JP6447331B2 - モノマーを含有する液晶組成物、高分子/液晶複合材料および光素子 - Google Patents

モノマーを含有する液晶組成物、高分子/液晶複合材料および光素子 Download PDF

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Description

本発明は、モノマーを含有する液晶組成物、高分子/液晶複合材料および光素子に関する。具体的には、モノマー、アキラルな液晶成分Tおよびキラル化合物を含む光学的に等方性の液晶組成物、当該液晶組成物に含まれるモノマーを重合して得られる高分子/液晶複合材料、ならびに、高分子/液晶複合材料を用いた光素子に関する。
液晶組成物を用いた液晶表示素子は、時計、電卓、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビなどのディスプレイに広く利用されている。これらの液晶表示素子は液晶化合物の屈折率異方性、誘電率異方性などを利用したものである。液晶表示素子における動作モードとしては、主として1枚以上の偏光板を利用して表示するTN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、BTN(Bistable twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(opticallycompensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などが知られている。さらに近年は光学的に等方性の液晶相において電場を印加し、電気複屈折を発現させるモードも研究されている(特許文献1〜8、非特許文献1〜3)。
さらに光学的に等方性の液晶相の1つであるブルー相における電気複屈折を利用した波長可変フィルター、波面制御素子、液晶レンズ、収差補正素子、開口制御素子、光ヘッド装置などが提案されている(特許文献4〜6)。
素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PM(passive matrix)はスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはそのスイッチング素子の種類によって、TFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。
ブルー相を発現する液晶材料の一例として高分子/液晶複合材料が挙げられ、当該高分子/液晶複合材料はPSBP(Polymer Stabilized Blue Phase、高分子安定化ブルー相)を提供できる(非特許文献1)。このPSBPを用いた表示モードにおいては、駆動電圧の低下が求められている。
また、PSBPを提供するためには、モノマーを含有する液晶組成物を、ブルー相を呈する温度において、紫外線等の照射によって前記モノマーを重合させることによって得られる。この重合温度によって、得られるPSBPの駆動電圧やコントラスト比等の電気光学物性が変化し得る。
また、ブルー相を発現する、モノマーを含有する液晶組成物を等方相で重合させることにより、光学的に等方性の高分子/液晶複合材料が得られることが報告されている(非特許文献2〜3)。
特開2003−327966号公報 国際公開2005/90520号 特開2005−336477号公報 特開2005−157109号公報 国際公開2005/80529号 特開2006−127707号公報 国際公開2010/058681号 国際公開2013/080724号
Nature Materials, 1, 64, (2002) Adv. Mater., 17, 96, (2005) Journal of the SID, 14, 551, (2006)
このような状況の下、熱、光などに対する安定性、広い液晶相温度範囲を有し、駆動電圧が低く、また光学的に等方性の液晶相を発現する液晶媒体が求められている。また、広い温度範囲で使用可能であり、短い応答時間、大きなコントラスト比、および駆動電圧が低い光素子などが求められている。
特に、PSBPにおいて、電気光学特性の重合温度依存性が少ないモノマーを含有する液晶組成物、すなわち、重合温度マージンが広いモノマーを含有する液晶組成物が求められている。さらに具体的には、重合して得られるPSBPの駆動電圧が低く、大きなコントラスト比を有し、かつモノマーを含有する液晶組成物の重合温度マージンが広い液晶組成物が求められている。
さらに、上記の特徴を有する光学的に等方性の液晶相を、高い生産性で提供できるモノマーを含有する液晶組成物が求められている。
発明者らは、下記式(1)

(式(1)中、X〜Xはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Z〜Zはそれぞれ独立して−O−、−OCO−、−COO−、−OCOO−または単結合であり、n1〜n3はそれぞれ独立して12〜20の整数である。)
で表されるモノマー(以下、「モノマー(1)」ともいう)を含有する液晶組成物(以下、「モノマー含有液晶組成物」ともいう)が、重合温度マージンが広く、駆動電圧が低く、大きなコントラスト比を有することを見出し、本発明に至った。
本発明は、モノマー(1)、アキラルな液晶成分Tおよびキラル化合物を含む光学的に等方性の液晶組成物、当該液晶組成物に含まれるモノマーを重合して得られる高分子/液晶複合材料、ならびに、高分子/液晶複合材料を用いた光素子を提供する。
本発明は以下の態様の発明を含む。
[1]
下記式(1)で表される化合物を含むモノマー、
アキラルな液晶成分T、および、
キラル化合物、
を含有する、光学的に等方性の液晶組成物。

(式(1)中、X〜Xはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Z〜Zはそれぞれ独立して−O−、−OCO−、−COO−、−OCOO−または単結合であり、n1〜n3はそれぞれ独立して12〜20の整数である。)
[2]
前記液晶成分Tが、下記式(2)または(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、[1]に記載の液晶組成物。

(式(2)中、R21は炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり、Z21およびZ22はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X21はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L21〜L23はそれぞれ独立して水素またはフッ素であり、
式(3)中、R31は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜11のアルコキシアルキルであり、Z31およびZ32はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X31はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L31〜L34はそれぞれ独立して水素またはフッ素である。)
[3]
下記式(1)で表される化合物を含むモノマー、
下記式(2)または式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有するアキラルな液晶成分T、および、
キラル化合物、
を含有する、光学的に等方性の液晶組成物。

(式(1)中、X〜Xはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Z〜Zはそれぞれ独立して−O−、−OCO−、−COO−、−OCOO−または単結合であり、n1〜n3はそれぞれ独立して4〜20の整数であり、
式(2)中、R21は炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり、Z21およびZ22はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X21はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L21〜L23はそれぞれ独立して水素またはフッ素であり、
式(3)中、R31は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜11のアルコキシアルキルであり、Z31およびZ32はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X31はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L31〜L34はそれぞれ独立して水素またはフッ素である。)
[4]
前記モノマーが、下記式(10)で表される化合物をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の液晶組成物。

(式(10)中、R41は、炭素数8〜20のアルキルであり、X41は水素またはメチルである。)
[5]
式(1)で表される化合物と式(10)で表される化合物との質量比が45/55〜60/40である[4]に記載の液晶組成物。
[6]
前記キラル化合物が、下記式(K1)〜(K7)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の液晶組成物。

