JP4979318B2 - ラジカル重合性樹脂組成物 - Google Patents
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特許文献2の樹脂組成物では、比較的紫外線が透過しやすいガラス繊維と使っているにもかかわらず、紫外線照射によりマトリックス樹脂を増粘し、B−ステージ化することはできるが、紫外線照射のみでFRPを成形することは難しかった。
本発明では、下式(1)で示されるトリ(メタ)アクリレート化合物(A)を含有することが必要である。ただし、R1は、水素またはメチル基である。R2は−CmH2m−(mは1以上の整数)である。好ましく用いられる(A)として、東亞合成株式会社製アロニックスM−315、日本化薬株式会社製カヤラッドR−790などが挙げられる。
本発明では、下式(2)で示されるビニルエステル樹脂(B)を含有することが必要である。式(2)中のR3は水素またはメチル基であり、nは1以上の正の数である。好ましく用いられる(B)として、共栄社化学株式会社製エポキシエステル3000A、エポキシエステル3000M、昭和高分子株式会社製リポキシSP1509、リポキシVR77、リポキシSP1507、リポキシVR−60、リポキシVR−90などが挙げられる。
本発明では、ウレタン構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物(C)を含有することが必要である。好ましく用いられる(C)として、東亞合成株式会社製M1200、M1600、日本化薬株式会社製UX2201、UX2301、UX3301、UX4101、UX6101、UX7101、荒川化学工業株式会社製ビームセット550、ビームセット551、ビームセット505A−6、ビームセット504H、ビームセット502H、サンノプコ株式会社製フォートマー6008、フォートマー6210、日本合成化学株式会社製柴光UV−2250TL、根上工業株式会社製アートレジンUN−9000PEP、アートレジンUN−9200A、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−5200、アートレジンUN−330、アートレジンUN−6060P、アートレジンUN−6060PTN、アートレジンSH−500、三菱レイヨン株式会社製ダイヤビームUK6053、ダイヤビームUK6039、ダイヤビームUK6513、ダイヤビームUK6507、ダイヤビームUK6506、ダイヤビームUK6097、ダイヤビームUK6091、ダイヤビームUK6081、ダイヤビームUK6063、ダイセルUBC株式会社製Ebeclryl210、Ebeclryl215、Ebeclryl4827、Ebeclryl4849、Ebeclryl4244、Ebeclryl230、Ebeclryl244、Ebeclryl245、Ebeclryl270、Ebeclryl284、Ebeclryl285、Ebeclryl2000、Ebeclryl4830、Ebeclryl4835、Ebeclryl4858、Ebeclryl4833、Ebeclryl8420、Ebeclryl8804、Ebeclryl880、Ebeclryl8807、Ebeclryl1267などが挙げられる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物の硬化は、光照射によりラジカルを発生する光開始剤の添加、または、加熱によりラジカルを発生する熱開始剤との併用により行う。
光開始剤では、紫外線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。紫外線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤の中でもα−アミノアセトフェノン系重合光開始剤や、アシルフォスフィノキサイド型光重合開始剤、ο−アシルオキシム型光重合開始剤が比較的低い照射強度の紫外線によっても硬化しやすく、短時間の照射で硬化しやすいために好ましい。
40℃以上であれば、ラジカル重合開始剤を添加後のラジカル重合性樹脂組成物の常温での可使時間が十分なものとなるので好ましい。130℃以下であれば、光開始剤と併用した場合に光開始剤で硬化したFRPの耐熱性、靭性を向上するためのポストキュア温度を低くできるために好ましい。さらには10時間半減期温度が90℃以上120℃以下であることがより好ましい。
これらの市販品としては、日本油脂株式会社製パーロイルO、パーロイルL、パーロイルS、パーオクタO、パーロイルSA、パーヘキサ250、パーヘキシルO、ナイパーPMB、パーブチルO、ナイパーBMT、ナイパーBW、パーブチルIB、パーヘキサMC、パーヘキサTMH、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーテトラA、パーヘキシルI、パーブチルMA、パーブチル355、パーブチルL、パーヘキサ25MT、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキシルZ、パーヘキサV、パーブチルP、パークミルD、パーヘキシルD、パーヘキサ25B、パーブチルD、パーメンタH、パーヘキシン25Bなどが例示できる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、30℃での粘度が5000〜500000ポイズであることが好ましい。