JP2010174128A - 液晶性組成物、液晶フィルム及びその製造方法並びに液晶表示素子 - Google Patents

液晶性組成物、液晶フィルム及びその製造方法並びに液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高温および高湿条件で液晶配向保持能の高い液晶フィルムが得られる液晶性組成物、該組成物からなる液晶フィルム、および該フィルムからなる光学フィルムを搭載した液晶表示素子を提供する。
【解決方法】カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物とオキセタン基を有する液晶性化合物とからなる液晶性組成物であり、好ましくはカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物がビニルエーテル基を有する化合物であり、オキセタン基を有する液晶性化合物が主鎖型または側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする液晶性組成物、およびそれから得られる液晶フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、カチオン重合性の化合物とオキセタン基を有する液晶性化合物からなる液晶性組成物、当該液晶性組成物からなる液晶フィルムおよび当該フィルムを用いた光学フィルムを搭載した液晶表示素子に関する。
近年、液晶材料を光学用途に適用するための研究開発が活発に行われており、液晶材料を配向してフィルム化した配向フィルムは、液晶ディスプレイの色補償用途や視野角拡大用途などに実用化されている。液晶材料をフィルム化する方法は種々の方法が知られている。
例えば、液晶材料の配向能を有する基板上に薄膜を形成せしめた後、ガラス転移点(Tg)以上の温度に加熱して液晶を配向させた後、急冷することで液晶配向を固定化し、配向フィルムを作成する方法(特許文献1、2)、液晶組成物中に架橋しうる基を導入し、配向能を有する基板上に液晶組成物の薄膜を形成し、Tg以上の温度に加熱して液晶を配向させた後、光照射などの手段で架橋することで液晶配向を固定化し、配向フィルムを作成する方法(特許文献3〜6)などが知られている。
このようにして液晶配向状態を維持した配向フィルムが製造できるが、この配向フィルムは、基板上に形成されたままの形態(基板/(配向膜)/配向フィルム)、基板とは異なる透明基板フィルム等に粘・接着剤を介して配向フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/粘・接着剤/配向フィルム)などがある(特許文献7、8)。これらの配向フィルムは、他の位相差フィルムや偏光板などに粘・接着剤を介して複合化した形態で液晶ディスプレイなどに用いられる。液晶ディスプレイの普及に伴い、これら複合されたフィルムに対して、より厳しい使用環境、具体的には、高温下での耐熱能、高湿下での耐湿能などが求められている(特許文献9、10)。
上述課題を解決するために、重合性の反応基を有する高分子液晶化合物を用いる方法、高分子主鎖に重合性反応基を導入する方法、側鎖に重合性反応基を有するモノマー単位を導入する方法等が提案されてきたが、これらいずれの方法においても液晶性を低下させるため、耐熱能を十分に高めることができるまでに多量の重合性反応基の導入には限度があり、他の手法が求められている(特許文献11)。
また、架橋しうる反応基を有する高分子液晶化合物と重合性の液晶化合物を混合する方法としては、オキセタン基を有する側鎖型高分子液晶化合物と液晶性ジオキセタン化合物からなる組成物が提案されている(特許文献12)。
この組成物では、液晶性ジオキセタン化合物量を多くすることで機械的強度を高めることができるが、液晶相を維持した状態で迅速に重合を行わせるためには光および/または熱によりカチオンを発生できる化合物を添加する必要がある。
しかしながら、該液晶性ジオキセタン化合物は、液晶性の化合物との相溶性は高いものの、前記のカチオンを発生できる化合物のような非液晶性の化合物を加えると相分離が起きやすいなど、非液晶性化合物との相溶性が充分ではない課題を有していた。
特開平3−9326号公報 特開平6-20434号公報 特開平9−73081号公報 特開2002−146353号公報 特開2002−308832号公報 特開2003−139953号公報 特開平4−57017号公報 特開平8−278491号公報 特開2000−321426号公報 特開2001−49205号公報 特開平9−3454号公報 特開2004−315736号公報
本発明は、上記課題を解決した高温および高湿条件で液晶配向保持能の高い液晶フィルムが得られる液晶性組成物、該組成物からなる液晶フィルムおよび該フィルムからなる光学フィルムを搭載した液晶表示素子を提供するものである。
上記課題の解決に向けた研究の結果、本発明を完成するに至った。
本発明は次のとおりである
〔1〕カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物とオキセタン基を有する液晶性化合物とからなる液晶性組成物。
〔2〕カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物が、ビニルエーテル基を有する化合物であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶性組成物。
〔3〕前記ビニルエーテル基を有する化合物が、式(1)または式(2)で表される脂環式ビニルエーテルであることを特徴とする上記〔2〕に記載の液晶性組成物。
Figure 2010174128
(式(1)および式(2)において、Xは、−(CH−OR(Rはビニル基または水素を、nは0または1をそれぞれ示す。)を示し、Yは、−(CH−OR(Rはビニル基または水素を、nは0または1をそれぞれ示す。)または水素を示す。但し、R及びRの少なくとも一方はビニル基である。)
〔4〕オキセタン基を有する液晶性化合物が、主鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶性組成物。
〔5〕オキセタン基を有する液晶性化合物が、側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶性組成物。
〔6〕オキセタン基を有する液晶性化合物が、式(3)で表される側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶性組成物。
Figure 2010174128
(式(3)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない。)を表す。)
〔7〕液晶性組成物の組成(質量比)が、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物:オキセタン基を有する液晶性化合物=1〜30:70〜99であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶性組成物。
〔8〕光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含むことを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の液晶性組成物。
〔9〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の液晶性組成物を配向させた後、配向状態を固定化して形成することを特徴とする液晶フィルム。
〔10〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の液晶性組成物を配向基板上に展開し、当該液晶性組成物を配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより当該配向状態を固定化することを特徴とする液晶フィルムの製造方法。
〔11〕上記〔9〕に記載の液晶フィルムを粘着剤または接着剤を介して他のフィルムと貼り合わせて得られる液晶フィルム積層体。
〔12〕上記〔9〕に記載の液晶フィルムを粘着剤または接着剤にて光学的に透明なフィルムに転写することにより得られる液晶フィルム積層体。
〔13〕上記〔9〕に記載の液晶フィルムを含む光学フィルム。
〔14〕上記〔9〕に記載の液晶フィルム、上記〔11〕もしくは〔12〕に記載の液晶フィルム積層体または上記〔13〕に記載の光学フィルムのいずれかを搭載した液晶表示素子。
本発明の液晶性組成物は配向性が良好であり、該組成物から得られる液晶フィルムは耐熱性ばかりでなく粘着剤や接着剤を介した他基材との接着性にも優れたものである。この特徴を活かして液晶表示素子の視野角改良や色補償等に使用した場合、耐環境性を向上することができる。
実施例8で用いた液晶表示装置の概念図である。 実施例8で用いた液晶表示装置の各層の軸配置を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶性組成物は、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物とオキセタン基を有する液晶性化合物からなる。
本発明のカチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、スチレン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、ジエン系モノマー、ビニル系モノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル等)、ニトリル系モノマー(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル系モノマー(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等)などが挙げられる。
