JP4982931B2 - 半導体処理装置及びこの構成部品の洗浄方法 - Google Patents

半導体処理装置及びこの構成部品の洗浄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハに対して成膜等の処理を行う半導体処理装置及びこの構成部品の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路を製造するためには、半導体ウエハに対して、成膜、エッチング、酸化拡散、アニール等の各種の熱処理が繰り返し施され、この種の処理を行うプラズマ処理装置としては例えば特開平8−339895号公報や特開平8−181107号公報等に開示されている。例えばプラズマを用いて1枚毎のウエハに対して膜を堆積させるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置においては、真空引き可能になされた処理容器内に、加熱ヒータを内蔵したサセプタ等の載置台を設置し、この載置台上に半導体ウエハを載置し、これを所定の温度に加熱しながら成膜用の処理ガスをシャワーヘッド部から供給し、そして、高周波電圧を上部電極(シャワーヘッド部)と載置台を兼ねる下部電極との間に印加してプラズマを発生させて、ウエハ表面に膜を堆積させるようになっている。
【0003】
図12は従来の一般的なプラズマCVD処理装置を示す概略構成図であり、このプラズマCVD処理装置は真空引き可能になされた略円筒体状の処理容器2を有している。この処理容器2内には、上面の半導体ウエハWを載置するための載置台を兼ねる下部電極4が設置されると共に、これに対向する天井部には、処理容器2内に成膜ガス等の処理ガスを供給するためのシャワーヘッド部を兼ねる上部電極6が絶縁材8を介して設けられている。そして、この上部電極6にはマッチング回路10を介して例えば450KHzの高周波電源12が接続されている。
【0004】
上記下部電極4の全体は例えばAlN(窒化アルミニウム)等のセラミックスよりなり、この内部に、例えばモリブデン線等の抵抗体よりなる加熱ヒータ14が所定のパターン形状に配列して埋め込まれていると共に、例えばモリブデン線をメッシュ状に配設した電極本体16が埋め込まれている。
そして、シャワーヘッド部(上部電極)6のガス噴射孔6Aから処理容器2内に処理ガスを供給しつつ所定の圧力に真空引きし、上述のように形成された下部電極4上にウエハWを直置きし、加熱ヒータ14からの熱によりウエハWを加熱しつつ、上記上部電極6と下部電極4との間に、高周波電圧を印加してプラズマを立てて成膜処理を行なう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の成膜処理を行う場合には、反応副生成物等が処理容器2の内面、シャワーヘッド部6の下面、ガス噴射孔6Aの内面、シャワーヘッド部6の側面等、処理空間に晒されている多くの構成部品の表面に付着することは避けられず、この不要な付着物がその付着面より時々剥がれ落ちて歩留り低下の原因となるパーティクルが発生する。このため、定期的、或いは不定期的に処理容器2内にクリーニングガスを流してクリーニング処理を行っている。
この場合、パーティクルの発生を抑制するためには、各構成部品の表面とこの表面に付着する不要な膜との間の付着力が大きい程よいが、各構成部品にあっては、これらの加工製造時に、各構成部品の表面に付着している、切削加工時やドリル穿孔加工時に用いる切削油等の脱脂及び汚れを除去する簡単な洗浄は行っているが、それ以上の処理は行っていない。
【0006】
このため、上記不要な膜の付着力はそれ程大きくなく、各構成部品の表面に付着した不要な膜が剥がれ落ちてパーティクルになる頻度がかなり大きくなっている、という問題があった。図13は図12に示す装置例の加工組立直後におけるウエハの処理枚数とパーティクル数の変化を示すグラフであり、このグラフから明らかなように、0.2μm以上の大きさのパーティクルが、75個〜100個程度頻度多く発生している。ここでは薄膜として、TiCl ガスとH ガスを用いてTi膜を成膜しており、また、ウエハを25枚処理した時に、処理容器2内にClF ガスを流してクリーニング処理を行っている。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、半導体処理装置の特定材料よりなる構成部品の表面を、加工後にエッチング液で洗浄して表面状態を改善することにより、パーティクルの発生を抑制することが可能な構成部品の洗浄方法及び半導体処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ニッケルやニッケル合金よりなるシャワーヘッド部の表面や処理容器の内壁面を観察したところ、これらの構成部品の加工時に発生したダメージ層が形成されており、これが原因となってこの表面に付着する不要な膜との付着力が低下してしまい、特に、シャワーヘッド部のガス噴射孔の内面がパーティクルに大きく影響している、という知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
