JP4981038B2 - 陰イオン性および陽イオン性のサッカライド−シロキサン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、陰イオン変性または陽イオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーおよびこれから調製される分散物(エマルションを含む)を提供する。これらの特異な親水性および直接性によって、この新規なイオン性サッカライド−シロキサンは、配合物をベースとする処理用およびケア用の広範な組成物および製品に使用して利益をもたらすことができる。
共有結合で結合したサッカライドシロキサンを含む組成物ならびにこれらの分散物およびエマルションは、化学文献で公知である。最近、サッカライド−シロキサンは、特に、パーソナルケア用基材、家庭用ケア基材、および工業用表面基材のための処理用配合物に利益をもたらすことが示された。
さらに、陽イオンおよび陰イオン官能性有機材料が当分野で公知である。これらが帯電するため、このようなイオン官能性有機物は、同様に帯電した材料、例えば、繊維製品、特定の塗装面、およびパーソナルケア基材等の処理に有用である。特に、4級アンモニウム官能基の付加または形成によるポリマーの陽イオン変性は、イオン性相互作用に基づく多くの有用な特性を高めるためのベースを提供する。
炭水化物とシロキサンとをこれらの一方または両方がイオン性官能基を含んだ状態で含む組成物も、当分野で公知である。例えば、国際出願第WO9429322号には、配合物中で界面活性剤として使用するための、陽イオン性シロキサニルで変性されたポリヒドロキシ炭化水素または炭水化物が、植物防疫の分野での特定の適用と共に記載されている。しかし、開示されたこの陽イオン官能性は、クロロアセトキシ官能性シロキサンまたはエポキシ−官能性4級シロキサンを、4級アミン官能性ポリヒドロキシ成分と反応させることによってもたらされている。
多官能性イオン性シロキサンコポリマーが、国際出願第WO200078844号に開示されており、織物などの合成材料の変性に有用であると記載されている。その具体的な用途は、合成材料を、改良された親水性、熱調節特性、および柔軟化のために変性することである。しかし、この陰イオン性官能基が1つの置換されたケイ素原子上に位置している一方、イオン性サッカライド官能基は多のケイ素原子上に位置していて、同じケイ素原子上にイオン性官能基とサッカライド官能基が存在しているのではない。
特開平2002−115802号には、陽イオン変性シロキサングラフトポリサッカライド誘導体の調製方法が記載されている。この材料は、カルボキシル基官能性ポリサッカライド誘導体と、エポキシ官能性シロキサンおよびエポキシ官能性4級アミンとの反応によって調製される。その用途は、輝きがありなめらかな感触をもたらす頭髪用化粧品である。しかし、再び、陽イオン官能基およびシロキサン官能基は、異なる炭水化物のヒドロキシル原子上にあることが記載されており、陽イオン官能基およびサッカライド官能基が置換された同一のケイ素原子上に存在する場合の開示はない。
洗濯洗剤中に使用するための、しわを取るためのシリコーンポリサッカライド化合物が、国際公開第WO200350144号に記載されている。この化合物は、シロキサン単位と陰イオン性単位とを、陰イオン性基とシロキサン基が置換された同一のケイ素原子上に位置した状態ではなく、異なる炭化水素のヒドロキシル原子上に位置した状態で含む。
国際公開第WO200424799号には、カルボン酸性無水物残基を有するオルガノポリシロキサンのヒドロキシ基を有するポリサッカライドとのエステル化によって得られるオルガノポリシロキサン変性ポリサッカライドが記載されている。しかし、結果として得られるポリマーは、陽イオンまたは陰イオン官能基が既にポリサッカライド上に存在している場合を除き、陽イオンまたは陰イオン官能基を有さない。この場合、陽イオンまたは陰イオン官能基とシロキサン官能基は、異なる炭化水素のヒドロキシル原子上に存在し、連結基である同じケイ素原子上には存在しない。
4級アンモニウム官能性シリコーンは、当分野で周知である。例えば、米国特許第3,389,160号には、このような化合物と、これらを調製するための2工程の方法が開示されている。第一の工程では、エポキシ官能性シリコーンが2級アミンと反応して3級アミン官能性シリコーンが形成される。この生成物が次にアルキルハライドと反応して4級アンモニウム官能性シリコーンが生じる。3級アミン塩をペンダントエポキシ官能性シリコーンと反応させる方法も知られている。より最近では、その全体を参照により本明細書に組み込むHelmrickらの米国特許第6,482,969号が、エポキシド官能性またはハロヒドリン官能性置換基を有する4級アンモニウム化合物を、カルボキシまたはアミノ-官能性オルガノ-官能性シリコーンまたはシロキサンと反応させることによって調製された、シリコーンをベースにした4級アンモニウム官能性組成物を開示している。
米国特許第6,482,969号明細書
サッカライド−シロキサンは、広範な家庭用およびパーソナルケア用組成物に有用な特性を付与することが見出されている。これらがこれらを含む組成物に与える特異な特性がその組成物の企図された機能を高める分野においては、さらなる効用があると考えられる。したがって、当分野において、イオン的に官能化されたサッカライドシロキサンならびにこれらを含む分散物および組成物が求められている。
したがって、本発明は、配合物をベースにした製品、例えば、パーソナルケア、家庭用ケア、および工業的ケア用の組成物のための、イオン変性され、シロキサン、サッカライド、および荷電した成分の組み合わされた所望の特性の付与が可能な新規なサッカライド−シロキサンを対象とする。
驚くべきことに、サッカライド−シロキサンコポリマーを変性してイオン形態にすると、直接配合する場合あるいは分散して広範な用途に適用するための組成物にする場合に、未変性サッカライド−シロキサンを含む配合物と比較して高められた親水性および直接性を提供するコポリマーがもたらされることが見出された。
このサッカライド−シロキサンコポリマーは、連結基によって連結されたサッカライド成分とオルガノシロキサン成分とを有する。本発明の実施形態にしたがって変性された本サッカライド−シロキサンコポリマーは、下記式:
R2 aR1 (3-a)SiO-[(SiR2R1O)m-(SiR1 2O)n]y-SiR1 (3-a)R2 a
