JP2019214698A - 低電圧化された光学的等方性液晶組成物 - Google Patents

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真一 山本
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Abstract

【課題】ブルー相を利用した液晶素子は、高速応答性を示すが、液晶の相関長が短いため、駆動電圧が高かった。【解決手段】アキラル成分Tとキラル剤とを含有し、光学的に等方性の液晶相を発現する液晶組成物において、該液晶相の選択反射の波長を適切に調整することにより、より低電圧で駆動できることを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、低電圧で駆動できる、光学的等方性を利用した液晶素子に用いられる組成物に関する。
液晶組成物を用いた液晶素子による偏光制御は、液晶組成物の電気光学応答により行われる。入射光は楕円偏光、直線偏光、円偏光等に変換される。液晶素子を使用することで、機械式の駆動を廃した電気的操作のみの光スイッチング素子として使用されている。
偏光制御用の液晶素子には、すべてネマチック液晶媒体が使用されているが、応答時間が長いため、一定時間あたりの制御回数に制限があるという課題がある。ネマチック液晶媒体と同様に電気光学応答による偏光制御ができる液晶媒体として、光学的に等方性の液晶相の一つであるブルー相液晶媒体が知られている。これまで、電場誘起複屈折を利用した波長可変フィルター、波面制御素子、液晶レンズ、収差補正素子、開口制御素子、光ヘッド装置などが提案されている(特許文献1〜4、非特許文献1)。
光学的に等方性の液晶媒体を使用した素子は、応答時間が短い(高速応答する)ことが知られている。これは電場無印加時に光学的等方性を示す光学的等方性液晶が、電場印加時、印加電界の2乗に比例する電気光学カー効果により複屈折が誘起され、光学的異方性を発現するためである。
特開2005−157109号公報 国際公開2005/80529号 特開2006−127707号公報 国際公開2018−003858号
Nature Materials, 1, 64, (2002)
このようにブルー相を利用した液晶素子は、高速応答性を示すが、液晶の相関長が短いため、駆動電圧が高い課題があった。例えばLCDに使用する場合、従来に対してより高性能で高価なドライバーICを使用しなければならない等、大きな問題があった。
本発明では、前記課題を解決するために、光スイッチング素子用途の液晶媒体として、ブルー相液晶媒体を採用した。ブルー相液晶媒体は光学的に等方性な状態から異方性な状態へ高速スイッチングできる。すなわち、電気的操作で偏光制御を高速で行うことができる。一例として、ブルー相液晶媒体は、電気的操作により、入射光源の波長に対して半波長(λ/2)となる複屈折を誘起させる特性を有し、入射光の右または左向きの円偏向の偏光方向を逆向き、左または右向きにスイッチすることができる。そのスイッチングにかかる時間は、電気光学カー効果を示す領域であれば、サブミリ秒オーダーで、電場印加時と電場除去時の応答時間差も原理的に生じないことを特長とする。
発明者らは鋭意検討した結果、キラルネマチック液晶組成物のキラルネマチック相の選択反射の波長を適切に調整し、それを用いてブルー相を発現する高分子/液晶複合材料とする事により、上記の問題が解決する事を見出し、本発明を完成させた。
本発明は、たとえば、以下のような液晶媒体(液晶組成物、高分子/液晶複合材料等)、重合モノマーと液晶組成物との混合物、液晶媒体等を含有する光素子、液晶化合物等を提供する。
本件発明は以下の項を含む。
1.アキラル成分Tとキラル剤とを含有し、光学的に等方性の液晶相を発現する液晶組成物において、該液晶相が、380nm以上の波長の光を回折する液晶組成物。
2.キラル剤のヘリカルツイストパワーが80μm−1以上の項1に記載の液晶組成物。
3.前記アキラル成分Tが下記一般式(1)で表される化合物1を少なくとも1つ含有する、項1または2に記載の液晶組成物。

Figure 2019214698

式(1)において、R11は、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;環A11〜A15はそれぞれ独立して、5〜8員環または炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、またはハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。当該アルキルまたは当該ハロゲン化アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は、−N=で置き換えられてもよく;Z11〜Z14はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜8のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;n11〜n13はそれぞれ独立して、0または1であるであり;R12は、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=S、−CF、−OCF、または炭素数1〜3のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CHは−C≡Nで置き換えられてもよい。
4.前記一般式(1)において、n11+n12+n13が2または3であり、A11〜A14が、下記(A−1)〜(A−10)で表される基からなる群から選択され、A15が、(A−1)〜(A−3)で表される基からなる群から選択され、さらに、A11〜A15中のハロゲン原子数の合計が6以上である、項3に記載の液晶組成物。

Figure 2019214698
5.アキラル成分Tが、式(2)で表される化合物2を少なくとも1つ含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の液晶組成物。

Figure 2019214698

式(2)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が1から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
〜Zはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
〜Lはそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
およびnはそれぞれ独立して、0または1であり;
は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
6.化合物2が、式(2−1)〜(2−9)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、項5に記載の液晶組成物。
Figure 2019214698

Figure 2019214698

式(2−1)〜(2−9)において、R2Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;R2Bは、炭素1から5のアルキレン、炭素数2から5のアルケニレン、または炭素数2から5のアルキニレンであり;L22、L24、L25、L26、L27およびL28はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Z21AおよびZ22Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり;X2Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFであり;ただし、式(2−4)および(2−5)においては、Z21Aは、−COO−または−CFO−である。
7.化合物2が、下記式(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−3−1)、(2−3−2)、(2−4−1)、(2−5−1)、(2−5−2)または(2−9−1)〜(2−9−6)で表される化合物である、項6に記載の液晶組成物。
Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698

式(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−3−1)、(2−3−2)、(2−4−1)、(2−5−1)、(2−5−2)(2−9−1)〜(2−9−6)において、R2Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;R2Bは、炭素1から5のアルキレン、炭素数2から5のアルケニレン、または炭素数2から5のアルキニレンであり;Z21AおよびZ22Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり;L22、L24、L27、L28はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;X2Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFであり;ただし、式(2−4−1)、(2−5−1)および(2−5−2)において、Z21Aは−COO−または−CFO−である。
8.アキラル成分Tが、式(3)で表される化合物3を少なくとも1つ含有する、項1〜7のいずれか1項に記載の液晶組成物。

Figure 2019214698

式(3)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が2から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
31〜Z34はそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
31〜L36はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
31およびn32はそれぞれ独立して、0または1である。
9.アキラル成分Tの全重量に対して、化合物2を合計で25重量%〜90重量%含有し、化合物3を合計で5重量%〜65重量%含有する、項8に記載の液晶組成物。
10.キラル剤が、式(K1)〜(K7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、項1〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物。