前記のスチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等を、ジエン系モノマーとしてはブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を例示することができる。
またビニルエーテル系モノマーとしては、炭素数1〜18で水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキレン基、芳香族基や脂環族基に1個以上のビニルエーテル基が結合された化合物が挙げられ、具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−ヘキサデシルビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジビニルエーテル、アリルビニルエーテル、エチニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−クロロフェニルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチル(α−メチルビニル)エーテル、ブチル(1−プロペニル)エーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、トリシクロデカノールビニルエーテル、トリシクロデカンジオールジビニルエーテル、トリシクロデカンモノメタノールビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジオールジビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ハイドキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性レゾルシンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテルが挙げられる。
上記のビニルエーテル系モノマーの中でも、より好ましいビニルエーテル系化合物として、下記一般式(1)または一般式(2)で表される脂環式ビニルエーテルが挙げられる。
Figure 2010174128
式(1)および式(2)において、Xは、−(CH−OR(Rはビニル基または水素を、nは0または1をそれぞれ示す。)を示し、Yは、−(CH−OR(Rはビニル基または水素を、nは0または1をそれぞれ示す。)または水素を示す。但し、R及びRの少なくとも一方はビニル基である。
これらのカチオン重合性のエチレン性不飽和基を有する化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用できる。また、エチレン性不飽和基を有する化合物の合成法は特に制限されるものではなく、例えば公知の方法を採用することができる。例えば、式(1)あるいは式(2)に記載する化合物は、特開平2005−15396号公報に記載されている合成方法によって合成することができる。
次に、本発明のオキセタン基を有する液晶性化合物について説明する。
オキセタン基を有する液晶性化合物としては、オキセタン基を有する主鎖型高分子液晶性化合物やオキセタン基を有する側鎖型高分子液晶性化合物を挙げることができる。オキセタン基を有する主鎖型高分子液晶性化合物としては、オキセタン基を有し液晶性を示すポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等を挙げることができるが、配向性や合成の容易さ等からポリエステルが好ましい。
本発明で用いるオキセタン基を有する主鎖型液晶性ポリエステルとは、芳香族ジオール単位(以下、構造単位(A)という。)、芳香族ジカルボン酸単位(以下、構造単位(B)という。)および芳香族ヒドロキシカルボン酸単位(以下、構造単位(C)という。)のうち少なくとも2種を必須単位として含み、かつ主鎖末端の少なくとも一方にカチオン重合性基であるオキセタン基を有する構造単位を含む主鎖型液晶性ポリエステル、である。以下に、構造単位(A)、(B)および(C)について順次説明する。
構造単位(A)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体、4,4’―ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,6−ナフタレンジーオールなどが挙げられ、特に、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体が好ましい。
Figure 2010174128
ただし、式中の−Xは、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基であり、特に下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 2010174128
構造単位(B)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体、4,4'−スチルベンジカルボン酸若しくはその置換体、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体が好ましい。
Figure 2010174128
ただし、式中の−Xは、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基を表す。
構造単位(C)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、ヒドロキシ安息香酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ桂皮酸などが挙げられ、特に、ヒドロキシ安息香酸およびその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体が好ましい。
Figure 2010174128
ただし、式中の−X、−X1、−X2は、それぞれ個別に、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基を表す。
前記の主鎖型液晶性ポリエステルは、構造単位として、(A)芳香族ジオール単位、(B)芳香族ジカルボン酸単位、および(C)芳香族ヒドロキシカルボン酸単位のうちから少なくとも2種と、さらに主鎖末端の少なくとも一方にオキセタン基を有する構造単位(以下、構造単位(D)という。)を必須の構造単位として含み、かつサーモトロピック液晶性を示すものであればよく、他の構造単位はこれら条件を満足する限り特に限定されるものではない。
主鎖型液晶性ポリエステルを構成する構造単位(A)、(B)および(C)の全構造単位に占める割合は、構造単位(A)、(B)および(C)がジオールあるいはジカルボン酸あるいはヒドロキシカルボン酸として全モノマーの仕込み量に対して占める重量和の比率で表した場合、通常20〜99%、好ましくは30〜95%、特に好ましくは40〜90%の範囲である。
20%より少ない場合には、液晶性を発現する温度領域が極端に狭くなるおそれがあり、また99%を越える場合には、本発明の主鎖型液晶性ポリエステルに必須なカチオン重合性基を有する単位が相対的に少なくなり、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、どちらの場合も好ましくない。
次にオキセタン基を有する構造単位(D)について説明する。構造単位(D)を導入するための化合物としては、下記の一般式に示すようなフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基を有する芳香族化合物に、オキセタン基が結合した化合物が挙げられる。また、芳香環とオキセタン基との間には、適当なスペーサー部分を有していても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、オキセタン基以外のカチオン重合性基、例えば、エポキシ基、ビニルオキシ基等を併用してもよい。
Figure 2010174128
ただし、式中の−X、−X1、−X2、−Y、−Zは、各構造単位毎にそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基を表す。
(1)−X、−X、−X:−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CN
(2)−Y:単結合、−(CH−、−O−、−O−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−(CH−、−CO−O−(CH−、−(CH−O−CO−、−(CH−CO−O−、−O−(CH−O−CO−、−O−(CH−CO−O−、−O−CO−(CH−O−、−CO−O−(CH−O−、−O−CO−(CH−O−CO−、−O−CO−(CH−CO−O−、−CO−O−(CH−O−CO−、または−CO−O−(CH−CO−O−(ただし、nは1〜12の整数を示す。)
(3)Z:
Figure 2010174128
構造単位(D)の中では、オキセタン基を含む置換基とフェノール性水酸基あるいはカルボン酸基の結合位置は、これらの基が結合する骨格がベンゼン環の場合は1,4−の位置関係を、ナフタレン環の場合は2,6−の位置関係を、ビフェニル骨格、スチルベン骨格の場合は4,4'−の位置関係にあるものが液晶性の点から好ましい。
より具体的には、4−(オキセタニルメトキシ)安息香酸、4−(オキセタニルメトキシ)フェノール、4'−オキセタニルメトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、6−オキセタニルメトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−オキセタニルメトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、4−オキセタニルメトキシ桂皮酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシスチルベンなどが好ましい。
