JP4991097B2 - 燃料電池発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ケース内に、燃料電池と、燃料改質器と、ガス供給装置と、水供給装置と、電力変換装置とを具備してなる燃料電池発電装置に関する。
燃料電池は、固体電解質層を燃料極と空気極で挟持した構造の単電池(以下セルと記載する)に、ガス供給装置より、反応ガスとして燃料極に水素を含む燃料ガスを、また空気極に酸素を含む空気を供給し、電気化学反応により電気エネルギーを得るものである。通常、1つのセルで得られる発生電圧は1Vに満たない低電圧であり、また発生電流も電極面積により制限を受けて少ない。
そこで、実用的な燃料電池発電装置においては、複数のセルを電気的に直列接続してセルスタックを構成し、さらに、この複数のセルスタックを電気的に直列、あるいは並列に接続して燃料電池を構成し、発生電圧、あるいは発生電流を高めて発生電力を大きくしている。
反応ガスとして使用する水素を含む燃料ガスとしては、現在のインフラを考慮すると、都市ガスやプロパンガスの使用が有力となっている。しかし、これらのガスを燃料電池に直接導入すると、燃料電池の電極でカーボンが析出し、燃料電池の破損等が起こり、発電ができなくなる。そのため、これらの燃料ガスに、水供給装置から供給された水より生成した水蒸気を混合して加湿して燃料改質器に通し、高温の触媒の存在下で水蒸気改質反応を起こさせ、水素リッチなガスに変換する対策がとられている。
燃料電池で発電した直流電力は電力変換装置に導入され、交流電力に変換され、必要に応じ昇圧されて外部負荷に供給される。また、燃料電池で発電した直流電力の一部は、燃料電池発電装置の補器用電源としても使用される。
近年、例えば家庭用の分散発電型の小型燃料電池の需要が高まっており、上記の燃料電池、燃料改質器、ガス供給装置、水供給装置、電力変換装置等の燃料電池発電装置の構成装置を、同一のケース内に小型コンパクトに収納する必要が生じている。この場合、同一のケース内に、高熱を発生する燃料電池、高温が必要な燃料改質器、耐高温性に難のあるガス供給装置や電力変換装置が混在することになり、これらの燃料電池発電装置の構成装置間の作動温度の違いによる影響が問題となっている。
この問題を解決するために、システム稼動中に高温となる高温部と発電量を制御する制御部とを離間して配置した燃料電池発電装置(例えば特許文献1参照)、構成装置の作動温度の高いものから順に上段より配置した燃料電池発電装置(例えば特許文献2参照)等が提案されている。
特開2003−217635号公報 特開2003−297409号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された燃料電池発電装置では、水を供給するための水タンクが、電力変換装置(燃料電池の制御装置も含む)の近傍に存在するため、水タンクの表面に凝縮した水滴、水分により電力変換装置が漏電したり、短絡してしまう危険性があった。
また、特許文献1、2の燃料電池発電装置では、燃料電池の温度が80℃程度にしかならない固体高分子形の燃料電池には有効であるが、燃料電池の温度が700℃以上にまで上昇する固体電解質形の燃料電池では、ケース内全体の温度が上昇してしまうため、ただ離間しただけでは制御部への高温による影響を十分に防止することができないという問題があった。
本発明は、電力変換装置の熱による影響を防止できるとともに、電力変換装置の漏電や短絡を防止できる燃料電池発電装置を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池装置は、体酸化物形の燃料電池セルおよび該燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成する燃料改質器をハウジング内に備えてなる燃料電池と、前記燃料改質器に被改質ガスを供給するガス供給装置と、前記燃料改質器に水を供給するための水供給装置と、前記燃料電池で発生した直流電力を電源出力仕様に変換して外部負荷に供給する電力変換装置とをケース内に具備してなる燃料電池発電装置において、
前記ケースは仕切部材により上部と下部とに区画され、前記ケースの上部に、前記燃料電池が配置されており、前記ケースの下部に、前記電力変換装置、前記水供給装置及び前記ガス供給装置が、前記電力変換装置と前記水供給装置との間に前記ガス供給装置が位置するように配置されていることを特徴とする。
このような燃料電池発電装置では、その構成装置を、互いに作動温度の違いによる影響を受けることなく、水供給装置から水分が漏洩した場合にも漏洩水分による電力変換装置の短絡、漏電等のトラブルもなく、同一のケース内に小型コンパクトに配置することができる。
