JP4986967B2 - 盛土構造 - Google Patents
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Description
或いは、河川や海岸において、水流や波などによって河川敷や岸辺が浸食されるのを護岸するために、盛土によって補強のための構造物を構築することが採用されている。
或いは、斜面の崩落防止のために、斜面に沿って盛土を行うことがある。
これら盛土による施工方法を図11に示す。
これら盛土による施工では、エキスパンドメタルなどから成る側面図bと底面部cから成る断面L字形の壁面材aを使用し、これを構造物の表面となる位置に起立し、その背面側に盛土dを行う。
その盛土dの上に、同じく断面L字形の壁面材aを設置して、その背後に更に盛土bを行うものである。
上下の盛土dと盛土dとの間には、ジオグリッドなどから成る盛土補強材eを敷設して盛土を補強し、また壁面材aの倒れを防止するために、この盛土補強材eを壁面材aの底面部cと連結する。
従って、壁面材aを設置する前に、盛土dの上の細かな地ならしが不可欠であった。
また盛土dが何らかの原因で沈下した場合、L字形の底部に力が作用して、剛性の高いつま先部(屈曲部分)に力が集中して回転し易くなり、壁面材aが変形してしまうことがある。
更に、底面部cの上に大量の水が溜まって流れると、その水が盛土d表面側に流れて、吸出しという現象を起こし、土砂を流し出してしまうことがあった。
更に、壁面の一部を損傷した場合、その部分の壁面材aを取替えようとしても、盛土補強材eと連結してあるため、その部分だけの壁面材aを取替えるだけでも大規模な工事が必要である。
更に、本発明にかかる他の盛土構造は、前記控部材が控ベルト若しくは控棒であるものである。
<a>最下部に設置する壁面材以外は、側面部のみから成る平板状の壁面材を使用し、これをその下の壁面材の延長方向にオーバーラップさせて連結するため、盛土の凹凸に影響を受けず、正確な地ならしをしなくとも、堤体や護岸構造物の壁面の出来形(勾配)の精度を得ることが出来る。
<b>上下の壁面材の一部をオーバーラップさせて連結し、断面強度を増加させたため、盛土施工時の壁面材の座屈が抑制できる。
<c>最下部に設置する壁面材以外は、側面部のみから成る平板状の壁面材を使用するため、盛土が沈下しても、壁面材がそれによって影響を受けるようなことがない。
<d>最下部に設置する壁面材以外は、側面部のみから成る平板状の壁面材を使用するため、盛土面に水が溜まって土砂などの吸い出しなどが発生しない。
<e>壁面材を控ベルトを使用して盛土に固定ピンによって固定し、盛土補強材と連結しないことで、施工が簡易となる。
<f>壁面材を盛土補強材と連結しなければ、損傷した部分の壁面材のみ取替えれば良く、補修作業は著しく容易となる。
<g>上部壁面材は、側面部のみであって、底面部がない分だけ材料を少なくして、施工を安価にできる。
<h>板部の一方の表面に環状のリング部を、他方の表面に、先端が上方に突出するフック部を備える接続具を使用して、エキスパンドメタルから成る壁面材を上下にオーバーラップさせて連結し、壁面材を延長する作業が容易に行える。
基部壁面材1は、エキスパンドメタルを屈曲して形成した側面部2と底面部3から成る断面略L字形の部材である。
この基部壁面材1を、地形4の上に設置する。
基部壁面材1の底面部3には、壁面材1の背後の地形4の上に敷設した盛土補強材5を敷き重ねて、両者を結束などして連結する。
盛土補強材5は、盛土14を一体化して補強するための部材であって、公知のジオテキスタイルやジオグリッドの他、防錆処理した金網材なども使用可能である。
基部壁面材1は、構築する堤体などに沿って複数を並べ、隣り合う壁面材1・1の一部を重ね合わせて、剛性を高めている。
基部壁面材1の側面部2の上方に延長するように、上部壁面材6を連結する。
上部壁面材6は、エキスパンドメタルから成る側面部7のみの平板状の部材である。
基部壁面材1の上端部に沿って、上部壁面材6の下部をオーバーラップさせ、基部壁面部1の側面部2の上方に、その側面部2を延長するように上部壁面材6を配設する。
この実施例では、壁面材1・6はエキスパンドメタルによって形成してあるが、その他、金網材、有孔鋼板、などによって形成してもよい。
基部壁面材1の側面部2と、上部壁面材6の側面部7とは、図3〜図5に示すような接続具8によって接続する。
接続具8は、平板9の一方の表面に環状のリング部10を、他方の表面に先端が上方に向けて突出するフック部11を備えている。
このような接続具8のリング部10を、壁面材1のエキスパンドメタルを構成する線材に被せ、フック部11を壁面材1の背面側に突出させる。