オキセタン基を有する構造単位(D)の主鎖型液晶性ポリエステルを構成する全構造単位に占める割合は、同様に構造単位(D)をカルボン酸あるいはフェノールとして仕込み組成中の重量割合で表した場合、通常1〜60%、好ましくは5〜50%の範囲である。1%よりも少ない場合には、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、また60%を越える場合には、結晶性が上がることにより液晶温度範囲が狭まり、どちらの場合も好ましくない。
(A)〜(D)の各構造単位は、それぞれ1つまたは2つのカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基を有しているが、(A)〜(D)の有するカルボキシル基、フェノール性水酸基は、仕込みの段階においてそれぞれの官能基の当量数の総和を概ねそろえることが望ましい。すなわち、構造単位(D)が遊離のカルボキシル基を有する単位である場合には、((A)のモル数×2)=((B)のモル数×2)+((D)のモル数)、構造単位(D)が遊離のフェノール性水酸基を有する単位である場合には、((A)のモル数×2)+((D)のモル数)=((B)のモル数×2)なる関係を概ね満たすことが望ましい。
この関係式から大きく外れる仕込み組成の場合には、カチオン重合に関わる単位以外のカルボン酸あるいはフェノール、もしくはそれらの誘導体が分子末端となることになり、十分なカチオン重合性が得られないばかりか、これら酸性の残基が存在することにより、プロセス上の望む段階以外で重合反応や分解反応が起きてしまうおそれがあり好ましくない。
主鎖型液晶性ポリエステルは、(A)、(B)、(C)および(D)以外の構造単位を含有することができる。含有することができる他の構造単位としては、特に限定はなく当該分野で公知の化合物(モノマー)を使用することができる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物や、ビフェノール、ナフタレンジオール、脂肪族ジオールおよびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物等を挙げることができる。
また、主鎖型液晶性ポリエステルを構成する単位の原料として光学活性な化合物を用いた場合、該主鎖型液晶性ポリエステルにカイラルな相を付与せしめることが可能となる。かかる光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(C2n+1OH、ただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(C2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニレン基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸、イソソルビド、イソマンニドやこれらの誘導体を挙げることができる。
前記の主鎖型液晶性ポリエステルの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(質量比60/40)中、30℃で測定した対数粘度ηが0.03〜0.50dl/gが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15dl/gである。ηが0.03dl/gより小さい場合には、主鎖型液晶性ポリエステルの溶液粘度が低く、フィルム化する際に均一な塗膜が得られない恐れがある。また、0.50dl/gより大きい場合には、液晶配向時に要する配向処理温度が高くなり、配向と重合が同時に起きやすく配向性を低下させる危険性がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの分子量制御は専ら仕込み組成により決定される。具体的には分子両末端を封印する形で反応する1官能性モノマー、すなわち前記した構造単位(D)を導入するための化合物の、全仕込み組成における相対的な含有量により、得られる主鎖型液晶性ポリエステルの平均的な重合度(構造単位(A)〜(D)の平均結合数)が決定される。したがって、所望の対数粘度を有する主鎖型液晶性ポリエステルを得るためには、仕込みモノマーの種類に応じて仕込み組成を調整する必要がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの合成方法としては、通常のポリエステルを合成する際に用いられる方法を採ることができ、特に限定されるものではない。例えば、カルボン酸単位を酸クロリドやスルホン酸無水物などに活性化し、それを塩基の存在下でフェノール単位と反応させる方法(酸クロリド法)や、カルボン酸単位とフェノール単位をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの縮合剤を用いて直接縮合させる方法、フェノール単位をアセチル化して、これとカルボン酸単位とを溶融条件下で脱酢酸重合する方法などを用いることが出来る。
ただし、溶融条件下での脱酢酸重合を用いる場合には、オキセタン基を有するモノマー単位が反応条件下で重合や分解反応を起こすおそれがあるため、反応条件を厳密に制御する必要がある場合が多く、場合によっては適当な保護基を用いたり、あるいは一度別な官能基を有する化合物を反応させておいてから、後でオキセタン基を導入するなどの方法を採ることが望ましい場合もある。また、重合反応により得られた粗主鎖型液晶性ポリエステルを、再結晶、再沈などの方法により精製してもよい。
このようにして得られた主鎖型液晶性ポリエステルは、NMR(核磁気共鳴法)などの分析手段により、それぞれのモノマーがどのような比率で主鎖型液晶性ポリエステル中に存在するかを同定することができる。特に、オキセタン基の量比から、主鎖型液晶性ポリエステルの平均結合数を算出する事ができる。
また、前記主鎖型高分子液晶性化合物に替えて側鎖型高分子液晶性化合物を用いてもよく、かかる側鎖型高分子液晶性化合物としては、下記式(3)で表される液晶性高分子化合物を挙げることができる。
Figure 2010174128
式(3)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない。)を表す。
式(3)で表される側鎖型高分子液晶性化合物を構成する各成分のモル比は、a+b+c+d+e+f=1.0およびc+d+e=0ではなく、かつ、液晶性を示すことが必要である。この要件を満たせば各成分のモル比は任意でよいが、以下のとおりであることが好ましい。
a:好ましくは0〜0.80、より好ましくは0.05〜0.50
b:好ましくは0〜0.90、より好ましくは0.10〜0.70
c:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
d:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
e:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
f:好ましくは0〜0.30、より好ましくは0.01〜0.10
は、好ましくは、水素、メチル基、ブチル基、メトキシ基、シアノ基、ブロモ基、フルオロ基であり、特に好ましくは、水素、メトキシ基、またはシアノ基であり、また、Lは、好ましくは、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−である。さらに、Rは、好ましくは、炭素数2、3、4、6、8または18の炭化水素基である。
前記の側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分a〜fの比や配向形態により複屈折率が変化するが、ネマチック配向をとった場合の複屈折率は0.001〜0.300であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.25 である。
前記の側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分に該当するそれぞれの(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル基をラジカル重合またはアニオン重合により共重合することにより容易に合成することができる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常の条件を採用することができる。
ラジカル重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、60〜120℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系や2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ・フリーラジカル(TEMPO)系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は脱酸素条件下に行う必要がある。
アニオン重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として、反応させる方法が挙げられる。
また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
側鎖型高分子液晶性化合物は、重量平均分子量が1,000〜200,000であるものが好ましく、3,000〜50,000のものが特に好ましい。
本発明の液晶性組成物において、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物とオキセタン基を有する液晶性化合物の組成(質量比)は、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物:オキセタン基を有する液晶性化合物=1〜30:70〜99、好ましくは、3〜20:80〜97である。この範囲外では、液晶性組成物と粘・接着剤との接着性が不十分になったり、液晶フィルムが脆くなったりして好ましくない。
