュールとし、配線を介してモジュールと高耐圧ICとを接続した点が上記実施の形態と異なる。
図7において、3相インバータ装置19は、制御回路20と、モジュール22とを備えている。制御回路20は、高耐圧IC4、および直流電源9によって構成されている。モジュール22は、電圧型インバータ2、保護回路21、フローティング電源6〜8、および定電圧ダイオードD10によって構成されている。ここで、電圧型インバータ2および高耐圧IC4などの保護回路21および配線J1以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
制御回路20の高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0とモジュール22の保護回路21の共通点Fとの間には、実施の形態3に示したようなインピーダンス素子Z2と等価の特性を持つように設計された配線J1が配置されている。ここで、配線J1は、配線形状や配線長を機能的に設計して、例えばインダクタを付加した回路構成と同等にする。これによって、配線J1は、順方向過渡電圧を有する。高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0は、配線J1を介してクランプダイオードD11〜D13のアノードに接続され、インピーダンス素子Z1を介して電源端子Nに接続されると共に、定電圧ダイオードD10を介して高耐圧IC4のVSS端子に接続されている。制御回路20において、高耐圧IC4は電圧形インバータ2の各スイッチング素子T1〜T6の駆動を行う高耐圧ICである。
保護回路21は、U相のクランプダイオードD11、V相のクランプダイオードD12、W相のクランプダイオードD13、各相のクランプダイオードD11〜D13に対して並列接続された容量性素子C1〜C3、およびインピーダンス素子Z1によって構成されている。クランプダイオードD11〜D13の各アノードは、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0につながる共通点Fにそれぞれ接続されている。クランプダイオードD11〜D13の各カソードは、高耐圧IC4の各相の高圧側基準端子VS1〜VS3にそれぞれ対応するように接続されている。特に限定しないが、本実施の形態においては、クランプダイオードD11〜D13は2つの並列接続されたクランプダイオードで構成される。インピーダンス素子Z1は、共通点Fと電源端子Nとの間に接続されている。ここで、インピーダンス素子Z1の他の接続形態と構成については実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
このように保護回路21を構成することによって、スイッチング素子T1〜T6のスイッチングや外来ノイズによって高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生したマイナスサージを、保護回路21のインピーダンス素子Z1とクランプダイオードD11〜D13とによって分圧させるとともに、複数のクランプダイオードが並列接続されたクランプダイオードD11〜D13によって過渡電流を分流する。また、容量性素子C1〜C3は、クランプダイオードD11〜D13がオン電圧に至るまでの期間中、充電を行う。また、低圧側基準端子VS0と各クランプダイオードD11〜D13のアノード側とを結ぶ配線J1は、抵抗やインダクタといったインピーダンス素子と等価となる特性を持ち、クランプダイオードD11〜D13のアノードとカソードとの間に生じる電圧変動に対応して高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0の電位を変動させる。
以上のように、本実施の形態における3相インバータ装置19は、保護回路21のクランプダイオードD11〜D13および容量性素子C1〜C3を接続することによって、クランプダイオードD11〜D13のアノードとカソードとの間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができる。また、電圧型インバータ2と保護回路21とを一体化してモジュール22とした場合でも、モジュール22と高耐圧IC4とを配線J1で接続することによって、クランプダイオードD11〜D13における電圧変動に対応して低圧側基準端子VS0の電位を変動させることで、高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生する電圧差を抑制してマイナスサージを小さく抑えることができる。
マイナスサージを小さく抑えることができるので、素子数の少ない簡単な回路の付加により高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3および低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧IC4の設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧IC4の耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧ICの設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる。
なお、制御回路20およびモジュール22に相当する回路は、同一基板上にあることに限定するものではなく、分離した基板から構成される回路にも適用することができる。
実施の形態6.