Figure 2019214698

式(K1)〜(K7)において、Rは独立して、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=Sまたは炭素数1〜12のアルキルであり、当該R中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該R中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該R中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;Aはそれぞれ独立して、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく;Yは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく;Zは独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであり、当該Z中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−または−N=CH−で置き換えられてもよく、当該Z中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該Z中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Xは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−CHCH−であり;mKは独立して、1〜3の整数である。
11.−40℃〜100℃のいずれかの温度においてキラルネマチック相を示し、この温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、項1〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
12.−20℃〜70℃のいずれかの温度においてキラルネマチック相を示し、この温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、項1〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
13.−20℃〜70℃のいずれかの温度において光学的等方相からの回折光が380nm以上である、項1〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
14.酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる化合物を1つ以上含む、項1〜13のいずれか1項に記載の液晶組成物。
15.項1〜14のいずれかに1項に記載の液晶組成物と、重合性モノマーとを含む混合物。
16.項15に記載の混合物を重合して得られる、光学的に等方性の液晶相で駆動される素子に用いられる高分子/液晶複合材料。
17.項15に記載の混合物を非液晶等方相または光学的に等方性の液晶相で重合させて得られる、項16に記載の高分子/液晶複合材料。
18.電場誘起される複屈折により得られるリタデーションが最大になるときの印加電圧、または利用光源の透過光強度が最大になるときの印加電圧が35V以下を示す、項16または17に記載の高分子/液晶複合材料。
19.項1から14のいずれか1項に記載の光学的に等方性を示す液晶相を有する液晶組成物または項16から18のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料の、電場誘起された複屈折によりリタデーションを制御する素子への利用。
20.電圧印加により、リタデーションを0からλ/2まで制御する、項1から14のいずれかに1項に記載の液晶組成物の素子への利用。
21.項1から14のいずれかに1項に記載の液晶組成物の、TFTを備えたアクティブ型液晶表示素子への利用。
22.項1から14のいずれかに1項に記載の液晶組成物の、右円偏光と左円偏光を切り替える光線走査型素子への利用。
本発明の好ましい液晶組成物および高分子/液晶複合材料等は、式(1)の化合物を比較的多く含有することによって、熱、光などに対する安定性、光学的に等方性の液晶相の高い上限温度と低い下限温度を示し、大きな誘電率異方性、屈折率異方性を有する。
本発明の好ましい態様の高分子/液晶複合材料は、光学的に等方性の液晶相の高い上限温度、低い下限温度を示し、光学的に等方性の液晶相を使用した液晶素子は低い駆動電圧を有する。また、本発明の好ましい態様の光学的に等方性の液晶相を使用した液晶素子は、幅広い温度範囲で使用可能であり、低電圧駆動が可能であり、高速な電気光学応答が可能であり、大きなコントラスト比を有する。
実施例で用いた櫛型電極基板を示す。 実施例で用いた光学系を示す。
本明細書において、「液晶化合物」とはメソゲンを有する化合物を表し、液晶相を有する化合物に限定されない。具体的には、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。
「液晶媒体」とは、液晶組成物および高分子/液晶複合体の総称である。
「アキラル成分」とはアキラルなメソゲン化合物であって、光学活性化合物および重合性官能基を有する化合物を含まない成分である。したがって、「アキラル成分」には、キラル剤、モノマー、重合開始剤、硬化剤、安定剤は含まれない。
「キラル剤」は、光学活性化合物であり、液晶組成物に所望のねじれた分子配列を与える為に添加されるために用いられる成分である。
「素子」とは、要求する機能を発揮する物体を抽象的に表し、光の性質に関するものは光素子あるいは光学素子と呼ばれる。また、使用した材料に基づき液晶媒体を使用した素子を液晶素子と呼ぶこともある。
「光素子」とは、電気光学効果を利用して、光変調や光スイッチなどの機能を奏する各種の素子を指し、たとえば、表示素子(液晶表示素子)、光通信システム、光情報処理や種々のセンサーシステムに用いられる光変調素子及び光スイッチング素子が挙げられる。
「液晶表示素子」とは、液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。
光学的に等方性の液晶媒体への電圧印加による屈折率の変化を利用した光変調については、カー効果として知られている。カー効果とは電気複屈折値Δn(E)が電場Eの二乗に比例する現象であり、カー効果を示す材料ではΔn(E)=KλEが成立する(K:カー係数(カー定数)、λ:波長))。ここで、電気複屈折値とは、等方性媒体に電界を印加した時に誘起される屈折率異方性値である。
「選択反射」とは、キラルネマチック液晶またはコレステリック液晶の螺旋軸に平行に入射された光の左右円偏光成分のうち、一方が特異的に反射されることをいう。
「液晶化合物」、「液晶組成物」をそれぞれ「化合物」、「組成物」と略すことがある。
また、例えば液晶相の上限温度は液晶相−等方相の相転移温度であり、そして単に透明点または上限温度と略すことがある。液晶相の下限温度を単に下限温度と略すことがある。また、光学的に等方性の液晶相、例えばブルー相の上限温度は、ブルー相−等方相の相転移温度であり、ブルー相の下限温度は、ブルー相−結晶の相転移温度である。
式(1)で表わされる化合物を化合物1と略すことがある。この略記は式(2)などで表される化合物にも適用することがある。式(2)〜(13)において、六角形で囲んだA41、A、A71、A81、A111、A131などの記号はそれぞれ環A41、環A、環A71環A81、環A111、環A131などに対応する。百分率で表した化合物の量は組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。環A、Zなど複数の同じ記号を同一の式または異なった式に記載したが、これらはそれぞれが同一であってもよいし、または異なってもよい。
本明細書中、「アルキル」の具体例は、−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C19、−C1021、−C1123、−C1225、−C1327、−C1429、および−C1531が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり、さらに好ましくは、粘度を下げるために、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
本明細書中、「少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルキル」の具体例は、−CHF、−CHF、−CF、−(CH−F、−CFCHF、−CFCHF、−CHCF、−CFCF、−(CH−F、−(CF−F、−CFCHFCF、−CHFCFCF、−(CH−F、−(CF−F、−(CH−F、および−(CF−Fが挙げられる。
本明細書中、「アルコキシ」の具体例は、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13および−OC15、−OC17、−OC19、−OC1021、−OC1123、−OC1225、−OC1327、および−OC1429が挙げられ、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシであり、さらに好ましくは、粘度を下げるために、メトキシまたはエトキシである。
本明細書中、「少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシ」の具体例は、−OCHF、−OCHF、−OCF、−O−(CH−F、−OCFCHF、−OCFCHF、−OCHCF、−O−(CH−F、−O−(CF−F、−OCFCHFCF、−OCHFCFCF、−O(CH−F、−O−(CF−F、−O−(CH−F、および−O−(CF−Fが挙げられる。
本明細書中、「アルケニル」の具体例は、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CH−CH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CH−CH=CHCH、および−(CH−CH=CHが挙げられ、好ましくはビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルであり、さらに好ましくは、粘度を下げるために、ビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。
本明細書中、「少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルケニル」の具体例は、−CH=CHF、−CH=CF、−CF=CHF、−CH=CHCHF、−CH=CHCF、−(CH−CH=CF、−CHCH=CHCF、−CH=CHCF、および−CH=CHCFCFが挙げられ、好ましくは、組成物の粘度を下げるために、−CH=CF、および−(CH−CH=CFである。
本明細書中、アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。−CH=CHCH、−CH=CHC、−CH=CHC、−CH=CHC、−CCH=CHCH、および−CCH=CHCのような奇数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。−CHCH=CHCH、−CHCH=CHC、および−CHCH=CHCのような偶数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327に詳細な説明がある。
本明細書中、「アルコキシアルキル」の具体例は、−CHOCH、−CHOC、−CHOC、−(CH−OCH、−(CH−OC、−(CH−OC、−(CH−OCH、−(CH−OCH、および−(CH−OCHが挙げられる。
本明細書中、「アルケニルオキシ」の具体例は、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、および−OCHCH=CHCである。
本明細書中、「アルキニル」の具体例は、−C≡CH、−C≡CCH、−CHC≡CH、−C≡CC、−CHC≡CCH、−(CH−C≡CH、−C≡CC、−CHC≡CC、−(CH−C≡CCH、および−C≡C(CHである。
本明細書中、「ハロゲン」の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。
本発明の液晶組成物は、アキラル成分Tとキラル剤とを含み、光学的に等方性の液晶相を発現する組成物である。本発明の液晶組成物はアキラル成分Tとキラル剤の他に、溶媒、および後述する重合性モノマー等(5−2−1および5−2−2)、重合開始剤(5−2−3)、硬化剤(5−2−4)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等;5−2−4)等をさらに含有してもよい。
1.アキラル成分T
アキラル成分Tとして、少なくとも1つの化合物1を含有する。好ましいアキラル成分Tは、少なくとも1つの化合物1に包含される化合物2および少なくとも1つの化合物1に包含される化合物3を含有する。
本発明の液晶組成物の態様は、化合物2および化合物3と明細書中で特に成分名を示していないその他の成分を含有する組成物である。より好ましい態様は、化合物2、化合物3および後述する化合物4〜13と本明細書中で特に成分名を示していないその他の成分を含有する組成物である。
本発明のアキラル成分Tは、化合物1〜13のうち、1種の化合物を含む場合も、2種以上の化合物を含む場合もある。すなわち、本発明の液晶組成物は、化合物1として、式(1)で表される互いに構造の異なる複数種類の化合物1を含んでもよい。このことは、化合物2〜13についても同様である。
1−1.液晶媒体
1―1−1.化合物1
本発明の素子に用いられる液晶媒体は、光学的に等方性の液晶相、例えばブルー相を発現する液晶媒体である。本発明の素子に用いられる液晶媒体は、下記一般式(1)の化合物を少なくとも1種または2種以上含む。

Figure 2019214698
式(1)において、R11は、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A11〜A15はそれぞれ独立して、5〜8員環または炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、またはハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。当該アルキルまたは当該ハロゲン化アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は、−N=で置き換えられてもよく;
11〜Z14はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜8のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
11〜n13はそれぞれ独立して、0または1であるであり;
12は、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=S、−CF、−OCF、または炭素数1〜3のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CHは−C≡Nで置き換えられてもよい。
式(1)において、好ましいR11は、炭素数1〜7のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が、−O−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられてもよい。
好ましい環A11〜A14はそれぞれ、下記(A−1)〜(A−10)からなる群から選択される環であり、好ましい環A15は、下記(A−1)〜(A−3)からなる群から選択される環である。

Figure 2019214698
好ましいZ11〜Z14はそれぞれ独立して、単結合、−COO−、または−CFO−である。さらに好ましくは、Z11〜Z14のうちの少なくとも一つは、−COO−または−CFO−である。
好ましいn11〜n13の合計(n11+n12+n13)は2または3である。
好ましいR12は、ハロゲン、−C≡N、−N=C=S、−CF、−OCF、または炭素数1〜3のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられていてもよい。
また、本発明の素子に用いられる液晶媒体は、下記式(1−2)および(1−3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種または2種以上の化合物を、アキラル成分Tの全重量に対して、60重量%以上、好ましくは80重量%以上含んでいてもよい。

Figure 2019214698
式(1−2)において、R1Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、または炭素数1〜11のアルコキシであり、Z12AおよびZ13Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−、または−CFO−であり、L11A、L12AおよびL13Aはそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり、X1Aは、フッ素、塩素、−CF、または−OCFである。
また、式(1−3)において、R1Bは、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜11のアルコキシアルキルであり、Z12BおよびZ13Bはそれぞれ独立して、単結合、−COO−、または−CFO−であり、L11B、L12B、L13BおよびL14Bはそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり、X1Bは、フッ素、塩素、−CF、または−OCFである。
1―1−2.化合物2
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、下記一般式(2)で表される化合物2を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(2)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が1から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
〜Zはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
〜Lはそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
およびnはそれぞれ独立して、0または1であり;
は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
式(2)のRが水素またはメチル、エチルのとき、Rが炭素数3以上のアルキルである化合物と比べて、駆動電圧低減に大きく寄与する。また、Rがメチルである化合物は、Rが水素である化合物と比べて透明点が高い。
式(2)中のXは、フッ素、塩素、−SF、−CF、−OCF、または−CH=CH−CFであるときは誘電率異方性が大きい。Xがフッ素、−CF、または−OCFであるときは、化学的に安定である。好ましいXの具体的な例は、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCFおよび−OCHFである。より好ましいXの例は、フッ素、塩素、−CFおよび−OCFである。Xが塩素、フッ素である場合は融点が低く、他の液晶化合物との相溶性が特に優れている。Xが−CF、−CHF、−OCFおよび−OCHFである場合は、特に大きな誘電率異方性を示す。
化合物2として、式(2−1)〜(2−9)で表される化合物が好ましい。


Figure 2019214698

Figure 2019214698
式(2−1)〜(2−9)において、R2Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;
2Bは、炭素1から5のアルキレン、炭素数2から5のアルケニレン、または炭素数2から5のアルキニレンである。
式(2)のR2Aが水素またはメチル、エチル、R2Bが炭素数1または2のメチレンまたはエチレンである化合物は、駆動電圧低減に大きく寄与する。
また、R2Aがエチルであり、R2Bがメチレンである化合物は駆動電圧低減効果が高い化合物である。
21AおよびZ22Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり、式(2−4)および(2−5)においては、Z21Aは、−COO−または−CFO−であり;
22、L24〜L28はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
2Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFである。
化合物2として、式(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−3−1)、(2−3−2)、(2−4−1)、(2−5−1)、(2−5−2)(2−9−1)〜(2−9−6)で表される化合物が好ましく、式(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−9−2)〜(2−9−5)で表される化合物がさらに好ましい。

Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698
式(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−3−1)、(2−3−2)、(2−4−1)、(2−5−1)、(2−5−2)(2−9−1)〜(2−9−6)において、R2Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;
2Bは、炭素1から5のアルキレン、炭素数2から5のアルケニレン、または炭素数2から5のアルキニレンであり、
21AおよびZ22Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり、式(2−4−1)、(2−5−1)および(2−5−2)において、Z21Aは−COO−または−CFO−であり;
22、L24、L27、L28はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
2Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFである。
本発明は、アキラル成分Tにおいて、化合物2として1種の化合物を含有する場合も、2種以上の化合物を含有する場合も含む。化合物2として式(2)で表される2種以上の化合物を含有する場合としては、式(2−2−5)で表される化合物において、Z21Aが単結合であり、Z22Aが−CFO−であり、L22、L24、L27およびL28はフッ素である化合物、およびZ21Aが−CFO−であり、Z22Aが単結合であり、L22、L27およびL28はフッ素であり、L24は水素である化合物の組合せが好ましい。
アキラル成分Tの全重量に対して、化合物2を合計で25重量%〜90重量%含有することが好ましく、35重量%〜85重量%含有することがさらに好ましく、45重量%〜80重量%含有することが特に好ましい。
化合物2は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、他の化合物との相溶性が比較的よい。この化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。したがって、液晶組成物において化合物2を用いると、光学的に等方性の液晶相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で素子として使用することができる。
また、化合物2は、大きな誘電率異方性と比較的大きな屈折率異方性を有するため、光学的に等方性の液晶相で駆動される液晶組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。
1―1−3.化合物3
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、下記一般式(3)で表される化合物3を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(3)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が1から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
31〜Z34はそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
31〜L36はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
31およびn32はそれぞれ独立して、0または1である。
化合物3は、4または5個のベンゼン環を有し、少なくとも1個の−CFO−連結基を有する。化合物3は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして他の液晶化合物との相溶性がよい。この化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。したがって組成物においてネマチック相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で表示素子として使用することができる。さらにこの化合物は誘電率異方性と屈折率異方性が大きい為、光学的に等方性の液晶相で駆動される組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。
式(3)におけるR、ベンゼン環上の基(L31〜L36およびX)、あるいは結合基Z31〜Z34を適切に選択することによって、透明点、屈折率異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。
式(3)中、Z31〜Z34はそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であるが、少なくとも1つは−CFO−であることが好ましい。Z31〜Z34が単結合、または−CFO−であるときは粘度が小さく、Z31〜Z34が−CFO−であるときは誘電率異方性が大きい。式(3)におけるZ3134が単結合、−CFO−であるときは化学的に比較的安定であって、比較的劣化をおこしにくい。
式(3)中、L31〜L36はそれぞれ独立して、水素またはフッ素である。L31〜L36におけるフッ素の数が多いときは誘電率異方性が大きい。L35およびL36がともにフッ素である場合は、誘電率異方性が特に大きい。
式(3)中、Xは水素、ハロゲン、−SF、または炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。
式(3)中、Xは、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCF、および−OCHFが好ましく、フッ素、塩素、−CFおよび−OCFがさらに好ましい。
式(3)におけるXがフッ素、塩素、−SF、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHFまたは−OCHFであるときは誘電率異方性が大きい。Xがフッ素、−OCF、または−CFであるときは、化学的に安定である。
化合物3として、式(3−1)〜(3−5)で表される化合物が好ましい。

Figure 2019214698
式(3−1)〜(3−5)において、R3Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;
32A〜Z34Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり;
31〜L36はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
3Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFである。
本発明は、アキラル成分Tにおいて、化合物3として1種の化合物を含有する場合も、2種以上の化合物を含有する場合も含む。
化合物3として式(3)で表される2種以上の化合物を含有する場合としては、式(3−1)で表される化合物において、Z33Aが−CFO−であり、L35およびL36はフッ素である化合物、および式(3−2)で表される化合物において、Z32Aが−CFO−であり、L35およびL36はフッ素である化合物の組合せが好ましい。
アキラル成分Tの全重量に対して、化合物3を合計で5重量%〜65重量%含有することが好ましく、10重量%〜60重量%含有することがさらに好ましく、15重量%〜55重量%含有することが特に好ましい。
化合物3は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、他の化合物との相溶性が比較的よい。この化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。したがって、液晶組成物において化合物3を用いると、光学的に等方性の液晶相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で素子として使用することができる。
また、化合物3は、比較的大きな誘電率異方性と大きな屈折率異方性を有するため、光学的に等方性の液晶相で駆動される液晶組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。
1―1−4.化合物4
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(4)で表される化合物4を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(4)において、Rは、水素または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
環A41〜環A45はそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレン、2つの水素がそれぞれフッ素と塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルであり;
41〜Z46はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−CFO−で置き換えられてもよく;
41〜L43はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
41、〜n45はそれぞれ独立して、0または1であり、2≦n41+n42+n43+n44+n45≦3であり;
は、フッ素、塩素、−CFまたは−OCFである。
化合物4はクロロベンゼン環を有する。化合物4は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして他の液晶化合物との相溶性がよい。さらにスメクチック相を発現しにくい。この化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。したがって組成物においてネマチック相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で素子として使用することができる。さらにこの化合物は誘電率異方性と屈折率異方性が大きい為、光学的に等方性の液晶相で駆動される組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。
式(4)におけるn42〜n45の組み合わせと、R、一番右側のベンゼン環上の基(L32、L33およびX)、あるいは結合基Z42〜Z46を適切に選択することによって、透明点、屈折率異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。
式(4)中のRは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルが好ましい。
化合物の安定性や誘電率異方性の点から、式(4)中の環A41〜環A45はそれぞれ、1,4−フェニレン、1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンが好ましい。環A31〜A35の置換基、L32およびL33が水素であるときは、融点が低く、フッ素であるときは誘電率異方性が大きい。
式(4)中のZ41〜Z46はそれぞれ、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−CFO−で置き換えられてもよい。式(4)中のZ41〜Z46は、すべて単結合であるか少なくとも1つが−COO−または−CFO−であることが好ましく、他の液晶化合物との相溶性が重視される場合は、少なくとも1つが−CFO−であることが好ましい。
式(4)中のXは、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHF、−OCHF、−OCFCFHCFまたは−CH=CHCFであり、好ましくはフッ素、塩素、−CFおよび−OCFである。Xがフッ素、塩素、−OCFであるときは、他の液晶化合物との低温での相溶性に優れ、−CFであるときは、駆動電圧低下効果が大きい。
式(4)中、n42+n43+n44+n45=2の化合物は透明点が高く、n42+n43+n44+n45=1の化合物は融点が低い。
式(4)中の結合基Z41〜Z46は単結合、または−CFO−であるため、化学的に比較的安定であって、比較的劣化を起こしにくい。さらに結合基が単結合であるときは、粘度が小さい。また、結合基が−CFO−であるときは、誘電率異方性が大きい。
化合物4は、良好な相溶性と大きな誘電率異方性と大きな屈折率異方性を有する。
アキラル成分Tの全重量に対して、化合物4を合計で0重量%〜80重量%含有することが好ましく、0重量%〜50重量%含有することがさらに好ましく、0重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
1―1−5.化合物5
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体等は、さらに式(5)で表される化合物5を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(5)において、Rは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;
環Aはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;
はそれぞれ独立して、単結合、エチレン、−COO−、−OCO−、−CFO−または−OCF−であり;
51およびL52はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
は、1、2、3または4であり、nが2、3または4を表す場合、複数存在する環AおよびZは、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく;
は、フッ素、塩素、−CFまたは−OCFである。
化合物5は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして他の液晶化合物との相溶性がよい。この化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。したがって組成物においてネマチック相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で素子として使用することができる。さらにこの化合物は誘電率異方性と屈折率異方性が大きい為、光学的に等方性の液晶相で駆動される組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。
式(5)中のRは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルである。式(5)中の好ましいRは、紫外線に対する安定性を上げるため、または熱に対する安定性のために、炭素数1〜12のアルキルである。式(5)中のRは、粘度を下げる点から、炭素数2〜12のアルケニルが好ましく、紫外線に対する安定性を上げる点または熱に対する安定性を上げる点から、炭素数1〜12のアルキルが好ましい。
式(5)中のRにおけるアルキルは環状アルキルを含まない。アルコキシは環状アルコキシを含まない。アルケニルは環状アルケニルを含まない。少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたアルケニルは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた環状アルケニルを含まない。
式(5)中の環Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり、nが2以上である時、そのうちの少なくとも2つの環Aは同じであっても、異なってもよい。式(5)中の環Aは光学異方性を上げるために1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンであり、粘度を下げるために1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。
式(5)中のZは独立して、単結合、エチレン、−COO−、−OCO−、−CFO−または−OCF−であり、ただしnが3または4である場合、一つのZは−CFO−である。nが2以上である時、そのうちの少なくとも2つのZは同じであっても、異なってもよい。式(5)中のZは、粘度を下げるために単結合が好ましい。式(5)中のZは、誘電率異方性を上げるためおよび相溶性を良好にするために−CFO−が好ましい。
式(5)中のL51およびL52は独立して、水素、またはフッ素であり、誘電率異方性を上げるため、L51およびL52ともにフッ素が好ましく、透明点を上げるため、L51およびL52ともに水素が好ましい。
式(5)中のXは、フッ素、塩素、−CFまたは−OCFである。誘電率異方性を上げるために、−CFであることが好ましく、相溶性が良好にするためにフッ素、−OCFが好ましく、屈折率異方性を上げるために塩素が好ましい。
化合物5は、大きな誘電率異方性あるいは低温での相溶性を有する組成物の調製に適している。アキラル成分Tの全重量に対して、化合物5を合計で0重量%〜80重量%含有することが好ましく、0重量%〜50重量%含有することがさらに好ましく、0重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
1―1−6.化合物6
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(6)で表される化合物6を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(6)において、Rは、水素または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
61〜L66はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
化合物6はジオキサン環と3個のベンゼン環を有する。化合物6は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして透明点が高いにも関らず、他の液晶化合物との相溶性が比較的よい。化合物6を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。したがって、化合物6を含む組成物では、光学的に等方性の液晶相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で素子として使用することができる。また、化合物6は光学的に等方性の液晶相で駆動される組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。キラル剤および化合物6を含む好ましい態様の組成物でブルー相を発現させると、N*相や等方相との共存がない均一なブルー相となる。このように、化合物6を含む好ましい態様の組成物は均一なブルー相を発現しやすい。
式(6)中のXは水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
式(6)中のXの具体的な例として、水素、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCFおよび−OCHFが挙げられ、フッ素、塩素、−CFおよび−OCFが好ましい。式(6)中のXが塩素、フッ素である場合、融点が比較的低く、他の液晶化合物との相溶性が特に優れている。式(6)中のXが−CF、−CHF、−OCFおよび−OCHFである場合は、比較的大きな誘電率異方性を示す。式(6)中のXがフッ素、塩素、−SF、−CF、−OCF、または−CH=CH−CFであるとき、誘電率異方性が比較的大きく、Xがフッ素、−CF、または−OCFであるときは、比較的、化学的に安定する。
化合物6は、大きな誘電率異方性を有する組成物の調製に適している。化合物6は、ブルー相を発現しやすく、かつ透明点を高くする効果がある。
透明点を上げるために、アキラル成分Tの全重量に対して、化合物6を合計で約1.0重量%以上含有することが好ましい。また、液晶相の下限温度を下げるために、アキラル成分Tの全重量に対して、化合物6を合計で0重量%〜80重量%含有することが好ましく、0重量%〜50重量%含有することがさらに好ましく、0重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
1―1−7.化合物7
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(7)で表される化合物7を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(7)において、R71およびR72はそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;
環A71および環A72はそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;
は、単結合、エチレン、−COO−、または−OCO−であり;
は、1、2または3であり、nが2または3を表す場合、複数存在する環A71およびZは、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
化合物7は、誘電率異方性値の絶対値が小さく、中性に近い化合物である。式(7)においてnが1の化合物は主として粘度調整または屈折率異方性値の調整の効果があり、また式(7)においてnが2または3である化合物は透明点を高くするなどの光学的に等方性の液晶相の温度範囲を広げる効果、または屈折率異方性値を調整する効果がある。
式(7)中のR71およびR72はそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルである。化合物7の、粘度を下げるためには、式(7)中のR71およびR72は炭素数2〜12のアルケニルが好ましい。紫外線に対する安定性を上げるため、または熱に対する安定性を上げるためには、式(7)中のR71およびR72は、炭素数1〜12のアルキルであることが好ましい。
式(7)中の環A71および環A72は独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり、nが2以上である時、そのうちの少なくとも2つの環A71は同じであっても、異なってもよい。化合物7の光学異方性を上げるためには、環A71および環A72は1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンであることが好ましい。化合物7の粘度を下げるためには、環A71および環A72は1,4−シクロへキシレンである。
式(7)中のZはそれぞれ独立して、単結合、エチレン、または−COO−、−OCO−であり、nが2以上である時、そのうちの少なくとも2つのZは同じであっても、異なってもよい。好ましいZは、粘度を下げるために単結合である。
式(7)で表される化合物の含有量を増加させると液晶組成物の駆動電圧が高くなり、粘度が低くなるので、液晶組成物の粘度の要求値を満たす限り、駆動電圧の観点から含有量は少ないほうが望ましい。アキラル成分Tの全重量に対して、化合物7を合計で0重量%〜80重量%含有することが好ましく、0重量%〜50重量%含有することがさらに好ましく、0重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
1―1−8.化合物8
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(8)で表される化合物8を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(8)において、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく;
環A81〜環A86はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、当該1,4−シクロヘキシレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、当該1,4−シクロヘキシレン中の少なくとも1つの−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、当該1,4−フェニレン中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく、当該1,4−フェニレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
81〜Z87はそれぞれ独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、または−CH=CH−であり;
81およびL82はそれぞれ独立して水素またはフッ素であり;
81〜n87はそれぞれ独立して、0または1であり;n81〜n87の和は、1、2、3、または4であり;
は、フッ素、−CF、または−OCFである。
1―1−9.化合物9
本発明の素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(9)で表される化合物9を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(9)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が1から20のアルコキシアルキルであり、または炭素数の合計が1から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
91〜Z93はそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
91〜L98はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
91およびn92はそれぞれ独立して、0または1であり;
は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
1―1−10.化合物10
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(10)で表される化合物10を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(10)において、R10は、水素または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中およびアルキル中の任意の−CH−が、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はハロゲンまたは炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよく;
101およびY102は、それぞれ独立して−O−または−CH−であり;
101は、−CFO−または−COO−であり、Z102は、単結合または−CHCH−であるが、1つのCHは酸素原子で置き換えられていてもよく、Z103は、単結合、−CHCH−、−CFO−または−COO−であり;
101〜L106はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
10は水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、X10において−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
1―1−11.化合物11
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(11)で表される化合物11を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(11)において、R11は、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数1〜11のアルコキシであり;
環A111および環A112はそれぞれ独立して、下記式で表され;