(上記式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであり、アルキル中またはアルコキシ中の少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく;
K0はそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜10のアルキルであり;
はそれぞれ独立して、芳香族性あるいは非芳香族性の3〜8員環または炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、環の−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性または非芳香族性の3から8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
は独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであるが、任意の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または−CHCH−であり;
mKは1〜4の整数である。)
[7]
−20℃〜70℃のいずれかの温度においてキラルネマチック相を発現し、当該温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の液晶組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の液晶組成物に含まれるモノマーを重合する工程を含む、光学的に等方性の高分子/液晶複合材料の製造方法。
[9]
[8]に記載の製造方法で得られた、光学的に等方性の高分子/液晶複合材料。
[10]
一方または両方に電極が配置された2以上の基板、前記基板間に配置された液晶媒体、および、前記電極を介して前記液晶媒体に電界を印加できる電界印加手段、を有する光素子であって、前記液晶媒体が[9]に記載の高分子/液晶複合材料である、光素子。
本明細書において、「光学的に等方性の液晶組成物」とは光学的に等方性であり、かつ、液晶性を有する組成物である。すなわち、本明細書において、「光学的に等方性の液晶組成物」は、巨視的には液晶分子配列は等方的であるため光学的に等方性を示すが、微視的には液晶秩序を有する性質を有する組成物である。このような性質の具体例として、広義のブルー相が挙げられる(ブルー相I、ブルー相II、ブルー相III)。
また、本明細書において「光学的に等方性の液晶相」とは、ゆらぎではなく光学的に等方性の液晶相を発現する相を表し、プレートレット組織を発現する相(狭義のブルー相)はその一例である。本明細書において、特に言及がなければ、ネマチック相はキラルネマチック相を含まない、狭義のネマチック相を意味する。
本明細書において、「液晶化合物」とはメソゲンを有する化合物を表し、液晶相を発現する化合物に限定されない。具体的には、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を発現する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。
本明細書において、「液晶媒体」とは、液晶組成物および高分子/液晶複合体の総称である。
本明細書において、「アキラル成分」とはアキラルなメソゲン化合物であって、光学活性化合物および重合性官能基を有する化合物を含まない成分である。したがって、「アキラル成分」には、キラル化合物、モノマー、重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化剤、安定剤等は含まれない。
本明細書において、「キラル化合物」は、光学活性化合物であり、液晶組成物に所望のねじれた分子配列を与える為に添加されるために用いられる成分である。
本明細書において、「液晶表示素子」は、液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。
本明細書において、「光素子」とは、電気光学効果を利用して、光変調や光スイッチングなどの機能を奏する各種の素子を指し、たとえば、表示素子(液晶表示素子)、光通信システム、光情報処理や種々のセンサーシステムに用いられる光変調素子が挙げられる。光学的に等方性の液晶媒体への電圧印加による屈折率の変化を利用した光変調については、カー効果が知られている。カー効果とは電気複屈折値Δn(E)が電場Eの二乗に比例する現象であり、カー効果を示す材料ではΔn(E)=KλEが成立する(K:カー係数(カー定数)、λ:波長))。ここで、電気複屈折値とは、等方性媒体に電界を印加した時に誘起される屈折率異方性値である。
本明細書において、「液晶化合物」、「液晶組成物」、「液晶表示素子」をそれぞれ「化合物」、「組成物」、「素子」と略すことがある。
また、たとえば液晶相の上限温度は液晶相−等方相の相転移温度であり、そして単に透明点または上限温度と略すことがある。液晶相の下限温度を単に下限温度と略すことがある。化合物の式において、六角形で囲んだB41、C、Dなどの記号はそれぞれ環B41、環C、環Dなどに対応する。百分率で表した化合物の量は組成物の全量に基づいた重量百分率(重量%)である。環R4a、L40など複数の同じ記号を同一の式または異なった式に記載したが、これらはそれぞれが同一であってもよいし、または異なってもよい。
本明細書中、「アルキル」は直鎖でも分岐でもよく、具体例としては、−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C19、−C1021、−C1123、および−C1225が挙げられる。
本明細書中、「アルケニル」は直鎖でも分岐でもよく、具体例としては、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CH−CH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CH−CH=CHCH、および−(CH−CH=CHが挙げられる。
また、−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。−CH=CHCH、−CH=CHC、−CH=CHC、−CH=CHC、−CCH=CHCH、および−CCH=CHCのような奇数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。−CHCH=CHCH、−CHCH=CHC、および−CHCH=CHCのような偶数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327に詳細な説明がある。また、アルケニル基の位置はベンゼン環と共役を作らない位置が好ましい。
本明細書中、「アルキニル」は直鎖でも分岐でもよく、具体例としては、−C≡CH、−C≡CCH、−CHC≡CH、−C≡CC、−CHC≡CCH、−(CH−C≡CH、−C≡CC、−CHC≡CC、−(CH−C≡CCH、および−C≡C(CHが挙げられる。
本明細書中、「アルコキシ」は直鎖でも分岐でもよく、具体例としては、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13および−OC15、−OC17、−OC19、−OC1021、および−OC1123が挙げられる。
本明細書中、「アルコキシアルキル」は直鎖でも分岐でもよく、具体例としては、−CHOCH、−CHOC、−CHOC、−(CH−OCH、−(CH−OC、−(CH−OC、−(CH−OCH、−(CH−OCH、および−(CH−OCHが挙げられる。
本明細書中、「アルケニルオキシ」は直鎖でも分岐でもよく、具体例としては、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、および−OCHCH=CHCが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン」の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。
本発明の好ましい態様のモノマー含有液晶組成物は、重合温度の範囲が広い。
本発明の好ましい態様のモノマー含有液晶組成物から調製された高分子/液晶複合材料はコントラストの差が小さく、熱、光などに対する安定性、光学的に等方性の液晶相の高い上限温度と低い下限温度を示し、駆動電圧が低く、大きなコントラスト比を有する。
本発明の好ましい態様の光学的に等方性の液晶相で駆動される光素子は、幅広い温度範囲で使用可能であり、低電圧駆動が可能であり、かつ高速な電気光学応答が可能であり、大きなコントラスト比を有する。
実施例で用いた櫛型電極基板を示す。 実施例で用いた光学系を示す。
本発明の光学的に等方性の液晶相を発現する液晶組成物は、モノマー(1)を含むモノマー、アキラルな液晶成分T、および、キラル化合物を含有する液晶組成物である。以下、本発明の液晶組成物、光学的に等方性の高分子/液晶複合材料および光素子について説明する。
1 光学的に等方性の液晶組成物
本明細書において、「光学的に等方性の液晶組成物」は、巨視的には液晶分子配列は等方的であるため光学的に等方性を示すが、微視的には液晶秩序を有する性質を有する組成物である。「液晶組成物が微視的に有する液晶秩序に基づくピッチ(以下では、単に「ピッチ」と呼ぶことがある)」は700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがさらに好ましく、350nm以下であることが最も好ましい。
本明細書において、「非液晶等方相」とは一般的に定義される等方相、すなわち、無秩序相であり、局所的な秩序パラメーターがゼロでない領域が生成したとしても、その原因がゆらぎによるものである等方相である。たとえばネマチック相の高温側に発現する等方相は、本明細書では非液晶等方相に該当する。本明細書におけるキラルな液晶についても、同様の定義があてはまるものとする。
本発明の光学的に等方性の液晶組成物において、光学的に等方性の液晶相ではあるが、偏光顕微鏡観察下、ブルー相に典型的なプレートレット組織が観測されないことがある。そこで本明細書において、プレートレット組織を発現する相をブルー相と称し、ブルー相を含む光学的に等方性の液晶相を光学的に等方性の液晶相と称する。すなわちブルー相は光学的に等方性の液晶相に包含される。
一般的に、ブルー相は、ブルー相I、ブルー相II、ブルー相IIIの3種類に分類され、これら3種類のブルー相はすべて光学活性であり、かつ、等方性である。ブルー相Iやブルー相IIのブルー相では異なる格子面からのブラッグ反射に起因する2種以上の回折光が観測される。ブルー相は一般的に非液晶等方相とキラルネマチック相の間で観測される。
光学的に等方性の液晶相が2色以上の回折光を示さない状態とは、ブルー相I、ブルー相IIに観測されるプレートレット組織が観測されず、概ね一面単色であることを意味する。2色以上の回折光を示さない光学的に等方性の液晶相では、色の明暗が面内で均一であることまでは不要である。
2色以上の回折光を示さない光学的に等方性の液晶相は、ブラッグ反射による反射光強度が抑えられる、あるいは低波長側にシフトするという利点がある。
また、可視光の光を反射する液晶媒体では、表示素子として利用する場合に色味が問題となることがあるが、2色以上の回折光を示さない液晶では、反射波長が低波長シフトするため、狭義のブルー相(プレートレット組織を発現する相)より長いピッチで可視光の反射を消失させることができる。
液晶成分Tとキラル化合物とを含む本発明の液晶組成物において、キラル化合物は好ましくはピッチが700nm以下になるような濃度で添加される。なお、ネマチック相を発現する組成物は、化合物1および必要に応じてその他の成分を含む。
また、本発明のモノマー含有液晶組成物は、液晶成分Tとキラル化合物を混合して得られる光学的に等方性の液晶相を発現する組成物に、モノマー(1)を添加しても得ることができる。
以下、当該液晶組成物に含まれる各成分を説明する。
2 モノマー
2.1 モノマー(1)
2.1.1 モノマー(1)の性質
モノマー(1)は、モノマー含有液晶組成物の重合温度の範囲を広げるために有用な化合物である。また、液晶組成物への相溶性が良好なため、モノマー含有液晶組成物の保存安定性も良好である。
モノマー(1)は、式(2)で表される化合物や式(3)で表される化合物を液晶成分として用いた液晶組成物において、得られる液晶組成物の重合温度範囲を広くし、コントラストの差を小さくすることができる。
式(1)中、n1、n2およびn3は、長いほうがPSBPの大きなコントラスト比が可能となる。一方、長すぎると、化合物製造において、再結晶が難しくなるなど、製造面での難易度が増す。
光学的に等方性の液晶相の発現を容易にすることと、大きなコントラスト比を両立するために、本発明の液晶組成物の全量に対して、モノマー(1)を1〜20重量%含有することが好ましく、2〜10重量%含有することがさらに好ましく、3〜8重量%含有することが特に好ましい。
2.1.2 モノマー(1)の合成
モノマー(1)は公知の有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成できる。モノマー(1)を合成する方法は複数あり、市販の試薬から適宜、合成することが可能である。
また、モノマー(1)を合成する際、出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
モノマー(1)の合成スキームの一例を示す。なお、モノマー(1)の合成が当該スキームに限定されることはない。

