JP4986039B2 - 外壁パネルの取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、PC(プレキャストコンクリート)パネル等の外壁パネル(カーテンウォールとも呼ばれる)を建物の躯体に取り付けるための外壁パネルの取付構造に関するものである。
この種の外壁パネルを建物の躯体に取り付ける場合、矩形平板状に形成された外壁パネルを、建物の躯体の上階部分と下階部分との間の層間に対応させた上下位置で、取付金物などを使用して躯体の梁部に取り付けている。
外壁パネルは、工場などで型枠にコンクリートを流し込んで製造されており、上部と下部の各2箇所に取付金物(ファスナ)が固定されている。そして、それらの取付金具を、梁側に設けた受け金物にボルト等で結合することによって、外壁パネルを躯体に取り付けている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
特開2001−164684号公報 特開平9−195427号公報
ところで、従来の外壁パネルの取付構造では、外壁パネルの上部2箇所と下部2箇所の全てを躯体にボルト等で結合しているので、取付作業が面倒であった。また、1枚の外壁パネルに4つの取付金物を設ける必要があったので、コストがかかるという問題があった。
本発明は、上記事情を考慮し、外壁パネルの取付作業の手間を減らせると共に、構成の簡略化によるコスト低減を図れるようにした外壁パネルの取付構造を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、建物の躯体に対する外壁パネルの取付構造において、前記外壁パネルの上部内面のパネル幅方向に離間した少なくとも2箇所に、該外壁パネルの面内方向の位置を調整する調整機構を備えた吊り金物を設けて、これら吊り金物を、建物の躯体に取り付けた受け金物に係合させることで、前記外壁パネルを吊り支持すると共に、前記外壁パネルの下端を、その下側に先行して建て込んだ外壁パネルの上端に、上下の外壁パネルの面内方向の相対移動を許容し且つ面外方向の相対移動を規制する係合金物を介して上下方向に噛み合わせるべく、前記係合金物を前記外壁パネルの下部内面に前記吊り金物と互いに干渉しない位置に設け、前記吊り金物は、建て込むべき前記外壁パネルの下端を案内しながら受け入れるためのベースプレートを有して該ベースプレートの上端部が前記躯体側に斜めに曲がった傾斜案内部とされ、前記係合金物は、先行して建て込んだ外壁パネルの上端と噛み合わせるための係合プレートを有して該係合プレートの下端部が前記躯体側に斜めに曲がった傾斜案内部とされたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、外壁パネルの上部に設けた吊り金物を建物の躯体に設けた受け金物に係合させ、同時に外壁パネルの下端を、その下側に先に建て込んだ外壁パネルの上端に係合金物を介して噛み合わせるだけで、容易に外壁パネルを建物の躯体に固定することができ、作業の簡素化が図れる。また、下部の係合金物は、上下の外壁パネルの面外方向の相対移動を規制する機能を有するだけでよいので、構成を簡略化することができ、コスト低減が図れる。また、外壁パネルの下端の噛み合わせは、上方からの吊り降ろしで可能であり、上部の吊り金物と受け金物の係合は、躯体の梁上部からの作業だけで可能であるから、妻外壁二重壁部などの手の入らない部分での取付施工も可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の外壁パネルの取付構造の概要を示す正面図、図2は図1のII部分の詳細拡大図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図3のIV−IV矢視断面図、図5は図2のV−V矢視断面図である。
この実施形態の取付構造では、図1に示すように、外壁パネル10の上端の内面のパネル幅方向に離間した2箇所に吊り金物30を設けると共に、外壁パネル10の下端の内面のパネル幅方向に離間した2箇所に係合金物60を設けている。上下の外壁パネル10の係合金物60と吊り金物30は、互いに干渉しない位置にある。