30℃での粘度を5000ポイズ以上とすることにより、ラジカル重合性樹脂組成物を用いたプリプレグの形態を保持することができ、30℃での粘度が500000ポイズ以下とすることにより、ラジカル重合性樹脂組成物を用いたプリプレグのタック、ドレープ性が適正範囲にあり、ツールへの貼り付け、プリプレグ同士の貼り付けを容易に行うことができるため好ましい。30℃での粘度が9000〜20000ポイズであることがさらに好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、反応熱ピークを示す時間が紫外線照射後の1秒以上経ってから現れることが好ましい。紫外線照射後の反応熱プロファイルは、紫外線照射可能なDSCで測定することができる。反応熱ピークを示す時間が紫外線照射後の1秒以上経ってから現れるラジカル重合性樹脂組成物では、FRP層がそれぞれ別個に硬化してしまうことがなく、良好な層間組織を得ることができる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、硬化後のG´−Tgが130℃以上あることが好ましい、G´−Tgが130℃以上あれば、航空機の2次構造材やゴルフシャフト、ラケットなどのスポーツ用途などへの使用が可能になる。硬化後のG´−Tgが150℃以上あれば、航空機の1次構造材としての使用も可能となるため、さらに好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、樹脂板として硬化した際の曲げ伸度が4%以上あることが好ましい。4%以上の曲げ伸度があれば、FRPとした際の機械物性に優れ、特に強い層間せん断強度を示すため好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物には、(A)、(B)、(C)以外に、ラジカル重合性樹脂を含んでいてもよく、好ましいものとして、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの各種ビニルモノマーやビニルオリゴマーが挙げられる。
また、脱泡剤、湿潤剤、レベリング剤などの添加剤を必要に応じて配合することができる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、単に(A)〜(C)を軽量し、混合することにより可能である。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、一般にFRPの強化繊維として用いられる強化繊維用いて、プリプレグとすることができる。好ましく用いられる強化繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維等などが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組合して用いてもかまわない。
強化繊維として炭素繊維を用いた場合、プリプレグ中のラジカル重合性樹脂組成物の含有量は、30〜70質量%であることが好ましい。30質量%以上であれば、プリプレグの硬化物表面の光沢を良好に保つことができ、70質量%以下とすれば、十分な機械的特性が発現できる。
(実施例)
(樹脂粘度の測定)
レオメトリクス社製レオメーターDSR200を用い、直径25mmのパラレルプレートを用い、パラレルプレート間のラジカル重合性樹脂組成物の厚みを0.5mmとし、角速度10ラジアン/秒の条件で30℃の粘度測定を行った。
ラジカル重合性樹脂組成物の紫外線照射時の硬化速度(発熱ピークの発現時間)は、光DSC測定を用い、紫外線照射時の硬化発熱挙動を解析することにより観測した。
使用装置 TAインスツルメント製DSC Q1000
測定温度 25℃とした。
紫外線光源 高圧水銀ランプ
照度 紫外線照度50mW/cm2
(ウシオ電機製UNI METER UIT−101使用)
0.6秒の紫外線照射(硬化発熱+輻射熱測定)
↓
残存発熱がなくなるまで紫外線照射
↓
0.6秒の紫外線照射(輻射熱測定)
樹脂組成物を2mm厚のポリテトラフルオロエチレンのスペーサーを挟んだ2枚のガラス(2mm厚)の間に注入、150℃、1時間の硬化条件で加熱硬化し、加熱硬化樹脂板を得た。
樹脂組成物を2mm厚のポリテトラフルオロエチレンのスペーサーを挟んだ2枚のガラス(2mm厚)の間に注入し、フュージョン株式会社製のベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6中で紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂板得た。このとき、ベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6の運転条件は以下の通りとした。
紫外線光源 Dバルブ、出力100%
光源とベルトの距離 53mm
紫外線照射回数 ベルトスピード7m/分×4回+同1m/分×23回
+同2.3m/分×1回、表裏面に交互に照射
照度 2780mW/cm2、光量113J/cm2
(ウシオ電機製UNI METER UIT−101使用)