(上記スキーム中のnは4〜20の整数である)
2.2 その他のモノマー
本発明の液晶組成物のモノマーとして、モノマー(1)以外に、さらに他のモノマーを含んでもよい。さらに含まれるモノマーは、メソゲンを有するモノマーであっても、メソゲンを有さないモノマーであってもよい。
メソゲンを有さないモノマーとしては、式(10)で表されるモノマー(以下、「モノマーNMM」ともいう)を用いることが好ましい。
モノマーNMMは公知の有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成できる。モノマーNMMは公知の方法を用いて、市販の試薬から適宜、合成することが可能である。
モノマーNMMの製造工程に真空工程がある場合には、式(10)中のR41の炭素数は多いことが好適であり、好ましい炭素数は14以上である。
モノマー(1)とモノマーNMMとの質量比は45/55〜60/40であることが好ましく、より好ましくは50/50〜60/40である。
3 液晶成分T
本発明の液晶組成物および高分子/液晶複合材料に含まれる液晶成分Tは、アキラルな液晶成分Tであり、光学的に等方性の液晶相を発現できる性質を有するものであれば特に限定されない。
しかし、液晶成分Tに含まれるモノマー(1)との関係から、液晶成分Tは式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」という)および式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」という)からなる群から選択される1以上の化合物からなることが好ましい。
また、必要に応じて、後述の式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」という)および式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」という)からなる群から選ばれる1以上をさらに含んでもよい。
本発明の液晶組成物において、液晶成分Tを全量に対して75〜95重量%含有することが好ましく、80〜93重量%含有することがさらに好ましく、82〜90重量%含有することが特に好ましい。
また、本発明の高分子/液晶複合材料において、液晶成分Tを全量に対して75〜95重量%含有することが好ましく、80〜93重量%含有することがさらに好ましく、82〜90重量%含有することが特に好ましい。
3.1 化合物(2)
化合物(2)は比較的高い透明点、比較的大きな誘電率異方性、比較的大きな屈折率異方性を有する。化合物(2)を含む液晶成分Tは低い電圧で駆動できるため、液晶成分Tを含む高分子/液晶複合材料の駆動電圧が低くなり、光素子に用いる組成物として有用である。
液晶成分Tの全量に対して、液晶成分Tは化合物(2)を合計で1重量%〜60重量%含有することが好ましく、5重量%〜40重量%含有することがさらに好ましく、10重量%〜30重量%含有することが特に好ましい。
化合物(2)として、下記式(2−A)〜(2−F)で表される化合物を用いることがさらに好ましく、下記式(2−B)、(2−D)または(2−E)で表される化合物を用いることが特に好ましい。

(上記式中、R2Aは炭素数1〜10のアルキルであり;
2Aはフッ素、塩素、−CFまたは−OCFである。)
3.2 化合物(3)
化合物(3)は比較的高い透明点、比較的大きな誘電率異方性、および、他の液晶化合物との良好な相溶性を有する。化合物(3)を含む液晶成分Tは低い電圧で駆動でき、ネマチック相の温度範囲が広い。このため、液晶成分Tを用いた高分子/液晶複合材料の駆動電圧が低く、かつ、光学的に等方性の液晶相を発現する温度範囲が広いため、光素子に用いる組成物として有用である。
液晶成分Tの全量に対して、液晶成分Tは化合物(3)を合計で10重量%〜80重量%含有することが好ましく、30重量%〜75重量%含有することがさらに好ましく、40重量%〜75重量%含有することが特に好ましい。
化合物(3)においては、下記式(3−A)〜(3−F)で表される化合物を用いることがさらに好ましく、下記式(3−B)〜(3−E)で表される化合物を用いることが特に好ましく、下記式(3−B)または(3−E)で表される化合物を用いることが最も好ましい。

(上記式中、R3Aは独立して、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜9のアルコキシアルキルであり;
3Aはフッ素、塩素、−CFまたは−OCFである。)
3.3 化合物(4)
液晶成分Tは、さらに下記式(4)で表される化合物を少なくとも1つ含んでもよい。

(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり、
41、Z42、Z43およびZ44は独立して、単結合、エチレン、−COO−、−OCO−、−CFO−または−OCF−であり、
環B41、B42、およびB43はそれぞれ独立して、下記(RG−1)〜(RG−6)であるが、n41が1かつn42が0の場合、B41が(RG−5)かつB43が(RG−5)または(RG−6)、かつZ41が単結合、かつ、Z43とZ44が単結合と−CFO−または−CFO−と単結合であることはなく、環B41が(RG−3)、環B43が(RG−5)もしくは(RG−6)、Z41が単結合、ならびに、Z43とZ44が単結合と−CFO−または−CFO−と単結合であることはなく、
は、フッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、
46〜L49はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり、
n41およびn42はそれぞれ独立して0または1である。)
化合物(4)の屈折率異方性を上げるためには、式(4)中のB41〜B43は(RG−4)〜(RG−6)が好ましく、粘度を下げるためには式(4)中のB41〜B43は(RG−1)であることが好ましく、誘電率異方性を上げるためには式(4)中のB41〜B43は(RG−3)、(RG−6)が好ましい。
化合物(4)の誘電率異方性を上げるため、または、相溶性を良好にするためには、式(4)中のZ41、Z42、Z43、およびZ44のいずれか1つは−CFO−であることが好ましい。
化合物(4)の粘度を低下させるためには、式(4)中のZ41、Z42、Z43、およびZ44は単結合であることが好ましい。
化合物(4)の誘電率異方性を大きくするためには、L48およびL49は共にフッ素である、Xはフッ素または−CFである、または、Xは塩素であることが好ましい
化合物(4)の透明点を高くするためには、L47およびL49は共に水素であること、または、n41+n42=1が好ましい。
化合物(4)の相溶性を良好にするためには、Xはフッ素または−OCFである、または、n41+n42=0が好ましい。
化合物(4)において、式(4−1)〜(4−8)で表される化合物を用いることが好ましい。