前記液晶性組成物は配向処理された後、当該組成物に含まれるカチオン重合性基を重合させて架橋することにより、当該液晶状態が固定化される。これにより、液晶フィルムの耐熱性が向上する。従って、カチオン重合を容易に速やかに進行させるため、液晶性組成物中に、光や熱などの外部刺激でカチオンを発生する光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含有させておくことが好ましい。また必要によっては各種の増感剤を併用してもよい。
光カチオン発生剤とは、適当な波長の光を照射することによりカチオンを発生できる化合物を意味し、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF (ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
熱カチオン発生剤とは、適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる化合物であり、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
これらのカチオン発生剤の液晶性組成物中への添加量は、用いるオキセタン基を有する液晶性化合物の構造、オキセタン基当量や液晶性組成物の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、オキセタン基を有する液晶性化合物に対し、通常100質量ppm〜20質量%、好ましくは1000質量ppm〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜8質量%、最も好ましくは1質量%〜6質量%の範囲である。
100質量ppmよりも少ない場合には、発生するカチオンの量が十分でなく重合が進行しないおそれがあり、また20質量%よりも多い場合には、液晶フィルム中に残存するカチオン発生剤の分解残存物等が多くなり耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
本発明の液晶性組成物においては、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、フィルム形成能を有する各種の高分子物質などが挙げられる。
次に、本発明の液晶性組成物を用いた液晶フィルムの製造方法について説明する。液晶フィルムの製造方法としてはこれらに限定されるものではないが、液晶性組成物を配向基板上に展開し、当該液晶性組成物を配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより当該配向状態を固定化することにより製造することができる。
まず、本発明の液晶性組成物を配向基板上に展開し、当該液晶性組成物を配向させる。配向基板としては、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース等のフィルムが例示できる。これらのフィルムは製造方法によっては、該液晶性組成物に対して充分な配向能を示し、そのまま配向基板として用いることができるものもあるが、多くはラビング、延伸、偏光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現もしくは強化させて用いる。
また、これらの基板フィルム上に、ポリイミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルシンナメート、ポリビニルアルコールなどの公知の配向膜を設けて、ラビング、延伸、偏光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現することもできる。さらに、酸化ケイ素の斜方蒸着処理による方法を例示できる。これらの操作や処理は適宜組み合わせて行うこともできる。
液晶性組成物を配向基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶性組成物の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶性組成物を構成する成分や適宜添加してもよい各種化合物を溶解でき、適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単一でもよいし、また複数種類を混合して用いてもかまわない。
また、前述の各種化合物としては配向基板上に均一な塗膜を形成するために用いられる界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。これらの各種化合物の添加量は本発明の液晶性組成物の構成成分の構造やそれらの組成比により変化するため一概には決定できないが、通常は、0.01質量%から10質量%程度である。
液晶性組成物を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法などが挙げられる。
液晶性組成物層は1枚の配向基板表面上に塗布された形態、すなわち液晶性組成物層はその表面が空気に曝された状態であってもよく、また溶媒を除去した後にもう1枚の別の基板で表面を覆い液晶性組成物層を2枚の基板でサンドウィッチ状とした形態でもよい。このときもう1枚の別の基板は当初の配向基板と必ずしも同一である必要はない。
液晶性組成物の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
塗布膜厚は、用いる液晶性組成物や得られる液晶フィルムの用途等により調整されるため一概には決められないが、乾燥後の膜厚で0.05〜20μm、好ましくは0.2〜10μmである。または、本発明の液晶性組成物は配向させることにより屈折率異方性を発現するため、塗布膜厚は単に膜厚のみで規定するだけでは必ずしも十分とは言えず、液晶の配向状態によってはリタデーション値(Δnd=屈折率異方性(Δn)×膜厚(d))で規定するのが好ましいときもある。
そのときのリタデーション値は10〜1000nm、好ましくは20〜800nmの範囲である。膜厚および/またはリタデーション値がこの範囲外では、目的とする効果の発現が困難になる、配向が不十分になる、などして好ましくない。
続いて、配向基板上に形成された液晶性組成物層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、光照射および/または加熱処理で硬化を行い固定化する。最初の熱処理では、使用した液晶性組成物層を液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶性組成物が本来有する自己配向能により液晶を配向させる。
熱処理の条件としては、用いる液晶性組成物の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶性組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶性組成物中のカチオン重合性反応基や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。
また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
熱処理により発現できる配向状態としては、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向、両者の中間状態と考えられるチルト配向や、ハイブリッド配向等があり、液晶相としてスメクチック相、ネマチック相、コレステリック相などが挙げられる。コレステリック相を発現させる場合は光学活性な化合物を必要とする。光学活性な化合物は、別途添加する形態でも、主鎖型または側鎖型高分子液晶性化合物中に共重(縮)合成分として組み込まれた形態でもよい。
熱処理により発現できる配向状態としては、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向や両者の中間状態と考えられるチルト配向やハイブリッド配向が挙げられ、これらの配向状態は配向基板表面にそれぞれの配向に適した配向処理を行うことで発現させることができる。また液晶相としては、スメクチック相、ネマチック相、コレステリック相等が挙げられる。コレステリック配向させる場合は光学活性な化合物を必要とする。光学活性な化合物は、別途添加する形態でも、主鎖型または側鎖型高分子液晶性化合物中に共重(縮)合成分として組み込まれた形態でもよい。
該液晶性組成物層を熱処理などの方法で液晶配向を形成したのち、液晶配向状態を保ったまま液晶性組成物層を組成物中のカチオン重合性反応基の重合反応により硬化させる。
硬化工程は、完成した液晶配向を硬化(架橋)反応により液晶配向状態を固定化し、より強固な膜に変性することを目的にしている。
本発明の液晶性組成物はカチオン重合性反応基を持つため、その反応基の重合(架橋)には、カチオン重合開始剤(カチオン発生剤)を用いるのが好ましいことは前述のとおりである。また、重合開始剤としては、熱カチオン発生剤より光カチオン発生剤の使用が好ましい。
光カチオン発生剤を用いた場合、光カチオン発生剤の添加後、液晶配向のための熱処理までの工程を暗条件(光カチオン発生剤が解離しない程度の光遮断条件)で行えば、液晶性組成物は配向段階までは硬化することなく、充分な流動性をもって液晶配向することができる。この後、適当な波長の光を発する光源からの光を照射することによりカチオンを発生させ、液晶性組成物層を硬化させる。