請求項1に規定する発明は、被処理体に対して処理を施す半導体処理装置の構成部品の洗浄方法において、ニッケル或いはニッケル合金よりなる前記構成部品の加工時に発生した、ニッケル、酸素及びシリコンを含む化合物よりなるダメージ層を、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、フッ酸、過酸化水素水よりなる群から選択された少なくとも1以上の材料よりなる酸化剤を含むエッチング液で表面処理することにより前記構成部品の表面のダメージ層を洗浄して除去するようにしたことを特徴とする半導体処理装置の構成部品の洗浄方法である。
これにより、各構成部品の表面に形成されているダメージ層を洗浄除去し、この表面に付着する不要な膜に対する付着力を高めることが可能となり、パーティクルの発生を抑制できるのみならず、定期的、或いは不定期的に行われるクリーニング処理のインターバルを長くでき、装置稼働率も向上させることが可能となる。
【0008】
本発明の関連技術は、被処理体に対して処理を施す半導体処理装置の構成部品の洗浄方法において、前記構成部品を電解液中で電解処理することにより前記構成部品の表面を洗浄するようにしたことを特徴とする半導体処理装置の構成部品の洗浄方法である。
これにより、各構成部品の表面に形成されているダメージ層を洗浄除去し、この表面に付着する不要な膜に対する付着力を高めることが可能となり、パーティクルの発生を抑制できるのみならず、定期的、或いは不定期的に行われるクリーニング処理のインターバルを長くでき、装置稼働率も向上させることが可能となる。
【0009】
本発明では、例えば請求項2に規定するように、前記構成部品の表面に、化学機械的研磨処理を施すようにする。
また、例えば請求項3に規定するように、前記構成部品の表面に、ブラスト処理を施す。
【0010】
また、例えば請求項4に規定するように、前記構成部品は、ガス噴射孔を有するシャワーヘッド部、処理容器、上部電極、排気管の内、少なくとも1つを含む。
本発明の関連技術は、被処理体に対して所定の処理を施す半導体処理装置の構成部品であって、流路を有する構成部品の洗浄方法において、ニッケル或いはニッケル合金よりなる前記流路に、所定の圧力で液状の研磨スラリーを流すことにより前記流路の内面に形成された加工時のダメージ層を洗浄して除去するようにしたことを特徴とする半導体処理装置の構成部品の洗浄方法である。
これにより、各構成部品の流路の内面に形成されているダメージ層を洗浄除去し、この表面に付着する不要な膜に対する付着力を高めることが可能となり、パーティクルの発生を抑制できるのみならず、定期的、或いは不定期的に行われるクリーニング処理のインターバルを長くでき、装置稼働率も向上させることが可能となる。
この場合、例えば前記流路は、シャワーヘッドのガス噴射孔である。
請求項5に規定する発明は、上述したような洗浄方法で処理された構成部品を備えたことを特徴とする半導体処理装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る半導体処理装置及びこの構成部品の洗浄方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る半導体処理装置を示す断面構成図、図2はシャワーヘッド部を示す部分拡大断面図、図3はウエハの処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフ、図4は構成部品の表面から深さ方向の元素成分を示すグラフである。ここでは処理装置としてプラズマCVD成膜装置を用いてTi(チタン)膜を成膜する場合を例にとって説明する。
【0012】
図示するように、この半導体処理装置としてのプラズマCVD成膜装置20は、例えばニッケル、或いはニッケル合金により円筒体状に成形された装置の構成部品である処理容器22を有している。この処理容器22の天井部には、下面に多数のガス噴出孔(流路)24A、24Bを有するシャワーヘッド部26が設けられており、これにより処理ガスとして例えば成膜ガス等を処理容器22内の処理空間Sへ導入できるようになっている。ここで、装置の構成部品であるこのシャワーヘッド部26は、例えば3つの部材26A、26B、26Cの3層構造になっており、例えばニッケルブロックの削り出しによる切削加工やドリル加工によって加工した後に、図示例のように組み立てる。このシャワーヘッド部26内は、例えば2つのガス空間27A、27Bに分離区画されると共に各ガス空間27A、27Bに上記各ガス噴射孔24A、24Bがそれぞれ連通されており、処理空間Sで2つのガスを初めて混合し得るようになっている。尚、このガス供給形態をポストミックスと称する。