(式(4−1)〜(4−8)中、R4Aは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり;
4Aはフッ素、塩素、−CF、または−OCFであり、L40〜L49はそれぞれ独立して水素またはフッ素であるが、L46およびL47がともにフッ素である場合は、L48およびL49はいずれもフッ素である。)
式(4−1)〜(4−3)で表される化合物は透明点が高く、5環化合物としては相溶性に優れる。式(4−4)と(4−6)で表される化合物は透明点が高く、誘電率異方性が比較的大きく、屈折率異方性が大きい。式(4−5)〜(4−7)で表される化合物は相溶性に優れる。化合物(4−8)は透明点が高く、屈折率異方性が大きい。
式(4−1)〜(4−7)において、L40〜L49がフッ素である数が多いほど、化合物の誘電率異方性が大きい。
化合物(4)は、大きな誘電率異方性あるいは低温での良好な相溶性を有する組成物の調製に適している。液晶成分Tの全量に対して、液晶成分Tは化合物(4)を合計で5重量%〜40重量%含有することが好ましく、5重量%〜30重量%含有することがさらに好ましく、5重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
3.4 化合物(5)
液晶成分Tは、さらに下記式(5)で表される化合物を少なくとも1つ含んでもよい。

(式(5)中、R5AおよびR5Bはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数1〜12のアルコキシまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;
化合物(5)中、Z51はそれぞれ独立して、単結合、エチレン、または−COO−、−OCO−であり、rが2以上である時、そのうちの少なくとも2つのZ51は同じであっても、異なってもよく;
rは、1、2または3であり;
環CおよびDはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり、rが2以上である時、そのうちの少なくとも2つの環Cは同じであっても、異なってもよい。)
化合物(5)は、比較的誘電率異方性値の絶対値が小さく、比較的中性に近い化合物である。
化合物(5)の粘度調整または屈折率異方性を調整することを容易にするためには、式(5)中のrが1であることが好ましい。
化合物(5)の透明点を高くするためには、光学的に等方性の液晶相を発現する温度範囲を広げるため、または、屈折率異方性を調整するためには式(5)中のrが2または3であることが好ましい。
化合物(5)の粘度を下げるためには、式(5)中のR5AおよびR5Bはそれぞれ独立して、炭素数2〜12のアルケニル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、メトキシ、エトキシ、2,2−ジフルオロビニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、2,2−ジフルオロビニルまたは4,4−ジフルオロ−3−ブテニルが好ましい。
化合物(5)の紫外線に対する安定性を上げるため、または熱に対する安定性を上げるためには、式(5)中のR5AおよびR5Bは炭素数1〜12のアルキルであることが好ましい。
化合物(5)の光学異方性を上げるためには、環Cおよび環Dは1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンであることが好ましい。化合物(5)の粘度を下げるためには、環Cおよび環Dは1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。
化合物(5)の粘度を下げるためには、式(5)中のZ51は単結合が好ましい。
5AおよびR5Bはそれぞれ独立して、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたアルケニルは、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、および6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルが好ましい。
化合物(5)において、式(5−1)〜(5−13)で表される化合物を用いることが好ましい。

(式中、R5AおよびR5Bはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数1〜12のアルコキシまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルである。)
これらの化合物の中で、化合物(5−1)〜(5−3)は粘度が比較的低く、化合物(5−4)〜(5−8)は透明点が比較的高く、化合物(5−9)〜(5−13)は透明点が比較的高い。
液晶成分Tにおいて化合物(5)の含有量が多すぎると、液晶組成物の駆動電圧が高くなり、粘度が低くなる。したがって、液晶組成物の粘度および駆動電圧の要求値を満たす範囲で、化合物(5)の含有量は少ないほうが望ましい。
液晶成分Tの全量に対して、液晶成分Tは化合物(5)を合計で0重量%〜40重量%含有することが好ましく、0重量%〜40重量%含有することがさらに好ましく、0重量%〜20重量%含有することが特に好ましく、0重量%〜10重量%含有することが最も好ましい。
4 キラル化合物
本発明の光学的に等方性の液晶組成物が含有するキラル化合物は光学活性化合物であり、ラジカル重合性基を有さない化合物から選ばれた化合物からなることが好ましい。
本発明の液晶組成物に用いられるキラル化合物としては、ねじり力(Helical Twisting Power,HTP)が大きい化合物が好ましい。ねじり力が大きい化合物は所望のピッチを得るために必要な添加量が少なくできるので、駆動電圧の上昇を抑えられ、実用上有利である。具体的には、化合物(K1)〜(K7)で表される化合物が好ましい。なお、化合物(K4)〜(K7)は、ビナフチル基、オクタヒドロナフチル基が光学活性部位であり、かつ、キラル化合物の掌性は問わない。

(上記式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであり、アルキル中またはアルコキシ中の少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく;
K0はそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜10のアルキルであり;
はそれぞれ独立して、芳香族性あるいは非芳香族性の3〜8員環または炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、環の−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性または非芳香族性の3から8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
は独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであるが、任意の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または−CHCH−であり;
mKは1〜4の整数であり;mKが2以上のとき、複数ある(A−Z)はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
本発明の液晶組成物に含有されるキラル化合物としては、化合物(K4−1)〜(K4−6)、(K5−1)〜(K5−3)、(K6−1)〜(K6−6)および(K7−1)〜(K7−2)が好ましく、化合物(K4−5)、(K5−1)〜(K5−3)、(K6−5)〜(K6−6)および(K7−1)〜(K7−2)がさらに好ましい。