光照射の方法としては、用いる光カチオン発生剤の吸収波長領域にスペクトルを有するようなメタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射し、光カチオン発生剤を開裂させる。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光カチオン発生剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の光カチオン発生剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶配向をとる温度範囲である必要がある。また、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶性組成物のTg以上の温度で光照射を行うのが好ましい。
液晶配向が固定化された液晶性組成物層(液晶フィルム)は、配向基板上に形成されたままの形態(配向基板/(配向膜)/液晶性組成物層)、配向基板とは異なる透明基板フィルム等に液晶フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/液晶性組成物層)、または液晶性組成物層単層形態で光学フィルムとして用いることができる。
液晶フィルムは他のフィルムと貼り合わせて液晶フィルム積層体の形態で使用されることもあり、当該他のフィルムとしては、偏光素子、偏光板、本発明の液晶フィルムを含む各種の液晶を配向させたフィルムや、ポリカーボネート、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー等のプラスチックフィルムを延伸した各種の光学用フィルム、さらには後述する光学的に透明なフィルムを挙げることができる。
また、本発明においては、得られた液晶フィルムを配向基板とは異なる光学的に透明なフィルムに粘着剤や接着剤(総称して粘・接着剤という。)を介して転写した液晶フィルム積層体とすることもできる。
転写に使用される光学的に透明なフィルムとは、本発明の液晶フィルム、液晶フィルム積層体や光学フィルムが最終的に使用される波長領域において透明なフィルムであればよく、例えば、フジタック(富士フイルム社製品)、コニカタック(コニカ社製品)などのトリアセチルセルロースフィルム、TPXフィルム(三井化学社製品)、アートンフィルム(JSR社製品)、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)などの透明フィルムが挙げられ、また必要によっては各種光学ガラス、石英ガラスや偏光素子、偏光板も挙げることができる。
また、場合によっては一時的な支持基板(仮基板)として、シリコーン処理等の表面に易剥離層を設けたりしたポリエチレンテレフタレートフィルムなども挙げることができる。
上記の転写や貼合に使用される粘・接着剤は、転写や貼合される両界面に適度な接着力を有する光学グレードのものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル重合体系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができるが、光硬化型が処理の容易さなどから好ましい。
光硬化型の粘・接着剤には、ラジカル重合系やカチオン重合系が知られているが、本発明ではラジカル重合系である(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主体とする粘・接着剤(以下、アクリル系粘・接着剤という。)からなるものが好ましく、アクリル系粘・接着剤は、通常の市販されている紫外線(UV)硬化型粘・接着剤や液晶性組成物の接着性に応じて適宜変性したものが使用できる。
液晶性組成物の接着性に応じて適宜な変性は、東亜合成(株)や大阪有機化学工業(株)などから市販されている各種(メタ)アクリル系の単官能モノマーや多官能モノマー、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーに光重合開始剤、粘度調整剤(増粘剤)、界面活性剤や分散剤等の添加剤等を適宜添加して行うことができる。さらに光の拡散や散乱を目的としてアクリル系粘・接着剤とは屈折率の異なる(微)粒子を添加してもよい。前記(微)粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、ITO、銀や各種の(架橋)プラスチック等を挙げることができる。これらの添加量は、その種類、構成成分、機能などにより一概には決定できないが、通常は、アクリル系粘・接着剤に対して0.01質量%〜20質量%が好ましい。
前記反応性のものの反応(硬化)条件は、粘・接着剤を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。アクリル系粘・接着剤の場合は、例えば前述した光カチオン発生剤の場合と同様な光源を使用し、同様な照射量でよい。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは25kV〜100kVである。
前記の転写方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように液晶フィルム層を粘着剤もしくは接着剤を介して、配向基板とは異なる目的の基板を積層した後に、必要により粘着剤もしくは接着剤の硬化処理(UV架橋)を施し、該積層体から配向基板を剥離することで液晶フィルムのみを転写する方法等を挙げることができる。
本発明の液晶フィルムや液晶フィルム積層体は特に光学フィルムとして好適に用いることができ、これらの光学フィルムのなかで、例えば、ネマチック配向、ねじれネマチック配向を固定化した光学フィルムは、STN型、TN型、OCB型、HAN型等の透過型または反射型液晶表示装置の補償板として使用できる。コレステリック配向を固定化した光学フィルムは、輝度向上用の偏光反射フィルム、反射型のカラーフィルター、選択反射能に基因する視角による反射光の色変化を生かしたセキュリティ素子や各種の装飾フィルムなどに利用できる。また、ネマチックハイブリッド配向を固定化した光学フィルムは、正面から見たときのリタデーションを利用したり、またリタデーション値の向き(フィルムの傾き)による非対称性を生かしてTN型液晶表示装置の視野角改善フィルムなどに利用できる。また、1/4波長板機能を有する光学フィルムは、偏光板と組み合わせ、反射型の液晶表示装置やEL表示装置の反射防止フィルター等として用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。
(1)相挙動の観察
相挙動はメトラー社製ホットステージFP82HT上で、試料を加熱しつつ、オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡で観察した。相転移温度は、Perkin−Elmer社製示差走査熱量計DSC7により測定した。相挙動の記載において、Cは結晶相を、Chはコレステリック相を、Nmはネマチック相を、Isoは等方性液体相を表す。
(2)高分子液晶性化合物の対数粘度の測定
ウッベローデ型粘度計を用いて、フェノール/テトラクロロエタン(60/40:質量比)混合溶媒中、30℃で測定した。
(3)液晶フィルム等のパラメータ測定
配向した液晶性組成物層等のリタデーション値(Δnd)は、波長550nmの光を用いて王子計測機器(株)製のKOBRA−21ADHで測定した。
また、ネマチックハイブリッド配向の平均チルト角は、−40°から40°までの10°刻みのΔndを測定し、線形でチルト角が変化すると仮定したシミュレーションから求めた。
(4)GPCの測定
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、流量1mL/minで測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(5)膜厚測定
SLOAN社製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SYSTEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
なお、上記の分光光度計はコレステリック液晶相の選択反射領域の測定にも使用した。
以下の参考例、実施例および比較例において記載の略号はそれぞれ下記を表す。
DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DCM:ジクロロメタン
PPTS:ピリジニウム−p−トルエンスルホネート
THF:テトラヒドロフラン
DMF:ジメチルホルムアミド
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
PEN:ポリエチレンナフタレート
TAC:トリアセチルセルロース
[参考例1(オキセタン基を持つ中間体化合物1の合成)]
下記スキーム1に従い、オキセタン基を持つ中間体化合物1を合成した。
Figure 2010174128
[参考例2(オキセタン基を持つ中間体化合物2の合成)]
下記スキーム2に従い、オキセタン基を持つ中間体化合物2を合成した。
Figure 2010174128
[参考例3(アクリル化合物3の合成)]
下記スキーム3に従い、アクリル化合物3を合成した。
Figure 2010174128
[参考例4(アクリル化合物4の合成)]
下記スキーム4に従い、アクリル化合物4を合成した。
Figure 2010174128
[参考例5(アクリル化合物5の合成)]
下記スキーム5に従い、アクリル化合物5を合成した。
Figure 2010174128
[参考例6(アクリル化合物6の合成)]
下記スキーム6に従い、アクリル化合物6を合成した。
Figure 2010174128
[参考例7(アクリル化合物7の合成)]
下記スキーム7に従い、アクリル化合物7を合成した。
Figure 2010174128
[参考例8(アクリル化合物8の合成)]
下記スキーム8に従い、アクリル化合物8を合成した。
Figure 2010174128
[参考例9(アクリル化合物9の合成)]
下記スキーム9に従い、アクリル化合物9を合成した。
Figure 2010174128
[参考例10(アクリル化合物10の合成)]