〔式中、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、水素、C1~C12アルキル、有機基、またはR3-Qを含み、
Qは、エポキシ、シクロエポキシ、1級もしくは2級アミノ、エチレンジアミン、カルボキシ、ハロゲン、ビニル、アリル、無水物、またはメルカプト官能基を含み、
mおよびnは、0〜10,000の整数であり、同じであっても異なっていてもよく、
各aは、独立に、0、1、2、または3であり、
yは、前記コポリマーが1,000,000未満の分子量を有することになる整数であり、
は、式: Z-(G1)b-(G2)c
[式中、Gは、炭素原子5個〜12個を含むサッカライド成分であり、b+cは1〜10であり、bまたはcは0であってよく、
は、炭素原子5個〜12個を含み、さらに有機基または有機ケイ素基で置換されたサッカライド成分であり、
Zは、連結基であり、独立に、以下の:
- R3-NHC(O)-R4- ;
- R3-NHC(O)O-R4- ;
- R3-NH-C(O)-NH-R4- ;
- R3-C(O)-O-R4-;
- R3-O-R4- ;
- R3-CH(OH)-CH2-O-R4- ;
- R3-S-R4 ;
- R3-CH(OH)-CH2-NH-R4- ;
- R3-N(R1)-R4
からなる群から選択され、
およびRは、(R5)r(R6)s(R7)t(式中、r、s、およびtの少なくとも1つは1でなければならない)を含む二価のスペーサー基であり、
およびRは、C1~C12アルキルまたは((C1~C12)O)p(式中、pは1〜50の任意の整数であり、各(C1~C12)Oは同じであっても異なっていてもよい)のいずれかであり、
は、-N(R8)-(式中、Rは、HもしくはC1~C12アルキル、またはZ-X(Zは上述により定義した通りまたはR3である))であり、
Xは、カルボン酸、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、または4級アンモニウム基であり、
およびRの少なくとも1つは前記連結基中に存在していなければならず、RおよびRは同じであっても異なっていてもよい]
を有し、かつ、コポリマー1個当たり少なくとも1個のRが存在する〕
を有し、
ここで、前記サッカライド−シロキサンコポリマーは、官能化されたオルガノシロキサンポリマーと少なくとも1種のヒドロキシ官能性サッカライドとの反応生成物であり、前記オルガノシロキサン成分は、連結基Zを介して前記サッカライド成分に共有結合している。
1つの実施態様は、陽イオン性サッカライド−シロキサンを対象とし、この場合において、陽イオン性は、置換基を有する4級アンモニウム化合物によってもたらされる。この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む。別の実施態様では、陽イオン性は、置換基を有する3級アンモニウム化合物によってもたらされる。この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含み、この場合において、3級アンモニウム化合物は、最終的にアルキル化によって4級アンモニウム化合物に変換される。
さらなる実施態様は、陰イオン性サッカライド−シロキサンを対象とし、この場合において、陰イオン性は、置換基を有するカルボキシレート、ホスフェート、サルフェート、またはスルホネート化合物によってもたらされる。この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む。別の実施態様では、環状無水物がカルボキシレート性をもたらし、この場合において、開環反応によってカルボン酸基と、前記サッカライド−シロキサンコポリマーの連結基へのアミド結合とが生じる。
さらなる実施態様では、本イオン官能性サッカライドシロキサンは、分散物を形成する。特定の実施形態では、この分散物は、溶液またはエマルションを含む。
本発明の実施態様は、イオン変性サッカライド−シロキサンをベースとしたイオン官能性組成物の調製方法も提供する。特定の実施態様では、この方法は、置換基を有する4級アンモニウム化合物(この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む)を、式により上述したサッカライド−シロキサンコポリマーと反応させる工程を含む。別の特定の実施態様では、この方法は、置換基を有するカルボキシレート、ホスフェート、サルフェート、またはスルホネート化合物(この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む)を、式により上述したサッカライド−シロキサンコポリマーと反応させる工程を含む。さらなる特定の実施態様では、この方法は、カルボキシレート性を有する環状無水物(ここで、開環反応によってカルボン酸基とアミド結合とが生じる)を、サッカライド−シロキサンコポリマーの連結基と反応させる工程を含む。
陽イオン性または陰イオン性モノマーを組み込むことによって、サッカライド基の鎖の延長などの従来の機構より低いコストで親水性がもたらされる。高められた直接性またはイオン安定性は、パーソナルケア用または家庭ケア用の配合物、およびこのような特性が望ましい他の用途における実用性に利点をもたらす。
本発明の実施態様の陽イオンまたは陰イオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーは、未変性サッカライド−シロキサンコポリマーと比較して、それらが添加された配合物に高められた親水性および直接性をもたらす。一般に、イオン性サッカライド−シロキサンは、陽イオン性または陰イオン性のモノマーまたはオリゴマーをサッカライドシロキサンの官能性部位に反応させることによって調製される。この反応性部位は、下記サッカライド−シロキサン骨格において定義される連結基または未反応のQ部分を介してサッカライドシロキサンと共有結合を形成する。
陽イオン性または陰イオン性のモノマーまたはオリゴマーと反応して本発明の化合物を形成するこのサッカライド−シロキサンコポリマーは、連結基で連結されたサッカライド成分およびオルガノシロキサン成分を含み、かつ、以下の式:
R2 aR1 (3-a)SiO-[(SiR2R1O)m-(SiR1 2O)n]y-SiR1 (3-a)R2 a
〔式中、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、水素、C1~C12アルキル、有機基、またはR3-Qを含み、
