JP4979242B2 - トリオキセタン化合物、カチオン重合性組成物および光学フィルム並びに表示装置 - Google Patents
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Description
これらの問題のない硬化系として、カチオン重合性のビニルエーテル基やオキシラン基を有する化合物が検討されている。しかしながらビニルエーテル基は目的とする誘導体の合成過程で当該基の脱離が起こりやすい、オキシラン基は高反応性故に誘導体の合成が困難であるなどの欠点がある。
近年、上述の問題を解決しうる官能基としてオキセタン基の検討がなされ、多くのオキセタン誘導体が合成されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
重合性の液晶化合物を用いる方法として、メソゲンとしてベンゼン環2個あるいは3個をエステル基で結合したものが挙げられている(例えば、特許文献5および6参照。)。これらの低分子液晶化合物を位相差フィルムの材料として用いる場合には、低分子液晶化合物を加熱溶融し、液晶状態で基板フィルム上に塗布する方法が考えられるが、この方法では、位相差フィルムに要求される膜の均一性や膜厚精度を達成するのは困難である。また、溶液としてフィルム基板上に塗布する場合には、溶液粘度が低く、塗布自体が困難である場合が多い。従って、特許文献5および6の明細書においては、自立型の位相差フィルムを作製する場合には、ガラスセルの中に液晶材料を充填し、加熱下で紫外線照射を行う等により硬化させた後、ガラス基板を取り除き自立型の位相差フィルムとする方法が提案されているが、フィルム基板上に塗布する方法と比較すると煩雑である。
一方、重合性の反応基を有する高分子液晶物質を用いる方法としては、高分子主鎖に重合性反応基を導入する方法、側鎖に重合性反応基を有するモノマー単位を導入する方法(例えば、特許文献8参照。)が提案されているが、これらいずれの方法においても液晶性を低下させるため、機械的強度を十分に高めるまでに多量の重合性反応基の導入には限度があり、他の手法が求められている。
−P1−L2−P2− (2)
−P1− (3)
−P1−L2−P2− (2)
−P1− (3)
合成にあたっては、オキセタン基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。なお、オキセタン基は類似のカチオン重合性官能基であるオキシラン基などと比べて、副反応を起こす可能性が低い。さらに、類似したアルコール、フェノール、カルボン酸などの各種化合物をつぎつぎに反応させることもあり、適宜保護基の活用を考慮してもよい。合成された粗オキセタン誘導体は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの方法で精製してもよい。特に結晶性がある程度高いものについては、再結晶は有効な手段であり、常温で再結晶が不可能な化合物についても、−20℃などの低温に冷却することで再結晶が可能になることもある。
本発明のカチオン重合性組成物は、本発明のトリオキセタン化合物と、該オキセタン化合物を除くカチオン重合性基を有する化合物とからなり、好ましくは本発明のトリオキセタン化合物を少なくとも5質量%以上、より好ましくは10質量%以上含むカチオン重合性組成物である。トリオキセタン化合物の含有量が5質量%未満では組成物中に占める重合性基の濃度が低くなり、重合後の機械的強度等が必ずしも十分でないなど好ましくない。上限は特に限定されないが、80質量%以下が好ましい。80質量%を超えると架橋物に脆さが目立つようになり好ましくない。
また、必要により他の共重合可能な化合物を共重合することもできる。共重合する化合物は特に限定されるものではないが、好ましくは合成される高分子化合物が液晶性を示すような化合物を用いて液晶性を高めるためにメソゲン基を有する(メタ)アクリル化合物が好ましい。
例えば、ウィリアムソンのエーテル合成法や、縮合剤を用いたエステル合成法などの手段でカチオン重合性基を持つ部位と(メタ)アクリル基を持つ部位を結合することで、カチオン重合性基と(メタ)アクリル基と全く異なる2つの官能基を持つ(メタ)アクリル化合物を容易に合成することができる。
カチオン重合開始剤には、適当な光によりカチオンを発生しうる光カチオン発生剤および熱によりカチオンを発生しうる熱カチオン発生剤(以下、両者を合わせてカチオン発生剤ということがある。)があり、本発明のカチオン重合性組成物においては、それぞれを個別に用いてもよく、両者を併用してもよい。また必要によっては各種の増感剤を併用してもよい。