下記スキーム10に従い、アクリル化合物10を合成した。
Figure 2010174128
[参考例11(液晶性ポリエステル11の合成)]
3−クロロメチル−3−エチルオキセタン97.188g(722mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成(株)製、試薬)9.70g(30.1mmol)および4−ヒドロキシ安息香酸エチル(東京化成(株)製、試薬)100.00g(602mmol)をN−メチルピロリドン溶媒中120℃で3時間攪拌混合して反応させ、得られた反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、溶剤を留去する事により粗4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸エチルを得た。
ついで、該エステルに純度85%の水酸化カリウム43.69g(662mmol)の水溶液を加え100℃で4時間反応させ加水分解し、さらに91.40g(662mmol)の硫酸水素ナトリウム1水和物の水溶液で希釈・析出させることにより、4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸の粗結晶を得た。該粗結晶をアセトニトリルに溶解させ再結晶し、4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸の結晶を得た。該4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸12.00g(50.8mmol)およびN,N−ジイソブチルエチルアミン6.56g(50.8mmol)の混合物を蒸留精製したテトラヒドロフランに溶解し、この溶液を、蒸留したメタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液中に0℃で滴下し、4−(3−エチルオキセタン−1−イル−メトキシ)安息香酸のメタンスルホン酸無水物を得た。
ここに、テレフタル酸クロリド9.37g(46.2mmol)、メチルヒドロキノン4.30g(34.6mmol)およびカテコール3.81g(34.6mmol)を溶解させ、ついでトリエチルアミン15.18g(150.0mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.41g(11.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、0℃で2時間、次いで60℃に昇温してさらに4時間反応させた。その後、反応液を室温で過剰量のメタノール中に注ぎ込み、反応生成物を再沈により析出させ、洗浄、乾燥させ液晶性ポリエステル11を得た。
得られた液晶性ポリエステル11は、対数粘度が0.090dL/gであり、ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、C−Nm相転移温度が68℃、Nm−Iso転移温度は268℃であった。
[参考例12(側鎖型液晶性ポリアクリレート12の合成)]
アクリル化合物4の2部(モル比)とアクリル化合物7の8部(モル比)とから、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート12を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート12の重量平均分子量は、9,100であった。DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は82℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でネマチック液晶相を発現し、Nm−Iso転移温度は248℃であった。
[参考例13(側鎖型液晶性ポリアクリレート13の合成)]
アクリル化合物5の2部(モル比)とアクリル化合物7の6部(モル比)とアクリル化合物8の2部(モル比)とから、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート13を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート13の重量平均分子量は、9,700であった。DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は78℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でネマチック液晶相を発現し、Nm−Iso転移温度は229℃であった。
[参考例14(側鎖型液晶性ポリアクリレート14の合成)]
アクリル化合物4の1.3部(モル比)とアクリル化合物7の8部(モル比)とアクリル化合物10の0.7部(モル比)から、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート14を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート14の重量平均分子量は、9,600であった。DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は90℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でコレステリック液晶相を発現し、Ch−Iso転移温度は228℃であった。
[参考例15(側鎖型液晶性ポリアクリレート15の合成)]
アクリル化合物3の1部(モル比)とアクリル化合物6の1部(モル比)とアクリル化合物7の7部(モル比)とアクリル化合物9の0.5部(モル比)とステアリルアクリレートの0.5部(モル比)から、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート15を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート15の重量平均分子量は、9,700であった。DSC測定より、Tgは79℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度で液晶相を発現し、Nm−Iso転移温度は190℃であることを確認した。
[参考例16(トリシクロデカンモノメタノールビニルエーテル化合物16の合成)]
下記スキーム11に従い、ビニルエーテル化合物16を合成した。
Figure 2010174128
具体的には、ガラス製フラスコに、トリシクロデカンモノメタノール205.66g(1.24mol)、水酸化カリウム7.56g(10mol%)、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)454.35gを導入し、減圧下(12mmHg)、120℃で反応させた。
この反応液をステンレス製オートクレーブに導入し、0.02MPaのアセチレン雰囲気下、140℃で5時間反応させた。反応液を回収、溶媒を留去した後、残さをヘキサン/メタノール/水で抽出し、ヘキサン相を回収した。ヘキサン相を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾別し、減圧乾燥することにより、粗トリシクロデカンモノメタノールビニルエーテル160.01gを得た。更に、蒸留精製をすることにより、目的のトリシクロデカンモノメタノールビニルエーテル16を9.89g得た。
[参考例17(トリシクロデカンジオールジビニルエーテル化合物17の合成)]
下記スキーム12に従い、ジビニルエーテル化合物17を合成した。合成手順は参考例16と同様にして実施した。
Figure 2010174128
[参考例18(トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル化合物18の合成)]
下記スキーム13に従い、ジビニルエーテル化合物18を合成した。合成手順は参考例16と同様にして実施した。
Figure 2010174128
[参考例19(ペンタシクロペンタデカンジオールジビニルエーテル化合物19の合成)]
下記スキーム14に従い、ジビニルエーテル化合物19を合成した。合成手順は参考例16と同様にして実施した。
Figure 2010174128
[参考例20(ペンタシクロペンタデカンジメタノールジビニルエーテル化合物20の合成)]
下記スキーム15に従い、ジビニルエーテル化合物20を合成した。合成手順は参考例16と同様にして実施した。
Figure 2010174128
[実施例1]
参考例16で合成したビニルエーテル化合物16を0.10g、参考例11で合成した主鎖型液晶ポリマー(液晶性ポリエステル11)の0.90gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのPENフィルム「テオネックスQ−51」(帝人(株)製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後約60℃の温風を緩やかに吹き付けることにより溶剤を除去し、ついでオーブン中で150℃で3分加熱することにより、まず均一な液晶配向を形成させた。その後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量300mJ/cmの紫外線光を照射した後、冷却して硬化した液晶性組成物層を得た。
基板として用いたPENフィルムは複屈折を持ち、光学用フィルムとして好ましくないため、得られたフィルムを市販の紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400(東亜合成社製品)を介して、TACフィルムに転写して液晶フィルム積層体を得た。
すなわち、PENフィルム上の硬化した液晶性組成物層の上に、紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートし、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して接着剤を硬化させた後、PENフィルムを剥離した。