Qは、エポキシ、シクロエポキシ、1級もしくは2級アミノ、エチレンジアミン、カルボキシ、ハロゲン、ビニル、アリル、無水物、またはメルカプト官能基を含み、
mおよびnは、0〜10,000の整数であり、同じであっても異なっていてもよく、
各aは、独立に、0、1、2、または3であり、
yは、前記コポリマーが1,000,000未満の分子量を有することになる整数であり、
は、式: Z-(G1)b-(G2)c
[式中、Gは、炭素原子5個〜12個を含むサッカライド成分であり、b+cは1〜10であり、bまたはcは0であってよく、
は、炭素原子5個〜12個を含み、さらに有機基または有機ケイ素基で置換されたサッカライド成分であり、
Zは、連結基であり、独立に、以下の:
- R3-NHC(O)-R4- ;
- R3-NHC(O)O-R4- ;
- R3-NH-C(O)-NH-R4- ;
- R3-C(O)-O-R4-;
- R3-O-R4- ;
- R3-CH(OH)-CH2-O-R4- ;
- R3-S-R4 ;
- R3-CH(OH)-CH2-NH-R4- ;
- R3-N(R1)-R4
からなる群から選択され、
およびRは、(R5)r(R6)s(R7)t(式中、r、s、およびtの少なくとも1つは1でなければならない)を含む二価のスペーサー基であり、
およびRは、C1~C12アルキルまたは((C1~C12)O)p(式中、pは1〜50の任意の整数であり、各(C1~C12)Oは同じであっても異なっていてもよい)のいずれかであり、
は、-N(R8)-(式中、Rは、HもしくはC1~C12アルキル、またはZ-X(Zは上述により定義した通りまたはR3である))であり、
Xは、カルボン酸、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、または4級アンモニウム基であり、
およびRの少なくとも1つは前記連結基中に存在していなければならず、RおよびRは同じであっても異なっていてもよい]
を有し、かつ、コポリマー1個当たり少なくとも1個のRが存在する〕
を有し、
ここで、前記サッカライド−シロキサンコポリマーは、官能化されたオルガノシロキサンポリマーと少なくとも1種のヒドロキシ官能性サッカライドとの反応生成物であり、前記オルガノシロキサン成分は、連結基Zを介して前記サッカライド成分に共有結合している。
サッカライド−シロキサンコポリマーは、ヒドロキシ官能性サッカライドから形成される。特定の実施態様では、このヒドロキシ官能性サッカライドは、アルドン酸またはオリゴアルドン酸を含む。より特定の実施態様では、このアルドン酸またはオリゴアルドン酸は、ラクトンを含む。2つの典型的なラクトンには、グルコノラクトン(GL)およびラクトビオノラクトン(LBL)が含まれる。グルコノラクトン(GL)およびラクトビオノラクトン(LBL)は、商業的に入手可能である。細胞中に天然に存在することが見出されているグルコン酸は、ポリヒドロキシアルファ-ヒドロキシアルドン酸であり、典型的にはグルコノラクトン形態で製品中に含まれる。ラクトビオン酸(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-グルコン酸)は、エーテル様の連結を介してグルコン酸分子に結合しているガラクトース分子からなる。一方、GLおよびLBLは、容易に商業的に入手可能なサッカライドであり、当業者であればその他のサッカライドが本発明のコポリマーの形成に好適であることを理解するであろう。
1つの実施態様では、オルガノシロキサンポリマーは、ポリジメチルシロキサンを含む。特定の実施態様では、連結基は、アミド、アミノ、ウレタン、尿素、エステル、エーテル、チオエーテル、またはアセタール官能性連結基を含む。より特定の実施態様では、連結基は、アミノ官能性連結基を含み、極めて特定の実施態様では、このアミノ官能性連結基は、アミノプロピルまたはアミノエチルアミノイソブチル官能基を含む。
アルドノラクトンは、オルガノシロキサンがアミノ官能基を含む場合に特に好適なサッカライドであり、極めて特定の実施態様では、サッカライド−シロキサンコポリマーが、アミノ官能性オルガノシロキサンとラクトンとの反応生成物を含む。したがって、さらにより特定の実施態様では、サッカライド−シロキサンコポリマーが、アミノ官能性オルガノシロキサンとGLまたはLBL等のアルドノラクトンとの反応生成物を含む。
イオン性モノマーまたはオリゴマーに共有結合するための部位には、連結基Z、またはQ部分の反応性基が含まれる。
本明細書においてサッカライドシロキサンと反応して本発明のイオン性サッカライド−シロキサンを形成する、反応性の陰イオンまたは陽イオン分子は、イオン性成分と、前記サッカライド−シロキサンコポリマーと共に結合を形成する反応性部位とを含む。1つの特定の実施態様では、この反応性成分は、β-ハロゲン化アルキル、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基、2,3-エポキシプロピル基、無水物、アクリレート、およびメタクリレートからなる群から選択される。さらなる特定の実施態様では、このイオン性成分は、アルキルアンモニウムハライド、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、カルボン酸、およびこれらの塩からなる群から選択される。
1つの実施態様は、陽イオン性が置換基を有する4級アンモニウム化合物によってもたらされる、陽イオン性サッカライドを対象とする。この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む。別の実施態様では、陽イオン性が置換基を有する3級アンモニウム化合物によってもたらされ、この置換基が、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基からなる群から選択され、かつ、この3級アンモニウム化合物がアルキル化によって最終的に4級アンモニウム化合物に変換される。特定の実施態様では、この4級アンモニウムは、下記構造式:
-CH(R3)CH(OH)YN+(R4)(R5)(R6)X-
(式中、Yは、二価の炭化水素基であり;Rは、一価の炭化水素基または水素であり;R、R、およびRは、独立に一価の炭化水素基であり;Xはカウンタイオンである)
を有する。
本明細書における式の範囲の解釈において、「R」の指定は、特に他の指定がない限り、与えられた定義全体によって許容されるバリエーションを示し得る。