Figure 2019214698

111〜Z113はぞれぞれ独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−CFO−、または−CH=CH−であり;
111〜L114はそれぞれ独立して、水素またはハロゲンであり;
111は0、1または2であり、n111が2を表す場合、複数存在するZ111および環A111は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく;。
11は、水素、ハロゲン、−CF、−OCF、−C≡Nである。
1―1−12.化合物12
本発明の素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(12)で表される化合物12を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(12)において、R12は、炭素数3〜20の分岐アルキルまたは分岐アルケニルであり、当該分岐アルキルまたは分岐アルケニル中の少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、当該分岐アルキルまたは分岐アルケニル中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該分岐アルキルまたは分岐アルケニル中の少なくとも1つ水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環A121〜A125はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり、当該環中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
121〜Z124はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−CFO−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
121〜n123それぞれ独立して、0または1であり、1≦n121+n122+n123≦3であり;
12はフッ素、塩素、−SF、−C≡N、−N=C=S、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜3のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。
1―1−13.化合物13
本発明の液晶素子に用いられる液晶媒体は、さらに式(13)で表される化合物13を少なくとも1種または2種以上含んでもよい。

Figure 2019214698

式(13)において、R13は、水素または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中および当該アルキル中の−CH−が−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はハロゲンまたは炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよく;
環A131〜A134はそれぞれ独立して、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピペリジン環、シクロヘキセン環、ビシクロオクタン環、テトラヒドロナフタレン環またはシクロヘキサン環であり、当該環の中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、当該環の中の少なくとも1つあるいは2つの−CH−は−O−または−S−で置き換えられてもよいが、酸素原子は隣接せず、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
Wは、CHあるいはNであり;
131〜Z135はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−または−CFO−で置き換えられてもよく;、
131〜L134はそれぞれ独立して、水素またはハロゲンであり;
131〜n134はそれぞれ独立して0または1であり、0≦n131+n132+n133+n134≦2であり;
13は水素、ハロゲン、−SF、−C≡N、−N=C=Sまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中および当該アルキル中の−CH−が−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の−CH−が−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中および当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、X13において−O−と−CH=CH−とが隣接することはなく、−CO−と−CH=CH−とが隣接することはない。
1―1−14.化合物8〜13の性質
化合物8〜13は、通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして透明点が高いにも関らず、他の液晶化合物との相溶性が比較的よい。化合物8〜13を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で比較的安定している。したがって、化合物8〜13を含む組成物において光学的に等方性の液晶相の温度範囲を広げることが可能となり、幅広い温度範囲で液晶素子として使用することができる。さらに化合物8〜13は、光学的に等方性の液晶相で駆動される組成物の駆動電圧を下げるための成分として有用である。また、化合物8〜13とキラル剤とを含む組成物において、ブルー相を発現させると、N相や等方相との共存がない均一なブルー相となりやすい。すなわち、化合物8〜13は、均一なブルー相を発現させやすい化合物である。また、極めて大きな誘電率異方性を発現する。
式(8)〜(13)中のX、X、X10、X11、X12、X13はそれぞれ、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCFおよび−OCHFであることが好ましく、フッ素、塩素、−CFおよび−OCFがさらに好ましい。
式(8)〜(13)中のX、X、X10、X11、X12、X13が塩素、フッ素である場合は化合物(8)〜(13)の融点が比較的低く、他の液晶化合物との相溶性が特に優れている。式(8)〜(13)のX、X、X10、X11、X12、X13が−CF、−SF5、−CHF、−OCFおよび−OCHFである場合は、化合物8〜13は比較的大きな誘電率異方性を示す。
、X、X10、X11、X12、X13がフッ素、−CF、または−OCFであるときは、化学的に安定である。
化合物8〜13は、大きな誘電率異方性を有する組成物の調製に適しており、本発明の素子における駆動電圧を低下させることができる。アキラル成分Tの全重量に対して、化合物8〜13のいずれか1種または2種以上を合計で0重量%〜80重量%含有することが好ましく、0重量%〜50重量%含有することがさらに好ましく、0重量%〜20重量%含有することが特に好ましい。
1―1−15.化合物1〜13の合成
化合物1および化合物2〜13は有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成できる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
たとえば、日本特許2959526号公報の方法を準用しても、化合物1および2〜13を合成することが可能である。
2.キラル剤
光学的に等方性の液晶組成物が含有するキラル剤は光学活性化合物であり、ラジカル重合性基を有さない化合物から選ばれた化合物からなることが好ましい。
本発明の組成物に用いられるキラル剤としては、ねじり力(Helical Twisting Power)が大きい化合物が好ましい。ねじり力が大きい化合物は所望のピッチを得るために必要な添加量が少なくできるので、駆動電圧の上昇を抑えられ、実用上有利である。具体的には、式(K1)〜(K7)で表される化合物が好ましい。これらの化合物の中でも、液晶組成物に添加されるキラル剤としては、式(K2)に含まれる式(K2−1)〜式(K2−8)、式(K4)に含まれる式(K4−1)〜式(K4−6)、式(K5)に含まれる式(K5−1)〜式(K5−3)および式(K6)が好ましく、式(K4−1)〜式(K4−6)、式(K5−1)〜式(K5−3)および式(K6)がさらに好ましい。なお、化合物(K4)〜(K7)は、ビナフチル基、オクタヒドロナフチル基が光学活性部位であり、かつ、キラル剤の掌性は問わない。

Figure 2019214698

式(K1)〜(K7)において、Rは独立して、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=Sまたは炭素数1〜12のアルキルであり、当該R中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該R中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該R中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
はそれぞれ独立して、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
は独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであり、当該Z中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−または−N=CH−で置き換えられてもよく、当該Z中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該Z中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−CHCH−であり;
mKは独立して、1〜3の整数である。

Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698

式(K2−1)〜(K2−8)、式(K4−1)〜(K4−6)および式(K5−1)〜(K5−3)において、Rは独立して、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであり、当該アルキル中またはアルコキシ中の少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよい。
液晶組成物に求められる性質によっては、ねじり力が比較的大きくないキラル剤を用いることができる。ねじり力が比較的大きくないキラル剤には、液晶組成物に対する高い溶解性が求められ、これらの例として、以下の式(Op−1)〜(Op−13)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2019214698
液晶組成物に含有されるキラル剤として1つの化合物を用いても、2種以上の化合物を用いてもよい。
光学的に等方性の液晶相の発現を容易にするために、本発明の液晶組成物の全重量に対して、キラル剤を0.5重量%〜40重量%含有することが好ましく、1重量%〜25重量%含有することがさらに好ましく、2重量%〜15重量%含有することが特に好ましい。
所望のピッチ長を設定するために重合性基を有するキラル剤または、光異性化するキラル剤を用いてもよい。
3.光学的に等方性の液晶相
液晶組成物が光学的に等方性を有するとは、巨視的には液晶分子配列は等方的であるため光学的に等方性を示すが、微視的には液晶秩序が存在することをいう。「液晶組成物が微視的に有する液晶秩序に基づくピッチ(以下では、ピッチと呼ぶことがある)」は700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがさらに好ましく、350nm以下であることが最も好ましい。
ここで、「非液晶等方相」とは一般的に定義される等方相、すなわち、無秩序相であり、局所的な秩序パラメーターがゼロでない領域が生成したとしても、その原因がゆらぎによるものである等方相である。たとえばネマチック相の高温側に発現する等方相は、本明細書では非液晶等方相に該当する。本明細書におけるキラルな液晶についても、同様の定義があてはまるものとする。
本明細書において「光学的に等方性の液晶相」とは、ゆらぎではなく光学的に等方性の液晶相を発現する相を表し、たとえばプレートレット組織を発現する相(狭義のブルー相)はその一例である。
本発明の光学的に等方性の液晶組成物において、光学的に等方性の液晶相ではあるが、偏光顕微鏡観察下、ブルー相に典型的なプレートレット組織が観測されないことがある。そこで本明細書において、プレートレット組織を発現する相をブルー相と称し、ブルー相を含む光学的に等方性の液晶相を光学的に等方性の液晶相と称する。すなわちブルー相は光学的に等方性の液晶相に包含される。
一般的に、ブルー相は、ブルー相I、ブルー相II、ブルー相IIIの3種類に分類され、これら3種類のブルー相はすべて光学活性であり、かつ、等方性である。ブルー相Iやブルー相IIのブルー相では異なる格子面からのブラッグ反射に起因する2種以上の回折光が観測される。ブルー相は一般的に非液晶等方相とキラルネマチック相の間の温度域で観測される。
光学的に等方性の液晶相が二色以上の回折光を示さない状態とは、ブルー相I、ブルー相IIに観測されるプレートレット組織が観測されず、概ね一面単色であることを意味する。二色以上の回折光を示さない光学的に等方性の液晶相では、色の明暗が面内で均一であることまでは不要である。
二色以上の回折光を示さない光学的に等方性の液晶相は、ブラッグ反射による反射光強度が抑えられる、あるいは低波長側にシフトするという利点がある。
また、可視光の光を反射する液晶媒体では、表示素子として利用する場合に色味が問題となることがあるが、二色以上の回折光を示さない液晶では、反射波長が低波長シフトするため、狭義のブルー相(プレートレット組織を発現する相)より長いピッチで可視光の反射を消失させることができる。
本発明の光学的に等方性の液晶組成物は、キラルネマチック相を有し、光学的に等方性の液晶相を有さない組成物にキラル剤を添加して得ることもできる。なお、キラルネマチック相を有し光学的に等方性の液晶を有さない組成物は、化合物1、光学活性化合物および必要に応じてその他の成分を含む。この際、光学的に等方性の液晶相を発現させないために、好ましくはピッチが700nm以上になるような濃度でキラル剤が添加される。
本発明の好ましい態様の液晶組成物が光学的に等方性の液晶相を発現する温度範囲は、ネマチック相またはキラルネマチック相と等方相の共存温度範囲が広い液晶組成物に、キラル剤を添加し、光学的に等方性の液晶相を発現させることにより、広くすることができる。たとえば、透明点の高い液晶化合物と透明点の低い液晶化合物とを混合し、広い温度範囲でネマチック相と等方相の共存温度範囲が広い液晶組成物を調製し、これにキラル剤を添加することで、広い温度範囲で光学的に等方性の液晶相を発現する組成物を調製することができる。
ネマチック相またはキラルネマチック相と等方相の共存温度範囲が広い液晶組成物としては、キラルネマチック相と非液晶等方相とが共存する上限温度と下限温度との差が3〜150℃である液晶組成物が好ましく、差が5〜150℃である液晶組成物が更に好ましい。また、ネマチック相と非液晶等方相とが共存する上限温度と下限温度との差が3〜150℃である液晶組成物が好ましい。
光学的に等方性の液晶相において本発明の液晶媒体に電界を印加すると、電気複屈折が生じるが、必ずしもカー効果である必要はない。
光学的に等方性の液晶相における電気複屈折はピッチが長くなるほど大きくなるので、その他の光学特性(透過率、回折波長など)の要求を満たす限り、キラル剤の種類と含有量を調整して、ピッチを長く設定することにより、電気複屈折を大きくすることができる。
本発明においては、キラルネマチック相の選択反射の波長を制御することにより、ブルー相の回折波長を制御することになる。つまり、ブルー相の回折波長を制御するために、キラルネマチック相の選択反射の波長を目安にしている。
4.その他の成分
本発明の光学的に等方性の液晶組成物は、その組成物の特性に大きな影響を与えない範囲で、さらに、溶媒、高分子物質、二色性色素、フォトクロミック化合物等を含んでもよい。
また、本発明の液晶組成物に用いられる二色性色素の例としては、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、テトラジン系などが挙げられる。
5.光学的に等方性の高分子/液晶複合材料
5−1.高分子/液晶複合材料
本発明の高分子/液晶複合材料は、液晶組成物と高分子とを含む複合材料であり、光学的に等方性を示すものであり、光学的に等方性の液晶相で駆動される光スイッチング素子に用いることができる。本発明の高分子/液晶複合材料に含まれる液晶組成物は本発明の液晶組成物である。
本明細書中、「高分子/液晶複合材料」とは、液晶組成物と高分子の化合物の両者を含む複合材料であれば特に限定されないが、高分子の一部または全部が液晶組成物に溶解していない状態で高分子が液晶組成物と相分離している状態でもよい。なお、本明細書において、特に言及がなければ、ネマチック相はキラルネマチック相を含まない、狭義のネマチック相を意味する。
本発明の好ましい態様に係る光学的に等方性の高分子/液晶複合材料は、光学的に等方性の液晶相を広い温度範囲で発現させることが可能である。また、本発明の好ましい態様に係る高分子/液晶複合材料は、応答速度が極めて速い。また、本発明の好ましい態様に係る高分子/液晶複合材料は、これらの効果に基づいて光スイッチング素子等に好適に用いることができる。
5−2.重合性モノマー等
本発明の複合材料は、光学的に等方性の液晶組成物と、予め重合されて得られた高分子とを混合しても製造できるが、高分子の材料となる低分子量のモノマー、マクロモノマー、オリゴマー等(以下、まとめて「重合性モノマー等」という)と液晶組成物とを混合してから、当該混合物において重合反応を行うことによって、製造されることが好ましい。
モノマー等と液晶組成物とを含む混合物を本件明細書では、「重合性モノマー/液晶混合物」と呼ぶ。「重合性モノマー/液晶混合物」には必要に応じて、後述する重合開始剤(5−2−3)、硬化剤(5−2−4)、触媒(5−2−4)、安定剤(5−2−4)、二色性色素、またはフォトクロミック化合物等を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。たとえば、本件発明の重合性モノマー/液晶混合物には必要に応じて、重合開始剤を重合性モノマー100重量部に対して0.1〜20重量部含有してもよい。「重合性モノマー/液晶混合物」は、ブルー相を発現する温度で重合する場合は液晶媒体であることが必須となるが、等方相となる温度で重合する場合は、必ずしも液晶媒体である必要はない。
重合温度は、高分子/液晶複合材料が高透明性と等方性を示す温度であることが好ましい。より好ましくはモノマーと液晶組成物の混合物が等方相またはブルー相を発現する温度で、かつ、等方相ないしは光学的に等方性の液晶相となる温度で重合を終了する。すなわち、重合後は高分子/液晶複合材料が可視光線より長波長側の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態を発現する温度とするのが好ましい。
本発明の複合材料を構成する高分子の原料としては、例えば低分子量のモノマー、マクロモノマー、オリゴマーを使用することができ、本明細書において高分子の原料モノマーとは低分子量のモノマー、マクロモノマー、オリゴマー等を包含する意味で用いる。また、得られる高分子が三次元架橋構造を有するものが好ましく、そのために、高分子の原料モノマーとして2つ以上の重合性官能基を有する多官能性モノマーを用いることが好ましい。重合性の官能基は特に限定されないが、アクリル基、メタクリル基、グリシジル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基などを挙げることができるが、重合速度の観点からアクリル基およびメタクリル基が好ましい。高分子の原料モノマー中、二つ以上の重合性のある官能基を持つモノマーをモノマー中に10重量%以上含有させると、本発明の複合材料において高度な透明性と等方性を発現しやすくなるので好ましい。
また、好適な複合材料を得るためには、高分子はメソゲン部位を有するものが好ましく、高分子の原料モノマーとしてメソゲン部位を有する原料モノマーをその一部に、あるいは全部に用いることができる。
さらに好適な複合材料を得るために、メソゲン部位を有する単官能性、または多官能製モノマー、およびメソゲン部位を有さない重合性のある官能基を持つモノマーを併せて用いることができる。また、メソゲン部位を有する単官能性、または多官能製モノマー、およびメソゲン部位を有さない重合性のある官能基を持つモノマー以外の重合性化合物を必要に応じて使用することができる。
5−2−1.メソゲン部位を有する単官能性、または多官能性モノマー
メソゲン部位を有する単官能性、または二官能性モノマーは構造上特に限定されないが、例えば下記の式(M1)または式(M2)で表される化合物を挙げることができる。
−Y−(A−Zm1−A−Y−R(M1)
−Y−(A−Zm1−A−Y−R (M2)

Figure 2019214698
式(M1)において、Rは、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=S、または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−、で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はハロゲンまたは−C≡Nで置き換えられてもよい。Rは、式(M3−1)〜式(M3−7)の重合性基である。
好ましいRは、水素、ハロゲン、−C≡N、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜19のアルコキシ、炭素数2〜21のアルケニル、および炭素数2〜21のアルキニルである。特に好ましいRは、−C≡N、炭素数1〜20のアルキルおよび炭素数1〜19のアルコキシである。
式(M2)において、Rは独立して、式(M3−1)〜(M3−7)の重合性基である。
ここで、式(M3−1)〜(M3−7)におけるRは独立して、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルであり、これらのアルキルにおいて少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいRは、水素、ハロゲンおよびメチルである。特に好ましいRは、水素、フッ素およびメチルである。
また、式(M3−2)、式(M3−3)、式(M3−4)、式(M3−7)はラジカル重合で重合するのが好適である。式(M3−1)、式(M3−5)、式(M3−6)はカチオン重合で重合するのが好適である。いずれもリビング重合なので、少量のラジカルあるいはカチオン活性種が反応系内に発生すれば重合は開始する。活性種の発生を加速する目的で重合開始剤を使用できる。活性種の発生には例えば光または熱を使用できる。
式(M1)および(M2)において、Aは独立して、芳香族性または非芳香族性の5員環、6員環または炭素数9以上の縮合環であるが、当該環中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−NH−、または−NCH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの水素原子はハロゲン、および炭素数1〜5のアルキル、またはハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。好ましいAの具体例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルであり、当該環中の少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。
化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接した−CH−O−O−CH−よりも、酸素と酸素とが隣接しない−CH−O−CH−O−の方が好ましい。硫黄においても同様である。
これらの中でも、特に好ましいAは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、およびピリミジン−2,5−ジイルである。なお、前記1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はシスよりもトランスの方が好ましい。
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、3−フルオロ−1,4−フェニレンと構造的に同一であるので、後者は例示しなかった。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンの関係などにも適用される。
式(M1)および(M2)において、Yは独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。好ましいYは、単結合、−(CHm2−、−O(CHm2−、および−(CHm2O−(前記式において、m2は1〜20の整数である)である。特に好ましいYは、単結合、−(CHm2−、−O(CHm2−、および−(CHm2O−(前記式において、m2は1〜10の整数である)である。化合物の安定性を考慮して、−Y−Rおよび−Y−Rは、当該基中に−O−O−、−O−S−、−S−O−、または−S−S−を有しない方が好ましい。
式(M1)および(M2)において、Zは独立して、単結合、−(CHm3−、−O(CHm3−、−(CHm3O−、−O(CHm3O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−OCF−(CH−、−(CH−CFO−、−OCF−または−CFO−(前記式において、m3は1〜20の整数である)である。
好ましいZは単結合、−(CHm3−、−O(CHm3−、−(CHm3O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−OCF−、および−CFO−である。
式(M1)および(M2)において、m1は1〜6の整数である。好ましいm1は、1〜3の整数である。m1が1のときは、6員環などの環を2つ有する二環の化合物である。m1が2と3のときは、それぞれ三環と四環の化合物である。例えばm1が1であるとき、2つのAは同一であってもよいし、または異なってもよい。また、例えばm1が2であるとき、3つのA(または2つのZ)は同一であってもよいし、または異なってもよい。m1が3〜6であるときについても同様である。R、R、R、Z、AおよびYについても同様である。
式(M1)で表される化合物(M1)および式(M2)で表される化合物(M2)はH(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量よりも多く含んでいても同様の特性を有するので好ましく用いることができる。
化合物(M1)および化合物(M2)の更に好ましい例は、式(M1−1)〜(M1−41)および(M2−1)〜(M2−27)で表される化合物(M1−1)〜(M1−41)および化合物(M2−1)〜(M2−27)である。これらの化合物において、R、R、Z、A、およびYの定義は、本発明の態様に記載した式(M1)および式(M2)のそれらと同一である。
化合物(M1−1)〜(M1−41)および(M2−1)〜(M2−27)における下記の部分構造について説明する。部分構造(a1)は、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンを表す。部分構造(a2)は、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンを表す。部分構造(a3)は、少なくとも1つの水素がフッ素またはメチルのいずれかで置き換えられてもよい1,4−フェニレンを表す。部分構造(a4)は、9位の水素がメチルで置き換えられてもよいフルオレンを表す。

