JP4435013B2 - カーテンウォール - Google Patents

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本発明は、カーテンウォールに係わり、特に耐火ボードの取付け構造に関する。
コンクリート建築物において、下階からその上に隣接する上階への延焼を防止するため、外壁を構成するパネルの内側には、下階の天井部から上階側の床部より所定の高さまで突出するように、耐火ボードが、方立や無目により周囲を支持させて取付けられる。従来の耐火ボードは、無目および方立に鋼板を曲成したコ字形のブラケットを取付け、そのブラケットを介して耐火ボードの周囲を無目および方立に取付ける(例えば特許文献1参照)。
特開2002−371657号公報
前述した従来の耐火ボードの方立への取付けは、鋼板でなるブラケットを介して行なうため、ブラケットが必要であり、このブラケットの作製のため、鋼板を所定のサイズに切断しプレス加工を必要とし、コスト高になるという問題点がある。また、耐火ボードは珪酸カルシウム等で成形により作製されるが、1時間延焼に耐える厚みを有する35mm厚のものや、30分の延焼に耐えうる20mmまたは25mmの厚みがあるため、その厚みに対応するサイズのブラケットを用意しておく必要があり、部品の種類が多くなり、保管や組立が煩雑になるという問題点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、耐火ボードの方立側の固定が簡単かつ安価な部材で容易に行なえ、保管、組立も簡単になる固定手段を有するカーテンウォールを提供することを目的とする。
本発明のカーテンウォールは、躯体に固定されるファスナーと、ファスナーに固定されるブラケットと、このブラケットに取付けられるパネル取付け用方立と、パネルの室内側に横枠および方立により支持して取付けられる耐火ボードとを備え、
前記耐火ボードはその左右端部を方立の室内側に形成した受面と前記ブラケットとの間に嵌め込み、前記ブラケットに設けたねじ孔またはブラケットに固定したナットにねじ込んだ押さえボルトの一端を前記耐火ボードに圧接することにより、方立に固定される
ことを特徴とする。
本発明においては、ブラケットのねじ孔またはブラケットに固定するナットにねじ込むボルトと方立との間で挟み、ボルトを回すことでボルトを耐火ボードに圧接し固定する構造であるため、方立4に耐火ボードを固定するための専用のブラケットが不要になり、市販の安価なボルトを押さえボルトに使用して耐火ボードの固定を行なうことができる。また、押さえボルトのブラケットのねじ孔に対するねじ込み深さを調整することで種々の厚みの耐火ボードに対応できるため、耐火ボードの厚みが変わっても1種の取付け部材ですみ、部品保管や組立が容易となり、安価に実施することができる。
また、押さえボルトによって耐火ボードを方立に押しつけるため、耐火ボードと方立との間に隙間を生じることなく施工でき、延焼を防ぐための好適な構造が実現できる。
図1は本発明によるカーテンウォールの一実施の形態を示す正面図(室外側から見た図)、図2はその縦断面図である。1はガラス等でなるパネル、2、3はパネル1を支持する縦枠および無目である。縦枠2は方立4の室外側の面に取付けられる。方立4は鉄筋コンクリート製床部5に取付け装置6を介して取付けられる。無目3は方立4に取付けられ、横枠7は無目3の室内側の面に取付けられる。9はパネル1の室内側に設けられた珪酸カルシウム等でなる耐火ボードであり、下階から上階への延焼を防止するものであり、この耐火ボード9は上下端を横枠7および方立4に設けたブラケット10より支持し、左右の中間部を後述の機構により方立4に押しつけて取付けられる。
図3は前記取付け装置6を示す平面図、図4、図5はそれぞれ図3のA−A断面図およびB−B断面図である。図3〜図5に示すように、取付け装置6は、埋め込みファスナー11、位置調整用ファスナー12およびブラケット13により構成される。これらは床部5等の構築誤差や埋め込みファスナー11の施工誤差等が生じても方立4を所定の取付け位置に取付けることが可能となるように後述の位置調整機能を有している。埋め込みファスナー11は、アルミニウム合金製押出形材により作製される。位置調整用ファスナー12およびブラケット13も同様にアルミニウム合金製押出形材により作製される。