さらなる実施態様は、陰イオン性が置換基を有するカルボキシレート、ホスフェート、サルフェート、またはスルホネート化合物によってもたらされる、陰イオン性サッカライド−シロキサンを対象とする。この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む。別の実施態様では、環状無水物化合物が
カルボキシレートをもたらし、この場合において、開環反応によってカルボン酸基と、サッカライド−シロキサンコポリマーの連結基へのアミド結合とが生じる。
イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーは、反応性成分を有する分子を反応させることによって形成させることができ、この場合において、この反応性成分は、連結基と反応してサッカライド−シロキサンコポリマーに陽イオン性官能基もしくは陰イオン性官能基を付与する。陽イオン性を付与するこのような分子の限定されない例には、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(クロロヒドリン)、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド);2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド;クロロスチレン;および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-アルキル-ジメチルアンモニウムクロリド(ここで、アルキルは、ドデシル-、ココアルキル、またはステアリルから選択される)が含まれる。
陰イオン性の付与のために連結基Zと反応する分子の限定されない例には、3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩、クロロ酢酸、2-カルボキシエチルアクリレート、ポリ(2-カルボキシエチル)アクリレート、マレイン酸無水物、置換マレイン酸無水物、例えばポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート-co-マレイン酸無水物)、ポリ(メチルビニルエーテル-alt-マレイン酸無水物)、ジクロロマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、置換グルタル酸無水物、例えばヘキサフルオログルタル酸無水物、フタル酸無水物および誘導体、4-スルホ-1,8-ナフタル酸無水物カリウム塩、4-アミノ-1,8-ナフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、無水コハク酸およびその誘導体、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2-スルホ安息香酸環状無水物、イタコン酸無水物、リン酸、テトラリン酸、およびリン酸無水物が含まれる。
一部の場合には、陽イオン官能性サッカライド−シロキサンを合成するために前駆体ルートを採用することが望ましい。特定の分子を、例えば、連結基上の2級アミンと反応させて3級アミン官能基を生成させる。次いで、この3級アミン官能基を、適切なアルキル化剤と反応させることによって4級アンモニウム基に変換する。連結基と反応して陽イオン基の前駆体を生成することができる官能基を有する化合物の例には、これらに限定されないが、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルクロリド、2-ジエチルアミノエチルクロリド、またはN-(2,3-エポキシプロピル)ジエチルアミンが含まれる。好適なサッカライド−シロキサンには、連結基が例えば2級アミンまたはヒドロキシルなどの官能基を有するサッカライド−シロキサンが含まれる。アルキル化剤の限定されない例には、メチルクロリド、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、または塩化ベンジルが含まれる。
特定の実施態様では、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレートを、2級アミンを含む連結基を含むサッカライドシロキサンと反応させて、3級アミン陽イオン性前駆体を形成させる。より特定の実施態様では、この3級アミンをアルキル化剤と反応させて4級アンモニウム陽イオンを形成させる。極めて特定の実施態様では、このアルキル化剤は、塩化ベンジルを含む。この2段階の方法は、in-situで陽イオン基を形成させることを望む場合に有用である。
本発明の陽イオン性化合物に対して、通常許容できるカウンタイオンには、クロリン、ブロミンなどのハロゲンイオンが含まれ、アセテートや、メチルサルフェートなどの他のものも含まれる。陰イオン性化合物に対して、通常許容できるカウンタイオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、および有機アミン、例えばトリエタノールアミンもしくはジエチルアミンが含まれる。カウンタイオンは、内部で非反応性のものが好ましい。すなわち、分子全体のうちの相当するサッカライド−シロキサン部分または同様の部分に非反応性であるものがよい。
本イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーは、典型的には、周囲条件でガム、ろう状固体、または固体である。しかし、液状形態で存在するコポリマーの小さな集団が存在すること、および液状の分散可能な形態は、温度などの条件を操作することによって作り出すこともできることに注目すべきである。しかし、大部分の本イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーを、分散物(例えば、溶液またはエマルション)の容易な形成を可能にする粘度範囲にするために、本イオン性サッカライドコポリマーは、最初に溶媒または溶媒ブレンドに溶解されることによって可溶化されなければならない。
本イオン性サッカライドコポリマーは、実質的に純粋な形態に、あるいは溶液またはエマルションの形態の分散物として、配合することができる。用いられる形態次第で、本イオン性サッカライドコポリマーは、水中油型、油中水型、シリコーン中水型、および水中シリコーン型の系に配合することができる。一部の水性ベースの配合物の場合において、本イオン性サッカライド−シロキサンは、固体として配合物に直接添加することができる。分散物の1つの実施態様では、溶液の形態である。溶媒は、選択された特定のイオン性サッカライド−シロキサン次第で、実質的に水溶性または実質的に非水溶性であってよい。特定の実施態様では、実質的に非水性の溶媒は、揮発性または非揮発性溶媒を含み、極めて特定の実施態様では、実質的に非水性の溶媒は、揮発性炭化水素もしくはシリコーン、またはこれらの混合物を含む。さらに特定の実施態様では、実質的に非水性の溶媒はシリコーンを含む。