即ち、ケースの上部に燃料電池セルおよび燃料改質器をハウジング内に備えてなる燃料電池を具備するため、燃料電池で発生した熱は上方に放散し、ケース下部に配置された電力変換装置における熱の影響を最小限に抑制できる。また、燃料電池セルと燃料改質器とを一体としてハウジング内に備えてなる燃料電池を、ケース上部に配置する構造にすることにより、小型コンパクト、高熱効率の点でより優れた効果が得られる。
なお、ここで言う電力変換装置は、電圧、周波数、単線出力、三線出力、単相出力、三相出力等、燃料電池で発生した直流電力を、使用に合わせた種々の出力仕様に変換する装置をいう。また、電力変換装置内に、燃料電池に供給するガス流量等を制御する制御装置を内蔵する場合もある。
また、本発明の燃料電池発電装置は、前記ケースの上部空間と前記燃料電池との隙間の空気を排出するブロアを有することを特徴とする。
燃料電池セルと燃料改質器とを一体としてハウジング内に備えてなる燃料電池をケース上部に配置する構造にすることにより、小型コンパクト、高熱効率の点でより優れた効果が得られる。
また、このような燃料電池発電装置では、ケースの上部空間に収容された燃料電池の外周面と、ケースの内壁面との間には、わずかな隙間が形成されており、この隙間に存在している空気がブロアにより排出されるため、固体酸化物形の燃料電池発電装置の高温化を防止できる。また、その隙間の空気を燃料電池内に供給することもできる。
また、本発明の燃料電池発電装置は、前記ガス供給装置が、前記燃料改質器に空気を供給する機能を有していることを特徴とする。このような燃料電池発電装置では、例えば燃料電池起動時等、燃料改質器の温度が低く、水蒸気改質反応が十分に進行しない場合に、部分酸化反応による改質が可能となる。また、燃料電池停止時に、燃料電池内や燃料改質器内に残留している燃料ガス、被改質ガス等を、簡単にパージすることができる。
さらに、本発明の燃料電池発電装置は、前記電力変換装置の上方に、前記燃料電池に空気を供給する空気供給装置が設けられ、該空気供給装置により、前記電力変換装置周辺の空気が前記燃料電池に供給されることを特徴とする。電力変換装置は自ら発熱し、耐高温性に弱いが、本発明の燃料電池発電装置では、電力変換装置の周辺の空気が燃料電池に強制的に供給されるため、電力変換装置を空冷して冷却することができるとともに、燃料電池に供給する空気を予熱することができ、燃料電池発電装置のエネルギー効率を高めることができる。
また、本発明の燃料電池発電装置は、前記電力変換装置が収納容器内に収納され、該収納容器内の空気が空気供給装置により前記燃料電池に供給されることを特徴とする。このような燃料電池発電装置では、電力変換装置の周囲の空気を強制的にかつ強力に燃料電池に供給することができるため、電力変換装置を冷却することができるとともに、燃料電池内に加熱された空気が供給され、発電効率を向上できる。
さらに、本発明の燃料電池発電装置は、前記電力変換装置、水供給装置よりも上方に
配置されていることを特徴とする。電力変換装置が収納容器内に収納され、その収納容器内の空気が燃料電池に供給されるため、水供給装置よりも上方、即ち、燃料電池に近づけたとしても電力変換装置の高温化を防止できるとともに、水供給装置よりも上方に電力変換装置が配置されているため、漏洩水分による電力変換装置の短絡、漏電等のトラブルを防止できる。
また、本発明の燃料電池発電装置は、前記電力変換装置は、前記ケースの壁面に位置していることを特徴とする。このような燃料電池発電装置では、ケースの壁面に開閉扉等を設け、該開閉扉を開けることにより、電力変換装置のメンテナンスを行うことができる。
さらに、本発明の燃料電池発電装置は、前記ハウジングの下面を貫通して被改質ガス供給管、水供給管が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池発電装置では、被改質ガス及び水が燃料電池の下方から供給されるため、供給配管の長さを短くすること
ができ、配管通過時の圧力損失を小さくすることができ、例えば、ブロア、水ポンプ等の、供給装置の動力を削減することができる。
また、本発明の燃料電池発電装置は、前記ハウジングの側面を貫通して被改質ガス供給管、水供給管が設けられていることを特徴とする。このような燃料電池発電装置では、被改質ガス供給管、水供給管のメンテナンスが容易であり、さらに、ケースの外面に開閉扉等を設け、該開閉扉を開けることにより、改質ガス供給管、水供給管が接続されたセルスタックのメンテナンスをも行うことができる。
本発明の燃料電池発電装置では、燃料電池、燃料改質器、ガス供給装置、水供給装置、電力変換装置等の燃料電池発電装置の構成装置を、互いに作動温度の違いによる影響を受けることなく、また、水供給装置から水分が漏洩した場合にも漏洩水分による電力変換装置等の短絡、漏電等のトラブルもなく、同一のケース内に小型コンパクトに配置することができる。
先ず、本発明の燃料電池発電装置に好適な燃料改質器を内蔵する燃料電池(以下、燃料電池組立体と記載する)の一例について説明する。
