JP4982339B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は毛髪化粧料に関し、特に、使用感触、安全性(低刺激性)、低温安定性、粘弾性に優れ、透明感の高い毛髪化粧料に関する。本発明は、洗い流しのヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、洗い流さないヘアトリートメント等として好適に用いられる。
毛髪をシャンプー等で洗髪した後は、一般に艶や指通りが悪くなるため、通常、シャンプー後にヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪処理剤(毛髪化粧料)が用いられている。近年、消費者の嗜好の多様化に伴い、毛髪化粧料では透明感のある製品に対する需要が高まりつつある。
従来、このような毛髪化粧料は、カチオン界面活性剤、高級アルコール、水で形成されて粘弾性のある層状ラメラ型のゲル(α−ゲル)に、油分を添加して、O/W乳化系(白濁系)の乳液状〜クリーム状の製剤が用いられていた(例えば、非特許文献1参照)。
カチオン界面活性剤として、例えば、長鎖モノアルキルの第4級アンモニウム塩、長鎖モノアルキルジメチルアミン塩、長鎖ジアルキルジメチル第4級アンモニウム塩等が使用されており、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果があった。また、高級アルコールの配合は、製剤に粘性を付与して使用しやすくするとともに、カチオン界面活性剤による皮膚への刺激を緩和してきた。
しかしながら、高級アルコールの配合によるα−ゲルを活用した製剤では、上述したように外観がすべて白濁となってしまい、透明感の高い基剤は得られていなかった。
一方、カチオン界面活性剤に、高級アルコールを配合せず、高分子増粘剤、会合性増粘剤を配合して増粘性を高め、かつ透明感を有する毛髪化粧料も知られているが(例えば、特許文献1〜6参照)、該毛髪化粧料では、増粘剤配合により、使用感触の悪さ(ベタツキ、しっとり感)を生じたり、またカチオン界面活性剤による皮膚への刺激を緩和できなかったりする欠点があった。
他の従来技術として、例えば、特開2002−114844号公報(特許文献7)に、特定の1,2−アルカンジオールのアルキレンオキシド付加物(以下、化合物A1)にカチオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤等を配合し得ることが示されているが([0031]〜[0033])、該文献中には実施例を含めて、水を混合した例や、外観(透明系か白濁系か、等)についての記載はない。また、化合物A1のアルキレンオキシドの付加モル数分布が特定の範囲に限定されているが(式(2))、本発明者が、本発明で用いる式(VI)に示す1,2−ドデカンジオールのエチレンオキシド付加物のp、qの値を特許文献7の式(2)に示す範囲内のものとなるよう調整して、本発明毛髪化粧料の製造を試みたところ、粘度が低く、低温での外観・安定性に劣る結果となった。加えて、該文献には化合物A1のアルキレンオキシドの付加モル数m、nが1≦m+n≦35で水溶性であることが示されているが(請求項1、4)、本発明者が追試したところ、m+n=2でも非水溶性であった。
特開2004−161651号公報(特許文献8)に、特定のヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物と、カチオン性界面活性剤、高級アルコール、油剤、水性媒体を含むヘアーコンディショニング組成物が記載されているが、上記ヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物は、本発明に用いる(B)成分に相当する(特許文献8の式(1)において、R1=C10のアルキル、R2〜R5=H、n=0の場合)。しかしこの組成物は、本発明者が追試したところ、高級アルコールを含んでいるため、外観が白濁した。また該文献の[0009]に示す製造法で得た上記ヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物は、本発明で用いる(B)成分に比べて、皮膚への刺激性が高く、化粧料材料として不適であった。
特表平5−504719号公報(特許文献9)に、1,2−アルカンジオールのエチレンオキシド付加物が示されているが、エチレンオキシドの合計付加モル数が5〜25であり、本発明の(B)成分に該当しない。
特開2005−272788号公報(特許文献10)に、特定のカチオン界面活性剤と1,2−アルカンジオールを含む組成(ヘアリンス)が実施例7〜10として具体的に示されているが、これらヘアリンスは、本発明者が追試をしたところ、外観が分離若しくは白濁して、透明感のあるものが得られず、また粘度も低いものであった。
なお、カチオン界面活性剤として、本発明で用いる式(I)、(II)に示す化合物を毛髪化粧料に配合することは一般的に知られており、また本発明で用いる式(IV)に示す化合物も特開2006−28088号公報(特許文献11)、特開2006−77011号公報(特許文献12)等で知られており、アニオン界面活性剤として本発明で用いる式(V)に示す化合物も特開2002−241236号公報(特許文献13)等で知られているが、いずれも長鎖アルカンジオール誘導体との併用は示されていない。
光井武夫編「新化粧品学」、南山堂、1993年1月12日(第1版)、p.423 特表平11−502529号公報(第1表、第3表) 特開2002−53441号公報(表1、表2) 特表2004−509860号公報(表1、表2、表3) 特表2006−504798号公報(表1、表2、表3、表4) 特表2006−526029号公報(表1、表2、表3、表4) 特表2007−520567(表1、表2) 特開2002−114844号公報 特開2004−161651号公報 特表平5−504719号公報 特開2005−272788号公報 特開2006−28088号公報 特開2006−77011号公報 特開2002−241236号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、使用感触、安全性(低刺激性)、低温安定性、粘弾性に優れ、透明感の高い毛髪化粧料を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、(A)下記式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤、下記式(IV)で示される長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤、および下記式(V)で示される長鎖アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上を0.1〜20質量%と、(B)下記式(VI)で示される1,2−ドデカンジオールのエチレンオキシド付加物を1〜45質量%と、(C)水を残部含み、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5〜20であり、粘度が1,000(mPa・s/30℃)以上であり、L値が40以上である毛髪化粧料を提供する。
