JP4988668B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、長期間の使用においてもシャダー振動防止性能の低下が抑制され、かつ湿式クラッチ及び/又は湿式ブレーキの剥離防止に有効な、湿式クラッチ及び/又は湿式ブレーキを有する機械用潤滑油組成物、特に、自動変速機及び無段変速機の潤滑油として好適な変速機用潤滑油組成物に関する。
自動車に搭載される自動変速機、無段変速機の多くはトルクコンバータを有しており、潤滑油を介してエンジントルクが変速機に伝達される。トルクコンバータは構造上、入力側(エンジン側)と出力側(変速機側)に差回転がないと動力を伝達できず、この差回転が自動変速機、無段変速機の動力伝達効率を低下させる原因となっている。
最近、地球規模の環境問題を背景に炭酸ガス排出量の低減を目的として、自動車の省燃費化に対する要求はますます高くなっており、変速機にも従来に増して動力伝達効率の向上が求められている。その一手段として、近年はトルクコンバータにロックアップクラッチを内蔵し、潤滑油を介した動力伝達に加えて、走行条件に応じてエンジントルクを直接変速機構へ伝達する手法が多く用いられている。
しかし、ロックアップクラッチを作動させるとエンジンのトルク変動が乗り心地を悪化させることから、従来のロックアップ機構ではエンジンのトルク変動の少ない高速域においてのみロックアップクラッチを作動させ、低速域においては作動させていなかった。このため低速域においてはトルクコンバータの伝達ロスを防ぐことができず、燃費向上効果はさほど得られていなかった。
この伝達ロスを低減させるために、最近では低速域においてもロックアップクラッチを作動させ、エンジンのトルク変動をクラッチの相対すべりによって吸収するスリップ制御方式が導入されている。
しかし、クラッチをすべり制御する場合には、ロックアップクラッチの摩擦面でシャダーと呼ばれる異常振動が発生し、自動車の乗り心地を大きく損なうという問題が生じる。シャダーの発生防止にはロックアップクラッチにおいて、すべり速度(V)の増加に伴い摩擦係数(μ)が高くなるよう、μ−V特性を改良した潤滑油が求められている。
またクラッチをすべり制御する場合には、クラッチの使用頻度、摺動距離が増えるため、クラッチの剥離防止も重要な性能の一つとして扱われるようになっている。クラッチの剥離防止に関しては、クラッチの構成要素であるペーパー材の組成等が鋭意検討されているが、潤滑油にもクラッチの剥離防止性能が強く求められるようになっている。
一方、作業コストの低減、廃油処理量の削減という観点から、近年では変速機用潤滑油にも従来以上の長寿命化が求められており、クラッチのすべり制御に対応した潤滑油には、特に重要な性能であるシャダー防止性能、クラッチの剥離防止性能の長寿命化が強く求められている。
本発明の目的は、長期間の使用においてもシャダー防止性能を維持し、これにともなって従来以上に使用頻度が高くなるクラッチの剥離を防止できる、特に自動変速機及び無段変速用として、また、湿式クラッチ及び/又は湿式ブレーキを有する機械用として有用な、潤滑油組成物を提供することにある。
本発明によれば、潤滑油基油に、(A)式(1)で表される化合物(以下、(A)成分という)及び、(B)分子中に炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する、ホウ素含有量が0.4〜4質量%であるホウ素変性コハク酸イミド(以下(B)成分という)を、ホウ素量として50〜220質量ppm、並びに(B)成分以外の無灰分散剤を潤滑油組成物全量基準で0.1〜10質量%配合してなることを特徴とする湿式クラッチ及び/又は湿式ブレーキを有する機械用潤滑油組成物が提供される。
Figure 0004988668
(式中、R1及びR2は同一若しくは異なる基であって、炭素数8〜30の炭化水素基を示す。R3及びR4は同一若しくは異なる基であって、炭素数1〜4の炭化水素基を示す。nは0〜6の整数である。)
また本発明によれば、上記潤滑油組成物を含む、自動変速機及び/又は無段変速機用潤滑油組成物が提供される。
更に本発明によれば、スリップ制御式ロックアップクラッチを有する自動変速機及び/又は無段変速機の潤滑油組成物として、上記潤滑油組成物を用いることを特徴とする、該スリップ制御式ロックアップクラッチにおけるシャダー振動防止性能の低下抑制並びに該クラッチの剥離防止方法が提供される。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基油に、前記(A)成分と(B)成分とを併用して配合し、且つ(B)成分の配合割合を特定割合としているので、長期間の使用においてもシャダー防止性能を維持し、これにともなって従来以上に使用頻度が高くなるクラッチの剥離が防止できる。従って、特に湿式クラッチのすべり制御機構を有する機械用、自動変速機及び無断変速機用の潤滑油組成物として好適である。
以下、本発明の内容をさらに詳細に説明する。
本発明の潤滑油組成物における(A)成分は、上記式(1)で示される含窒素化合物であって、アルキルコハク酸無水物やアルケニルコハク酸無水物、若しくはこれとポリアミンとを構成単位として含む化合物である。
式(1)において、R1及びR2は、同一若しくは異なる基であって、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数8〜30の飽和又は不飽和炭化水素基である。該炭化水素基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、オレイル基等が例示できるがこれに限定されない。特に好ましい、炭素数12〜25の炭化水素基が挙げられる。R1及びR2の炭素数が8未満及び30を越える場合には、得られる潤滑油のシャダー振動防止性の向上効果が十分でない。
3及びR4は、同一若しくは異なる基であって、炭素数1〜4の炭化水素基、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。R3及びR4の炭素数が4を越える場合には、得られる潤滑油のシャダー振動防止性の向上効果が十分でない。