(上記式中のRはそれぞれ独立して、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであり、前記アルキル中または前記アルコキシ中の少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよい。)
キラル化合物として1種の化合物を用いても、複数種の化合物を用いてもよい。
光学的に等方性の液晶相の発現を容易にするために、本発明の液晶組成物および高分子/液晶複合材料の全量に対して、キラル化合物を1〜20重量%含有することが好ましく、2〜15重量%含有することがさらに好ましく、3〜7重量%含有することが特に好ましい。
5 液晶組成物に含まれるその他の成分
本発明の液晶組成物は、その組成物の特性に大きな影響を与えない範囲で、さらに、溶媒、モノマー、高分子物質、重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化剤、触媒、安定剤、二色性色素、フォトクロミック化合物等を含んでもよい。
本発明の液晶組成物が重合開始剤を含む場合、モノマー100重量部に対して重合開始剤の含有量は0.1〜20重量部であることが好ましい。
また、本発明の液晶組成物に用いられる二色性色素の例としては、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、テトラジン系などが挙げられる。
6 高分子/液晶複合材料
6.1 光学的に等方性の高分子/液晶複合材料
本発明の高分子/液晶複合材料は、液晶組成物と高分子とを含む複合材料であり、光学的に等方性を示すものであり、光学的に等方性の液晶相で駆動される光素子に用いることができる。
本発明の好ましい態様に係る光学的に等方性の高分子/液晶複合材料は、光学的に等方性の液晶相を広い温度範囲で発現させることが可能である。また、本発明の好ましい態様に係る高分子/液晶複合材料は、応答速度が極めて速い。また、本発明の好ましい態様に係る高分子/液晶複合材料は、これらの効果に基づいて表示素子等の光素子等に好適に用いることができる。
本明細書中、「高分子/液晶複合材料」とは、液晶組成物と高分子化合物の両者を含む複合材料であれば特に限定されないが、高分子の一部または全部が液晶組成物や溶媒等に溶解していない状態で高分子が液晶組成物と相分離している状態でもよい。
6.2 液晶組成物
本発明の高分子/液晶複合材料に含まれる液晶組成物は本発明の液晶組成物である。したがって、本発明の高分子/液晶複合材料に含まれる液晶組成物は、化合物(2)および化合物(3)からなる群から選択される1以上の化合物が好ましく、さらに、化合物(4)、化合物(5)等をさらに含んでもよい。
6.3 高分子化合物
本発明の高分子/液晶複合材料は、式(1)のモノマーを含有する液晶組成物において重合反応が行われることによって製造することができる。この場合、高分子/液晶複合材料に含まれる高分子化合物は、少なくともモノマー(1)を構成単位とする化合物であり、好ましくは、少なくともモノマー(1)とモノマーNMMを構成単位とする化合物である。また、重合反応は光重合であることが好ましい。
重合温度は、高分子/液晶複合材料が高透明性と光学的等方性を示す温度であることが好ましい。より好ましくはモノマー含有液晶組成物が等方相またはブルー相を発現する温度である。この場合、等方相ないしは光学的に等方性の液晶相で重合を終了する。すなわち、重合後は高分子/液晶複合材料が可視光線より長波長側の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態を発現する温度を重合温度とするのが好ましい。モノマー含有液晶組成物がブルー相を発現する温度を重合温度として重合することがさらに好ましい。
モノマー含有液晶組成物が光学的に等方性の状態を発現する温度で重合反応を行ってモノマーを重合させることによって、高分子/液晶複合材料において、当該重合反応で形成された高分子化合物が、液晶組成物の光学的に等方性の状態の発現または維持を助けることができる。
6.4 高分子/液晶複合材料の組成
本発明の高分子/液晶複合材料中における液晶組成物の含有率は、複合材料が光学的に等方性の液晶相を発現できる範囲であれば、可能な限り高含有率であることが好ましい。液晶組成物の含有率が高い方が、本発明の複合材料の電気複屈折値が大きくなるからである。
本発明の高分子/液晶複合材料において、液晶組成物の含有率は複合材料全量に対して60〜99重量%であることが好ましく、60重量%〜98重量%がさらに好ましく、80重量%〜97重量%が特に好ましい。また、本発明の高分子/液晶複合材料において、高分子の含有率は複合材料に対して1重量%〜40重量%であることが好ましく、2重量%〜40重量%がさらに好ましく、3重量%〜20重量%が特に好ましい。
7 光素子
本発明の光素子は、本発明の液晶組成物、高分子/液晶複合体等の液晶媒体を含む光学的に等方性の液晶相で駆動される光素子である。
光素子を構成する基板上で高分子/液晶複合体を得るための重合反応が行われてもよいし、基板外で重合反応を行って得られた高分子/液晶複合体を光素子内に設置してもよい。
電界無印加時には液晶媒体は光学的に等方性であるが、電場を印加すると、液晶媒体は光学的異方性を生じ、電界による光変調が可能となる。
液晶表示素子の一例として、図1に示すような、左側から伸びる電極1と右側から伸びる電極2が交互に配置された構造を有する櫛型電極基板を挙げることができる。電極1と電極2との間に電位差がある場合、図1に示すような櫛型電極基板上では、1本の電極に注目すると、図面上の上方向と下方向の2つの方向の電界が存在する状態を提供できる。
本発明の液晶組成物は光素子に利用できる。本発明の液晶組成物は、低い駆動電圧と短い応答時間を示すため、本発明の好ましい態様の光素子は低電圧で駆動が可能であり、高速応答が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。なお特に言及のない限り、「%」は「重量%」を意味する。
また、得られた化合物は、1H−NMR分析で得られる核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィー(GC)分析で得られるガスクロマトグラムなどにより同定した。分析方法は以下のとおりであった。
1)分析方法
1−1)1H−NMR分析
測定装置は、DRX−500(商品名、ブルカーバイオスピン(株))を用いた。測定は、実施例等で製造したサンプルを、CDCl3等のサンプルが可溶な重水素化溶媒に溶解し、室温で、500MHz、積算回数24回の条件で行った。なお、得られた核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットであることを意味する。また、化学シフトδ値のゼロ点の基準物質としてはテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
1−2)GC分析
測定装置は、島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M25−025(長さ25m、内径0.22mm、膜厚0.25μm);固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウムを用い、流量は1ml/分に調整した。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。
試料はトルエンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。
記録計としては島津製作所製のC−R6A型Chromatopac、またはその同等品を用いた。得られたガスクロマトグラムには、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積値が示されている。
なお、試料の希釈溶媒としては、たとえば、クロロホルム、ヘキサンを用いてもよい。また、カラムとしては、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty.Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)などを用いてもよい。
ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。一般には、分析サンプルの成分化合物の重量%は、分析サンプルの各ピークの面積%と完全に同一ではないが、本発明において上述したカラムを用いる場合には、実質的に補正係数は1であるので、分析サンプル中の成分化合物の重量%は、分析サンプル中の各ピークの面積%とほぼ対応している。成分の液晶化合物における補正係数に大きな差異がないからである。ガスクロマトグラムにより液晶組成物中の液晶化合物の組成比をより正確に求めるには、ガスクロマトグラムによる内部標準法を用いる。一定量正確に秤量された各液晶化合物成分(被検成分)と基準となる液晶化合物(基準物質)を同時にガスクロ測定して、得られた被検成分のピークと基準物質のピークとの面積比の相対強度をあらかじめ算出する。基準物質に対する各成分のピーク面積の相対強度を用いて補正すると、液晶組成物中の液晶化合物の組成比をガスクロ分析からより正確に求めることができる。
1−3)液晶化合物等の物性値の測定試料
液晶化合物の物性値を測定する試料としては、化合物そのものを試料とする場合、化合物を母液晶と混合して試料とする場合の2種類がある。
化合物を母液晶と混合した試料を用いる後者の場合には、以下の方法で測定を行う。まず、得られた液晶化合物15重量%と母液晶85重量%とを混合して試料を作製する。そして、得られた試料の測定値から、下記の計算式に基づく外挿法にしたがって、外挿値を計算する。この外挿値をこの化合物の物性値とする。
〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉−〈母液晶の重量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈液晶化合物の重量%〉
液晶化合物と母液晶との割合がこの割合(15重量%:85重量%)であっても、スメクチック相、または結晶が25℃で析出する場合には、液晶化合物と母液晶との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更をしていき、スメクチック相、または結晶が25℃で析出しなくなった組成で試料の物性値を測定し上記式にしたがって外挿値を求めて、これを液晶化合物の物性値とする。
測定に用いる母液晶としては様々な種類が存在するが、たとえば、母液晶Aの組成(重量%)は以下のとおりである。