〈長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤〉
Figure 0004982339
Figure 0004982339
〔式(I)、(II)中、R1は下記式(III):
Figure 0004982339
{式(III)中、R5は炭素原子数14〜22の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基であり、Aは−CONH−または−O−であり、aは0または1の数であり、Bは−CH2CH(OH)CH2−または−CH2CH2CH2−であり、bは0または1の数であり、Cは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドであり、cは0〜2の数である。}で示される基を表し;R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し;X-は無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。〕
〈長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤〉
Figure 0004982339
〔式(IV)中、R6、R6はそれぞれ独立に炭素原子数11〜23の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基を表し;R7は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し;X-は無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。〕
〈長鎖アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤〉
Figure 0004982339
〔式(V)中、R8は炭素原子数11〜23の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基を表し;M+は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウム、および有機アミン類の中から選ばれる1種または2種以上のカチオンを表す。〕
〈1,2−ドデカンジオールのエチレンオキシド付加物〉
Figure 0004982339
〔式(VI)中、p、qはそれぞれ0以上の整数を表し、p+qの平均(すなわちエチレンオキシドの平均付加モル数)は0.6〜1.4である。〕
また本発明は、上記式(VI)中、p/(p+q)〔=zとする〕が0.8以上である、上記毛髪化粧料を提供する。
また本発明は、さらに(D)エタノール、グリセリン、ジグリセリン、およびポリエチレングリコールの中から選ばれるアルコールまたはその誘導体の1種または2種以上を4〜30質量%含有する、上記毛髪化粧料を提供する。
また本発明は、さらに(E)シリコーンまたはその誘導体を、シリコーン純分として0.01〜5質量%含む、上記毛髪化粧料を提供する。
本発明の毛髪化粧料は、特定のイオン性界面活性剤と、1,2−アルカンジオールより得られる特定のエチレンオキシド付加物、および水を、特定の配合量・配合比で配合することにより、これら成分が液晶複合体を形成して、透明性と粘弾性を付与し、イオン性界面活性剤による皮膚への刺激も和らげることができ、使用感触も良好であり、優れたヘアコンディショニング効果を発揮して、低温の安定性も良好である。さらに、特定のアルコール誘導体を配合することで、より一層低温安定性に優れ、特に0℃以下でも層の分離や透明性の低下がなく、また使用感触をより一層向上することができた。さらにシリコーンまたはその誘導体を配合することで、より一層の使用感触(特にすすぎ時のなめらかさ)の向上を図ることができた。
以下、本発明について詳述する。
本発明における(A)成分としてのイオン性界面活性剤は、下記式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤、下記式(IV)で示される長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤、および下記式(V)で示される長鎖アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上が用いられる。
〈式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤〉
Figure 0004982339
Figure 0004982339
上記式(I)、(II)中、各置換基は以下の意味を示す。
1は下記式(III)で示される基を表す。
Figure 0004982339
〔上記式(III)中、R5は炭素原子数14〜22の直鎖または分岐のアルキル基またはアルキレン基であり、Aは−CONH−または−O−であり、aは0または1の数であり、Bは−CH2CH(OH)CH2−または−CH2CH2CH2−であり、bは0または1の数であり、Cは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドであり、cは0〜2の数である。〕
2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表す。
-は無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、メトサルフェート等が挙げられる。有機酸としては、例えばグルタミン酸、グリコール酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、酪酸、マレイン酸、ピロリドンカルボン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、エデト酸、安息香酸等が挙げられる。ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。