nは0〜6の整数、好ましくは1〜4の整数である。nが6を越える場合には、得られる潤滑油のクラッチの摩擦係数が著しく低下する。
前記(A)成分は、上述した化合物の中から任意に選択される1種又は2種類以上配合することができる。
本発明の潤滑油組成物において、(A)成分の配合量は任意であるが、好ましくは潤滑油組成物全量基準で、0.01〜6質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。(A)成分の配合割合が0.01質量%未満ではシャダー振動防止性の向上効果が十分でないおそれがあり、(A)成分の配合量が6質量%を越える場合にはクラッチの摩擦係数が低下するおそれがあるので好ましくない。
本発明に用いる(B)成分は、分子中に炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有する、ホウ素含有量が0.4〜4質量%であるホウ素変成コハク酸イミドである。潤滑油組成物への配合は、これらの中から任意に選択された1種又は2種以上が配合できる。
前記(B)成分におけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でも良く、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマー;エチレンとプロピレンとのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
前記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は、(B)成分の潤滑油基油に対する溶解性が低下するおそれがある。一方、前記アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化するおそれがある。
上記(B)のコハク酸イミドとしては、例えば、式(2a)又は式(2b)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0004988668
(式(2a)中、R1は炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、aは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。式(2b)中、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、bは0〜4、好ましくは1〜3の整数を示す。)
なお、コハク酸イミドとしては、イミド化に際しポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、式(2a)のようないわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、式(2b)のようないわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがあるが、(B)成分としては、そのいずれでも、またこれらの混合物でも使用可能である。
前記コハク酸イミドの誘導体としては、例えば、前記コハク酸イミドに、炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を反応させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるカルボン酸変性化合物や、前記コハク酸イミドに硫黄化合物を作用させた硫黄変性化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の(B)成分は、上述のコハク酸イミド又はそれらの誘導体をホウ素化合物で変性した無灰分散剤である。
上述のコハク酸イミド又はそれらの誘導体のホウ素化合物による変性の方法は何ら限定されず、任意の方法が可能であるが、例えば、上述のコハク酸イミド又はそれらの誘導体に、ホウ酸、ホウ酸塩又はホウ酸エステル等のホウ素化合物を作用させて、上述のコハク酸イミド又はそれらの誘導体中に残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化する方法等が挙げられる。
前記ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、テトラホウ酸等が挙げられる。
前記ホウ酸塩としては、例えば、ホウ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。具体的には、例えば、メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム、過ホウ酸リチウム等のホウ酸リチウム;メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等のホウ酸ナトリウム;メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等のホウ酸カリウム;メタホウ酸カルシウム、二ホウ酸カルシウム、四ホウ酸三カルシウム、四ホウ酸五カルシウム、六ホウ酸カルシウム等のホウ酸カルシウム;メタホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム、六ホウ酸マグネシウム等のホウ酸マグネシウム;メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
前記ホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸と、好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステルが挙げられる。具体的には、例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が挙げられる。