可溶化されたコポリマーは、目標組成物に容易に送達するための溶液またはエマルションを形成させるために用いることができる。特定の溶媒ブレンドは、サッカライド−シロキサンコポリマーのイオン性と、企図する用途に対する溶媒の適性とをベースにして選択される。1つの特定の実施態様では、溶媒ブレンドは、パラフィンとアルコールとの混合物を含む。極めて特定の実施態様では、このアルコールはイソプロピルアルコールを含む。
本明細書において用語「分散物」は、2相系を意味し、ここで、第一の相は第二のバルク相の全体に分配された微細に分割された粒子を含み、この第一の相が「内部」相すなわち分散相を構成し、第二の相が「外部」相すなわち連続相を構成する。
本明細書において用語「溶液」は、機械的分散物、コロイド性分散物、および真の溶液を広く含むことが意図されていて、真の溶液に限定されるもの解釈されるべきではない。ある溶液は、均一に分散した混合物を含む分散物であって、第一の相が溶質からなり、第二の相が溶媒からなる。
本明細書において用語「エマルション」は、2つの非混和性の液体の混合物を含む分散物を意味し、第一の分散された内部相を構成する液体が、界面活性剤の助けにより第二の連続相中に懸濁されている。
本明細書において用語「揮発性」は、周囲条件でかなりの蒸気圧を示す溶媒を意味する。好適な揮発性シリコーンの例には、シロキサン(例えば、フェニルペンタメチルジシロキサン、フェニルエチルペンタエチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、メトキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、クロロプロピルペンタメチルジシロキサン、ヒドロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびこれらの混合物が含まれる。特に好適なシリコーンはシクロメチコーンである。極めて特定に実施態様では、揮発性シリコーンは、環状シロキサンを含む。
本イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーは、組成物中に分散物として送達されうる。コポリマーを希釈する工程または分散する工程は、これらの処理を容易にし、採用可能な好ましい溶媒には、ポリジメチルシロキサン、炭化水素、およびアルコールが含まれる。特に好適な溶媒は、環状シロキサンおよび炭化水素−アルコール混合物、ならびに水である。
本イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーの炭化水素、シリコーンおよびアルコール、ならびに水との相溶性に起因して、これらは水性ベースおよび非水性ベースの両方の組成物および製品に組み込むことができる。
サッカライド−シロキサンコポリマーへの様々な合成ルートが当分野において周知であり、これを採用することができる。当業者であれば、好適なサッカライド−シロキサンコポリマーが、様々な合成手段から形成されうること、およびサッカライドが、エステル、エーテル、アミド、ウレタン、尿素、エポシキドなどの様々な連結基によってシロキサンに共有結合しうることを理解することができる。
本イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーは、エマルションとして分散することができる。1つの実施態様では、エマルションは、イオン性サッカライド−シロキサンを含む内部相と水を含む連続相とを含む水中油型エマルションである。このイオン性サッカライド−シロキサンエマルションは、その両親媒性によって内部相の分散を維持する、少なくとも1種の界面活性剤を含む。陰イオンまたは陽イオン官能基は、静電反発力で立体的な安定化を増大させることによって、さらなるエマルション安定性をもたらすことができる。
その他の実施態様では、このエマルションの調製方法が提供される。イオン性サッカライド−シロキサンエマルションは、1)前もって形成されたサッカライド−シロキサン流体およびポリマーを乳化させる工程、または、2)サッカライド−シロキサンモノマーを、個々のエマルション粒子中で(例えば、乳化重合または懸濁重合により)重合させてより高分子量の流体またはポリマーにする工程、のいずれかを含む。1つの実施態様では、分散を確立させ、水相を整えるために、界面活性剤−水ブレンドを、可溶化されたサッカライド−シロキサンコポリマーに最初に添加する。水の任意の追加部分は、エマルションの所望の特性プロファイルおよび/または企図される用途による要求に応じて添加する。
当業者であれば、所望のエマルションの形成の容易性に連続性が存在することを容易に理解するであろう。イオン性サッカライド−シロキサンエマルションには、他のエマルションと同様の制約がある。すなわち、これらは熱力学的に不安定であり、分散体を維持するために界面活性剤を必要とし、乳化を開始させるためにエネルギーの投入を必要とする。撹拌による単純なかきまぜで十分である場合があり、あるいは高剪断手段(高剪断装置の採用を含む)の適用が必要とされる場合もある。その他の場合には、ポリマーの乳化法または転化法が必要とされる。
エマルションを形成させるために必要な撹拌の程度が、混合装置の採用を必要とする場合がある。混合装置は、典型的には、所望のエネルギーの投入を可能にする。これらの剪断力範囲にわたる混合装置の限定されない例には、1)インペラ(例えば、プロペラ、ピッチブレードインペラ、ストレートブレードインペラ、Rushtonインペラ、またはCowelsブレード等)を備えた槽、2)混練型撹拌器、例えば、Baker-Parkins、3)高剪断力を生じさせるためにオリフィスを通した容積移送を用いる高剪断装置、例えば、ホモジナイザー、ソノレーター、またはマイクロフルイダイザー、4)ローターおよびステーター構造を用いる高剪断装置、例えば、コロイドミル、ホモミックラインミル、IKA、またはBematek、5)一軸または二軸の連続的コンパウンダー、6)内部インペラまたはローター/ステーター装置を有するチェンジカンミキサー、例えば、Turelloミキサー、および7)遠心ミキサー、例えば、Hauschildスピードミキサーが含まれる。混合装置の組合せも有用であり、例えば、インペラを有する槽を高剪断装置に接続することができる。