【0013】
このシャワーヘッド部26の全体は、例えばニッケルやニッケル合金等の導電体により形成されており、上部電極を兼ねている。この上部電極であるシャワーヘッド部26の外周側や上方側は、例えば石英やアルミナ(Al23 )等よりなる絶縁体28により全体が覆われており、上記シャワーヘッド部26はこの絶縁体28を介して処理容器22側に絶縁状態で取り付け固定されている。この場合、上記シャワーヘッド部26と絶縁体28と処理容器22の各接合部間には、例えばOリング等よりなるシール部材30がそれぞれ介在されており、処理容器22内の気密性を維持するようになっている。
そして、このシャワーヘッド部26には、例えば450KHzの高周波電圧を発生する高周波電源34がマッチング回路32を介して接続されており、上記上部電極であるシャワーヘッド部26に必要に応じて高周波電圧を印加するようになっている。尚、この高周波電圧の周波数は450KHzに限定されず、他の周波数、例えば13.56MHz等を用いてもよい。
そして、この処理容器22の側壁には、ウエハを搬出入するための搬出入口36が形成されており、これにはゲートバルブ38が設けられて開閉可能になされている。このゲートバルブ38には、図示しないロードロック室やトランスファチャンバ等が接続される。
【0014】
また、この処理容器22の底部には排気口40が設けられており、この排気口40には、途中に図示しない真空ポンプ等が介設された流路を形成する排気管41が接続されて、処理容器22内を必要に応じて真空引き可能としている。そして、この処理容器22内には、被処理体としての半導体ウエハWを載置するためにその底部より支柱42を介して起立された載置台44が設けられている。この載置台44は下部電極を兼ねており、この下部電極である載置台44と上記上部電極であるシャワーヘッド部26との間の処理空間Sに高周波電圧によりプラズマを立て得るようになっている。具体的には、この載置台44は、全体が第1の誘電体、例えば全体がAlN等のセラミックスよりなり、この内部に例えばモリブデン線等の抵抗体よりなる加熱ヒータ46が所定のパターン形状に配列して埋め込まれている。この加熱ヒータ46には、ヒータ電源48が配線47を介して接続されており、必要に応じて上記加熱ヒータ46に電力を供給するようになっている。更に、この載置台44の内部には、例えばモリブデン線等をメッシュ状(網状)に網み込んでなる電極本体50が面内方向に略全域に亘って埋め込まれている。そして、この電極本体50は配線52を介して接地されている。尚、この電極本体50にバイアス電圧として高周波電圧を印加するようにしてもよい。
【0015】
そして、上記載置台44には、この上下方向に貫通して複数のピン孔54が形成されており、各ピン孔54には、下端が連結リング56に共通に連結された例えば石英製の押し上げピン58が遊嵌状態で収容されている。そして、上記連結リング56は、容器底部に貫通して上下移動可能に設けた出没ロッド60の上端に連結されており、この出没ロッド60の下端はエアシリンダ62に接続されている。これにより、上記各押し上げピン58をウエハWの受け渡し時に各ピン孔54の上端から上方へ出没させるようになっている。また、上記出没ロッド60の容器底部に対する貫通部には、伸縮可能になされたベローズ64が介設されており、上記出没ロッド60が処理容器22内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
そして、下部電極であるこの載置台44の周縁部に、プラズマを処理空間Sに集中させるためのフォーカスリング66が設けられている。また、上記シャワーヘッド部26の天井部には、上記各ガス空間27A、27Bに連通するように、流路となるガス配管68A、68Bがそれぞれ接続されている。各ガス配管68A、68Bからは、それぞれ例えばArガスのキャリアガスと共に、原料ガスとしてH2 ガス及びTiCl4 ガスをそれぞれ供給するようになっている。
【0016】
このように構成された半導体成膜装置20において、原料ガスとしてTiCl ガスとH ガスとを供給しつつ高周波電力によりプラズマを立てることにより、ウエハ表面にTi膜が形成される。
さて、上述したようなプラズマCVD成膜装置20を組み立てるに先立って、これらの構成部品の内、ニッケルやニッケル合金よりなる構成部品、ここではシャワーヘッド部26、処理容器22、排気管41やガス配管68A、68Bに対して洗浄処理を施す。
以下に、その洗浄方法について説明する。