燃料電池組立体は図1、2及び図3を参照して説明すると、略直方体形状のハウジング2を具備している。このハウジング2の6個の壁面の外面には適宜の断熱材から形成された断熱壁(遮熱部材)、即ち上断熱壁4、下断熱壁6、右側断熱壁8、左側断熱壁9、前断熱壁10及び後断熱壁11が配設されている。ハウジング2内には発電・燃焼室12が規定されている。
前断熱壁10及び/又は後断熱壁11は着脱自在或いは開閉自在に装着されており、前断熱壁10及び/又は後断熱壁11を離脱或いは開動せしめることによって発電・燃焼室12内にアクセスすることができる。所望ならば、各断熱壁の外面に金属板製でよい外壁を配設することができる。
ハウジング2内の上端部には空気室(ガス室)16が配設されている。空気室16は上下方向寸法が比較的小さい直方体形状のケース17内に規定されている。空気室16には、発電・燃焼室に向かって空気(酸素含有ガス)を送り込むための空気導入管(ガス供給手段)22の上端が連通している。空気導入管22は複数本あり、その形状は円筒や中空板構造などが考えられる。図1、2では円筒の空気導入管22を記載した。空気導入管22は後述するセルスタック間に配置されており、セルの下端部において開口し、この開口部から空気が噴出する構造となっている。空気導入管22はセラミックスなどの耐熱性の高い材料で作製するのが好適である。
そして、空気室16には、低温ガス供給管18が設けられており、この低温ガス供給管18は、上断熱壁4を貫通し、外部に延設されている。
この低温ガス供給管18は、空気室16内に供給されるガスと同一種、即ち、低温の空気を空気室16内に供給するものであり、低温ガス供給管18により供給される空気は、予熱された空気の温度よりも低温である必要がある。特には、室温程度が望ましい。
低温ガス供給管18は、図2に示すように、発電ユニット56a、56b、56c及び56d、即ち、燃料電池セル集合体の中央部を冷却するような空気室16の位置に接続されている。言い換えれば、発電ユニット56a、56b、56c及び56d間に配設された空気導入管22のケース17側板への開口部集合体中央に対して、対向するケース17側板の位置に開口するように低温ガス供給管18が設けられている。
ハウジング2の両側部、更に詳しくは右側断熱壁8の内側及び左側断熱壁9の内側には、全体として平板形状である熱交換器24が配設されている。熱交換器24の各々は実質上鉛直に延在する中空平板形態のケース26から構成されている。
かかるケース26内にはその横方向中間に位置する仕切板28が配設されており、ケース26内は内側に位置する排出路30と外側に位置する流入路32とに区画されている。排出路30内には上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁34及び36が配置されている。更に詳述すると、排出路30内には、その前縁はケース26の前壁(図示していない)から後方に離隔して位置するがその後縁はケース26の後壁(図示していない)に接続されている形態の仕切壁34と、その前縁はケース26の前壁に接続されているがその後縁はケース26の後壁から前方に離隔して位置せしめられている仕切壁36とが交互に配置されており、かくして燃焼ガス排出路30はジグザグ形態にせしめられている。なお、所望ならばジグザグ形態の流路以外の形態でも良い。
同様に、流入路32内にも上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁38及び40、即ちその前縁はケース26の前壁(図示していない)から後方に離隔して位置するがその後縁はケース26の後壁(図示していない)に接続されている形態の仕切壁38と、その前縁はケース26の前壁に接続されているがその後縁はケース26の後壁から前方に離隔して位置せしめられている仕切壁40とが交互に配置されており、かくして流入路32もジグザグ形態にせしめられている。なお、所望ならばジグザグ形態の流路以外の形態でも良い。
ケース26の内側壁の上端部には排出開口42が形成されており、排出路30は排出開口42を介して発電・燃焼室12と連通せしめられている。図示の実施形態においては、熱交換器24の各々の発電・燃焼室12側、即ち、燃料電池セル側、及び燃料電池セルの上下には、蓄熱材からなる蓄熱壁(遮熱部材)が配置されている。即ち右側蓄熱壁44a、左側蓄熱壁44b、前蓄熱壁44c及び後蓄熱壁44d、下蓄熱壁44e、上蓄熱壁44fが、セル集合体を取り囲むように配設されている。かかる右側蓄熱壁44a、左側蓄熱壁44bの上部には、排出開口42の下縁と実質上同高に位置して開口する開口部45が形成されており、排出開口42は開口部45を通して発電・燃焼室12に連通せしめられている。