母液晶A
1−4)液晶化合物等の物性値の測定方法
液晶化合物の物性値の測定は後述する方法で行った。これら測定方法の多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。また、測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
測定値のうち、液晶化合物そのものを試料とした場合は、得られた値を実験データとして記載した。液晶化合物と母液晶との混合物を試料として用いた場合は、外挿法で得られた値を実験データとして記載した。
1−4−1)相構造および相転移温度(℃)
以下(1)、および(2)の方法で測定を行った。
(1)偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に化合物を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、液晶相の種類を特定した。
(2)パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システム、またはDiamondDSCシステムを用いて、3℃/分速度、または5℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め(on set)、相転移温度を決定した。
以下、結晶はCと表し、さらに結晶の区別がつく場合は、それぞれCまたはCと表した。また、スメクチック相はSm、ネマチック相はN、キラルネマチック相はNと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。スメクチック相の中で、スメクチックB相、またはスメクチックA相の区別がつく場合は、それぞれSmB、またはSmAと表した。BPはブルー相または光学的に等方性の液晶相を表す。2相の共存状態は(N+I)、(N+BP)という形式で表記することがある。具体的には、(N+I)は、それぞれ非液晶等方相とキラルネマチック相がと共存する相を表し、(N+BP)は、BP相または光学的に等方性の液晶相とキラルネマチック相が共存した相を表す。Unは光学的に等方性ではない未確認の相を表す。相転移温度の表記として、たとえば、「C 50.0 N 100.0 I」とは、結晶からネマチック相への相転移温度(CN)が50.0℃であり、ネマチック相から液体への相転移温度(NI)が100.0℃であることを示す。他の表記も同様である。
1−4−2)ネマチック相の上限温度(TNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に、試料(液晶化合物と母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で加熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度をネマチック相の上限温度とした。以下、ネマチック相の上限温度を、単に「上限温度」と略すことがある。
1−4−3)低温相溶性
母液晶と液晶化合物とを、液晶化合物が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、および1重量%の量となるように混合した試料を作製し、試料をガラス瓶に入れる。このガラス瓶を、−10℃または−20℃のフリーザー中に一定期間保管したあと、結晶もしくはスメクチック相が析出しているかどうか観察をした。
1−4−4)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
液晶化合物と母液晶との混合物を、E型粘度計を用いて測定した。
1−4−5)屈折率異方性(Δn)
測定は25℃の温度下で、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料(液晶化合物と母液晶との混合物)を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。屈折率異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥の式から計算した。
1−4−6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料(液晶化合物と母液晶との混合物)を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
1−4−7)ピッチ(P;25℃で測定;nm)
ピッチ長は選択反射を用いて測定した(液晶便覧196頁 2000年発行、丸善)。選択反射波長λには、関係式<n>p/λ=1が成立する。ここで<n>は平均屈折率を表し、次式で与えられる。<n>={(n 2+n 2)/2}1/2。選択反射波長は顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV-350)で測定した。得られた反射波長を平均屈折率で除すことにより、ピッチを求めた。可視光より長波長領域に反射波長を有するコレステリック液晶のピッチは、光学活性化合物濃度が低い領域では光学活性化合物の濃度の逆数に比例することから、可視光領域に選択反射波長を有する液晶のピッチ長を数点測定し、直線外挿法により求めた。「光学活性化合物」は本発明におけるキラル化合物に相当する。
1−5)液晶組成物等の物性値の測定方法
液晶組成物の特性値の測定は下記の方法にしたがって行うことができる。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
1−5−1)ネマチック相の上限温度(NI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
1−5−2)ネマチック相の下限温度(TC;℃)
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。たとえば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶(またはスメクチック相)に変化したとき、TCを≦−20℃と記載する。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
1−5−3)光学的に等方性の液晶相の転移温度
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、クロスニコルの状態で、まず試料が非液晶等方相になる温度まで昇温した後、1℃/分の速度で降温し、完全にキラルネマチック相または光学的に等方性の液晶相を出現させた。その降温過程での相転移した温度を測定し、次いで1℃/分の速度で昇熱し、その昇温過程における相転移した温度を測定した。本発明において、特に断りの無い限り、昇温過程での相転移した温度を相転移温度とした。光学的に等方性の液晶相においてクロスニコル下では暗視野で相転移温度の判別が困難な場合は、偏光板をクロスニコルの状態から1〜10°ずらして相転移温度を測定した。
1−5−4)粘度(回転粘度;γ1(25℃で測定);mPa・s)
(1)誘電率異方性が正である試料:測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。TN素子に16ボルト〜19.5ボルトの範囲で0.5ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文の40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度の測定で使用した素子にて、下記の誘電率異方性の測定方法で求めた。
(2)誘電率異方性が負である試料:測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に30ボルト〜50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、下記の誘電率異方性で測定した値を用いた。
1−5−5)屈折率異方性(Δn;25℃で測定)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビング(rubbing)したあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。屈折率異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。試料が組成物のときはこの方法によって屈折率異方性を測定した。
1−5−6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
(1)誘電率異方性が正である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
(2)誘電率異方性が負である組成物:ホメオトロピック配向に処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε‖)を測定した。ホモジニアス配向に処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
1−5−7)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
1)誘電率異方性が正である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80度である、ノーマリーホワイトモード(normally white mode)の液晶表示素子に試料を入れた。Δnは上記の方法で測定した屈折率異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定した。
2)誘電率異方性が負である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μmであり、ホメオトロピック配向に処理したノーマリーブラックモード(normally black mode)の液晶表示素子に試料を入れた。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率10%になったときの電圧の値を測定した。
1−5−8)電圧保持率(VHR;25℃で測定;%)
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
1−5−9)螺旋ピッチ(P;20〜25℃で測定;nm)
螺旋ピッチの測定には、カノのくさび型セル法を用いた。カノのくさび型セルに試料を注入し、セルから観察されるディスクリネーションラインの間隔(a;単位はμm)を測定した。螺旋ピッチ(P)は、式P=2・a・tanθから算出した。θは、くさび型セルにおける2枚のガラス板の間の角度である。
あるいは、ピッチ長の測定に選択反射を用いた(液晶便覧196頁 2000年発行、丸善)。選択反射波長λには、関係式<n>p/λ=1が成立する。ここで<n>は平均屈折率を表し、次式で与えられる。<n>={(n‖2+n⊥2)/2}1/2。選択反射波長は顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV-350)で測定した。得られた反射波長を平均屈折率で除すことにより、ピッチを求めた。
可視光より長波長領域に反射波長を有するコレステリック液晶のピッチは、キラル化合物濃度が低い領域ではキラル化合物の濃度の逆数に比例することから、可視光領域に選択反射波長を有する液晶のピッチ長を数点測定し、直線外挿法により求めた。
1−6)高分子/液晶複合材料の誘電率(ε’(PSBP),25℃)
誘電率は、LCRメーター(E4980A、Agilent)を使用し、四端子対法より測定した。測定セルは、平行平板セル(電極材質:ITO、電極間距離:4μm、電極面積:0.16cm2)を用いた。測定条件は下記の通りとした。
測定温度:25℃
印加波形:正弦波
印加電圧:2.0V
測定周波数:100Hz
また、成分または液晶化合物の割合(百分率)は、液晶化合物の全量に基づいた重量百分率(重量%)である。組成物は、液晶化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。
[組成例1]ネマチック液晶組成物(NLC)の調製
表1に示す化合物を混合して、ネマチック液晶組成物NLC−A、NLC−BおよびNLC−Cを調製した。
NLC−Aの相転移温度(℃)は、N 77.6 Iso、NLC−Bの相転移温度(℃)は、N 87.6 Iso、NLC−Cの相転移温度(℃)はN 74.2 Isoであった。
[組成例2]キラル剤含有液晶組成物(CLC)の調製
組成例1で得たNLC−A(95.2重量%)と、一般式(K6−6)に属する下記の式で表されるキラル化合物CD−1(4.8重量%)からなるキラル剤含有液晶組成物CLC−Aを得た。CLC−Aの相転移温度(℃)はN* 70.7 BP 73.6 Iであった。
組成例1で得たNLC−B(95.0重量%)と、一般式(K4−6)に属する下記の式で表されるキラル化合物CD−1(5.0重量%)からなるキラル剤含有液晶組成物CLC−Bを得た。CLC−Bの相転移温度(℃)はN* 78.5−78.7 BP 82.3 BP+Iso 83.1 Iであった。
組成例1で得たNLC−C(94.7重量%)と、一般式(K4−6)に属する下記の式で表されるキラル化合物BN−H4(2.65重量%)とBN−H5(2.65重量%)からなるキラル剤含有液晶組成物CLC−Cを得た。CLC−Cの相転移温度(℃)はN* 65.6−65.7 BP 67.8 BP+Iso 69.6 Iであった。
キラル化合物BN−H4およびBN−H5は、(R)−(+)−1,1’−ビ(2−ナフトール)と対応するカルボン酸とからジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いてエステル化することによって得た。
表2は、キラル剤含有液晶組成物CLC−A、CLC−BおよびCLC−Cの組成および相転移点をまとめたものである。