壁面材1の背面側に沿って植生シート12を配し、壁面材1の側面部2と植生シート12を挟み込むように、断面コ字形金属製の長尺の取付部材13を側面部2の上縁に取り付けて固定する。
前記した接続具8のフック部11は、植生シート12の裏側に突出させる。
植生シート12としては、不織布や紙、合成樹脂シートなどに種子を付着させたようなものが使用できる。
基部壁面材1の背面に盛土14を施す。
上部壁面材6の側面部7の網目に、接続具8のフック部11を引掛けて、フック部11が上部壁面材6の背面側に位置するようにして上部壁面材6を背面側から支え、基部壁面材1の上方に上部壁面材6を連結する。
上部壁面材6は、底面部を有さないため、盛土14の表面の凹凸に左右されずに、勾配を正確に維持することが容易である。
上部壁面材6の網目のいずれかに、二つ折りした控ベルト15の折返し部分を掛けて、重なり合った二端を盛土14上に伸ばす。
この控ベルト15を貫通して固定ピン16を盛土14に刺して固定する。
控ベルト15の材質としては、天然繊維や合成樹脂などを製織した繊維製のベルトが使用可能である。
控ベルト15の先端よりも更に奥には、盛土14上に盛土補強材5を敷設する。
盛土補強材5の端部と上部壁面材6とは連結していない。
上部壁面材6の背面に盛土14を施して、控ベルト15や盛土補強材5を埋設する。
控ベルト15を盛土14の重量によって押さえることで、上部壁面材6が倒れることを防ぐ。
また、上部壁面材6は底面部を有していないため、盛土14を積み上げても、その荷重によって壁面材6が屈曲したり、その部分に水が溜まって土砂の吸出しが発生することがない。
控ベルト15の他に、棒状の被控棒も同様に使用できる。
更に盛土14を積み上げる場合は、前記した上部壁面材6の上に、前記した要領で接続具8を使用して積み上げ、控ベルト15の固定、盛土補強材5の敷設を行う。
壁面材1・6を河川岸に沿って配置して、既述の要領で盛土14すれば、図6に示すように護岸構造物Aとなる。
壁面材1・6を、斜面下に沿って向き合わせて設置し、既述の要領で盛土14を行えば、落石などを止める堤体Bとなる。
接続具8は、長尺の鋼板をほぼ断面S字形に屈曲させたもので、相反する二方向に開口する差込部17・17を有している。
この差込部17・17のうち下側に開口する差込部17に、基部壁面材1か下方の上部壁面材6を差し込み、上側に開口する差込部17に、上部壁面材6を差し込んで、連結してある。(図9)
B:堤体
C:クリアランス
1:基部壁面材
2:側面部
3:底面部
4:地形
5:盛土補強材
6:上部壁面材
7:側面部
8:接続部
9:平板
10:リング部
11:フック部
12:植生シート
13:取付部材
14:盛土
15:控ベルト
16:固定ピン
17:差込部
18:結束線
Claims (3)
- 側面部と底部とから成るエキスパンドメタル製の断面略L字形の基部壁面材と、
エキスパンドメタル製の側面部のみから成る平板状の上部壁面材と、
板部の一方の表面に環状のリング部を、他方の表面に先端が上方に突出するフック部を備える接続具と、を使用し、
前記基部壁面材の上端部に沿って、前記上部壁面材を配置し、
前記接続具のリング部を下方の壁面材のメタル線材に被せ、前記フック部に、上方の壁面材の網目を通して支え、上下の壁面材の一部をオーバーラップさせて連結することによって断面強度を増加させ、
上部壁面材は、控部材によって盛土と固定し、
必要があれば、上部壁面材の上端部に沿って、更に上部壁面材を下方の上部壁面材の上方に延長するよう連結し、
各壁面材の背面側には順次盛土し、
上下の盛土間には盛土補強材を敷設してなる盛土構造。 - 側面部と底部とから成るエキスパンドメタル製の断面略L字形の基部壁面材と、
エキスパンドメタル製の側面部のみから成る平板状の上部壁面材と、
上下に開口する差込部を有する断面S字形の接続具と、を使用し、
前記基部壁面材の上端部に沿って、前記上部壁面材を配置し、
下方と上方の壁面材を、前記接続具の上下の差込部に差し込み、上下の壁面材の一部をオーバーラップさせて連結することによって断面強度を増加させ、
上部壁面材は、控部材によって盛土と固定し、
必要があれば、上部壁面材の上端部に沿って、更に上部壁面材を下方の上部壁面材の上方に延長するよう連結し、
各壁面材の背面側には順次盛土し、
上下の盛土間には盛土補強材を敷設してなる盛土構造。 - 前記控部材が控ベルト若しくは控棒である請求項1または2に記載の盛土構造。
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