図3は、建物の躯体1と外壁パネル10と吊り金物30の関係を示している。躯体1側の構成について述べると、1Aは梁、1Bは床スラブ、1Cは内側壁体であり、内側壁体1Cの外面には断熱材2が貼り付けられている。また、外壁パネル10側の構成について述べると、11はプレキャストコンクリート、12はその外面に設けられた化粧板、13はコンクリート内部の鉄筋である。
躯体1の梁1Aの外表面には、アンカー21をコンクリート内部に埋設することで、ベースプレート22が固定されており、このベースプレート22上に、受け金物20の主要部品としての荷重受けアングル23が固定されている。荷重受けアングル23は、一方のフランジをボルト24でベースプレート22上に仮止めし、その状態で同フランジをベースプレート22上に溶接することによって、ベースプレート22に固定されており、それにより、他方のフランジの外面を、上側に向けて略水平に配している。荷重受けアングル23には、仮止め用のボルト24の締結の邪魔にならない範囲で、必要に応じて、フランジ補強用のリブ(符号省略)が設けられている。
図2〜図4に示すように、荷重受けアングル23の上面(前記他方のフランジの外面)には、長孔25aを有した肉厚の固定プレート25が溶接により固定されている。固定プレート25の長孔25aは、外壁パネル10の面内水平方向に長く形成されており、長孔25aにネジ軸34(後述)が挿入された際に、そのネジ軸34の面内水平方向への調整代を確保すると同時に、外壁パネル10の面外方向(図3の矢印A・B方向)へのネジ軸34の移動を規制する働きをなす。
外壁パネル10側の吊り金具30は、アンカー31をプレキャストコンクリート11内部に埋設することで外壁パネル10の内面に固定されたベースプレート32と、ベースプレート32上にブラケット(符号省略)を介して固定され、上下方向に軸線を向けて配置された長ナット33と、長ナット33に上方から下方へ向けて螺合挿入されたネジ軸34と、長ナット33の下側に突き出したネジ軸34の下端側に装着された位置決めプレート35と、から構成されている。ここでは、固定プレート25の長孔25aとネジ軸34と長ナット33が面内方向の調整機構を構成している。
ネジ軸34の上端には、工具で回転操作するための四角頭部34aが加工されている。また、位置決めプレート35は、ネジ軸34を挿通するための円形の貫通孔35aを有しており、固定プレート25の上面に載置した状態で固定プレート25上に溶接できる大きさに形成されている。
吊り金物30のベースプレート32は、後から建て込む上側の外壁パネル10の下端と噛み合う係合金物(下端側の係合金物60の係合プレート65と同様の役割をなす)を兼ねており、ベースプレート32の上端が、上側の外壁パネル10の下端をスムーズに案内しながら受け入れられるように斜めに曲がった傾斜案内部32aとなっている。なお、外壁パネル10の下端の内面には、吊り金物30のベースプレート32と対向する位置に、アンカー41で固定された当板42が設けられている。
また、図5に示すように、外壁パネル10の下端の内面に設けられた係合金物60は、上方から外壁パネル10を吊り降ろした際に、吊り降ろした外壁パネル10の下端を、先に建て込んである外壁パネル10の上端と噛み合わせるためのものであり、外壁パネル10の下端内面に設けられたベースプレート63と、ベースプレート63に結合されると共にプレキャストコンクリート11中に定着されたスリーブ64と、スリーブ65に螺合締結されたボルト66によりベースプレート63上に固定された係合プレート65と、から構成されている。この場合も、係合プレート65の下端が、下側の外壁パネル10の上端にスムーズに案内されながら噛み合うように斜めに曲がった傾斜案内部65aとなっている。なお、外壁パネル10の上端の内面には、係合金物60の係合プレート65と対向する位置に、アンカー61で固定された当板62が設けられている。
次に、外壁パネル10の取付施工手順(方法)を説明する。
外壁パネル10を建物の躯体1に取り付けるには、まず、受け金物20としての荷重受けアングル23をボルト24で、梁1Aの外面に設けたベースプレート22に仮止めし、その状態で溶接により荷重受けアングル23をベースプレート22に固定する。次に固定プレート25を墨出しして、荷重受けアングル23の上に3辺溶接して固定する。
次いで、外壁パネル10をクレーンで吊り降ろして、吊り金物30のネジ軸34の下端を、固定プレート25の長孔25aに挿入する。このとき、ネジ軸34の先端を荷重受けアングル23の上に載せることで、外壁パネル10の荷重を荷重受けアングル23に預ける。これにより、外壁パネル10が躯体1に吊り支持されるので、クレーンを解放することができる。