ハウジング2の6個の壁面の外面に形成された断熱壁4、6、8、9、10、11は、アルミナ/シリカ系の汎用断熱材から形成されており、セル集合体を取り囲むように形成された蓄熱壁44a、44b、44c、44d、44e、44fは、密度が前記断熱材4、6、8、9、10より大きいアルミナ純度の高い断熱材から形成されている。
ケース26の上壁における外側部には流入開口48が形成されており、流入路32はかかる流入開口48を介して空気室16に連通せしめられている。熱交換器24、流入開口48は、ガス供給流路を構成している。流入路32の各々の後方には上下方向に細長く延びる排気管52(図1にその上端部のみを図示している)が配設されている。排出路30の下端部は排気管52に接続されており、流入路32の下端部は、ハウジング2の底面を貫通する発電用空気供給管54に接続されている。
上述した発電・燃焼室の下部には4個の発電ユニット56a、56b、56c及び56dが配置されている。発電ユニット56a、56b、56c及び56dは、夫々、上述した空気導入管22間に位置せしめられている。言い換えれば、発電ユニット56a、56b、56c及び56d間に、空気導入管22が配設されている。図1、2と共に、図3、4を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは前後方向(図1において紙面に垂直な方向)に細長く延びる直方体形状の燃料ガスケース58aを具備している。
燃料ガス室を規定している燃料ガスケース58aの上面上にはセルスタック60aが装着されている。セルスタック60aは上下方向に細長く延びる直立セル62を燃料ガスケース58aの長手方向(即ち前後方向)に複数個縦列配置して構成されている。図5に明確に図示する如く、セル62の各々は電極支持基板64、内側電極層である燃料極層66、固体電解質層68、外側電極層である酸素極層70、及びインターコネクタ72から構成されている。
電極支持基板64は上下方向に細長く延びる柱状の板状片であり、その断面形状は平坦な両面と半円形状の両側面を有する。電極支持基板64にはこれを鉛直方向に貫通する複数個(図示の場合は6個)の燃料ガス通路74が形成されている。電極支持基板64の各々は燃料ガスケース58aの上壁上に、例えば耐熱性に優れたセラミック接着剤によって接合される。
燃料ガスケース58aの上壁には図1において紙面に垂直な方向に間隔をおいて左右方向に延びる複数個のスリット(図示していない)が形成されており、電極支持基板64の各々に形成されている燃料ガス通路74がスリットの各々に従って燃料ガス室に連通せしめられる。
インターコネクタ72は電極支持基板64の片面(図5のセルスタック60aにおいて上面)上に配設されている。燃料極層66は電極支持基板64の他面(図5のセルスタック60aにおいて下面)及び両側面に配設されており、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。固体電解質層68は燃料極層66の全体を覆うように配設され、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。酸素極層70は、固体電解質層68の主部上、即ち電極支持基板64の他面を覆う部分上に配置され、電極支持基板板64を挟んでインターコネクタ72に対向して位置せしめられている。
セルスタック60aにおける隣接するセル62間には集電部材76が配設されており、一方のセル62のインターコネクタ72と他方のセル62の酸素極層70とを接続している。セルスタック60aの両端、即ち図5において上端及び下端に位置するセル62の片面及び他面にも集電部材76が配設されている。セルスタック60aの両端に位置する集電部材76には電力取出手段(図示していない)が接続されており、かかる電力取出手段はハウジング2の前断熱壁10、後断熱壁11、または下断熱材6を通してハウジング2外に延在せしめられている。所望ならば、セルスタック60a、60b、60c及び60dの各々に電力取出手段を配設することに代えて、適宜の接続手段によってセルスタック60a、60b、60c及び60dを相互に直列接続し、4個のセルスタック60a、60b、60c及び60dに関して共通の電力取出手段を配設することもできる。
図4を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは、セルスタック60aの上方を前後方向に細長く延びる長方体形状(或いは円筒形状)であるのが好都合である改質ケース(燃料改質器)78aも具備している。改質ケース78aの前面には燃料ガス送給管80aの一端即ち上端が接続されている。
燃料ガス送給管80aは下方に延び、次いで湾曲して後方に延び、燃料ガス送給管80aの他端は上記燃料ガスケース58aの前面に接続されている。改質ケース78aの後面には被改質ガス供給管82aの一端が接続されている。被改質ガス供給管82aは改質ケースから下方に延び、ハウジング2の下を通ってハウジング2外に延出している。