前述の(B)成分は、特に、クラッチの剥離防止性の向上効果に優れる点から好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、(B)成分の含有量の下限値は、潤滑油組成物全量基準で、(B)成分中のホウ素元素換算量で、50質量ppmである。一方、その含有量の上限値は、潤滑油組成物全量基準で、(B)成分中のホウ素元素換算量で、220質量ppmである。前記(B)成分の含有量が20質量ppm未満の場合は、(B)成分配合によるクラッチの剥離防止性の向上効果に乏しく、一方、前記(B)成分の含有量が、350質量ppmを超える場合は、潤滑油組成物のシャダー防止性能の維持性が悪化する。
前記(B)成分として、ホウ素を含有しない無灰分散剤のみを用いた場合は、クラッチの剥離防止性効果が十分でない。(B)成分中のホウ素含有量の下限値は、0.4質量%である。一方、その含有量の上限値は、4質量%、好ましくは2.5質量%である。(B)成分中のホウ素量が0.2質量%未満の場合、このような(B)成分を、上述の(B)成分の含有量における下限値に達する量まで潤滑油組成物中に配合するには、(B)成分の配合量を多くする必要があり、得られる潤滑油の低温流動性が悪化するおそれがあり、またホウ素量が4質量%を越える場合は、(B)成分自体の安定性(ホウ酸の遊離し易さ)に問題が生じるおそれがあるので好ましくない。
本発明の潤滑油組成物に用いる潤滑油基油は、通常の潤滑油の基油として用いられる任意の鉱油及び/又は合成油が使用できる。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用できる。
合成油としては、特に制限はないが、例えば、ポリ−α−オレフィン(1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)及びその水素化物、イソブテンオリゴマー及びその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が使用できる。
潤滑油基油の動粘度は、特に限定されず任意であるが、通常、100℃における動粘度は、好ましくは1〜10mm2/s、より好ましくは2〜8mm2/sである。
本発明においては、潤滑油基油に(A)成分及び(B)成分を併用して配合するだけで、シャダー防止性能の維持性に優れ、かつクラッチの剥離防止性に優れた潤滑油組成物が得られるが、その性能をさらに向上させる目的、また所望の他の性能を付与するため等に、必要に応じて、例えば、(A)成分以外の摩擦調整剤、(B)成分以外の無灰分散剤、リン系添加剤、極圧添加剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、着色剤等に代表される各種添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて組成物中に配合することもできる。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な前記(A)成分以外の摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩又はこれらの混合物等が挙げられる。
前記アミン化合物としては、例えば、炭素数6〜30の直鎖状若しくは分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪族モノアミン、直鎖状若しくは分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪族ポリアミン、又はこれら脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
前記脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数7〜31の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸と、脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
前記脂肪酸アミドとしては、例えば、炭素数7〜31の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸と、脂肪族モノアミン又は脂肪族ポリアミンとのアミド等が挙げられる。
前記脂肪酸金属塩としては、例えば、炭素数7〜31の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸の、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)や亜鉛塩等が挙げられる。
本発明において、前記摩擦調整剤の配合割合は任意であるが、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜5.0質量%、好ましくは0.03〜3.0質量%であるのが望ましい。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な前記(B)成分以外の無灰分散剤としては、潤滑油用の無灰分散剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドのホウ素化合物以外による変性物又はこれらの混合物等が挙げられる。
前記アルキル基又はアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状でもよいが、具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマー、エチレンとプロピレンとのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
このアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、通常40〜400、好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合はこの(B)成分以外の無灰分散剤の潤滑油基油に対する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を越える場合は、得られる潤滑油の低温流動性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