混合装置の選択は、乳化されるべき内部相のタイプに基づく。例えば、低粘度の内部相は、オリフィスを通した容積移送を用いる高剪断装置を用いて乳化させることができる。しかし、高粘度の内部相の場合は、ローター/ステーター装置、二軸コンパウンダー、またはチェンジカンミキサーがより良い選択であることが多い。さらに、親水性基を含む内部相は、乳化が容易であることが多く、したがって、インペラを備えた単純な槽で十分である場合がある。
本イオン性サッカライド−シロキサンコポリマーの粘度は、シロキサン部分の分子量、サッカライド単位の数、シロキサン1モル当たりのサッカライド単位のモルパーセント、および温度および圧力等の外的条件などの要因に依存する。当業者であれば、変化可能な内部相粘度を、サッカライド−シロキサンコポリマーと溶媒もしくは溶媒ブレンドとの混合割合を変化させることによって達成することができることを理解するであろう。
エマルションの調製において最も望ましい成分の添加順は、経験的に決定される。例えば、濃厚相エマルションを得るための望ましい添加順は、(a)サッカライド−シロキサンコポリマーを溶媒または溶媒ブレンド中で可溶化させて所望の粘度にする工程;(b)界面活性剤中で混合する工程;(c)高剪断力下で濃厚相エマルションが形成されるまで水を徐々に添加する工程;(d)高剪断力下で所望の濃度に水で希釈する工程であってよい。高剪断力を用いて「プレミックス」を得るための望ましい添加順は、(a)インペラが組み込まれた撹拌槽に水を加える工程;(b)少なくとも1種の界面活性剤を水と混合する工程;(c)サッカライド−シロキサンコポリマー相を水に徐々に添加して粗エマルションを調製する工程;(d)所望の粒子サイズが達成されるまでこの粗エマルションを高剪断装置に送る工程であってよい。
非イオン性界面活性剤は、エマルションを調製するために好適であり、アルキルエトキシレート、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、およびこれらの混合物が含まれる。陽イオン性、両性、および/または陰イオン性の界面活性剤も好適であり、典型的には、非イオン性界面活性剤に加えて添加される。特定の実施態様では、エマルションは、少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤と、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む。
本発明は、イオン変性サッカライド−シロキサンを含む組成物の調製方法も提供する。1つの実施態様では、特定の実施態様では、この方法は、置換基を有する4級アンモニウム化合物(この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む)を、式により上述したサッカライド−シロキサンコポリマーと反応させる工程を含む。別の特定の実施態様では、この方法は、置換基を有するカルボキシレート、ホスフェート、サルフェート、またはスルホネート化合物(この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む)を、式により上述したサッカライド−シロキサンコポリマーと反応させる工程を含む。さらなる特定の実施態様では、この方法は、カルボキシレート性を有する環状無水物(開環反応によってカルボン酸基とアミド結合とが生じる化合物)を、サッカライド−シロキサンコポリマーの連結基と反応させる工程を含む。この反応は、置換基の官能基とサッカライドシロキサンコポリマーのZまたはQ官能基との間で起こる。さらなる特定の実施態様では、本方法は、置換基を有する環状無水物化合物(この置換基は、エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む)を、式により上述したサッカライド−シロキサンコポリマーの連結基と反応させる工程を含む。
本開示との関連において、開示された範囲はいずれも、その範囲の端点のみを特に開示するものではなく、端点の間に収まる個々の全ての値も開示するものと解釈されるべきである。例えば、炭素原子1個〜5個は、炭素原子1個および5個に加えて炭素原子2個、3個、および4個を開示する。同様に、1〜10の範囲は、とりわけ、3.1、5、9.9なども開示する。
以下の実施例は、実例を示す目的のためだけに提供されるものであり、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
[実施例1]:陽イオン性糖−シロキサンの調製
Dow Corning(登録商標)2-8175(Dow Corning社、Midland、ミシガン州)と、グルコノラクトン(Sigma-Aldrich社、St. Louis、ミズーリ州)との、サッカライドとアミノ官能基の比が1:1の反応生成物を、2-プロパノール中、コポリマーが50%になるまで希釈する。この溶液194 gを、コンデンサー、温度コントロール、および磁気攪拌機を備え、窒素パージされた500 mlの3つ口丸底フラスコに入れる。5.91 gの(2,3-エポキシプロピル)-トリメチルアンモニウムクロリド(Fluka社、Buches、スイス)を撹拌しながら添加する。この反応物を50℃にて4時間維持した。得られた生成物は、淡黄色であり、不透明であった。ろう状固体物質が、ロータリーエバポレーター(Buchi Labortechnik AG社、Flawil、スイス)を使用して溶媒を除去した後に回収可能である。
[実施例2]:非イオン性界面活性剤を用いた陽イオン性糖−シロキサンエマルションの調製
実施例1で調製した溶液50 gを、ロータリーエバポレーターに取り付け、溶媒を80%固形分溶液が残るまで除去する。この溶液22 g、0.9 gのTergitol 15-S-3および2.6 gのTergitol 15-S-40非イオン性界面活性剤をディスポーザブルカップに入れ、遠心ミキサー(Hauschildスピードミキサー、Landrum、サウスカロライナ州)で混合する。1 g単位の水を添加してゲルが形成されるまで撹拌する。1 g単位の水を4〜10 g加え、撹拌し、得られたエマルションを希釈する。本実施例で調製された最終的なエマルションは、24%のコポリマーを含有していた。粒子サイズをNicomp 370(粒径測定システム、Santa Barbara、カルフォルニア州)を使用して測定した。体積平均粒径は、135ナノメートルであった。