【0017】
上記した各構成部品は、例えばニッケルやニッケル合金のブロックから切削加工やドリル加工によって削り出して製造する場合が多く、この時、例えばシリコン含有の切削油等を用いているので、これがために、構成部品の表面に上記切削油の成分と化学反応したダメージ層が発生する場合が多い。
図2はこの時の状態を模式的に示しており、シャワーヘッド部26の最下層を構成する部材26Aの表面には、薄く、例えば0.5μm程度の厚さでダメージ層70が発生しており、特に、ドリル穿孔加工を行ったガス噴射孔24A、24Bの内面にはより厚いダメージ層70が形成されている。尚、このダメージ層70の主成分は、後述するようにNi・O・Si化合物である。
【0018】
さて、上記各構成部品の清浄方法であるが、ここでは7種類の化学的研磨処理、1種類の電解研磨処理、2種類の表面処理及び1種類の流体研磨処理について説明する。
<化学的研磨処理▲1▼〜▲7▼>
この化学的研磨処理では、上記のニッケル或いはニッケル合金の構成部品、すなわち加工後であって組み立て前のシャワーヘッド部26を形成する各部材26A〜26C、処理容器22、ガス配管68A、68B、排気管41等を、所定のエッチング液に所定の時間、例えば使用するエッチング液の種類にもよるが3〜30分程度の間、完全に浸漬し、これらの各構成部品の表面を洗浄し、これにより、上記エッチング液の作用により構成部品の表面のダメージ層70(図2参照)等を化学的に反応させて除去する。この時、加工時に発生するバリ、特に、ドリル穿孔加工時に発生するバリ等も除去され、表面が平坦化される。
【0019】
このような洗浄操作によって、各構成部品の表面は勿論のこと、例えばシャワーヘッド部26のガス噴射孔24の内面、管類の内面等も洗浄されることになる。
この時に用いられるエッチング液には、酸化剤が含まれており、この酸化剤としては、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、フッ酸、過酸化水素水よりなる群から選択された少なくとも1以上が用いられる。
【0020】
ここで具体的に使用した酸化剤の7種類の組み合わせについて説明する。
▲1▼硝酸+フッ酸
ここでは、エッチング液として硝酸とフッ酸の混合液を用いる。具体的には、例えば60%濃度の硝酸と、46%濃度のフッ酸とを、それぞれ容量比80:3程度で混合してエッチング液とする。
上記エッチング液で洗浄後に、各構成部品を清水で洗い、成膜装置に組み立てる。
ここでは、シャワーヘッド部26の部材26A〜26Cのみをエッチング洗浄した時のパーティクルの発生状況を図3に示す。
【0021】
図3では、500枚のウエハに対してTi膜の成膜処理を行っている間に発生したパーティクル数をグラフで示している。また、ウエハを25枚処理した後にClF3 によるクリーニング処理を行っている。
この図3に示すグラフによれば、0.2μm以上のパーティクルも、0.2μm以下のパーティクルも、また、0.18μm以上のパーティクルも、すべてにおいて発生数が小さく、略50個以下となっており、図13に示す従来方法が、パーティクル数が75〜100に達している点と比較すると、本発明の洗浄方法の場合には、発生するパーティクル数を大幅に抑制できたことが判明する。これは、前述のように、構成部品の表面のダメージ層70を洗浄により取り除くことにより、ここに付着する不要な膜に対する付着力が増加して、これにより膜が剥がれ難くなってパーティクルの発生が抑制されるからである。
【0022】
このように、発生するパーティクル数が抑制できる結果、不定期的、或いは定期的に行われるクリーニングのインターバルを長くでき、その分、装置の稼働率を向上させることもできる。
ここで、本発明の洗浄方法を行ったシャワーヘッド部と従来方法のシャワーヘッド部の表面から深さ方向に向かって元素成分の分析を行ったので、その分析結果を図4に基づいて説明する。図4(A)は、従来方法のシャワーヘッド部の表面近傍の元素成分を示し、Ni元素は深くなるに従って徐々に多くなっており、また、O元素及びSi元素も共に表面側にはかなり多く存在し、深くなるにつれて少しずつ減少している。これは、切削油等に含まれているSi成分や酸素が、表面側のNi金属と反応した結果であると考えられる。
これに対して、図4(B)に示す本発明方法の場合には、深さが深くなるとNi元素は急激に上昇し、また、O成分やSi成分は、深くなると急激に減少して深さ10nmでは、共に略ゼロになっている。このように、本発明方法の場合には、表面のダメージ層70が略なくなっているのが判明する。
【0023】
▲2▼塩酸+過酸化水素水
次に、エッチング液として、塩酸と過酸化水素水の混合液を用いた場合について説明する。具体的には、例えば35%濃度の塩酸と、31%濃度の過酸化水素水とを、それぞれ容量比1:50程度で混合してエッチング液とする。この時のパーティクル発生状況を図5に基づいて説明する。