図8は、この発明を実施するための実施の形態6におけるインバータ装置の回路図である。本実施の形態のインバータ装置は、マイナスサージを抑制するために保護回路に接続するインピーダンス素子Z1,Z2を、互いに逆方向に並列接続されたダイオードによって構成している点が実施の形態3と異なる。
図8において、3相インバータ装置23は、電圧型インバータ2と、電圧型インバータ2の駆動を行うインバータ駆動回路24とを備えている。インバータ駆動回路24は、高耐圧IC4、保護回路25、フローティング電源6〜8、および定電圧ダイオードD10によって構成されている。ここで、電圧型インバータ2および高耐圧IC4などの保護回路25以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。インバータ駆動回路24において、高耐圧IC4は電圧形インバータ2の各スイッチング素子T1〜T6の駆動を行う高耐圧ICである。
保護回路25は、U相のクランプダイオードD11、V相のクランプダイオードD12、W相のクランプダイオードD13、各相のクランプダイオードD11〜D13に対して並列接続された容量性素子C1〜C3、およびインピーダンス素子Z1,Z2によって構成されている。クランプダイオードD11〜D13の各アノードは、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0につながる共通点Fにそれぞれ接続されている。クランプダイオードD11〜D13の各カソードは、高耐圧IC4の各相の高圧側基準端子VS1〜VS3にそれぞれ対応するように接続されている。特に限定しないが、本実施の形態においては、クランプダイオードD11〜D13は2つの並列接続されたクランプダイオードで構成される。また、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0は、インピーダンス素子Z2とインピーダンス素子Z1を介して電源端子Nに接続されると共に、定電圧ダイオードD10を介して高耐圧IC4のVSS端子に接続されている。
分圧回路部であるインピーダンス素子Z1は、互いに逆方向に並列接続されたダイオードD17,D18によって構成され、共通点Fと電源端子Nとの間に接続されている。第2分圧回路部であるインピーダンス素子Z2は、互いに逆方向に並列接続されたダイオードD19,D20によって構成され、共通点Fと高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0との間に接続されている。なお、インピーダンス素子Z1,Z2に用いられるダイオードはクランプダイオードD11〜D13と区別して説明するが、インピーダンス素子Z1,Z2のダイオードがクランプダイオードと同じタイプのダイオードであってもよい。ダイオードD18およびダイオードD20は、高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0から電源端子Nへ流れる高耐圧IC4の動作電流が制限されないように電流をバイパスするものである。そして、ダイオードD17およびダイオードD19は、クランプダイオードD11〜D13の順方向過渡電圧よりも大きな順方向過渡電圧となる特性を持つダイオードである。
このように保護回路25を構成することによって、スイッチング素子のスイッチングや外来ノイズによって高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との間に発生したマイナスサージを、保護回路25のインピーダンス素子Z1とクランプダイオードD11〜D13によって分圧させるとともに、並列接続されたクランプダイオードD11〜D13で過渡電流を分流する。また、容量性素子C1〜C3は、クランプダイオードD11〜D13がオン電圧に至るまでの期間中、充電を行う。さらに、インピーダンス素子Z2を構成するD19は過渡電流が流入した時に順方向過渡電圧を持ち、クランプダイオードD11〜D13のアノードとカソードとの間に生じる電圧変動に対応して高耐圧IC4の低圧側基準端子VS0の電位を変動させる。また、インピーダンス素子Z1とスイッチング素子T1〜T6のゲート抵抗R1〜R6とによってスイッチング素子T1〜T6のゲート抵抗が決まるため、ゲート抵抗R1〜R6の抵抗値の選択の範囲が狭くなることがあるが、インピーダンス素子Z1とインピーダンス素子Z2にダイオードD17とダイオードD19を用いることで、各スイッチング素子T1〜T6のゲート抵抗R1〜R6に与える影響を最小限にすることができ、スイッチングの自由度を高めることができる。
以上のように、本実施の形態における3相インバータ装置23は、保護回路25のクランプダイオードD11〜D13および容量性素子C1〜C3を接続することによって、クランプダイオードD11〜D13のアノードとカソードとの間に発生するマイナスサージを小さく抑えることができるとともに、クランプダイオードD11〜D13より大きな順方向過渡電圧を持つインピーダンス素子Z2により、クランプダイオードD11〜D13における電圧変動に対応して低圧側基準端子VS0の電位を変動させることで、高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0の間に発生する電圧差を抑制してマイナスサージを小さく抑えることができる。
マイナスサージを小さく抑えることができるので、素子数の少ない簡単な回路の付加により高耐圧IC4の高圧側基準端子VS1〜VS3および低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧ICの設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧IC4の耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧IC4の設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる。
実施の形態7.