前記のカチオン発生剤の中では、光でカチオンを発生しうる光カチオン発生剤は、前記のカチオン重合性組成物が液晶性を有する場合などは液晶相を発現する任意の温度でカチオンを発生させて重合(硬化)を行うことができるため、特に好ましい。
次に、本発明のカチオン重合性組成物を用いた光学フィルムの製造方法について詳細に説明する。光学フィルム製造の方法としてはこれらに限定されるものではないが、下記方法に示される各工程を踏むことが望ましい。
本発明のカチオン重合性組成物から製造される光学フィルムは、基板上に形成されたままの形態(基板/(配向膜)/光学フィルム)、基板とは異なる透明基板フィルム等に光学フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/光学フィルム)、または光学フィルムに自己支持性がある場合には光学フィルム単層形態(フィルム)のいずれの形態であってもよい。
前記反応性のものの反応(硬化)条件は、粘・接着剤を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。例えば、光硬化型の場合は後述する光カチオン発生剤の場合と同様な光源を使用し、同様な照射量でよく、電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは25kV〜100kVである。
これらの位相差フィルムのなかで、例えば、ネマチック配向、ねじれネマチック配向を固定化した位相差フィルムは、STN型、TN型、OCB型、HAN型等の透過型または反射型液晶表示装置の補償板として使用できる。コレステリック配向を固定化した位相差フィルムは、輝度向上用の偏光反射フィルム、反射型のカラーフィルター、選択反射能に基因する視角による反射光の色変化を生かした各種のセキュリティ素子や装飾フィルムなどに利用できる。またネマチックハイブリッド配向を固定化したフィルムは、正面から見たときのリターデーションを利用したり、またリターデーション値の向き(フィルムの傾き)による非対称性を生かしてTN型液晶表示装置の視野角改善フィルムなどに利用できる。また、1/4波長板機能を有する位相差フィルムは、偏光板と組み合わせ、反射型の液晶表示装置やEL表示装置の反射防止フィルターとして用いることができる。
化合物を重水素化クロロホルムまたは重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、VARIAN社製INOVA 400で測定した。
(2)液晶相挙動の観察
相挙動はメトラー社製ホットステージFP82HT上で、試料を加熱しつつ、ニコン(株)製ECLIPSE E600POL偏光顕微鏡で観察した。
相転移温度は、Perkin−Elmer社製示差走査熱量計DSC7により測定した。
相挙動の記載において、Cは結晶相を、Chはコレステリック相を、Nmはネマチック相を、Isoは等方性液体相を表す。
(3)光学フィルムのパラメータ測定
ネマチック配向のリタデーション値(Δnd)の測定は、王子計測機器(株)製のKOBRA−20ADHを用いた。
ネマチックハイブリッド配向の平均チルト角は、王子計測機器(株)製のKOBRA−20ADHを用いて測定した−50°から50°までの10°刻みのリターデーション値を測定し、線形でチルト角が変化すると仮定したシミュレーションで求めた。なお、測定波長は550nmを用いた。
ねじれネマチック構造のねじれ角及びΔndは、シンテック(株)製のOptiproを用いて測定した。
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(5)透過スペクトルの測定
透過スペクトルの測定は、日本分光(株)製紫外・可視・近赤外分光光度計V−570を用いた。
(6)膜厚測定
SLOAN製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SYSTEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DCM:ジクロロメタン
PPTS:ピリジニウム−p−トルエンスルホネート
THF:テトラヒドロフラン
DMF:ジメチルホルムアミド
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
アクリル化合物1の2部(モル比)とアクリル化合物2の8部(モル比)とから、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート5を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート5の重量平均分子量は、9,100であった。
DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は82℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でネマチック液晶相を発現し、Nm−Iso転移温度は248℃であった。
アクリル化合物1の2部(モル比)、アクリル化合物2の6部(モル比)およびアクリル化合物3の2部(モル比)とから、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート6を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート6の重量平均分子量は、9,700であった。
DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は78℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でネマチック液晶相を発現し、Nm−Iso転移温度は229℃であった。
アクリル化合物1の2部(モル比)、アクリル化合物2の7.3部(モル比)およびアクリル化合物4の0.7部(モル比)とから、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート7を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート7の重量平均分子量は、8,900であった。
DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は85℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でコレステリック液晶相を発現し、Ch−Iso転移温度は218℃であった。
精製した化合物を、1H−NMRおよび13C−NMRで同定して、オキセタン化合物1であることを確認した。図1に1H−NMRスペクトルを示す。
δ 0.8(t, 9H), 1.6 (m, 12H), 1.9(m, 6H), 3.5(t, 12H), 3.9(m, 4H), 4.0(m, 2H), 4.3(m, 6H), 4.4(m, 6H), 6.6-7.2(m, 2H), 6.8(m 6H), 7.9(m, 6H), 8.1(d, 1H)
(2)13C−NMR(CDCl3;TMS)におけるオキセタン化合物1のピーク位置
δ 8.44, 26.28, 26.38, 27.02, 43.62, 68.18, 68.24, 71.25, 73.68, 73.70, 78.76, 78.79, 111.08, 113.46, 114.36, 114.39, 114.44, 114.55, 117.73, 119.81, 120.99, 121.12, 121.16, 121.33, 121.53, 123.94, 124.00, 131.80, 132.47, 132.53, 132.58, 136.03, 140.45, 143.16, 143.27, 148.72, 154.66, 163.52, 163.60, 163.65, 163.69, 163.74, 163.86, 164.14, 164.17, 164.66, 164.77.
精製した化合物を、1H−NMRおよび13C−NMRで同定して、オキセタン化合物2であることを確認した。図2に1H−NMRスペクトルを示す。
δ 0.9(t, 9H), 1.9 (m, 6H), 4.1(s, 2H), 4.1(s, 2H), 4.2(s, 2H), 4.5-4.6(m, 12H), 6.9(d, 2H), 6.9(d, 2H), 7.0(d, 2H), 7.2(dd, 1H), 7.3(d, 1H), 7.4(d, 1H), 8.0(d, 2H), 8.1(d, 2H), 8.2(d, 2H);
(2)13C−NMR(CDCl3;TMS)におけるオキセタン化合物2のピーク位置
δ 8.23, 8.25, 26.65, 26.69, 43.15, 43.13, 43.18, 70.46, 70.50, 77.96, 78.03, 114.34, 114.42, 117.52, 119.64, 121.30, 121.43, 121.82, 123.75, 132.42, 140.21, 142.90, 148.51, 163.34, 163.37, 163.42, 163.51, 163.79, 164.33.