[合成例1]モノマー(1)の合成
モノマー(1)として、上記式(1)においてn1=n2=n3=12、Z=Z=Z=酸素(−O−)およびX=X=X=Hである化合物(以下、「モノマー12」という)と、n1=n2=n3=6、Z=Z=Z=酸素(−O−)およびX=X=X=Hである化合物(以下、「モノマー6」という)を合成した。
[合成例1−1]モノマー12
(1)モノマー12の構造
モノマー12の構造は下記式(1A)に示すとおりである。

(2)モノマー12の合成
下記のスキームに従って、モノマー12を合成した。
(第1−1段)化合物(m02)の合成
化合物(m01)、および12−ブロモ−1−ドデカノールは一般に市販されている。窒素雰囲気下で、化合物(m01)(44.0g,290mmol)および水酸化ナトリウム(97%)(14.4g,348mmol)のDMF(1L)の混合溶液を60℃で1時間加熱撹拌した。次いで、そのままの温度で12−ブロモ−1−ドデカノール(100g,377mmol)をゆっくりと加え、85℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に空けてトルエン(1L)で2回抽出し、1N−水酸化ナトリウム水溶液で1回、重曹水で2回、水で3回洗浄して有機層を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))にて精製し、化合物(m02)(72.8g,216mmol)を得た。
(第1−2段)化合物(m03)の合成
前段で得た化合物(m02)(72.8g,216mmol)のエタノール(830mL)溶液に、水酸化ナトリウム(97%)(10.4g,260mmol)/水(130mL)の水溶液を常温にて滴下し、その後75℃で4時間加熱撹拌した。反応液を氷冷した3N−塩酸水溶液にゆっくりと空け、析出した結晶をろ過して収集し、結晶を水および冷エタノールで洗浄して化合物(m03)(62.5g,194mmol)を得た。
(第1−3段)化合物(m04)の合成
窒素雰囲気下で、前段で得た(m03)(62.5g,194mmol)、N,N’−ジメチルアニリン(32.9g,271mmol)、および2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(0.64g,2.91mmol)のTHF(313mL)溶液に、アクリル酸クロリド(24.6g,271mmol)を常温にてゆっくりと滴下し、50℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に空けて酢酸エチル(1L)にて抽出し、水で3回洗浄した後に有機層を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(40mL)を加えて懸濁させた溶液をろ過して収集し、結晶を冷n−ヘプタンで洗浄して化合物(m04)(58.5g,155mmol)を得た。
(第1−4段)化合物(1A)の合成
化合物(m05)は一般に市販されている。窒素雰囲気下で、前段で得た化合物(m04)(50.0g,132mmol)および化合物(m05)(5.4g,42.8mmol)のジクロロメタン(250mL)溶液を0℃まで冷却し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(29.6g,154mmol)、次いで4−ジメチルアミノピリジン(0.471g,3.86mmol)を加え、0℃で2時間撹拌した後に常温まで温度を上げた。反応液にジクロロメタン(200mL)を加え、1N−塩酸水溶液で2回、水で3回洗浄した後に有機層を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))、さらに再結晶ろ過(溶媒:トルエン/n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1/1)にて精製し、式(1A)で表されるモノマー12(27.5g,22.9mmol,全体収率:7.89%)を得た。この化合物の相転移温度(℃)は、C・67.8(N・51.6)・Iであった。
また、モノマー12の1H−NMR分析で得られた核磁気共鳴スペクトルは以下のとおりであった。
H−NMR(CDCl):δ(ppm) 1.28-1.40(m, 42H), 1.41-1.51(m, 6H), 1.63-1.69(m, 6H), 1.75-1.85(m, 6H), 3.96-3.99(m, 4H), 4.03-4.06(t, 2H), 4.13-4.16(m, 6H), 5.80-5.83(m, 3H), 6.09-6.15(m, 3H), 6.38-6.42(m, 3H), 6.82-6.85(m, 4H), 6.96-6.98(d, 2H), 7.19-7.21(dd, 1H), 7.32-7.33(d, 1H), 7.39-7.41(d, 1H), 7.99-8.02(m, 4H), 8.13-8.14(d, 2H).
[合成例1−2]モノマー6
(1) モノマー6の構造
モノマー6の構造は下記式(1B)に示すとおりである。
(2) モノマー6の合成
合成例1−1の(第1−1段)の中で、12−ブロモ−1−ドデカノールの代わりに6−ブロモヘキサノール(50g,276mmol)を使用する以外は、合成例1−1のモノマー12と全く同様のスキームによってモノマー6を合成した(30.5g,32.2mmol,全体収率:11.7%)を得た。この化合物の相転移温度(℃)は、C・55.4(N・34.3)・Iであった。
また、モノマー6の1H−NMR分析で得られた核磁気共鳴スペクトルは以下のとおりであった。
H−NMR(CDCl):δ(ppm) 1.42-1.54(m, 12H), 1.69-1.74(m, 6H), 1.76-1.87(m, 6H), 3.98-4.00(m, 4H), 4.04-4.07(t, 2H), 4.16-4.20(m, 6H), 5.80-5.84(m, 3H), 6.09-6.16(m, 3H), 6.38-6.43(m, 3H), 6.83-6.86(m, 4H), 6.96-6.98(d, 2H), 7.19-7.21(dd, 1H), 7.32-7.33(d, 1H), 7.39-7.41(d, 1H), 7.99-8.03(m, 4H), 8.13-8.15(d, 2H).
[実施例1]重合性モノマー含有液晶組成物(MLC)の調製
組成例2で調製されたキラル剤含有液晶組成物(CLC)、合成例1で得られたモノマー、モノマーNMMの一例であるn−ヘキサデシルアクリレートおよびDMPAを混合し、得られた混合物を等方相で加熱して混合することで、液晶組成物MLC−A1〜MLC−A2およびMLC−B1〜MLC−B5を調製した。これらの液晶組成物の組成および相転移点(℃)を下記の表3−1と表3−2に示した。
なお、本明細書中、「DMPA」は2,2’−ジメトキシフェニルアセトフェノンであり、光重合開始剤である。
[実施例2]高分子/液晶複合材料の調製、高分子/液晶複合材料が狭持されたセルの作成
実施例1−A1で得られた重合性モノマーを含有する液晶組成物MLC−A1を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し、ブルー相が発現する温度(40.3℃)になるまで加熱した(表4−1)。この状態で、紫外光(紫外光強度23mWcm−2(365nm))を1分間照射して重合反応を行い、高分子/液晶複合材料が挟持されたセルを作成した(セル厚7〜9μm)。得られた高分子/液晶複合材料PSBP−A1は、室温まで冷却しても光学的に等方性の液晶相を維持していた。
重合性モノマー含有液晶組成物としてMLC−A2、MLC−B1〜MLC−B5を用いたことおよび重合温度以外は、MLC−A1と同じ条件で高分子/液晶複合材料が挟持されたセルを作成した(PSBP−A2、PSBP−B1〜PSBP−B5)。各高分子/液晶複合材料を調製するための重合温度は表4−1および表4−2に記載のとおりであった。
[実施例3]セルを用いた光学系
実施例2で得られた高分子/液晶複合材料が狭持された各セルを、図2に示した測定光学系に組み入れた。具体的には、光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、櫛型電極の線方向がPolarizerとAnalyzer偏光板に対してそれぞれ45°となるように高分子/液晶複合材料が狭持されたセルを組み入れた(図2)。
当該光学系を用いて、高分子/液晶複合材料(PSBP−A1〜PSBP−A2、PSBP−B1〜PSBP−B5)の室温における印加電圧と透過率との関係をそれぞれ調べた。セルに挟持された高分子/液晶複合材料(PSBP−A1〜PSBP−A2、PSBP−B1〜PSBP−B5)の飽和電圧(Vmax)、飽和電圧印加時の透過率(%)、コントラスト比、および応答速度(ms)は表4−1と表4−2に示すとおりであった。なお応答時間のデータは、飽和電圧印加、および除去時のものであった。
表4−1および表4−2の結果より、いずれの高分子/液晶複合材料も低い駆動電圧を示すことがわかった。
また、表4−1の結果より、モノマー12を用いたPSBP−A1のほうが、モノマー6を用いたPSBP−A2より、コントラスト比が大きく、高速で応答することがわかった。表4−2の結果より、モノマー12とn−ヘキサデシルアクリレートの混合比により、コントラスト比が大きく変化し、当該混合比が44/56〜60/40の場合に、コントラスト比が800を上回ることがわかった。
[実施例4]高分子/液晶複合材料の調製、高分子/液晶複合材料が狭持されたセルの作成
表5に示す組成で調製した以外は、実施例1−A1と同じ条件で重合性モノマーを含有する液晶組成物MLC−C1を調製した。
得られた液晶組成物MLC−C1を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し、等方相まで加温し、その後、降温し、ブルー相を呈する温度まで冷却した。ブルー相を呈する温度内で、紫外光(紫外光強度23mWcm−2(365nm))を1分間照射して重合反応を行い、高分子/液晶複合材料が挟持されたセルを作成した(セル厚7〜9μm)。なお、MLC−C1の降温過程でブルー相が発現し、かつ、重合途中でもブルー相を維持する(キラルネマチック相に変化しない)温度範囲の下限が33.4℃であったため、33.4〜34.4℃で重合反応を行った。当該セルにVmax(35V)35Vの電圧を印加し、電圧を除去したところ、すべての重合温度で得られたサンプルのコントラスト比は1410〜1740であった。
[比較例1]高分子/液晶複合材料の調製、高分子/液晶複合材料が狭持されたセルの作成
表5中、LCA−12は下記式に示すモノマー化合物である。