上記長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤として、具体的には以下の化合物が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
(1)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウム−グルタミン酸塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム−乳酸塩、塩化ステアロキシプロピレングリコール(以下、「プロピレングリコール」を「PG」とも記す)トリメチルアンモニウム、塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘロキシプロピルトリメチルアンモニウム、
(2)ステアラミドプロピルジメチルアミン−乳酸塩〔=ステアリン酸ジメチルアミドプロピルアミン−乳酸塩〕、ステアラミドプロピルジメチルアミン−グルタミン酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン−塩酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン−コハク酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミン−乳酸塩、ステアロキシプロピルジメチルアミン−リンゴ酸塩、セトステアロキシPGジメチルアミン−コハク酸塩、ステアロキシPGジメチルアミン−グルタミン酸塩、ベヘロキシPGジメチルアミン−塩酸塩。
上記式(III)中、R5のアルキル鎖、アルキレン鎖の鎖長が短ければ、皮膚への刺激などの安全性が悪化し、また毛髪化粧料の粘性も失われる。一方、鎖長が長ければ毛髪化粧料の透明性および粘性が失われる。本発明ではR5のアルキル鎖、アルキレン鎖は、炭素原子数14〜22であり、好ましくは16〜22であり、中でも直鎖状の炭素原子数18(C18)である場合が最も好ましい。R5がC18のアルキル鎖、アルキレン鎖を示す(A)成分としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアラミドプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム、ステアラミドプロピルジメチルアミン−乳酸塩、ステアロキシプロピルジメチルアミン−リンゴ酸塩、ステアリルPGジメチルアミン−グルタミン酸塩等が好適例として挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
〈式(IV)で示される長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤〉
Figure 0004982339
式(IV)中、各置換基は以下の意味を示す。
6、R6はそれぞれ独立に炭素原子数11〜23の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基を表す。
7は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
-は無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の具体例としては、それぞれ、上記式(I)、(II)で記載した化合物と同様のものが挙げられる。
上記長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤として、具体的には、塩化2−ウンデシル−1−(2−ラウラミドエチル)−イミダゾリニウム(R6、R6がともにC1123、R7がCH3)、2−(ヘキサデカ−9−エン)−1−(2−オレイラミドエチル)−4,5−ジヒドロイミダゾリンメトサルフェート(R6、R6がともにC1733、R7がCH3)、2−マンガリル−1−(2−ステアラミドエチル)−イミダゾリニウムメトサルフェート(R6、R6がともにC1735、R7がCH3)、2−ヘンイコサン−1−(2−ベヘナミドエチル)−イミダゾリニウムメトサルフェート〔クオタニウム−91。(R6、R6がともにC2143、R7がCH3)〕等が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
上記式(IV)中、R6のアルキル鎖、アルキレン鎖の鎖長が短ければ、皮膚への刺激などの安全性が悪化し、毛髪化粧料の粘性も失われる。一方、鎖長が長ければ毛髪化粧料の透明性および粘性が失われる。本発明ではR6のアルキル鎖、アルキレン鎖は、炭素原子数11〜23であり、最も好ましくは炭素原子数17(C17)である。例えば、2−(ヘキサデカ−9−エン)−1−(2−オレイラミドエチル)−イミダゾリニウムメトサルフェート、2−マンガリル−1−(2−ステアラミドエチル)−イミダゾリニウムメトサルフェート等が好適例として挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
〈式(V)で示される長鎖アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤〉
Figure 0004982339
上記式(V)中、各置換基は以下の意味を示す。
8COは平均炭素原子数10〜22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を表す。R8COとして、C1123CO、C1225CO、C1327CO、C1429CO、C1531CO、C1633CO、C1735CO、ココヤシ脂肪酸残基、パームヤシ脂肪酸残基等が例示される。なお、R8COは、安全性等の点から、その平均炭素原子数が12〜22のものがより好ましい。
+は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウム、および有機アミン類の中から選ばれる1種または2種以上のカチオンを示す。Mとして、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、タウリンナトリウム、N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