被改質ガス供給管82aは都市ガス等の炭化水素ガスでよい被改質ガス供給源(図示していない)に接続されており、被改質ガス供給管82aを介して改質ケース78aに被改質ガスが供給される。改質ケース78a内には燃料ガスを水素リッチな燃料ガスに改質するための適宜の改質触媒が収容されている。
図示の実施形態においては、改質ケース78aは燃料ガス送給管80aを介して燃料ガスケース58aに接続され、これによって所要位置に保持されているが、所要ならば、図4に二点鎖線で図示する如く、例えば上記被改質ガス供給管82aの下面と燃料ガスケース58aの後端部下面或いは後面との間に適宜の支持部材84aを付設することもできる。
図3において説明すると、発電ユニット56cは上述した発電ユニット56aと実質上同一であり、発電ユニット56b及び56dは、発電ユニット56a及び56cに対して前後方向が逆に配置されていること、従って改質ケース78b及び78dと燃料ガスケース58b及び58dとを接続する燃料ガス送給管(図示していない)が後側に配置され、被改質ガス供給管82b及び82dが改質ケースから下方に延び、ハウジング2の下面を通ってハウジング2外に延出している。
上述したとおりの燃料電池組立体においては、被改質ガスが被改質ガス供給管82a、82b、82c、82dを介して改質ケース78a、78b、78c及び78dに供給され、改質ケース78a、78b、78c及び78d内において水素リッチな燃料ガスに改質された後に、燃料ガス送給管80a、80b、80c、80dを通して燃料ガスケース58a、58b、58c及び58d内に規定されている燃料ガス室に供給され、次いでセルスタック60a、60b、60c及び60dに供給される。
セルスタック60a、60b、60c及び60dの各々においては、酸素極において、
1/2O+2e→O2−(固体電解質)
の電極反応が生成され、燃料極において、
2−(固体電解質)+H→HO+2e
の電極反応が生成されて発電される。
発電に使用されることなくセルスタック60a、60b、60c及び60dから上方に流動した燃料ガス及び空気は、起動時に発電・燃焼室12内に配設されている点火手段(図示していない)によって点火されて燃焼される。周知の如く、セルスタック60a、60b、60c及び60dにおける発電に起因して、そしてまた燃料ガスと空気との燃焼に起因して発電・燃焼室12内は例えば1000℃程度の高温になる。改質ケース78a、78b、78c及び78dは発電・燃焼室12内に配設され、セルスタック60a、60b、60c及び60dの直ぐ上方に位置せしめられており、燃焼炎によって直接的にも加熱され、かくして発電・燃焼室12内に生成される高温が被改質ガスの改質に効果的に利用される。
発電・燃焼室12内に生成された燃焼ガスは熱交換器24に形成されている排出開口42から排出路30に流入し、ジグザグ状に延在する排出路30を流動した後に二重筒体50の外側筒部材52と内側筒部材54との間に規定されている排出路を通して排出される。燃焼ガスが二重筒体50における排出路を流動する際には、二重筒体50における流入路を空気が流動し、燃焼ガスと空気との間で熱交換が行われる。
そしてまた、燃焼ガスが熱交換器24の排出路30をジグザグ状に流動せしめられる際には、空気が熱交換器24の流入路32をジグザグ状に対向するように流動せしめられる。かくして燃焼ガスと空気との間で効果的に熱交換されて空気が予熱される。
長期間に渡って発電を遂行することによってセルスタック60a、60b、60c及び60dの一部或いは全部が劣化した場合には、ハウジング2の前断熱壁10或いは後断熱壁11を離脱或いは開動せしめ、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部をハウジング2内から取り出す。
そして、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部を新しいものに交換して、或いは発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部におけるセルスタック60a、60b、60c及び60dのみを新しいものに交換して、再びハウジング2内の所要位置に装着すればよい。発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部あるいは全部における改質ケース78a、78b、78c及び78d内に収容されている改質触媒を交換することが必要な場合にも、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部をハウジング2内から取り出し、発電ユニット56a、56b、56c及び56dの一部或いは全部における改質ケース78a、78b、78c及び78d自体を新しいものに或いは改質ケース78a、78b、78c及び78d内の改質触媒のみを新しいものに交換すればよい。