[実施例3]:陽イオン性界面活性剤を用いた陽イオン性糖−シロキサンエマルションの調製
実施例1で調製した溶液50 gを、ロータリーエバポレーターに取り付け、溶媒を80%固形分溶液が残るまで除去する。この溶液40 g、2.5 gの2-プロパノール、および11.72 gのArquad 16-29陽イオン性界面活性剤(Akzo Novel社、Amersfoort、オランダ)をディスポーザブルカップに入れ、遠心ミキサー(Hauschildスピードミキサー、Landrum、サウスカロライナ州)で混合した。2 g単位の水を添加してゲルが形成されるまで撹拌する。水を4〜5 g加え、撹拌し、得られたエマルションを希釈する。最終的なエマルションは、40%のコポリマーを含有していた。粒子サイズをNicomp 370(粒径測定システム、Santa Barbara、カルフォルニア州)を用いて測定した。体積平均粒径は、183ナノメートルであった。
[実施例4]:陰イオン性糖−シロキサンの調製
Dow Corning(登録商標)2-8175(Dow Corning社、Midland、ミシガン州)と、グルコノラクトン(Sigma-Aldrich社、St. Louis、ミズーリ州)との、サッカライドとアミノ官能基との比が1:1の反応生成物を、2-プロパノール中、コポリマーが50%になるまで希釈した。この溶液49 gを、コンデンサーおよび磁気攪拌機を備え、窒素パージされた100 mlの1つ口丸底フラスコに入れた。1 gのコハク酸無水物(Sigma-Aldrich社、St. Louis、ミズーリ州)を撹拌しながら添加した。この反応物を還流状態にて3時間維持した。得られた生成物は、淡黄色であり、わずかにかすんでいた。ろう状固体物質が、ロータリーエバポレーター(Buchi Labortechnik AG社、Flawil、スイス)を使用して溶媒を除去した後に回収された。Nicolet Nexus 670 FTIRを使用してFT-IRスペクトルを得た。カルボニルピークが、1731 cm-1に観測された。
[実施例5]:陰イオン性糖−シロキサンの調製
Dow Corning(登録商標)2-8175(Dow Corning社、Midland、ミシガン州)と、グルコノラクトン(Sigma-Aldrich社、St. Louis、ミズーリ州)との、サッカライドとアミノ官能基との比が1:1の反応生成物を、2-プロパノール中、コポリマーが50%になるまで希釈した。この溶液50 gを、コンデンサーおよび磁気攪拌機を備え、窒素パージされた100 mlの1つ口丸底フラスコに入れた。1 gのマレイン酸無水物(Sigma-Aldrich社、St. Louis、ミズーリ州)を撹拌しながら添加した。この反応物を還流状態にて3時間維持した。得られた生成物は、淡黄色であり、わずかにかすんでいた。ろう状固体物質が、ロータリーエバポレーター(Buchi Labortechnik AG社、Flawil、スイス)を使用して溶媒を除去した後に回収された。Nicolet Nexus 670 FTIRを使用してFT-IRスペクトルを得た。カルボニルピークが、1715 cm-1に観測された。

Claims (11)

  1. サッカライド−シロキサンコポリマーと、イオン性モノマーまたはオリゴマーとの反応生成物を含むイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーであって、
    前記サッカライド−シロキサンコポリマーが、連結基で連結されたサッカライド成分およびオルガノシロキサン成分を含み、下記式:
    R2 aR1 (3-a)SiO-[(SiR2R1O)m-(SiR1 2O)n]y-SiR1 (3-a)R2 a
    〔式中、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、水素、C1~C12アルキル、有機基、またはR3-Qを含み、
    Qは、エポキシ、シクロエポキシ、1級もしくは2級アミノ、エチレンジアミン、カルボキシ、ハロゲン、ビニル、アリル、無水物、またはメルカプト官能基を含み、
    mおよびnは、0〜10,000の整数であり、同じであっても異なっていてもよく、
    各aは、独立に、0、1、2、または3であり、
    yは、1以上の整数であり、
    は、式: Z-(G1)b-(G2)c
    [式中、Gは、炭素原子5個〜12個を含むサッカライド成分であり、b+cは1〜10であり、bまたはcは0であってよく、
    は、炭素原子5個〜12個を含み、さらに有機基または有機ケイ素基で置換されたサッカライド成分であり、
    Zは、連結基であり、独立に、以下の:
    -R3-NHC(O)-R4-;
    -R3-NHC(O)O-R4-;
    -R3-NH-C(O)-NH-R4-;
    -R3-C(O)-O-R4-;
    -R3-O-R4-;
    -R3-CH(OH)-CH2-O-R4-;
    -R3-S-R4 -
    -R3-CH(OH)-CH2-NH-R4-;
    -R3-N(R1)-R4 -
    からなる群から選択され、
    およびRは、(R5)r(R6)s(R7)t(式中、r、s、およびtの少なくとも1つは1でなければならない)を含む二価のスペーサー基であり、
    およびRは、独立に、炭素原子1個〜12個のアルキレン基、または式:(R 9 O)p(式中、pは1〜50の任意の整数であり、各R 9 は、炭素原子1個〜12個の2価の有機基であり、各R 9 Oは同じであっても異なっていてもよい)の基であり、
    は、-N(R8)-(式中、Rは、HもしくはC1~C12アルキル、またはZ-X(Zは上述により定義した通りまたはR3である))であり、
    Xは、カルボン酸、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、または4級アンモニウム基であり、
    およびRの少なくとも1つは前記連結基中に存在していなければならず、RおよびRは同じであっても異なっていてもよい]
    を有し、かつ、コポリマー1個当たり少なくとも1個のRが存在する〕
    を有し、
    ここで、前記サッカライド−シロキサンコポリマーが、官能化されたオルガノシロキサンポリマーと少なくとも1種のヒドロキシ官能性サッカライドとの反応生成物であり、前記オルガノシロキサン成分が、連結基Zを介して前記サッカライド成分に共有結合しており、