前記埋め込みファスナー11は、床部5の室外側角の上部に埋め込んで固定されるように、L字形をなすものである。図6の平面図と図7の側面図に示すように、埋め込みファスナー11の水平板部11aには、位置調整用ファスナー12の取付け用ボルト14の頭部14aを収容するための上面開口の溝11bを左右方向に形成する。溝11bの上面開口部には、互いに相手側に突出した突出部11cを形成し、その突出部11c、11c間に前記ボルト14を摺動自在に嵌める長孔11dを形成する。長孔11dの幅はボルト14のねじ部の直径よりわずかに広く、頭部14aの直径より狭い。また、突出部11cは、溝11bの長手方向の中央部において切除し、その切除部11eをボルト14の挿入部とする。
また、溝11bの底部には、アンカーボルト15を挿通する貫通孔11fを穿孔する。アンカーボルト15は、図4に示すように、頭部を下にして、先端を前記貫通孔11fに挿通し、溝11bに収容したナット16と溝11bの外で螺合したナット17との間で締結して埋め込みファスナー11に固定する。11gは床部5に対する固定強度を高めるためのアンカー片である。
18はコンクリートに埋め込む際に溝11bへのコンクリートの浸入を防止するための蓋であり、この蓋18は溝11bを形成した部分の両側に設けたタッピング溝11hにねじ込むタッピングねじ18aによって埋め込みファスナー11の両端に固定されて溝11bを閉塞する。
位置調整用ファスナー12は、前記ボルト14を挿通する2本の長孔12aを有する。位置調整用ファスナー12の取付け時には、前記ボルト14の頭部14aを、埋め込みファスナー11の突出部11cの切除部11eから挿入し、スライドさせて頭部14aを溝11b内に潜らせる。このボルト14の挿通、スライドは2本のボルト14について行ない、それぞれ溝11bの中央部の切除部11eから互いに反対側に間隔を持たせて保持させる。そして2本のボルト14に位置調整用ファスナー12の対応する長孔12aを嵌める。そして、位置調整用ファスナー12の左右方向の位置調整は、ボルト14を溝11bに沿ってスライドさせながら行ない、出入り方向の調整は、ボルト14に対して長孔12aをスライドさせて行なう。そして、最適の場所でボルト14にワッシャ19を嵌め、ナット20を螺合、締結して固定する。埋め込みファスナー11、位置調整用ファスナー12およびワッシャ19の少なくとも相互の接触面は凹凸を形成してボルト14、ナット20による締結状態における相互の滑りを防止する。
位置調整用ファスナー12の方立4側端部には上方に突出するU字形の曲成部12bを設け、その曲成部12bには、ブラケット13を取付けるボルト21を挿通するために出入り方向に貫通孔12cを設ける。一方ブラケット13の左右端部近傍には、その上下位置を調整可能に取付けるための上下方向に長い長孔13aを設ける。
23はブラケット13の上下位置を調整するための調整ボルトである。この調整ボルト23は、ブラケット13の左右方向の中央部に縦に設けたU字形の孔13bに差し込まれる。また、この調整ボルト23の孔13bへの挿入部の上下には、この調整ボルト23を固定するためのナット24、25を螺合する。このブラケット13の位置調整用ファスナー12への位置調整、固定は、前記位置調整用ファスナー12の位置調整と共に行なう。この高さ調整は、ブラケット13の締結用のボルト21を位置調整用ファスナー12の貫通孔12cに挿通してそのボルト21に、曲成部12b内に収容したナット26に緩くねじ込んでおき、また、前記ナット24、25を緩めておいて、孔13bに差し込んだ調整ボルト23の下端を位置調整用ファスナー12の曲成部12bの上面に当てた状態でその差し込み深さを変えることによってブラケット13の上下位置を、その締結用のボルト21に対して長孔13aをスライドさせながら調整する。そして、このブラケット13の高さを適正な高さに調整した後、ボルト21、ナット26の締め込みと、調整ボルト23のナット24、25との締め込みを行なうことにより、ブラケット13を位置調整用ファスナー12に固定する。
ブラケット13に対する方立4の取付けは、ブラケット13の突出部13bに貫通孔13cを設け、その貫通孔13cにボルト27を挿通すると共に、方立4に設けた貫通孔4aに挿通し、これにナット29を螺合し締結することにより行なう。