得られた液晶フィルム積層体は剥離不良部がなく、モノドメインのネマチック配向した液晶フィルム積層体であった。液晶性組成物層の膜厚は0.90μm、正面Δndは115nmであった。
また、このフィルムを2mm厚のソーダガラスにノンキャリア粘着剤を介して貼り付け、その上に液晶の配向軸(ラビング軸)と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付けた。このサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、均一であった。
このサンプルを105℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったが、特に変化はなく、配向の乱れは観測されなかった。
[実施例2]
シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル化合物(アルドリッチ社製、試薬)を0.25g、参考例12で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート12の0.75gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのPENフィルム「テオネックスQ−51」(帝人(株)製)上にスピンコート法を用いて塗布し、塗布後約60℃の温風を緩やかに吹き付けることにより溶剤を除去し、ついでオーブン中で150℃で3分加熱することにより、まず均一な液晶配向を形成させた。その後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量300mJ/cmの紫外線光を照射した後、冷却して硬化した液晶性組成物層を得た。
基板として用いたPENフィルムは複屈折を持ち、光学用フィルムとして好ましくないため、得られたフィルムを市販の紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400(東亜合成社製品)を介して、TACフィルムに転写して液晶フィルム積層体を得た。
すなわち、PENフィルム上の硬化した液晶性組成物層の上に、UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートし、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた後、PENフィルムを剥離した。得られた液晶フィルム積層体は剥離不良部がなく、偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一な液晶配向が観察された。正面から見たときのΔndは119nmであった。
また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは153nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは61nmと非対称であり、どの角度でもΔndが0nmになる点が存在しなかったことから、液晶性組成物層はネマチックハイブリッド配向構造をとっていることがわかった。平均チルト角は28度であった。また、この液晶性組成物層の膜厚は、0.88μmであった。
さらに、液晶フィルム積層体の液晶性組成物層上に、UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた。TAC/UV−3400/液晶性組成物層/UV−3400/TACの層構成を持つフィルムを得た。
また、このフィルムを2mm厚のソーダガラスにノンキャリア粘着剤を介して貼り付け、その上に液晶の配向軸(ラビング軸)と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付けた。このサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、均一であった。このサンプルを105℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったが、特に変化はなく、配向の乱れは観測されなかった。
[実施例3]
参考例17で合成したジビニルエーテル化合物17を0.20g、参考例13で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート13の0.80gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を用いる以外は、実施例1と同様に行い、PENフィルムを剥離したところ、剥離不良部もなく均一なモノドメインの液晶フィルム積層体が得られた。得られた液晶フィルム積層体を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一な液晶配向が観察された。正面から見たときのΔndは99nmであった。
また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは140nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは41nmと非対称であり、どの角度でもデルタndが0nmになる点が存在しなかったことから、この液晶性組成物層はネマチックハイブリッド配向構造をとっていることがわかった。平均チルト角は37度であった。また得られた液晶フィルム積層体の液晶性組成物層の厚さは1.03μmであった。
さらに、この液晶フィルム積層体の液晶性組成物層上に、紫外線硬化型アクリル系接着剤UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた。TAC/UV−3400/液晶性組成物層/UV−3400/TACのフィルムが得られた。
また、このフィルムを2mm厚のソーダガラスにノンキャリア粘着剤を介して貼り付け、その上に液晶の配向軸(ラビング軸)と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付けた。このサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、均一であった。
このサンプルを105℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったが、特に変化はなく、配向の乱れは観測されなかった。
[実施例4]
参考例18で合成したジビニルエーテル化合物18を0.05g、参考例14で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート14の0.95gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でダウケミカル製UVI−6992(50%プロピレンカーボネート溶液)を0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様に行い、PENフィルムを剥離したところ、剥離不良部もなく均一なモノドメインの液晶フィルム積層体が得られた。
得られた液晶フィルム積層体を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一なコレステリック液晶配向が観察された。また、このフィルムを正面からみるとコレステリック特有の選択反射光を有しており、分光器により透過スペクトルを評価したところ、可視光領域の580nm近辺に選択反射に由来する透過光の低下領域が見られた。得られた液晶フィルム積層体の液晶性組成物層の厚さは0.88μmであった。
さらに、この液晶フィルム積層体の液晶性組成物層上に、UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた。TAC/UV−3400/液晶性組成物層/UV−3400/TACのフィルムが得られた。
得られたフィルムを105℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、選択反射領域の測定を行ったが、選択反射領域に変化は見られなかった。
[実施例5]
参考例19で合成したジビニルエーテル化合物19を0.15g、参考例15で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート15の0.85gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を用いる以外は、実施例1と同様に行い、PENフィルムを剥離したところ、剥離不良部もなく均一なモノドメインの液晶フィルム積層体が得られた。得られた液晶フィルム積層体を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一な液晶配向が観察された。正面から見たときのΔndは94nmであった。
また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは120nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは43nmと非対称であり、どの角度でもΔndが0nmになる点が存在しなかったことから、この液晶性組成物層はネマチックハイブリッド配向構造をとっていることがわかった。平均チルト角は33度であった。また得られた液晶フィルム積層体の液晶性組成物層の厚さは0.82μmであった。
さらに、この液晶フィルム積層体の液晶性組成物層上に、UV−3400を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた。TAC/UV−3400/液晶/UV−3400/TACのフィルムが得られた。