参考例5で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート5の0.8gと、実施例1で得たオキセタン化合物1の0.2gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.05gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで不溶分を濾過してカチオン重合性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み100μmのポリイミドフィルム「カプトン」(デュポン社製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後60℃のホットプレート上で乾燥させた。得られたポリイミドフィルム上のカチオン重合性組成物層を145℃に加熱しながら、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量300mJ/cm2の紫外線光を照射した後、冷却して硬化したカチオン重合性組成物層を得た。
得られた光学フィルム1を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一なネマチックハイブリッド液晶配向が観察され、正面から見たときのΔndは120nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは153nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは61nmと非対称であり、どの角度でもΔndが0nmになる点が存在しなかったことから、このフィルムはネマチックハイブリッド配向構造をとっているとわかる。
さらに光学フィルム1のカチオン重合性組成物部分のみを掻き取り、DSCを用いてガラス転移点(Tg)を測定したところ、Tgは観測されなかった。
またフィルムのカチオン重合性組成物層表面の鉛筆硬度は3H程度となり、充分に強固な膜が得られた。このように、側鎖型液晶性ポリアクリレート5を用いることで、良好な液晶配向性を維持し、液晶配向固定化後の熱安定性と強度に優れた光学フィルムが作成できることがわかった。
参考例5で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート4の1gを9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.05gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで不溶分を濾過して液晶性材料溶液を調整した。
この溶液を用いる以外は実施例3と同様に行い配向フィルム2を得た。
得られた配向フィルム2を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一なネマチック液晶配向が観察され、そのΔndは100nmであった。しかし、配向フィルム2の液晶材料層部分のみを掻き取り、DSCを用いてガラス転移点を測定したところ、Tgは90℃と低く、またフィルムの液晶材料層表面の鉛筆硬度はHB程度と軟らかいものだった。
このフィルムを2mm厚のソーダガラスにノンキャリア粘着剤を介して貼り付け、その上にポリイミドフィルムのラビング方向と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学工業社製SQW−862)を貼り付けた。このサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、ムラのない均一なフィルムであった。このサンプルを100℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったところ、液晶配向の乱れが著しく白抜けが発生していた。
参考例5で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート5を5.00gおよびオキセタン化合物2を1.00gとり、35.0gのシクロヘキサノンに溶解させた。この溶液に、ダウケミカル製UVI−6992(50%プロピレンカーボネート溶液)0.06gを添加し、孔径0.45μmのポリテトラフロロエチレン製フィルターにより不溶分を濾過してカチオン重合性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのポリエチレンナフタレートフィルム「テオネックスQ−51」(帝人(株)製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後約60℃の温風を緩やかに吹き付けることにより溶剤を除去し、ついでオーブン中で150℃で3分加熱することにより、まず均一な液晶配向を形成させた(フィルム3a)。フィルム3a表面の鉛筆硬度は6B以下と弱いものであった。
光学フィルム3を偏光顕微鏡下で観察すると、均一な液晶配向を有していた。また、光学フィルム3の正面から見たΔndは98nmであった。さらに光学フィルム3のカチオン重合性組成物層部分のみを掻き取り、DSCによりガラス転移点(Tg)を測定したところ、Tgは130℃であった。光学フィルム3のカチオン重合性組成物層表面の鉛筆硬度を測定したところ2H程度であり、強固な膜が得られていた。
参考例7で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート7の0.9gと、実施例1で得たオキセタン化合物1の0.1gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.05gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで不溶分を濾過してカチオン重合性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのポリエチレンナフタレートフィルム「テオネックスQ−51」(帝人(株)製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後60℃のホットプレート上で乾燥させた。得られたポリエチレンナフタレートフィルム上のカチオン重合性組成物層を150℃に加熱しながら、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量300mJ/cm2の紫外線光を照射した後、冷却して硬化したカチオン重合性組成物層を得た。