表5に示す組成したこと以外は、実施例1−A1と同じ条件で液晶組成物MLC−C2を調製した。 その後、液晶組成物MLC−C2(比較例1−C2)を用いたこと、および、重合温度を37.0〜37.6℃としたこと以外は、実施例4と同様に液晶組成物を重合させて高分子/液晶複合材料が狭持されたセルを作成した(セル厚7〜9μm)。なお、MLC−C2の降温過程でブルー相が発現し、かつ、重合途中でもブルー相を維持する(キラルネマチック相に変化しない)温度範囲の下限が37.0℃であったため、重合温度を37.0〜37.6℃とした。当該セルにVmax(33V)の電圧を印加し、電圧を除去したところ、すべての重合温度で得られたサンプルのコントラスト比は510〜780であった。
実施例4と比較例1とを比較すると、モノマー12を用いた実施例4のセルは比較例1のセルに比べて、コントラスト比の絶対値が大きく、また、重合温度によるコントラストの変化率も小さいことがわかった。
このことから、モノマー12を含む液晶組成物を用いるとコントラストが大きいセルを提供でき、また、重合させる際の重合温度の範囲が広く、得られるセルのコントラストの差が小さいことがわかった。
本発明の活用法として、たとえば、高分子/液晶複合体を用いる表示素子などの光素子が挙げられる。
1 電極
2 電極
3 光源
4 偏光子(偏光板)(Polarizer)
5 櫛型電極セル
6 検光子(偏光板)(Analyzer)
7 受光器(Photodetector)

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される化合物を含むモノマー、
    アキラルな液晶成分T、および、
    キラル化合物、
    を含有する、光学的に等方性の液晶組成物。

    (式(1)中、X〜Xはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Z〜Zはそれぞれ独立して−O−、−OCO−、−COO−、−OCOO−または単結合であり、n1〜n3はそれぞれ独立して12〜20の整数である。)
  2. 前記液晶成分Tが、下記式(2)または(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、請求項1に記載の液晶組成物。

    (式(2)中、R21は炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり、Z21およびZ22はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X21はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L21〜L23はそれぞれ独立して水素またはフッ素であり、
    式(3)中、R31は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜11のアルコキシアルキルであり、Z31およびZ32はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X31はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L31〜L34はそれぞれ独立して水素またはフッ素である。)
  3. 下記式(1)で表される化合物を含むモノマー、
    下記式(2)または式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有するアキラルな液晶成分T、および、
    キラル化合物、
    を含有する、光学的に等方性の液晶組成物。

    (式(1)中、X〜Xはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Z〜Zはそれぞれ独立して−O−、−OCO−、−COO−、−OCOO−または単結合であり、n1〜n3はそれぞれ独立して4〜20の整数であり、
    式(2)中、R21は炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり、Z21およびZ22はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X21はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L21〜L23はそれぞれ独立して水素またはフッ素であり、
    式(3)中、R31は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜11のアルコキシアルキルであり、Z31およびZ32はそれぞれ独立して単結合または−CFO−であり、X31はフッ素、塩素、−CFまたは−OCFであり、L31〜L34はそれぞれ独立して水素またはフッ素である。)
  4. 前記モノマーが、下記式(10)で表される化合物をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶組成物。

    (式(10)中、R41は、炭素数8〜20のアルキルであり、X41は水素またはメチルである。)
  5. 式(1)で表される化合物と式(10)で表される化合物との質量比が45/55〜60/40である請求項4に記載の液晶組成物。
  6. 前記キラル化合物が、下記式(K1)〜(K7)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶組成物。

    (上記式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであり、アルキル中またはアルコキシ中の少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく;
    K0はそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜10のアルキルであり;
    はそれぞれ独立して、芳香族性あるいは非芳香族性の3〜8員環または炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、環の−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
    は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性または非芳香族性の3から8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
    は独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであるが、任意の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
    は単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または−CHCH−であり;
    mKは1〜4の整数である。)
  7. −20℃〜70℃のいずれかの温度においてキラルネマチック相を発現し、当該温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶組成物に含まれるモノマーを重合する工程を含む、光学的に等方性の高分子/液晶複合材料の製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法で得られた、光学的に等方性の高分子/液晶複合材料。
  10. 一方または両方に電極が配置された2以上の基板、前記基板間に配置された液晶媒体、および、前記電極を介して前記液晶媒体に電界を印加できる電界印加手段、を有する光素子であって、前記液晶媒体が請求項9に記載の高分子/液晶複合材料である、光素子。
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