30は前記耐火ボード9を押さえるためのボルトであり、この押さえボルト30は、前記ブラケット13の上部の左右に設けたねじ孔13dに螺合し、先端側にナット31を螺合する。耐火ボード9の取付けの際には、押さえボルト30を予めブラケット13のねじ孔13cに、その頭部30aを方立4側に向けて深くねじ込んでおき、耐火ボード9の両端を方立4の室内側に設けた左右の受面4bとブラケット13との間に挿入して耐火ボード9の下端を横枠7および方立4に設けたブラケット10(図2参照)により支持させ、続いて押さえボルト30をそのねじ込み深さを浅くする方向に回してその頭部30aを耐火ボード9に圧接して耐火ボード9を方立4の受面4aに押しつける。この状態でナット31を閉めることにより、押さえボルト30をねじ孔13cとナット31とのダブルナット構造でブラケット13に固定する。耐火ボード9と床部5との間には蓋(図示せず)により閉塞する。
このように、本発明においては、ブラケット13のねじ孔13dにねじ込む押さえボルト30と方立との間で耐火ボード9を挟み、押さえボルト30を回すことで押さえボルト30を耐火ボード9に圧接し固定するようにしたので、方立4に耐火ボード9を固定するための専用のブラケットが不要になり、市販の安価なボルトを押さえボルト30に使用して耐火ボード9の固定を行なうことができる。また、押さえボルト30のブラケット13のねじ孔13dに対するねじ込み深さを調整することで種々の厚みの耐火ボードに対応できるため、耐火ボード9の厚みが変わっても1種の取付け部材ですみ、部品保管や組立が容易となり、安価に実施することができる。
また、押さえボルト30によって耐火ボード9を方立4に押しつけるため、耐火ボード9と方立4との間に隙間を生じることなく施工でき、延焼を防ぐための好適な構造が実現できる。
上記実施の形態においては、ブラケット13に押さえボルト30をねじ込むためのねじ孔13cを設けたが、その代わりにブラケット13に貫通孔を設けてその貫通孔と同心にナットを溶接して、そのナットに押さえボルト30をねじ込むようにしてもよい。また、上記実施の形態においては、耐火ボード9に対して押さえボル30の頭部30aを当接させることにより、耐火ボード9に押さえボルト30が食い込むことがないように構成したが、押さえボルト30の先端を耐火ボード9に当ててもよい。また、押さえボルト30の耐火ボード9への食い込みを防ぐために耐火ボード9に受面を構成する硬質の金属、プラスチックあるいはセラミック等からなる板材を設けてもよく、押さえボルト30の先端または頭部に耐火ボード9との当接面積を拡げる当接部材を嵌合や溶接等により取付けてもよい。
また、上記実施の形態においては、埋め込みファスナー11と位置調整用ファスナー12との2つのファスナーを設けた例について示したが、1つのファスナーを設ける場合にも本発明は適用可能である。その他、方立4、ブラケット13、耐火ボード9の具体的構造や取付け構造等について、上記実施の形態に限らず種々の変更、付加が可能である。
本発明のカーテンウォールの一実施の形態を示す正面図である。 本実施の形態のカーテンウォールの縦断面図である。 本実施の形態の方立の取付け装置を示す平面図である。 図3のA−A断面図である。 図3のB−B断面図である。 本実施の形態の埋め込みファスナーを示す平面図である。 本実施の形態の埋め込みファスナーの部分側面図である。
符号の説明
1:パネル、2:縦枠、3:無目、4:方立、5:床部、6:方立取付け装置、7:横枠、8:躯体、9:耐火ボード、10:ブラケット、11:埋め込みファスナー、11a:水平板部、11b:溝、11c:突出部、11d:長孔、11e:切除部、11f:貫通孔、11g:アンカー片、12:位置調整用ファスナー、12a:長孔、12b:曲成部、12c:貫通孔、13:ブラケット、13a:長孔、13b:孔、13d:ねじ孔、14:ボルト、14a:頭部、15:アンカーボルト、16、17:ナット、19:ワッシャ、20:ナット、21:ボルト、23:調整ボルト、24〜26:ナット、27:ボルト、30:押さえボルト、31:ナット

Claims (1)

  1. 躯体に固定されるファスナーと、ファスナーに固定されるブラケットと、このブラケットに取付けられるパネル取付け用方立と、パネルの室内側に横枠および方立により支持して取付けられる耐火ボードとを備え、
    前記耐火ボードはその左右端部を方立の室内側に形成した受面と前記ブラケットとの間に嵌め込み、前記ブラケットに設けたねじ孔またはブラケットに固定したナットにねじ込んだ押さえボルトの一端を前記耐火ボードに圧接することにより、方立に固定される
    ことを特徴とするカーテンウォール。
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