さらに光学フィルム4のカチオン重合性組成物層部分のみを掻き取り、DSCを用いてガラス転移点(Tg)を測定したところ、Tgは観測されなかった。
このフィルムを2mm厚のソーダガラスにノンキャリア粘着剤を介して貼り付け、その上にポリエチレンナフタレートフィルムのラビング方向と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付けた。このサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、ムラのない均一なフィルムであった。このサンプルを100℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったところ、特に変化はなく、液晶配向の乱れは観測されなかった。
またフィルムのカチオン重合性組成物層表面の鉛筆硬度は2H程度となり、充分に強固な膜が得られた。このように、側鎖型液晶性ポリアクリレート7を用いることで、良好な液晶配向性を維持し、液晶配向固定化後の熱安定性と強度に優れた光学フィルムが作成できることがわかった。
参考例6で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート6を10.0gおよびオキセタン化合物2を2.0gとり、20gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた。この溶液に、ダウケミカル社製UVI−6992(50%プロピレンカーボネート溶液)1.2gを添加し、孔径0.45μmのポリテトラフロロエチレン製フィルターにより不溶分を濾過してカチオン重合性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのポリエチレンナフタレートフィルム「テオネックスQ−51」(帝人(株)製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後約60℃の温風を緩やかに吹き付けることにより溶剤を除去し、ついでオーブン中で150℃で10分加熱することにより、まず均一な液晶配向を形成させた(フィルム5)。
光学フィルム5を偏光顕微鏡下で観察すると、均一な液晶配向を有していた。また、光学フィルム5の正面から見たΔndは350nmであった。さらに光学フィルム5のカチオン重合性組成物層部分のみを掻き取り、DSCによりガラス転移点(Tg)を測定したところ、Tgは観測されなかった。光学フィルム5のカチオン重合性組成物層表面の鉛筆硬度を測定したところ3H程度であり、強固な膜が得られていた。
実施例3で得た光学フィルム1を用いて半透過反射型液晶表示装置を作製し、視野角特性を調べた。
作製した半透過反射型液晶表示装置の断面の概略を図3に示す。
第2の基板8にAl等の反射率の高い材料で形成された反射電極6とITO等の透過率の高い材料で形成された透過電極7とが設けられ、第1の基板3に対向電極4が設けられ、反射電極6及び透過電極7と対向電極4との間に正の誘電率異方性を示す液晶材料からなる液晶層5が挟持されている。第1の基板3の対向電極4が形成された側の反対面に第1の光学異方素子2(高分子延伸フィルム13および14から構成)及び偏光板1が設けられており、第2の基板8の反射電極6及び透過電極7が形成された面の反対側に第2の光学異方素子9(液晶フィルム15および高分子延伸フィルム16から構成)及び偏光板10が設けられている。偏光板10の背面側にはバックライト11が設けられている。
液晶セル12の観察者側(図の上側)に偏光板1(厚み約180μm;住友化学(株)製SQW−862)を配置し、偏光板1と液晶セル12との間に、第1の光学異方素子2として、一軸延伸したポリカーボネートフィルムからなる高分子延伸フィルム13及び14を配置した。高分子延伸フィルム13のΔndは略268nm、高分子延伸フィルム14のΔndは略98nmであった。
また、第2の光学異方素子9として、観察者から見て液晶セル12の後方に液晶フィルム15及び一軸延伸したポリカーボネートフィルムからなる高分子延伸フィルム16を配置し、更に背面に偏光板10を配置した。液晶フィルム15は実施例3で得たハイブリッド配向を固定化した光学フィルム1であり、Δndは120nm、平均チルト角は28度である。さらに高分子延伸フィルム16のΔndは272nmであった。
光学フィルム1の代わりにポリカーボネート15(Δndが略137nm)を用い、液晶セル12の背面側に配置した偏光板10の吸収軸、高分子延伸フィルム15及び16の遅相軸を図5に記載した条件で配置にした場合の全方位の等コントラスト曲線を比較したところ、光学フィルム1を用いることにより、約20°視野角特性が広がっていることを確認できた。
2 第1の光学異方素子
3 第1の基板
4 対向電極
5 液晶層(駆動用)
6 反射電極
7 透過電極
8 第2の基板
9 第2の光学異方素子
11 バックライト
12 液晶セル
13,14,16 高分子延伸フィルム
15 液晶フィルム(または高分子延伸フィルム)
Claims (8)
- 一般式(1)で表されるトリオキセタン化合物を少なくとも5質量%以上含有することを特徴とする請求項2記載のカチオン重合性組成物。
- カチオン重合性基を有する化合物が液晶性を示す化合物であることを特徴とする請求項2記載のカチオン重合性組成物。
- 液晶性を示す化合物が、オリゴマーまたは高分子化合物であることを特徴とする請求項4記載のカチオン重合性組成物。
- カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のカチオン重合性組成物。
- 請求項2〜6のいずれかに記載のカチオン重合性組成物を重合して得られる光学フィルム。
- 請求項7記載の光学フィルムを配置した表示装置。
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