図5は2番目のエッチング液を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
図5に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以上のパーティクル及び0.2μm以下のパーティクル共に、略50個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
【0024】
▲3▼塩酸+過酸化水素水+フッ酸
次に、エッチング液として、塩酸と過酸化水素水とフッ酸との混合液を用いた場合について説明する。具体的には、例えば35%濃度の塩酸と、31%濃度の過酸化水素水と、50%濃度のフッ酸とを、それぞれ容量比1:50:3程度で混合してエッチング液とする。この時のパーティクル発生状況を図6に基づいて説明する。
図6は3番目のエッチング液を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
図6に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以上のパーティクル及び0.2μm以下のパーティクル共に、略25個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
【0025】
▲4▼硝酸+塩酸+過酸化水素水
次に、エッチング液として、硝酸と塩酸と過酸化水素水の混合液を用いた場合について説明する。具体的には、例えば60%濃度の硝酸と、36%濃度の塩酸と、31%濃度の過酸化水素水とを、それぞれ容量比5:20:10程度で混合してエッチング液とする。この時のパーティクル発生状況を図7に基づいて説明する。
図7は4番目のエッチング液を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
図7に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以上のパーティクル、0.2μm以下のパーティクル及び0.18μm以上のパーティクル共に、略50個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
その他の酸化剤の組み合わせによるエッチング液の種類としては、以下のものを用いることができる。
【0026】
▲5▼アンモニア水+過酸化水素水
▲6▼硝酸(単独)
▲7▼硝酸+硫酸+燐酸+酢酸
ここで上記▲5▼の場合には、アンモニア水は、アルカリ性であるが、ここではpH調整のために用いている。また、別のエッチング液としては、上述した各酸化剤を、それぞれ単独で用いてもよく、また、上述した組み合わせは単に一例を示すに過ぎない。
上記▲5▼〜▲7▼までの3種類のエッチング液によるパーティクル数のデータは存在しないが、試験片を用いて上記▲5▼〜▲7▼のエッチング液を用いた洗浄処理を行って、表面写真観察による光学的な検査を行ったところ、明らかに表面層が変化していた。また、各試験片の精密重量測定を行ったところ、1〜30μm厚さ相当の表面削れが確認できた。前述したように、上記ダメージ層の厚さは、0.5μm程度なので、従って、このダメージ層を略完全に洗浄して除去できることが確認できた。
以上は、エッチング液を用いて化学的研磨処理を行った場合を例にとって説明したが、これに代えて電解液を用いた電解研磨処理による洗浄方法を行ってもよい。
【0027】
<電解研磨処理>
この電解研磨処理の場合には、上記各構成部品を電解液中に完全に浸漬させて、通常の電解処理を必要な時間だけ行って、部品表面のダメージ層70(図2参照)を分解除去するようにして洗浄を行う。この場合、電解液としては、例えば無水酢酸、燐酸などを用い、これに酸化力のある酸、例えば過塩素酸、クロム酸等を加える。
この電解研磨処理を用いてシャワーヘッド部の部材を洗浄した時のパーティクル発生状況を図8に基づいて説明する。
図8は電解研磨処理を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
図8に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以上のパーティクル、0.2μm以下のパーティクル及び0.18μm以上のパーティクル共に、ウエハ処理枚数が200枚以上で一部、50個より少し多いが全体的には略50個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
【0028】
<表面処理>
