JP4984067B2 - フォトレジスト組成物用高分子化合物の合成方法 - Google Patents
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Description
本発明の高分子化合物の合成方法に用いる高分子化合物は、フォトレジスト組成物のベースポリマー用として用いるため、その重量平均分子量は通常2,000〜30,000、特に3,000〜20,000であるものが好ましく用いられる。また重合方法としては、基本的には如何なる重合方法でもよく、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等により得られたいずれのポリマーに対しても適用し得るが、特に分子量分散度の比較的大きな重合反応生成物混合物を与えるラジカル重合により得た高分子化合物に適用した際に高い効果を示す。
即ち、まず、高分子化合物を含有する溶質の質量1に対して良溶剤0.5〜5質量倍量、好ましくは0.7〜3質量倍量の溶液を作製する。これに貧溶剤を溶質に対し2〜25質量倍量、好ましくは2〜15質量倍量加えて、よく混合し、静置する。このとき良溶剤が少なすぎると分画により除くべきものが十分除かれない可能性があり、また、多すぎると回収率が大幅に悪化する可能性がある。また、貧溶剤は少なすぎる場合、回収率が大幅に悪化する可能性があり、多すぎる場合には、分画が不十分になる可能性がある。
なお、本発明において、分画回数は適宜選定されるが、2〜6回、特に2〜4回とすることが好ましい。
3Lのフラスコにアセトキシスチレン357.0g、4−クロロスチレン33.9g、インデン284.1g、溶剤としてトルエン1,025gを添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス[2,4−ジメチルバレロニトリル]:V−65(和光純薬製)を60.8g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後更に20時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール22.5L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体453gを得た。得られた重合体(ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は5,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。このポリマーのうち150gをメタノール244g、テトラヒドロフラン270gに再度溶解し、トリエチルアミン81g、水16gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。反応溶液を減圧濃縮後、第1回目の分画工程として濃縮液をメタノール274gとアセトン56gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液をよく撹拌しながら、ヘキサン495gを10分間かけて滴下投入し、投入後に得られた混合白濁溶液の静置分液を行った。上層を吸引により除いた後、第2回目の分画操作として、下層(高分子化合物相)にテトラヒドロフラン187gを加え、この溶解溶液にヘキサン515gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を濃縮した。次にポリマーに吸着されているトリエチルアミンを完全に除くため、この濃縮液を酢酸エチル435gに溶解し、水125gと酢酸49gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水120gとピリジン38gで1回、水120gで4回の分液洗浄を行った。この後上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン125gに溶解、水7.5Lに沈殿させ、濾過後、50℃,40時間の真空乾燥を行い、白色重合体92gを得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:4−クロロスチレン:インデン=76.0:6.5:17.5
重量平均分子量(Mw)=4,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.55
実施例1の重合反応で得た加水分解反応前のポリマー150gを実施例1と同様、メタノール244g、テトラヒドロフラン270gに再度溶解し、トリエチルアミン81g、水16gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。反応溶液を濃縮後、第1回目の分画工程として濃縮液をメタノール274gとアセトン56gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液にヘキサン495gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を取り出し、一旦濃縮した。更に第2回目の分画操作として再び濃縮されたポリマーをメタノール274gとアセトン56gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液にヘキサン495gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル435gに溶解し、水125gと酢酸49gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水120gとピリジン38gで1回、水120gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン125gに溶解し、水7.5Lに沈殿させ、濾過後、50℃,40時間の真空乾燥を行い、白色重合体94gを得た。
得られた重合体をGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
重量平均分子量(Mw)=4,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.62
実施例1の重合反応で得た加水分解反応前のポリマー150gを実施例1と同様、メタノール244g、テトラヒドロフラン270gに再度溶解し、トリエチルアミン81g、水16gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。反応溶液を濃縮後、第1回目の分画工程として濃縮液をメタノール274gとアセトン56gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液にヘキサン495gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を取り出した。更に第2回目の分画操作として下層にメタノール140gとアセトン35gの混合溶剤を添加し、この溶解溶液にヘキサン515gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル435gに溶解し、水125gと酢酸49gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水120gとピリジン38gで1回、水120gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン125gに溶解し、水7.5Lに沈殿させ、濾過後、50℃,40時間の真空乾燥を行い、白色重合体93gを得た。
得られた重合体をGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
重量平均分子量(Mw)=4,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.59