上記長鎖アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤として、具体的には、N−ラウロイル−N−メチルタウリン塩、N−ミリストイル−N−メチルタウリン塩、N−パルミトイル−N−メチルタウリン塩、N−ステアロイル−N−メチルタウリン塩、N−ココイル−N−メチルタウリン塩等が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
上記式(V)中、R8CO(アシル基)の鎖長が短ければ、毛髪化粧料の粘性が失われて、使用時のなめらかさも低下して、皮膚への刺激性も悪化する。一方、鎖長が長ければ毛髪化粧料の低温安定性および粘性が失われる。本発明ではR8CO(アシル基)の鎖長は、平均炭素原子数11〜23であり、最も好ましくは炭素原子数13である。例えば、N−パルミトイル−N−メチルタウリンナトリウム等が好適例として挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
上記(A)成分の配合量は、本発明の毛髪化粧料中0.1〜20%質量%であり、好ましくは0.2〜10質量%である。0.1質量%未満では、使用感触が悪化するとともに、組成物の粘性も下がり、低温安定性が悪化し、一方、20質量%を超えると、皮膚への刺激が強くなり、組成物の透明性も下がるため、好ましくない。
本発明において(B)成分は、下記(VI)で示される1,2−ドデカンジオールのエチレンオキシド付加物である。
Figure 0004982339
式(VI)において、p、qはそれぞれ0以上の整数を表し、p+qの平均(すなわちエチレンオキシドの平均付加モル数)は0.6〜1.4である。p+qが0.6未満では低温安定性が悪く、一方、1.4を超えると、組成物の粘弾性、すすぎ時のなめらかさに劣る。なお、p+qが1.4でも、式(VI)に示す化合物の融点は30℃を上回っていることから、本発明の毛髪化粧料は、高融点の化合物を配合しながら組成物の低温安定性に優れていることになる。
また、式(VI)において、p/(p+q)〔=zとする〕が0.8以上であることが、低温安定性、組成物の粘弾性の点から、より好ましい。
(B)成分の製造法は、精製した1,2−アルカンジオールにエチレンオキシドを付加する法であることが、皮膚刺激性の観点から、好ましい。
上記(B)成分の配合量は、本発明の毛髪化粧料中1〜45質量%であり、好ましくは、1.5〜40質量%である。1質量%未満では、使用時のなめらかさに欠け、皮膚への刺激性が増すとともに粘性や透明性を付与することができず、一方、45質量%を超す場合には透明性が低下して低温安定性も悪化するため、好ましくない。
本発明では、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5〜20であり、好ましくは2.0〜18である。上記配合比(質量比)が1.5未満では、十分な粘性を付与することができず、また外観の均質性にも劣り、20を超えると、外観の透明性、低温安定性に劣るため、好ましくない。
(C)成分としての水は、本発明化粧料中に残部配合される。
本発明毛髪化粧料は、粘度が1,000(mPa・s/30℃。B型粘度計)以上のゲル状をなす。粘度の上限値は特に限定されるものでないが、手にとったときの使いやすさ等の点から500,000(mPa・s/30℃)以下程度とするのが好ましい。
本発明化粧料は、上記(A)成分、(B)成分、および(C)成分により液晶を形成している。(A)成分、(B)成分、および(C)成分による液晶複合体は、ラメラ液晶および/またはヘキサゴナル液晶である。液晶の形成の有無は、偏光観察、小角/広角X線回折測定等により確認することができる。
本発明毛髪化粧料は、透明性の指標であるL値が40以上であり、好ましくは60以上である。なお本発明で「L値」とは、毛髪化粧料を光路長10mmの石英セルに所定量入れて、透過型色差測定計を用いて波長380〜770nmの白色光を透過させて測定した値をいう。
本発明化粧料は、上記必須成分の他に、低温安定性のさらなる向上の点から、所望によりさらに(D)成分としてエタノール、グリセリン、ジグリセリン、およびポリエチレングリコールの中から選ばれる1種または2種以上を配合してもよい。ポリエチレングリコールの分子量は、200〜600万まであり、皮膚への刺激性および毛髪化粧料の取扱いの容易さより、分子量300〜6000のものが好ましい。(D)成分を配合することにより、特に0℃以下でも層の分離や透明性の低下がなく、0℃以下での低温安定性に極めて優れ、また使用感触をより一層向上することができた。
上記(D)成分を配合する場合、その合計量が4〜30質量%であるのが好ましい。4質量%未満では、低温安定性や、使用感触のより一層の向上を図る目的の達成が難しく、一方、30質量%を超えて配合した場合、毛髪化粧料の粘弾性の低下や使用感触の低下を引起しがちになる。
なお本発明では、上記(D)成分以外のアルコールまたはその誘導体(例えば、ソルビット、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール等)を配合しないのが望ましいが、配合する場合、その合計配合量を20質量%未満とするのが好ましく、特には15質量%以下とするのが好ましい。これら(D)成分以外のアルコールまたはその誘導体(多価アルコール等)を20質量%以上配合した場合、粘度の低下を生じる場合があり、好ましくない。
また非イオン界面活性剤、液状油分(エステル油、非極性油等)も、高配合した場合、粘度低下を生じる傾向がみられるので、これら成分を配合する場合は低配合とするのが好ましい。
本発明化粧料はさらに、より一層の使用感向上の点から、所望によりさらに(E)成分としてシリコーンまたはシリコーン誘導体を配合してもよい。
(E)成分としてのシリコーンまたはシリコーン誘導体は、具体的には、トリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン、カプリリルメチコンなどの揮発性シリコーンオイル、ジメチコン、ジメチコノール、側鎖変性タイプ・直鎖ABNタイプ等のポリエーテル変性シリコーン、アモジメチコン、アミノプロピルメチコン、フェニル変性シリコーン、プロピルシルセスキオキサン、アルキル変性シリコーン、シリコーンレジン、メチルハイドロジェンシリコーンなどの変性シリコーン、アルキル変性、アルコキシ変性、ポリアミド変性、ポリエーテル変性などによるシリコーンレジン、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーンエラストマー等が挙げられるが、特にジメチコン、アミノプロピルメチコンが好ましく用いられる。上記に挙げたシリコーンまたはシリコーン誘導体のうち、揮発性シリコーンを除いて、重合度や変性率に特に制限はない。