前記含窒素化合物の誘導体としては、例えば、前述したような含窒素化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆる酸変性化合物;前述したような含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた硫黄変性化合物;前述したような含窒素化合物に、酸変性、硫黄変性から選ばれた2種以上の変性を組み合わせた変性化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
前記(B)成分以外の炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体としては、具体的に、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいはその誘導体、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはその誘導体が挙げられる。
上記ベンジルアミンとしては、例えば、式(3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0004988668
(式中、R 4 は炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、cは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。)
式(3)で示されるベンジルアミンの製造法は何ら限定されず、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンをフェノールと反応させてアルキルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドとジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンとをマンニッヒ反応により反応させる方法等により得ることができる。
上記ポリアミンとしては、例えば、式(4)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0004988668
(式中、R 5 は炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、dは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。)
式(4)で示されるポリアミンの製造法は何ら限定されず、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩素化した後、これにアンモニヤや、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンを反応させる方法等により得ることができる。
本発明において、前記(B)成分以外の無灰分散剤の配合割合は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.1〜10質量%が望ましい。
本発明の潤滑油組成物に併用可能なリン系添加剤としては、潤滑油用のリン系添加剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸トリエステル類、及びこれらのエステル類と、アミン類あるいはアルカノールアミン類との塩又はこれらの混合物等が使用できる。
本発明において、前記リン系添加剤の配合割合は特に限定されないが、潤滑油組成物全量基準で、通常、リン元素として0.005〜0.2質量%が好ましい。リン元素として0.005質量%未満の場合は、耐摩耗性に対する効果改善が十分でなく、0.2質量%を超える場合は、酸化安定性の効果改善が悪化するため、それぞれ好ましくない。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な極圧添加剤としては、潤滑油用の極圧添加剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等の硫黄系化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において、前記極圧添加剤の配合割合は任意であるが、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜5.0質量%が望ましい。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルフォネート、フェネート、サリシレート、ナフテネート又はこれらの混合物等が挙げられる。
前記アルカリ金属としては、ナトリウムやカリウムが、前記アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が例示される。
具体的な金属系清浄剤としては、例えば、カルシウム又はマグネシウムのスルフォネート、フェネート、サリシレート又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において、金属系清浄剤の全塩基価及び配合割合は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択することができる。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な酸化防止剤としては、フェノール系化合物やアミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されているものであれば使用可能である。