また、ネジ軸34の下端を固定プレート25の長孔25aに挿入することで、外壁パネル10の上部の出入り寸法(図3中矢印A・B方向の位置)が決定する。この状態で、ネジ軸34を調整することにより、外壁パネル10の面内垂直方向(高さ方向)の位置調整を行い、また、長孔25aの長さの範囲で、外壁パネル10の面内水平方向の位置調整を行う。位置調整が終了したら、位置決めプレート35を固定プレート25に溶接する。こうすることで、外壁パネル10の上部の位置が確定する。
また、外壁パネル10の吊り降ろしの際に、図3に示すように、その下側に先行して建て込んである外壁パネル10の吊り金物30のベースプレート32の上端に、吊り降ろした外壁パネル10の下端内面を係合させると共に、図5に示すように、上方から吊り降ろす外壁パネル10の下端の係合プレート65を、その下側に先行して建て込んである外壁パネル10の上端内面に係合させ、上下の外壁パネル10を噛み合わせる。このように噛み合わせることにより、上下の外壁パネル10が、面内方向の相対移動を許容されつつ、面外方向の相対移動を規制される。つまり、上下の外壁パネル10がお互いに面外方向の移動を規制し合うことになる。ここで、各外壁パネル10の上端の位置は吊り金物30によって確定されているので、その上側の外壁パネル10の下端の位置も確定することになる。
以上により、実施形態の外壁パネルの取付構造が完成する。
この取付構造および取付施工方法では、外壁パネル10の上部に設けた吊り金物30を建物の躯体1に設けた受け金物20に係合させ、同時に外壁パネル10の下端を、その下側に先に建て込んだ外壁パネル10の上端に係合金物(係合プレート60およびベースプレート32が相当)を介して噛み合わせるだけで、外壁パネル10を建物の躯体1に固定することができるので、外壁パネル10の取付作業の簡素化が図れる。
また、下部の係合金物60は、上下の外壁パネル10の面外方向の相対移動を規制する機能を有するだけでよいので、構成を簡略化することができ、コスト低減が図れる。また、外壁パネル10の下端の噛み合わせは、上方からの吊り降ろしだけで可能であり、上部の吊り金物30と受け金物20の係合は、躯体1の梁1Aの上部からの作業だけで可能であるから、実施形態のような妻外壁二重壁部などの手の入らない部分での取付施工も可能となる。
本発明の実施形態の外壁パネルの取付構造の概要を示す正面図である。 図1のII部分の詳細拡大図である。 図2のIII−III矢視断面図である。 図3のIV−IV矢視断面図である。 図2のV−V矢視断面図である。
符号の説明
1 躯体
10 外壁パネル
20 受け金物
23 荷重受けアングル(受け金物)
25 固定プレート(受け金物)
25a 長孔(面内方向の調整機構)
30 吊り金物
32 ベースプレート
32a 傾斜案内部
33 長ナット(面内方向の調整機構)
34 ネジ軸(面内方向の調整機構)
60 係合金物
65 係合プレート
65a 傾斜案内部

Claims (1)

  1. 建物の躯体に対する外壁パネルの取付構造において、
    前記外壁パネルの上部内面のパネル幅方向に離間した少なくとも2箇所に、該外壁パネルの面内方向の位置を調整する調整機構を備えた吊り金物を設けて、これら吊り金物を、建物の躯体に取り付けた受け金物に係合させることで、前記外壁パネルを吊り支持すると共に、
    前記外壁パネルの下端を、その下側に先行して建て込んだ外壁パネルの上端に、上下の外壁パネルの面内方向の相対移動を許容し且つ面外方向の相対移動を規制する係合金物を介して上下方向に噛み合わせるべく、前記係合金物を前記外壁パネルの下部内面に前記吊り金物と互いに干渉しない位置に設け、
    前記吊り金物は、建て込むべき前記外壁パネルの下端を案内しながら受け入れるためのベースプレートを有して該ベースプレートの上端部が前記躯体側に斜めに曲がった傾斜案内部とされ、
    前記係合金物は、先行して建て込んだ外壁パネルの上端と噛み合わせるための係合プレートを有して該係合プレートの下端部が前記躯体側に斜めに曲がった傾斜案内部とされたことを特徴とする外壁パネルの取付構造。
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