次に、上記構成部品の表面を洗浄するために、以下の2種類、すなわちMCP(Mechanical Chemical Polishing)研磨処理及びブラスト処理を選択的に行ってもよい。このMCP研磨処理やブラスト処理は、例えばシャワーヘッド部のガス噴射孔の内面や細い管類の内面などのように狭隘部分の表面処理はできないので、そのような構成部品を洗浄処理する場合には、上記した化学的研磨処理▲1▼〜▲7▼や電解研磨処理と併用する。
【0029】
[MCP研磨処理]
このMCP研磨処理では、例えばアルコール等のような化学的薬剤を研磨スラリーに混入して用いて部品表面を機械的に接触研磨する。これにより、部材表面が化学反応しつつ機械的に除去されることになる。この研磨スラリーには、酸化剤として例えば過酸化水素水、硝酸第2鉄、ヨウ素酸カリウム等を用い、砥粒には、アルミナ、酸化ジルコニウム等を用いることができる。砥粒の番手は、適宜選択して用いればよい。
ここで、シャワーヘッド部材の構成部品に対して、先に前述の電解研磨処理を施し(ガス噴射孔の洗浄のため)、次に、MCP研磨処理を行って洗浄した時のパーティクル発生状況を図9に基づいて説明する。
図9は電解研磨処理とMCP研磨処理とを行った時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
図9に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以上のパーティクル、0.2μm以下のパーティクル及び0.18μm以上のパーティクル共に、略50個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
【0030】
[ブラスト処理]
このブラスト処理では、例えば微細な石英粒等を高圧で装置の構成部品の表面に吹き付けて、これにより表面のダメージ層を削り取ることによって洗浄する。
この場合、石英粒でなくて、各種アルミナの微細な粒体等も用いることが可能である。
ここで、シャワーヘッド部材の構成部品に対して、先に前述の電解研磨処理を施し(ガス噴射孔の洗浄のため)、次に、ブラスト処理を行って洗浄した時のパーティクル発生状況を図10に基づいて説明する。
図10は電解研磨処理とブラスト処理とを行った時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
図10に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以上のパーティクル、0.2μm以下のパーティクル及び0.18μm以上のパーティクル共に、略80個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
【0031】
<流体研磨処理>
次に、流体研磨処理について説明する。この流体研磨処理では、比較的軟らかく、且つ粘性の大きな液状の研磨スラリーを、圧力を高くした状態で配管類の流路内やシャワーヘッド部のガス噴射孔などの狭隘な部分に流し込んで、その内壁面を研磨する洗浄方法である。
この場合には、前述した化学的研磨処理▲1▼〜▲7▼や、電解研磨処理を組み合わせてもよいが、この流体研磨処理を単独で用いてもよい。特に、例えばガス噴射孔の内面を洗浄するような場合には、以下に説明するように優れた効果を発揮できる。
ここで、シャワーヘッド部材の構成部品のガス噴射孔に対して、上記流体研磨処理を行って洗浄した時(化学的研磨処理、電解研磨処理及び表面処理は無し)のパーティクル発生状況を図11に基づいて説明する。
図11はシャワーヘッド部のガス噴射孔に対して流体研磨処理のみを行った時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。尚、この図11では先の各グラフと縦軸のスケールが大きく異なっている点に注意されたい。
尚、ここでもウエハ25枚処理後にClF3 ガスを用いたクリーニング処理を行っている。
【0032】
図11に示すグラフで明らかなように、発生するパーティクル数は、0.2μm以下のパーティクル及び0.2μm以上のパーティクル共に、略50個以下となっており、先の従来方法を示す図13と比較して良好な結果を示している。
ここでは、成膜処理としてTi膜を堆積させる場合を例にとって説明したが、これに限定されず、タングステン膜、タンタル膜等の他の金属膜やその化合物膜、或いはシリコン膜等の他のあらゆる半導体成膜装置にも適用することができる。更には、この種の半導体成膜装置に限定されず、反応副生成物の付着が生ずる処理、例えばエッチング処理装置、スパッタ処理装置、プラズマアッシング装置等にも本発明を適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体処理装置及びこの構成部品の清浄方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、各構成部品の表面に形成されている、ニッケル、酸素及びシリコンを含む化合物よりなるダメージ層を洗浄除去し、この表面に付着する不要な膜に対する付着力を高めることが可能となり、パーティクルの発生を抑制できるのみならず、定期的、或いは不定期的に行われるクリーニング処理のインターバルを長くでき、装置稼働率も向上させることができる。