上記(E)成分を配合する場合、配合量は化粧料全量中にシリコーン純分として0.01〜5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.03〜3質量%である。配合量が少なすぎると、使用感触のより一層の向上を図るのが難しく、一方、配合量が多すぎると、透明性および粘弾性の低下や、すすぎ時のなめらかさの低下が懸念される。
本発明の毛髪化粧料には上記の成分の他にさらに、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、その他の成分を任意に配合することができる。このような成分として、例えば以下の成分が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
芳香族アルコールとして、例えば、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p−クロロフェノール、p−クロロ−m−キシレノール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、フェノール等が挙げられる。
保湿剤として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、グルコース、マルトース、ショ糖、フラクトース、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン、分解糖還元アルコール等の単糖、2糖若しくはオリゴ糖およびそれらの誘導体、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、イソプレングリコール、ポリグルタミン酸ナトリウム、アルキレンオキシド誘導体〔例えばPOE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(25)POP(40)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(45)POP(34)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等〕などが挙げられる。なお、POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、POE、POP、POBはブロック共重合でもランダム共重合でもよい。
また、レシチン、加水分解タンパク質とその誘導体、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、トリメチルグリシン等のアミノ酸、ビタミン類、セレシン、フィトステロール誘導体、ヒドロキシエチル尿素等の毛髪補修成分を配合することにより、さらに毛髪の修復・保護効果に優れ、且つその効果が長時間持続する毛髪化粧料が得られる。
また、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等の合成エステル油、ポリアルキレングリコールポリエーテルおよびそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素油等の油分を配合することにより、さらに使用感触に優れる毛髪化粧料が得られる。
また、水溶性または油溶性の紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤、カオリン、タルク、シリカ、PMMA、ジンクピリチオン等の水不溶性粉末、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン等の樹脂類、大豆タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、絹フィブロイン、エラスチン等のタンパク質またはタンパク質分解物、動植物からの抽出液、エチルパラベン、ブチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン等の防腐剤、ビオチン、パントテン酸誘導体等の賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体、メントール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタン等の希釈剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアガム、ローカストビーンガム、PEG−90M等のノニオン性高分子、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性高分子、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ポリクオタニウム−7等のカチオン性高分子、ポリクオタニウム−39等の両性高分子、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマー、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等の会合性増粘剤、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等)、グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等の親油性非イオン界面活性剤、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等)、POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等)、POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等)、POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等)、プルロニック型類(例えば、プルロニック等)、POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等)、テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等)、POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等)、POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE−アルキルアミン、POE−脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等の親水性非イオン界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等の両性界面活性剤、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等の金属イオン封鎖剤、スレオニン、システイン、ヒドロキシリジン等のアミノ酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アミン、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等の酸化防止剤、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、薬剤、香料、色剤、界面活性剤等を必要に応じて敵宜配合してもよい。
本発明毛髪化粧料の剤型および使用方法は本発明の効果が損なわれない限り特に制限されない。また、製造方法は常法により行うことができ、特に限定されるものでないが、例えば、60〜90℃程度に加温した水に、他配合成分を順次添加しながら撹拌混合した後、常温まで冷却する方法や、室温にて水を攪拌しながら他配合成分を順次添加して混合する方法等が挙げられる。ただしこれらの例示の方法に限定されるものでない。
本発明の毛髪化粧料は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等と呼ばれている毛髪処理剤、毛髪化粧料に適用可能である。また、その使用形態は、毛髪に塗布し全体によくなじませた後にすすぎ流すものや、洗い流さないもの等、いずれも含み得る。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限りすべて質量%(実分、純分)である。
下記表1〜4に示す組成のヘアトリートメント(試料)を常法により調製した。具体的には、80℃に加温した水に、他配合成分を順次添加しながら撹拌混合した後、常温まで冷却した。これら試料を用いて、下記に示す方法により、粘度、40℃保存品の外観(透明性および分離の有無)、5℃保存品の外観(透明性および分離の有無)、使用感触(すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のしっとりさ)を評価した。また表4に示す組成のヘアトリートメント(試料)については、さらに−3℃保存品の外観(透明性および分離の有無)についても評価した。
なお、使用感触使用感触(すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のしっとりさ)の評価に際しては、下記コントロール(対照試料)を比較基準とした。
〈コントロール(対照試料)〉
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0質量%
ステアリルアルコール 3.0質量%
グルタミン酸 0.01質量%
イオン交換水 残 余
(調製方法)
80℃に加温したイオン交換水を撹拌しながら、他配合成分を添加・混合した後、常温まで冷却した。
[粘度]
試料を調製して翌日、30℃に保温した後に、B型若しくはBL型回転粘度計(芝浦システム(株)製)にて、1分間回転した後の粘度値(mPa・s)を記録した。回転数は、B型の場合12rpm、BL型の場合6rpmとした。
[40℃保存品の外観]
被験試料を透明ガラス容器にて40℃で1ヶ月保存した後、視感判定にて層分離の有無を判別するとともに、透明性をL値により判断した。
層分離の有無は、外観の透明性の均一さおよび全体の粘性の均一さにより判断した。
L値は、上記1ヶ月保存後の試料を、光路長10mmの石英セルに所定量入れて、透過型色差測定計(「分光式色差計SE−2000」;日本電色工業(株)製。波長380〜770nmの光を透過)で測色することにより求めた。判定基準は以下の通りである。
(評価)
◎: 外観が1層であり、L値が60以上である。
○: 外観が1層であり、L値が40以上60未満である。
△: 外観が1層であるが、L値が20以上40未満である。
×: 外観が2層以上に分離している、若しくはL値が20未満である。
[5℃保存品の外観]
被験試料を透明ガラス容器にて5℃で2週間保存した後、視感判定にて層分離の有無および透明性を判断した。
層分離の有無は、外観の透明性の均一さおよび全体の粘性の均一さにより判断した。
なお透明性については、5℃保存品については、機器測定は測定時の温度維持が困難なため、機器測定(L値測定)ではなく視感判定にて比較した。具体的には、5℃保存品透明性は、40℃保存品でL値が60以上であった試料を極めて透明性に優れる、L値が40以上60未満であった試料を透明性に優れる、L値が20以上40未満であった試料を透明性に劣る、L値が20未満であった試料を透明性に極めて劣るとして、その試料との外観の比較により透明性を判断した。
(判定)
◎: 外観が1層であり、極めて透明性に優れる。
○: 外観が1層であり、透明性に優れる。
△: 外観が1層であるが、透明性に劣る。
×: 外観が2層以上に分離している、若しくは透明性に極めて劣る。
[−3℃保存品の外観]
表4に示す被験試料を透明ガラス容器にて−3℃で1週間保存した後、視感判定にて層分離の有無および透明性を判断した。
層分離の有無は、外観の透明性の均一さおよび全体の粘性の均一さにより判断した。
なお透明性については、−3℃保存品については、機器測定は測定時の温度維持が困難なため、機器測定(L値測定)ではなく視感判定にて比較した。具体的には、−3℃保存品透明性は、40℃保存品でL値が60以上であった試料を極めて透明性に優れる、L値が40以上60未満であった試料を透明性に優れる、L値が20以上40未満であった試料を透明性に劣る、L値が20未満であった試料を透明性に極めて劣るとして、その試料との外観の比較により透明性を判断した。
(判定)
◎: 外観が1層であり、極めて透明性に優れる。
○: 外観が1層であり、透明性に優れる。
△: 外観が1層であるが、透明性に劣る。
×: 外観が2層以上に分離している、若しくは透明性に極めて劣る。
[使用感触(すすぎ時のなめらかさ)]
シャンプー(洗浄剤)で洗髪後、被験試料の実使用(=アフターシャンプー)テストにて、専門パネル(10名)がすすぎ時の髪のなめらかさを、コントロール(対照試料)との比較により評価した。判定基準は以下の通りである。