具体的には、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;メチレン−4,4−ビスフェノール(2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール)等のビスフェノール類;フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン類;ジアルキルジフェニルアミン類;ジ2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛等のジアルキルジチオリン酸亜鉛類;(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)脂肪酸(プロピオン酸等)と、1価又は多価アルコール、例えばメタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等とのエステル又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において、前記酸化防止剤の配合割合は任意であるが、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜5.0質量%が望ましい。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な腐食防止剤としては、潤滑油用の腐食防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において、前記腐食防止剤の配合割合は任意であるが、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜3.0質量%が望ましい。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な消泡剤としては、潤滑油用の消泡剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能である。例えば、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類又はこれらの混合物が挙げられる。
本発明において、前記消泡剤の配合割合は任意であるが、潤滑油組成物全量基準で、通常0.001〜0.05質量%が望ましい。
本発明の潤滑油組成物に併用可能な着色剤は任意であり、また任意の量を含有させることができるが、潤滑油組成物全量基準で、通常0.001〜1.0質量%が望ましい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
参考例、実施例1〜、比較例1〜4
表1に示す組成に従い、本発明に係る変速機用潤滑油組成物(実施例1〜)を調製した。これら組成物について、以下に示すシャダー寿命試験、クラッチ剥離試験を行い、シャダー防止性能の寿命、クラッチの剥離防止性の評価を行なった。結果を表1に示す。
比較のため、表2に示す組成に従い、組成物(比較例1〜4)を調製した。これらの組成物についても上記と同様の試験及び評価を行なった。結果を表2に示す。
<シャダー寿命試験>
JASO M349-98に規定する「自動変速機油シャダー防止性能試験方法」に準拠して低速滑り試験を行い、同試験法に規定されている基準油の寿命と実施例及び比較例の寿命との比により、シャダー防止性能の維持性を評価した。
寿命が基準油以上(120h以上)であれば、その潤滑油組成物はシャダー防止性能の寿命が優れていると判断し、基準油の4倍(480h)を越える場合には試験を打ち切った。
<クラッチ剥離試験>
JASO M348-95に規定する「自動変速機油摩擦特性試験方法」に準拠してSAE No.2試験を行い、ペーパー摩擦材に剥離が生じるまでのサイクルを剥離寿命と定義して、実施例及び比較例のクラッチの剥離防止性を評価した。
剥離の生じるサイクルが5000サイクル以上であれば、その潤滑油組成物はクラッチの剥離防止性が優れていると判断し、10000サイクルを越える場合には試験を打ち切った。
Figure 0004988668
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表1及び表2の結果から明らかな通り、本発明に係る実施例1〜の潤滑油組成物は、いずれもシャダー防止性能の寿命が基準油の4倍以上と長く、シャダー防止性能の維持性に優れている。また、実施例1〜のいずれの潤滑油組成物とも、クラッチの剥離が発生するサイクルが10000サイクルを越えており、クラッチの剥離防止性に優れている。
それに対して、ホウ素変性無灰分散剤の配合割合が本発明の割合より少ない場合(比較例1)は、クラッチの剥離が発生するサイクルが5000サイクルに満たず、クラッチの剥離防止性に劣ること、ホウ素変性分散剤の配合割合が本発明の割合を越える場合(比較例2)は、シャダー防止性能の寿命が基準油よりも短く、シャダー防止性能の維持性に劣ること、(A)成分を含まない場合(比較例3)は、シャダー防止性能の寿命が基準油よりも短く、シャダー防止性能の維持性に劣ること、(A)成分の炭化水素基が本発明の範囲から外れる場合(比較例4)は、シャダー防止性能の寿命が基準油よりも短く、シャダー防止性能の維持性に劣ることが、それぞれ判る。

Claims (4)

  1. 潤滑油基油に、(A)式(1)で表される化合物及び、(B)分子中に炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する、ホウ素含有量が0.4〜4質量%であるホウ素変性コハク酸イミドを、ホウ素量として50〜220質量ppm、並びに(B)成分以外の無灰分散剤を潤滑油組成物全量基準で0.1〜10質量%配合してなることを特徴とする湿式クラッチ及び/又は湿式ブレーキを有する機械用潤滑油組成物。
    Figure 0004988668
    (式中、R1及びR2は同一若しくは異なる基であって、炭素数8〜30の炭化水素基を示す。R3及びR4は同一若しくは異なる基であって、炭素数1〜4の炭化水素基を示す。nは0〜6の整数である。)
  2. 請求項1記載の潤滑油組成物を含む、自動変速機及び/又は無段変速機用潤滑油組成物。
  3. スリップ制御式ロックアップクラッチを有する無段変速機用である請求項2記載の潤滑油組成物。
  4. スリップ制御式ロックアップクラッチを有する自動変速機及び/又は無段変速機の潤滑油組成物として、請求項2記載の潤滑油組成物を用いることを特徴とする、該スリップ制御式ロックアップクラッチにおけるシャダー振動防止性能の低下抑制並びに該クラッチの剥離防止方法。
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