また請求項5に係る発明によれば、各構成部品の流路の内面に形成されている、ニッケル、酸素及びシリコンを含む化合物よりなるダメージ層を洗浄除去し、この表面に付着する不要な膜に対する付着力を高めることが可能となり、パーティクルの発生を抑制できるのみならず、定期的、或いは不定期的に行われるクリーニング処理のインターバルを長くでき、装置稼働率も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る半導体処理装置を示す断面構成図である。
【図2】 シャワーヘッド部を示す部分拡大断面図である。
【図3】 ウエハの処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図4】 構成部品の表面から深さ方向の元素成分を示すグラフである。
【図5】 2番目のエッチング液を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図6】 3番目のエッチング液を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図7】 4番目のエッチング液を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図8】 電解研磨処理を用いた時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図9】 電解研磨処理とMCP研磨処理とを行った時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図10】 電解研磨処理とブラスト処理とを行った時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図11】 シャワーヘッド部のガス噴射孔に対して流体研磨処理のみを行った時のウエハ処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図12】 従来の一般的なプラズマCVD処理装置を示す概略構成図である。
【図13】 図12に示す装置例の加工組立直後におけるウエハの処理枚数とパーティクル数の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
20 プラズマCVD成膜装置(半導体処理装置)
22 処理容器(構成部品)
26 シャワーヘッド部(上部電極:構成部品)
26A〜26C 部材
34 高周波電源
41 排気管(構成部品)
44 載置台(下部電極)
46 加熱ヒータ
68A,68B ガス配管(構成部品)
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (5)

  1. 被処理体に対して処理を施す半導体処理装置の構成部品の洗浄方法において、
    ニッケル或いはニッケル合金よりなる前記構成部品の加工時に発生した、ニッケル、酸素及びシリコンを含む化合物よりなるダメージ層を、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、フッ酸、過酸化水素水よりなる群から選択された少なくとも1以上の材料よりなる酸化剤を含むエッチング液で表面処理することにより前記構成部品の表面のダメージ層を洗浄して除去するようにしたことを特徴とする半導体処理装置の構成部品の洗浄方法。
  2. 前記構成部品の表面に、化学機械的研磨処理を施すようにしたことを特徴とする請求項1記載の半導体処理装置の構成部品の洗浄方法。
  3. 前記構成部品の表面に、ブラスト処理を施すようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体処理装置の構成部品の洗浄方法。
  4. 前記構成部品は、ガス噴射孔を有するシャワーヘッド部、処理容器、上部電極、排気管の内、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体処理装置の構成部品の洗浄方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に規定する洗浄方法で処理された構成部品を備えたことを特徴とする半導体処理装置。
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