(判定)
◎: 10名中8名以上が、被検試料の方がなめらかであると回答した。
○: 10名中5〜7名が、被検試料の方がなめらかであると回答した。
△: 10名中4名以下が、被検試料の方がなめらかであると回答した。
[使用感触(乾燥後のしっとりさ)]
シャンプー(洗浄剤)で洗髪後、被験試料の実使用(=アフターシャンプー)テストにて、専門パネル(10名)が乾燥後の髪のしっとりさを、コントロール(対照試料)との比較により評価した。判定基準は以下の通りである。
(判定)
◎: 10名中8名以上が、被検試料の方がしっとりすると回答した。
○: 10名中5〜7名が、被検試料の方がしっとりすると回答した。
△: 10名中4名以下が、被検試料の方がしっとりすると回答した。
(実施例1〜6、比較例1〜5)
Figure 0004982339
表1に示す結果から明らかなように、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムに、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が本発明範囲にある1,2−ドデカンジオールエチレンオキシド付加物を組み合せた実施例1〜6では本発明効果が得られたのに対し、EO平均付加モル数が本発明範囲外の1,2−ドデカンジオールエチレンオキシド付加物を組み合せた比較例1〜4、6では本発明効果が得られなかった。さらに実施例3と実施例6の対比により、z値が0.8以上であることが、特に低温安定性の点においてより優れることがわかった。また1,2−ドデカンジオールプロピレンオキシド付加物を用いた比較例5では本発明効果が得られなかった。
(実施例3、7〜10、比較例6〜7)
Figure 0004982339
表2に示す結果から明らかなように、POE(1)−1,2−ドデカンジオールに、長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤を組み合せた実施例3、7、8、長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤を組み合せた実施例9、および長鎖アシルメチルタウリンナトリウム塩を組み合せた実施例10では、いずれも本発明効果が得られたのに対し、POE(1)−1,2−ドデカンジオールに他の界面活性剤等を組み合せた比較例6、7では本願発明効果が得られなかった。
(実施例11〜14、比較例8〜10)
Figure 0004982339
表3に示す結果から明らかなように、本発明の(A)成分、(B)成分を本発明範囲内の特定の配合量、配合比で配合した実施例11〜14では本発明効果が得られたのに対し、上記範囲を外れた配合量、配合比で配合した比較例8〜10では本発明効果が得られなかった。
(試験例1〜8)
Figure 0004982339
表4に示す結果から明らかなように、(A)〜(C)成分の系に、(D)成分を4〜30質量%配合することにより、特に0℃以下の温度(ここでは−3℃)という極低温での保存品の外観においても優れた効果が得られた(試験例2、4〜6、8)。
以下に本発明の毛髪化粧料の他の処方例を示す。いずれの毛髪化粧料も透明性が高く、1,000(mPa・s)以上の粘性があり、皮膚への刺激も弱く、塗布した時は毛髪へのなじみがよく、すすぎ時のなめらかさ(洗い流すタイプの毛髪化粧料について評価)、乾燥後のなめらかさに優れるものであった。
(実施例15:洗い流さないヘアトリートメント)
(配 合 成 分) (質量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.4
POE(1.2)−1,2−ドデカンジオール 2.0
エタノール 2.0
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 2.0
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖 0.05
POE(20)グリセリルエーテル 0.1
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/IIDI)コポリマー 0.2
ジメチコン(「BY22-080」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.2(シリコーン純分)
アモジメチコン 0.05
クエン酸 0.01
カラス麦抽出液 0.1
大豆レシチン 0.1
タウリン 0.2
フェノキシエタノール 0.5
香料 0.1
水 残 余
(製造方法)
75℃に加温した水を撹拌しながら、他配合成分を添加・混合した後、常温まで冷却した。
(実施例16:ヘアコンディショナー)
(配 合 成 分) (質量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
POE(1.1)−1,2−ドデカンジオール 12.0
ジグリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 1.0
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
POE(60)硬化ヒマシ油 0.3
グルタミン酸 0.05
グリシン 0.1
パルミチン酸オクチル 0.05
ジメチコノール(3000cs) 0.05
アモジメチコン(「BY22-079」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.21(シリコーン純分)
(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー 1.0
(「FZ-4671」;(東レ・ダウシリコーン(株)製)
ベンジルアルコール 0.2
海藻エキス 0.2
イザヨイバラエキス 0.2
トウツバキ種子油 0.1
ポリクオタニウム−61 0.05
香料 0.4
水 残 余
(製造方法)
60℃に加温した水を撹拌しながら、他配合成分を添加・混合した後、常温まで冷却した。
(実施例17:洗い流すヘアトリートメント)
(配 合 成 分) (質量%)
塩化ステアロキシPGトリメチルアンモニウム 2.0
POE(0.9)−1,2−ドデカンジオール 8.0
ソルビトール 10.0
イソペンチルジオール 3.0
エタノール 5.0
ステアレス−4 0.2
イソステアリン酸イソセチル 0.03
ステアロキシヒドロキシエチルセルロース 0.2
モノオレイン酸グリセリン 0.1
メントール 0.3
トウガラシチンキ 0.05