    前記イオン性モノマーまたはイオン性オリゴマーが、連結基ZまたはQに共有結合している
    イオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  2. 前記連結基Zが、アミド、アミノ、ウレタン、尿素、エステル、エーテル、チオエーテル、またはアセタール官能性連結基を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  3. 前記連結基が、アミノプロピル官能基およびアミノエチルアミノイソブチル官能基からなる群から選択されるアミノ官能性連結基を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  4. 前記イオン性モノマーまたはイオン性オリゴマーが、β-ハロゲン化アルキル、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基、2,3-エポキシプロピル基、無水物、アクリレート、およびメタクリレートからなる群から選択される反応性成分を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  5. 前記イオン性モノマーまたはイオン性オリゴマーが、アルキルアンモニウムハライド、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、カルボン酸、およびこれらの塩からなる群から選択されるイオン性成分を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  6. 反応性成分を有する分子の反応生成物を含むイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーであって、前記反応性成分が、前記サッカライド−シロキサンコポリマーの連結基Zと反応して、イオン性官能基と陽イオン性もしくは陰イオン性とを付与しており、
    陽イオン性を付与するために反応させる前記分子が、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(クロロヒドリン)、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド);2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド;クロロスチレン;および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-アルキル-ジメチルアンモニウムクロリド(ここで、前記アルキルは、ドデシル-、ココアルキル、またはステアリルから選択される)からなる群から選択され、前記反応生成物が、長鎖アルキル基で置換されたメチル基を有する4級アンモニウム基を有する、請求項に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  7. 反応性成分を有する分子の反応生成物を含むイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーであって、前記反応性成分が、前記サッカライド−シロキサンコポリマーの連結基Zと反応して、イオン性官能基と陽イオン性もしくは陰イオン性とを付与しており、
    陰イオン性を付与するために反応させる前記分子が、3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩、クロロ酢酸、2-カルボキシエチルアクリレート、ポリ(2-カルボキシエチル)アクリレート、マレイン酸無水物、置換マレイン酸無水物、ポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート-co-マレイン酸無水物)、ポリ(メチルビニルエーテル-alt-マレイン酸無水物)、ジクロロマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、置換グルタル酸無水物、ヘキサフルオログルタル酸無水物、フタル酸無水物および誘導体、4-スルホ-1,8-ナフタル酸無水物カリウム塩、4-アミノ-1,8-ナフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、無水コハク酸およびその誘導体、(2-ドデセン-1-イル)コハク酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2-スルホ安息香酸環状無水物、イタコン酸無水物、リン酸、テトラリン酸、およびリン酸無水物からなる群から選択される、請求項に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマー。
  8. 1)前もって形成されたサッカライド−シロキサン流体またはポリマーを乳化させる工程、または、
    2)サッカライド−シロキサンモノマーを、個々のエマルション粒子中で重合させてより高分子量の流体またはポリマーにする工程、
    のいずれかを含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーのエマルションの調製方法。
  9. エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む置換基を有する4級アンモニウム化合物を、前記サッカライド−シロキサンコポリマーと反応させる工程を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーを含む組成物の調製方法。
  10. エポキシド、ハロヒドリン、無水物、またはアクリレート官能基の少なくとも1つを含む置換基を有するカルボキシレート、ホスフェート、サルフェート、またはスルホネート化合物を、前記サッカライド−シロキサンコポリマーと反応させる工程を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーを含む組成物の調製方法。
  11. カルボキシレート性を有する環状無水化合物であって、開環反応によりカルボン酸基とアミド結合とが生じる化合物を、連結基Zと反応させる工程を含む、請求項1に記載のイオン変性サッカライド−シロキサンコポリマーを含む組成物の調製方法。
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