改質ケース78a、78b、78c及び78d内の改質触媒の交換を充分容易に遂行し得るようになすために、所望ならば改質ケース78a、78b、78c及び78dの一部を開閉自在な扉にせしめることができる。
一方、空気は発電用空気供給管54を通して熱交換器24の流入路32に供給され、熱交換器24を通過して予熱(加熱)された空気は、空気室16に一旦貯留され、空気導入管22を通って燃焼・発電室12のセルスタック間に供給される。この際、空気導入管22はセルスタック60の燃料電池セル62の上端の燃料ガス通路74近傍で燃焼する燃焼ガス雰囲気中を通過する。従って、空気室16の予熱空気はセルスタック60上部の燃焼領域でさらに加熱され、高温に暖められた空気がセルに供給される。
通常運転時は前記熱交換器24で予熱された空気が空気室16に導入され、この空気室16から空気導入管22を用いて燃焼・発電室12へ空気が導入されるが、発電室の温度が想定以上に上昇した場合は、前記熱交換器24を通らない低温ガス供給管18を通ってきた低温の空気が空気室16に導入され、熱交換器24を通過して予熱された空気と混合されて、空気室16の空気温度がある程度低下する。この空気を発電室12、即ち、セルスタック間に供給することにより、通常運転時より温度の低い空気がセルスタック間に導入されるので、発電室12、即ち燃料電池セルの過度に上昇した温度が低下されるので、発電室内の温度を適宜にコントロールできる良好な燃料電池組立体が提供される。
また、空気室16内の空気温度は、低温ガス供給管18から供給された外気と、熱交換器24を通過して予熱された空気と混合されるため、室温ほど低温の空気ではないので、熱い燃料電池セル60に供給しても、燃料電池セル60のクラックや熱衝撃破壊を引き起こすなどの不具合を避けることが出来るので、燃料電池発電システム全体の機能劣化が抑えられ寿命が延ばすことができる。
さらに、低温ガス供給管18による低温ガスの供給を、空気供給管22の開口部中央部に向けて供給することにより、さらに、両側の熱交換器から加熱された空気を開口部中央部に向けて供給することにより、最も加熱しやすいセル集合体の中央部に空気供給管22により供給される空気を最も低温とでき、中央部から離れるに従って高い温度とすることができ、最適な冷却手段とすることができる。
また、ハウジング2内であってセル集合体の周囲に、蓄熱壁44a、左側蓄熱壁44b、前蓄熱壁44c及び後蓄熱壁44d、下蓄熱壁44e、上蓄熱壁44fを、ハウジング2の外面に上断熱壁4、下断熱壁6、右側断熱壁8、左側断熱壁9、前断熱壁10及び後断熱壁11を配置することにより、セル周囲の高温の熱を蓄熱壁により蓄熱するとともに、外部への熱放散を蓄熱壁及び断熱材と併せて効果的に抑制することができ、分散型発電用の燃料電池組立体において、発熱量の少ない部分負荷運転時においても、有効に発電温度を維持できる。
即ち、分散型発電用の燃料電池組立体では発電量は少ないため小型であり、定常運転時には熱自立し、効果的に発電するが、燃料ガス量を少なくして発電量を少なくした場合、発熱量が少なくなり、熱自立しなくなる傾向にあるが、本発明では、断熱壁によりハウジング内に熱を有効に閉じ込め、定常運転時の高温の熱を蓄熱壁に吸収させ、部分負荷運転し発熱量が少なくなった場合に熱を放散させ、ハウジング内の温度を有効に維持できる。
尚、本発明では、改質ケースはセルスタックの上方以外の場合でも、改質ケースをハウジング内に設けない場合であっても良い。
そして、本発明では、被改質ガス供給管82a〜82dは、ハウジング2の外部において、燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置91に接続されている。この燃料ガス供給装置91により、被改質ガスが被改質ガス供給管82a〜82dに等量分配され、供給される。なお、上記形態では、空気室に低温ガス供給手段を設け、空気供給管により、燃料電池セルの外面に空気を供給する場合について説明したが、空気供給管により燃料電池セルの内部に空気を供給するようにしても良いことは勿論である。尚、この場合、燃料電池セルの内側には空気極が、外側には燃料極が形成されることは言うまでもない。
図6は、本発明の固体酸化物形の燃料電池を有する燃料電池発電装置を示すもので、燃料電池発電装置は、仕切部材101により上部空間103aと下部空間103bに分離されたケース103の上部空間103aに、内部に燃料改質器を有する燃料電池(燃料電池組立体)106が配置され、その下部に、電力変換装置111と、燃料改質器に被改質ガス及び空気を供給するガス供給装置108と、水供給装置113とが、水平方向に並べてこの順で配置された構造を有している。