バニリルブチルエーテル 0.02
乳酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシエチル尿素 0.1
コハク酸 0.02
L−アルギニン塩酸塩 0.01
アモジメチコン(「BY22-079」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.20(シリコーン純分)
(ビスイソブチルPEG−14/アモジメチコン)コポリマー 0.02
ビス(C13−15アルコキシ)PGアモジメチコン
PEG−12メチルエーテルラウロキシPEG−5アミドプロピルジメチコン 0.02
メチルパラベン 0.3
安息香酸ナトリウム 0.1
バラ抽出液 0.2
水添ハチミツ 0.1
大豆エキス 0.2
サンショウ抽出液 0.1
オレンジ油 0.05
香料 0.3
水 残 余
(製造方法)
常温にて水を攪拌しながら他配合成分を順次添加して混合した。
(実施例18:ヘアコンディショナー)
(配 合 成 分) (質量%)
ステアラミドプロピルジメチルアミン−コハク酸塩 2.0
POE(1.3)1,2−ドデカンジオール 10.0
ソルビトール 10.0
イソプレングリコール 4.0
POE(35)POP(40)ジメチルエーテル(ブロック共重合体) 1.5
高重合ポリエチレングリコール(Mw200万) 0.1
(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマー 0.2
エリスリトール 2.5
ジメチコン(「BY22-080」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.2(シリコーン純分)
ジメチコノール(1000cs) 0.02
ピロリドンカルボン酸 0.4
酒石酸 0.02
トリメチルグリシン 0.1
POE(5)イソステアリルグリセリルエーテル 0.2
カチオン化デンプン 0.02
カチオン化セルロース 0.02
N-ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)0.1
ビワ抽出液 0.2
加水分解小麦タンパク質 0.1
加水分解小麦タンパク質・加水分解小麦デンプン 0.02
エデト酸2ナトリウム 0.05
香料 0.4
水 残 余
(製造方法)
80℃に加温した水を撹拌しながら、他配合成分を添加・混合した後、常温まで冷却した。

Claims (4)

  1. (A)下記式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤、下記式(IV)で示される長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤、および下記式(V)で示される長鎖アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上を0.1〜20質量%と、(B)下記式(VI)で示される1,2−ドデカンジオールのエチレンオキシド付加物を1〜45質量%と、(C)水を残部含み、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5〜20であり、粘度が1,000(mPa・s/30℃)以上であり、L値が40以上である毛髪化粧料。
    〈長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤〉
    Figure 0004982339

    Figure 0004982339
    〔式(I)、(II)中、R1は下記式(III):
    Figure 0004982339
    {式(III)中、R5は炭素原子数14〜22の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基であり、Aは−CONH−または−O−であり、aは0または1の数であり、Bは−CH2CH(OH)CH2−または−CH2CH2CH2−であり、bは0または1の数であり、Cは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドであり、cは0〜2の数である。}で示される基を表し;R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し;X-は無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。〕
    〈長鎖ジアルキルイミダゾリン型カチオン界面活性剤〉
    Figure 0004982339
    〔式(IV)中、R6、R6はそれぞれ独立に炭素原子数11〜23の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基を表し;R7は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し;X-は無機酸、有機酸、およびハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。〕
    〈長鎖アシルスルホン酸塩型アニオン界面活性剤〉
    Figure 0004982339
    〔式(V)中、R8は炭素原子数11〜23の直鎖または分岐のアルキル基若しくはアルキレン基を表し;M+は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウム、および有機アミン類の中から選ばれる1種または2種以上のカチオンを表す。〕
    〈1,2−ドデカンジオールのエチレンオキシド付加物〉
    Figure 0004982339
    〔式(VI)中、p、qはそれぞれ0以上の整数を表し、p+qの平均(すなわちエチレンオキシドの平均付加モル数)は0.6〜1.4である。〕
  2. 上記式(VI)中、p/(p+q)〔=zとする〕が0.8以上である、請求項1記載の毛髪化粧料。
  3. さらに、(D)エタノール、グリセリン、ジグリセリン、およびポリエチレングリコールの中から選ばれるアルコールまたはその誘導体の1種または2種以上を4〜30質量%含有する、請求項1または2記載の毛髪化粧料。
  4. さらに、(E)シリコーンまたはその誘導体を、シリコーン純分として0.01〜5質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
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