図9は、この発明を実施するための実施の形態7におけるインバータ装置の回路図である。本実施の形態では、入力信号の基準電位と出力信号の基準電位とが異なる駆動回路である高耐圧ICの順方向過渡電圧が、電圧型インバータのダイオードの順方向過渡電圧よりも大きくなるようにした。図9において、3相インバータ装置26は、電圧型インバータ2と、電圧型インバータ2の駆動を行うインバータ駆動回路27とを備えている。インバータ駆動回路27の高耐圧IC28以外の構成は実施の形態1と同じである。
3相インバータ装置26において、電圧型インバータ2はスイッチング素子T1〜T6、および該スイッチング素子T1〜T6に対応してそれぞれ逆並列接続されたダイオードD1〜D6で構成される。インバータ駆動回路27の高耐圧IC28は電圧型インバータ2の各スイッチング素子T1〜T6の駆動を行う高耐圧ICである。このような構成において、スイッチング素子T1〜T6のスイッチングや外来ノイズによって極端に大きい電流変化di/dtが発生するとき、過渡電流によってダイオードD1〜D6の素子間と、高耐圧IC28の高圧側基準端子VS1〜VS3と低圧側基準端子VS0との端子間には、それぞれ順方向過渡電圧が発生する。
ここで、3相インバータ装置26のU相に着目して説明をする。高耐圧IC28で発生する順方向過渡電圧が電圧型インバータ2のダイオードD2で発生する順方向過渡電圧より小さい場合、高耐圧IC28の高圧側基準端子VS1と低圧側基準端子VS0との間にマイナスサージが発生することとなる。このため、高耐圧IC28は、高圧側基準端子VS1と低圧側基準端子VS0との間の順方向過渡電圧がダイオードD2の順方向過渡電圧よりも大きい特性を持つ高耐圧ICとする。
また、低圧側基準端子VS0の電位を高圧側基準端子VS1にクランプするために、高圧側基準端子VS1と低圧側基準端子VS0との間にアノードが低圧側基準端子VS0に接続されるようにクランプダイオードD7を接続する場合には、高耐圧IC28は、高圧側基準端子VS1と低圧側基準端子VS0との間の順方向過渡電圧が、ダイオードD2の順方向過渡電圧およびクランプダイオードD7の順方向過渡電圧と比較して最も小さくならない特性を持つ高耐圧ICとする。ここで、高耐圧IC28の順方向過渡電圧がダイオードD2の順方向過渡電圧およびクランプダイオードD7の順方向過渡電圧と比較して最も小さくならないように、ダイオードD2およびクランプダイオードD7を選択することも同義であることは言うまでもない。
3相インバータ装置26のV相,W相についてもU相と同様に、それぞれ高耐圧IC28の高圧側基準端子VS2,VS3と低圧側基準端子VS0との間の順方向過渡電圧が、ダイオードD4,D6の順方向過渡電圧およびクランプダイオードD8,D9の順方向過渡電圧と比較して最も小さくならない特性を持つようにする。このような高耐圧IC28を用いることによって、本実施の形態における3相インバータ装置26は、マイナスサージを抑制することができる。
マイナスサージを小さく抑えることができるので、素子数の少ない簡単な回路の付加により高耐圧IC28の高圧側基準端子VS1〜VS3および低圧側基準端子VS0に印加されるマイナスサージを高耐圧IC28の設計基準内により確実に抑えることができ、安価に高耐圧IC28の耐圧破壊および誤動作を防止することができる。さらに、高耐圧ICの設計変更が不要であるため、既存の高耐圧ICを使用したインバータ装置にも本発明を適用することができ、既存装置の高耐圧ICの破壊を防止することができる。
なお、実施の形態1〜3、5〜7において、クランプダイオードに一般的なダイオードを用いる構成について示したが、これに限定するものではなく、実施の形態4で示したようなクランプダイオードにSiCショットキーバリアダイオードを用いる構成としてもよい。また、全ての実施の形態において、インピーダンス素子Z1,Z2に一般的なダイオードを用いる構成について示したが、これに限定するものではなく、SiCショットキーバリアダイオードを用いる構成としてもよい。
また、すべての実施の形態において、3相インバータ装置を例にして説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、単相インバータなどにも適用することができる。さらに、2つの並列接続されたクランプダイオードを含む保護回路を例にして説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、高耐圧ICに印加されるマイナスサージの条件などによってクランプダイオードを1つまたは2つ以上とすることができる。
1,10,13,16,19,23,26 3相インバータ装置、2 電圧型インバータ、3,11,14,17,24,27 インバータ駆動回路、4,28 高耐圧IC、5,12,15,18,21,25 保護回路、6〜8 フローティング電源、9 直流電源、20 制御回路、22 モジュール、D0,D17〜D20 インピーダンス素子のダイオード、D1〜D6 ダイオード、C1〜C3 容量性素子、D7〜D9,D11〜D13 クランプダイオード、D10 定電圧ダイオード、D14〜D16 クランプダイオード(SiCショットキーバリアダイオード)、J1 特殊配線、N,P 電源端子、T1〜T6 スイッチング素子、U,V,W 出力端子、Z1,Z2 インピーダンス素子。