2Lのフラスコにアセトキシスチレン82.4g、4−t−ブトキシスチレン26.0g、メタクリル酸t−ブチルエステル11.6g、溶剤としてテトラヒドロフラン300gを添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを9.6g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール9.0L、水1.0Lの混合溶液中に沈澱させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体89gを得た。この白色重合体(ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は21,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.81であった。このポリマーのうち、40gをメタノール400g、テトラヒドロフラン800gに再度溶解し、トリエチルアミン70g、水15gを加え、脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、60℃で40時間脱保護反応を行った。反応溶液を濃縮後、第1回目の分画工程として濃縮液をメタノール200gとアセトン80gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液にヘキサン400gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を取り出した。更に第2回目の分画操作として取り出した下層にテトラヒドロフラン150gを加え、この溶解溶液にヘキサン400gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル700gに溶解し、水180gと酢酸50gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水170gとピリジン35gで1回、水150gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン250gに溶解し、水10Lに沈殿させ、濾過後、50℃,40時間の真空乾燥を行い、白色重合体67gを得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:スチレン:メタクリル酸t−ブチルエステル=67.2:8.5:24.3
重量平均分子量(Mw)=16,800
分子量分布(Mw/Mn)=1.57
実施例2の重合反応で得た加水分解反応前のポリマー40gを実施例2と同様、メタノール400g、テトラヒドロフラン800gに再度溶解し、トリエチルアミン70g、水15gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。反応溶液を濃縮後、第1回目の分画工程として濃縮液をメタノール200gとアセトン50gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液にヘキサン440gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を取り出した。更に第2回目の分画操作として取り出した下層にメタノール200gとアセトン50gの混合溶剤に溶解し、この溶解溶液にヘキサン400gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル700gに溶解し、水180gと酢酸50gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水170gとピリジン35gで1回、水150gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン250gに溶解し、水10Lに沈殿させ、濾過後、50℃,40時間の真空乾燥を行い、白色重合体69gを得た。
得られた重合体をGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
重量平均分子量(Mw)=16,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.65
実施例1及び比較例1−1、比較例1−2で得た高分子化合物を用いて下記の化学増幅ネガ型レジスト組成物を調製した。
高分子化合物80質量部
テトラメトキシメチルグリコールウリル(架橋剤)8.2質量部
トリフェニルスルホニウム2,5−ジメチルベンゼンスルホネート(酸発生剤1)8質量部
トリフェニルスルホニウム2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート(酸発生剤2)2質量部
トリス(2−メトキシエチル)アミン(塩基性化合物)0.4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤1)320質量部
乳酸エチル(溶剤2)760質量部
次いで、このマスクブランクスを110℃のホットプレートで10分間ベークした。更に、電子線露光装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、HL−800D加速電圧50keV)を用いて露光し、120℃で10分間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ネガ型のパターン(実施例3、比較例3−1、3−2)を得ることができた。
0.20μmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における、マスクブランクス上でパターン倒れを起こさず分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面を観察し、特に基板付近におけるアンダーカット(図1)を観察した。
実施例2及び比較例2で得た高分子化合物を用いて下記の化学増幅ポジ型レジスト組成物を調製した。
高分子化合物80質量部
トリフェニルスルホニウム4−(4’−メチルフェニルスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート(酸発生剤1)2質量部
(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホン酸(酸発生剤2)1質量部
トリス(2−メトキシエチル)アミン(塩基性化合物)0.2質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤1)300質量部
乳酸エチル(溶剤2)130質量部
次いで、このマスクブランクスを110℃のホットプレートで10分間ベークした。更に、電子線露光装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、HL−800D加速電圧50keV)を用いて露光し、120℃で10分間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターン(実施例4、比較例4)を得ることができた。
得られたレジストパターンは実施例3と同様に評価し、特に基板付近における裾引き(図2)を観察した。
Claims (4)
- フォトレジスト組成物に添加する高分子化合物の合成を行う際、重合反応により得られた重合反応生成物混合物を良溶剤と貧溶剤を用いる分液法によって分子量分画を行う分画工程で、分液法による分画操作を2回以上行うと共に、該2回以上の分画操作のいずれか1回以上に、他の回で行った分画操作時に添加する良溶剤とは異なる良溶剤を添加し、かつ、前記2回以上の分画操作のうち、いずれか1以上の、互いに異なる良溶剤を使用する分画操作間で、後の回に行われる分画操作に用いる良溶剤の方が前記高分子化合物の溶解力が高いことを特徴とするフォトレジスト組成物用高分子化合物の合成方法。
- 前記他の回で行った分画操作時に添加した良溶剤とは異なる良溶剤は、前記他の回で添加する良溶剤に使用される溶剤とは異なる1種類以上の溶剤を含有する単一溶剤又は混合溶剤である請求項1記載のフォトレジスト組成物用高分子化合物の合成方法。
- 前記他の回で行った分画操作時に添加した良溶剤とは異なる良溶剤は、2種類以上の溶剤の混合物であり、他の回で添加する良溶剤とは混合される溶剤の種類は同一であるが、溶剤の混合比が異なることを特徴とする請求項1記載のフォトレジスト組成物用高分子化合物の合成方法。
- 上記2回以上の分画操作を行う分画工程後に、上記高分子化合物は、分子量分布を表す分散度(Mw=重量平均分子量/Mn=数平均分子量)の値が1.8以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物用高分子化合物の合成方法。
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