また、このフィルムを2mm厚のソーダガラスにノンキャリア粘着剤を介して貼り付け、その上に液晶の配向軸(ラビング軸)と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付けた。このサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、均一であった。
このサンプルを105℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったが、特に変化はなく、配向の乱れは観測されなかった。
[実施例6]
参考例20で合成したジビニルエーテル化合物20を0.10g、参考例11で合成した主鎖型液晶ポリマー(液晶性ポリエステル11)の0.90gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を用いる以外は実施例1と同様にしてTACフィルム上に配向・硬化した液晶性組成物層を有する液晶フィルム積層体を作製したところ、剥離不良もなく均一であった。また、このフィルムを実施例1と同様にして105℃の恒温槽中での耐熱性を調べたところ、特に変化はなく、配向の乱れは観測されなかった。
[実施例7]
参考例19で合成したジビニルエーテル化合物19を0.04g、参考例13で合成した側鎖型液晶ポリマー13の0.96gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.10gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
この溶液を用いる以外は実施例1と同様にしてTACフィルム上に配向・硬化した液晶性組成物層を有する液晶フィルム積層体を作製したところ、剥離不良もなく均一であった。また、このフィルムを実施例1と同様にして105℃の恒温槽中での耐熱性を調べたところ、特に変化はなく、配向の乱れは観測されなかった。
[比較例1]
実施例1における液晶性組成物の溶液調製の際に、ビニルエーテル化合物16を使用しない以外は実施例1と同様に行い、カチオン重合性組成物の溶液を得た。この溶液を用いて実施例1と同様にしてTACフィルム上に配向・硬化した組成物層を有するフィルムを作製したところ、PENフィルムの剥離時にかなりの剥離不良が見られたが、剥離不良部以外は均一な配向であった。
また、このフィルムを実施例1と同様にして105℃の恒温槽中での耐熱性を調べたところ、周辺部で液晶配向の乱れのためか光洩れによると思われる白抜けが発生していた。
[比較例2]
実施例2における液晶性組成物の溶液調製の際に、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル化合物(アルドリッチ社製、試薬)を使用しない以外は実施例2と同様に行い、カチオン重合性組成物の溶液を得た。この溶液を用いて実施例1と同様にしてTACフィルム上に配向・硬化した組成物層を有するフィルムを作製したところ、PENフィルムの剥離時に剥離不良が認められた。剥離不良部以外は均一な配向であった。
また、このフィルムを実施例1と同様にして105℃の恒温槽中での耐熱性を調べたところ、周辺部で液晶配向の乱れのためか光洩れによると思われる白抜けが発生していた。
[比較例3]
実施例4において、ジビニルエーテル化合物18に代えてステアリルアクリレート(東京化成(株)製品)0.22gを用いた以外は実施例2と同様にしてカチオン重合性組成物の溶液を調製した。この溶液を用いて実施例1と同様にして、液晶フィルムに替わる配向フィルムを得た。なお、剥離不良はなかった。
この配向フィルムを実施例4と同様にして105℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、選択反射領域の測定を行ったところ、選択反射領域の形態がブロードになり、かつ選択反射強度が減少していた。
[実施例8]
本実施例で使用した半透過反射型液晶表示装置の概略の層構成を図1に示す。
第2の基板8にAl等の反射率の高い材料で形成された反射電極6とITO等の透過率の高い材料で形成された透過電極7とが設けられ、第1の基板3に対向電極4が設けられ、反射電極6及び透過電極7と対向電極4との間に正の誘電率異方性を示す液晶材料からなる液晶層5が挟持されている。
第1の基板3の対向電極4が形成された側の反対面に第1の光学異方素子2及び偏光板1が設けられており、第2の基板8の反射電極6及び透過電極7が形成された面の反対側に第2の光学異方素子9及び偏光板10が設けられている。偏光板10の背面側にはバックライト11が設けられている。
実施例2に従って、膜厚方向の平均チルト角が29度のネマチックハイブリッド配向が固定化された膜厚0.86μmの液晶フィルム15(Δnd=118nm)を作製し、図1に示すように配置した。
使用した液晶セル12は、液晶材料としてZLI−1695(Merck社製)を用い、液晶層厚は反射電極領域6(反射表示部)で2.4μm、透過電極領域7(透過表示部)で4.8μmとした。液晶層の基板両界面のプレチルト角は2度であり、液晶セルのΔndは、反射表示部で略150nm、透過表示部で略300nmであった。
液晶セル12の観察者側(図の上側)に偏光板1(厚み約180μm;住友化学(株)製SQW−862)を配置し、偏光板1と液晶セル12との間に、第1の光学異方素子2として、一軸延伸したポリカーボネートフィルムからなる高分子延伸フィルム13(Δnd 略268nm)及び14(Δnd 略98nm)を配置した。
また、第2の光学異方素子9として、観察者から見て液晶セル12の後方に液晶フィルム15及び一軸延伸したポリカーボネートフィルムからなる高分子延伸フィルム16(Δnd 略272nm)を配置し、更に背面に偏光板10を配置した。
偏光板1及び10の吸収軸、高分子延伸フィルム13、14及び16の遅相軸、液晶セル12の両界面のプレチルト方向、液晶フィルム15のチルト方向は図2に記載した条件で配置した。
得られた液晶表示装置は特に透過モードにおいて良好な視野角特性を持っていることが分かった。
本発明の液晶性組成物は配向性が良好であり、該組成物から得られる液晶フィルムは高温および高湿条件で液晶配向保持能が高く、また粘着剤や接着剤を介した他基材との接着性にも優れており、光学フィルム等として液晶表示素子の視野角改良や色補償等に好適に使用される。
1:偏光板
2:第1の光学異方素子
3:第1の基板
4:対向電極
5:液晶層
6:反射電極
7:透過電極
8:第2の基板
9:第2の光学異方素子
10:偏光板
11:バックライト
12:液晶セル
13、14、16:高分子延伸フィルム
15:液晶フィルム

Claims (14)

  1. カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物とオキセタン基を有する液晶性化合物とからなる液晶性組成物。
  2. カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物が、ビニルエーテル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性組成物。
  3. 前記ビニルエーテル基を有する化合物が、式(1)または式(2)で表される脂環式ビニルエーテルであることを特徴とする請求項2に記載の液晶性組成物。
    Figure 2010174128
    (式(1)および式(2)において、Xは、−(CH−OR(Rはビニル基または水素を、nは0または1をそれぞれ示す。)を示し、Yは、−(CH−OR(Rはビニル基または水素を、nは0または1をそれぞれ示す。)または水素を示す。但し、R及びRの少なくとも一方はビニル基である。)
  4. オキセタン基を有する液晶性化合物が、主鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性組成物。
  5. オキセタン基を有する液晶性化合物が、側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性組成物。
  6. オキセタン基を有する液晶性化合物が、式(3)で表される側鎖型高分子液晶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性組成物。
    Figure 2010174128
    (式(3)において、Rは、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない。)を表す。)
  7. 液晶性組成物の組成(質量比)が、カチオン重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物:オキセタン基を有する液晶性化合物=1〜30:70〜99であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性組成物。
  8. 光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶性組成物を配向させた後、配向状態を固定化して形成することを特徴とする液晶フィルム。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶性組成物を配向基板上に展開し、当該液晶性組成物を配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより当該配向状態を固定化することを特徴とする液晶フィルムの製造方法。
  11. 請求項9に記載の液晶フィルムを粘着剤または接着剤を介して他のフィルムと貼り合わせて得られる液晶フィルム積層体。
  12. 請求項9に記載の液晶フィルムを粘着剤または接着剤にて光学的に透明なフィルムに転写することにより得られる液晶フィルム積層体。
  13. 請求項9に記載の液晶フィルムを含む光学フィルム。
  14. 請求項9に記載の液晶フィルム、請求項11もしくは請求項12に記載の液晶フィルム積層体または請求項13に記載の光学フィルムのいずれかを搭載した液晶表示素子。
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