言い換えれば、燃料電池106内に燃料改質器が内蔵されており、ケースの壁と燃料電池106とは、僅かな隙間しか形成しないように構成され、ケース103の上部空間103aの寸法は、燃料電池106の外形寸法よりも3cm以下の隙間を有するように構成されている。この上部空間103aは完全に密閉するのではなく、新鮮な外気を導入する導
入孔と、上部空間103aと燃料電池106の隙間の空気を排出するブロアを設けることが望ましい。この場合には、燃料電池106が高温となることを抑制でき、下部空間103bの電力変換装置111への影響を最小限とできる。
また、電力変換装置111と水供給装置113との間にガス供給装置108が配置されており、電力変換装置111は、ケース103の壁面に位置して配置されて、壁面に面している。これにより、ケース103の壁面に開閉扉等を設け、該開閉扉を開けることにより、電力変換装置111のメンテナンスを容易に行うことができる。
各構成装置のケース103内の固定法は特に指定するものではない。必要に応じ、各構成部111、108、113の間に仕切り板を設置し、この仕切り板に固定しても良い。固体酸化物形燃料電池の場合、燃料電池106と燃料改質器は700℃以上の高温となるため、仕切部材101を、断熱性のある仕切板で構成するか、あるいは、燃料電池106を、断熱性容器で囲うのが望ましい。
このような配置により、耐高温性に弱い電力変換装置111を、燃料電池106と燃料改質器の高温の影響を減らすことができる。また、都市ガスや水素ガスが漏洩した場合に、これらのガスは空気より軽く上方に揮散するため、電力変換装置111との接触による爆発等の危険性も少ない。さらに、水供給装置より水が漏洩した場合にも、漏洩した水が電力変換装置111に接触する危険が少なく、短絡等の危険を減らすことができる。
都市ガス等の被改質ガスが、都市ガスラインから、必要に応じ昇圧され、ガス供給装置108に供給され、発電量に必要な所定量が、被改質ガス供給管82a〜82dを通り、燃料電池106内の燃料改質器に供給される。被改質ガスは、同時に、水供給装置113より、水供給管137を通して燃料改質器に供給された水分と水蒸気改質反応を起こし、水素含有ガスに改質され、燃料電池106に供給される。
また、例えば、部分酸化反応による改質を行わせる場合、あるいは、装置停止時の燃料改質器のパージを行う場合には、ガス供給装置108にブロア等により空気を供給し、必要量が、改質用空気供給管135を通り、燃料改質器に供給される。
一方、発電用空気が、電力変換装置111上方におけるケース103の仕切部材101に設置された空気供給装置である空気ブロア112により、燃料電池106内に供給される。これにより、電力変換装置111の周辺の空気が燃料電池106に強制的に供給されるため、電力変換装置111を空冷して冷却することができるとともに、燃料電池106に供給する空気を予熱することができ、燃料電池発電装置のエネルギー効率を高めることができる。
また、電力変換装置111は、図7に示すように、収納容器131内に収納され、収納容器131内の空気が空気供給装置である空気ブロアにより、発電用空気を燃料電池106に供給するように構成しても良い。これにより、電力変換装置111の周囲の空気を強制的にかつ強力に燃料電池106に供給することができるため、電力変換装置111を空冷できるとともに、燃料電池106内に加熱された発電用空気を供給でき、発電効率を向上できる。
また、このように電力変換装置111が収納容器131内に収納され、その収納容器131内の空気が燃料電池106に供給されるため、水供給装置113よりも上方、即ち、燃料電池106に近づけたとしても電力変換装置111の高温化を防止できるとともに、水供給装置113よりも上方に電力変換装置111が配置されているため、漏洩水分による電力変換装置111の短絡、漏電等のトラブルを防止できる。
さらに、図7に示すように、電力変換装置111からの発電用空気を供給する発電用空気供給管54、ガス供給装置108からの被改質ガス、改質用空気を燃料電池106内の燃料改質器に供給する被改質ガス供給管82a〜82d、改質用空気供給管135、さらに水供給装置113からの水を燃料電池106内の燃料改質器に供給する水供給管137が、燃料電池106の下面を貫通しており、燃料電池106の下面を介して供給されるようになっている。
被改質ガス等を燃料電池106の下部より供給することにより、供給配管の長さを短くすることができ、配管通過時の圧力損失を小さくすることができ、例えば、ブロアー、水ポンプ等の、供給装置の動力を削減することができる。