Figure 2019214698

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本発明の高分子/液晶複合材料の光学的に等方性を最適化する目的で、メソゲン部位を持ち3つ以上の重合性官能基を持つモノマーを使用することもできる。メソゲン部位を持ち3つ以上の重合性官能基を持つモノマーとしては公知の化合物を好適に使用できるが、例えば、(M4−1)〜(M4−3)であり、より具体的な例として、特開2000−327632号、特開2004−182949号、特開2004−59772号に記載された化合物をあげることができる。ただし、(M4−1)〜(M4−3)において、R、Za、Y、および(F)は前述と同一の定義である。

Figure 2019214698

5−2−2.メソゲン部位を有さない重合性のある官能基を持つモノマー
メソゲン部位を有さない重合性のある官能基を持つモノマーとして、例えば、炭素数1〜30の直鎖あるいは分岐アクリレート、炭素数1〜30の直鎖あるいは分岐ジアクリレート、三つ以上の重合性官能基を有するモノマーとしては、グリセロール・プロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、ペンタエリスリトール・プロポキシレート・トリアクリレート、ペンタエリスリトール・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・エトキシレート・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・プロポキシレート・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ペンタエリスリトール・テトラアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
5−2−3.重合開始剤
本発明の複合材料を構成する高分子の製造における重合反応は特に限定されず、例えば、光ラジカル重合、熱ラジカル重合、光カチオン重合等が行われる。
光ラジカル重合において用いることができる光ラジカル重合開始剤の例は、ダロキュア(DAROCUR)1173および4265(いずれも商品名、BASFジャパン(株))、イルガキュア(IRGACURE)184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959(いずれも商品名、BASFジャパン(株))、などである。
熱ラジカル重合において用いることができる熱によるラジカル重合の好ましい開始剤の例は、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、ジt−ブチルパーオキシド(DTBPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などである。
光カチオン重合において用いることができる光カチオン重合開始剤として、ジアリールヨードニウム塩(以下、「DAS」という。)、トリアリールスルホニウム塩(以下、「TAS」という。)などがあげられる。
DASとしては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナートなどが挙げられる。
DASには、チオキサントン、フェノチアジン、クロロチオキサントン、キサントン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ルブレンなどの光増感剤を添加することで高感度化することもできる。
TASとしては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネートなどが挙げられる。
光カチオン重合開始剤の具体的な商品名の例は、サイラキュア(Cyracure)UVI−6990、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6992(それぞれ商品名、UCC(株))、アデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170、SP−172(それぞれ商品名、(株)ADEKA)、Rhodorsil Photoinitiator 2074(商品名、ローディアジャパン(株))、イルガキュア(IRGACURE)250(商品名、BASFジャパン(株))、UV−9380C(商品名、GE東芝シリコーン(株))などである。
5−2−4.硬化剤等
本発明の複合材料を構成する高分子の製造において、前記モノマー等および重合開始剤の他にさらに1種または2種以上の他の好適な成分、例えば、硬化剤、触媒、安定剤等を加えてもよい。
硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている従来公知の潜在性硬化剤が使用できる。潜在性エポキシ樹脂用硬化剤は、アミン系硬化剤、ノボラック樹脂系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。アミン系硬化剤の例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン等の脂環式ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
ノボラック樹脂系硬化剤の例としては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂などが挙げられる。イミダゾール系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテートなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤の例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルへキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
また、グリシジル基、エポキシ基、オキセタニル基を有する重合性化合物と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤をさらに用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン類、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類、三フッ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物などが挙げられる。これらの硬化促進剤は単独または2種以上を混合して使用することができる。
また、例えば貯蔵中の不所望な重合を防止するために、安定剤を添加することが好ましい。安定剤として、当業者に知られているすべての化合物を用いることができる。安定剤の代表例としては、4−エトキシフェノール、ハイドロキノン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
5−3.高分子/液晶複合材料の組成
本発明の高分子/液晶複合材料中における液晶組成物の含有率は、複合材料が光学的に等方性の液晶相を発現できる範囲であれば、可能な限り高含有率であることが好ましい。液晶組成物の含有率が高い方が、本発明の複合材料の電気複屈折値が大きくなるからである。
本発明の高分子/液晶複合材料において、液晶組成物の含有率は複合材料に対して60〜99重量%であることが好ましく、60重量%〜98重量%がさらに好ましく、80重量%〜97重量%が特に好ましい。また、本発明の高分子/液晶複合材料において、高分子の含有率は複合材料に対して1重量%〜40重量%であることが好ましく、2重量%〜40重量%がさらに好ましく、3重量%〜20重量%が特に好ましい。
6.液晶素子
後述する実施例において、詳細に説明するが、液晶組成物を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し、得られたセルをブルー相まで加熱した。この状態で、紫外光を照射して、重合反応を行った。このようにして得られた高分子/液晶複合材料は室温まで冷却しても光学的に等方性の液晶相を維持していた。この高分子/液晶複合材料が狭持されたセルを液晶素子として用いた。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。なお特に断りのない限り、「%」は「重量%」を意味する。
得られた化合物は、H−NMR分析で得られる核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィー(GC)分析で得られるガスクロマトグラムなどにより同定したので、まず分析方法について説明をする。
H−NMR分析:
測定装置は、DRX−500(ブルカーバイオスピン(株)社製)を用いた。測定は、実施例等で製造したサンプルを、CDCl等のサンプルが可溶な重水素化溶媒に溶解し、室温で、500MHz、積算回数24回の条件で行った。なお、得られた核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットであることを意味する。また、化学シフトδ値のゼロ点の基準物質としてはテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
GC分析:
測定装置は、島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M25−025(長さ25m、内径0.22mm、膜厚0.25μm);固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウムを用い、流量は1ml/分に調整した。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。
試料はトルエンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。記録計としては島津製作所製のC−R6A型Chromatopac、またはその同等品を用いた。得られたガスクロマトグラムには、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積値が示されている。
なお、試料の希釈溶媒としては、例えば、クロロホルム、ヘキサンを用いてもよい。また、カラムとしては、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリーカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty.Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)などを用いてもよい。
ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。一般には、分析サンプルの成分化合物の重量%は、分析サンプルの各ピークの面積%と完全に同一ではないが、本発明において上述したカラムを用いる場合には、実質的に補正係数は1であるので、分析サンプル中の成分化合物の重量%は、分析サンプル中の各ピークの面積%とほぼ対応している。成分の液晶化合物における補正係数に大きな差異がないからである。ガスクロマトグラムにより液晶組成物中の液晶化合物の組成比をより正確に求めるには、ガスクロマトグラムによる内部標準法を用いる。一定量正確に秤量された各液晶化合物成分(被検成分)と基準となる液晶化合物(基準物質)を同時にガスクロ測定して、得られた被検成分のピークと基準物質のピークとの面積比の相対強度をあらかじめ算出する。基準物質に対する各成分のピーク面積の相対強度を用いて補正すると、液晶組成物中の液晶化合物の組成比をガスクロ分析からより正確に求めることができる。
液晶化合物等の物性値の測定試料:
液晶化合物の物性値を測定する試料としては、化合物そのものを試料とする場合、化合物を母液晶と混合して試料とする場合の2種類がある。
化合物を母液晶と混合した試料を用いる後者の場合には、以下の方法で測定を行う。まず、得られた液晶化合物15重量%と母液晶85重量%とを混合して試料を作製する。そして、得られた試料の測定値から、下記の計算式に基づく外挿法にしたがって、外挿値を計算する。この外挿値をこの化合物の物性値とする。
〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉−〈母液晶の重量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈液晶化合物の重量%〉
液晶化合物と母液晶との割合がこの割合であっても、スメクチック相、または結晶が25℃で析出する場合には、液晶化合物と母液晶との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更をしていき、スメクチック相、または結晶が25℃で析出しなくなった組成で試料の物性値を測定し上記式にしたがって外挿値を求めて、これを液晶化合物の物性値とする。
測定に用いる母液晶としては様々な種類が存在するが、例えば、母液晶Aの組成(重量%)は以下のとおりである。
母液晶A:

Figure 2019214698
液晶化合物等の物性値の測定方法:
物性値の測定は後述する方法で行った。これら測定方法の多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED-2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。また、測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
測定値のうち、液晶化合物そのものを試料とした場合は、得られた値を実験データとして記載した。液晶化合物と母液晶との混合物を試料として用いた場合は、外挿法で得られた値を実験データとして記載した。
相構造および相転移温度(℃):以下(1)、および(2)の方法で測定を行った。
(1)偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に化合物を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、液晶相の種類を特定した。
(2)パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システム、またはDiamond DSCシステムを用いて、3℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め(on set)、相転移温度を決定した。
以下、結晶はKと表し、さらに結晶の区別がつく場合は、それぞれKまたはKと表した。また、スメクチック相はSm、ネマチック相はN、キラルネマチック相はNと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。スメクチック相の中で、スメクチックB相、またはスメクチックA相の区別がつく場合は、それぞれSmB、またはSmAと表した。BPはブルー相または光学的に等方性の液晶相を表す。2相の共存状態は(N+I)、(N+BP)という形式で表記することがある。具体的には、(N+I)は、それぞれ非液晶等方相とキラルネマチック相がと共存する相を表し、(N+BP)は、BP相または光学的に等方性の液晶相とキラルネマチック相が共存した相を表す。Unは光学的等方性ではない未確認の相を表す。相転移温度の表記として、たとえば、「K 50.0 N 100.0 I」とは、結晶からネマチック相への相転移温度(KN)が50.0℃であり、ネマチック相から液体への相転移温度(NI)が100.0℃であることを示す。また、「BP − I」とは、ブルー相または光学的に等方性の液晶相から液体(アイソトロピック)への相転移温度が判断できていないことを示し、「N 83.0−83.4 I」とは、ネマチック相から液体(アイソトロピック)への相転移温度が83.0℃から83.4℃に幅があることを示す。他の表記も同様である。
ネマチック相の上限温度(TNI;℃):
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に、試料(液晶化合物と母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で加熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度をネマチック相の上限温度とした。以下、ネマチック相の上限温度を、単に「上限温度」と略すことがある。
低温相溶性:
母液晶と液晶化合物とを、液晶化合物が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、および1重量%の量となるように混合した試料を作製し、試料をガラス瓶に入れる。このガラス瓶を、−10℃または−20℃のフリーザー中に一定期間保管したあと、結晶もしくはスメクチック相が析出しているかどうか観察をした。
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):
液晶化合物と母液晶との混合物を、E型粘度計を用いて測定した。
屈折率異方性(Δn):
測定は25℃の温度下で、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料(液晶化合物と母液晶との混合物)を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。屈折率異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥の式から計算した。
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):
2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料(液晶化合物と母液晶との混合物)を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
ピッチ(P;25℃で測定;nm):
ピッチ長は選択反射を用いて測定した(液晶便覧196頁 2000年発行、丸善)。選択反射の波長λには、関係式<n>p/λ=1が成立する。ここで<n>は平均屈折率を表し、次式で与えられる。<n>={(n +n )/2}1/2。選択反射の波長は顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV−350)で測定した。得られた反射波長を平均屈折率で除すことにより、ピッチを求めた。可視光より長波長領域に反射波長を有するキラルネマチック液晶のピッチは、光学活性化合物濃度が低い領域では光学活性化合物の濃度の逆数に比例することから、可視光領域に選択反射の波長を有する液晶のピッチ長を数点測定し、直線外挿法により求めた。「光学活性化合物」は本発明におけるキラル剤に相当する。
本発明において、液晶組成物の特性値の測定は下記の方法にしたがって行うことができる。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED-2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
ネマチック相の上限温度(NI;℃):
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
ネマチック相の下限温度(T;℃):
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶(またはスメクチック相)に変化したとき、Tを≦−20℃と記載する。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
光学的に等方性の液晶相の転移温度:
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、クロスニコルの状態で、まず試料が非液晶等方相になる温度まで昇温した後、1℃/分の速度で降温し、完全にキラルネマチック相または光学的に等方性の液晶相を出現させた。その降温過程での相転移した温度を測定し、次いで1℃/分の速度で昇熱し、その昇温過程における相転移した温度を測定した。本発明において、特に断りの無い限り、昇温過程での相転移した温度を相転移温度とした。光学的に等方性の液晶相においてクロスニコル下では暗視野で相転移温度の判別が困難な場合は、偏光板をクロスニコルの状態から1〜10°ずらして相転移温度を測定した。
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):
測定にはE型粘度計を用いた。
回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s):
1)誘電率異方性が正である試料:測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。TN素子に16ボルト〜19.5ボルトの範囲で0.5ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文の40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度の測定で使用した素子にて、下記の誘電率異方性の測定方法で求めた。
2)誘電率異方性が負である試料:測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に30ボルト〜50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、下記の誘電率異方性で測定した値を用いた。
屈折率異方性(Δn;25℃で測定):
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビング(rubbing)したあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。屈折率異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。試料が組成物のときはこの方法によって屈折率異方性を測定した。
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):
1)誘電率異方性が正である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
2)誘電率異方性が負である組成物:ホメオトロピック配向に処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε‖)を測定した。ホモジニアス配向に処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):
1)誘電率異方性が正である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80度である、ノーマリーホワイトモード(normally white mode)の液晶表示素子に試料を入れた。Δnは上記の方法で測定した屈折率異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定した。
2)誘電率異方性が負である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μmであり、ホメオトロピック配向に処理したノーマリーブラックモード(normally black mode)の液晶表示素子に試料を入れた。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率10%になったときの電圧の値を測定した。
電圧保持率(VHR;25℃で測定;%):
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
らせんピッチ(20℃で測定;μm):
らせんピッチの測定には、カノのくさび型セル法を用いた。カノのくさび型セルに試料を注入し、セルから観察されるディスクリネーションラインの間隔(a;単位はμm)を測定した。らせんピッチ(P)は、式P=2・a・tanθから算出した。θは、くさび型セルにおける2枚のガラス板の間の角度である。
キラルネマチック相の選択反射の波長(λ;25℃で測定;nm):
キラルネマチック相の選択反射の波長は顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV−350)で測定した。
可視光の長波長領域あるいは短波長領域に反射波長を有するキラルネマチック液晶、および、測定が困難であったキラルネマチック液晶のピッチは、可視光領域に選択反射の波長を有するような濃度でキラル化合物を添加(濃度C’)して、選択反射の波長(λ’)を測定し、本来の選択反射の波長(λ)を本来のキラル濃度(濃度C)から、直線外挿法(λ=λ’×C’/C)で算出することにより求めた。
得られた反射波長を平均屈折率で除すことにより、ピッチ長は求められる。(液晶便覧196頁 2000年発行、丸善)。選択反射の波長λには、関係式<n>p/λ=1が成立する。ここで<n>は平均屈折率を表し、次式で与えられる。<n>={(n‖+n⊥)/2}1/2
ブルー相の回折波長(λ;25℃で測定;nm):
ブルー相の回折波長は、上記同様に顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV−350)で測定することにより求めた。
ヘリカルツイストパワー(HTP;25℃で測定;μm−1):
上記の方法で求められた平均屈折率<n>、およびピッチの値を用いて、HTPを次式で与えられる。HTP=<n>/(λ・C)。λは選択反射の波長(nm)、Cはキラル濃度(wt%)を示す。
成分または液晶化合物の割合(百分率)は、液晶化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。組成物は、液晶化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。
飽和電圧(25°Cで測定;V)
高分子/液晶複合材料が狭持されたセルを、図2に示した光学系にセットした。具体的には、光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、PolarizerとAnalyzerの偏光板がクロスニコルになるようにセットした。高分子/液晶複合材料が狭持されたセルの図1に示した櫛型電極の線方向がそれぞれの偏光板に対して45°となるようにセットし、光測定器(YOKOGAWA製 3298F)を使用し偏光板とセルを通過する透過光強度を測定した。この高分子/液晶複合材料が狭持されたセルに矩形波で電圧を印加し、透過光強度が最大(Tmax)となる印加電圧を飽和電圧(Vmax)とした。
コントラスト比(室温で測定)
高分子/液晶複合材料が狭持されたセルを、図2に示した光学系にセットした。具体的には、光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、PolarizerとAnalyzerの偏光板がクロスニコルになるようにセットした。高分子/液晶複合材料が狭持されたセルの図1に示した櫛型電極の線方向がそれぞれの偏光板に対して45°となるようにセットし、光測定器(YOKOGAWA製 3298F)を使用し偏光板とセルを通過する透過光強度を測定した。この高分子/液晶複合材料が狭持されたセルに矩形波で電圧を印加し透過光強度が最大となった値を、電圧を除去したときの透過光強度で割った値をコントラスト比とした。
応答時間(25°Cで測定;ms)
高分子/液晶複合材料が狭持されたセルを、図2に示した光学系にセットした。具体的には、光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、PolarizerとAnalyzerの偏光板がクロスニコルになるようにセットした。高分子/液晶複合材料が狭持されたセルの図1に示した櫛型電極の線方向がそれぞれの偏光板に対して45°となるようにセットし、光測定器(HAMAMATSU製 H5784)を使用し偏光板とセルを通過する透過光強度を測定した。この高分子/液晶複合材料が狭持されたセルにパルス波で電圧を印加し、透過光強度が最大値に対して10%から90%まで変化する時間を「電圧印加時の応答時間」とし、電圧を除去し透過光強度が最大値に対して90%から10%まで変化する時間を「電圧除去時の応答時間」とした。
キラル剤(8H)BN−H5のヘリカルツイストパワー(HTP)の決定
ネマチック液晶組成物NLC−Z(98.00重量%)に、下に示すキラル剤(8H)BN−H5(2.00重量%)を100℃で加熱溶解させて、キラルネマチック液晶組成物CLC−Zを得た。キラルネマチック液晶組成物CLC−Zの選択反射の波長(λ)は525(nm)であり、これらの値から計算された化合物キラル剤(8H)BN−H5のHTPは148.3(μm−1)であった。
キラル剤(8H)BN−H5の化学構造式は以下の通りである。

Figure 2019214698
液晶組成物NLC−Z

Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698
このネマチック液晶組成物NLC−Zの相転移温度(℃)は、N 77.6 Iであった。
(比較例1)
下図に示す液晶化合物を、下記の割合で混合することによりネマチック液晶組成物NLC−Aを調製した。

液晶組成物NLC−A

Figure 2019214698

Figure 2019214698

Figure 2019214698

このネマチック液晶組成物NLC−Aの相転移温度(℃)はN 87.8 Iであった。
次に、ネマチック液晶組成物NLC−A(95.2重量%)と、キラル剤(8H)BN−H5(4.8重量%)からなるキラルネマチック液晶組成物CLC−A1を得た。
このキラルネマチック液晶組成物CLC−A1の相転移温度(℃)はN* 79.0 BP − Iであった。
重合性モノマーとキラルネマチック液晶組成物の混合物(MLC−A1)の調製
キラルネマチック液晶組成物と重合性モノマーとの混合物として、キラルネマチック液晶組成物CLC−A1を88.8重量%、n−ヘキサデシルアクリレートを6.0重量%、ベンゼン−1,2,4−トリイルトリス(4−(12−(アクリロイルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾエート(LCA−1)を4.8重量%、光重合開始剤として2,2’−ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.4重量%混合した混合物MLC−A1を調製した。この混合物MLC−A1の相転移温度(℃)はN* 50.9 BP 54.3 I