樹脂組成物を2mm厚のポリテトラフルオロエチレンのスペーサーを挟んだ2枚のガラス(2mm厚)の間に注入し、フュージョン株式会社製のベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6中で紫外線を照射し、その後、250℃、1時間の条件で硬化し、紫外線+加熱硬化樹脂板得た。このとき、ベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6の運転条件は以下の通りとした。
紫外線光源 Dバルブ、出力52%
光源とベルトの距離 104mm
紫外線照射回数 ベルトスピード2m/分×2回(表裏面に交互に1回照射)
照度 376mW/cm2、光量1.8J/cm2
(ウシオ電機製UNI METER UIT−101使用)
三菱レイヨン株式会社製炭素繊維すだれ織物(経糸に用いる炭素繊維として三菱レイヨン株式会社製パイロフィルTR50S−12Lを使用、目付200g/m2)を用意した。
このすだれ織物上に樹脂組成物を樹脂含有率が50質量%となるように供給し、薬さじで含浸し、プリプレグを得た。
このプリプレグを、繊維方向を揃えて2枚積層し、0.5mm厚のポリテトラフルオロエチレンのスペーサーを挟んだ2枚のガラス(2mm厚)の間に挟み、150℃、1時間の硬化条件で加熱硬化し、すだれ織物を用いた加熱硬化FRP板を得た。
上記プリプレグを、繊維方向を揃えて2枚積層し、0.5mm厚のポリテトラフルオロエチレンのスペーサーを挟んだ2枚のガラス(2mm厚)の間に挟み、フュージョン株式会社製のベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6中で紫外線を照射し、すだれ織物を用いた紫外線硬化FRP板を得た。このとき、ベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6の運転条件は、紫外線硬化樹脂板の調製の通りとした。
樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙の上に塗布し、樹脂目付けが61g/m2の樹脂フィルムを得た。一部の樹脂組成物では樹脂粘度が低いために離型上で樹脂がはじかれて、フィルム形状に加工できなかったため、このような樹脂組成物は樹脂フィルムの作成ができないものと判断した。
上記一方向プリプレグをその繊維方向を揃えて8枚積層し、オートクレーブにて6気圧、150℃、1時間の硬化条件にて加熱硬化し加熱硬化FRP板を得、ガラス転移点温度測定と層間せん断強度測定用の試験片を得た。
上記一方向プリプレグをその繊維方向を揃えて8枚積層し、2枚のガラス(2mm厚)の間に挟み、フュージョン株式会社製のベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6中で紫外線を照射し、紫外線硬化FRP板を得た。このとき、ベルトコンベア式紫外線照射装置Light Hammer 6の運転条件は、紫外線硬化樹脂板の調製の通りとした。
樹脂板を試験片(長さ60mm×幅8mm×厚み2mm)に加工し、3点曲げ冶具(圧子、サポートとも3.2mmR、サポート間距離36mm)を設置したインストロン社製万能試験機を用い、曲げ特性を測定した。試験片の破断時点での伸度を破断伸度として記録した。
樹脂板を試験片(長さ50mm×幅12mm×厚み2mm)に加工し、レオメトリクス社製レオメーターRDA700を用い、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/分で、損失弾性率G´´と貯蔵弾性率G´の比であるtanδの温度依存性を測定したtanδを温度に対してプロットとし、tanδの極大を示す温度をtannδ−Tgとして記録した。
また、logG´を温度に対してプロットし、logG´の平坦領域の近似直線と、G´が転移する領域の近似直線との交点から求まる温度をG´−Tgとして記録した。
実施例で使用する樹脂原料は、表1の通りである。
表2、3に示した成分(R−2,R−3およびR−4を除く)をそれぞれ計量し、株式会社キーエンス製ハイブリッドミキサーHM−500を使用して均一溶解した。
室温まで冷えるのをまって、HM−500で攪拌を再開し、温度上昇に注意しながらR−2,R−3またはR−4を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を得た。評価結果を表2、3に示す。
Claims (1)
- 下式(1)で示されるトリ(メタ)アクリレート化合物(A)を30〜60質量部、下式(2)で示されるビニルエステル樹脂(B)を30〜60質量部、および、ウレタン構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物(C)5〜20質量部とラジカル発生剤0.05〜10質量部からなるラジカル重合性樹脂組成物であって、30℃での粘度が5000〜500000ポイズであるラジカル重合性樹脂組成物。
R1 は、水素またはメチル基である。R2 は−Cm H2m−(mは1以上の整数)である。
R3 は水素またはメチル基であり、nは1以上の整数である。
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