一方、図8に示すように、発電用空気供給管54、被改質ガス供給管82a〜82d、改質用空気供給管135、水供給管137を、燃料電池106の側面まで引き回し、該側面を貫通させ、燃料電池106の側面を介して、発電用空気、被改質ガス、改質用空気、水を供給するようにしても良い。この場合には、空気供給管54、被改質ガス供給管82a〜82d、改質用空気供給管135、水供給管137が高い位置に存在するため、該配管のメンテナンスを容易に行うことができるとともに、燃料電池106の側壁を開閉可能とすることにより、燃料電池106内部のセルスタックのメンテナンスも行うことができる。尚、図8では、燃料電池106の一方側側面を貫通するように、発電用空気供給管54、被改質ガス供給管82a〜82d、改質用空気供給管135、水供給管137を、燃料電池106の側面まで引き回した例について説明したが、本発明では、燃料電池106の両側面に引き回しても良い。
尚、空気ブロア112の設置位置は特に限定するものではなく、例えば、ガス供給装置108と電力変換装置111との間に設置しても良い。特に、空気を、電力変換装置111に対して加圧供給するように配置した場合、可燃性反応ガス漏洩時に、漏洩ガスの電力変換装置111への接触を防止する効果が大きくなり望ましい。特に、燃料ガスとして空気より重いプロパンガス等を使用する場合に有効である。
本発明の燃料電池発電装置に用いられる燃料電池を示す断面図。 図1の平面図。 図1の燃料電池組立体に使用されている発電ユニット集合体を示す斜視図。 図3の発電ユニットを示す斜視図。 図3のセルスタックを示す断面図。 本発明の燃料電池発電装置の模式図。 本発明の他の燃料電池発電装置の模式図。 本発明のさらに他の燃料電池発電装置の模式図。
符号の説明
2:ハウジング
12:発電・燃焼室
56a、56b、56c及び56d:発電ユニット
58a、58b、58c及び58d:燃料ガスケース
60a、60b、60c及び60d:セルスタック
62:燃料電池セル
78a、78b、78c及び78d:改質ケース(燃料改質器)
103:ケース
106:燃料電池
108:ガス供給装置
113:水供給装置
112:空気ブロア
111:電力変換装置

Claims (9)

  1. 体酸化物形の燃料電池セルおよび該燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成する燃料改質器をハウジング内に備えてなる燃料電池と、前記燃料改質器に被改質ガスを供給するガス供給装置と、前記燃料改質器に水を供給するための水供給装置と、前記燃料電池で発生した直流電力を電源出力仕様に変換して外部負荷に供給する電力変換装置とをケース内に具備してなる燃料電池発電装置において、
    前記ケースは仕切部材により上部と下部とに区画され、前記ケースの上部に、前記燃料電池が配置されており、前記ケースの下部に、前記電力変換装置、前記水供給装置及び前記ガス供給装置が、前記電力変換装置と前記水供給装置との間に前記ガス供給装置が位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池発電装置。
  2. 前記ケースの上部空間と前記燃料電池との隙間の空気を排出するブロアを有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電装置。
  3. 前記ガス供給装置は、前記燃料改質器に空気を供給する機能を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池発電装置。
  4. 前記電力変換装置の上方に、前記燃料電池に空気を供給する空気供給装置が設けられ、該空気供給装置により、前記電力変換装置周辺の空気が前記燃料電池に供給されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の燃料電池発電装置。
  5. 前記電力変換装置が収納容器内に収納され、該収納容器内の空気が空気供給装置により前記燃料電池に供給されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の燃料電池発電装置。
  6. 前記電力変換装置は、前記水供給装置よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池発電装置。
  7. 前記電力変換装置は、前記ケースの壁面に面していることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれかに記載の燃料電池発電装置。
  8. 前記ハウジングの下面を貫通して被改質ガス供給管、水供給管が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれかに記載の燃料電池発電装置。
  9. 前記ハウジングの側面を貫通して被改質ガス供給管、水供給管が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれかに記載の燃料電池発電装置。
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