LCA−1の化学構造式は以下の通りである。

Figure 2019214698
高分子/液晶複合材料(PSBP−A2)の調製
混合物MLC−A1を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し(セル厚7μm)、得られたセルを51.1℃のブルー相まで加熱した。この状態で、紫外光(紫外光強度2.0mWcm−2(365nm))を7分間照射して、重合反応を行った。このようにして得られた高分子/液晶複合材料(PSBP−A2)は室温まで冷却しても光学的に等方性の液晶相を維持していた。
高分子/液晶複合材料PSBP−A2が狭持されたセルを、図2に示した光学系にセットし、電気光学特性を測定した。光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、櫛型電極の線方向がPolarizerとAnalyzer偏光板に対してそれぞれ45°となるように前記セルを光学系にセットした。室温で印加電圧と透過率の関係を調べた。60Vの矩形波を印加すると、透過率が85%となり、透過光強度は飽和した。ブルー相の回折波長は380nm以下であり、可視光よりも短波長であった。
(実施例1)
比較例1に比べてキラル剤の添加量を減らした、ネマチック液晶組成物NLC−A(96.5重量%)とキラル剤(8H)BN−H5(3.5重量%)からなるキラルネマチック液晶組成物CLC−A2を得た。
このキラルネマチック液晶組成物CLC−A2の相転移温度(℃)は、
N* 79.8 BP − Iであった。
重合性モノマーとキラルネマチック液晶組成物の混合物(MLC−A2)の調製
キラルネマチック液晶組成物と重合性モノマーとの混合物として、キラルネマチック液晶組成物CLC−A2を88.8重量%、n−ヘキサデシルアクリレートを6.0重量%、ベンゼン−1,2,4−トリイルトリス(4−(12−(アクリロイルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾエート(LCA−1)を4.8重量%、光重合開始剤として2,2’−ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.4重量%混合した混合物MLC−A2を調製した。この混合物MLC−A2の相転移温度(℃)は
N* 52.5 BP − Iであった。
高分子/液晶複合材料(PSBP−A4)の調製
混合物MLC−A2を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し(セル厚7μm)、得られたセルを52.7℃のブルー相まで加熱した。この状態で、紫外光(紫外光強度2mWcm−2(365nm))を7分間照射して、重合反応を行った。このようにして得られた高分子/液晶複合材料(PSBP−A4)は室温まで冷却しても光学的に等方性の液晶相を維持していた。
高分子/液晶複合材料(PSBP−A4)が狭持されたセルを、図2に示した光学系にセットし、電気光学特性を測定した。光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、櫛型電極の線方向がPolarizerとAnalyzer偏光板に対してそれぞれ45°となるように前記セルを光学系にセットした。室温で印加電圧と透過率の関係を調べた。52Vの矩形波を印加すると、透過率が91%となり、透過光強度は飽和した。ブルー相の回折波長は、540nmであり、可視光域にシフトした。
このように、高分子/液晶複合材料(PSBP−A4)は、キラルネマチック液晶組成物(CLC−A2)のキラルネマチック相の選択反射の波長を適切に制御することにより、比較例1の高分子/液晶複合材料(PSBP−A2)と比べて低電圧で駆動することがわかった。
(実施例2)
下図に示す液晶化合物を、下記の割合で混合することにより液晶組成物NLC−Bを調製した。

液晶組成物NLC−B

Figure 2019214698

Figure 2019214698

このネマチック液晶組成物NLC−Bの相転移温度(℃)は、N 97.1 Iであった。
次に、ネマチック液晶組成物NLC−B(96.5重量%)と、キラル剤(8H)BN−H5(3.5重量%)からなるキラルネマチック液晶組成物CLC−Bを得た。
このキラルネマチック液晶組成物CLC−Bの相転移温度(℃)は、N* 90.4 BP − Iであった。
重合性モノマーとキラルネマチック液晶組成物の混合物(MLC−B)の調製
キラルネマチック液晶組成物と重合性モノマーとの混合物として、キラルネマチック液晶組成物CLC−Bを88.8重量%、n−ドデシルアクリレートを6.0重量%、ベンゼン−1,2,4−トリイルトリス(4−(12−(アクリロイルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾエート(LCA−1)を4.8重量%、光重合開始剤として2,2’−ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.4重量%混合した混合物MLC−Bを調製した。この混合物MLC−Bの相転移温度(℃)は、
N* 56.5 BP − Iであった。
高分子/液晶複合材料(PSBP−B1)の調製
混合物MLC−Bを配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し(セル厚7μm)、得られたセルを56.7℃のブルー相まで加熱した。この状態で、紫外光(紫外光強度2mWcm−2(365nm))を7分間照射して、重合反応を行った。
このようにして得られた高分子/液晶複合材料(PSBP−B)は室温まで冷却しても光学的に等方性の液晶相を維持していた。
高分子/液晶複合材料(PSBP−B)が狭持されたセルを、図2に示した光学系にセットし、電気光学特性を測定した。光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、櫛型電極の線方向がPolarizerとAnalyzer偏光板に対してそれぞれ45°となるように前記セルを光学系にセットした。室温で印加電圧と透過率の関係を調べた。30Vの矩形波を印加すると、透過率が80%となり、透過光強度は飽和した。ブルー相の回折波長は450nmであった。
このように、高分子/液晶複合材料(PSBP−B)は、キラルネマチック液晶組成物(CLC−B)のキラルネマチック相の選択反射の波長を適切に制御することにより、低電圧で駆動することがわかった。
本願の光学的に等方性の液晶相を示す液晶媒体は、特にブルー相液晶媒体を使用した素子に好適に使用でき、さらに、当該キラルネマチック相の選択反射の波長を適切に調整することにより、より低電圧で駆動できることが分かった。
本発明の液晶組成物は、光学的に等方性を示す液晶相、例えばブルー相を有する高分子/液晶複合材料を用いる光スイッチング素子、たとえばLIDARなどの光スイッチング素子に利用できる。
1・・・電極1
2・・・電極2
3・・・光源
4・・・偏光子(偏光板)(Polarizer)
5・・・櫛型電極セル
6・・・検光子(偏光板)(Analyzer)
7・・・受光器(Photodetector)

Claims (22)

  1. アキラル成分Tとキラル剤とを含有し、光学的に等方性の液晶相を発現する液晶組成物において、該液晶相が、380nm以上の波長の光を回折する液晶組成物。
  2. キラル剤のヘリカルツイストパワーが80μm−1以上である、請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記アキラル成分Tが下記一般式(1)で表される化合物1を少なくとも1つ含有する、請求項1または2に記載の液晶組成物。

    Figure 2019214698

    式(1)において、R11は、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;環A11〜A15はそれぞれ独立して、5〜8員環または炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、またはハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。当該アルキルまたは当該ハロゲン化アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は、−N=で置き換えられてもよく;Z11〜Z14はそれぞれ独立して、単結合または炭素数1〜8のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;n11〜n13はそれぞれ独立して、0または1であるであり;R12は、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=S、−CF、−OCF、または炭素数1〜3のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CHは−C≡Nで置き換えられてもよい。
  4. 前記一般式(1)において、n11+n12+n13が2または3であり、A11〜A14が、下記(A−1)〜(A−10)で表される基からなる群から選択され、A15が、(A−1)〜(A−3)で表される基からなる群から選択され、さらに、A11〜A15中のハロゲン原子数の合計が6以上である、請求項3に記載の液晶組成物。

    Figure 2019214698
  5. アキラル成分Tが、式(2)で表される化合物2を少なくとも1つ含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶組成物。

    Figure 2019214698

    式(2)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が1から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
    〜Zはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
    〜Lはそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
    およびnはそれぞれ独立して、0または1であり;
    は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはない。
  6. 化合物2が、式(2−1)〜(2−9)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 2019214698

    Figure 2019214698

    式(2−1)〜(2−9)において、R2Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;R2Bは、炭素1から5のアルキレン、炭素数2から5のアルケニレン、または炭素数2から5のアルキニレンであり;L22、L24、L25、L26、L27およびL28はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Z21AおよびZ22Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり;X2Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFであり;ただし、式(2−4)および(2−5)においては、Z21Aは、−COO−または−CFO−である。
  7. 化合物2が、下記式(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−3−1)、(2−3−2)、(2−4−1)、(2−5−1)、(2−5−2)または(2−9−1)〜(2−9−6)で表される化合物である、請求項6に記載の液晶組成物。
    Figure 2019214698

    Figure 2019214698

    Figure 2019214698

    式(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)〜(2−2−5)、(2−3−1)、(2−3−2)、(2−4−1)、(2−5−1)、(2−5−2)(2−9−1)〜(2−9−6)において、R2Aは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数2〜12のアルケニルであり;R2Bは、炭素1から5のアルキレン、炭素数2から5のアルケニレン、または炭素数2から5のアルキニレンであり;Z21AおよびZ22Aはそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも1つは−COO−または−CFO−であり;L22、L24、L27、L28はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;X2Aは、フッ素、塩素,−CFまたは−OCFであり;ただし、式(2−4−1)、(2−5−1)および(2−5−2)において、Z21Aは−COO−または−CFO−である。
  8. アキラル成分Tが、式(3)で表される化合物3を少なくとも1つ含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶組成物。

    Figure 2019214698

    式(3)において、Rは、水素、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数2から20のアルキニル、炭素数1から19のアルコキシ、または炭素数の合計が2から20のアルコキシアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Rにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
    31〜Z34はそれぞれ独立して、単結合、−COO−または−CFO−であり、少なくとも一つは−COO−または−CFO−であり;
    31〜L36はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;
    は、水素、ハロゲン、−SFまたは炭素数1〜10のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−が−O−、−S−、−COO−、または−OCO−で置き換えられた基中、または当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−が−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられた基中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく、ただし、Xにおいて−O−と−CH=CH−および−CO−と−CH=CH−が隣接することはなく;
    31およびn32はそれぞれ独立して、0または1である。
  9. アキラル成分Tの全重量に対して、化合物2を合計で25重量%〜90重量%含有し、化合物3を合計で5重量%〜65重量%含有する、請求項8に記載の液晶組成物。
  10. キラル剤が、式(K1)〜(K7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物。

    Figure 2019214698

    式(K1)〜(K7)において、Rは独立して、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=Sまたは炭素数1〜12のアルキルであり、当該R中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該R中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該R中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;Aはそれぞれ独立して、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、当該環中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく;Yは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、当該環中の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH=は−N=で置き換えられてもよく;Zは独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであり、当該Z中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−または−N=CH−で置き換えられてもよく、当該Z中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該Z中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Xは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−CHCH−であり;mKは独立して、1〜3の整数である。
  11. −40℃〜100℃のいずれかの温度においてキラルネマチック相を示し、この温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  12. −20℃〜70℃のいずれかの温度においてキラルネマチック相を示し、この温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  13. −20℃〜70℃のいずれかの温度において光学的等方相からの回折光が380nm以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  14. 酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる化合物を1つ以上含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに1項に記載の液晶組成物と、重合性モノマーとを含む混合物。
  16. 請求項15に記載の混合物を重合して得られる、光学的に等方性の液晶相で駆動される素子に用いられる高分子/液晶複合材料。
  17. 請求項15に記載の混合物を非液晶等方相または光学的に等方性の液晶相で重合させて得られる、請求項16に記載の高分子/液晶複合材料。
  18. 電場誘起される複屈折により得られるリタデーションが最大になるときの印加電圧、または利用光源の透過光強度が最大になるときの印加電圧が35V以下を示す、請求項16または17に記載の高分子/液晶複合材料。
  19. 請求項1から14のいずれか1項に記載の光学的に等方性を示す液晶相を有する液晶組成物または請求項16から18のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料の、電場誘起された複屈折によりリタデーションを制御する素子への利用。
  20. 電圧印加により、リタデーションを0からλ/2まで制御する、請求項1から14のいずれかに1項に記載の液晶組成物の素子への利用。
  21. 請求項1から14のいずれかに1項に記載の液晶組成物の、TFTを備えたアクティブ型液晶表示素子への利用。
  22. 請求項1から14のいずれかに1項に記載の液晶組成物の、右円偏光と左円偏光を切り替える光線走査型素子への利用。
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